転倒降伏耐震壁に関する実験的研究 [ PDF
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(2) 壁板: コンクリート t=70 鋼板 t=3.2. 繋梁 H-175×175×7.5×11. 繋梁 H-175×175×7.5×11. 400. 175. H-175×175×7.5×11. 750. 壁板. 1000. 1000. t=100. CFT柱. CFT柱. □-175×175×6 PL-450×150,t=9 175. □-175×175×6. D13@50. H-175×175×7.5×11. 2-D22 625. 1500 2750. 625. 625. 1500 2750. (b)WSO 試験体. (a)WCO 試験体 立面図. H-175 175 7.5 11. ダイヤフラムシュミレーター. 260. 260. 壁板. H-100 100 6 8. t=100. 650. 650. 配筋図. 立面図. 配筋図 ダイヤフラムシュミレーター. H-175 175 7.5 11. 625. 壁板. H-100 100 6 8. t=100. CFT柱. CFT柱 □-175×175×6. 350. 350. □-175×175×6 D13@50. D13@50. 鉛直ダンパー 625. 1500 2750. 水平ダンパー 625. H-175 175 7.5 11. 2-D2 625. (c)WVD 試験体 図1 試験体の形状および寸法. 2-D2. 1500 2750. 625. (d)WHD 試験体. (単位:mm). カウンターバランス装置. た。載荷プログラムは正負交番漸増振幅繰返し載荷で、. ピン. ロ型フレーム(上梁). 各変位振幅で 3 回の繰返し載荷を行った。 3 実験結果と結果の考察. ワイヤー. ロ型フレーム(柱). 3.1 荷重−変形関係と降伏機構. ジャッキ(200ton) 面外補剛装置. ロードセル 球座. 図4に各試験体の水平荷重と層間変形角の関係を示. ジャッキ(100ton). 球座. 加力梁. 水平力載荷用PC鋼棒. 球座. す。図中の一点鎖線は、試設計12層建物の各種地震波に. 面外補剛装置. 試験体. ロードセル. 対する動的解析 1)により得られた最大応答水平荷重(耐. 滑り止め. PC鋼棒. 滑り止め. 震壁の 1 層部分における設計用せん断力)である。全て. ロ型フレーム(下梁). の試験体は、一点鎖線で示す設計用せん断力を上回る水. W. 負加力. 平力時において転倒降伏機構を形成しており、せん断破 壊を生じていない。最大応答水平力を上回る水平力を発 揮しているのは、耐震壁の反曲点位置高さが12層建物の 地震応答時と実験時では異なり、実験時の反曲点位置(2 層床位置)の方が低い位置にあるからである(図2参. 正加力. 図2 加力装置 δ + δ2 δ= 1 2 H = P + N cosθ N = 529kN N = 1587 kN (WCF ). 照) 。耐震壁のせん断耐力は、最大水平力耐力実験値より も大きいことは明らかであるから、いずれの耐震壁もせ. δ1 P. N. θ δ3. δ2 −P. h. ん断設計に関しては十分な余裕があると言える。図中の 点線は転倒モーメント降伏機構時の全塑性耐力の計算値. 図3 計測方法. で、その計算式は図5に示すとおりである。Mt、Mc、Q の計算に用いる鋼材の材料強度として降伏応力度σ y お. 状況を写真 1 に示す。図4より、試験体は耐震壁特有の. よび引張強さσ(表1参照) を用いた場合について計算 u. 高い水平剛性及び水平耐力を保有しており、履歴ループ. し、それぞれ細線と太線で示している。. の形状は、比較的小さな層間変形時からエネルギー吸収. 全ての試験体において、設計時に想定した降伏機構を. が可能な形状となっているのが分かる。これが、本研究. 生じた。所定の繰返し載荷を行った後、大変形時まで載. で提案する転倒降伏耐震壁の特性である。鉛直ダンパー. 荷を行ったWSO試験体及びWHD試験体の実験終了後の. を用いた WVD 試験体は R=1.8 × 10-2rad. 時に水平耐力を 33-2.
(3) 喪失している。これは、鉛直ダンパーが 2 本とも破断し. は、繋梁のせん断耐力の評価にH型鋼フランジの枠効. たためである(写真2参照) 。この場合も、鉛直荷重保持. 果を無視しているためと思われる。. 能力は維持している。履歴ダンパーには、鉛直荷重保持. 3.2 試験体各部の変形. 能力を期待しない設計となっているからである。. 図6に繋梁を用いた試験体の繋梁に生じた部材角と. 壁板に鋼板と高強度コンクリートを用いた WCO 試験. 層間変形角の関係を示す。図6より、繋梁には、層間変. 体は剛性が高く、他の 3 体は WCO に比べると剛性がや. 形角の3∼5倍の部材角が生じていることが分かる。こ. や低い。特に WSO 試験体の剛性が低いが、これは他の. の事より、繋梁は小さな層間変形角で早期降伏し、地震. 試験体に比較すると開口幅が若干大きいためである。壁. 時における履歴型ダンパーの役割をすることが期待で. 板コンクリートには全ての試験体において、微細なひび. きる。従って、実際の設計にあたっては、疲労破壊、溶. 割れが発生したが、特に損傷は見られなかった。壁板に. 接部の亀裂が生じない様に細心の配慮が必要である。. 鋼板を用いていない試験体においては、鉄骨枠とコンク. 転倒降伏耐震壁として、想定したような挙動を示し. リート壁板の間に肌別れが生じているのが観察された。. た WCO,WSO,WHD 試験体の3体について、耐震壁. 鉛直ダンパーが破断した WVD 試験体の鉛直ダンパーを. の軸方向伸縮量および2階床位置における回転角と層間. 繋梁に取り替えた WHD 試験体は、再び転倒モーメント. 変形角の関係を、それぞれ図7、図8に示す。前者は 2. 降伏機構による安定した復元力特性を示した。. 本の柱の伸縮量の平均値であり、後者は2本の柱の伸縮. 壁板の終局水平耐力(転倒モーメント耐力)は、図5. 量の差をスパン長さで除したものである。回転角につ. に示す算定式において、鋼材の引張強さσuを用いるこ. いては各変形角振幅における除荷点の値を示している。. とによりほぼ評価できることが分かる。この耐力は、理. WSO 試験体のみ、回転角の大きさが正負荷重時で対称. 論的には上限耐力であるが、実験値は大変形時にこの. となっていないが、これは開口位置が対称でないため. 上限計算値より若干大きな耐力を発揮している。これ. と CFT 柱の軸方向剛性が圧縮時と引張時で異なるため. 水平力(kN). 1000 800 600 400 200 0. である。図7、図8よりいずれの量も小さ とが分かる。これが、転倒降伏耐震壁の特徴 で、建物の構造解析時に立体効果の影響がそ れほど問題とならない事を意味している。. -200 -400. 水平力(kN). 実験値 解析値 解析結果による 耐震壁の負担せん断力. 実験値 解析値 解析結果による 耐震壁の負担せん断力 全塑性耐力σy. -600 -800 -1000 1000 800 600 400 200 0 -200 -400 -600 -800 -1000. く、純フレームの変形モードと同じであるこ. WSO. WCO. 全塑性耐力σy 全塑性耐力σu. 全塑性耐力σu. 4 解析結果と実験結果の比較 本節においては、文献1で報告されている 解析的研究で用いた解析手法による解析結果 と実験結果の比較を行う。解析手法は、線材. WVD. WHD. 要素を用いた有限要素法によるもので、幾何 学的非線型性を考慮している。断面の剛性は ファイバーモデルにより評価されている。材. 解析結果による 耐震壁の負担せん断力 全塑性耐力σy. 実験値 解析値 解析結果による 耐震壁の負担せん断力 全塑性耐力σy. 全塑性耐力σu. 全塑性耐力σu. -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 -2 層間変形角(×10 rad). -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 -2 層間変形角(×10 rad). 図4 各試験体の荷重 - 変形関係. P. H. δ. P θ. Q. θ. M OTM = Hh = M t + M C + QL H=. h. Mt、Mc:軸力(P ± Q)を考慮に. θ. Mt. M t + MC + QL h. L. Mc. 入れた CFT 柱の曲げ耐力 Q:繋梁のせん断耐力. 図5 全塑性耐力の計算仮定. 写真1 実験終了後の状況(左:WSO、右:WHD) 33-3. 写真2 鉛直ダンパーの破断.
(4) -2. 関係を大井・秋山モデルとし,コンクリー. 繋梁部材角(×10 rad). 料のモデル化については,鋼材の応力 - 歪 トの応力 - 歪関係を崎野・孫モデルとし た。ここで説明を要する事項は、壁コンク リートのモデル化である。実験において、 コンクリートと鉄骨枠の間に隙間が観察. 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 -10. WCO. -2. -2. じないようにしている。解析結果を実験 結果と合わせて図4に示す。いずれの試. 梁の部材角、壁板のせん断変形角、ともに 精度良く評価しており、各試験体の特徴 を良く捉えていることが分かる。壁板の せん断変形角の値は式 1 に基づいて算定 している(図 11 参照)。. 0. -2. 1. 2 -2. -1. 0. -2. 1. 2. 層間変形角(×10 rad). -2. WSO. WHD. 0 -0.1. 2階床位置の回転角(×10 rad). ても、図 10 および図 12 に示すとおり、繋. -1. 層間変形角(×10 rad). WCO. 0.1. -0.2 -2. 験体についても比較的精度良く評価して いることが分かる。また、破壊性状につい. 2 -2. 1. 0.2 柱の伸縮量(×10 ). 端はピン接合とし、曲げモーメントを生. -2. WHD. 図6 繋梁の部材角と層間変形角の関係. 応力は生じていなかったと考えられる。 負担する壁モデルとした。また、斜材の両. 0. 層間変形角(×10 rad). されたことから、コンクリートには引張 そこで、図9に示す斜材は圧縮力のみを. -1. WSO. -1. 0. 1. -2. 層間変形角(×10 rad). 2 -2. -1. 0. 1. -2. 層間変形角(×10 rad). 2 -2. -1. 0. 1-2. 2. 層間変形角(×10 rad). 図7 軸方向の伸縮量と層間変形角の関係 0.3 0.2. WCO. WHD. WSO. 0.1 0 -0.1 -0.2 -0.3. 0.25 0.5 0.75 1.0 1.25 1.5 1.75 2.0. 0.25 0.5 0.75 1.0 1.25 1.5 1.75 2.0. 0.25 0.5 0.75 1.0 1.25 1.5 1.75 2.0. 層間変形角(×10 rad). 層間変形角(×10 rad). -2. -2. 層間変形角(×10 rad). -2. -2. 繋梁部材角(×10 rad). 図8 2 階床位置における回転角と層間変形角. WSO 試験体. WHD 試験体. 図9 試験体の解析モデル. 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8. -2. θ. 図 11 壁板部の変位計測 4 結論 本研究で提案する転倒降伏耐震壁に関して、4体の実 験及び解析を行い、以下の結論を得た。 (1)耐震壁の変形性状は、柱脚に形成される塑性ヒンジ と繋梁の変形性状に支配され、エネルギー吸収能力 の大きい安定した復元力特性を示した。ただし、. し載荷時において大きなエネルギーを吸収すること. 1. -2. 2 -2. -1. 0. 1. -2. 層間変形角(×10 rad). 2. 2 1. WSO. WHD. 0 -1 ● ○. -2 -2. -1. 0. 実験値 解析値. -21. 層間変形角(×10 rad). ● ○. 2 -2. -1. 0. 実験値 解析値. -21. 層間変形角(×10 rad). 2. (3)節点挙動で見た場合、フレーム架構と同様な節点挙 動を示しており、曲げ降伏する耐震壁特有の引張側 柱の浮き上がり現象を生じていない。. 状が不安定であったため鉛直ダンパーの設計詳細を (2)繋梁は、小さな層間変形角でせん断降伏し、繰り返. 0. 層間変形角(×10 rad). 図 12 壁板のせん断変形角(実験結果と解析結果の比較). WVD 試験体のみに関しては鉛直ダンパーの破壊性 検討し直す必要がある。. -1. 実験値 解析値. ● ○. 図 10 繋梁の部材角(実験結果と解析結果の比較). -2. γ. γ =(d1+d2)/(2・h・cos θ)……(1). 壁板のせん断変形角(×10 rad). h. 実験値 解析値. ● ○. d2. d1. WHD. WSO. (4)線材要素を用いた有限要素法解析により、実験結果 を精度良く評価出来ることが明らかとなった。 参考文献. から、履歴ダンパーとしての性能を持つことが期待. 1)山口達也、日高桃子、崎野健治:転倒降伏耐震壁を有す る建物に関する解析的研究(その 1・2)、日本建築学会九. できる。. 州支部研究報告 第 42 号・1、pp.417 ∼ 424、2003. 33-4.
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