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日本版敗血症診療ガイドライン2016 CQ17 静脈血栓塞栓症(VTE: venous thromboembolism)対策

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(1)

CQ17. 静脈血栓塞栓症(VTE: venous thromboembolism)対策

(はじめに)

本 ガ イ ド ラ イ ン 作 成 過 程 に お い て 、CQ に 関 す る パ ブ リ ッ ク コ メ ン ト と し て “ 静 脈 血 栓 塞 栓 症(VTE: venous thromboembolism)予防”の重要性が指摘された。なお、VTEは深部静脈血栓症(DVT:deep vein thrombosis)と肺血栓塞 栓症(PE: pulmonary embolism)の両者を含む。VTEは欧米に多い疾患とされてきたが、日本においても生活習慣の欧米 化、高齢者の増加、疾患に対する認識および各種診断法の向上に伴い、近年急激に増加している1)。実際にVTEは、手 術後や出産後、急性疾患の入院中などに発症しやすく、ときにPEなど重篤な転帰をとることから、その予防・診断・治療 は臨床上の重要課題である。そこで、VTE 班では、敗血症患者における VTE 発症のリスクが他の急性疾患に比べ、実 際に高いのか文献的検索による検討を加えた。

その結果、敗血症に限定したVTEの発生に関する論文は我々が検索する限りKaplanらによる最近の報告(2015年)1 つのみであった2)。彼らは敗血症や敗血症性ショックでICUに入院している患者を対象にVTEの発生を静脈エコー検査 により多施設で前向きに調査したところ、全例にVTE 予防を行っていたにもかかわらず、その発生率は37.2%(113人中 42 人)ときわめて高率であったと報告した。本論文のみの結果をそのまま日本の臨床に当てはめることはできないが、

敗血症患者の診療においてVTEは重要な課題の1つであることは間違いない。以上から、本ガイドラインでは、敗血症 におけるVTEに関する臨床上重要なCQを取り上げ、日本の医療情勢にあわせた見解を示す必要があると我々は判断 した。

近年の注目すべき動きとして、Surviving sepsis campaign guideline (SSCG) 2012 には Deep vein thrombosis

prophylaxisという項目があり、VTEの予防が推奨されている3)。その解説の中で、ICU患者はVTEのリスクが高いという

報告があり4)、敗血症患者は一般的なICU患者と比べて同等、もしくはそれ以上のVTEのリスクがあると考えられている。

実際にSSCG2012以降のreview文献を検索してみると、Francescoらはacute ill medical patientsとVTE発生の関連を 調べた結果、asymptomatic DVTは4.7%、symptomatic DVTは0.99%、PEは0.6%、DVT関連死亡は1.9%で発生しており、

疾患別に見ると急性感染症の患者のみがVTE発生と関連を示したと報告している5)。また、Tichelaarらは、VTE発生の 相対リスク比が感染のない期間と比べて肺炎に罹患している期間では 1.9-2.7、尿路感染に罹患している期間では

1.8-2.1まで上昇することを報告した6)。一方、周術期の検討として、Donzeらは術前にSIRS(全身性炎症反応症候群)や

敗血症がみられた患者においては、SIRSでない患者に比べ、手術後の血栓合併症発生の調整オッズ比が3.3と上昇す ることを報告した。重症度別にみると、SIRS患者で2.6、従来の敗血症患者で3.7、重症敗血症患者で6.1と段階的に上 昇しており、敗血症の重症化とともに血栓症発生のリスクも高くなる可能性を示している7)

以上のように、敗血症を呈していなくても何らかの感染があれば VTE のリスクは高いと考えられ、その予防や診断法 は臨床上きわめて重要と考えられる。

VTE班ではCQ17-1 敗血症におけるDVT予防として抗凝固療法、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法を行うか?

CQ17-2 敗血症におけるDVTの診断はどのように行うか? という2つのCQを設定し、以下に結果を概説する。

なお、敗血症患者に限定したVTE 発生について日本における報告は皆無に等しく、適切な予防・診断を進める上でも 今後明らかにすべき課題の一つと考えられる。

文献

1) 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)

2) Kaplan D, Casper TC, Elliott CG, et al. VTE Incidence and Risk Factors in Patients With Severe Sepsis and Septic Shock. Chest. 2015;148:1224-30.

3) Dellinger RP, Levy MM, Rhodes A, et al. Surviving Sepsis Campaign: international guidelines for management of severe sepsis and septic shock, 2012. Intensive Care Med. 2013;39:165-228.

4) Cade JF. High risk of the critically ill for venous thromboembolism. Crit Care Med. 1982;10:448-50.

5) Violi F, Perri L, Loffredo L. Should all acutely ill medical patients be treated with antithrombotic drugs? A review of the interventional trials. Thrombosis and haemostasis. 2013;109:589-95.

6) Tichelaar YI, Kluin-Nelemans HJ, Meijer K. Infections and inflammatory diseases as risk factors for venous thrombosis. A systematic review. Thrombosis and haemostasis. 2012;107:827-37.

7) Donze JD, Ridker PM, Finlayson SR, et al. Impact of sepsis on risk of postoperative arterial and venous thromboses:

large prospective cohort study. BMJ (Clinical research ed). 2014;349:g5334.

Journal of the Japanese Society of Intensive Care Medicine  J-STAGE Advance published date: December 26, 2016

(2)

CQ 17-1: 敗血症における深部静脈血栓症の予防として抗凝固療法、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法を行うか?

意見:深部静脈血栓症の予防として、リスクレベルに応じて抗凝固療法、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法を行うこ とを弱く推奨する(エキスパートコンセンサス/エビデンスなし)。

推奨に対する投票結果

コメント;ここで示す「リスクレベル」とは、本邦の「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイ ドライン(2009年改訂版)」1)および「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」2)に準拠してい る (http://www.ja-sper.org/guideline2/index.html) 。 な お 、 抗 凝 固 薬 を 投 与 す る 場 合 は 、 出 血 性 合 併 症 や Heparin-induced thrombocytopenia (HIT)発症の危険性を考慮して慎重に行う。

1.背景および本CQの重要度

入院患者、術後患者における静脈血栓塞栓症(VTE: venous thromboembolism)は予防が必要な合併症として広く認 識されている。本邦においては「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009 年改訂版)」1) および「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」2)の中で、DVTを発症するリ スク分類とそれに応じた予防法が述べられている。この中で、「重症感染症」は VTE の「中等度の危険因子」と評価され ており、患者の基礎疾患、背景に応じたリスクレベルより一段高く(VTE のリスクがより高い)評価することが勧められて いる。Surviving sepsis campaign guidelines (SSCG) 20123)では「Deep vein thrombosis prophylaxis」の項目が設けられて おり、その中で、低分子ヘパリン(grade 1B)または未分画ヘパリン(grade 2C)の予防的投与と下腿の間欠的空気圧迫

(grade 2C)をできるだけ行い深部静脈血栓症(DVT; deep vein thrombosis)を防ぐことが推奨されている。しかし、これら のガイドラインでは、敗血症患者に限定せず、術後患者やICUに入院した重症患者を対象とした文献に基づいて推奨が 示されている。

敗血症や敗血症性ショックで ICU に入院している患者では、血栓予防を行ったにもかかわらず、DVT の発生率は

37.2%(113人中42人)と高率であったとの米国からの報告もあり4)、敗血症ではより積極的なDVTの予防が必要と考え

られる。

本ガイドラインでは、敗血症患者に対するDVT予防法を示すため、敗血症患者に限定した解析を行った。

2.PICO

患者(P): 敗血症患者

介入(I): DVT予防として抗凝固療法、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法を行う。

対照(C): DVT予防として抗凝固療法、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法を行わない。

アウトカム(O): DVT発症率、PE発症率、合併症発症率 3. エビデンスの要約

採用された論文:

PICOに合致する文献なし。

エビデンスの要約:

PICOに合致する文献がなく、推奨を示すためのエビデンスは得られなかった。

5. 益のまとめ

敗血症患者に限定したエビデンスは存在しなかったが、ICUに入院を要する他の重症患者と同様にDVTの予防対策 を行うことは、敗血症患者においてもDVT、PEとそれによる死亡を防ぐことが期待される。

6.害(副作用)のまとめ

敗血症患者に限定して評価したエビデンスは存在せず、副作用の頻度や重症度は不明である。抗凝固療法により発 生する可能性のある害として、出血性合併症とヘパリン投与に伴うHeparin-induced thrombocytopenia (HIT)があり投与 に際して十分注意を要する。弾性ストッキング、間欠的空気圧迫においては、糖尿病など動脈の血行障害のある患者で

全ての(P)に対し(I)を行う

(強い意見)

患者の状態に応じて 対処は異なる

全ての(P)に対し(I)を 行わない(強い意見)

94.7% 5.3% 0%

(3)

は、圧迫により血行障害を悪化させる危険性があり注意を要する。

7.害(負担)のまとめ

本CQの介入は、静脈投与により行う薬物療法と弾性ストッキング、間欠的空気圧迫なので、介入そのものに対する身 体的負担はほとんどない。

8. 利益と害のバランスはどうか?

「明らかに益が害を上回る」

9. 本介入に必要な医療コスト

ヘパリンにかかる薬価は300円/1万単位、低分子ヘパリン1500円/1万単位であり、抗凝固療法について医療経済へ の影響は少ないと考える。弾性ストッキングは1組3000円程度であり、患者への負担も大きくないと考える。間欠的空気 圧迫装置は1台30万円程度であり、施設によってはすべての対象患者に装着するのは難しいかもしれない。

10. 本介入の実行可能性

抗凝固療法については、多くの病院で採用、使用されている薬剤であり、実行可能性に関しては問題ないと考える。弾 性ストッキングも医療用として販売されており、周術期や安静臥床が必要な入院患者にすでに使用されている。間欠的 空気圧迫は施設によっては装置の台数が限られており、すべての対象患者に使用するのは困難かもしれない。

11. 患者・家族・コメディカル・医師で評価が異なる介入であるか?

DVTとPEによる合併症、死亡を避けるという点で、立場の違いによる評価の差異はないと考える。

12. 推奨決定工程

敗血症に対するDVTの予防に関しては、益・害ともに現時点で十分なエビデンスがないため、推奨提示は不可能と判 断し、エキスパートコンセンサスを提示することとした。エキスパートコンセンサス提示に際しては、本邦の「肺血栓塞栓 症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)」1)および「肺血栓塞栓症/深部静脈 血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」2)に準拠する方針で「深部静脈血栓症の予防として、リスクレベルに応じて 抗凝固療法、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法を行うことを弱く推奨する。(エキスパートコンセンサス)」とした。

以上の意見案に対し、委員会では委員18/19人の賛同を得て意見文が決定した。

13.関連する他の診療ガイドラインにおける推奨

Surviving sepsis campaign guidelines (SSCG) 20123)では「Deep vein thrombosis prophylaxis」の項目が設けられており、

その中で、低分子ヘパリン(grade 1B)または未分画ヘパリン(grade 2C)の予防的投与と下腿の間欠的空気圧迫(grade

2C)をできるだけ行いDVTを防ぐことが推奨されている。

本邦においては「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009 年改訂版)」1) および「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」2)の中で、DVT を発症するリスク分類とそ れに応じた予防法が述べられている。

いずれも敗血症患者を対象としたエビデンスはなく、解釈には注意が必要である。

文献

1)循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2008 年度合同研究班報告), 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の

診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)

2)肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン. Medical Front International Limited; 2004.

3) Dellinger RP, Levy MM, Rhodes A, et al. Surviving Sepsis Campaign: international guidelines for management of severe sepsis and septic shock, 2012. Intensive Care Med. 2013;39:165-228.

4) Kaplan D, Casper TC, Elliott CG, et al. VTE Incidence and Risk Factors in Patients With Severe Sepsis and Septic Shock. Chest. 2015;148:1224-30.

(4)

CQ 17-2: 敗血症における深部静脈血栓症の診断はどのように行うか?

意見: ベッドサイドで可能な評価(リスク因子・臨床症状、D-dimer 推移、静脈圧迫エコー)や造影 CT などを適宜行い、

深部静脈血栓症(DVT)を診断することを弱く推奨する (エキスパートコンセンサス/エビデンスなし)。

委員会投票結果

1.背景および本CQの重要度

敗血症における深部静脈血栓症の診断はどのように行うか。DVT高リスクである敗血症患者において、CQとして取り上 げるべき大事な課題である。本CQでは、一般的なDVT診断法であるリスク因子・臨床症状・D-dimer値・画像診断に焦 点をあてて検討した。

2.PICO

P(患者): 敗血症患者

I(介入): ある特定の診断法(臨床症状、D-dimer、画像診断など)で、DVT診断を行う。

C(対照): ある特定の診断法(臨床症状、D-dimer、画像診断など)で、DVT診断を行わない。

O(アウトカム): 特定の診断法で診断・介入することによる死亡率、PE発症率

3. エビデンスの要約

PICOに合致するRCTは存在せず、エキスパートコンセンサスを提示する。

一般的に DVTの診断は、① リスク因子・臨床症状 ② D-dimer 値 ③ 画像診断 の3本柱で行う。

① リスク因子・臨床症状(clinical probability assessment)

DVTリスク因子と臨床症状の評価を合わせて行う。患者の病歴として、加齢・VTE既往・悪性腫瘍・長期臥床・肥満・妊 娠・外傷・脊髄損傷・手術・脳血管障害などのリスク因子を評価する。敗血症患者では、鎮静剤・昇圧剤使用・人工呼吸 管理・中心静脈カテーテル留置・感染など付加リスク因子も考慮する。

急性期下肢DVTを疑う臨床症状は、下肢の局所の圧痛・腫脹・圧痕性浮腫(pitting edema)および色調変化である。鎮 静中の敗血症患者では、症状を訴えることが難しく、さらに全身の浮腫により、下肢の所見から診断することが困難な場 合も多い。

② D-dimer値

敗血症患者では、播種性血管内凝固症候群(DIC)に伴い、D-dimerは高値を示すことが多く、DVTの除外に使用するこ とは困難である。しかしながら、D-dimer高値が遷延する症例や経過中に再上昇する症例では、DVTを積極的に疑い画 像診断することが重要と考えられる。

③画像診断

1)静脈圧迫エコー(Compression US: CUS): ベッドサイドで簡便に行える検査だが、敗血症患者で浮腫により皮下組織 が厚く、超音波が伝わりにくい場合などでは、評価が困難である。

2) 静脈造影:元来はDVT診断のゴールドスタンダードであったが、侵襲が高い、足の静脈のカニュレーションが難しい、

診断に値する画像が必ずしも得られない、腎不全や造影剤アレルギーの人には禁忌である、などから、日常的、標準的 な検査としては適していない1)

3) CT venography (CTV): 造影剤を使用し,患者の移動を要することから敗血症患者では容易でない場合もある。日本

の肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)では、静脈エコーが 困難な患者や胸腹部の血栓症が疑われる場合にCTVは適応とされており、敗血症患者においても同様と考えられる2)

4) MRI:非侵襲的だが、撮影にかかる時間や撮影中の管理・観察が難しくなる危険性を考え、敗血症患者のDVT診断目

的にルーチンで行うことは勧められない。

敗血症患者は VTEの高リスクであるが、鎮静下、人工呼吸管理下などで臨床症状がマスクされやすい、D-dimer が高 値になるような背景病態がある、敗血症に伴う心機能低下・腎機能障害などは造影剤の相対的禁忌である、人工呼吸 管理や持続血液ろ過透析中などは搬送自体が容易ではない、などの理由から、DVTの迅速な診断はしばしば困難であ

全ての(P)に対し(I)を行う

(強い意見)

患者の状態に応じて 対処は異なる

全ての(P)に対し(I)を 行わない(強い意見)

0% 100% 0%

(5)

3)

また、近年の報告では、ヘパリン予防投与中であっても敗血症患者において高率にVTEが合併することが示されている

4)

★文献検索式

(sepsis OR septic shock OR infection OR critical care OR intensive care OR acute ill) AND (venous thromboembolism OR deep venous thrombosis OR pulmonary embolism)

4.アウトカム全般に関するエビデンスの質 PICOに合致するRCTは存在せず 5. 益のまとめ

敗血症患者は VTE(DVT, PE)の高リスクであるが、鎮静下、人工呼吸管理下などで臨床症状がマスクされやすいこと、

D-dimer が高値になるような背景病態があること、を認識し、DVT の早期診断・治療介入を行うことで、患者に益する可

能性が高いと考える。

6.害(副作用)のまとめ

敗血症に伴う心機能低下・腎機能障害不全例では、造影剤の相対的禁忌である、また、放射線画像検査では被爆する こと、人工呼吸管理や持続血液ろ過透析中であれば搬送自体がリスクを伴うこと、などから、患者に負担をかける可能 性があることを十分留意する必要がある。

7.害(負担)のまとめ 上記(6)

8. 利益と害のバランスはどうか?

PICOに合致するRCTは存在せず不明である。

患者の状態によってそのバランスは異なると考えられる。

9. 本介入に必要な医療コスト 画像検査に医療コストがかかる。

10. 本介入の実行可能性

静脈圧迫エコーやCT検査などは多くの集中治療室で利用可能であると考えられる。

11. 患者・家族・コメディカル・医師で評価が異なる介入であるか?

異ならない。

12. 推奨決定工程

以上より、「敗血症患者では VTE 合併の可能性を念頭におき、患者の全身状態を考慮しながらベッドサイドで可能な 評価(リスク因子・臨床症状、D-dimer 推移、静脈圧迫エコー)や造影CTなどを適宜行い、DVT を診断することを弱く推 奨する。また、臨床経過に合わせてくり返し総合的に評価することも大切である。(エキスパートコンセンサス)」を提示し た。

以上の意見案に対し、委員会では委員19/19人の賛同を得て意見文が決定した。

13.関連する他の診療ガイドラインにおける推奨

敗血症患者のDVT診断法を記載した診療ガイドラインは存在しない。

文献

1) Bates SM, Jaeschke R, Stevens AM, et al. Diagnosis of DVT. Antithrombotic therapy and prevention of thrombosis, 9th Ed; ACCP guidelines. Chest 2012; 41: e351S–e418S.

2) 日本循環器学会,日本医学放射線学会,日本胸部外科学会,日本血管外科学会、日本血栓止血学会,日本呼吸器 学会,日本静脈学会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会. 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、

予防に関するガイドライン(2009年改訂版)

(6)

3) Magaña M, Bercovitch R, Fedullo P. Diagnostic approach to deep venous thrombosis and pulmonary embolism in the critical care setting. Crit Care Clin 2011;27:841-67.

4) Kaplan D, Casper C, Elliott G, et al. VTE incidence and risk factors in patients with severe sepsis and septic shock.

Chest 2015;148: 1224-30.

参照

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