• 検索結果がありません。

マラヤ北西部の稲作農村 : 婚姻,離婚,家族の特質について [A Malay Padi-farming Community in the Northwestern Part of Malaya:A Sociological Analysis of Marriage, Divorce and Family]

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "マラヤ北西部の稲作農村 : 婚姻,離婚,家族の特質について [A Malay Padi-farming Community in the Northwestern Part of Malaya:A Sociological Analysis of Marriage, Divorce and Family]"

Copied!
42
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

マ ラ ヤ 北 西 部 の 稲 作 農 村

婚 姻 ・離 婚 ・家 族 の特 質 につ い て -

口 羽 益 生

・ 坪 内 艮 博

A Malay Padi-Farming Community in theNorthwestern PartofM al aya

- -A SociologicalAnalysisofMarriage,DivorceandFamil

y-by

MasuoKUcHIBA andYoshihiroTsUBOUCHl

は し が き

本論 は

,1

9

6

4

7

∼1

2

,1

9

6

5

6

∼1

0

月 の

2

度 にわ た って, マ ラヤ北西 部 の ケ ダー州 コタス タール郡 (DaerahKotaStar), パ ダ ソラ ラ ソ区 (Mukim PadangLalang), パ ダ ソラ ラ ソ村 (KampongPadangLalang)におい て行 なわれ た 社会 人類学 的村 落調 査 の 中間報告 の 一 部 で あ る。 調査地 の経 済構造 の分 析結 果 の一 部 は,す で に,『東 南 アジア研究』第

3

巻第

1

号 (

1

9

6

5

年 6月) におい て報 告 したが, 経 済 的諸要 因 と村 落 の 政 治社 会構 造 との 関連 を 理 解 す るた め に は, この両 変数 をつ な ぐ媒 介項 の特質 が 明 らか に され ね ば な らない。経 済 的 要 因の働 きか けに 対す る社 会 的反応 の方 向は,常 に一定 の角度 を もつ ものでは な く, 社 会 成員 に よって担 われ て い る特定 の文 化的枠 の許 容範 囲内にお い て規 定 され るか らで あ る。 この意 味 にお い て, マ ラヤ におけ る村落 の集 団的基 盤 であ る家族 の文 化 的特質 の解 明は, 調査地 の経 済 ・政 治社 会構造 の ダイナ ミックな理解 のた めに重要 で あ る。 マ レー人 の家族 に関す る考 え方 は, 日本や欧米 の場 合 とか な り異 な って, それ 自身 の特殊 な 性 格 を有 してい る。 近 代化 とい う文化 的衝 撃 に対す る反応 の しかた も,必ず しも世 界 の他 の地 域 とす べ て の面 におい て同 じ形 を とる とはい えな い。 本論 におい ては, 当該村 落 の経 済 ・政 治 社 会構 造 の分析 の一基 点 とす る意味 に おい て, 婚 姻 ・離婚 ・家族 形態 の分 析 を通 じて, 調 査地 におけ る婚 姻 や家族 に関す るマ ラヤ的特 質 の理解 を試 みた い。 2

(2)

-調 査 地 パ ダ ソラ ラ ソ村 の概 要 につ い て は,す で に上 記 の報 告 に お い て詳 述 した ので, 本 論 で は, 最 少限 に必 要 と思 われ る ことが らのみ略 記 す るに 留 め る。 パ ダ ソラ ラ ン村 は, ケ ダー 州の首 府 ア ロール ス ター (AlorStar)か ら北 西-5マイ ルば か り

れ た水 田稲 作 農 村 で あ る。 村 の 中央 を 7 ロー ル ジ ャ ン グ ス (AlorJanggus)川 が 南東 か ら北 西 -貫 流 してお り, 家屋 は,大 体 , この )t巨つ両 岸 に 潜 って細 長 く分 布 して い る。 川沿 い C7)屑 住地 帯 の外 側 に水 田が碁 盤 の 目の よ うに広 が ってい る。 隣 村 との境 の物理 的 な 目印 とな る よ うな もの は ,一 見 した と ころ明瞭 で は ない 。 この村 もまた マ ラヤ社 会 特有 の多 民族 社 会 の特 徴 を有 し,総人 口1,538は , マ レー人 978(63.6 %),中 国人546(35.5%),イ ン ド ・パキ ス タ ン人 14(0.9%)か ら成 って い る。 中 国人 の割 合 が比較 的 高 い の は, この村 が パ ダ ン ララ ソ区 (mukim) の 中心地 で あ るた め , 中 国人商 店 が集 中 して い る か らで あ る。 中国人 とイ ン ド ・パ キ ス タ ン人 は, 村 の北 西 端 に 密 集 して居 住 し, ほ とん どの者 が , 商 業 ,精 米業 , お よび これ に 関 連す る職 業 に従 事職 是 非 農 雑 魚 下 人 商 精 表1 マ レー人 性 ・年齢階級別人 口 1964.10. 0- 4 5- 9 10-14 15.--19 20-24 25′・-29 30.--34 35-39 40-44 45,--49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80′-84 85--89 90-94 95-不 明 11. ロ ⋮ 2 6 4 9 6 5 7 5 4 2 3 2 3 1 数 . 1 1 1 女 75 76 64 49 34 29 39 22 2 1 15 21 12 19 3 6 3 2 { 一 4 2 実 男 51 85 80 43 29 29 32 32 20 12 18 12 20 3 6 2 4 I 3 1 1 封 482 496 978 巡査,助産婦,ホスピタル ・アシスタン ト,官吏を含む。

表 2 マ レ ー人 世 帯 の 職 業 (Padang Lalang村) 1964.10.

莱 地 労 作 行 .LL 業 影 店 経 家 主 働 役 商 男 工 常 夫 実 数 (形) 職 業 実 数 (?/A) 7 6 5 3 5 1 5 2 1 3 2 1 4 7 1 5 4 5 4 0 5 6 2 2 1 2 0 2 1 0 6 1 察 人 D I 年 警 官 D 金 官 吏 夫 ホス ピタル ・アシス タン ト 助 産 婦 無 職 計 1 7 2 1 1 1 8 206 5 4 0 5 5 5 9 0 3 1 0 0 0 3 100.0 3 -3

(3)

東 南 ア ジ ア 研 究 第4巻 第1号 表3 世帯員数別世帯数 1964.10. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 ( 5.6) 21 (10.8) 34 (17.4) 26 (13.3) 37 (19.0) 28 (14.4) 12 ( 6.2) 17 ( 8.7) 7 ( 3.6) 2 ( 1.0) 計 【 195 (100・0) 平均世帯員数 4.7人 巡査,助産婦,ホスピタル ・アシスタン ト, 官吏を除 く 1) して い る。 中国人 が平屋 に住 んで い るのに対 し, マ レー人 は代 上 家屋 に住 み , それ は 川沿 いに散 在 してい る。 本 論 の対 象 は,村 内 の マ レー人 で あ る が , そ の性 ・年 令 階 級 別人 口,職 業 別世 帯 数,世 帯 員数 別世帯 数 は, 第1表 か ら第3表 に示す 通 り で あ る。 しか し, これ らの うち,本 論 が分析 の対 象 と して い るの は, 外来者 で あ る警察 官 , 官 吏, ホ ス ピタル ・ア シス タ ン ト, 助 産婦 の11世 帯 を除 2) いた195世 帯 で あ る。 1 婚 姻 パ ダ ソラ ラ ソ村 に おい て は,一人前 の村 人 と し ての社 会 的役 割 を演 ず るた めに は, 結 婚 に よって 独 自の家庭 を形 成 す る ことが 絶対 に必 要 で あ る。 性 に よる分 業 や 男女 の社 会 的 な役 割 が きわ め て 明確 に区 別 され てい るか らで あ る。 例 えば, 食事 の 用意 ,台所 に関す る一 切 の仕 事 , 苗代 づ く りのた め の主要 な労働 , 田植 え, 人 の一生 (life cycle)の主要 な折 目に お い て行 なわれ る共 食儀 礼 (kenduri)の 食事 の準備 な どほ女性 の仕 事 で あ る。 これ に対 し, 食 物調 達 のた め の 日常 の 買物 , 田の整地 ,除草 , 水牛 や 山羊 の飼育 , モ ス ク (masjid)に 関す る宗教 行 事 - の参 加 , 村 の主要 事 に 関す る会 合 - の参 加 な どほすべ て男性 の仕 事 で あ る。 この区分 が余 りに も明確 で あ るた め, 女 性 の仕 事 に 男性 が加 わ る ことは はず か しい こと と され ,極 端 な場 合 に は, 女性 の仕 事 内容 につ い て男性 が知 ってい る ことさえ恥ず (malu)べ き こと と考 え られ て い る。 この よ うな状況 の下 で社 会 生 活 を営 む た め に は, 夫 婦 が 1単 位 とな る ことが 必須 の条 件 とな る。 従 って,適 令 期 に達す る と, ほ とん どす べ て の男女 は結婚 に掩 み切 り, よほ ど特殊 な事 情 で もない限 り, 独身生 活 を長 く続 け る事 例 は少 ない。 1. 初 婚 年 令 マ レー人 の初 婚 年 令 は,一 般 に 非常 に低 い といわれ て い る。 婚 姻 に 関す る法律 的 な規 定 は イ ス ラム法 で あ るが , イ ス ラム法 に は婚 姻 に関す る最 低年 令 の 規 定 は 存 在 しな い。 しか し, マ ラヤの諸 州で は, 法 的 に は15才 が結婚 のた め の成 年 に達 した 年 令 と 考 え られ てい る よ うで あ 3) る。 パ ダ ソララ ソ村 では, この よ うな法律 は余 り顧 慮 され ず , 初婚 年 令 は 非 常 に 低 い場 合 が 1) 中国人 (正確には中国系マ レーシア人)の集落については, 前田清茂 「マラヤ北西部における中国人 集落の構造 (上 ・下)

『東南アジア研究』第3巻第5号 (1966年3月)ならびに第4巻第1号参照。 2) この うち2世帯は調査不能であった。

(4)

[1羽, 坪 L勺 :マ ラ ヤ 北 西 部 の 稲 作 堅木 、j

表 4 Padang Lalang村におけ る初婚年齢::I(

男 子 初婚年齢 . 現 在 の 年 齢 ∼29 30-49 50.I -∼ 明 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 別 25 26 ㌘ 28 29 30 3 不 1 2 1 4 7 1 3 2 4 1 2 1 1 1 3 4 2 5 3 6 9 3 2 3 2 3 3 1 1 1 1 2 2 12 1 3 3 3 3 2 2 2 6 1 1 2 1 5 2 6 1 占「 2 1 3 1 1 2 3 1 2 8 5 9 5 7 1 3 9 3 1 3 3 5 1 6 4 0 女 子 現 在 の 年 齢 ∼29 30′-49 50′・- -1 3 6 8 0 4 3 1 4 2 1 1 1 1 5 3 6 7 4 3 3 2 6 1 1 1 1 2 1 l 1 9 7 1 6 1 4 1 2 2 1 1 3 17 26 1964.10. 1 9 0 5 6 5 7 0 7 2 1 2 3 3 3 1 1 2 3 2 3 1 1 6 4 ※ 結婚経験者について 巡査,助産婦,ホス ピタル ・アシス タン ト,官吏を除 く あ る。 表 4は , 配 偶 者 と離 ・死 別 した 老 を も含 む 結 婚 経 験 者 の初 婚 年 令 を , 性 ・世 代 別 に み た もの 4) で あ る。 この表 に よ る と, 男 性 は 普 通 16才 位 か ら結 婚 しは じめ , 約70%の者 は 22才 まで に 結 婚 す る。 女 性 の場 合 に は , 12才 か ら18才 まで の 問 に 約87/06の者 が 結 婚 して い る。 男 女 の 初 婚 年 令 4) この裏に示 された数値は,次 の2点において必ず しも巌密な ものではない。 第1に,後述す るよ うに, この村では再婚が非常に多い。 その上,筆者たちはイス ラム教 の考 え方 もあ って,調査中ほ とん ど女 性に接近す ることがで きなか った。 それ故,ほ とん どの婚姻年令は,男性 の戸主に対す る質問に よっ て得 られた ものであ るが,彼 らの中には,必ず しも 「初婚」年令を告げ ていない者があ る。 第2に, 彼 らの報告 した年令は必ず しも正確 ではない。特に女性 の年令については, 上記の点か らも信頼度が 低いが,男性の場合で も,老人の中には, 自分 の年令 さえ正確に記憶 していない ものがあ る。 村人は 12才にな ると,すべ て, 郡役所か ら出生地や生年 月 日な どを記入 した identity cardを交付 され てい るが, これに記入 され てい る生年 月 日が間違 ってい るとい う老 さえかな り存在す る。 従 って,表 4に おけ る初婚年令は,大体 の傾向を示す もので しかない。 - 5 -5

(5)

東 南 ア t;′ア 研 究 筒 4番 第 1ぢ・ を比較 して特 に 目立 つ ことは, 女 性 の初婚 年令 は14才か ら18才 の間に集 中 してい るのに対 し, 男性 の場合 に は年 令 の幅が広 い ことで あ る。 女性 の初婚年 令 の幅が狭 い のは,生 理 的 な問題 とも関連 してい ると思われ るが,男性 の初婚 年 令 の幅が広 く,晩婚者 も少 な くな い のほ,他 の社 会 ・経 済 的 要 因が絡 んで い る よ うに思われ る。 ここで想 定 され る ことは,妻 を要 るさいに男性 が女 性 に支払わねば な らない婚 資金

(

hant

a

r

a

n

be

l

a

nj

a)

の問題 であ る。 後述 す る よ うに, この金 額 は, マ レー人農民 の生 活水準か らす れ ば , か な り高額 で あ り, これ を蓄 え る必 要 のた めに, 男性 の内 に は 晩婚者 も出て来 ると考 え られ る。 そ こで, 果 して経 済 的に め ぐまれ ない男性 が 晩婚 に な るか ど うか につ い て分析 を試 みた結 果 が,夫 の初婚 年令 と夫 妻 の農地 相続 状態 に関す る表 5で あ る。 表 5 夫妻の農地相続状態別にみた夫の初婚年齢i:1・' 1964.10. ・ 妻 夫 \、、\ \ し な 読 目・不 未 相 続 相 続 な し 未 相 続 相 続 15,16,17,18,18,18,18,18 0 0 2 2 2 2 20 却 2 9 0 2 1 2 2 20 2 1 2 2 25 el・ 加 20 22 25 4 16・17・18,19・19,20日 19,20,20・21・25・25 24,25・25,25,26,27日 l 16, 18, 18, 19, 20, 20, 20, 21, 21, 21, 21, 22, 3 22 2 25, 35 4 22 2 0 2 9 1 8 1 8 25,26,∼ l ■ l ^ E .ど 1 18, 19, 19, 20・ 20・ 20日 18,20・20 相 続 声 20, 21,1 23, 25, 25, 30, T ーt r_ ._ . 18,20,20 22,25,26,30, ?, ?,? ※ 結婚経験者について 農地相続状態が不明のもの,および自分で農地を買った者を除 く 巡査,看護婦,ホスピタル ・アシスタン ト,官吏を除 く 表 5に おい ては,親 に所有 農地 が ないた め農地 を全 く相続 しなか った夫 また は妻 , 親か ら農 地 の相続 を うけた夫 また は妻 , お よび未 だ親 の所 有農 地 の相続 を うけていない夫 また は妻 をサ ソプルに選 び, それ ぞれ の配 偶者 との 組合せ の 型 別 に配列 して, 夫 の初婚 年 令 を 検 討 してみ た。表6は表5の摘 要 を示 した もので あ る。 これ らか ら,親 が農地 を所有 しないた めに夫 に全 然農地 が な く,妻 が農地 を所有 してい る場 合, 夫 の婚 姻年 令 が相対 的に高 くな る ことが 明 らか に な る。 6

(6)

-口 羽 ,坪 内 :て ラ ヤ 北 西 部 の 稲 作 農 村 しか し, 表

5

に よ っ て もわ か る よ う に , 一夫 の 側 の 経 済 状 況 が 悪 い 場 合 で も, か な り 低 い 軍 令 で 結 婚 して い る者 も存 在 す る。 も し も高 額 の 婚 資 金 の 故 に 貧 困 農 家 の 男 子 の 初 婚 年 令 が 高 く な る傾 向 が 存 在 す る の な らば , 貧 困 農 家 に は 婚 期 に 達 しな が ら ち , 未 婚 の ま ま家 に 居 残 る例 が 少 な くな い と も考 え られ るが , 筆 者 た ち の こ の 予 想 は ,調査時 に お い て は , 全 くと い っ て よい ほ ど当 らな か った。20才 以 上 の 男 女 未 婚 者 の 数 お よび 経 済 状 態 は , 表 7に 示 した 通 りで あ る。 つ ま り, 男 子 初 婚 年 令 の 幅 の 広 さに つ い て は , 結 婚 資 金 以 外 の 問 題 ,例 え ば , 人 棒 の 完 成 や 教 5) 育 ,適 当 な 配 偶 者 が い な い な ど とい う 問 題もあ るためと考 え ら 6〕 れる 。 婚 姻 年 令 の 組 合 せ は ,表 8に 示 す よ うに ,男性18-20才 ,女 性15-16才 とい うの が 中 心 的 な 部 分 を 占 め , 一 般 の 村 人 も これ らの 年 令 を 理 想 的 な 初 婚 年 令 と 5) イス ラムの教 育を受け るため, ことな ど。 夫 \ 相 続 な し 未相続 平均 初婚年 令 22.0歳 平均 初婚年令 相続 な し ■25 歳 以 上 26.0アo・25 歳 以 上 表6 夫妻 の農地相続状態別 にみた夫 の初婚年齢 .ミi (摘要表) l 妻 相続 あ り,相続 あ り また は 未 相 続 27 歳 以 上 6.9% !27 歳 以 上 23.0歳 39.3% 17.9% 21.2歳 17.9% 3.6?/a ※ 結婚経験 者につ いて (離 ・死別 者を含む) 農地相続状態が不 明の もの,お よび H分 で農地を買 った者 を除 く。 巡 査 , 助 産 婦 ,ホス ピタル ・アシス タソ ト,官吏を除 く

表7 Padang Lalang 村 におけ る20歳以 上の未婚者 1964.10. 世帯 年齢 番号 (読) (100) 21 家 の所有 耕作規模 家族 員数 職 業 農地 (relong) (relong) (人 ) dewasa 教 (214) 21 農 (165) 22 雑 男!(191) 22 (88) (101) (219) (138) 女 員 業 役 アラビック ・スクーノレ 大 店 工 農 3 3 3 0 2 2 2 3 工 員 員 業 (178) 20 無 職 (192) 20 農 業 (200) 21 農 業 (207) 21 農 業 (141) 23 農 業 (152) 25 農業 労 働 ( 1relong≒2.5反≒25

a)

4 5 1 8 0 0 1 6 ! 3 5 5 5 0 0 9 8 1 14 0 4 11 9 示 5 5 8 6 0 7 2 7 2 5 6 4 ⋮ 6 6 6 4 7 2 他 の地方,例 えば, クラ ンタン州のイスラム塾 (pondok)に出かけ る 6) 更 に,貧農 の息子で も早 く結婚 で きるのは,婚 資金 の問題 は夫 と離 婚 または死別 した女性 (janda)と の結婚 の場 合には全 く性 格が異 な って来 るとい う事情 に もよる。 す なわ ち,janda と結婚す る場 合に は,婚 資金が低額 で済む。 この村 で は,後述す るよ うに,離婚 ・再婚 の事例が多 く,貧農 男子 といえ ども初婚 の娘 を求 めなければ,婚 資金 の故に晩婚にな るとはいえないのであ る。 しか し,実際 には, この よ うな事例は きわ めて少 ない。 - 7 -7

(7)

東 南 ア ジ ア 研 究 帝4巻 簡 1号 表 8 夫 妻 の 初 婚 年 齢 -:; 1964.10. 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28∼ 不明 1 2 1 1 1 計 2 3 2 22 13 30 10 9 9 2 15 2 3 4 0 4 2 2 ※ 初婚の夫妻について 巡査,助産婦,ホスピタル ・アシスタン ト,官吏を除 く 7) 考 え て い る。 2.配 偶 者 の 選 択 婚 姻 年 令 が低 い とい うこ と もあ るが , イ ス ラ ム教 的 な男 女 隔 離 の思 想 の影 響 もあ って, 村 の 日常 生 活 に お い て は, 青 年 男 女 の問 で は結 婚 相 手 を 自由に 求 め る機 会 は な い。 若 い 男女 が互 い に 話 し合 う機 会 は, ご く親 しい 近 隣 や 親 族 の問 で さえ も, ほ とん ど見 られ な い。 結 婚 適 令 期 の 男 女 が 語 らい合 うこ とは, 最 も恥 ず (malu)べ き行 為 の一 つ と考 え られ て い る。 中年 の既 婚 婦 人 で さえ, 路 上 で 出会 った 知 人 の男性 に 挨 拶 もせ ず に通 り過 ぎ る。 村 の 内 で は, た だ , 結 婚 披 8)

露 の祝 宴 (kendurikahwin)辛 , マ ホ メ ッ ト降誕 祭 の 月 (Bulan Maulud)に 行 なわ れ る コー

7) 村の有力者であるモス クの導師 (imam)の考えは, 一般の村人 とは異な り, 理想的な婚姻年令を男 子25-28才 ・女子18才 としている。つ ま り,人間 として, また社会人 として未完成のまま結婚す るの は よくない とい う。

8) イスラム暦に よる月名は, (1)Muharram 30日

,(

2

)Safer29日,(3)Rabi'-il-awol(Bulan Maulud) 30日,(4)Rabi'・il-akhir29日,(5)Jamad-il-awa130日,(6)Jamad-il-akhir29日, (7)Rejab30日,(8) Sha'-aban 29日, (9)Ramdzan (Bulan Puasa)30日,(10)Shawal(Bulan Raya)29日,(ll)Dzu'-l・ kaedah30日, (12)DZu'-i-hejah29日。 なおイスラム暦の西暦-の換算法については,吉田光邦 「イス

(8)

「1 羽 ,坪 ijJ:マ ラ ヤ 北 西 部 の 稲 作 農 村 ラ ン読 み 大 会 (bachakuran)な どの際 に, 若 い男女 が 互 に遠 くか ら見初 め る程 度 の機 会 しか 与 え られ てい な い。 9〕 従 って,婚 姻適 令 期 に達す る と,婚 姻 相手 の選 択 に の り出す のは, 通 常 , 息子 の親 で あ る。 既 に息 子 の見初 めた 女 性 が あれ ば ,親 は, 自 らまた は 第三 者 を介 して娘 の両 親 との折衝 を は じ め るが, そ の よ うな娘 が い な い 場 合 に は, 友 人 や 親族 に依 頼 して, 嫁 の候 補者 を探 して も ら フ○ 花嫁 候 補 を探 す に あた って,問題 に な るの は,彼 女 の器量 や性 格 と,そ の家庭 の財 産 や社 会 的 地 位 な どで あ って, 家柄 な どは余 り問題 に され な い。 日本 でみ られ る よ うな名家 とか 旧家 とか い うよ うな考 え方 は この村 で は存 在 しな い。 形式 的 に 多 少問 題 に な るのは, コー ラ ンの読 み方 を教 え る私塾 (pondok)で , コー ラ ンを一 通 り読 む ことが で き る ことを披 露 す る儀 礼 (kenduri 10)

khatam kuran)を済 ま してい るか ど うか で あ る。

配 偶者 の選 択 に お い て, 互 いに 結婚 してはな らない 関 係は,(彰親子 ,(卦き ょ うだ い,⑧ お じ 11〕

・おば とお い ・め い , ④ 祖 父 母 と孫 , ⑤継 父母 と継 子 , ⑥′義 父母 と義子 で あ る。 義子 (anak angkat)と義 理 の き ょうだ い とは結婚 して も よ く, い と こ同志 も結婚 して も よい。 い と こ婿 に つ い ては,平 行 い と こ (parallelcousin)と交差 い と こ (crosscousin)との間 の区別 は ない。 い と こ婿 の実 例 は, 判 明す る限 りでは,平 行 い と こ婚 3, 交 差 い と こ婚 1,計 4例 あ るのみ で, これ だ け の例 では どち らのい と こ婚 が 多 い と も考 え られ な い。 村 人 の間 で は, い と こ婿 が よい とす る考 え と望 ま し くな い とす る考 え とが 並存 して い る。 い と こ婚 が望 ま しい とす る理 由は, (1)夫 婦 が互 いに仲 よ くな り易 いか ら, (2)い と こ婚 は親 戚 同志 の関係 を よ り強 め るか ら, (3)夫 婦 間 に喧 嘩 が お こって も簡 単 に は離 婚 しな いか ら, とい うもので あ り, い と こ婿 を避 け よ うと す る理 由は,離 婚 が 発生 した場 合 , 親 同志 の仲 が悪 くな るか らとい うので あ って, いず れ も 自 分 の経 験 に立脚 して, 集 団結 合 に 及 ぼ され る影 響 を考 え てお り, 血 の交 わ りとい う観 点は余 り 重 視 され て い な い。 『離婚 が 発生 した場 合 ]を重 視す るのは , マ レー人社 会 一般 にみ られ る高 い離 婚 傾 向を背 景 と して い る。 婚 姻 相手 の娘 を選 ぶ場 合 , 息子 の意志 は 決 して無 視 され な い。 候 補 者 が 見つか れ ば ,息子 は, 自分 で ,そ の女 性 の様 子 を遠 目に 見 に 出か け (pergimenengok)さえす る。 娘 が 親 の決定 に 反対 す る ことは町 に おい てはみ られ るが , この村 で は ほ とん ど考 え られ な い といわ れ てい る。 しか し, この こと も,娘 の意志 が全 く無 視 され てい る ことを 意味 す るので は な い。 娘 の婚 姻午 令 が低 いた め に反 対 す るだけ の判 断 力 を持 たぬ こと, 娘 は異性 に 関す る話 につ い ては非常 に惹 恥 心 を いだ くこ とが そ の主 な理 由で あ ろ うが, 両 親 は娘 の意 志 をで きるだけ 察知 しよ うと努 め 9) 娘の親は受身にな らねばな らないと考え られている。 10) 男女 とも14,5才で行なわれているが,この儀礼をや っていない者 も少な くない。その場合には,形 だけでも婚礼 (bersanding)の前に儀礼を行な う。 ll) A.Ibrahim:o♪.cit.,p.194. - 9 - 9

(9)

東 南 ア iy ア 研 究 帯 4巻 第1号

る。

花 嫁 候 補 が ほぼ 決 まれ ば , 息子 の 父親 か 他 の男 の血 縁 者 が , - ソカチに 包 んだ ビ ン ロ ウジを 入 れ る容 器 (bekassireh)を 携 え て娘 の家 を 訪れ る。 この容 器 は , 先 方 に嫁 さが しのた め に 訪 問 した ことを 間接 的 に知 らせ る印 で あ る。 挨 拶 の しか た も定 ま って お り, 『私 が こ こへ 来 た 目

的 は , あなた の庭 の花 を摘 む た め です』。 "Sayadatangkasinikeranahendak (berhajat)

memetek (sunting) sa-kuntum bungadaritamantuan."とい う。 直接 的 な表 現 を用 い る

ことは, 大 変 失 礼 で あ る と考 え られ て い る。 何 故 な ら, 先 方 が拒 否 す る場 合 に も, 『お許 し願 い た い。 私 の庭 の花 は まだ 咲 い てい ませ ん ので』。 "Oh,saya minta ampunkeranabunga di-tamansayabelum lagikembung.日 とい うよ うに 間接 的 な表 現 が 用 い られ , 相互 に 言 葉 の 上 で 直接 的 な 衝 突 が 避 け られ るか らで あ る。 この よ うな言 葉 づ か い の作 法 は, 両 者 が他 人 で あ

る場 合 に は , 必ず 守 らね ば な らな い という 。

婚 姻 の話 を持 ち込 まれ た 娘 の家族 では , 一応 , 自分 の親 族 と相 談 して, 娘 を嫁 に や るか ど う か を 決 定 す るが , これ が 決 ま る と次 に お こるのが ,婚 資金 (hantaranbelanja)の問題 で あ る。 す なわ ち, 相 手 の女 性 , 『花 』 の値 を きめ る 日 (harimeminang)が来 る。 これ は ‥ 息子 の 父

12) また は第 三 者 と娘 の父親 の間 で 決 め られ , 娘 の父 親 の意 見 が, そ の額 を 決 め る鍵 とな る。

13)

婚 資金 の額 が き まれ ば ,正 式 の婚 約 の 日(haribertunang)が 定 め られ ,婚 資金 納 入 (hantaran belanja)は , この 日に 行 なわ れ る。 婚 約 の 日は , そ れ ぞれ の家 の事 情 に よ り,一 定 して い ない

14)

が , 普 通 は, イ ス ラム法 に よ る婚 姻 契 約 (akadnikah)の儀 礼 の前 に行 なわ れ る。

婚 資金 (hantaranbelenja)や 他 の 品 々 (pemberian)を 娘 の家 に持 参 す るのは , 息 子 の両 親 は よ くな い とされ , 花 婿 に な る本 人 と近 い男 の親族 や 友 人 が , 娘 の家 に持 参 す る。 また金持

の場 合 に は ,村 の有 力者 も これ に参 加 す る。 そ こで 同時 に , イ ス ラム法 に よる結 婚 契 約 (akad nikah)と登 記 の儀 礼 を行 な う場 合 もあ る。 この 日に は 小 さな共 食儀 礼 (kenduri)が 行 なわ れ ,

マ レー人 の慣 習 (adat)に よる婚 礼 (bersanding)の 日が定 め られ る。

3.婚 資金 (hantaranbelanja,mas-kahwin,pemberian)

村 人 は ,普 通 ,婚 資金 とそ れ と共 に贈 られ る品物 す べ て の ことを mas-kahwinとか,hantaran belenjaとか 呼 んで い る。 しか し, そ の 内容 は 必 らず Lも一 つ の もので は な い。 一 般 に ,han・

taranbelanjaとか mas-kahwinと よば れ て い る ものに は , 次 の三 つ が 含 まれ る。 ① hantaran

12) この額については,次項において述べ る。

13) このような日には吉 日(harielok)が選ばれ る。 しか し,書 目の選び方について,詳 しく知 っている 村人はほ とん どいない。 村人の間では, 金曜 日の礼拝 目の前夜 (malam juma'at)が よい とす る説や 月の明か るい夜が よいとす る説,地 (tanah),水 (ayer),火 (api),夙 (angin)と繰返 され る日の うち,地 または水にあた る日が よい とす る説な どがあるo また BulanMaulud(マホ メッ ト降誕祭の 月)が よいとされ る。 吉 日の定め方があるとい うことを知 っていても,一般村人は,それに余 りこだ わ らな くなって来ているようである。

(10)

口 羽,坪 内:マ ラ ヤ 北 西 部 の 稲 作 農 村

belanja,(卦 mas-kahwin,⑧ pemberianであ る。hantaranbelanjaは,花婿側 が 自分 の意志 に

よって花嫁 側 に贈 る現金 を意味 し,mas-kahwinは, イ ス ラム法 に よる結婚契約(akadnikah)

の儀 礼に おいて,花 婿が花嫁 に支払 う結婚契約金,pemberianは,花婿 が花嫁 に贈 る品物で あ る といわれ, これ らの額 や量 は,akadnikahの時 に, 公式 に記録 されね ばな らない。

この3着 の内,mas-kahwinは,現在 では, イ ス ラム法 に よって, 花婿 か ら花嫁 に与 え られ る結婚 契約金 (mahr)を意味 して,法的 に義 務づ け られ てい るが,本来 は,hantaranbelanja

の一 部 であ った よ うであ る。 そ して,地域 に よって, この義 務金額 は異 な ってい る よ うであ る 15)

が, ケ ダー州では,M $24と定 まってい る。 しか も, 受取 り手 は, あ くまで も花嫁 であ り,

花嫁 の親 では ない。

hantaranbelanjaの金額 は,当該者 の社 会 的地位 ,経 済的事情 ,花嫁 側 の要求額 な どに よっ て異 な って くる。 われわれが 見出 した最低額 は,M $320で,通 常,M $500か ら,M $1,000

といわれ てい る。 これ は,初婚 の娘 (anakdara)の場合 であ り, 再婚 女性 (janda)の場 合 に は,M $180か らM $300位 で あ る。 後者 の場合 ,男性 が 自分 で相手 を見付 け て結婚す る時 に は,hantaranbelanjaを贈 らず,mas-kahwinのM $24のみ で済 ます こともあ る。

pemberianの 内容 も,事情 に応 じて異 な る。 花婿側か ら,hantaranbelanjaをいれ た細工 皿 (bekasduit),sireh(きん まの菓)入れ (bekassireh),上 等の菓子数皿 ,果 物,白砂糖 な ど, 金持 の場合 には13-15皿 ,貧 しい者 は7- 9皿 ,そ のほか,

,指輪 (chinchinsa・bentok), サ ロンの布地 や上着 (baju)な どが花嫁 に送 られ る。 上 記 の食物 の場合,花嫁 側 は,花婿側 に, そ の半分程 度 をお返 ししなけれ ば な らない とい う。

hantaranbelanjaと pemberianは,婚 約 の 日 (haribertunang)に全 部,花嫁 側に手渡す のが理想 的 とされ てい る。 hantaran belanjaが, 花嫁 側 の結婚 のため の準備金 に用い られ る

か らであ る。 しか し,分割払 いや延 払 い (tanggoh)も可能 であ り, 一 部 のみ支払 って,akad nikahの儀 礼 の時 には金額 を記 入 し,残 りは離婚 の時 な どに支払 うことも可能 であ る。 これ は, 再婚 女性 (janda)の場 合に行 なわれ る ことが 多い とい う。 hantaranbelanjaな どの金額 や量

を akadnikahの時 に公式 に記 録す るのは,離婚 の場合 の財 の処分 な どと関連す るか らの よ う であ る,J

4.婚 姻契約式 (akadnikah)と婚 礼 (bersanding)

マ レ-人には,結婚 に際 して行 なわね ばな らない2種 の儀 礼が あ る。 一 つ は イス ラム法上必 要 とされ る婚 姻契約式 (akadnikah)千,他 の一つ は, マ レー人 の慣 習 (adat)に よって行 な われ る婚 礼 (bersanding)であ る。

マ ラヤでは, イ ス ラム教徒 の婚 姻 届は, イス ラム法廷 (mahkamahshariah)に 出 され ,罪

15) M$1.00二子118円。

(11)

東 南 ア i7 ア 研 究 第4巻 第1号

イ ス ラム教 徒 の婚 姻届 は,一般法廷 に 出 され る。 イ ス ラム教徒 の婚 姻届 は, ケ ダー州の イス ラ ム法 に よれ ば, イ ス ラム法廷 の判事 (kathiまた は kadzi)が 司式す る akadnikahに おいて な され る ことに な って い る。 ケ ダー州では, 1郡 (daerah)に1人 の kathiLか い ない ので, akadnikahの司式 は,kathiの権 能 を村 の モ ス クの導 師 (imam)が代行す る。 婚 姻が 法律 的 に認め られ る 目付 けは, この akadnikahの 目付 けであ る。 しか し,わ れわれが一般 に理 解 し てい る婚 礼 は, この婚 姻契約式 (akadnikah)では ない。akadnikahは, しば しば, マ レー 人 の慣 習 で い う婚 約 の 日 (haribertunang)の夜 に行 なわれ るが, そ の後,一般 に1週 間か ら

16)

ときには数 カ月 も遅 れ て婚 礼 (bersanding)が行 なわれ, この間 は,花 婿 ・花嫁 に とってほ, 実 際には婚 約期 間 の よ うな もの とな ってい る。 この期 間 中に,花婿 の両親 は近づ きのために粉 ミ′レク,果 物 な どの贈 り物 を もって, 花嫁 の家 を訪 問す る。 この慣 習は,jurussirehとよば れ てい る。

akadnikahの儀 式 は普通,花嫁 側 の家 で,花嫁 の村 の モス クの導 師 (imam)の司式 の もと に行 なわれ る。 この式 に 出席 しなけれ ば な らない者 は定 まってお り,imam,立 会人 (saksi) 17) 2名,花婿, お よび花嫁 の後 見人 (wali)で あ る。 このほか , 双方 の近親者 が 出席 す るが,花 嫁 自身 は この式 には 出席 しない。従 って,法 的に も実 際的 に も, 花嫁 の waliの役割 は重要 で あ る。waliに な る資格 は, イ ス ラム法 にお いて定 め られ てお り, まず花嫁 の父,つ いで祖 父, 18) 曾祖 父, 兄弟 や異 母兄弟, 兄弟 の息子, 父 の兄弟, 父 の異 母 兄弟 な どであ る。

akadnikahの式 は比較 的簡単 で あ る。 まず 司式 役 の imam が, イ ス ラム法 の婚 姻 の規 定 に 関す る部分 を マ レー語 で読 み あげ, 書類 に花婿 と花嫁 の名, 双方 の 両 親 の 名,identity card

の番号, 住所 , 年令 な どを記 入 し,waliと立 会人 の名 も記 入 して, 花 婿 と立 会人 に署 名 させ る。 そ して imam は, 側 に い る花婿 の右手 を と り, 結婚 を認 め る旨を伝 え, 花 婿 は相 手 の花 嫁 と結婚 す る旨を誓 う。imam は花嫁 の waliに, この誓 いを認 め るか ど うか を確 認 し, 最後 は イス ラムの祈 り (doaselamat)で式 が閉 じられ る。

akad nikah が形式 的 な 婚 姻 認証 の 儀 礼で あ る とす るな ら, bersanding は, 盛 大 な 祝宴

(kendurikahwin)を伴 う婚 礼 であ る。bersandingは花嫁 の家 で行 なわ れ, 次 いで花婿 の家 で も行 なわれ る。 しか し, bersandingに はか な りの費 用がかか るので, 花嫁 の家 で しか行 なわ れ ない場合 もあ り, これ は sambutmasak(熟 した儀 礼) と呼ばれ る。 これ に対 して, 双方 の 家 で行 なわれ る場合 には, sambutmentah(未熟 の儀 礼) と呼ばれ る。 再 婚 の男性 は, ber -sandingを行 なわず, 再婚女 性 (janda)の場 合には, 花嫁 側 におけ る bersandingを も略す る

16) 相当盛大な祝宴 (kenduri)が婚礼のときに行なわれ るが, 婚礼が akadnikahの目か らかな り遅れ るのは,一般的に言 って,この稲作地域では,それが稲の収穫後の農閑期に行なわれ るためである。 しか し,このような事情がなければ,akadnikahとbersandingの間の期間は長 くはない。 17) 通常,花嫁側の村のモスクの役員 orangsapulohがなる。 18) A.Ibrahim:op.cit.,p.179. - 12

(12)

口 羽 , 坪 内 :マ ラ ヤ ]ヒ 西 部 の 稲 作 農 村

場 合 もあ る。 しか し, この よ うな場 合 で も,披 露 の意 味 に お い て ,祝 宴 (kendurikahwin)は , 双 方 に お い て行 なわ れ るのが 通 例 で あ る。

花 嫁 の家 で は,bersandingの 目の1週 間 程 前 に な る と, 父親 が, 村 長 (ketuakampong), imam な どの モ ス クの役 員 (orang sapuloh), 村 の他 の 長老 (orang tua-tua)な どを招 き, bersandingの 日の祝 宴 に つ い て 相 談 す る。 祝 宴 に 関す る 一 切 の仕 事 の 指 図 をす るの は, 村 人 が この よ うな と きに 使 用す るた め に共 同 で購 入 した 皿 や 茶 わ ん の 使 用権 を持 つ 組 合 (sharikat

19二) pinggan mangkok)の長 (ketua)で あ る。

bersandingの祝 宴 の た め の準 備 は, 前 日か ら進 め られ, そ の夜, 祝 宴 の た め の水 牛 が 殺 さ れ る。 そ して, 当 日は早 朝 か ら料 理 に と りか か る。 主 な 力 仕 事 は 男性 が 行 な い, 料 理 は 近 隣 (jilan)や 親 戚 の女 性 が 手 伝 う。 祝 宴 に招 待 され るの は 男 性 だ け で あ り, 村 の有 力者 や, 近 隣 , 親 戚 の者 で あ るが, 彼 らは, 贈 り物 (hadiah)を もって や って来 る。 贈 り物 は 家 に よって異 な るが, 普 通 , 近 隣 者 が持 参 す るのは菓 子 (kuell)で あ り, 特 に 親 しい者 や親 戚や村 の有 力者 な どが, サ ロ ン用 の布 (kain), マ レ-風 の シ ガ-, コ ンデ ンス ミル ク, 種子油の缶 詰 , 石 鹸 ,. パ イ ナ ップル な どを贈 る。 現 金 の場 合 は,

M $1.

0

0

程 度 で あ る。 贈 り主 と品 名はす べ て 記 録 され, 贈 り主 の 祝 い ご との時 に お返 しで きる よ う参 考 の た め に 当 該 家 の親 に よって 保 存 され る。 集 まった者 は ,社 会 的地 位 の高 い老 ほ ど,家 の奥 に入 り,他 は 入 口の と ころに 臨 時 に 作 られ た 広 い縁 (balai)に座 る。 家 の 中は, カ- テ ンに よ って二 つ に仕 切 らjt, カ ー テ ンの裏 側 に は, 花 嫁 や 親 族 の 女性 が 集 ま り,bersandingの た め の飾 りや 用具 は ,カー テ ンの表 側 の部 分 に おか れ る。 集 ま って来 た もの は, イ ス ラム教 の祈 り (doaselamat)の後, 食事 (kenduri)に あず か る。bersandingの儀 礼 は, 普 通 , 夜 に な って か ら行 なわ れ る。 室 内に は, 王 座 に 似せ て 飾 りた て た 座 席 (pelamin)が 用意 して あ り, サ ル タ ンとサ ル タ ン 妃 の よ うな服 装 を した 花 婿 と花 嫁 が , 花 婿 は 向 って左 側 , 花 嫁 は 向 って右 側 に座 るだ け で あ る が , これ が婚 礼 の 中核 とな って い る bersandingと よば れ る儀 礼 で あ る。 この儀 礼 で も人 々は お祈 り (doaselamat)をす るが, この間 , 席 につ い て い る花 婿 と花 嫁 とは, 両 手 を 掌 を下 に 向け て ひ ざの上 に置 き, お 祈 りが 終 る と掌 を上 に か え す 。 この儀 礼 の後 に, 客 は 帰宅 す る。 花 嫁 の家 で の bersandingの後 に ,花 婿 は 自分 の家 に 帰 り,次 の 日あ るい は数 日の 内に ,花 婿 の家 で再 び bersandingを 行 な う場 合 が あ る。 これ が sambutmentall と よば れ るbersanding の形 式 で あ る。 この婚 礼 は, 花 嫁 の家 で行 なわ れ た もの と同様 か , と きに は, そ れ 以 上 に盛 大 で あ る。 この場 合 に は, 婚 礼 が は じめ られ る と き, 花 婿 の家 か ら花 嫁 の家 - 迎 え の一 行 が さ しむ け ら 19) パダソララン村には, このような組合が三つある。 これ らの組合については,村の構造を理解す る上 に重要であると思われ るので,次の楼会に詳述す る。 - 13- 13

(13)

東 南 ア ジ ア 研 究 第4巻 第 1号 れ る。 一行は, 花婿 自身 と tukangjantan (花婿 の メーキ ャ ップ をす る男), 数名 の老人,数 名 の友人 な どか ら構成 され る。 一行は,花嫁 の家で馳走 にあずか り,そ の後, 花嫁 と花婿は, 花嫁 の親族 に会 う。 この とき花嫁 の親族 は,花婿に祝 いの金 を贈 るが, この金額 は花婿 の付添 いに よって記録 され る。 これが済む と, 一行は,花婿 と花嫁 の付添若干 名を伴 って,花婿 の家 に戻 る。 花婿 の家では,再 度 の bersanding と祝宴が行 なわれ るが, この夜, 花嫁 は, 3人 の 付添い,す なわ ち,tukangperempuan (花嫁 の メーキ ャ ップをす る人),老人,友人 と共に, 花婿 の家に留 ま らねば な らない。 翌朝,花嫁 は,花婿 と双方 の親族 に よって彼女 の家に送 り届け られ, 花婿は花嫁 の家に2晩 泊 る。 この後,花婿 と花嫁は,花婿 の家 で2晩,更 に花嫁 の家で 3晩,花宿 の家で 3晩, そ し て最終的に,それぞれ の家で

7

晩ずつ泊 る。 この往復 の間に,新 郎新婦は, 双方 の親 戚の老総 20) てに紹介 され る。

花嫁 の家でのみ bersanding を行 な う sambutmasak の形式 では, 花婿 は bersanding の 夜 を含 めて3晩,花嫁 の家に通わね ば な らない 。 4日目に花婿は,数人 の者 と一緒に来 て,花

嫁 を 自分 の家に連れ て帰 る。 花嫁 の家では,村 の有 力者や近隣 の者,親族 な どを招待 して,比 較 的小 さい祝宴 (kendurikahwin)のみを行 な う。 そ の後,新 郎新婦 は,sambutmentahの 場合 と同様 に, 双方 の家を往復す る。 新夫婦 の床 入 りの時間は, 双方 の父親が相談 して決め る。 sambutmentah の場合には, 花 婿 の家での bersanding が終 るまで,床入 りを行 な っては な らない。 以上が, パ ダンララソ村 の婚 礼に関す る儀 礼 の大要 であ る。 昔は, このほかに もいろいろな 儀 礼や慣 習が行 なわれ ていた よ うであ るが, 現在 では, 上記 の bersanding と祝宴以外には, 何 も行 なわれ ない。

5.

婚 姻 の費用 とそ の調達 村人が婚 姻に際 して必要 とす る費 用は, 稲作 のみに主 力を注 ぐこの地域 の農民 の経 済 を考慮 に入れ ると,か な り負担 の重 い ものであ る。 事実,子供 の結婚 のために多額 の借金 を して,農 地 を失 な うとい う例 も少な くない。 従 って, マ レー シアの各地 では, イス ラム教が本質的に要 求す る形式 に よって婚 礼を行 なえば, 出費 も少 な くて済む とい う理 由の もとに,婚 礼 の簡素化 が,政府 の宗教 関係者 に よって力説 され てい る。 しか し, この よ うな見解 は,村 の中ではほ と ん ど問題に され ていない。 そ こで,す でに述べ て来た よ うな婚姻には, どの程度 の費用が入用 21) なのか を考察 してみ よ う。 まず,花婿側 において,最 も重要 な出費 と考 え られ るのは,花嫁側 に贈 るhantaran t光lanja で,既述 の よ うに,M $ 300か ら M $ 1,000の現金が必要であ る。 hantaran belanja に伴 う

20) この儀礼的な往復はsambut・menyambutと呼ばれ,事情により,適当に変形される。

21) ここでは初婚の場合のみを考えることにする。

(14)

4-口 羽 ,坪 内 :マ ラ ヤ 北 西 lfl二の 稲 作 農 村

い ろい ろな 贈 り物 (pemberian)の 中,指 輪 は必 ず 贈 られ るが, 最 低M $ 12か ら最 高 M $60

位 の ものが 用 い られ る。pemberianに は,そ のほか ,花嫁 の靴 や衣 服 のた め の布 地 な どが あ る が , これ らの価 格 は事情 に よって異 な る。 mas-kahwinは, 先述 の ご と く, M $ 24と定 め ら れ て い る。

akadnikahに お い ては,imam に対 してM $ 12, 2人 の立 会 人 (saksi)に はM $3ず つ, 政 府 に対 して はM $2, 計M $ 20が 必 要 とされ るが, この費 用 は, 花 婿 ・花嫁 側 が, そ れ ぞ

れ M $ 10ず つ 分担 す る。

花 婿 の 父親 が花嫁 側 に婚 約期 間 中に 贈 る品物 (jurussireh)の費 用は,M $ 10か ら M $40

程 度 で あ る。

婚 礼 (bersanding)の際 の花 婿 側 の費 用 と して は, 花婿 の衣 装 と, 祝宴 (kendurikahwin)

のた め の費 用が 主 な問 題 とな るが, これ は,bersandingを花 嫁 の家 だ け で行 な うか (sambut masak), 花婿 の家 で も行 な うか (smbutmentah)でか な り異 な って くる。 花 婿 の婚 礼衣 装 は, 1着 M $ 30程 度 で あ るが,sambutmentahの場 合には ,衣 装 をか え て行 な うことが 多 い の で, 2着 を必 要 とす る。 衣 装 のほか の装 飾 品を も加 え る と,sambutmentahに必 要 とされ る衣 装 お よび付 属 品 の総 額 は ,M $90か らM $ 150に な るO若 干 の者 は 貸衣 装 を 用 い る。 マ レ ー式 の場 合 には, ア ロール ス タ-C7)近 くの アナ ブキ ト(AnakBukit) や クア ラケ ダー (Kuala Kedah)の マ レー人 の店 か ら, 西 洋式 の場 合 に は, 7 ロール ス ターの 中国人 か ら借 りるが, マ レー式 衣 装 の借 料 は, 1着 分 M $ 10程 度 で あ る。 祝 宴 の費 用 もまた, sambutmasak と sambutmentah a)場 合 で か な り異 な って来 る. sambutmasak の場 合 に は, カ レー料 理 のた め の薬 味 類, パ イナ ップルな どの果 物, さわ ら 22〕

(ikan tenggiri),南 洋 特 産 の さば また は あ じに似 た魚(ikantemenollg,または ikankembong), 水 牛 また は午 の 肉, 鷲, 砂 糖, コー ヒーな どの購 入 費 と して, M $ 100-M $200程 度, 米 は

23) 24)

10gantangか ら 20gantang程 度 で あ る。 sambutmentahの場 合 には, 水牛1頭 , そ の 他 の食料 品 のた め に,M $ 100-600, 米 の消費量 は 25-70gantangで あ る。 しか し, 祝 宴 の た め の費 用は, そ の規 模 に よって 相 当異 な るの で, は っ き り した ことは い え な い。

以 上 は花 婿 側 の諸経 費 であ るが ,共 通 の経 費 を除 い た花嫁 側 の主 な必 要経 費 は ,婚 礼 の祝 宴 の 費 用 と,婚 礼衣 装 ,装 身 具 ,さ らに,通 常 花嫁 側 が購 入す る新 夫 妻 用 の ベ ッ ドの費 用 な どで あ る。

祝 宴 の費 用は, 花 婿 側 の sambutlllentahの場 合 に ほほ匹敵 す る。 花嫁 側 では, この外 に, akadnikahの と きに行 なわ れ る比 較 的小 さい共 食 の宴 (kenduri)の費 用 も必 要 で あ る。,

花 嫁 衣 装 は, 1着 あた り,M $ 15-40位 で あ るが, 花 婿 と同様,sambutmentahの場 合 に

22) これは上等な魚 と考え られている。

23) 購入す る場 合, 1gantangあた l)M $ 1.50-M $1.70。 1gantang- 1英ガ ロン'-て4.551)ッ トル

24) 通常, 自分の家で飼育したものを用いるが,購入す るとすれば,M $100-400程度。 15

(15)

は,

2

着 分 を 必 要 とす る。 この ほか , 装 身 具 と して, 宝 石 のつ い た 冠 , また は スチ ール製 の冠 をか ぶ るが , 安 い もの でM $11 くらいか らあ る。 花 嫁 は 同時 に, 金 の 首 飾 り, 耳 飾 り, 腕 輪 な ど を帯 び るが, この額 は, 貧 乏 な 者 で は きわ め て 少 な くな り, 金 持 では きわ め て 多 くな る。 これ らの装 身 具 は, 婚 礼 の た め に 買 うば か りで な く, 花 嫁 の財 産 と して両 親 が 平 素 買い与 えた もの も含 まれ るの で, 婚 姻 に 際 して, どれ だ け 買わ ね ば な らな い とい う性 格 の もの で は な

い。

新 夫 婦 のた め の ベ ッ ドは, 最 も高価 な もの で,M $ 1,200も す るが, 通 常 M $50-300程度 で あ る。 ベ ッ ドの価 格 が 非 常 に 高 い の は, ベ ッ ドと マ ッ トのみ な らず , 付 随 して い る蚊 帳 や 装 飾 品 のた め で あ る。 結 局 , 花 嫁 の場 合 に は , 装 身 具 な どを考 慮 に 入 れ る と, 婚 姻 費 用 は きわ め て尤 大 に な る こ と が あ るが, これ らは 結 婚 のた め に不 可 欠 の もの で は な く, 花 嫁 に と って ど うして も必 要 な もの は, 祝 宴 の費 用 と衣 装 代 で あ る。 花 婿 側 と花 嫁 側 で必 要 な経 費 を, ま とめ て表 示す る と, 表 9 の よ うに な る。 この表 の金 額 は, 表9 初婚の場合の婚姻費用 1964.10. 花 椿 最 低 最 ー_轟_ M S M $ 300 1,000 12 60 ? ? 24 24 10 10 Hantaran belanJa 指 輪 そ の 他 贈 り物1) Mas・kahwin 婚 姻 登 記 料 Akad nikahの kenduri Jurussireh 婚 礼 衣 裳 装 身 具 婚礼の 祝宴 費 (食宗品;≡ 夫 婦 用 ベ ッ ド 10 30 15 100 花 嫁 低 最 M S M S 00 1 6 00 4 6 ︼■、■也2 80 A ・ 80 00 00 6 3 計 1 501 1,884 : 235 1,130 1) 靴,服地,菓子な ど。 2) 首飾 り,腕輪な ど装身具の費用は,最高 ・最低の差が き わめて大 きい。 また, これ らは 日帯買い貯め られ る場合 もあ る。 3) ここでは貨幣価値に換算 したが,金持の場合は通常保有 米を用いる。 4) 最高の場合, これに牛1頭が加え られ る。 表10 類型別農家 の農業収入 1964.10. ! ・是芸義認 サ ン プ - 座 業収 入 作面積 (relong) 耕 作 地 主 (自作 +貸 出 +小作) 耕 作 地 主 (自作 +貸 出) 日 中 作 小 作 (大規模専業) 自 作 (小規模専業) 自 作 (小規模兼業) 小 作 (小規模専業) 小 作 (小規模兼業) 数

.

(

志実代)

20 2 9- ll 7′-′10 8- 10 1- 6 1- 6 1.・- 5 1- 5 3 9 8 13 7 却 l

(16)

Lj 羽 ,坪 内:マ ラ ヤ 北 西 部 の 稲 作 Il注トナ 村 人 の述 べ た 費 用 の最 低 と最 高 の場 合 を, 花 婿 と花 嫁 に つ い て, 概 算 した結 果 で あ る。 す なわ ち, 花 婿 の側 では,M $500-2,000を必 要 と し, 花 嫁 の側 で は,M $235-1,000以上 を必 要 とす る。 この よ うな金 額 は, 村 の農 家収 入 と比 較 した 場 合 , 非 常 に大 きな もの で あ る。 (表10参照) この村 で は, 年 間 農 業収 入 M $1,000以下 の農 家 は, 全 農 家 数 (135戸 ) の なか ば を 占め て お り, この外 に も, 全 然 農 地 を所 有 しな い不 安 定 所 得 者 (農 業 労 働 者 , 雑 役 , 魚 行 商 ) が, 全 戸 数 の16.5% (34戸 ) も存 在 す る。 従 って, 婚 姻 の た め の 資金 の調 達 は, 村 人 に と って大 変 な 問 題 とな る。

hantaran belanjaの延 べ 払 い (tanggoh)は , 初 婚 の場 合 に は, 既 述 の よ うに, 余 り行 なわ れ な い の で, 一 般 に, 花 嫁 側 よ りも花 婿 側 の費 用 が ず っ と多 い。 さ らに, 花 嫁 側 は, 贈 られ た 婚 資金 を, そ の ま ま婚 礼 の 費 用 に あ て る場 合 が 多 い。 従 って, 特 に婚 姻 資金 の調 達 の面 で 問 題 に な るのは, 花 婿 側 で あ る。 息 子 を結 婚 させ よ うとす る両 親 は, 相 当 裕 福 な者 で な い限 り, か な りの期 間 , そ の た め の貯 蓄 をす る必 要 が あ る。 長 い もの で,

6

年 間 もか か って金 を た め て い 25) る例 が あ る。 しか し,金 が 急 に 必 要 な場 合 ,あ るい は不 足 して い る場 合 に は ,収 穫 に 籾米 (padi) で返 済 す る paditimor(また は padikuncha) と よば れ る形 式 で 中国 人 か ら借 金 をす る こ と

26 が よ くあ る。 婚 姻 が収 穫 期 に行 なわ れ て, 現 金 が あ る場 合 に は, 当 座 は 借金 を しな くて も済 む が ,保 有 米 が 早 くな くな って, 結 局 借金 を しなけ れ ば な らな い とい う事 態 が 生 ず る こ と もあ る。 27) 借 金 は, 主 に花 婿 側 で行 なわ れ るが , と きに は 花 嫁 側 で行 なわ れ る場 合 もあ る。 この よ うな 支 出に対 して, 婚 礼 の際 , 村 人 や 親 戚か ら贈 られ るのは, 既 述 の よ うに, 大 体 消 耗 品 で あ り, 現 金 は M $ 10-80程 度 で, ほ とん ど結 婚 費 用 の補 足 とは な らな い0

6.

婚 姻 後 の 居住 地 婚 礼 とそ れ に続 く双 方 の家 の儀 礼 的 往 復 の後 , 問 題 に な るの は夫 婦 の居 住 地 で あ る。 第 1才 の 出産 の世 話 は, 一 般 に, 妻 の両 親 が 行 な うこ とが 多 い の で, 出産 に 関 して は 妻 方 - の依 存 度 が 高 いが, 新 婚 夫 婦 は しば ら くの 間 は 双方 の家 に 交互 に住 み. そ の後, 核 家 族 と して独 立 した 世 帯 を持 つ か , 拡 大 家 族 の一 部 分 と して, いず れ か の親 と共 住 す る こ とに な る。 どち らの側 に 住 む か は, 通 常 , 結 婚 前 に 双方 の親 族 が 相 談 して 決 め るが , 双 系 制 とい うこの村 の親 族 組 織 の 基 本 原 理 か ら して も, また均 分 とい う家 産 相続 の土着 の様 式 か ら して も, 本 質 的 に どち らの家

25) 8relong(約2ha)の農地を耕作 している小作農の場合で, mas・kahwin

+

hantaranbelanjaはM $ 464,現金支出の合計はM $ 706であるD

26) paditimorな どの詳細については, 口羽 ・坪内 ・前tll「マラヤ北西部の稲作農村- 農地所有の零細 化について

『東南 アジア研究』 第 3巻第 1号 (1965年6月)46-48頁参照。

27) 例えば,ll.5relongの農地を耕作 している農家で,娘の婚姻のため,花婿側か ら mas-kahwi n+ha-ntaranbelanjaをM $524受取 り,

t

1分では約M $900を支出 して,中国人か ら現金 M $150を侶 用,翌年,籾米で 2kuncha(M $180に相当)を返済 している例があるC この場合,祇宜のために水

牛 1頭を M $245で買 った ことが大 きくひびいている。

(17)

東 南 ア L> ア 研 究 帯4巻 第1号 族 と共 住 しなけれ ば な らない とい う社 会 的 な規 制 は ない。 そ こで, 新 夫 婦 の居住 地 は, 実 際 に ど うな って い るか, また どの よ うな要 因に規 定 され て い るか につ いて, 次 に考 察 してみ よ う。 現 存 の世 帯 主 夫 妻 につ い て, 彼 らの婚 姻 後 の居住 地 を調 べ てみ る と,表

1

1

の よ うに な り, 夫 方 居住 の場 合 が, 妻 方 居住 の場 合 よ りもか な り多 い。 また, 夫 方 で も妻 方 で もない neOlocalの 場 合 も少 な くない。 表11の諸 ケー スの うち, 村 内婚 以外 の場 合 に は 資料 が不 足 してい るので, 村 内婿 につ い ての 衣, 夫 妻 の経 済 力 を分析 してみ る と,表

1

2

か ら表

1

4

の よ うに な る。 表

1

1

婚 姻 後 の 居 住 地,※ 1964.10. 村 内 婚 歪登 o代お f妾領 o代捗 村 内 婚 以

夫が40代 以下 実 数

(

形) 夫 が50代

以上

実 数 (

形)

Patrilocal Matrilocal Neolocal 夫 妻 共 村 内 夫村内妻村外 夫村外妻村内 し夫 妻 共 村 外 計 13 (43.4) 10 (33.3) 7 (23.3) 12 (100.0) 0

(

0.0)

o (

0.0) 36 (52.2) 13 (18.8) 8 (ll.6) 4 (5.8) 8 (ll.6) 15 (34.0) 9 (20.5) 4 (9.1) 4 (9.1) 12 (27.3) 69 (100・0) l 44 (100・0) ※ 戸主夫妻の現婚姻について 巡査 ,助 産婦, ホス ピタル ・ア シス タ ン ト,官吏を除 く。 また不 明 4を除 く。 表

1

2

村内婚・Matrilocalの場合における夫妻の経済力夫妻 1964.10. 屋敷地 農 地 屋敷地 農 地 ケ -ス数 備 考 強い場合 妻 方の 経 済 力 が い 場 合 ほ ぼ 等 し 18 × × 相

B.

S

.

未 末 ・B.S. 相 相 × × 依 依 × × 依 未 末 末 依 依 未 未 依 末 未 依 依 依 ll 1 1 弓 2 18 1 1 2 F l l 2 l :) 2 計 妻相>夫B.S. 棉-相続 あ り 未 ・-未相続 B.S.-・自分で買得 依 -親な どに依存 ×-・土地な し

(18)

口 羽 ,坪 内 :マ ラ ヤ 北 西 部 の 稲 作 農 村 表13村 内婚 ・Patrilocalの場 合におけ る夫妻の経済力 1964.10. 強 い 場 合 夫 方 の 経 済 力 が 妻 万 よ り も い 場 合 ほ ぼ 等 し 経 済 力 が 夫 妻 屋敷地農地屋敷地農地 相相 相 相

未依× 嘉未× 相相 相 相 :・依高依依依有× 妻が合弓相相 方強 のし、 依 末 万場 × × l 計 ケ ー ス執 備考 × !5 1 7 日 H 1 1 1 l 1 3 1 × 末未 相相×× 朗 依 × 譲 末 末 i 5 1 1 33 itH F: T: 夫 B . S .> 妻和 事相続小 夫相続小,妻方 よ り 借 地 妻方 農 地所有>美 方農 地所有 相・・・相続 あ り 末 -・末相続 BIS・・-自分で買得 依・・・親 な どに依存 育 -相続に よるものか,ち.S.に よるものか不明であ るが土地 あ り ×-土地な し 表

1

4

村 内婚 ・Neolocalの場 合におけ る夫妻の経済力 1964.10. 夫妻 .ケ - ス数 ;崖敷地 農 地 崖敷地 農 地 ! l × × × × 2 ほぼ等 しい場合 Xx : S三 。 霊 三 5 × 依 × × 1 妻方 の経済力大 と 末 末 依 依 1 計 . 7 末-未相続 依 -親な どに依存 share-兄弟な どと共有 ×・-土地な し 妻 方 居 住 の 場 合 に は, 妻 方 の 経 済 力 が 夫 方 よ りも強 い 場 合 が 大 部 分 (10ケ ー ス 中8) を 占 め, ほ ぼ 等 しい 場 合 が 2 ケ ー ス存 在 す る。 若 干 の 例 を 挙 げ て み よ う。 例 1(裏 方 の経 済 力 が 夫 万 よ り も強 い 場 合) 世 帯 番 号227, 戸 主 の年 令 35才 の ケ ー ス で は , 夫 の両 親 に は 所 有 地 が な く, 従 -つて, 彼 は 農 地 の 相 続 を 全 然 受 け て い な い 。 これ に 対 して, 妻 の 祖 母は 40relong (約 10ha) の 農 地 を所 有 して お り, 妻 は そ の 中5relong (約 1.25ha) の 相 続 を 受 け , 2relongの屋 敷 地 を 自分 で購 入 して い る。 例

2

(妻 方 の経 済 力 が 美 方 よ りもや や 強 い場 合 ) 世 帯 番 号129, 戸 主 の年 令 35才 の ケ ー スで, 夫 の 父 は 農 地 5relongと屍 敷 地 2relong を 所 有 して い るが , 夫 は 未 だ 相 続 を うけ て お らず , き ょ う だ いは 6人 で あ る。 妻 の 父 は 農 地 8relong と 監 敷 地 0.5 relongを所 有 して い る。妻 も また未 だ 相 続 を う け て お ら ず , 7人 き ょ うだ い で あ る。 以 上 の よ うに , 妻 方 の経 済 力 は 夫 万 よ りや や 良 い が , 妻 の 弟 妹 が 未 だ 若 いせ い も加 わ っ て, 夫 婦 は 妻 の 父 の 屋 敷 内 に 住 み , 妻 の 父 の 農 地 3relongを 小 作 して い る。 - 1919

(19)

-東 南 ア ジ ア 研 究 第4巻 第1号 例

3

(双方 の経済 力がほほ 等 しい場合 ) 世 帯番号 171, 戸主 の年 令30才 の ケー スでは, 夫 の母 の父 名義 の農地 が5relongあ るが,夫 は何 の相続 も未 だ うけ てお らず , 弟妹3人 は,未 だ両親 と共住 してい る。 妻 の両親 は土 地 を全 然所 有 してい ないが,村 外 に住 む大 地主か ら,農地8relongと巌敷地 3/4relongを借 りてい る。 妻 の き ょ うだいは3人 で,弟は既 に結婚 して隣村 に住 み,妹 は 両親 と共住 してい る。 夫婦 は妻 の 父 の星敷地 内に居住 し, 妻 の父が小 作 してい る農地 の うち, 1.5relongを又借 り (sewaatas sewa)してお り, また夫 の父か らも農地2relongを借 りて い る。 夫 の父は屋敷 地 lrelengを 他人か ら借 りて い るが,屋敷地 内には,既 に夫 の兄が 別 の家屋 を建 てて住 んでい るので, この ケースでは,屋敷 地 のために裏 方居住 に な った もの と思わ れ る。 裏 方居住 に対 して, 夫万居住 の場合 には, 夫 方 の経済 力が よ り強 い場合 が約

7

(

2

5

ケ-ス 中17ケー ス),経 済 力が ほぼ等 しい場合が2割 (5ケー ス) を 占め る。 妻方 居住 の場合 と異 な る点は, 妻方 の経 済力が強 い場 合 が3ケー スみ られ る ことであ るが, この場合 で も, 1例 を除 けば,経 済力 の差 はそれ ほ ど大 き くない。 そ れ ぞれ の事 例 を若 干挙 げ る と, 次 の よ うに な る。 例

1

(夫方 の経 済 力が よ り強 い場合 ) 世 帯番号 219,戸 主 の年 令75才 では, 夫 が農地 11relongと屋敷地 2relongを親か ら相続 し てお り, 妻 は親 に所 有地 が なか ったため, 何 も相続 して いない。 例

2

(夫 の経 済 力 の方がやや強 い場合 ) 上記 とほぼ似 た ケースであ るが,世 帯番号 199, 戸主年 令55才 では, 夫 の両親 に 20relong の所有 地 が あ ったが, 夫 はそ の うち農地 8relong, 屋敷地2relongを相続 した。 妻 は, 親 が 13relongの土地 を持 っていて, そ の うち農地4relongを相続 してい る。 ただ し, この場合, 夫 は臣敷 地 を姉 妹 と共 同所 有 して い る。 例

3

(双方 の経 済 力が ほぼ等 しい場合 ) 世帯番 号 223,戸 主 の年 令29才 の ケー スでは, 夫妻 と も, 両親が 無産 であ るた め, 土地 の相 続 を うけ てお らず,全 然土地 を所有 していない。 農地 1relongと屋 敷地1.5relongを, 他村 に 居住 してい る夫 の父 の き ょうだ い (お じ)か ら借 りてい る。 例

4

(妻方 の経 済 力が よ り強 い場 合 ) 世 帯番 号

1

6

7

, 戸主 の年令

6

2

才 の ケー スでは, 夫 妻 とも再婚 で, 夫 は父に属 していた農地 お よび屋敷地 各lrelongを妹 と共 有 し, 妻 の両親 は農地 を 29relong所 有 してい るが, 妻 は未 だ 相続 を うけていない。夫 妻 は,夫 方 の屋敷地 に住 み,夫 が妹 と共 有 してい る農地 lrelongを耕 作 し, 妻 の父か ら6relongを小 作 してい る。 この事 例 では, 妻 方 の経 済 力がは るか に強 いが, 大 方 に宅地 もあ り, 妻方 はす ぐ近 くなので, 夫 妻 は夫 方 に住 んで い る。 Neolocalにお いては,夫 側お よび妻 側 の経 済 力が ほほ 等 しい場合 が7ケー ス中5ケースを 占 め るが, これ らの場 合, 夫妻 と もに所 有 財産 は零 に近 い。 残 る2ケースは,親 の経 済 力がか な

(20)

ll 羽,坪 再 :マ ラ ヤ 北 西 相;J-)稲 I/lJlL竺村 り強 く, 新 夫 婦 を 親 が所 有 す る別 の屍 敷 地 に 吊任 せ しめ た もので あ る。 これ らの場 合 に つ い て も,

2

例 のみ挙 げ よ う。 例

1

(双 方 の経 済 力 が ほ ほ 等 しい場 合) 世 帯 番 号89,戸 主 の年 令35才 の ケ- スで は, 夫 妻 と も両 親 に所 有 地 が な く, 屋 敷 地 は 他 人 に 無料 で借 り

(

t

umpang)

, 職 業 もきわ め て不 安 定 な収 入 しか な い無 産 農 業 労 働 者 で あ る。 例

2

(親 が金 持 の場 合 ) 世 帯 番 号

6

8

, 戸 主 の年 令

2

6

才 の ケ- スで は , 夫 の 父は, 村 の モ ス クの導 師 (

i

mam)

千, 村 の 最 も有 力 な人 物 であ り, 妻 の 祖 父は 村 で最 も古 い商 膚 を経 営 して, 農 地 も23relong所 有 し て い る。 天は, 小 学 校 の教 員 を して い るが , 夫 妻 は 妻 の祖 父が 所 有 す る鼠敷 地 を 使 用 し, 妻 の 父か ら2relongの農 地 を借 りて い るC 以 t に よ -)て, 村 内婿 の場 合, 婚 姻 後 の 田住地 の決定 に つ い て は, 農 地 あ るいは 屋 敷 地 の所 28) 有 が基 本 的 に重 要 で あ る こ とが 明 らか に な った 。 村 内婚 以 外 に つ い て も, おそ ら くほ ほ 同様 の 事 情 が あ て は ま る と推 測 で きよ う。 イ ス ラ ム法 と慣 習 法 との並 存 に よ り, パ ダ ソ ラ ラ ソ村 に お い ては, 相続 が 男 子 に や や有 利 で ?9) あ る こ とは既 に 別 の論 文 で 明 らか に した か, 屠住 地 の選 択 に お い て夫 万 吊住 が 多 くな るの は , この よ うな相 続 量 の差 が もた らす 一 つ の結 果 と考 え られ るO また妻 方 の経 済 力が 強 い場 合 で さ え も, と きに は夫 方 居 住 が現 わ れ, この逆 の現 象 はみ られ な い とい うこ とは, この村 に お い て, 本 来 双 糸 的 な社 会 原 理 が 存 在 して い て も, イ ス ラ ム教 の影 響 もあ って, 理 念 的 に も, 夫 万 重 視 30) の傾 向が や や 強 くな って い るた め と も考 え られ る0

7.

通 婚 圏 婚 姻 後 の居 住 地 は, 本 質 的 に は , 夫 万 妻 万 の どち らで も よ く, 傾 向 と して は, 美 方 屠 住 が や や 強 い こ とは既 に述 べ た が, この傾 向 は通 婿 の範 囲 に お い て も認 め られ る。 表15は, 世 帯 主 夫 妻 (含 離 ・死 別者 ) に つ い て, 夫 妻 の 出身 地 を 示 した もの で あ るが, これ を ま とめ る と, 村 内 婚52ケー ス (28.3%),夫 村 内妻 村 外72ケー ス,夫 村 外 妻 村 内38ケ- ス, 夫 妻 共 村 外22ケ - ス とな る。 村 内婿 が 比 較 的 少 な く, 夫 または 妻 が村 外 の場 合 が 多 い。 夫 妻 と も村 外 とい う場 合 も少 な く 28) 居住地の決定には, このほかに両親が老令のために 労働力 を必要 とす る万 - 行 って親 と共住す ると か,老いた親の世話を しなければな らない方-い くとかの理由が考え られ るが, これ らの場合 も,紘 局は農地 と屋敷地の問題であ るとみなされ る。 29) バグソララン村では, 相続はイスラム法あるいは慣習法 (hukum adat)に よって行なわれ るが, 両 者はほぼ同様の割合で採択 され,慣習法の均分相続に対 して, イスラム法では男子が女子に対 して優 遇され る。詳細は, 口羽 ・坪内 ・前田 「前掲論文」 48- 51表参照。 30) イスラム教の影響については,社会階層の違いに よって多少異なる傾向もみ うけ られ るので, 他の楼 会に更に詳 しく分析す ることに したい。なお, この村におけ る親族組織の双糸制についても, 他の機 会に詳述す る。 - 21-I 21

(21)

ない ことが分 る。 いず れ か が 村 外 の場 合 に は,mukim内 の 近接 村 (Kubang Bongor

,

Kubang Jawiな ど) 辛 , mukim 外 で も水 路 でつ なが ってい る地 域 (Kubang Ro-tan,SungaiKorok

,

Kuala Kedahな ど) と の 間 に 通婚 31〕 が 多い。 州の首府 で あ るア ロ ール ス タ- との通婚ほ 1件 し か な く,都 市 や ケ ダ - 州 南 部 の ゴム固地 域 との通婿 は ほ と ん ど見 られ な い。 マ ラヤの村 (kampong)は , 元 来 水 路 沿 い に細長 く形 成 さ れ, 自然 環 境 の上 か ら明確 な 境 界が な い のが 特徴 で あ る。 しか も, 社 会 的 に も村 の境 が 強 く意識 され て お らず , 『村 入 り

とい うよ うな制 度 化 さ れ た儀 礼 は存 在 しない。 従 っ 東 南 ア ジ ア 研 究 第4巷 簡 1号 表15 世 帯 主 夫 妻 の 出 身 地

-

i

J

‡ 1964.10.

妄-

-

、妻

p・L・ 区内 郡 内 州内 その他 P・ L・ j 52 13 43 11 5 Mukim 内 1 15 4 3 0 0 KotaStar郡内 Kedah 州 内 そ の 他 16 2 3 2 0 4 1 1 4 0 3 0 1 0 1 計 【 90 20 51 17 ・・ -⊥ 計 不明11を除 く 表16 年齢層別,および農地所有状況別にみた通婚 1964.10. 夫の年齢層1) 40代 50 代 以 下 以 上 農 地 所 有 状 況2) 所 有 小 作 警讃 晶 望 夫 妻 共 村町 】(30 ・1%) (26・9% )lF(26・0%

)

(26・5% )(35・7%) 夫村内妻村外 f(44;≡) (30;喜) 夫村外妻村内 F(18.4) (24.4) 夫 妻 共 村 外 計 7 14 (6.8) (17.9) 103 78 (100.0) (100.0) 28 32 10 (38.4) (47.0) (23.8) 17 13 7 (23.3) (19.1) (16.7) 9 5 10 (12.3) (7.4) (23.8) 73 68 42 (100.0) (100.0) (100.0) 1) 前表 184 ケースの中,夫の年齢不明3を除 く 2) 前表 184 ケースの中,商店経営 1を除 く て, 村 と村 の間 の移動 はか な り自由で あ る。 経 済 的 に も,主 な財 産 は農地 と監 敷 地 で あ って, 熱帯 特有 の代 上 家屋 は比較 的簡 単 に建 築 し得 る。 相続 の方 法 も, イ ス ラム法 や 慣習法 に よって 個 人 の分 け前 は ほ ぼ決 って お り, た とえ村 外 に 移動 して も, 換 矢 が大 き くな る とい うこと もな い。 従 って, 村 外婿 が 以前 か ら多 くあ って も不 思 議 では な い。表16に お い て,50代 以 上 の世 帯 主 夫 妻 の傾 向をみ て も, 村 外婿 の割 合 は大 き く, 外 来世 帯 の割 合 も少 な くない。40代 以下 に お い ては, 夫 妻共 村 外 の割 合 が 減 少 して い るが, これ は, 村 内の農地 に余 裕 が な くな り, 外 来者 の 定 着 が 困難 に な って来 たた め と考 え られ る。 無 産者 の場 合 に は, 農地所 有者 あ るいは 小 作者 に比 して,村 内婿 , お よび村 外 で結婚 してか ら来 村 し, 一 時 的 に居住 して い る者 の割 合 が 高 い。 村 外 か ら嫁 また は婿 を よび入 れ る誘 因 とな 31) 最近では,Gunongとの問に道路が完成 したため,Gunongとの通姫がみ られ るようにな っている。 また,道路沿いの村 との通解 も現われは じめている。

(22)

口羽,坪 内:てラヤ北 西 部 の稲 作 農村 る土地 が ない のが この原 因 で あ ろ う。 2 離 姑 ・再 婚 ・複 姑 1. 離 婚 統 計 32) マ レー人 の離 婚 率 は非 常 に高 い といわれ て い るが, パ ダ ソラ ラ ン村 に お い て もそ の傾 向が み られ る。 巡 査, 官 吏 な どの一 時 的居住 者 を除 いた村 人 の婚 姻総 数 と離婚 ・死 別 の数 を調 べ た結 果 は,表17の通 りで あ る。 しか し, この表 に挙 げ られ た数値 につ い ては, 次 の よ うな問題 点が あ る。 表17 Padang Lalang村における婚姻数 と婚姻解消件数

1964.10. 婚 姻 総 数 離婚による 死別による 不明に よる 269 50 % (100.0) (18.6) 女 i (10:7:)形 。1。7;) 24 9 (8.9) (3.3) 30 26 (ll.6) (10.0) 生存中の結婚経験者について 巡査,助産婦,ホスピタル ・アシスタン ト,官吏を除 く (1) informantが世 帯主 で あ るた め, 世 帯 主 自身 の離婚 経験 につ い ては, 割 合 正確 な 数値 が 得 られ たが, 女 性 につ い ては不正 確 な場 合 が 少 な く な い。 特 に老 令 の女 性 に 関 し ては不 明 の ま ま残 され た もの が 多 く, また老 令 の女 性 で死 別 と記 録 され た ものの 中に, 離婚 の前 歴 を もつ ものが あ るか も知 れ ない。 (2) 表17の数値 は, 現 在 まで の結婚 数 に対 す る離 婚 の割 合 で あ るか ら, 特 に若 年者 の場 合, 将 来 離婚 す る可能 性 が あ り, この意味 に お いて, この裏 の数 値 は, 正 しい意 味 で の婚 姻 に対 す る離婚 の割 合 では な い。 ● ● ● ● ● ● ● ● (3) この表 では, 離 婚 した 同一夫 妻 が離 婚 を取 り消 した (rojok)場 合 には, そ の離 婚 は, 離 婚 の数 に入 れ られ て い な い。 以上 の条 件 を認 め て も, この村 に お いては, 離婚 に よる婚 姻 の解 消が きわ め て大 きな割 合 で 現 わ れ て い る ことが分 る。 表18は, 離婚 経験 者 数 を離 婚 回数 別 に表 示 した もので あ る。 離 婚 経 験1回 の ものが 大 多数 を 占め るが, 他 方 ,極 め て多 い離婚 経 験 を持 つ者 も存 在 す る。 後者 の存在 のた め に,婚 姻 に対 す る離婚 の割 合 は, 単純 にみ る と大 き くな って い るが ,離 婚 経 験 者 の割 合 は, みか け よ りは,か な り低 い。 しか し,50才 以上 の男子 に お い て,離 婚 経 験 者 が26%も存在 す る ことは, や は り離 婚 の多 い ことを示す 。

32) 例えば,S.Cordon,HMalayMarriage-DivorceinthellStatesofMalaya&Singapore,MZntisari, ⅠⅠ,2,pp.23-32;J.Djamour:Malay Kinship andMarriageinSingapore,London,University ofLondon,1959,pp.135-137;梅 田輝世 「マ ラヤの女性」『東南 アジア研究』第3巻第5号(1966年

3月),129頁な どを参照。

(23)

東 南 ア iy ア 研 究 第4巻 第1号

表 18 Padang Lalang村におけ る離婚経験者

40 代 以 下 男 女 実 数 (形) 143 (88.8) 14i 実 数 (形) 108 (88.5) 1:い 9・0) 3 (2.5) 1 (0.6) 50 代 以 上 1964.10. 男 女 実 数 (形)____塞 _ー塑____」 型L … 46 (66.7) 43 (63.2) 4 (5.9) -- ・ -︰ l 1 甘 肌り 1 6 2 ( 5 (7.2) 21 (30.9) 計 【 122 (100.0) 161 (100.0) 】 69

(

1

0

0

.

0

)

68 (100.0) 生存中の結婚経験者について 巡査,助産婦,ホス ピタル ・アシスタン ト,官吏を除 く 離 婚 経 験 者 を 職 業 群 別 に 示 す と, 表19の よ うに な る。 離 婚 経 験 者 は , 農 業 労 働 者 , 雑 役 , 負 行 商 な どの無 産 の不 安 定 所 得 者 , お よび そ の他 の職 業 す なわ ち大 工 , 商 店 経 営 , 非 耕 作 農 家 , 無 職 な どに 多 い が , 農 業 の グル ー プに お い て も極 め て 少 な い とは 言 え な い。 後 者 を 農 地 所 有 状 況 別 に分 け て 観 察 して み た が , 際 立 った 特 徴 は み られ なか った。 離 婚 経 験 2回 以 上 の もの を

〔 〕

内 に 内数 で 示 した が , これ も不 安 定 な所 得 者 に 目立 って い る。 2.離 婚 手 続 き 33) マ ラヤに お け る イ ス ラ ム法 で 認 め られ て い る離 婚 の方 法 は , 次 の 四 つ で あ る。 第1に 最 も一 般 的 な方 法 は , 夫 が タ ラ (talak, taldq)とい う言 葉 を 用 い て 一 方 的 な宣 言 を す る離 婚 で あ る。 talakに は , 宣 言 の後 , 離 婚 取 消 しの で き る ialdqraj`2-と, 取 消 しの で き な い talLiqbL5'inとが あ る。 前 著 は 1度 目と2度 目の talak宣 言 (talaksatuお よび talak 34)

dua)の場 合 で あ り, 後 者 は 3度 目の talak宣 言 (talaktiga) の場 合 で あ る。taldq

r

a

j

`

iに 35)

お い て は , 離 婚 され た 妻 の待 婚 期 間 (eddah,`idda)が 過 ぎ る前 に , 離 婚 取 消 し (rojok)が 可

33) A・Ibrahim :op.C払,pp.197-216参照. 34) talc-qba-'inは1度の宣言で行なわれ うる, すなわ ち, 三つの talakを同時に与え得 るとい う村人 も い る。 しか し, この ような ケースはパダソラランではお こらなか った とい う。 35) イスラム法では, 妻が離 ・死別後生れ て来 るか も知れない子の父親の確認のために再婚で きない期間 があ るが, これを `iddaとい う.法的に問題にな るのは,3回の月経であ り,月経 のない期間に離婚 した ものは,そ の後第4回 目の月経 のは じま りで `iddaは完了す るO 夫 と死別 した場合は,`iddaは 4カ月 と10日であ るが (A.Ibrahim :op.cit"p.188.), マ レ-人の慣習法に よれば,3カ月10日と もいわれてい る。(J.E.Kempe

&

R.0.W instedt,HA Malay Legal Miscellany,HJMBRAS,ⅩXV, 1952,pt.1,p.14.)

表 2 マ レ ー人 世 帯 の 職 業 ( Padang Lal ang 村) 1 964.1 0.
表 4 Padang Lal ang 村におけ る初婚年齢 : : I (
表 1 7 Padang Lal ang 村における婚姻数 と婚姻解消件数 1 964.1 0. 婚 姻 総 数 離婚による 死別による 不明に よる 解 消 解 消 解 消 269 50 % (1 00
表 1 8 Padang Lal ang 村におけ る離婚経験者 40 代 以 下 男 女 実 数 (形) 1 43 ( 88. 8) 1 4 i実数(形)108(88.5) 1 :い 9・ 0) 3 (2
+4

参照

関連したドキュメント

られてきている力:,その距離としての性質につ

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

 手術前に夫は妻に対し、自分が死亡するようなことがあっても再婚しない

父母は70歳代である。b氏も2010年まで結婚して

18~19歳 結婚するにはまだ若過ぎる 今は、仕事(または学業)にうちこみたい 結婚する必要性をまだ感じない.

次に、第 2 部は、スキーマ療法による認知の修正を目指したプログラムとな

この条約において領有権が不明確 になってしまったのは、北海道の北

雇用契約としての扱い等の検討が行われている︒しかしながらこれらの尽力によっても︑婚姻制度上の難点や人格的