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低熱ポルトランドセメントの塩分浸透抑制評価

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Academic year: 2021

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(1)

CaO・2Al

2

O

3

と膨張材を併用した

低熱ポルトランドセメントの塩分浸透抑制評価

芝浦工業大学 学生会員 ○伊藤 孝文 電気化学工業㈱ 伊藤 慎也 電気化学工業㈱ 正会員 盛岡 実 芝浦工業大学 正会員 伊代田 岳史

1.研究背景および目的

マスコンクリートは温度ひび割れが生じやすいため, 低熱ポルトランドセメント(以下 L と称す)などの温 度ひび割れ抑制効果のあるセメントが使用されること が多い.L の発熱抑制効果は C3S 及び C3A を減少させてい るため発揮される.しかし,固定塩化物として知られる フリーデル氏塩を生成するエトリンガイトやモノサル フェートは C3A より生成される.したがって,L は他のセ メントに比べ塩化物イオンに対する抵抗性が低いこと が知られており,港湾などの塩害環境下での使用する 実績は少ない.

近年, 塩害対策用の混和材であるカルシウムアルミ ネートの一種 CaO・2Al2O3(以下 CA2と称す)が着目さ れている1).この物質は,セメント水和物である Ca(OH)2

(以下 CH と称す)と反応して,ハイドロカルマイトを 生成する.このハイドロカルマイトが塩化物イオンを フリーデル氏塩として化学的に固定化し,可溶性塩化 物イオンを減少させるのが塩分遮蔽効果のメカニズム である.

本研究では塩害環境下での L の適用性を確認するこ とを目的として,L に CA2を混和することを考えた.しか し,L では生成する CH が少ないと考え, CH を生成する 物質として膨張材を併用したコンクリートの塩害抵抗 性を非定常電気泳動試験と塩水浸せき試験で検証した.

また,中性化に対する抵抗性についても確認した.

2.実験概要 2.1 試験体諸元

表-1 に本研究で使用したコンクリートの配合を示す.

水結合材比,細骨材比,単位水量を一定とし,セメント 種は N と L を使用し,CA2及び膨張材は添加量を変動さ

せた. 打込みしたコンクリートは翌日脱型をし,材齢 28 日まで水中養生を行った. 供試体は非定常電気泳動

表―1 コンクリートの計画配合

試験は,φ100mm×200mm のコンクリートから中央の高 さ 50mm の供試体を 2 体切り出した.また,塩水浸せき試 験及び促進中性化試験には 100mm×100mm×400mm を使 用した.

2.2 非定常状態電気泳動試験

前処理として,各供試体に飽和水酸化カルシウム溶 液を用いて真空飽水処理を行った.非定常電気泳動試 験装置の陽極側に水酸化ナトリウム水溶液(0.3N), 陰 極側に塩化ナトリウム水溶液(3%)をそれぞれ注入 し,30V の直流定電圧を通電した.L は 6,9,12 時間,N は 6,12,24 時間通電後に供試体を割裂し,割裂面に硝酸銀 溶液(0.1N)を噴霧した.白色に呈色した部分を 7 点測 定し,その平均値を塩化物イオン浸透深さとした.

2.3 塩水浸せき試験

養生終了後,側面の 1 面を除き,エポキシ樹脂でコー ティングした供試体を塩化物イオン濃度 10%の塩水に 浸せきさせ,材齢 1,2,4,8,13 週で割裂した.塩化物イオ ン浸透深さは 2.2 と同様に測定した.

2.4 促進中性化試験

養生終了後,側面の 1 面を除きアルミテープでシール した供試体を促進中性化試験装置(20℃,RH60%,CO2濃 度 5%)に静置し, 材齢 1,2,4,8,13 週で供試体を割裂 した.中性化深さは JIS 規格に準拠して,フェノールフ タレイン溶液を噴霧し,表面から赤紫色に呈色した部 分までを測定した.

キーワード 低熱ポルトランドセメント,CA2,ハイドロカルマイト,非定常電気泳動試験

連絡先 〒135-8548 東京都江東区豊洲 3-7-5 芝浦工業大学 TEL:03-5859-8356 E-mail:ah11206@shibaura-it.ac.jp

セメント種 W/B s/a W C CA2 膨張材 S G

L 326 - -

L(0-20) 306 - 20

L(10-10) 306 10 10

L(15-15) 296 15 15

L(30-0) 296 30 -

L(30-20) 276 30 20

N 326 - -

N(10-10) 306 10 10

N(15-15) 296 15 15

N(10-0) 316 10 -

974

873 971 L

50 48 163

N

876

V-03 第42回土木学会関東支部技術研究発表会

(2)

3.実験結果及び考察

3.1 非定常状態電気泳動試験

図-1 に一例として通電 12 時間後の塩化物イオン浸透 深さを示す.ここでは,N 及び L に CA2と膨張材をそれぞ れ 10,15[kg/m3]添加した配合の結果を示す.N に CA2と 膨張材を添加した配合では, CA2及び膨張材を添加する ことで塩化物イオンの浸透深さが減少し, 15[kg/m3]の 添加で 8mm 程度減少した.一方で, L に CA2と膨張材を 添加した場合,塩化物イオン浸透深さに差は生じず,こ れは,塩水浸せき試験でも類似した結果となった.

3.2 塩水浸せき試験

図-2 に一例として材齢 4 週目の塩水浸せき試験の結 果を示す.ここでは,L に CA2を 30[kg/m3], N に CA2を 10[kg/m3]添加した配合の結果を示す. CA2の添加量が少 ない N の方が L に比べ塩分浸透抑制効果が確認できる.

これは,L よりも N の方が CH の生成量が多いため,ハイ ドロカルマイトが多く生成されたためであると考えら れる.次に,図-3 は膨張材の添加量を 0 または 20[kg/m3] でそれぞれ一定とし, CA2を 30[kg/m3]添加した配合の 材齢 4 週目の塩化物イオン浸透深さで比較した. 膨張 材の添加量が 0[kg/m3]に比べ,膨張材の添加量を増やす ことで,塩化物イオンの浸透が抑制されているのが確 認できる.これより,L に CA2及び膨張材を添加すること で一定の塩分浸透抑制効果が認められたが,N と比較す ると効果が小さい.また, CA2の量が多量に必要となる.

この原因については,各材料の反応速度や生成物など の調査が必要となる.

3.3 促進中性化試験

図-4 に材齢 8 週目の中性化深さを示す.ここでは,3.1 と同じ配合を示す. L,N のいずれの配合も中性化深さは CA2と膨張材を添加した場合でもほぼ同程度となった.

4.まとめ

1)L に CA2と膨張材を添加した場合,N と比較して塩分浸 透抑制の効果が小さい.また,添加する膨張材を増やす ことで, CA2の塩分浸透抑制効果が高まった.

2) L,N の両方とも,CA2と膨張材を添加しても中性化深 さは差が見られなかった.

参考文献

1)田原和人,山本賢司,芦田公伸,盛岡実: CaO・2Al2O3を混和 したセメント硬化体の塩化物イオン固定化能力;Cement Science and Concrete Technology,No.64,2010

図-1 塩化物イオン浸透深さ

(非定常電気泳動試験)

図-2 塩化物イオン浸透深さ(セメント種比較)

(塩水浸せき試験)

図-3 塩化物イオン浸透深さ(膨張材比較)

(塩水浸せき試験)

図-4 中性化深さ

(促進中性化試験)

0 10 20 30 40 50

L L(10-10) L(15-15) N N(10-10) N(15-15)

L N

塩化物イオン浸透深さ[mm]

L N

0 2 4 6 8 10 12 14

L L( 30 - 0) N N( 10 - 0)

塩化物イ浸透深さ[mm]

L N

0 2 4 6 8 10 12 14

L L( 30 - 0) L( 0 - 20) L( 30 - 20)

塩化物イ浸透深さ[mm]

膨張材無し 膨張材

20[kg/

]

添加

0 2 4 6 8 10 12 14

L L( 10 - 10) L( 15 - 15) N N( 10 - 10) N( 15 - 15)

中性化深さ[mm]

L N

V-03 第42回土木学会関東支部技術研究発表会

参照

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