技 術 進 歩 と 生 産 函 数 種 岡 輝 雄
は し が き
周 知
の よ
う に
︑ ダ
グ ラ
ス
︵ P
︐ H
︐ D
O u
g −
a s
︶ は
︑ 製
造 工
業 の
生 産
量 ︑
労 働
︑ 資
本 の
投 入
量 を
示 す
時 系
列 資
料 ︵
指 数
︶
に対し︑−指数型生産函数を最小自乗法であてはめてパラメターの推定を行ない︑かくしてえられるパラメクーの推定
値から︑有効な経済的結論を導出しようと試みた︒このえられた結論の当否を別にしても︑上の推定の手続きは︑問
題の期間にわたって︑技術水準の進歩︵一般には変化︶が見られず︑従って︑例えば労働の平均的生産力も一定であ
ったと見倣している筈である︒何故なら︑生産函数は−もとより指数型生産函数も1一定の技術水準のもとに成立す
る技術的関係式と考えられるからである︒従って︑問題の期間の間に︑技術水準の進歩が認められれば︑産出且彗
労働︑資本の投入且盟の間の関係は︑到底︑只一個の生産函数の下におけるそれとしてはつかむことが出来ず︑夫々の
技術水準に応ずる別個の生産函数の下におけるそれとしてつかまれなければならぬ筈である︒こ〜に︑技術水準の進
歩にとものう生産函数の推移︵shi訂︶ の間超がおこると考えられる︒本小論においては︑このシフトを現実の資料
から推定しようとする試みについて若干の考察を加えたものである︒
投術進歩と生産函数
経 営 と 経 済
四
Oト
11 .
ま ず ソ
lロ
l
(
同 ・ 冨 ・
ω 巳
04
司)の所説を手がかりにして︑議論を運ぶことにしよう︒ソ
lローにより︑推定の
ため使用された理論モデルはつぎの如きものである︒今︑
t期の産出量︑労働︑資本の投入量を物理的単位ではかつ
て ︑
夫 々
︒ (
件 )
・
F(3ω
にて示されよう︒ ・同(件)にて示すとき︑問題とする経済の生産函数は一般に︑次式
︒ (
件
) H司 (
開 会
) ・
F
(
件
) "
と
〆戸、、
.嗣園晶
、‑'
時間を示すパラメタ
l
t
生産函数のシフトを考慮するため特に︑式
ωに挿入 は︑時間の経過にとものう技術変化 l
さ れ て い る も の で あ る
︒ そ し て
︑ こ の シ フ ト に つ い て
︑ な 場 合 と
︑ 非 中
ソ
iロ
iはつぎのように中立的
( ロ
o ロ
可 巳
)
立的
ロ ( g
・ 5ES
︼ )
な場合とを区別する︒即ち︑技術水準が変化すれば︑
であったにしても︑技術的に可能な産出量は変化する︒ここで︑生産函数を労働︑資本を夫々直角軸にとる平面図に
一 般
に 労
働 ︑
資本の投入量がたとえ同
投影して示せば︑等霊曲線がえられるが︑もし上述の技術水準の変犯が︑等量曲線を等蹄力的(山 8
・0 ‑S z o m
可
‑ ‑) に
シフトせしめ︑この結果︑ある所与の労働対資本比率において︑労働と資本の限界代替率を不変に保つ場合︑中立的
と定義し︑然らぎる場合︑非中立的と定義する︒
従って︑中立的シフトの場合には︑式
ωは
同 ( 同
♂
F)
︒ ( 同
) H﹀ ( 同 )
・
( N )
と 変
形 せ
ら れ
︑
k F (同
)は
︑
t
期にわたるシフトの累積された結果を示すものである︒ ここに︑出発点となる期間
tを え
ら び
︑
﹀ ( 同
) H( ω )
と お
け ば
︑
︒
H O (
一)日向(同・
F)
( ム )
である︒掠︑式
ωを
tに つ い て 微 分 し て ︑
( 印 )
品 ︒
がえられる︒こ﹀に
ud勺であり︑・
A
︑ ・
K
︑ ・
L
についても同様である︒つぎに︑労働︑資本の相対的分
配分を帆︑叫にて示し︑資本︑労働の分配が限界生産力によってきまるとの限界生産力説をアクセプトすれば︑
0
・
(
∞ )
当
F H
( 吋 )
がえられる︒つぎに︑今︑生産要素はすべて労働か資本かの何れかとして分類され尽して︑
ば︑資料の面から︑当然 ほかに何もないと考えれ
当 剛 円 + 当
F
H
一(
∞ )
であるという︒ここで︑先記のように式
ω︑式仰をアクセプトすれば︑これはオイレルの定理を仮定しているのと同
義であり︑このことは生産函数
ωの
Fが ︑
K
︑
Lについて一次且つ同次であることに帰すると考えられる︒こ与に式
技術進歩と生産画数
四
経 蛍 と 経 済
四
ω
から︑定義上
者
F
H一
l
司d
穴
( 匂 )
この変化は︑要素比率
(K
一L
)
の変化にて把握されうることに で あ り ︑ 他 方 ︑ 生産函数は一次且つ同次であるから︑
な る
︒ 今
︑
(
↓C)
と定義すれば︑定義から
〆~、、一・園聞晶
、、,〆
(
↓N )
である︒中立的シフトの場合には式
ω︑
m w
︑
刷 ︑
ω
︑
ωを考慮することにより︑
﹂ ー ー ヤ
γ+ 4F
均!
A b
陣円
式
ωから
(
↓
ω )
がえられる︒もし︑生産函数のシフトが中立的でない場合には︑同様の手続きから︑
一 般
に
円 山 一
ω
司レ HllHIll‑‑11+
者 穴
1 1
1 1
︒ 司
ω
仲P(↓
ム)
がえられるという︒いうまでもなく・
q︑ ・
k は前と同様時間
tについての第一次微分を示す記号である︒もし
ωに
お い
て ︑
一 ω 司
1吋 ー
ω
同 i
カ
•
7 m
から独立であれば︑式
ωを逆に積分することにより︑式
ωの型のものがえられ︑
シフトは中立的であるという︒この式倒乃至式
ωが以後の推定のための重要な範式である︒
2 .
拐︑以下にのべる資料による推定のためにも︑又範式の理解のためにも︑上述の事柄を図示すれば第一図とな
る︒第一図は︑中立的シフトを一次且つ同次の生産函数の場合について図示するものである︒図において︑横軸は k
を︑縦軸は
qをあらわし︑昨日一の曲線は期間ーにおける生産曲面を昨日
N
のそれは期間 2 における生産曲面を
示 し
︑
昨 日
N
の 生
産 曲
面 は
︑
k のすべての数値に対応する産出量
qを 同
一 比
率 ︑
に
け変化(第一図では増加)せしめて画かれ︑中立的シフトの場合を示す︒ 昨日一のそれに比較するとき︑
t = l
先 第 一 図
あ る
と 考
え て
︑
こ の
中 か
ら ︑
拠︑われわれに実際にあたえられるものは︑ たとえば件 U 一期における
句回
︑
件
H M 期における司
u
といった如︑き観察値であり︑これらの観察値
から︑生産函数のシフトを推定しようとするのである︒即ち︑今の第一図
の場合︑現実の
H J
←司
u の変化は︑あきらかに︑二つの変化
] J
←可さ
可 ω
← 可
u の和であると考える︒ここに司
H← 可
ω は同一曲線(同一生産
( 巳
g m)
変 化
︑
司 自
← 阿
v u
は技術変化にとものう生産 函数)に沿うての
函数のシフトによる産出量の増加を示す︒現実の動きは︑ この二つの和で
みるわけである︒ 生産函数のシフトを分離して推定しようと誌
一 般
に
L
から
Lへの変化が小量の場合直線を以て曲
'}1
この方法を採用すれば︑ 線に近似する方法がとられるが︑今の場合にも︑
技術進歩と生産画数
四
経 蛍 と 経 済
四 回
~I~I
(‑ A)
更 に
︑ 図
か ら
︑
ω
品目r
Fu uf ib ri
‑‑
ω }
円 (一切)
同JU
一 司同
ω D
Ha ul fi br il
‑‑ ub o
H ω
閉門
b
(↓∞)
k v
k r
﹀
同MHMM 同 J
︒ 同
HA
﹁ー 山内
i
(北
ょん
l 点 n
﹁
l d
p 北 川
│
(一吋)
品工を推定するためには︑判一
q比 τ
K
頭当り資本ストックの成長率)︑
W
(
資本の相対的分け前)のそれぞれを示す現実の資料が必要である︒他方︑ 従って︑現実の資料から︑ (労働者頭当り産出量の成長率)︑
( 労
働 者
ソ
ーロ
i
は技術進歩が必ずしも中立的でない場合には︑以上の場合と異なりいささか複雑となるが︑基本的には同様と♂
述べながらも尚︑実際の計算例を示していない︒しかし︑おそらく︑現実においては︑時間の経過にとものう技術進
歩が中立的か否かは判明しないから︑まず︑資料の面から先記の手続きにより担
q︑ 比
一
k
︑叫を計算し︑他方︑
一 般
に 式
ω
が妥当するものと考えれば︑次式
ωが え
ら れ
る が
︑
吋 い 司
p o z b w
│吋
l H
│
叫1
1 1
山
1
1 2
穴│ 同
│
( 一 ∞
)
こ こ で 資 料 か ら 計 算 さ れ た 山 円 ー タ
現実の資料について相関々係が見られるか否かを調べる︒もし見られない場合には︑
37E
を 以
一
A と見倣して議論を進めているようであるが︑乙の点に考慮されねばならぬ問題が潜むと考えられる︒
それはそれとして︑今︑一中十
Aが k から独立であれば﹀(件)について一般に次式側
山 肘
l
は式側の
d一
Fをあらわすと考えて︑
技
術 乙 進 の
歩 、 ム
F
詰下
立
的
と 考え
て
と k
と の
聞 に
︑
﹀(件+一
) H K F (
件 )
r‑‑¥
+
>‑‑‑1
1 >
、
久I~
‑'1rl‑│
、、ーノ
'‑‑‑'
( 一 ∞ )
︑
h v ﹀
( 3 1で あ り
│
│ カ 時 司 を 通 じ て
︑ 大 体 一 定 で あ れ ば
︑
k F (
仲
)
h
fv ﹀
I l
l i
‑ ‑
u m
﹀
(N
O)
と お
い て
︑
一 般
に
k F (
仲
) H﹀
( O ) (一
+ω
)H
(N
一 )
で あ り ︑ 更 に は ︑
﹀ (
件 )
u K F ( O
)︒ "
(M M)
で あ
る ︒
3 .
拐︑以上の範式を使用して︑
ソlロ
lは推定を行なうのであるが︑対象として︑ アメリカ合衆国の非農業部門
一 九
O 九年から一九四九年に及ぶ四一年間の資料を利用する︒この資料
についての詳細な説明が必要であり︑考察されるべき点が数多く存在するのであるが︑乙れらはすべて紙面の都合上
(旬 門戸
︿
M昇
︒ロ
︒ロ
ロ ロ ‑ E
ω ゅ
の さ
円 )
を と
り あ
げ ︑
技術進歩と生産画数
四
互 王
経 蛍 と 経 済
四 / 、 、
省略し︑推定のため直接必要とされる資料︑即ち︑資本の相対的分け前
( F )
を 示
す 資
料 ︑
川 一
一
q
直接必要とされる労働一単位当りの産油享ぜ示す資料︑
47 K
を計算するために直接利用される労働一単位当りの資
9H
本投入量を示す資料のみを次表第一表にかかげることにする︒ を計算するため
表
│
仙
areoflhivater吋~ I ~AA
I年度
y propert・ ~~~!a:~~ ~~:P2t~ã!k JAA I A(t)in in.GNP hp0e1r1 per manL A
come I man nour I our
1909 .335 $ .623
1910 .330 .616 2.101 0.39 1911 .335 .647 2.17 0.02 1912 .330 .652 2.21 .040 1913 .334 .680 2.23 .007 1914 .325 .682 2.20 一.028
0651 1915 .344 .669 2.26 .034 1916 .358 .700 2.34 一.010 1917 .370 .679 2.21 .072 1918 .342 .729 2.22 .013 1919 .354 .767 2
. 4
7 一.076 1.1 1920 .319 .721 2.58 .072 1.069 1921 .369 .770 2.55 .032 1922 .339 .788 2. 4
9 .011 1923 .337 .809 2.61 .016 1924 .330 .836 2.74 .032 1925 .336 .872 2.81 一.010 1.254 1926 .327 .869 2.87 ‑.005 1.241 1927 .323 2.93 ‑0.07 1.235 1928 .338 .8 3.02 .020 1.226 .332 .895 3.06 一.043 1.251 1930 .347 .880 3.30 .024 1.197 1931 .325 .904 3.33 .023 1.226 1932 .397 .879 3.28 .011 1.198 1933 .362 .869 3.10 .072 1.211第
一般には︑式側から計算される♂下と見倣されるべきであるが︑乙の第五欄の数値と︑
37と k の相関図表を画けば︑この両者の問には︑何らの関連の痕跡すら認められぬと述べて︑先記の根拠から︑
右期間の技術進歩は中立的であると判定し︑第五欄は坐
Aをあらわすものと考えたのである口かくして︑
.355 .921 3.00 .039 1935 .351 .943 2.87 .059 1936 .357 .982 2.72 一.010 1937 .340 .971 2.71 .021 1.415 1938 .331 2.78 .048 1.44:: 1939 .347 1.0 2.66 .050
1 .
514 1940 .3571 .
0 2.63 .044 1.590 1941 .377 1.1 2.58 .003 1.6601 1942 .356 1.136 2.64 .041 1.665 1943 .342 1.180 2.62 .071 1.733 1944 .332 1.265 2.63 .021 1.856 1945 .314 1.296 2.66 一.044 1.895 1946 .312 1.215 2.50 一.017到
1947 .327 1.194 2.50 .016! 1948 .332 1.221 2.55 .024 1949 .326 1.275 2.70 一
技術進歩と生産函数
資料について二一一口だけつけ加えれば︑各年度 の資本ストックはロ
2 E 8
で計算され︑この
資本ストックから︑実際の資本使用量
(S 1?
丘 町
ロ ロ
ωσ
)
を推定するためには︑
E ‑
0 2
1 g
‑
の推定が必要であるが︑ この推定のため︑各年
度の労働失業率をそのまま採用して求めている︒
このととは︑上記四十一年間を通じて︑資本︑
労働の未使用率が相互に同一であったと想定し
ている事になる︒尚第一表第五欄は︑前記範式
例から推定された品一
A (
乃至一般には
37)であり︑第六欄の﹀(片)は各年度の累積された
シフトを示し︑﹀
285H‑とおいて︑式
ωから計算された﹀(件) を各年度について示し
た も
の で
あ る
︒
ここでソ
lロlは第一表第五欄の数値は︑
第 四 欄 の
k
の 数
値 か
ら ︑
一 九
O 九
四
七
経 営 と 経 済
四 J ¥ 、
年から一九四九年の上記期間にわたる生産函数のシフトは究極において中立的であったとの結論がえられると述べ︑
各期の累積されたシフト﹀(丹)を計算している︒乙のシフトを詳細に見れば一九
O九年から一九二九年にわたって
一は大体年平均
li%のンフト︑一九三
O年から一九四九年にわたっては︑大体年平均
Mll%
のシフト︑四十一年
一
︹ } l k F
全体にわたっては︑大体年平均一・
ω%
のシフトになるという︒他方︑︿
ω‑
48
・︿色目が一八六九年から一九四八年に
2わたってグメリカ合衆国を対象にしてソ
1ロ!とは異なる方法により行った推定によれば︑大体年平均
0・ a %
の シ
フ
A
せ トを示し︑ソ
lロ
lのそれとはかなり違った結果を示す︒もとより︑乙のシフトを計算する式仰︑式
ωの何れをとっ
b w
︑
︑
k
一て も
︑ 右 辺 の
北
lp
引 を 見 れ は 理 解 さ れ る よ う に ム 一
k
的 一
q
︑
WK
の観察値が不正確なものであれば︑
その観察誤差が以一 A 乃至却すの計算に影響する乙とは勿論で︑就中︑資本︑ k の資料が例えば正確に使用強度及び
末使用の程度を反映していないなどの理由のため不正輝であるから︑式的︑式
ωから計算される♂一
F乃 至
以 一
A
は ︑
5 必ずしも︑正確に技術シフトを示すものとは考えられ伺いのであるが︑この間題は一応これだけにとどめておく︒
ωつぎに︑上記四十一年間の労働一単位当りの産出高の成長のうち︑そのいくばくが技術進歩に帰属せられ︑残
りのいくばくが労働一単位当り資本の増加(いわゆるの名立包含
8 3 z m )
に帰属せしめられるかを推定するため
つぎのような計算を行なう︒第一表から︑
ー捜再出守の
Z M M
﹀ ( 件 )
一 ∞
ou
刊
告0・
m N ω
一 也
会 刊
勢 一
‑M
吋印
プ ∞
ω ω
で あ
る か
ら ︑
一九四九年の技術変佑を除去して考えられた一単位当り産出高は
守幸
c x
コl卜JUlIー、J
CJ.コに)l. 1 1
部0
・ m∞ ∞
で あ り ︑ 従 っ て ︑
指 一
‑ N
吋印l
A W
・
0
m N ω
日
告0・mωN
の労働一単位当り産出高増加のうち︑
中町O
ト 白 ∞ ∞
l
告0・m M ω
中前0・ m
ωN
与引宅会 CコICコ
σ)IC
つ
に)11σヲ ト、コに)l
Cコ
~
が︑労働一単位当り資本の増加に帰属せられ︑残りの
告 一
‑N
J﹁ωl鵠0
・ m∞ ∞
部0・ mωN
n r u o
w
瓜が︑技術進歩に帰属せられるとの結論がえられる︒このようにして︑資本蓄積即ち
g主 計
巳 品
0 8
0 ロ
g m
のもつ効果
と︑技術進歩のもつ効果が分離して推定されたことになる︒尚︑ここで︑技術進歩に帰属する部分が︑分離して測定
されたといっても︑先記四十一年間における毎年の投資率が︑実際額よりもかなり下まわった場合︑乃至︑極端の場
合に︑ゼロであった場合にも︑尚︑上記推定と同様の高い技術進歩率が終始継続してえられたであらうことを保証す
るものではないとソ
lロ
lは 附
言 す
る ︒
ー ノ ー ノ て
1J
ω
最後にソ
lロ
lま︑各期の代︑をれこて除して︑技術進歩をぬきにした産出高
ω 一
付 ︑
を 求
め ︑
乙 れ
と
k
の 観
l q A l q
一A
察値から︑生産函数の推定を行ない︑推定結果は︑理論値と︑観察値の聞の相関々係が極めて高いという意味で良好
であることを指摘する︒ここに︑あてはめに使用された範式はつぎの五式であり︑夫々の推定結果を第二表に示す︒
技術進歩と生産画数
九
四
経 蛍 と 経 済
五
O(M
ω)
IMluR+
吉 岡 宵
( M k 干 )
山
1 u
R
ー ん
l
(M
U)
‑a IM
‑‑ a+
言 ︒
mw
(M
∞ )
OQ 。
〉
lAQ
W i h
表
I a I
s
I富係翌(23)
. 4
37 .091 .9982 (24). 4
48 .239 .9996 (25) .917 .618 .9964 (26) 一.729 .353 (27)
一.038 .913 .998第
であ
り︑
(N
J﹁ )
同
上述のソ
lロ
lの議論に対しては色々のことがいわれうると思われるが︑大別す
れば推定に使用された資料の検討と理論モデルの検討の二つにわけられよう︒
ω資料の面についてであるが︑資料が推定の目的のため︑妥当なものであるか︑
乃至︑資料が正確であるかが問題になる︒一一一 A
乃至一般には♂下を推定するた
め必要なものは︑労働一単位当り産出高︑同資本の投入量︑及び資本分け前の同己・
このためソ
lローのように
B S
‑ F
︒ ロ 円
ω を採用するにせよ︑はた又︑
BS
・ 3
ω
円ω を採用するにせよ︑特に ω
片言︒ 岳民
o の三つである︒前二者を計算するためには︑労働投入量の資料が必要
す数値はもとより年間の資本用役の流れで測定する必要があるが︑ 上述のような時系列資料の場合にはその同質性をめぐって測定上の難点が在在することは周知のことであるが︑ これを別にしても︑資本投入量の推定︑資本の相対的分け前の推定には大きな難点が存在する︒うち︑後者︑資本の 相対的分け前についての議論はつぎの
ωにおいて︑理論モデルの考察と関連してふれるが︑前者︑資本の投入量を示
これがえられないから︑資本ストック
( 2 1 z
‑
これから︑使用されている資本
( S H
正巳吉ロ・
応
、
日 ロ
ロ
ωO
)
を 使
用 せ
︑ ざ
る を
え な
い ︑
が ︑
乙の資本ストックを採用すれば︑
ωO
)
を推定するためあるいは︑労働と資本の未使用率は同じであるといった如︑き便宜的仮定を設けて︑前者︑労働の
未使用率を利用して︑使用されている資本を推定せざるをえないのである︒他方︑資本投入量の良好な測定値をうる
ために︑種々の人々により︑夫々の場合に大きな努力が重ねられているのも事実である︒紙面の都合上︑それらの点
﹃4
には︑立ちいる余裕がないので︑た Y ︑本小論全体においてとりあげられている︒ソ
lロ
i︑ 回
・ 司
・ 冨
gω
ω
出
・ 巧
司 ・
只U
出 ︒
m m g
等の何れにあっても︑資本の測定方法には若干の差が見られることをつけ加えておく︒
資本の相対的分け前を丸︑労働の相対的分け前を帆にて示せば︑資料の上から
(2)
d F +
当
F U
が︑常に成立するという︒しかも︑
(
∞ )
こ の
︑
WK
w 川の観察値について︑限界生産力説が妥当すると考えて︑
= 当
民
125(
∞ )
= 司
副
( 吋 )
が成立するものと見倣している︒ ここで︑式附が成立するための必要条件として︑生産函数
Fが ︑
K ︑
Lに つ
い て
一
技術進歩と生産画数
五
経 蛍 と 経 済
次且つ同次であることがあげられている︒所で︑生産要素が資本か︑労働かの何れかに分類され尽し︑これに対応し
て産出高(付加価値)も︑労働か︑資本かの何れかに配分し尽されて︑何も残余がないと考えれば︑この事実を説明
するため︑式側︑が成立し︑しかも︑この相対的分け前が︑限界生産力によってきまると見倣せば︑式内仰が成立す
n u
るが︑これは限界生産力説の第一命題︑第二命題の成立を内容とする究極の均衡状態の成立を意味する︒所が︑この
ことが二つながら︑果して︑現実において妥当するか否かが問題になり︑この検討が︑
五
戸
‑ u
田o c m E ω
等によりな
されたのであるが︑私の見る所では︑乙の第一︑第二命題をともに現実において保証するだけの根拠はないのである︒
それはそれとして︑式刷︑仰が現実に妥当すると見倣されているのである︒そして︑この場合に限り︑ w 町は︑産出
高の資本弾力性を示す数値となり︑式側乃至倒から・
A一A乃至・
F下を計算することが意味をもつに至るのである︒
所が︑現実の資料からは︑このことを保証するだけのものは何もないのである︒現実の叫は︑ソ
lロ!の表に見ら ∞
円
H E︒ ︒
ご ︼
円 ︒
℃
2ミz z g B O
を示す数値であり︑決して純粋に︑資本費用部分を示す数値ではない︒
れ る
よ う
に ︑
通 常
の 場
合 ︑
ω E
︒ B
ご ︾
円 ︒
唱 ︒
ュ 可
宮 山
8
口
50
日資本費用部分+企業利潤部分であり︑しかも︑げんみつにいって︑式
ωの成立すると考えられるのは︑資本費用部分の相対的割合についてであり︑何らの吟味もなしに︑
4U
HU
3 Z E g B O
即ち︑ソ
lロ
lの 叫 に つ い て
︑
式
ωが成立すると考えることは誤りである︒だから︑ソ
lロ ー の よ
うに︑事実の資料から︑式聞が成立しても︑このことが直ちに︑生産函数
Fの一次且つ同次の想定と同義という乙と
にはならない︒何故なら︑一次且つ同次の生産函数が︑限界生産力説と結びつく場合には︑利潤ゼロの究極の均衡状 ω
何回ω吋角川O同 司
円 ︒
旬 ︒
態を意味するが︑ この状態の成立を保証するだけのものはソ
lロ
lの議論の中には見出されないからである︒
ωつぎに技術進歩について︒ソ
lロ!の場合︑生産函数は時聞が経過すればシフトすると考えられている︒そし
て︑このシフトには︑申立的なシフトと然ら︑ざるシフトの二つがあり︑中立的シフトは先記の通り
EH
己 円 ︒
ω g ‑
ゅの﹃・
s m o ‑
‑ ω m w
︿ 百 四B Rm g
巳
5 2 ω
︒ 同
gt
己 ロ
ロ 片
山
0
ロ
ロ ロ
各 自
問 ︒
臼
ω仲
間2 2S Eg
‑‑ zt
︒ ロ 円
g
己︒=であると定義さ
れている︒他方︑技術変化がなく︑生産函数がシフトしなくとも︑時間の経過にともなって︑資本蓄積の行なわれる
ため︑同一生産函数に沿うての産出量の変化が見られる︒ここで︑生産要素が労働と資本の二つであり︑且つ︑生産
函数
Fが
K︑
Lについて一次且つ同次であれば︑現実の産出量の変化は
qと k の変佑にて把握される︒拐︑現実にお
いては︑時間の経過と共に︑一方においては︑技術水準は変化し︑他方において︑資本蓄積も進行するから︑労働一
単位当り資本 k も又変佑(一般に増加)すると考えられる︒どから︑現実の生産量の変化が第一図に示されるように︑
H J
←
H J
の変化である場合︑この変化を同一生産函数に沿うての︑ k の増加にとものう産出量の増加とシフトによる
増加の二つの和であると考えるのである︒そして︑このシフトが果して︑中立的か否かを検討するため︑現実の資料
F一から前述のようにしてム一
Fを計算し︑これと k の観察値とから︑相関図表を画︑喝さ︑乙の図表について︑相関々係が
/ .
見られぬとき︑乙のシフトはkの変化から独立︑即ち中立的︑然ら︑ざるとき非中立であると判断するのである︒
こ こ
で ︑
このような判断が可能であるためには︑
のう変化フ←同♂と
ω
︑生産函数のシフトにとものう変佑可 ω ー
も
u
必要である︒即ち︑ 同
MH︐ ー も
μ
の 変
ル 叫
ω
︑同一生産函数に沿うての︑資本深化にとも が
の二つにわけられてしまうと考えられることが
( F 1 ψ
同
MU ) 1 3 H
← ア
)+ (F
← 同
♂ )
4 a
︐
角川けい
の成立するように︒所が︑式倒の成立を正当とするだけの理論的根拠はないのである︒
(N
∞ )
一 般
に ︑
同 〆
lHMHU
b
ト'0とおき︑資本ストックの増加を︑
て示せば︑一般に
F l y
‑ h v r
︑技術進歩を時間
tに て
そ の
ま ︑
﹀ 示
し て
︑
Fir‑AV仲に
hv
MM
l
同
(hv
‑r
hv
同 )
(N
U)
技術進歩と生産画数
王
経 営 と 経 済
五回
が成立すると見倣されうる口所が︑式倒は極めて一般的な函数型であるから︑種々の具体的な形を想定することが出
来る︒例えば
KVMMHKvw+kV 同
( ∞
O)
乃 至
h v M M H K v w
‑ K
V
件( ω
一 )
k v
司
ukVH 同
+ h v 片 +kvw‑AV
件(ω N)
の 如
き で
あ る
︒
(上の側︑側︑倒式では係数は一切省略し函数型をのみ示す︒)更に︑無数の具体的な形が考えられる︒
ソ
lロ
lの考えた式倒は上の式側に当るものである︒従って︑式側の如︑き式を以て︑ 一般的な函数式
ωを代表せしめ
るためには︑それだけの理論的根拠が必要と考えられるが︑ソ
lpl
はその根拠を示していないし︑私の考える所で
︑も︑特に式州仰を︑従って又式
ωを採用するだけの根拠はないようである︒そして︑このことは︑ソ
lロ!の推定方法
とは逆に︑上記四十一年間の労働一単位当り産出高の増加のうちから︑まず︑労働一単位当り資本ストックの増加に
帰属せしめるべき割合を計算し︑その残りを技術進歩に帰属せしめる推定方法をとるとき︑
ソ !
ロ
i
の推定結果とは
かなりの喰い違いを見せる事実を引用して︑ソ 1 ローのように範式として式
ωを採用することが正しくない乙とが主
張せられている︒けだし︑ソ
lローのように︑二つの和にわけられる場合には︑いずれの方法を採用しても︑同一結
果を示すべきだと考えられるからである︒
もし式
ωが成立しないことになれば︑ ソ
lロ!のいうようにd
一 F と k との相関図表を画いて︑両者が統計的に独
シフトは中立的︑然らざれば︑非中立的いった如︑きことはいえないし︑更に︑技術進歩と資本深佑のも
J
以 下 と
k は先記相関図
( 式
ωの 如
︑ き
場 合
に は
)
シフトが必ずしも中立的でない場合にも︑
立 で
あ れ
ば ︑
つ交互作用を認めると︑
表上では︑統計的に独立であることが︑十分考えられるから︑われわれはソ
lロ!の方法にたよれないことになる︒
乙 の
ω
に関連して︑不断に生.すると考えられる技術進歩を現実に採用するのは︑資本主義経済にあっては企業
であり︑企業の判断により採用される筈である︒しかも︑企業が時間の経過とともに不断に惹起してくる技術進歩を
(4)
その一つを充分に消化しきれないうちに︑ つぎの又一つの技術進歩の生ずるのが常態と考えられるから︑ そこに技術
進歩の採用をめぐって激しい競争が存在することも常識である︒だから︑不断に生ずると考えられる技術進歩が企業
により不断に採用されて︑しかも︑採用された各期において︑限界生産力説にいう二命題の妥当する究極の均衡状態
が成立していると考えることは凡そナンセンスである︒例えば︑企業が技術の進歩を採用する場合︑その技術進歩に
とものう生産函数のシフトに由来するプラスの部分が︑労働︑資本のわけ前を示す︑ w 川︑叫に吸収され尽して企業
に帰属すべき利潤が文字通り零であることは凡そ理解出来ない事柄である︒たとえ︑技術進歩を採用しても︑それが
そのまま労働と資本の分配分に帰属してしまうような経済においては︑たとえ中立的技術進
歩と雌も︑果して︑企業が乙れを採用しようとするであろうか︒技術進歩の採用により︑利潤のあげられる可能性が
全く考えられない経済においてである︒
ω今までの
ω︑
ω︑
ω︑
ωは資料及び採用された範式についての超越的批判に属する︒ここでは︑内在的批判を
行なう︒理論的に考える限り
ωにおいて述べた如く︑式側︑式
ωは範式として妥当ではないのであるが︑かりに︑妥
当と考えれば︑各期において︑式仰を利用して推定された以一
Aは 坐
q
に極めて近い数値をとることが前以って予
想される︒その理由はこうである︒山山は労働一単位当りの資本ストック k の各期の変化量である︒経済全体の資本ス
トック総量と雇用労働総量とは︑循環的変動を別にすれば︑ほ
平行して変化するトレンドが一般に認められている J Y
から︑資本総量を雇用総誌にて除して求められる k
の変化バはそう大きいものとは考えられず︑乙の比
企業利潤をす通りして︑
を k
に て
技術進歩と生産画数