九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
プロセシングプラズマ中の電界のレーザー計測法に 関する研究
山形, 幸彦
Interdisciplinary Graduate School of Engineering Sciences, Kyushu University
https://doi.org/10.11501/3054226
出版情報:Kyushu University, 1990, 工学博士, 課程博士 バージョン:
権利関係:
一 一 一 一 一一一一一一一=一一‑‑
プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 の レ ー ザ ー 計 測 法 に 関 す る 研 究
1 9 9 0
山 形 幸 彦
目 次
頁
記 号 の 説 明 記 1
第 1章 緒 論
1. 1 放 電 プ ラ ズ マ の 研 究 分 野
1. 2 プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 計 測 の 必 要 性 1. 3 本 研 究 の 内 容
‑BLPhu円︐t
第 2章 グ ロ ー 放 電 プ ラ ズ マ 中 の 各 種 電 界 計 測 法 と レ ー ザ 一 計 測 法 の
特 長 9
2 . 1 電 界 計 測 法 の 比 較 9
2 . 2 プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 の シ ュ タ ル ク 効 果 に よ る
レ ー ザ 一 計 測 の 特 長 と 問 題 点 11
2 . 3 プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 に 存 在 す る 粒 子 種 13
2 . 4 本 研 究 の 課 題 15
第 3章 レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 に よ る 電 界 計 測 法 の 開 発 16
3 . 1 序 論 16
3. 2 レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 に よ る 電 界 検 出 下 限 の 改 善 18 3 . 2 . 1 リ ュ ー ド ベ リ 原 子 の シ ュ タ ル ク 効 果 18 3 . 2 . 2 実 験 装 置 及 び 実 験 方 法 24 3 . 2 . 3 レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 に よ る 電 界 検 出 下 限
の 改 善 24
3 . 3 レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 に よ る 電 界 計 測 の 一 般 化 の 問
題 点 33
3 . 4 結 論 37
‑ 1 ‑
第 4章 レ ー ザ ー 蛍 光 法 に よ る 電 界 計 測 法 の 開 発 39
4. 1 序 論 39
4 . 2 レ ー ザ ー 蛍 光 法 に よ る 電 界 計 測 の 較 正 法 の 開 発 40 4 . 2 . 1 レ ー ザ ー 蛍 光 法 に よ る 電 界 計 測 の 較 正 法 の 開 発
の 背 景 40
4. 2 . 2 実 験 装 置 及 び 実 験 方 法 41
4. 2 . 3 レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 に よ る レ ー ザ ー 蛍 光
法 の 較 正 結 果 41
4. 3 各 種 放 電 条 件 下 に お け る レ ー ザ ー 蛍 光 法 に よ る 電 界 計 測
の 考 察 55
4. 3 . 1 レ ー ザ ー 蛍 光 法 に よ る 電 界 計 測 の 分 光 学 的 考 察 55 4. 3 . 2 シ ゴ タ ル ク ミ キ シ ン グ の 大 き さ 59
4. 3 . 3 電 界 測 定 に お け る 検 知 下 限 65
4. 3 . 4 評 価 の 実 例 68
4 . 4 結 論 70
第 5章 結 論 72
参 考 文 献 75
謝 辞 81
‑ 11 ‑
記 号 の 説 明
第 3章
H・ : 摂 動 部 分 の ハ ミ ル ト ニ ア ン : 電 気 素 量
: 電 界 強 度
ν,ν : 励 起 原 子 の 実 効 主 量 子 数
ιι
: 励 起 電 子 の 軌 道 角 運 動 量m : 励 起 電 子 の 磁 気 量 子 数
Uコ ロ ぢ
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原 ロ 起 ク 励RAUC叫
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φj : 励 起 準 位 の 零 電 場 内 で の 波 動 関 数 W i : 励 起 準 位 の 電 場 内 で の 波 動 関 数 X : 下 準 位 の 零 電 場 内 で の 波 動 関 数 A i : 電 場 で の 双 極 子 遷 移 確 率
W i.,
o
i. : 智 i, ゆiの 複 素 共 役 関 数 dτ : 積 分 素 辺む : 原 子 の 量 子 欠 損
E (n, .0.) : n, 立 状 態 の エ ネ ル ギ ー 準 位
E H
ρ : Heの 第 一 イ オ ン 化 エ ネ ル ギ ーRHe : Heの 質 量 換 算 し た リ ュ ー ド ベ リ 定 数 R : リ ュ ー ド ベ リ 定 数
me : 電 子 の 質 量
MHe : He原 子 の 質 量
. ︐
寸 口 ム
‑‑
ロ2
d λ L
真 空 容 器 内 の 圧 力 放 電 電 圧
放 電 電 流
入 射 レ ー ザ ー の ス ペ ク ト ル 幅 カ ソ ー ド 電 極 か ら の 距 離
電 極 表 面 と 垂 直 方 向 の レ ー ザ ー の 励 起 幅 電 界 強 度 の 傾 き
: H e
原 子 の ド ッ プ ラ ー 幅イ オ ン コ ア の 角 運 動 量 ベ ク ト ル 励 起 電 子 の 角 運 動 量 ベ ク ト ル
j (j' )と旦(.1!' ) の 合 成 角 運 動 量 ベ ク ト ル 励 起 電 子 の ス ピ ン 角 運 動 量 ベ ク ト ル
励 起 原 子 の 全 角 運 動 量 ベ ク ト ル Jの 電 界 方 向 の 角 運 動 量 ベ ク ト ル イ オ ン コ ア の 角 運 動 量
j (j' ) と 旦 ( 史 , ) の 合 成 角 運 動 量 成 分 励 起 電 子 の ス ピ ン 角 運 動 量 成 分
励 起 原 子 の 全 角 運 動 量 成 分 Jの 電 界 方 向 の 角 運 動 量 成 分 P
V
d
.dx (dE/dx)
dλD
3 E
Eく K 5, S J J M, M
K
,K '
S, S
J, J' M, M'
第 4章
q
2原 子 分 子 の 電 気 双 極 子 モ ー メ ン ト 2原 子 分 子 の A 型 二 重 項 分 離 定 数 μ
n
コ
u J臼吾 ‑ ロ
N e. N r
K r
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W e ( E . t )
,W r ( E . t )
M 1 (t)
h
d ν L
LlE34 τ n 1 31 , 142 132,
L
A LlEef
7 K
1 E
1 A
1 F
n3
e, f準 位 の 数 密 度
励 起 分 子 の 放 射 寿 命 定 数 励 起 分 子 の ク エ ン チ ン グ 定 数 衝 突 に よ るe, f準 位 聞 の 遷 移 定 数
レ ー ザ ー に よ る 分 子 の 励 起 定 数 励 起 準 位 の 回 転 量 子 数
Jの 電 界 方 向 成 分
入 射 レ ー ザ ー 強 度 の 時 間 波 形 入 射 レ 「 ザ ー の 強 度 定 数
プ ラ ン ク 定 数
入 射 レ ー ザ ー の ス ペ ク ト ル 幅 3. 4準 位 閣 の エ ネ ル ギ ー 差 原 子 の 放 射 寿 命
励 起 準 位 の 主 量 子 数 励 起 原 子 か ら の 許 容 線 励 起 原 子 か ら の 禁 制 線 励 起 原 子 の 方 位 量 子 数
2原 子 分 子 の 全 軌 道 角 運 動 量
2原 子 分 子 の A型 2重 項 分 離 の エ ネ ル ギ ー 差 2原 子 分 子 の ス ピ ン 分 裂 定 数
2原 子 分 子 の ス ピ ン を 除 い た 全 角 運 動 量 励 起 線
許 容 線 禁 制 線
準 位3の 密 度
ー記3‑
1 Q
準 位 3, 4間 の エ ネ ル ギ ー 差 2原 子 分 子 か ら の 許 容 線 2原 子 分 子 か ら の 禁 制 線
下 準 位 の 全 角 運 動 量
下 準 位 の J の 電 場 方 向 成 分 受 光 光 電 子 数
φ = 1を 与 え る 下 準 位 の 密 度 観 測 体 積
.dK
J M φ N V
η dQ
励 起 率 (degree of pump over)
ε
観 測 立 体 角
全 受 光 光 学 系 の 透 過 率 光 電 面 に お け る 量 子 効 率 蛍 光 の 遷 移 確 率
観 測 蛍 光 に よ る 励 起 準 位 密 度 の 減 衰 定 数 他 の 蛍 光 に よ る 励 起 準 位 密 度 の 減 衰 定 数
衝 突 に よ る ク エ ン チ ン グ に よ る 励 起 準 位 密 度 の 減 衰 定 数 衝 突 に よ る e,f準 位 聞 の ミ キ シ ン グ 定 数
強 度 比 O.1を 与 え る 下 準 位 の 密 度
Ttr
κ
K r
K f '
KQ
K e f Nmi mln
ー記4‑
第 1章 緒 論
1. 1 放 電 プ ラ ズ マ の 研 究 分 野1‑3 )
有 史 以 来 , 人 類 は 新 材 料 の 発 見 及 び そ の 加 工 技 術 の 進 歩 , ま た 新 し い エ ネ ル ギ ー 抽 出 方 法 の 開 発 の た び に , 生 産 形 態 , 生 活 様 式 か ら 思 考 方 式 に 至 る ま で 革 新 的 な 変
革 を 遂 げ て き た . 古 く は , 青 銅 器 文 明 か ら 鉄 器 文 明 へ の 移 行 , ま た 1 8世 紀 に は 石 炭 か ら の エ ネ ル ギ ー 獲 得 を 実 現 し た 産 業 革 命 , な ど が そ れ で あ る . 現 代 の 人 間 生 活 , 特 に 産 業 活 動 に お け る 繁 栄 も , Iそ の 源 は 各 種 新 素 材 の 開 発 , エ レ ク ト ロ ニ ク ス の 分 野 に 大 き な 進 歩 を も た ら し た 半 導 体 の 発 見 , そ れ ら の 加 工 技 術 の 進 展 , 及 び 石 炭 ・ 石 油 エ ネ ル ギ ー に 加 え て 原 子 力 エ ネ ル ギ ー の 大 規 模 抽 出 , に よ っ て い る と 言 っ て も 過 言 で は な い . これらは, い ま な お 日 進 月 歩 の 発 展 を し て い る が , さ ら に バ イ オ 機 能 を 含 む 種 々 の 高 機 能 を 有 し た 新 材 料 の 開 発 や , 従 来 エ ネ ル ギ ー に 代 わ る 半 永 久 的 で ク リ ー ン な エ ネ ル ギ ー の 確 保 に 甚 大 な 努 力 が 払 わ れ て お り , 環 境 問 題 へ の 意 識 の 高 ま り や 生 活 意 識 な ど の 変 化 に よ っ て , 現 在 は 大 き な 技 術 革 新 の 転 換 期 に あ る と 言
える.
そ れ ら の 中 で , 1 8世 紀 末 か ら 放 電 , 雷 等 と の 関 係 で 始 め ら れ た プ ラ ズ マ の 研 究 は, その後, プ ラ ズ マ の 発 生 技 術 と そ の 新 応 用 技 術 を 両 輪 と す る 発 展 に よ り , iプ ラ ズ マ 工 学 」 と 言 う 新 し い 分 野 を 形 成 す る に 至 り , そ の 内 容 は 日 々 豊 か に な り つ つ あ る と 言 っ て も 過 言 で は な い . すなわち, プ ラ ズ マ で は 原 材 料 を 一 旦 原 子 と イ オ ン に分離し, そ の 再 配 列 の 際 の 化 学 エ ネ ル ギ ー を 用 い た エ レ ク ト ロ ニ ク ス 用 微 細 加 工 や 新 素 材 の 形 成 , さ ら に は 光 や 核 エ ネ ル ギ ー の 解 放 な ど , 上 記 革 新 技 術 の 持 っ て き た 三 要 素 を 備 え た 新 科 学 技 術 と し て , 大 き な 位 置 を 占 め る よ う に な っ て き た の で あ る . 過 去 数 十 年 の 研 究 の 経 過 を 経 て , 現 在 で は , プ ラ ズ マ 工 学 と は , 各 利 用 法 の 目 的 に 適 う プ ラ ズ マ を 高 エ ネ ル ギ ー 密 度 発 生 技 術 を 駆 使 し て 生 成 す る 方 法 を 体 系 化 し ,
さ ら に そ の よ う に し て 生 成 さ れ た プ ラ ズ マ の 新 し い 利 用 法 を 開 拓 す る 学 問 で あ る と 言 う こ と が で き る .
こ う し て 得 ら れ た プ ラ ズ マ の 利 用 法 は , プ ラ ズ マ の 媒 質 自 身 を 利 用 す る も の と , プ ラ ズ マ を 材 料 加 工 の 手 段 と す る も の に 二 分 で き る で あ ろ う . 前 者 と し て は , 高 温 プ ラ ズ マ 中 の 核 反 応 を 利 用 す る 制 御 核 融 合 , プ ラ ズ マ 中 の 光 の 発 生 や 反 転 分 布 形 成 に よ る レ ー ザ 一 発 振 , プ ラ ズ マ の 磁 界 中 の 移 動 に と も な う 起 電 力 の 発 生 を 利 用 し た 電 磁 流 体 力 学 ( MH D) 発電, プ ラ ズ マ の 電 気 伝 導 性 を 利 用 し た ス イ ッ チ ン グ , な ど を 挙 げ る こ と が で き る . 他 方 , 後 者 と し て は , プ ラ ズ マ の 熱 エ ネ ル ギ ー を 利 用 し た 切 断 , 溶 接 , 溶 射 , 微 粒 子 作 成 や , グ ロ ー 放 電 中 の 電 子 エ ネ ル ギ ー の 持 つ 活 性 を 利 用 し た エ ッ チ ン グ や 薄 膜 堆 積 な ど が あ る .
これらのうち, 制 御 熱 核 融 合 は , 高 温 プ ラ ズ マ 中 の 高 速 イ オ ン が ク ー ロ ン 反 発 力 の 障 壁 を 越 え て 衝 突 し , 熱 核 融 合 を 引 き 起 こ し , そ こ か ら エ ネ ル ギ ー を 得 る も の で あ る . 従 っ て , 出 来 る だ け 高 温 の プ ラ ズ マ を 生 成 す る こ と が 重 要 で あ り , プ ラ ズ マ の 閉 じ 込 め 方 法 や 加 熱 方 法 に つ い て 様 々 な 研 究 が 進 め ら れ て き た . これらは, プラ ズ マ 物 理 学 及 び 技 術 の 進 歩 に よ り 改 善 さ れ , 今 後 一 世 代 以 内 に 人 類 は こ の 究 極 の エ ネ ル ギ ー 源 を 手 に い れ る こ と が で き る と 期 待 さ れ て い る 1, 2 )
プ ラ ズ マ 中 の 光 関 連 技 術 と し て , ま ず 照 明 を 含 む 光 発 光 を 挙 げ る こ と が 出 来 る . 特 に , 複 写 や 液 品 の パ ッ ク ラ イ ト 光 源 な ど , 特 殊 用 途 の 光 源 が 求 め ら れ , 新 た な 立 場 か ら の プ ラ ズ マ 研 究 が 脚 光 を 浴 び て い る . 他 方 , 最 近 半 導 体 の サ ブ ミ ク ロ ン オ ー ダ ー の パ タ ー ニ ン グ や レ ー ザ ー プ ロ セ シ ン グ に 大 き く 注 目 さ れ て い る 紫 外 域 で 高 出 力 の エ キ シ マ レ ー ザ ー や , 4.5)材 料 の 切 断 ・ 加 工 な ど に 用 い ら れ て い る 高 出 力 炭 酸 ガ ス レ ー ザ ー , な ど の 気 体 レ ー ザ ー の 媒 質 の ポ ン ピ ン グ に も 放 電 現 象 が 利 用 さ れ て お り , 高 効 率 の レ ー ザ 一 発 振 を 得 る た め に 放 電 制 御 の 必 要 性 か ら , 様 々 な 研 究 が な さ れ て い る . ま た , 大 出 力 レ ー ザ ー を 用 い て 非 常 に 短 時 間 (1 n s程 度 〉 に ペ レ ッ ト を 高 温 の プ ラ ズ マ と し , そ れ に よ り 制 御 核 融 合 を 起 さ せ よ う と す る レ ー ザ ー 核 融 合
n︐白
も , 近 年 の レ ー ザ ー 技 術 の 革 新 に よ り 脚 光 を 浴 び て き た .
M HD発 電 は , 導 電 性 を 持 つ プ ラ ズ マ が 磁 界 を 横 切 っ て 流 れ る と き , 流 体 の 流 れ 及 び 磁 界 の 両 方 向 と 垂 直 方 向 に 生 じ る 起 電 力 を 利 用 す る も の で あ る. こ れ に よ れ ば, 作動 流体 の 温 度 が 火 炎 温 度 に 近 く , 冷 却 に よ る 熱 損 失 を 小 さ く で き る の で , 一 次 エ
ネル ギー の も つ エ ク セ ル ギ ー を 有 効 に 利 用 す る こ と が で き , 従 来 の 火 力 発 電 の 発 電 効 率 4 0 %を 5 0 ‑ 6 0 %に ま で 改 善 で き る と 期 待 さ れ て い る 6)
また, プ ラ ズ マ の 熱 エ ネ ル ギ ー を 利 用 し た 固 体 材 料 の 高 速 精 密 切 削 や 溶 接 に 加 え 放 電 空 間 内 の エ ネ ル ギ ー の 高 い 電 子 に よ り 原 料 ガ ス 分 子 を 解 離 さ せ , それにより,
薄 膜 体 積 ・ ド ラ イ エ ッ チ ン グ や 材 料 の 表 面 改 質 な ど を 通 じ て 機 能 性 薄。膜 を 生 成 す る プ ラ ズ マ プ ロ セ シ ン グ が 最 近 特 に ク ロ ー ズ ア ッ プ さ れ て き た . 既 に こ れ は , 現 在 の 半 導 体 産 業 を 支 え る 基 幹 技 術 と し て 必 要 不 可 欠 な も の と な っ て お り , さらに, ダイ ヤ モ ン ド 薄 膜 , 有 機 機 能 性 薄 膜 や 生 体 適 合 性 膜 な ど の 新 材 料 生 成 技 術 と し て 将 来 的 に も 大 き な 発 展 が 期 待 さ れ て い る 7‑1 O)
こ の よ う に , 放 電 プ ラ ズ マ は 各 工 学 分 野 に お い て そ の 様 々 な 有 用 性 に よ り , 広 範 な 広 が り を み せ て い る . こ れ ら に 共 通 の 技 術 基 盤 と し て , 放 電 現 象 に よ る プ ラ ズ マ 形 成 を 挙 げ る こ と が で き る . そ れ は , 上 記 い ず れ の プ ラ ズ マ の 利 用 , 及 び 今 後 の 発 展 に お い て も , プ ラ ズ マ 生 成 は ほ と ん ど 放 電 現 象 を 利 用 す る こ と に な る か ら で あ る . 従 っ て , 放 電 過 程 の 十 分 な 理 解 な し に は , 目 的 に 適 う プ ラ ズ マ へ の 最 適 化 , 新 利 用 法 の 開 発 は お ぼ つ か な い と 極 言 す る こ と が で き る . と こ ろ が , 放 電 過 程 は 外 部 か ら 印 加 し た 電 界 が プ ラ ズ マ 中 の 荷 電 粒 子 の 分 布 に よ っ て 変 更 さ れ , そ の 荷 電 粒 子 の 分 布 自 体 が 電 界 の 影 響 を 受 け て 変 化 す る と 言 う , 極 め て 非 線 形 性 の 高 い 現 象 で あ る こ
と か ら , 一 般 的 ・ 定 量 的 理 解 が 困 難 で , 個 別 な 対 応 が 迫 ら れ , 放 電 物 理 と い う そ れ 自 体 大 き な 学 問 分 野 を 形 成 し て い る の で あ る .
本 論 文 で 取 り 上 げ よ う と し て い る 課 題 は , そ の 中 で グ ロ ー 放 電 を 用 い た プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 分 布 の 測 定 で あ り , そ れ を 通 じ て そ こ で の 放 電 過 程 の 把 握 を
内
u
行い, プ ロ セ ス プ ラ ズ マ の 最 適 化 , さ ら に は 新 プ ロ セ ス 技 術 の 開 発 に 資 し よ う と す る も の で あ る .
‑4‑
1. 2 プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 計 測 の 必 要 性
前 章 に 述 べ た 放 電 プ ラ ズ マ の 応 用 分 野 の う ち , 材 料 加 工 の ツ ー ル と し て 利 用 す る も の に つ い て 更 に 考 察 を 深 め て み よ う . プ ラ ズ マ プ ロ セ シ ン グ と は , プ ラ ズ マ の持 つ 高 い 熱エ ネ ル ギ ー ま た は 化 学 エ ネ ル ギ ー を 利 用 し て , 物 質 を 励 起 ・ 解 離 さ ら に は 電離させ, そ れ ら が 再 結 合 す る 際 に 天 然 、 に は な い 性 質 や 機 能 を 備 え た 新 物 質 や 素 材 を 構 成 す る プ ロ セ ス 技 術 で あ る . 従 来 よ り , プ ラ ズ マ の 熱 エ ネ ル ギ ー を 用 い て 粉 末 状 試 料 を 溶 融 し , そ れ ら を 材 料 表 面 に 吹 き 付 け て コ ー テ イ ン グ を 行 わ せ る プ ラ ズ マ 溶 射 法 な ど が よ く 行 わ れ て き た が , 最 近 1 0年 来 プ ラ ズ マ の 化 学 エ ネ ル ギ ー を 利 用 した, い わ ゆ る 低 温 プ ラ ズ マ プ ロ セ シ ン グ 法 が 開 発 さ れ て , エ ッ チ ン グ を 中 心 と し た 半 導 体 の ド ラ イ 製 造 技 術 と し て 広 く 利 用 さ れ る に 及 ん で 大 き な 産 業 分 野 を 形 成 す る に 至 っ た . そ れ と 前 後 し て ア モ ル フ ァ ス 太 陽 電 池 や 超 電 導 薄 膜 , 高 密 度 磁 気 記 録 薄 膜 な ど の 薄 膜 堆 積 に も プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ が 利 用 さ れ 始 め て , 低 温 プ ラ ズ マ プ ロ セ シ ン グ 法 は 今 や 機 能 性 材 料 や 薄 膜 の 生 成 技 術 と し て 不 可 欠 の も の に 成 長 し て き た 7‑1 O)
プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ の う ち , 上 記 の プ ラ ズ マ の 溶 射 や 切 断 な ど の よ う に プ ラ ズ マ の 熱 を 利 用 す る , い わ ゆ る ホ ッ ト プ ラ ズ マ プ ロ セ ス に お い て は , プ ラ ズ マ 中 に 局 所 熱 平 衡 及 び 化 学 平 衡 が 仮 定 で き る の で , プ ラ ズ マ 中 の 物 理 ・ 化 学 的 過 程 は 比 較 的 単 純 で あ る . そ こ で , 研 究 開 発 上 の 問 題 は , 工 業 上 必 要 と さ れ る 製 造 物 を 生 成 す る た め の 最 適 な プ ラ ズ マ 発 生 法 や プ ロ セ ス 法 を 開 発 す る と い う , 比 較 的 問 題 の 整 理 が し や す い テ ー マ に 帰 す る こ と が で き る . 他 方 , い わ ゆ る コ ー ル ド プ ラ ズ マ プ ロ セ ス と 言 わ れ る 低 圧 グ ロ ー 放 電 を 利 用 す る 低 温 プ ラ ズ マ プ ロ セ ス で は , 各 種 粒 子 の 運 動 エネ ル ギ ー や 回 転 ・ 振 動 ・ 電 離 等 の 化 学 反 応 の モ ー ド 聞 の 平 衡 が 達 成 さ れ な い 場 合 が多 い た め , 独 立 な 自 由 度 の 多 い 物 理 的 ・ 化 学 的 構 成 系 と な り , 一 般 的 な 状 況 の 把 握 が 困 難 と な る . そこで, モ デ リ ン グ が そ の 場 そ の 場 で の 対 応 を 求 め ら れ る こ と に
Ed
な り , 学 問 的 体 系 化 が 遅 れ , 工 業 的 な 『 物 作 り 』 の 方 が 先 行 し て , そ こ で は 各 種 の 試 行 錯 誤 的 な 手 法 に よ る プ ロ セ ス 技 術 の 開 発 が な さ れ て き た .
しかし, コ ー ル ド プ ラ ズ マ で の こ の よ う な 状 況 は 今 や 限 界 に 近 づ い て い る こ と が ,
現 場 の 技 術 者を 中 心 と し て 実 感 さ れ 始 め て き た . 例 え ば , 集 積 度 の 高 い 1Cを 製 造 す る た め に ア ス ペ ク ト 比 の 大 き い エ ッ チ ン グ を 行 う 際 , 従 来 の ラ ジ カ ル エ ッ チ ン グ で は 目 的 を 達 し 得 な い の で , イ オ ン に よ る 垂 直 エ ッ チ ン グ を 行 わ せ る 必 要 が あ る が , そ の た め の イ オ ン 比 の 大 き い 放 電 条 件 の 発 見 , お よ び シ ー ス で の イ オ ン 加 速 の 把 握 , 等 の 基 礎 メ カ ニ ズ ム に た ち か え っ た 検 討 が 求 め ら れ る . こ の よ う な 状 況 は 他 の 各 種 薄 膜 製 造 の プ
7
ズ マ プ ロ セ ス に お い て も 同 様 で , こ こ に 至 っ て 初 め て プ ラ ズ マ プ ロ セ シ ン グ 技 術 の 学 問 的 立 場 か ら の 体 系 化 , 一 般 化 の 要 求 が 切 実 な も の と な っ て き た の で あ る .と こ ろ で , 低 圧 グ ロ ー 放 電 プ ラ ズ マ 中 に は 電 離 ・ 解 離 ・ 再 結 合 な ど の 反 応 を 支 配 す る 種 々 の 衝 突 過 程 が 存 在 し て お り , そ の 主 と な す も の は 電 子 衝 突 で あ る . 従 っ て , 電 子 密 度 , 電 子 エ ネ ル ギ 一 分 布 関 数 に 大 き な 影 響 を 与 え て い る 電 界 ( 特 に シ ー ス 領
域 ・ 固 体 壁 近 傍 の 電 界 強 度 分 布 〉 が こ の 反 応 系 を 支 配 し て い る と 言 っ て も 過 言 で は ない. ま た , 電 界 は 基 板 へ の イ オ ン フ ラ ッ ク ス や プ ラ ズ マ 一 国 相 相 互 反 応 を も 支 配 し て い る 重 要 な パ ラ メ ー タ で あ る . また, プ ラ ズ マ 中 の 各 種 プ ロ セ ス 過 程 を 理 解 す る の に 用 い ら れ る モ デ リ ン グ に は , そ れ ぞ れ の 反 応 断 面 積 に 加 え , 電 界 の デ ー タ が 必 要 不 可 欠 で あ り , プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 測 定 法 の 確 立 さ れ て い な い 現 在 , 様 々 な 電 界 分 布 を 仮 定 し て , モ デ リ ン グ を 行 っ て い る 状 況 で あ る .
従って, こ の プ ラ ズ マ 過 程 を 理 解 し , モ デ リ ン グ を 通 じ て プ ラ ズ マ プ ロ セ ス 技 術 を さ ら に 発 展 さ せ る た め に は , プ ラ ズ マ 中 の 各 種 生 成 物 の 様 々 な 反 応 の 断 面 積 お よ び 密 度 ・ 速 度 分 布 関 数 の 時 間 推 移 ・ 空 間 分 布 と と も に , プ ラ ズ マ 中 の 電 界 ( 数 V/mm
数 日 /mm) を 高 い 精 度 (i: 10完以内) , 高 い 時 間 ・ 空 間 分 解 能 ( そ れ ぞ れ 10ns, 10 mm以 内 〉 で 測 定 す る こ と が 極 め て 重 要 な 課 題 と な る .
1. 3 本 研 究 の 内 容
本 論 文 は , 第 1章 か ら 第 5章 ま で で 構 成 さ れ て い る .
第 1章 は 緒 論 で あ り , こ こ で は , 現 在 の 産 業 界 に お い て 放 電 プ ラ ズ マ が 様 々 な 分 野 で 応 用 さ れ て い る 中 で , 特 に 機 能 性 薄 膜 ・ 新 素 材 生 成 に 利 用 さ れ て い る プ ロ セ シ
ン グ プ ラ ズ マ の 担 う 役 割 に つ い て 述 べ , 今 後 の 大 き な 発 展 が 期 待 さ れ る プ ラ ズ マ プ ロ セ ス の 学 問 的 体 系 化 が 要 請 さ れ て い る 中 で 電 界 計 測 の 必 要 性 を 示 し た .
第 2章では, 低 圧 グ ロ ー 放 電 中 の 電 界 測 定 法 と し て , 入 射 電 子 ビ ー ム の 変 位 量 測 定, ポ ッ ケ ル ス 素 子 を 用 い た 光 学 的 測 定 , プ ロ ー プ 測 定 に よ る 空 間 電 位 測 定 , イオ ン の 電 界 に よ る 加 速 を ド ッ プ ラ ー 効 果 と し て 検 出 す る 測 定 , 及 び レ ー ザ ー 計 測 法 を 用 い た 原 子 ・ 分 子 の シ ュ タ ル ク 効 果 測 定 , が 考 え ら れ る 中 で , そ の 原 理 や プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 測 定 に 用 い る 際 の 長 所 及 び 短 所 を 述 べ る . そ の 考 察 に 従 っ て , 原 子 ・ 分 子 の シ ュ タ ル ク 効 果 に 基 づ く レ ー ザ 一 計 測 法 が , プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 測 定 に 対 し て 最 良 の 方 法 で あ り , 今 後 の 改 良 に よ っ て 標 準 的 な 計 測 法 と な り う る 可 能 性 を 秘 め て い る こ と を 示 す . すなわち, プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 を , 必 要 と さ れ る 測 定 範 囲 , 精 度 , 時 間 ・ 空 間 分 解 能 の 点 か ら , レ ー ザ ー を 用 い た 電 界 測 定 法 と し て は , 原 子 ・ 分 子 の リ ュ ー ド ベ リ 準 位 の シ ュ タ ル ク 効 果 を オ プ ト ガ ル パ ノ 効 果 で 観 測 す る レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 (L 0 G 法 ) , お よ び , 近 接 準 位 閣 の シ ュ タ ル ク ミ キ シ ン グ を レ ー ザ ー 誘 起 蛍 光 で 観 測 す る 方 法 (L 1 F法 ) が 適 用 可 能 で あ る こ と を 示 す . さらに, そ れ ぞ れ の 方 法 の 有 す る 特 長 を 述 べ た 後 , そ れ ら の 方 法 の 被 測 定 対 象 , 測 定 条 件 等 は 限 ら れ て お り , そ の 測 定 精 度 ・ 限 界 に つ い て の 一 般 的 な 検 討 も な さ れ て い な い こ と を 述 べ , 現 在 こ れ ら の 方 法 を プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 測 定 に 適 用 す る 際 の 問 題 点 を 浮 き 彫 り に す る .
また, プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 に 存 在 す る 粒 子 種 を 挙 げ , こ れ を 基 に 3章, 4章 で L 0 G 法 お よ び L 1 F法 の 一 般 化 の 議 論 を 行 う 際 の 基 礎 と す る .
‑7‑
第 3章では, L 0 G 法 を 用 い て 電 界 を 測 定 す る 際 の , 測 定 精 度 ・ iftJr定 限 界 を 明 ら かにした後, こ の 方 法 を 様 々 な 測 定 条 件 で 用 い る 際 の 問 題 点 に つ い て 述 べ る . まず,
Heの リ ュ ー ド ベ リ 準 位 の シ ュ タ ル ク 効 果 を 摂 動 法 を 用 い て 計 算 し , 三 重 項 よ り も 一 重項の方が, 特 に 双 極 子 遷 移 強 度 分 配 に お い て 顕 著 な シ ュ タ ル ク 効 果 を 示 す こ と を 数 値 的 に 初 め て 明 ら か に し , シ ュ タ ル ク 効 果 の 顕 著 な 高 準 位 へ 励 起 す る こ と で 測 定 下 限 が 改 善 さ れ る こ と を 理 論 的 に 示 す . こ の 計 算 結 果 を 用 い て , 実 際 にHeの 直 流 放 電 の 陰 極 降 下 領 域 の 電 界 測 定 に L0 G 法 を 適 用 し , 阻 止 放 電 領 域 で の 陰 極 降 下 電 圧 と 放 電 電 圧 が 高 精 度 で 一 致 す る こ と か ら , L 0 G法 に よ り グ ロ ー 放 電 中 の 電 界 を 高 精 度 (
: : t
1完以内〉で損.lJ1定 で き る こ と を 示 す . さ ら に L 0 G 法 に よ る 電 界 測 定 の 測 定 下 限 を 決 定 し て い る 様 々 な 要 因 に つ い て 解 析 し , そ れ に 基 づ い て , そ の 測 定 下 限 を 低 下 さ せ た 結 果 に つ い て 述 べ る . ま た L 0 G 法 を 一 般 化 す る と き の 問 題 点 を 述 べ , 殻 外 電 子 数 の 大 き なAr, Kr, Xeに L 0 G法 を 適 用 す る た め の 指 針 を 示 す .
第 4 章では, L 1 F法 を 用 い て 電 界 を 測 定 す る た め に , L 1 F信 号 の 較 正 が 必 要 で あ る こ と を 述 べ , さらに, こ の 方 法 を 様 々 な 測 定 条 件 で 用 い る 際 に 問 題 と な る 被 測定粒子種, 測 定 範 囲 ・ 精 度 , 検 出 可 能 な 粒 子 密 度 の 下 限 値 に つ い て 述 べ る . まず,
非 常 に よ い 精 度 で 電 界 が 測 定 で き る L 0 G 法 を 用 い た L 1 F法 の 較 正 法 に つ い て 述 べ , 既 に 電 界 測 定 に 用 い ら れ て い る BC. Q 分 子 に つ い て そ の 較 正 法 を 適 用 し た 結 果 を 示す. そ の 結 果 をGottschoら の 較 正 結 果 と 比 較 し な が ら , レ ー ト 方 程 式 を 用 い て , お も に 衝 突 が 蛍 光 の 強 度 比 に 与 え る 影 響 を 示 し , 本 較 正 法 の 有 用 性 を 示 す . 次 に , L 1 F法 を 電 界 測 定 に 使 用 す る 際 に 必 要 と な る , 被 測 定 粒 子 の 満 た す べ き 条 件 を 分 光 学 的 な 立 場 か ら 分 類 し て 示 し , そ の 結 果 対 象 と な り う る と 判 定 さ れ た 粒 子 に つ い て , 分 子 定 数 を パ ラ メ ー タ と し て , そ の 測 定 範 囲 ・ 精 度 を 明 ら か に す る . ま た 電 界 測 定 が 可 能 と な る 粒 子 密 度 の 下 限 値 を 示 す .
第5章 で は , 本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 に つ い て ま と め さ ら に 今 後 の 発 展 の 可 能 性 について述べ, 本 論 文 の 総 括 と す る .
nHU
第 2章 グ ロ ー 放 電 プ ラ ズ マ 中 の 各 種 電 界 測 定 法 と レ ー ザ 一 計 測 法 の 特 長
2 . 1 電 界 計 測 法 の 比 較
プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ に 用 い ら れ る 低 圧 グ ロ ー 放 電 中 の 電 界 測 定 法 と し て は , ( 1 ) 入 射 電 子 ビ ー ム の 変 位 量 測 定 , 11) 〈2〉 ポ ッ ケ ル ス 素 子 を 用 い た 光 学 的 測 定, 12)(3) プ ロ ー プ 測 定 に よ る 空 間 電 位 測 定 , 13)(4) イ オ ン の 電 界 に よ る 加 速 を ド ッ プ ラ ー 効 果 と し て 検 出 す る 測 定 , 14)及 び (5 ) レ ー ザ 一 計 測 法 を 用 い た 原 子 ・ 分 子 の シ ュ タ ル ク 効 果 測 定 15 ‑3 2 ) が 挙 げ ら れ る .
( 1 ) は , 放 電 空 間 中 に 電 子 ビ ー ム を 入 射 し , そ の 入 射 電 子 の 軌 跡 上 の 電 界 に よ っ て 受 け た 変 位 量 を 測 定 す る こ と で , 電 界 測 定 と す る も の で あ る . しかしながら,
入 射 電 子 と 放 電 空 間 中 の 粒 子 と の 衝 突 を さ け る た め に 圧 力 が 低 い 場 合 に し か 用 い ら れず, ま た 電 子 ビ ー ム の パ ス に 沿 っ た 方 向 の 空 間 分 解 能 が な い .
( 2 ) は , 放 電 空 間 中 へ 挿 入 さ れ た ポ ッ ケ ル ス 素 子 に レ ー ザ 一 光 を 入 射 し , 電 界 中 の ポ ッ ケ ル ス 素 子 が 起 こ す 屈 折 率 変 化 〈 レ ー ザ ー 光 の 位 相 変 化 ) を , レ ー ザ 一 光 の 強 度 変 化 に 変 換 し て 観 測 す る も の で あ る . こ の 方 法 に よ れ ば , 広 範 囲 な 電 界 強 度
( 1 0 ‑
2‑ ‑ 1 0
9V / m m )
を測定でき, ま た 電 界 の 方 向 を 測 定 す る こ と も 可 能 で あ る . し か し な が ら , 素 子 の 圧 電 性 , レ ー ザ 一 光 源 の 安 定 性 , 素 子 表 面 へ の 帯 電 な ど が 測 定 精 度 に 及 ぼ す 影 響 は 大 き い . さ ら に 異 物 挿 入 に よ る プ ラ ズ マ の 埋 乱 が 大 き く , この と き の 空 間 分 解 能 は 素 子 の 大 き さ れ‑ ‑ 1 0 m m )
に よ っ て 制 限 さ れ , 高 い 分 解 能 は 得 ら れ な い .( 3 ) の プ ロ ー プ 法 で は , 放 電 空 間 の 各 点 の 電 位 を 測 定 し て , そ の 勾 配 か ら 電 界 を 知 る こ と が で き る . プ ロ ー プ 法 は , 従 来 よ り , 放 電 空 間 中 の 電 子 温 度 や 電 子 密 度 測 定 な ど に 広 く 用 い ら れ て き た 簡 便 な 測 定 法 で あ る . その反面, プ ロ ー プ に よ る プ ラ ズ マ の 埋 乱 に 加 え , プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 で は そ の 表 面 に 反 応 生 成 物 の 付 着 が
‑9‑
生 じ 良 好 な プ ロ ー プ 特 性 が 得 ら れ ず , ま た 高 周 波 ノ イ ズ が 測 定 に 及 ぼ す 影 響 も 大 き い. しかも, プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ で 最 も 重 要 と さ れ る シ ー ス 領 域 〈 こ の 領 域 で は 電 気 的 中性 が 保 た れ な い 〉 で の プ ロ ー プ 理 論 は ま だ 確 立 さ れ て い な い
( 4 ) は , 電 位 差 に よ り 加 速 さ れ た イ オ ン の ド ッ プ ラ ー シ フ ト を , 放 電 の 各 点 で
レ ー ザ ー 誘 起蛍 光 法 を 用 い て 測 定 し , 得 ら れ た 電 位 分 布 か ら 電 界 を 求 め る も の で あ る. し か し な が ら , 圧 力 が 低 く て 平 均 自 由 行 程 が 大 き い 状 況 下 で , ま た か な り 大 き な 電 界 下 で な い と 高 い 空 間 分 解 の 測 定 は 行 え な い . ま た 上 記 (1) ‑‑ (3) の 測 定 法 は , 放 電 中 の 原 子 ・ 分 子 を 対 象 と し て い な い の で , あ ら ゆ る 種 類 の ガ ス 下 で の 放 電 で も 測 定 平 能 で あ る の に 対 し て , こ の 方 法 は , 信 号 検 出 器 の 性 能 や 測 定 電 界 の 強 度 か ら , 測 定 対 象 と な る 原 子 ・ 分 子 は 限 ら れ た も の と な る .
( 5 ) は , 放 電 空 間 中 に 存 在 す る 原 子 ・ 分 子 の 電 界 に よ る シ ュ タ ル ク 効 果 を , レ ー ザ 一 計 測 法 を 用 い て 観 測 す る こ と で 電 界 測 定 と す る も の で あ る . こ の 方 法 は 最 も 高 い 時 間 ・ 空 間 分 解 能 ( そ れ ぞ れ
> 1 0 n s
,> l m m )
を有しており, し か も プ ラ ズ マ に 埋 乱 を 与 え る こ と が な い . し た が っ て , 原 理 的 に は 最 も 信 頼 性 の 高 い デ ー タ を 得 る こ と が で き る . しかしながら, 従 来 は 限 ら れ た 原 子 ・ 分 子 を 対 象 と し た 測 定 し か 行 われておらず, そ の 測 定 及 び 適 用 限 界 を 決 め て い る 因 子 が 明 ら か で な い以 上 を 総 合 し て , グ ロ ー 放 電 中 の 電 界 測 定 法 と し て は , 全 て の 点 で (5 ) が 最 も 可 能 性 を 秘 め て い る が , 従 来 の 研 究 で は そ の 可 能 性 が 十 分 に 探 究 さ れ て い な か っ た こ と が わ か る . 以 上 が 本 研 究 で シ ュ タ ル ク 効 果 を 用 い た レ ー ザ 一 計 測 法 を 徹 底 的 に 追 求 す る こ と に し た 理 由 で あ る .
‑ 1 0 ‑
2. 2 プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 の シ ュ タ ル ク 効 果 に よ る レ ー ザ 一 計 測 の 特 長 と 問 題 点
2 . 1節 で 述 べ た よ う に , プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 測 定 法 と し て は , 原 子
・ 分 子 の シ ュ タ ル ク 効 果 を 利 用 し た レ ー ザ 一 計 測 法 が , そ の 測 定 精 度 , 測 定 可 能 範 囲 の 面 に お い て 最 も 標 準 的 な 計 測 法 と な り う る 可 能 性 を 持 つ . し た が っ て , 本 節 で は, レ ー ザ 一 計 測 法 に よ る 電 界 測 定 の 特 長 を 述 べ た 後 , そ れ ら を 実 際 に プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ に 適 用 す る 際 の 問 題 点 に つ い て 述 べ る .
レ ー ザ 一 法 を 用 い た シ ュ タ ル ク 効 果 に 基 づ く 電 界 計 測 法 は , 可 変 波 長 レ ー ザ ー の 持 つ 高 い ス ペ ク ト ル 制 御 性 を 利 用 し て , プ ラ ズ マ 中 の 特 定 粒 子 の 特 定 エ ネ ル ギ ー 準 位 間 遷 移 に 合 致 し た 波 長 の レ ー ザ 一 光 に よ り , 上 準 位 へ の 遷 移 を 行 わ せ , そ の 遷 移 が シ ュ タ ル ク 効 果 を 受 け て 変 化 す る 程 度 を 検 出 す る こ と に よ り 電 界 測 定 法 と す る も
の で あ る . 格 段 に 進 歩 し た 最 近 の レ ー ザ ー 制 御 技 術 を 用 い れ ば , フ ェ ム ト 秒 の 発 振 パルス幅, レ ー ザ ー の 波 長 の 数 倍 程 度 の 空 間 分 解 能 を 得 る こ と も 可 能 で あ る . した がって, そ こ か ら 得 ら れ る 時 間 ・ 空 間 分 解 能 , さ ら に は そ の 測 定 精 度 は 被 測 定 対 象 と な る 原 子 ・ 分 子 の 分 光 学 的 な 性 質 に よ っ て の み 制 限 さ れ る こ と に な る . 被 測 定 対 象 と な る 粒 子 を う ま く 選 べ ば , 非 常 に よ い 時 間 ・ 空 間 分 解 能 で し か も 精 度 の よ い 電 界 測 定 が 可 能 と な る .
このように, レ ー ザ 一 計 測 法 を 用 い た 電 界 測 定 法 は , 他 の 方 法 に 比 べ て 格 段 に 高 い 時 間 ・ 空 間 分 解 能 を 有 し て い る と 言 え る .
シ ュ タ ル ク 効 果 に は , (a)電 界 の な い 状 況 下 で は 縮 退 し て い た エ ネ ル ギ ー 準 位 が 電 界 存 在 下 で 分 裂 す る も の (1次効果), (b) 電 界 の 存 在 に よ り エ ネ ル ギ ー 準 位 が シ フ ト す る も の (2次効果), (c) 電 界 の な い 状 況 で は 双 極 子 遷 移 が 禁 制 さ れ て い る も の が 電 界 の 存 在 で 許 容 化 さ れ る も の の 3種 を 考 え る こ と が で き る . こ のうち, プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 と し て は 100 V/mm以 下 の 測 定 が 必 要 で あ る
‑S A
e︐A
の で , 測 定 精 度 ・ 測 定 下 限 の 点 、 か ら (b ) は 除 か れ る . ま た 同 じ 根 拠 か ら, (a) では電離 限 界 に 近 い リ ュ ー ド ベ リ 準 位 へ の 励 起 が 求 め ら れ る . そ の よ う な 高 準 位 の 放射 遷 移 の 確 率 は 低 く , レ ー ザ ー 励 起 の 結 果 を 蛍 光 で 観 測 す る こ と は で き な い の で 検 出法 と し て は , 放 電 電 圧 ・ 電 流 特 性 へ の 影 響 を 評 価 す る レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 (L 0 G 法 ) が 開 発 さ れ て き た 15‑24) 一方, (c) で は 許 容 線 と 禁 制 線 が 近 接
し た 準 位 を 選 べ ば , レ ー ザ ー 励 起 の 準 位 は 必 ず し も 高 準 位 へ の 励 起 を 必 要 と し な い ので, レ ー ザ ー 励 起 の 効 果 の 検 出 法 と し て は , レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 よ り 一 般 性 に 富 む レ ー ザ ー 誘 起 蛍 光 法 (L 1 F法 ) が 適 用 し う る . そ の よ う な ア イ デ ア に 沿
う 提 案 が な さ れ , 一 部 低 圧 グ ロ ー 放 電 プ ラ ズ マ 計 測 に 適 用 さ れ て き た 28‑32)
こ れ ら の 方 法 の う ち ,
(a)
に つ い て は ほ と ん ど がH e( 1 T o r r
以 上)15‑23) につ いての報告で,一部 Ne24• 25) についての報告があるのみであり, プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ に よ り 広 く 用 い ら れ るA r
を は じ め 他 の 多 電 子 原 子( K r
,X e
等 ) へ の 適 用 は み ら れ な い . 他 方 , (c) に つ い て も こ れ ま で に 放 電 プ ラ ズ マ 中 で の い 原 子 を 用 い た 測 定28) 以 外 に は 低 圧 グ ロ ー 放 電 プ ラ ズ マ で は BC立29‑31)と NaK32)の 2分 子 に つ い て 報 告 が あ る の み で , 他 の 原 子 ・ 分 子 に つ い て の 報 告 ・ 検 討 は な い . す な わ ち , 従 来 行 わ れ て き た 電 界 測 定 の 被 測 定 対 象 , 測 定 条 件 等 は 限 ら れ て お り , ま た そ の 測 定 精 度 ・ 限 界 に つ い て の 一 般 的 な 検 討 は な さ れ て い な い .レ ー ザ 一 計 測 法 を プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 標 準 的 計 測 法 と し て 確 立 す る た め に は, こ れ ら 各 方 法 の 測 定 精 度 ・ 限 界 を 明 ら か に し た 上 で , そ れ ら の 考 察 を 基 に , 測 定 可 能 な 放 電 条 件 を 拡 大 し て い く こ と が 是 非 と も 必 要 で あ る .
‑12‑
2. 3 フ ロ セ シ ン ク フ ラ ズ マ 中 に 存 在 す る 粒 子 種7‑11.33‑43)
プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ は , (1)薄 膜 形 成 (C V D, ス パ ッ タ リ ン グ ) , (2) 微 細 加 工 〈 エ ッ チ ン グ ) , (3)表面改質, お よ び (4 ) プ ラ ズ マ 重 合 , の 4つ の 領 域 に わ た っ て 広 く 利 用 さ れ て い る .
( 1 ) の う ち C V Dは, ア モ ル フ ァ ス 太 陽 電 池 や そ の 窓 材 , 硬 質 な ダ イ ヤ モ ン ド 膜 , 超 電 導 薄 膜 , 磁 気 記 録 薄 膜 等 の 堆 積 ( 形 成 ) に 応 用 さ れ て お り , こ れ ら の 原 料 ガスとして, シ リ コ ン , 炭 素 等 を 含 ん だ 水 素 化 合 物 , あ る い は 窒 素 化 合 物 等 が 用 い られる.l7・1o・34‑40) ま た 場 合 に よ っ て は バ ッ フ ァ ー ガ ス も 添 加 さ れ る . また, ス パ ッ タ リ ン グ に 関 し て は , タ ー ゲ ッ ト 材 料 自 身 の 薄 膜 作 成 に は ス パ ッ タ 率 の 大 き な 希ガスが, さ ら に 反 応 性 ス パ ッ タ リ ン グ で は こ れ ら の 希 ガ ス に 反 応 性 ガ ス が 添 加 さ れる 9• 34・35. 4 1・42) (2) に関しては, エ ッ チ ン グ ガ ス と し て ハ ロ ゲ ン 化 合 物 が
用 い ら れ る が , こ れ ら に パ ッ フ ァ ー ガ ス を 添 加 す る 場 合 も あ る . (3) は , 主 に 表 面 の 窒 化 , 酸 化 あ る い は 炭 化 に 用 い ら れ , こ れ ら の 原 料 ガ ス と し て は 窒 素 , 酸 素 , 炭 化 水 素 等 が 利 用 さ れ て い る 8)
( 4 ) の 場 合 は , 原 料 ガ ス と し て 炭 化 水 素 が 利 用 さ れ て い る が , 原 料 が 室 温 下 で 液 体 で あ る 場 合 に は 牛 ャ リ ア ー ガ ス と し て 希 ガ ス が 導 入 さ れ る 8. 43)
フ ロ セ シ ン グ フ ラ ズ マ 中 に 存 在 が 予 想 、 さ れ る 粒 子 種 を , プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ の 種類, そ の 応 用 面 と 共 に 表2‑1 に 示 す . ただし, こ こ で は 第 3章 , 第 4章 で レ ー ザ ー に よ る 電 界 計 測 法 の 一 般 化 に 際 し て 議 論 す る 原 子 ・ 2原 子 分 子 の み を 挙 げ て い る .
内︽u
‑EEA
表 2‑ 1 プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ の 応 用 例 お よ び そ の プ ラ ズ マ 中 に 存 在 す る 原 子 ・ 分 子
l‑
九 日l
プラズマプロセス 生成物及び用途例 主な原料ガス プロセシングプラズマ中に
存在する粒子 a‑S ,i a‑SiGe ...太陽電池 SiH. ,4 SiH.c+GeH. ,4 SiH.c+CH. c H, H2, He, Ar a‑SiC, a‑SiN・・・太陽電池の窓材 SiH.c+NH3, CH. ,c C2H2 SiH, GeH, CH, SiN C V D a‑SiN ‑・・パッシベーション膜 S i H.c+02 NH, SiO
i ‑C, a‑C ‑・ダイヤモンド薄膜 バッファーガス (H2,He, Ar) 等 S i 02 ‑・絶縁膜
スパッタリング 各種金属薄膜 Ne, Ar, Kr, Xe Ne, Ar, Kr, Xe 超 電 導 薄 膜 (YBaCuO等) 02, N2, NH3, CH. ,c C2H2, SiH. 4 BaO, CuO, FeO等
エッチング S ,i Si02, Afl等の微細加工 CF.c:' C2Fs, C3Fs, BCflJ, CCfl c.
α
, F, F+, SiF, CCfl, AflCQ CQ2 (+ 02, N2・
Ar等 ) BC ,Q CQ+, CQ2, CN, CO, Ar等 He+NH3, H2+N2, 02表面処理 表面硬化や表面改質等 NH, CH, OH, FeO, TiN等
CH. ,c C3Hs 等
PMMA 等・・・電子線レジスト,逆浸透膜 CH ,c. C2H2, MMA CH, CN, CO, CF, NH, OH 重 合 耐触性保護膜, ア リ ル ア ミ ン 等 日e,Ne, Ar
生 体 適 合 性 材 料 等 (+ He, Ne, Ar ) 等
2. 4 本 研 究 の 課 題
2. 2節 で 述 べ た よ う に , 現 在 ま で の , 原 子 ・ 分 子 の シ ュ タ ル ク 効 果 に 基 づ く レ ー ザ 一 計 測 法 を 用 い た プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 測 定 で は , そ の 測 定 条 件 , 被 測 定 対象 が 限 ら れ て お り , ま た そ れ ら の 測 定 精 度 ・ 適 用 可 能 範 囲 に つ い て の 一 貫 し た 立 場 か ら の 研 究 は な さ れ て お ら ず , いわば, ま だ 原 理 検 証 の 段 階 に あ る と 言 え る .
しかしながら, 昨 今 の プ ラ ズ マ プ ロ セ シ ン グ の 急 速 的 な 進 歩 や そ の 応 用 面 に お け る 多 様 化 を 考 え る と , プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 の 標 準 的 計 測 法 を 一 刻 も 早 く 確 立 す る 必 要 が あ る .
そ こ で 本 研 究 で は , レ ー ザ 一 計 測 法 を プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 の 標 準 的 測 定 法 と す る べ く , そ の 測 定 精 度 ・ 限 界 及 び そ れ ら を 決 定 し て い る 因 子 を 明 ら か に し , そ れ ら の 考 察 を 基 に し て , 被 測 定 対 象 や 適 用 条 件 の 拡 大 さ せ る こ と が , 最 終 的 な 目 標 と な る .
F﹁u
. ︐
A第 3章 レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 に よ る 電 界 計 測 法 の 開 発
3. 1 序 論
レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 (L 0 G法〉は, レ ー ザ ー 入 射 に よ る プ ラ ズ マ の イ ン ピ ー ダ ン ス 変 化 ( 電 流 あ る い は 電 圧 変 化 ) を 検 出 す る も の で あ る . こ の 測 定 法 は オ プ ト ガ ル パ ノ 効 果 を 利 用 し て い る の で
SN
比 が 非 常 に よ く , シ ー ス 領 域 で は さ ら に 増 倍 過 程 も 有 効 に 作 用 す る の で , グ ロ ー 放 電 プ ラ ズ マ 中 の , 特 に カ ソ ー ド シ ー ス 領 域 の 電 界 計 測 に 適 し て い る .L 0 G法 を 利 用 し た 電 界 測 定 は , (i)共 鳴 波 長 の シ ュ タ ル ク シ フ ト か ら 求 め る もの, (ii)分 裂 し た 準 位 の 相 対 強 度 測 定 , (iii) 縮 退 し て い た 準 位 の シ ュ タ ル ク 分 裂 か ら 求 め る も の , に 分 け ら れ る . しかしながら, (i) は 低 準 位 の 共 鳴 線 (2 次 の シ ュ タ ル ク 効 果 ) を 利 用 す る の で , プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 比 較 的 弱 い 電 界
(10‑1‑‑103 V/mm) を 高 精 度 で 測 定 す る た め に は 適 当 で な い . また, (ii) を 用 い る 場 合 , 電 界 強 度 を 精 度 良 く 求 め る た め に は , プ ラ ズ マ 領 域 と シ ー ス 領 域 で の 非 常 に 精 度 の よ い 放 電 モ デ ル が 必 要 と さ れ る が , こ れ は 一 般 的 に は 極 め て 困 難 で あ る .
したがって, プ ロ セ シ ン グ プ ラ ズ マ 中 の 電 界 の 測 定 に は , リ ュ ー ド ベ リ 準 位 の 1次 の シ ュ タ ル ク 効 果 を 利 用 し た (iii ) の 方 法 を 用 い る の が 最 適 で あ る .
現在までに, He15-23l および Ne24 • 25) のグロー放電中のカソード電極近傍の電界 を 摂 動 法 を 用 い て 計 算 し た 結 果 か ら 非 常 に よ い 精 度 で 測 定 し た 報 告 が な さ れ て い る が , 測 定 精 度 ・ 測 定 限 界 に つ い て の 検 討 や 他 の ガ ス に つ い て の 応 用 な ど に つ い て の
検 討 は な さ れ て い な い
そ こ で 本 章 で は , 3. 2節で, Heの 直 流 グ ロ ー 放 電 の カ ソ ー ド 電 極 近 傍 の 電 界 測 定について, そ の 測 定 精 度 ・ 下 限 に 影 響 を 及 ぼ す 様 々 な 要 因 に つ い て 検 討 し , その 結 果 に 基 づ い て 測 定 下 限 を 低 下 さ せ た 結 果 に つ い て 述 べ る . さ ら に 3. 3節では,
nh u
‑ E ム
L 0 G法 を 一 般 化 す る と き の 問 題 点 を 述 べ , 殻 外 電 子 数 の 大 き なAr, Kr, Xeに L 0 G法 を 適 用 す る た め の 指 針 を 示 す .
円︐d
. ︐
A3. 2 レ ー ザ ー オ フ ト カ ル パ ノ 法 に よ る 電 界 検 出 下 限 の 改 善23)
3. 2. 1 リ ュ ー ド ベ リ 原 子 の シ ュ タ ル ク 効 果44‑48)
リ ュ ー ド ベ リ 原 子 の シ ュ タ ル ク 効 果 を 摂 動 法 を 用 い て 求 め る . 摂 動 部 分 の ハ ミ ル ト ニ ア ン はH・=‑eEzで, そ の 行 列 の 非 対 角 要 素 は m=Oの場合,
<ν 立m1 H' 1ν
・
ιm'>=
‑eEく.o.m1 c 0 s 8 1. 0 . '
m ' > <ν 立1r 1ν'. 0 . ・ >
立C2
=
‑eEδδ、 / f ^
1'I ."'̲1"1 ., <ν. . 0
1 r 1 1/ '. 0 . ' >
(3 ‑1) mm・ . 0 . . 0 . ・ : t
1V
(2 Qc + 1) (2 Qc ‑1 )と 表 さ れ る 48・49)たlだし, νは 実 効 主 量 子 数 , 立 は 励 起 電 子 の 軌 道 角 運 動 量 , m は 磁 気 量 子 数 , 立c=m a x
( Q
,立), Z=r.cos8 で あ る . (3‑1)式 中 の 動 径 部 分 の 値 はA . R .
Edmondsら の 示 し た 表 よ り 次 式 を 用 い て 求 め ら れ る 5o , 51 )くν
. 0 .
1 r 1ν・
ι >= {3νc 2 [1‑(.o.c /νc)2]1/2/2jJ7Pgp(ど) (3‑2) p=Oここで, νc=2/(1/ν+1/ν ,) L1立=立
‑ . 0 . ,
7 = L1立(立c/νc), f =ν ーν' で あ る . ま た そ の 対 角 要 素 は エ ネ ル ギ ー 準 位 で あ る . 主 量 子 数 nが 異 な る と エ ネ ル ギ ー 準 位 差 は 同 一 の nを も っ 準 位 聞 の エ ネ ル ギ ー 差 よ り も 極 め て 大 き く な る の で , 問 題 と し て い る 準 位 の シ ュ タ ル ク 効 果 は , 同 ー の n を も っ 準 位 聞 の nX nの 正 方 行 列 を (3‑1)式 お よ び (3‑2)式 を 用 い て 作 成 し , こ れ を 対 角 化 す れ ば 電 場 内 で の エ ネ ル ギ ー 固 有 値 及 び 固 有 ベ ク ト ル が 求 め ら れ る .次 に , 電 場 内 で の 各 準 位 の 双 極 子 遷 移 の 遷 移 確 率 に つ い て 考 え る 45l
零 電 場 内 で の 波 動 関 数 を ゆ 1,
o
2, ・・o
nと し , 電 場 に よ り 摂 動 を 受 け た 後 の 波 動 関 数 を W1, W 2, Wnと す れ ば , W iはゆ jを用いて,W i =
ヱ
Cj iゆJ (3‑3)と表せる.
今, シ ュ タ ル ク 効 果 の 小 さ な 下 準 位 か ら の 双 極 子 遷 移 を 考 え る . 下 準 位 は 電 場 の
‑18‑
影 響 を ほ と ん ど 受 け な い の で そ の 波 動 関 数 xは 変 化 し な い と し , 零 電 場 で の 双 極 子 遷 移 は χ→ φ 2 の み が 許 容 で あ る と す る と , 摂 動 を 受 け た 準 位 iへ の 遷 移 確 率 Ai
は,
A i =
I S
曹 i・μ xdτ1
2 = C2i2 •I S
φ 2・μxdτI
2 (3‑4) で 与 え られる. ここで,I S o
2・
μx dτI
2 は 零 電 場 に お け る x→o
2 の 双 極 子 遷 移 確 率 で あ る . したがって, 電 場 内 で の 各 準 位 の 遷 移 強 度 は そ の 固 有 ベ ク ト ル のx
に 対 応 す る 係 数 の 2乗 に 比 例 す る .
Heの エ ネ ル ギ ー 準 位 は 量 子 欠 損 む を 用 い て ,
E (n.立)= EHe+一
RHe
( n ‑ a
且)2 (3‑5)と表せる. ただし, RHe=R /(1+me/MHe)=109722. 27 cm‑1, EHe+=1983107. 6 cm‑t で ある 52.53) し た が っ て , 量 子 欠 損 む が わ か れ ば , (3‑1) ‑‑(3‑3)式 を 用 い て 問 題 と
し て い る 正 方 行 列 を 作 成 で き る . 表3‑1 にHeの 量 子 欠 損 を 示 す 54‑51)
図3‑1 にHe( 一 重 項 〉 のn=l,l m=Oの シ ュ タ ル ク マ ッ プ の 例 を 示 す . 11 S準 位 は 零 電 場 で 縮 退 準 位 か ら お よ そ 24cm‑1 離 れ て い る の で , こ の 図 に は 示 し て い な い . 同 図 よ り , S準 位 を 除 く 他 の 準 位 ( 立 =1‑‑9) が 電 界 強 度 が 大 き く な る に つ れ て 直 線 的 に 変 化 し て い る の が わ か る (1次 シ ュ タ ル ク 効 果 ) .
図3ー2にHeの 一 重 項 及 び 三 重 項 の 場 合 の 摂 動 を 受 け た 各 準 位 の 相 対 強 度 の 電 界 依 存 性 を 示 す . この場合, い ず れ も 準 安 定 準 位 ( そ れ ぞ れ21 S, 23め か ら レ ー ザ ー 励 起 し た と し て い る . こ の 図 よ り , 一 重 項 の 方 が 三 重 項 の 場 合 よ り も シ ュ タ ル ク 効 果 の 程 度 は 大 き い こ と が わ か る . これは, 3pの 量 子 欠 損 ( 0.068)の 方 が 1Pの 量 子 欠 損(ー0.012) よ り も 大 き く , 55,56) 3pが 縮 退 準 位 か ら よ り 大 き く は 離 れ て て い る か
りである.
図3‑3にHe( 一 重 項 ) の 主 量 子 数 nに 対 す る シ ュ タ ル ク 分 裂 の 大 き さ を 電 界 強 度 を パ ラ メ ー タ と し て 示 す . シ ュ タ ル ク 分 裂 は nが 大 き く な る に し た が っ て 大 き く な
hud
‑ ‑
表
3‑1 He
原 子 の 量 子 欠 損S P D F G‑‑N
Singlet O. 139 ‑0.012 O. 002 0.0005
。
Triplet O. 297 O. 068 O. 003 0.0004
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E l e c l r i c
H e原 子 の 準 安 定 状 態 か ら の 双 極 子 遷 移 強 度 の 電 界 依 存 性
図3‑2
内J白
内JU
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ム
E = 1 0 V/mm E =50 V/mm E
ご1 0 0V/mm
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p r i n c i p a l quantum number ( l o g n )
0 . 1
H e原 子 (singlet)の シ ュ タ ル ク 分 裂 の 主 量 子 数 依 存 性 図
3‑3
内ぺu
nJU
っており, よ り 高 い 準 位 へ 励 起 す る こ と で 測 定 下 限 が 改 善 さ れ る こ と を 示 し て い る .
3. 2. 2 実 験 装 置 及 び 実 験 方 法22)
図3‑4に レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 に よ る 電 界 強 度 測 定 及 び そ の 測 定 下 限 の 改 善 に用 い た 実 験 装 置 の 構 成 図 を 示 す . 実 験 装 置 は 放 電 容 器 及 び 真 空 排 気 系 , 可 変 波 長 レ ー ザ ー シ ス テ ム , オ フ ト ガ ル パ ノ 信 号 検 出 系 の 3 つ の 主 要 な 部 分 か ら な っ て い る . 高 真 空 排 気 装 置 を 用 い て 真 空 容 器 内 を 5x10‑7 Torr程 度 の 基 底 真 空 度 ま で 排 気 し た のち, バ リ ア フ ル リ ー ク パ ル プ を 用 い て 放 電 容 器 内 に
H e
ガ ス (100%) を 導 入 す る . 圧力P=1‑‑3.9 Torrで 平 行 平 板 電 極 間 ( ス テ ン レ ス 製,o
40 mm, 電 極 間 距 離10mm)に 直 流 電 圧 を 印 加 し , 放 電 電 圧 v=168‑‑195 V, 放 電 電 流 i=1. 8‑‑5. 7 mAに お い て 電 極 聞 に 直 流 放 電 を 安 定 に 維 持 す る .
XeC.Qエキシマレーザー (Lambda Physik社製, EMG‑203LMSC)を 可 変 波 長 色 素 レ ー
ザ ー の 励 起 源 と し , 発 振 し た 色 素 レ ー ザ 一 光 は
K D P
結 品 を 遥 し て ,H e
の 準 安 定 状 態 2 s t Sか ら リ ュ ー ド ベ リ 準 位 nptp (n=11‑‑19) の 遷 移 に 対 応 す る 第 二 高 調 波 (315‑‑325nm)へ 波 長 変 換 し た . 基 本 波 と 第 二 高 調 波 は
uv
フ ィ ル タ ー を 用 い て 第 二 高 調 波 の み を 取 り 出 し た . 第 二 高 調 波 は , Llm=
0の 遷 移 を 引 き 起 こ す よ う に 電 極 面 に 対 し て 垂 直 に 直 線 偏 向 さ れ て お り , シ リ ン ド リ カ ル レ ン ズ を 用 い て 0.1xlmm2 の シ ー ト 状に し て 電 極 面 に 平 行 に 入 射 し た . 放 電 空 間 へ 入 射 し た レ ー ザ 一 光 の 波 長 を 掃 引 し , そ れ に よ っ て 生 じ た オ プ ト ガ ル パ ノ 信 号 は ボ ッ ク ス カ ー 積 分 器 に よ り 積 算 し , 入 射
レ ー ザ 一 光 の 波 長 の 関 数 と し て ペ ン レ コ ー ダ ー に 記 録 し た . レ ー ザ ー の ア ラ イ ン メ ント, お よ び 光 学 系 の 配 置 を 変 え ず に 電 界 強 度 の 空 間 分 布 を 得 る た め に , 両 電 極 は
X軸 ス テ ー ジ 上 に 固 定 し , 電 極 面 に 対 し て レ ー ザ 一 光 の 照 射 位 置 を 相 対 的 に 変 え た.
3. 2. 3 レ ー ザ ー オ プ ト ガ ル パ ノ 法 に よ る 電 界 検 出 下 限 の 改 善23.58)
3. 2. 1に 示 し た よ う に
H e
の シ ュ タ ル ク 効 果 は 一 重 項 の 方 が 三 重 項 よ り も 大 き‑24‑
問 P C R Y S T A し D Y E
L A S E R T R I G .
R E X‑y C O R D E R
H . V ,
S U P P L Y
lNmi
D I S C H A R G E
C H A M B E R C Y L I N D R I C A し L E N S
図