西松建設技報 vOL.23 U.D.C. 624.012.35
プ レキャス ト連層耐震壁の開発 に関する実験的研究
Expe r i me nt a lS t ud yont heDe ve l o pme ntf orPr e c a s tMul t i s t o r yS he a rWa l l
塩川 黄*
SllinShiokawa 宮下 剛士*
TakeshiMiyashita 金川 基*
MotoiKanagawa
笠松 照親 **
TemchikaKasamatsu 飯塚 信一*
ShinJchilizuka 野沢 桂太***
KeitaNozawa
要 約
プレキャス ト(PCa)連層耐震壁は,水平接合部および鉛直接合部 を有することにより,一体打 ち の連層耐震壁 とは異なる応力伝達性状および破壊性状 を示す ことが指摘 されている.本報は,この ような構面内に水平および鉛直接合部 を有す るPCa連層耐震壁開発のための基礎資料 を得 ることを 目的として行った水平加力実験 について報告す るものである.
実験結果 より以下の ことがわかった.①水平接合筋 (コッタ一筋) を壁横筋 と同量の配筋 とし, 水平接合部 を敷 きモル タル方式 とした従来型のPCa連層耐震壁試験体においては,最大耐力は既往 の計算式で評価できる.②染型の無い場合 ,靭性 を確保するために頭つなぎ筋の量 を適切に評価 し, 配筋 しなければならない.
目 次
§1.は じめに
§2.実験概要
§3.実験結果
§4.おわ りに
§1.はじめに
建設業界では昨今 ,建設 コス トに対す る要求が厳 しく なってお り,その対応 を迫 られている.また,環境問題 への関心の高 まりか ら,熱帯雨林 を破壊 しつつ供給 され る合板型枠 に依存 し続 けることが許 されない状況 にあ り,限 りある資源の有効利用 を推進す ることが求め られ ている.このような社会情勢に対 し,PCa工法はきわめ て有効な手段 を提供す るものであり,その開発 を今後 さ
らに推 し進めていかなければならないと思われる.
建物 をPCa工法で建設す る場合 ,鉄筋 コンク リー ト造 建物の構造躯体 をPCa化す ることにより,工期の短縮 , 省力化 ,高品質化 といった効果 を期待できることは周知 の とお りである.特に,耐震壁等の断面の薄い板状部材 においては型枠面積 も大 きく,現場でのコンクリー ト打
* 技術研究所技術研究部建築技術研究課
** 技術研究所技術研究部
***建築設計部構造課
設時の作業性は悪 く,これ らの部材 をPCa化す ることは, コス トの削減 ,省力化等の有効 な手段 となる. しか し, PCa連層耐震壁 は,PCa壁板 と下階梁 または床 スラブと の水平接合部,PCa壁板 と場所打ち壁 または側柱 との鉛 直接合部 を有す ることによ り,一体打 ちの
RC
連層耐震 壁 とは異なる破壊機構 を示すことが指摘 されてお り,そ のため設計 を含め施工の合理化 を図る上で大 きな問題 と なっている.従来型のPCa達層耐震壁 はPCa柱 との間にある幅 をも った場所打 ち壁 を必要 とし,その部分に型枠 を用いるこ とになる. しか し,この部分の型枠 を不要にす ることが より合理的 と考 え,その開発 をすすめることに した. し か し,そのようなPCa連層耐震壁 を開発す るにあた り, 従来型のPCa連層耐震壁の構造性能 を把握 し,さらに問 題点を明 らかに しておくことも必要であると考 えた.そ こで本報では,鉛直接合部のコッター筋 を壁横筋 と同量 配筋 とし,また,水平接合部を敷 きモル タル方式 とした 従来型のPCa連層耐震壁試験体の構造性能 を把握す るた めに行った水平加力実験について報告す るものである.
§2.実験概要
2‑1
試験体試験体 は ,集合住宅のPCa連層耐震壁下部2層 を想定 した約1/3縮小モデルである.試験体数は3体で ,秦‑ 1 に各試験体の諸元 を,図‑ 1に各試験体のPCa化の形態
プ レキ ャス ト達層耐震壁の開発 に関する実験的研究
を模式的に示す.また ,試験体の形状 および配筋の一例 を図‑ 2に示 す .各 試 験 体 と も柱 断 面 は300mm X 300mm,柱 芯閤2,500mm,壁厚75mmと し,壁 筋 は I)6@200Wで配筋 した.試験体のパ ラメータは破壊 モー ドお よび梁型 の有無 で,W‑1,2試験 体 は ,梁型 の ない pca壁板 を内蔵 した連層耐震壁で,W‑1は曲げ降伏型 の 破壊 モー ドを想定 し,W‑2はせ ん断破壊型 としてお り, 柱の主筋量および補強筋量 を変化 させた.W‑3試験体 は, 梁型 を有す る連層耐震壁で ,想定破壊モー ドをせん断破 壊型 としてお り,柱の配筋 はW‑2と同 じである.
各試験体のPCa壁板 の接合方法 は ,水平接合部では敷 きモル タル を介 してモル タル充填式継手 を用いた ドライ ジ ョイン ト方式 ,鉛直接合部 はコ ッターを有す るウェッ トジ ョイン ト方式で ,鉛直接合部のコッター崩 を同一の 位 置 に お い て ,側 柱 か らの 差 し筋 と の 重 ね 継 手 (Ll=30d,フ ック有 り) とした.試験体の製作 は ,ほぼ 実施工に近い手順で行 った.
秦‑ 1 試験体諸元
西松建設技報 VOL.23
2‑ 2 億用材料
コンク リー トの材料試験結果 を衰‑ 2に示す.全試験 体 ともコンク リー トの設計基準強度(F)は27N/mm2とし た.粗骨材 は最大寸法13mmの砕石 を使用 し,セメン ト は普通 ポル トラン ドセメン トを使用 した.PCa壁板 は横 打 ちで打設 し,場所打 ちコンク リー トは各層毎 に組打 ち
とした.
使 用 した鉄 筋 は,DIO,D13,D16はSD345,D6は SD295である.各鉄筋の引張試験結果 を表‑ 3に示す.
2‑ 3 加カおよび測定方法
図‑ 3に加力装置 を示す.実験では,上部の反力 フレ ームに取 り付 けた500t油圧 ジャッキで一定軸力 (柱断面 に対す る軸方向応力度 :W‑1,2は♂。‑2・5N/mm2,W3は 2,ON/mm2) を両側柱 に終始加 え,試験体項部の加力梁 位置 に左右のアクチュエータにより正負交番の繰返 し水 平力 を加 えた.水平力 は ,加 力梁位置 にQ/2の 「押 し
」
とQ/2の 「引 き」の同時加力 とした.加力の制御 は ,班 力位置 の水平変位 を基準 と した部材 角 (R)によ り行 い ,
試験体 W」1 W‑2 W‑3
側柱 :bXⅠお XD×珊mm 3CX)×3C仇一一m 同左 主 筋 4‑D13(0.56%) 8‑D16(1.77%)
補強筋 r冶@35(0.61%) Ⅰ光@50(0.43%)
耐震
壁 梁補強筋主 筋:bXD ‑ ‑ 24lX@mX2‑Dl3
1 (
(刀
5Ih.1(60%)32%) 頭つなぎ筋 2‑D良一1‑DlO 同左 トDlO壁板 :縦横筋tXlw 7Ⅰ光@芸5×22かW(Ch 0.43%) 同左 同左
水平接合筋鉛直接合筋コッター Ⅰ4あり光@‑D13加 W(+2‑D100(.40338%)%) 同左 同左
圭 5 ml
l加ふ 1 2 9 1
聖柱 (恥2.3) 主 筋:8・心16 補強筋:騰 0
頭つなぎ筋
千 二 ⁚二
二二 匝 亘亘i]図‑ 1 試験体の
P Ca
化の形態帆
2 PCa壁 板 断 面 虹 3PCa壁板断画図‑2
試 験 体 の 形 状 お よ び配
筋 例西松建設技朝 VOL23
曲 げ降 伏 型 のW‑1は,R‑±1/1,000で1回,R‑ ± 2/1,000,±4/1,000,±6/1,000,±10/1,000で各2回繰 返 した後 ,±15/1,000まで加力 を行 った.せん断破壊型 のW‑2,3は,R‑±1/1,000で1回,R‑±2/1,000,±
4/1,000,±6/1,000,±8/1,000を各2回正負繰返 した後 , R‑±10/1,000まで加力 して実験 を終 了 した.
変位の測定は ,加力芯および各階の水平変位 ,梁位置 での伸び量 ,各接合部のずれ変位 と目開 き量 などについ て行 った. さらに ,主筋 ,補強筋および接合筋の主要 な 箇所 にひずみゲージを貼付 した.
§3.実験結果
3‑ 1 破壌状況
各試験体 の最終時ひび割れ発生状況 を図‑ 4に示す.
各試験体 ともR‑1/1,000のサイクルで引張側柱 に曲げひ び割れが発生 し,壁板 に もせ ん断ひび割れが発生 した.
また,2層床 ス ラブ下 に水平方 向 にひび割れ が発生 し, 敷 きモル タル と壁板 の境界の水平接合部 にもひび割れが 発生 した.
W‑1は,R‑6/1,000のサ イクルで2層床 ス ラブ下で圧 壊 がみ られ ,サ イ クル ピー ク時 に最大荷 重 に達 した.
R‑10/1,000サイクルでは ,1層の圧縮側柱 と壁板隅角部 が庄壊 し,2層床 ス ラブ上側 が剥離 を起 こした.最終 サ イクル (R‑+15/1,000)では,2層床 スラブが柱 か ら分 離 したかたちとな り,その上下の壁板 コンク リー トの剥 離が顕著 になった.
W‑2は,R‑6/1,000のサ イクルで,2層床 ス ラブ下で 圧壊 がみ られ ,続 いて圧縮側柱 に圧壊 が発生 した.また ,
2
層柱頭 にせ ん断ひび割れが発生 しは じめ ,サイクル ピ ーク時 に最大荷重 に達 した.R‑+8/1,000サイクルでは 2層床 スラブが柱 か ら剥離 を起 こしたため耐力が低下 し, 2層床 ス ラブ下の壁板 コンク リー トの剥離が顕著 となっ た.最終 サイクル (R‑+10/1,000)では,2層床 ス ラブ の剥離が顕著 とな り,その上下の壁 コンク リー トの剥離 が顕著 になった.W‑3は,R‑4/,1000サイクルで ,壁板のせん断ひび割 れが1層柱脚 にまで伸びは じめた.R‑6/1,000のサイク ルでは,1層の壁板隅角部が庄壊 し,2層柱頭 に壁板 か ら
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一 一X : i / j y q . . A ′ ㍍ W ‑ 1 試 験 体
プレキャス ト遮層耐震壁の開発に関する実験的研究
秦‑2 コンク リー ト材料試験結果 圧縮強度 弾性係数 引張強度
(M一一nf) (×10Nh
v r F )
(M一mf)W‑1 f℃a1層壁 3340..00 22..a)83 22..S鉦)P
2層 34.9 2.93 2.72 W‑2 氾 壁1層 3341..41 22..8eO5 225.652 2層 35.6 2.9
3
2.96 W‑3 Fth1層壁 3330.30 22..8623 22.̲8731秦‑3 鉄筋材料試験結果
\
降伏強度tMtVTO (×1弾性係数05叫
引張強度仰m巾
伸び(%)DI古 3咲) 1.91 586 24.6 DI∃ 358 1.89 530 282 D10 379 1.86 548 28.I
I:垢 363 1.83 548 23.7
*tXは0.2‰ 飽吐
息 300tローラー ー00tアクチュエ‑ラ‑ 300tロードセ
‑2ジ5OtャH lHッキ〜500
HH
lH l ≡≡ル・. ‑‑4‑ ‑‑+. .
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t ∫ )
〜
図
‑3
加力装置のせん断ひび割れが進展 しは じめ ,サイクル ピーク時に 最大荷重 に逢 した.R‑8/1,000サイクル以降では ,1層 の壁板隅角部の圧壊 と柱脚部のせん断ひび割れが顕著 と な り,また1層の敷 きモル タル と壁板 との水平接合部の ずれ変位 が大 きくなった.梁 と壁板 との鉛直方向のずれ 変位 は実験終了時 までみ られなかった.
W ‑ 2 試 験 体
図 ‑ 4 最終ひ び割れ 状 況
日 l lr ーL L l′一
・、一日∴、l lJ Ll t dl r tLLL1'l\、'1JL.i...) トー、こ:ゝ人 /し//〜/ /̀ヒ二/
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・.Jtヾ式ヽ私二tIL;'や/.K,//irYクJ(/倣 / さて.‑一、.1㌧、胤 :七二米./ヽJ彬 ク,r、./i/.タレ二
・卜::.、、「泌 yt;Zy:/../ニー∠/ ノ'/A/T ';ti.7:.ら./,㍍、../クiJJく.カだI,‑.,<jK/二.K T'‑...A/i,L基数 をう貧、・l堺 述、〟′
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、:7Ⅷ\シ叫.\ユ、.//一J/1、...、,‑/ 'クし加 ′ー媚態.コI.:̲i' W‑3試験体プ レキ ャス ト達層耐震壁 の開発 に関 する実験的研 究
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‑10 ‑5 0 5 10 15 部材角 R(×10‑3rad.)
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求盤?中陛
‑10 ‑5 0 5 10 15 部材角 R(×10‑3,ad)
西松 建設技報 VOL23
部材角 R(×10‑3rad.)
図‑5
各試験体の層せん断力ー変形関係 各試験体の最終破壊形式は,W‑1,2が曲げ降伏後,2層壁板隅角部圧潰後の床スラブ剥離によるフレーム分離型 破壊,梁型 を有す るW‑3は ,曲げ降伏後 ,1層壁脚のず れにより柱脚が押 し出 されて破壊 に至 る,壁脚部のせん 断破壊であると判断 された.
3‑2 荷重一変形関係
各試験体の層せん断力ー変形関係 を図‑5に示す.曲 げ降伏先行型のW‑1は,R‑10/1,000サイクル まで耐力 低下の少ないループを示 した.R‑6/1,000サイクルまで に床スラブ筋および頭つなぎ筋が降伏 し,それ以降緩や かに耐力が低下 したが,R‑10/1,000サイクル時に1層の 壁板隅角部が庄壊 し,R‑+15/1,000サイクル時に2層床 スラブが柱か ら剥離 を起 こしたため ,それ以降耐力が低 下 した.
W‑2,3はせん断破壊型の試験体であるが,R‑4/1,000 サイクル時に側柱主筋が降伏 している.R‑6/1,000サイ クル時で両者 とも最大耐力に達 し,それ以降耐力は大 き く低下 している.梁型の無いW‑2は,R‑+8/1,000サイ クル時に2層床 スラブが柱 か ら剥離 し,壁板 と柱 が分離 した形になり耐力が急激に低下 した.床 スラブ筋 を柱主 筋の内側 に配筋 したならば ,このような床 スラブの剥離 は起 こらなかったもの と考 えられる.
梁型 を有す るW‑3は,最大耐力以降,R‑‑8/1,000サ イクル時に1層の壁板隅角部の圧壊 と柱脚部のせん断ひ び割れが顕著 となり,それ以降耐力が上が らなくなった.
また,1層の敷 きモル タル と壁板 とのずれ変位 が大 きく なった.
3‑3 最大荷重の計算値 との比較
表
‑4
は最大耐力の実験値 を既往の略算式1)による計 算値 と比較 したものである.式中用いたコンクリー ト圧 縮強度は場所打ちコンクリー ト各層の平均値 とし,頭つ なぎ筋 または梁主筋は全て水平せん断補強筋 として有効 であるとして算定 した.曲げ降伏型のW‑1において ,実験値 に対す る1)式 によ る曲げ耐力計算値の比は1.10,1.12で,1割程度計算値 を 上回った.せん断破壊型のW‑2,3において ,せん断終局 強度式に2)式 (下限値) を使用 した場合 ,実験値 に対す
秦‑4
最大耐力実験値 と計算値 との比較 (単位 :k N)
W‑1 W‑2 W‑3
実験値 6
7 9
雌 I(X冶 ‑959 g)1 ‑1(tp曲 げ
耐力 苫†実/計覚憤 り 1.126351.10 0.t
X )
11150.86 0.9 3
1630 . 9 7
せ ん節
耐力 計算値2) 801 928 915
実//計 0.
8 5
0.83 1.伊 I
.03 1.0 8
1.12 計算値 3) 939 1112 1(汐3兎 /計 0.
7 2
0.71 0.91 0.86 0.91
0.94 i)M払・〟=a'10y・LT'.+0.5awl0wJT・Lw+0,5N・Ew3)Qw,〟‑(0.068p,,・・・23(a"180
yJ M/ k Z b16
.12.2.7声 蒜 J+0,1qo‡te.jU000
(%)虫3yiJf樹.F'竜
0 5 10 15
部材角(×103rad.) 図
‑6
曲げ変形成分の変化る計算値の比は1.03‑1.12で比較的良い対応 を示 したが , 3)式 を使用 した場合0.86‑0.94で1割前後計算値 を下回っ
た.
3‑ 4 曲げ変形成分の変化
各試験体の ,各加カサイクル ピーク時 (正加力時)に おける変形成分の変化 を図‑ 6に示す.曲げ変形量は , 左右の側柱の高 さ方向に計測 した区分変形により各区間 の曲率 を求め,加力点か ら計測区間中央 までの距離 を乗
じたものの積分によって算定 した.
全試験体 ともR‑4/1,000サイクル まで曲げ変形量は緩 やかに減少す るが,R‑6/1,000サイクル以降曲げ変形性 分の減少割合が大 きくなっている.W‑1は曲げ降伏型の 試験体であるが,頭つ なぎ筋が降伏す るR‑6/1,000サイ クル以降急激 に曲げ変形性分が減少 し,R‑15/1,000サ
西松建設技報 VOL・23
5
1
01 5
部 材 角
( x l O 3 r a d . )
05
(E E)
卓糾名称(LU Lu)
単軸盲鞍プ レキャス ト達層耐震壁の開発に関する実験的研究
部材角(×10I3rad.)
0
8 回
64 ./.A 2 .一一△//●
部材角(×10‑3rad.) 鉛直接合部ずれ変位 図
一7
PCa壁板の水平および鉛直接合部のずれ変位イクル時では全体変形の5%にまで減少 した.W‑1と同様 に,最終時に床 スラブが剥離 を起 こしたW‑2も,4%にま で減少 した.梁 を有す るW‑3も同様 な減少傾 向 を示 した が,W‑2よりも終始10%前後大 きい値 を示 している.
3‑ 5 局部性状
各知力サイクル ピーク時におけるPCa壁板1,2層の水平 接合部 および鉛直接合部 のずれ変位 と部材 角 との関係
(正加力時) を図‑ 7に示す.
水平接合部 においては,1層壁脚水平接合部が破壊 し たW‑3は,2層のずれ変位 は小 さく最終時 まで1mmに も 満 たなか ったが,1層では最大耐力に達す るR‑6/1,000 サイクル時には3.5mmのずれ変位 を示 し,それ以降ずれ 変位 は急激 に増大 し,最終 時には10mm以上のずれ変位
を示 した.
2層床 スラブが剥離 したW‑1,2は ,頭つなぎ筋が降伏ひ ずみに達す るR‑6/1,000サ イクル以降2層 でずれ変位 が 急激 に増大 してい る.1層 では ,せ ん断破壊型のW‑2は 最大耐力に達す るR‑6/1,000サイクル以降ずれ変位 はほ とん ど変化せず ,最終 時で2mm程度 で あった.曲 げ破 壊型のW‑1は ,最大耐力に達す るR‑6/1,000サイクル ま ではW‑2と同様 な変化量 を示 したが ,それ以降 もずれ変 位 は増大 し,最終時には7mm程度であった.
鉛直接合部 においては ,全試験体 ともひび割れの観察 か らずれや 目開 きが大 きく発生 した様子は見 られず ,ず れ変位 は1mmに も満 たなかった.全試験体 とも,変位 がみ られ るのは鉛直接合部のずれ よりもせん断ひび割れ によるもの と思われ る.
各加カサイクル ピーク時 における2層床 ス ラブの材軸
05
(
ELu)
叫92萱ー0 5
1 0
15部材角
(
×10 ‑ 3 r a d . )
図一 8 床 スラ
ブ
の伸び 畳 (2F)方向の伸び量 と部材角 との関係 (正加力時) を図
‑8
に 示す.伸び量 は内法 スパ ン長 さの変化量で ,スパ ン内に 生 じたひび割れ幅 を含んだ ものである.全試験体 ともR‑4/1,000サイクル までは同様 な変化量 で あるが ,梁 を有す るW‑3は最終時 まで梁主筋 が降伏 し てお らず,R‑4/1,000サイクル以降ほとんど伸び量が増 えていない. これ に対 し,床 ス ラブが剥離 を起 こ した W‑1,2は ,頭つ な ぎ筋の降伏 が始 まるR‑6/1,000サ イク ル以降急激 に伸び量 は増大 している.
3‑6
頭つなぎ筋のひずみ分布図‑9に,各加カサイクル ピーク時 (正加力時) にお ける
2
層床 スラブ内に配筋 した頭つ なぎ筋 および梁主筋 のひずみ分布 を示す.梁 を有す るW‑3は ,最終時 まで梁 主筋 は降伏ひずみに達 しなかった.PCa壁幅内でのひず みの分布 はほぼ一様で ,ひずみの大 きさはR‑6/1,000サ イクル時で も600〃程度であった.プレキャス ト連層耐震壁の開発に関する実験的研究
W‑I
図‑9 頭 つ なぎ筋 のひずみ分 布
2層床 ス ラブが剥離 したW‑1,2は ,柱 内定者位置 でのひ ずみ は さほ ど大 きくないが ,鉛直接合部位置 で は ,ス ラ ブの剥離 が起 こ り始 め るR‑6/1,000サ イクル時 に頭つ な ぎ筋 が降伏 してい る. また ,ス ラブ中央位置 のひず み も 両者 と も大 き く
,W
‑2はR‑6/1,000サ イクル 時 に降伏 し てお り,この ことが耐力低下 につ ながったもの と思われ る.§4.おわ りに
鉛直接合 部の コ ッター筋 を壁横筋 と同量配筋 と し,ま た ,水平接合部 を敷 きモル タル方式 と した従来型 のPCa 連層耐震壁 の水平加 力実験 を行 った結果 ,次 の よ うな知 見 が得 られ た.
① コ ッター筋 を壁横 筋 と同量配筋 と した場合 ,最大耐 力 は既往 のせ ん断耐 力計算式 (下限値 ) で評価 で きる.
②耐震壁 の靭性 を確保 す るために ,梁型 の無 い場合 ,顔 つ な ぎ筋 の量 を適切 に評価 し,柱 に確実 に定着す ること が必要 で ある. また ,梁型 を有 す る場合 で も柱脚部 にお け るせ ん断補強筋 の配筋量 を考慮 す る必要 が ある.
③局部性状 において は,2層床 ス ラブが柱 と分離 したW‑
1,2は ,剥離 が起 こ り始 め るR‑6/1,000サ イクル以降2層 でず れ変位 が増大 した.一方,1層壁脚 水平接合 部 が破 壊 したW‑3は,1層 でR‑4/1,000サ イ クル 以降 ず れ変位 が増 大 し,最終 時 には10mm以上のずれ量 を示 した.鉛 直接合部 において は ,全試験体 と もひび割 れの観 察 か ら ずれや 目開 きが大 き く発生 した様 子 は見 られ なかった.
参考文献
1)日本建 築 セ ンター :建 築物 の構 造規 定‑ 建 築 基 準 法 施工令第3章 の解説 と運用‑,pp.338‑339,1997.
西松建設抜殻 VOL.23