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多層プ リン ト配線板 開発 シス テム

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(1)

多層プ リン ト配線板 開発 シス テム

藤       *・ 苫米地    

A Development Syste■ l of Low― Cost WIulti― Layer Printed Wiring Boards for Rapid Prototyping of Large Scale Logic Circuits

Yoshichika FuJIoKA and Nobuhiro ToMABECHI Abstract

For rapid prototyping Of large scale logic circuits such as special― purpose para■ el processors for intenigent robot control,multi‑layer printed Mァ iring boards(PWBs)becOmes required  ln this paper,、 パ /e propose a silnple and

loM/― cost prototyping method of the Pヽ ヽ た Bs、 vith four or mOre layers   ふIoreover,郡 ァ e constructed the development system of the multi‑layer Pヽ ヽ 「 Bs including CAD systems

1.ま え が き

知台ヒロボ ッ トシステムを始 め とす る知能集積 システム を構築す るためには ,膨 大 な計算量 を要す る種々の処理 の演算遅れ時間 を大幅 に版少可能 な専用プロセ ッサ群 の 開発が不可欠 となる [1]― [3]。 これ らの専用プロセ ッサ を開発す るためには ,ハ ー ドウェア化お よび高並列処理 による演算遅れ時間の減少 に有用なアルゴ リズムの開発 もまた重要 となる。 ASICと 呼 ばれ る特定用途 向 け集積 回路 を開発す るためには ,通 常 CADに よるソフ トウェ アシ ミュレーシ ョンが繰 り返 され るが ,膨 大 な量 の演算 を処理す る大規模 な専用並列 プロセ ッサを開発す るため には ,数 ヶ月単位やそれ以上 の極 めて多 くのシ ミュレー シ ョン時間が必要 となるため ,従 来 の設計手法で は開発 が困難であつた。

このように膨大 なソフ トウェアシ ミュレー ション時間 を短縮す るた め ,FPGAや CPLDと 呼 ばれ るオ フライ ンで論理 回路 をプログラム可能 な LSIと ,配 線切替 用 LSIを 複数イ 固用いたハー ドウェアエ ミュレータが利用 さ れている。 しか し ,ハ ー ドウェアエ ミュレータは極 めて 高価 な ものが多 く ,ま た汎用性が追求 されているため ,特 定用途 に適合 した大規模集積 回路用エ ミュレータの構築 は必ず しも容易ではない。 また ,知 能集積 システム用の 各専用プロセ ッサの開発 に伴 うハー ドウェア向 きアルゴ リズムの評価 には ,エ ミュレータや シ ミュレータに動画 像 データな どの大量 のデータ を入 出力 す る必 要が あ る が ,こ のためのインター フェースな どは別 に準備す る必 要がある。

本研究 で は ,あ る程度特定用途 に適合 させ た構 造 の 平成 10年 12月 21日 受理

ホ八戸工業大学 電気工学科 講師 帯 八戸工業大学 電気工学科 教授

ハー ドウェアエ ミュレータ を ,デ ータ入 出カ イ ンター フェースやテス ト回路 をも含 んで容易 に構築 し ,そ の上

で FPGAや CPLDな どの内部構造 を変化 させ ることに より ,大 規模専用プロセ ッサの開発 を容易 とす ることを 目的 としている。 このためのキーテクノロジーの一つ と して ,多 層プ リン ト配線板 (多 層 PWB)を 低 コス トで試 作可能 な手法 を提案 す る とともに ,回 路設計 か ら多層

PWB試 作 までの工程 をシステム化 している。

2.多 層 PWBの ポイ ドレス接着法 2.1  多層 PWBの 量産手法の問題点

多層 PWBを 製造す るためには ,複 数枚の片面 あるい は両面基板 (両 面 PWB)を 張 り合わせ る必要がある。 ま た ,電 子部品の半田付 けによる高温時で も多層 PWBの

熱的変形が少ない ことが要求 され るため ,基 板材料 には ガラス繊維 をエポキシ樹脂で固めた複合材料が用い られ る。 このガラスエポキシ基板 と ,プ リプレグ と呼 ばれ る ガラス繊維 にエポキシ樹脂 を含浸 させて中間状態 まで硬 化 させた シー トを重ねた ものを ,精 密温度制御機能 を有 す るプレス機 にて高温でプレスす る量産手法が確立 され ている [4],[5]。

しか し ,従 来の方法で多層 PWB内 部の気泡 を十分 に 除去 して各層間 を接着す る ,い わゆるボイ ドレス接着 を 行 な うためには ,40 kgた m2程 度のプレス圧力 と 170度 程度の精密な温度制御 を必要 とす る。 一例 として 10ト ン プ レス機 で は 250 cm2主 16 cm四 方程 度 の面積 の多 層

PWBま で しか製造す ることがで きない。通常 は 100ト ン程度 の高価 な精密温度制御機能付 き高圧 プ レス機 で 50 cm四 方程度の多層 PWBを 製造す る手法が とられて お り ,大 学の研究室な どでは容易 に利用す ることがで き なかった。 また ,多 層 PWB製 造 メーカに基板試作 を依

― ‑ 21 ‑―

(2)

頼 す る場合 には ,大 型 の量産工程 の準備 に伴 うマス ク フィルム代等の初期費用が高い。通常 この問題 は ,量 産 による多層 PWB一 枚 あた りの製造費用の低減で解決 さ れ るが ,1枚 程度の試作で はこれ らの費用がすべて 1枚 の多層 PWB分 の価格 に反映 され るため ,試 作結果 に基 づいて多層 PWBを 何度 も作 り直す ことは極 めて多 くの 費用が必要 となる。 このため ,大 学 な どの研究室 におい ては ,多 層 PWBの 試作繰 り返 しによる大規模集積 回路 に関す る実験的研究が困難であった。

本研究では ,エ ポキシ樹脂 の調合・ 真空脱泡 。貼 り合 わせの工程 と ,  ミー リング /ド リルマ シンによる配線パ ター ン形成法 を組 み合 わせ る ことによ り ,安 価 な多層

PWBを 試作可能 な手法 を考案す る とともに ,回 路設計 か ら多層 PWB試 作 までを通 したシステム構成 を提案 し ている。本手法 は ,大 学の研究室 レベルでの多層 PWB試

作 を低 コス トで容易 に実現で きるため ,大 規模専用 プロ セ ッサ開発用ハー ドウェアエ ミュレータな どを何度 も試 作 し直 して性能向上 を図ることが可能であるという特長 を有す る。

提案する試作手法の中心である両面 PWBの ボイ ドレ ス接着工程は ,大 別 して ① エポキシ樹脂の調合 ,②

ポキシ樹脂 の真空脱泡 ,③ 両面 PWBの 貼 り合わせ

,

④ 力日 熱接着の 4段 階に分けられる。プリプレグシー トを 用いた量産法 と比較すると作業行程が多少複雑である が ,量 産方法 と比較すると多層 PWBの 総合的な製造工 程数を減少できるとともに ,い ずれの工程 も特別な装置

を必要 としないという特長を有する。

2.2  エポキシ樹脂の調合

多層 PWBに 利用 され る ,半 田付 け時の高温への耐熱 性が要求 され るエポキシ村脂 は ,硬 化前であれば常温で 粘度の高い液体かあるいは固体 であるため ,そ のままで

は混合が困難である。 このため ,調 合前のエポキシ樹脂 や硬化剤 を予め加熱 し ,粘 度の低い液状 とした後 にエポ キシ樹脂 と硬化剤 をステンレス製 ビーカ内で調合 し ,撹

拌する。エポキシ樹脂 はカロ 熱す ることにより粘度が低下 するが ,あ る温度以上 まで加熱す ると ,調 合後のエポキ シ樹脂 は自己発熱 を伴 いなが ら急速 に硬化 して しまう。

また ,粘 度 を低下 させ る目的でアセ トンやメチルエチル ケ トンな どの有機溶剤 に溶か したタイプのエポキシ樹脂 を利用す る場合 には ,有 機溶剤の融点以下での混合が必 要 となる。そ こで,カロ 熱温度 は慎重 に選 び ,か つ高精度 に制御する必要がある。

エポキシ樹脂の高精度な加熱 を行なうため ,簡 易オー ブンを用いている。図 1に 示す ように ,オ ーブン内に設 置 した熱電対 を温度制御器 に入力す るとともに ,オ ーブ

ンの電源 を温度調節器出力 に接続することにより ,簡 易 オーブンが構成 される。ここで ,外 付 けの温度調節器 は ,

後述す る多層 PWBの 加熱接着時 にも要求 され る高い温

家庭用オーブン

AC100V

熱電対 ON/OFF制 御型 温度調節器 図 1  簡易オーブンの構成

度制御特性 を実現するために備 えられている。

本来であれば ,PID制 御型温度調節器が このような高精 度 な温度制御 に有用であるが ,構 築 した簡易オーブンで は入手が容易であった ON/OFF制 御型温度調節器 を利

用 している。家庭用オーブンには温度調節器 とタイマー が通常備 えられているが ,附 属の温度調節器 は主 にバイ メタルで構成 されてお り ,制 御特性があまり良 くない。そ こで ,家 庭用オーブンに附属の温度調節器 については ,外 付 け温度調節器 の設定温度 よ り高めの温度 に設定 してお くことにより ,何 らかの理由で外付 けの温度調節器が異 常動作 を行 なった場合の安全装置 として利用することが で きる。

本来 ,エ ポキ シ樹脂 な どの撹拌 にはマグネチ ックス ターラーな どの専用機材が用い られ るが ,多 層 PWBの

試作ではエポキシ樹脂 は両面 PWB同 志 を貼 り合わせ る ための少量だけあればよいため ,小 型 ビーカ内でガラス 棒 で撹拌す るだけで も実用上十分 に混合で きると考 えら れ る。 また ,調 合 されたエポキシ村脂 は硬化す る段階で 容積が増 えるため ,ガ ラス ビーカ内で調合 し放置すると 割れ る危院性がある。 このため ,エ ポキシ樹脂の調合 は ステ ンレスな どの金属製 ビーカを用いている。さらに ,エ ポキシ樹脂 の調合時 には有機溶剤 な どが揮発す るため ,

簡易的な ドラフ トを用意す るな ど ,換 気 に十分注意する 必要がある。

2.3  エポキシ樹脂の真空脱泡

多層 PWBの 一例 として ,4層 PWBは ,図 2に 示す よ うに ,2枚 の両面 PWBで 挟 まれたガラスクロスに調合 済のエポキシ樹脂 を含浸 させ ,そ れ らを位置ずれ を起 こ さないように貼 り合わせた後 ,加 熱接着 を行 ない ,ス ルー ホールの形成 と外 層配線パ ター ンの形成 を経 て得 られ る。貼 り合わ された 2枚 の PWBの 間のガラスクロスの 部分 に気泡が存在す る場合 には ,多 層 PWBの 各層間の 接続 を行 うために必要 となるスルーホール を形成する際 に ,本 来必要 となるスルーホールの穴の壁面 に銅箔が形 成 され るのみな らず ,気 泡の空間の壁面 にも不必要 な銅 箔が形成 され る可能性がある。すなわち ,本 来絶縁 され

―…  22 ‑―

I  I

② の

(3)

ス クロス エポキ シ樹脂 (硬 化前 )を 含浸

の位置合わせ

o。 1点 m以 内 外層の配線パター ンが

未形成の 4層 基板 図 2  両面 PWBの 貼 り合 わせ

るべ き 2本 以上の内層配線パ ター ンに渡 つて気泡が存在 すれば ,気 泡の空間の壁面 に形成 された銅箔 により ,そ

れ らの配線パ ター ンが電気 的 に接続 され るお それが あ る。特 に ,大 規模 な論理 回路 を大型多層 PWBに て試作 す る場合 には ,ス ルーホールの個数 も数百個程度 となる ため ,  これ らすべてのスルーホール接続 を欠陥な く実現 す るためには ,  このような気泡の発生 をゼロにす ること が要求 され る。このため ,2枚 の両面 PWBを 貼 りあわせ る段階 に加 えて ,ま ずエポキシ樹脂の調合後 に も真空脱 泡 を行 うことによ り ,で きるだ け気泡が生 じない ように す る必要がある。

エポキシ樹脂の真空脱泡 には ,中 真空 と呼 ばれ る程度 の真空状態 をつ くり出す必要がある。 そ こで ,図 3に 示 す ような簡易真空チ ャンバーを試作 した。 この簡易真空 チ ャンバーは ,エ ポキシ樹脂の真空脱泡 に加 えて ,真 空 中での両面 PWBの 貼 り合わせ にも利用 され るため ,試

作 したい多層 PWBの 大 きさより大 きな真空空間が要求 され る。 そこで ,家 庭用大型ステンレスボールが軽量で 取 り扱 いが容易であ りなが ら ,そ の形状が ドーム型であ り内部 を真空 にして も容易 にはつぶれ に くい とい う点 に 着 目し ,大 型真空ステ ンレスボール と厚手の鉄板 を用い ている。 また ,ス テンレスボール と鉄板 の間 に ,ス テン

レスポールの縁の直径 に合わせて切 り出 したゴム製の リ ングを挟む ことによ り ,鉄 板 に取 り付 けた吸引口よ り油 回転真空ポンプで空気 を吸い出す と ,ス テンレスボール と鉄板 間 にかか る大気圧 で ゴム製 リングが締 め付 け ら れ ,気 密 を保つ ことがで きる。簡易真空チャンバー を含 む真空系の構成 は図 4の ようになる。

通常 ,高 真空 を実現す るためには専用のフランジ と O

リングおよび真空グ リースによる気密保持が必要 となる が ,エ ポキシ樹脂の脱泡 には中真空 を実現すればよいた め ,こ の ような簡易構造の真空チ ャンバーで十分 な効果 を得 る ことが で きる。 なお ,直 径 50 cmの ステ ンレス ボール と厚 さ 12 mmの 鉄板 お よび厚 さ 6mmの ゴム板 を用 いて試作 した真空 チャンバーで は約 4 torrの 真 空

吸排気 口

図 3  簡易真空チ ャンバーの構成

簡 易真空 チ ャンバー

3 B4

家庭用ステンレス ボール

ム板から切 り出 した ゴム リング

鉄 板

1 樹脂 トラップ

水銀柱真空計

:真 空バルブ Bl:水 銀柱保護バルブ B2:真 空保持バルブ B3:真 空解除バルブ

B4:真 空ポンプ逆流防止バルブ

図 4  真空系の構成

度 を得 ることがで きた。原理的 には ,ス テンレスボール の直径 を大 き くし ,大 型 のオーブンを利用するだけで ,一 般 に多 層 PWBメ ーカ な どで作 られ て い る 50 cm× 50

cm程 度 の大型多層 PWBを も試作 可能 と考 え られ る。

しか し ,簡 易試作チ ャンバーに利用 している家庭用ステ ンレスボールの機械的強度が不明であるため ,こ のシス テムを利用す るためには強度 に関する評価 を十分 に行 な うとともに ,爆 縮事故 の危険 を避 けるため ,不 」 用時 に も きずやへ こみをつ けない よう細心の注意が必要で ある。

今 回のシステム構成では ,便 宜的にステンレスボールを 用いて真空チャンバー を実現 したが ,安 全性 とい う観点 か ら考察す ると ,実 用的 にはより構造的 に強い真空チャ

ンバーの利用 も検討す る必要があると考 えられる。

調合後 のエポキシ樹脂の真空脱泡 を効率良 く行 なうた

―‑ 23 ‑―

貼 り合わせ

(4)

めには ,自 己発熱 を伴 う急激 な硬化が起 こらない程度の 十分高い温度 まで加熱 し ,エ ポキシ樹脂の粘度 を十分低 くす る必要がある。 このため ,予 め簡易オーブンにて熱 していた金属板 な どに ,調 合 したエポキシ樹脂 をいれた ビーカを接触 させ るな どして ,真 空中で もエポキシ樹脂 の温度 をある程度高温 に保 つ工夫 をしている。ただ し ,本 格的 には温度調節機能付 きの ヒータをビーカに取 り付 け

るな どの必要があると考 えられ る。 また ,真 空脱泡時 に はエポキシ樹脂 内に含 まれ る種々の有機物質が蒸発後簡 易真空チャンバーの壁面 に付着す る。従 って ,予 め真空 チャンバー内部 にテフロンコーティングな どをして ,付

着 した有機物質 を容易 に洗浄で きるような工夫 もまた重 要 となる。

2.4  両面 PWBの 貼 り合わせ

2枚 の両面 PWBを 気泡 を発生せず に貼 りあわせ るた め ,真 空中での PWB貼 り合わせ を実現 している。 ここ で ,2枚 の両面 PWBの 貼 り合 わせ には 01mm程 度 の

高い精度での基準穴 の位置合わせが必要 となる。また ,貼 り合わせ に利用 されない余分 なエポキシ樹脂が完成後の 多層 PWBの 表面 に付着 しない ようにす る必要が ある。

さらに ,2枚 の両面 PWBを 貼 り合わせた後 ,エ ポキシ樹 脂 を硬化 させ るために簡易オーブン中で加熱する必要が あるが ,こ の段階で も気泡が PWBに 入 り込 まない よう にする必要がある。 このような条件下での貼 り合わせ を 実現す るため ,次 のような手法 を考案 した。

2.4.1  書籍開閉型位置合わせ法

2枚 の両面 PWBの 貼 り合わせ には ,ガ ラスクロスの 部分 に気泡が含 まれない ようにするのみな らず ,図 2に

示す ように 01 mm以 内 とい う高 い基準穴 の位置合わせ 精度が要求 され る。気泡 を含 まないように貼 り合わせ る 手法の一つ として簡易真空チ ャンバー内部で貼 り合わせ る方法が考 えられ るが ,こ の場合簡易真空チャンバー内 部 での高精度 な位置合 わせ を も実現 しな けれ ばな らな ψゝ 。

そ こで ,図 5に 示 す よ うに ,2枚 の両面 PWBの 間 にガ ラス クロス を挟 み ,基 準穴 にガイ ドピ ンを通 して高精度 な位置合 わせ を した後 に ,一 つ の辺 を選 びそ こにシ リコ ン接着剤 を塗布 し ,乾 燥 させ る。 シ リコン接着剤 を使 用 す る理 由は ,貼 り合 わせ後 に PWB全 体 を 170° C程 度 に 加 熱 してエ ポキ シ樹脂 を硬化 させ る際 に ,  この温度 に耐 えて位置 ずれ を起 こさない ようにす るた め と ,乾 燥後 の 両面 PWBの 開 閉 に必 要 な柔軟性 を有 す るた めで あ る。

接着剤が乾 燥 した後 は ,図 6に 示 す ように ,ち ょう ど本 を開 くような形態 で 2枚 の両面 PWB間 に隙間 を開 ける

こ とがで きる とともに ,本 を閉 じる と各ペ ー ジが そ ろ う の と同様 に精度 よ く 2枚 の両面 PWBを 再 び重 ね合 わせ る こ とが可能 とな る。本 の背 の部分 に該 当す る糊付 け面 全体 で両面 PWB開 閉 時 の動作 を拘束 で きるた め ,こ の

この辺 を シ リコ ン 接着剤 にて接着す る

図 5  書籍 開閉型位置合わせ法

ガラスクロスは上側の 2層 基板に添わせる

何度開開しても位置ずれを起こしにくい 図 6  両面 PWBの 開閉

よ うに精度 よ く重 ね合 わせ る こ とが可能 とな る。

内層間 の配線 パ ター ン同士 の短絡 を防 ぐた め ,2枚

両面 PWB間 にガ ラス クロス を挟 み ,各 層 間 の間隔 を確 保 して い る。 また ,  これ に よ リエ ポキ シ樹脂 だ けで は不 足 す る機械 的強度 を補 うことが可能 とな る。 プ リプ レグ を利 用 した多層 PWB製 造 法 で は ,大 型 PWBを 作成 す

る場合 の気泡 を流 し出すた めに十分 な量 の余分 なエ ポキ シ樹脂 を確保 す る必要が あ り ,複 数枚 の プ リプ レグ を重 ね る必要が あ る。 これ に対 し ,硬 化 前 のエ ポ キ シ樹脂 を 流 し込 んで多層 PWBを 作成 す る本手法 で は ,真 空脱泡 に よ り気泡 の発生 を十分少 な くす る ことがで きるのみな らず ,ガ ラス クロスの枚 数 とは関係 な く十分 な量 のエ ポ キ シ樹 脂 を両 面 PWB間 に流 し入 れ る こ とが で き るた め ,標 準 的 な 0.2mm厚 の多層 PWB製 造 用 ガ ラス ク ロ ス を 1枚 の み挟 んでい る。

2.4.2  真 空 中での再脱泡 と貼 り合わせ

2枚 の両面 PWBを 気 泡 な く貼 り合 わせ るた め ,紙 製 の トレー をアル ミフォイル にて包 んだ容 器 と簡 易 真 空 チ ャンバ ー を用 いて次 の ような工程 にて貼 り合 わせ を行 う。

まず ,図 7に 示 す ように ,簡 易真 空 チ ャ ンバ ーの ステ

日     D ガイ ドピン

― ‑ 24 ‑―

重ね合わせ

(5)

多       

      支え棒を クッ        おく     外すための組

支え樺

テ 締て

'夢

坪 舟冬 羞▼え

紙製 トレー

図 7  紙 製 トレー と 2枚 の両 面 PWBの 設 置

ンレスボール をはず した状態で ,シ リコン接着剤 にて一 辺 を接着 した 2枚 の両面 PWBの セ ッ トを紙製の トレー の中に入れて鉄板上 に配置す る。 この とき ,下 側 の両面

PWBと ガラスクロスの間 にエポキシ樹脂 を流 し込 むた め ,ガ ラスクロス と上側 の両面 PWBを いっしょにして 支 え棒で支 えてお く。 この支 え棒 には ,支 え棒 を真空中 にてはずすために紐がつけられている。 この支 え棒 を外 す ことにより ,上 側の両面 Pヽ VBと ガラスクロスが下側 の両面 PWBの 上 に倒れ込み ,硬 化前の脱泡済エポキシ 樹脂がガラスクロスに含浸 した状態で下側 の両面 PWB

と高精度 な位置合 わせ状態で貼 り合 わ され る仕組 み と なっている。

ここで ,両 面 PWBの 間か ら溢れ出す余分 なエポキシ 樹脂が完成後の多層 PWBの 表面 に付着 しない ようにす るため ,表 面 にあたる面 には耐熱性接着剤付 き両面ガム テープ を隙間な く貼 り ,そ の上 にシ リコン樹脂含 浸紙

(ク ッキングシー ト )を 貼 りつ けている。 この結果 ,余 分 なエポキシ樹脂が クッキングシー トの上か ら付着 して硬 化 して も ,シ リコン樹脂の良好 な離型性 によ り容易 には がす ことがで きるとともに ,そ の下 の両面ガムテープを はがす ことによりまった くエポキシ樹脂 を付着 させず に 多層 PWBの 貼 り合わせ を実現で きる。ただ し ,有 機溶 剤 を利用 してガムテープの糊 を除去す る必要がある。

次 に ,図 8に 示す ように脱泡後 のエポキシ樹脂 を紙製 トレーに流 し込み ,下 側 の両面 PWBが すべて軽 くエポ キシ樹脂 に沈む状態 とす る。 ここまでの作業 は ,現 状で は空気中で行 なう必要が あるため ,再 度真空中で脱泡後 2枚 の両面 PWBを 貼 り合わせ る必要がある。そ こで ,簡 易真空チャンバーのステンレスボール を装着 して内部 を 真空ポンプにて真空 にす ることによ り ,エ ポキシ樹脂か らの脱泡 を行 な う。すでにエポキシ村脂 を調合 した段階 でほ とん どの気泡 を除去 してお り ,ま ,  この段階では エポキシ樹脂 を薄 く延 ばした状態であるため ,短 時間で 脱泡が終了す る。

しか し ,エ ポキシ樹脂 の温度が低 い と粘度が高 く脱泡

ガラスクロス

支 え 棒 外 し紐

休l■用金属板

(ゴ

ム製納 め付 う

図 8  エポキシ樹脂 の注入 I

I I

▼ ロ ユ

由l熱性 両前ガムテープと クッキ ングシー ト

紙 製 トレー

簡易真空チャン

(ス

テンレス バーの側面 ボール〉

ヽ ン

の る

強力磁石

(外

)

強力磁石

(内

)

支え棒外 し紐

ゴム製 リング

  ガイ ド六

図 9  真空中での支 え棒 の外 し方

が困難 となる。 さらに ,薄 く延 ばした状態で脱泡 を行 な うと ,気 泡が抜 ける際 にエポキシ樹脂が クレータ状 には じかれ る部分が発生するが ,粘 度が高い と周囲か らのエ ポキシ樹脂の流れ込みが阻害 される。従 って ,再 脱泡時 にも硬化せずかつ粘度が十分低 くなるようにエポキシ樹 脂 の温度 を保つ必要がある。 そのための方法の一つ とし て ,エ ポキシ樹脂 を予 めカロ 熱 してお くことと ,簡 易真空 チ ャンバー内部での紙製 トレーの下 に加熱 された金属板 を置 く方法 を採用 している。

真空中での脱泡が終了後 ,真 空状態 を保 つた まま支 え 棒 の紐 を引 くことによ り ,気 泡のない両面 PWBの 貼 り 合わせが可能 となる。支 え棒 の紐 を真空中で引 く方法 と して ,図 9に 示す ようにステンレスボールの内側 と外側 に強力磁石 を設置 し ,磁 石の吸引力 を利用 してステンレ スボールの外側の磁石 を動か し ,そ れ に追従 して動 く内 側 の磁石 に支 え棒 の紐 を結び付 けることにより ,真 空状 態 で の 2枚 の両面 PWBの 貼 り合 わせ を可能 として い る。ただ し,ス テンレスの材質 としては 188ス テンレス 鋼 な どの磁石 につかないものを選ぶ必要がある。

高圧 プレス機 による多層 PWBの 製造法 にお ける ,プ

リプレグか ら発生す る気泡の除去メカニズムは ,プ リプ

レグ に付 着 す る余 分 なエ ポ キ シ樹 脂 をプ レス に よ り

PWB間 か ら押 し出 し ,そ のエポキシ樹脂 とともに気泡 をも流 し出す という基本原理 に基づいている。このため ,

PWBが 大型 になれ ばな るほ ど高圧 を要 す るの みな ら ず ,PWB面 積 に応 じてプ リプレグに含 まれ るエポキシ

― ‑ 25 ‑

(6)

樹脂の量 を慎重 に選択する必要がある。 これに対 し ,提

案するシステムではガラスクロスにエポキシ樹脂 を含浸 させ る前 に十分 に脱泡 を行 な うため ,PWBの 大 きさに 関わ らずほぼ同 じ条件で多層 PWBを 試作す ることがで きる。この ことは,所 望 とす る形状や大 きさの多層 PWB

を容易 に試作で きることを意味 してお り ,小 量かつ多サ イズの試作が要求 される研究室 レベルでの多層 PWBの

試作 を ,材 料の無駄 な く比較的容易 に行 な うことがで き るという特長 を有す る。

2.5  加熱接着

2枚 の両面 PWBを 貼 り合わせた後 ,エ ポキシ樹脂 を 高温で硬化 させ ,2枚 の両面 PWBを 接着す る必要が あ る。また ,接 着時に PWB上 の温度分布が一定でない と , 硬化時 に PWB各 部 に残 った残留ス トレスによ り接着後

に PWBの 反 りや捻れが発生す る。従来の高圧 プレスを 利用 した量産法で は ,温 度分布 を高度 に制御可能 なプ レー ト間に ,ガ イ ドピンを利用 して位置ずれが起 こらな い ように多層 PWBと プ リプレグを挟んだ後加熱 ,高 圧 プレス ,硬 化 ,除 冷 を行 なうため ,反 りや捻 りの発生が 押 えられる。

これに対 して ,提 案す る手法では ,反 りや捻 りの発生 を押 えるため と PWB上 の温度分布 の偏差 をで きるだけ 小 さ くするため ,図 10に 示す ようにクッキングシー トで 表面 を覆 ったアル ミ板 とクリップで多層 PWBを 挟んで いる。また ,比 較的大型の簡易オーブンを利用 して ,オ ー ブン内部の空気対流 による温度分布 の一定化 を図ってい る。

この方法では ,真 空中で貼 り合わせた多層 PWBを 空 気中に曝す必要があるが ,真 空中で 2枚 の両面 PWBを

貼 り合わせた後では ,図 10に 示す ように紙製 トレー内の 余分 なエポキシ樹脂 に多層 PWBが 完全 に浸 っている状 態 となるため ,余 分 なエポキシ樹脂の表面か ら若千の気 泡がエポキシ樹脂内に溶 け込む くらいで ,こ の段階で気 泡が再 び多層 PWBの 層間に入 り込む ことがない とい う 特長 を有す る。 また ,真 空脱泡 にて抜 け切 らなかった極 小量の小 さな気泡 は ,大 気中に置いた段階で大気圧で押 し潰 されることか ら ,高 圧 プレスを用いな くて も気泡の ない良好 なボイ ドレス接着が可能である。

反り・捻れ防止用アルミ板

(ク

ッキングシー トで覆われている

)

リップで押える

2.6  貼 り合わせ実験

本 システムの有用性 を評価す るため ,両 面 PWBの 代 わ りにガラス板 を利用 して一連 の工程 を実施 した。 この 結果 ,2枚 のガラス板 とガラスクロスについては事前 に アセ トンな どの有機溶剤で指紋 な どの脂分や塵 を十分 に 除去 す る こ とに よ り ,ほ とん ど気 泡 を含 まな い多 層

PWBを 試作で きることが明 らか となった。

高圧 プレス機 を利用 して ,ガ ラス板 とプ リプレグを用 いて量産法 と同様 に試作 した結果 と比較すると ,現 状で は高圧 プレスを利用 した方が気泡の発生 は少ないが ,提

案する手法の方がガラスクロスの各繊維間 までエポキシ 樹脂が十分 に染 み込む ことが確認 された。提案す る手法 にて若千発生す る気泡のほ とん どは ,真 空中での 2枚 の 両面 PWBの 貼 り合わせの際 ,再 脱泡前 にガラスクロス がエポキシ樹脂 に一部接触 してその部分の脱泡が完全 に で きないために発生する。この問題 を解決す るためには

,

PWB面 積が広 くなるほ ど ,ガ ラスクロス と上側 の両面

PWBを 広い範囲にわた り ,ガ ラスクロスがたわんでエ ポキシ樹脂 に接触 しないように支 え棒で うま く支 えな く てはな らず ,そ の ままではある程度の熟練 を要す る。 こ れに対 し ,ガ ラスクロスがたわ まず に上側 の両面 PWB

につ くように ,各 辺の部分 にシリコン接着剤で予 め仮止 めしてお けば ,高 圧 プレスを利用す る方法 と比較 してよ り品質の高い ,ほ とん ど気泡の含 まれない多層 PWBを

試作で きると考 えられ る。

本 システムで試作で きる多層 PWBの 最大 サイズ は

,

簡易真空チャンバー と簡易オーブンの大 きさにより決定 される。実際 に試作 した 50 cmの 直径 のステ ンレスボー ル を利 用 した簡 易真 空 チャンバーで は ,約 35 cm× 25 cm=875cm2程 度 の貼 り合わせが可能である。家庭用市 販オーブンに温度調節器 を接続 した現状の簡易オーブン で は ,約 25 cm× 20 cm程 度 のサイズの多層 PWBの

ポキシ樹脂 を硬化 させ るこ とがで きるが ,よ り大型 の オーブンも容易 に入手可能 と考 えられ る。従 って ,A4サ

イズ よ りひ とまわ り大 きめの多層 PWBを 試作で きるこ とが明 らか となった。 このサイズの多層 PWBを 高圧 プ レスを用いて作成す る場合 には ,最 低で も35ト ンの圧力 を発生で きる高価 な装置が必要である。 よって ,提 案す る多層 PWB試 作 システムは ,工 程上多少複雑であ りか つある程度の熟練 を必要 とす るものの ,低 コス トな装置 によ り原価 の低い多層 PWBを 試作す ることが可能であ る。ただ し ,簡 易オーブンを用いる加熱方法 は ,周 囲の 空気 を温 めて間接的 に多層 PWBの 加熱 を行 な うため , 電力消費が大 きい とい う問題がある。 このため ,よ り効 率良 くかつ温度制御性能の高いカロ 熱方法の開発が望 まれ

る。

一 ‑ 26 ‑―

図 10  加熱接着時の構成

(7)

3.多 PWB試 作 システム

多層 PWBを 試作す るためには ,複 数の両面 PWBの

ボイ ドレス接着 を含 む下記 の ような工程 が必 要 とな る

[6]。

1.回 路設計

2.多 層配線パ ター ン設計

3.多 層 PWB試 作

(a)内 層配線パ ター ン形成

(b)ボ イ ドレス接着

(c)穴 開 け

(d)ス ルーホール形成

(e)外 層配線パ ター ン形成

(f)半 田レジス ト膜形成 (g)  シルク印用」

大規模論理 回路 の設計 と配線パ ター ン設計 について は,市 販 の多層 PWB設 計 CADを 用いる必要がある。特 に ,大 規模論理の動作確認 に限れは ,自 動配線 CADを 利 用す ることにより配線パ ター ンを短時間で設計可能であ る。

大規模論理回路 ,高 速・ 高周波回路 ,精 密アナログ回 路 な どは ,多 層 PWBを 用いることにより ,安 定 した電 源やグラウン ドを実現で きる。 また ,配 線が非常 に輻壌 するような複雑 な回路で も ,広 めの多層 PWBを 利用 し , 配線層数 を増やす ことによ り ,部 品の配置や配線 を容易

に行 な うことがで きるため ,設 計時間 を大幅 に短縮可能 である。提案す る試作 システムでは ,低 コス トであ りな が ら容易 に大型多層 PWBを 試作で きるとともに ,真 空 中での両面 PWBの 貼 り合 わせ枚 数 を増 やす こ とに よ り ,容 易 に 6層 以上 の多層 PWBを 試作す ることがで き るため ,小 規模で高性能 なアナログ /デ ィジタル回路 の試 作 のみな らず ,大 規模論理回路の論理エ ミュレータをも 容易 に試作で きる とい う利点がある。

両面 PWB上 へ の配線パ ター ンの形成 方法 につ いて は ,大 別 して酸化第二鉄溶液 な どを用いるエ ッチ ング法 と ,NCミ ー リング /ド リルマシンを用いる ミー リング法 がある。エ ッチ ング法 は短時間でパ ター ン形成 を行 なえ る とい う利点があるが ,CADに より作成 した配線パ ター ンを PWB上 に転写するために高価 な感光基板 を使 う必 要がある。 また ,片 面や両面の感光基板 については厚 さ

16 mmの ものが容易 に入手 可能 で あ るが ,多 層 PWB

に利用 され る 0.6mmな どの厚 さの感光基板 については 特注扱 い とな り入手が困難である。さらに ,多 層 PWBの

スルーホール形成 には ,内 層だ けをまずパ ター ン形成 し て貼 り合わせた後 ,穴 開 け ,ス ルーホール形成 ,外 層の パ ター ン形成 という手順が効率的であるが ,ス ルーホー ル形成後 に感光剤 を改 めて均― に塗布す る必要があるこ とと ,パ ター ン形成後 の穴開 けを正確 に行 な うためには 別 に NCド リルマ シンが必要 とな る とい う問題 点が あ

る。

このため ,本 システムでは配線パ ター ン形成の手段 と して ミー リング法 を採用 している。 ミー リング法 は片面 ずつ ミー リングマシンによって配線パ ターンを削 りだ し てい く方法であ り ,穴 開けも可能である。従 って ,多 層

PWBの 試作 に要求 され る ,片 側が全面同箔で逆側 だ け 配線パ ター ンを形成す ることを容易 に行 える。 また ,市

販 の安価 な両面 PWBを 利用で きるため ,試 作 コス トを 抑 えることが可能である。表裏の配線パ ター ンの位置ず れ をで きるだ けな くす こ とや ,狭 い ピッチで の配線パ ター ン形成の場合 のバ リとりな どに多少の熟練 を要す る ことと ,装 置が高価であるとい う問題があるが ,感 光基 板 を利 用す る場合 に も高価 な NCド リルマ シ ンが必要 となる。 また ,  ミー リング法 を用いる と多層 PWBの 総 合的な作業工程が大幅 に簡略化で きるため ,比 較す ると

ミー リング法の方が有用 となる。

多層 PWBへ の代表 的 なスルーホール形 成法 として は ,導 電性ペース トを穴 に埋 め込み ,焼 成 して表面 と裏 面の導通 を実現す る方法 と ,電 気銅 メ ッキによる方法が ある。導電性ペース トは高価で保存期間が短 く取扱いが 容易ではない ことと ,多 層 PWBの 内層の接続の信頼性 が はっき りとわか らないため ,本 システムでは標準的な スルーホール形成法であるパネルメ ッキ法 と呼ばれ る電 気銅 メ ッキを採用 している。

本手法 に基づ くスルーホールの形成過程 は次の とお り である。 まず ,予 め内層の配線パ ター ンを形成 して貼 り 合わせた後 の ,外 層 にあたる最上面 と最下面のみが まだ パ ター ン形成 されていない銅箔のみの状態の段階で ,ス ルーホールを形成す るための穴開けを行 なう。次 に ,触

媒 な どに浸 し ,無 電解銅 メッキ と電気銅 メッキを行 なう ことで ,穴 開 けされたすべての部分 に銅箔が形成 され ,表 面 と裏面が電気的 に接続 される。 この時 ,穴 開け時 に内 層のパ ター ンにも同時 に穴が開 くようにしておけば ,穴

の断面 に内層パ ター ンの銅箔の一部が露出するため ,外

層 と内層 を含 むすべての任意の層間での電気的接続が可 能 となる。 この ようにパネルメ ッキ法 はマスクフィルム の製作や感光剤の塗布 な どを必要 とせず に一度 にすべて のスルーホール を形成で きるとい う特長 を有す る。また

,

基本的 には薬品 と電気銅 メッキを行 な うための低電圧大 電流直流電源があれば良いため ,シ ステムの価格 は低 く 押 えることが可能である。

スルーホール形成後 ,最 終段 階 として外層 の配線 パ ター ン形成 を ミー リングマシンによって行 な うことによ り ,多 層 PWBが 完成す る。 この後 ,必 要であれば半田 レジス トの塗布や シル ク印刷 な どを行 ない ,電 子部品の 半田付 けを行 なう。

本 システムの現状 は ,各 要素技術 の開発 とそのシステ ム化が終了 した段階である。実際 に容易 に本 システムを 利用す るためには ,例 えば CAD間 のデータフォーマ ッ

― ‑ 27 ‑―

(8)

卜変更 を自動で行 な うソフ トウェアの開発や ,エ ポキシ

樹脂の調合 な どを手軽 に行 なえるような機器の開発 な ど が今後必要 となる。

4.む   す  

本稿では ,高 価 な数十 トン〜100ト ン程度 の精密温度 制御機能付 き高圧 プレス機 を利用す ることな しに ,所 望 とする形状や大 きさの多層 PWBを 安価 に試作可能 な手 法 とそのシステム構成 を示 した。 この結果 ,従 来数 ヶ月 程度 も必要 とした大規模論理回路 のソフ トウェアシ ミュ レー ションについて も,複数個の FPGAや 汎用電子部品 を用いたハー ドウェアエ ミュレータを ,多 層 PWBを 用 いて周辺 のテス ト回路 な どをも含 めて試作することによ り ,シ ミュレーション速度 を 100万 〜 1,000万 倍程度高速 化す ることが容易 に可能 となる。 また ,知 能 ロボ ッ トシ ステムを始 め とする ,膨 大 な計算量 を必要 とする知能集

積 システムのための種々の専用プロセ ッサを試作するこ とにより ,理 論のみな らず実際の実験 を通 した研究の推 進 に極 めて有用である。

参 考 文 献

1)

今井

:

ASIC技 術 の基礎 と応用",電 子情報通信学会 ,pp.

118140(1994).

藤 岡 ,亀 山 ,苫 米地

:

再構成可能並列 プロセ ッサ と知能 ロボ ッ ト制御への応用",日 本 ロボッ ト学会誌 ,13,6,pp.

112‑119(1995)

亀 山 ,藤 岡

:

ロボ ッ ト用 VLSIプ ロセ ッサ システム ",日 本 ロボ ッ ト学会誌 ,14,1,pp.2225(1996)

福 田 ,高 雄 ,影 山

:

高性能複合材料 の実験的評価 ",古 今 書院 ,pp.2528(1990).

伊藤

:

プ リン ト配線板製造入門 ",日 刊工業新聞社 ,pp.

77‑112(1995)

小 西

:

プ リン ト回路 設 計 ",日 刊 工 業 新 聞社 ,pp 1 7

(1993)

2)

3)

4)

5)

6)

―‑ 28 ‑―

参照

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