技術の進歩と比較生産費説
その他のタイトル Technological Progress and the Doctrine of Comparative Costs
著者 山本 繁綽
雑誌名 關西大學經済論集
巻 9
号 6
ページ 681‑700
発行年 1960‑03‑20
URL http://hdl.handle.net/10112/15564
よく知られている様に︑比較生産費説は静学的な命題で︑歴史的な動きの中では必ずしも妥当しないことはいう
までもないことであり︑そのことが比較生産費説に対する多くの攻撃の理由となったこともまた︑限々指摘されて
いるところである︒しからば︑比較生産費説を動学化するにはどうすればよいか︑またそれはどの様にしてなされ
ているかというと従来のところ共通の支持を得る試みは余り見られない様である︒なぜなら︑比較生産費説の様な
価格理論をそのまま動学化するには従来の方法では一定の限界があったからである︒しかし漸く最近に至って︑比
なく比較生産費説に関するヘクシャー・オリーン命題の成立である︒
.(1) する様に︑比較生産費の差が要素価格或いは要素存在量の差に依存するという命題と貿易による比較生産費差の縮
少が要素価格差を均等化するという命題の二つの部分からなつているが︑われわれの目的と関連して特に重要であ
るのはこの第一の命題である︒それはいわば比較生産費差の決定要因を明らかにしたもので︑比較生産費差の決定 較生産費説を動学化する基本的な方向が明らかにされ︑
一
︑ は し が き
技 術 の
ヘクシャー・オリーン命題は後に詳しく説明 一般に学界の承認を得た様に思われる︒それはいうまでも 山本
進 歩 と 比 較 生 産 費 説
繁
一四
八
綽
682
題が得られるであろう︒ 要因の判明は比較生産費説の動学化の門を開いたものと考えられているのである︒しかしながら︑リーン命題そのものも現在の段階ではまだ静学的な命題であって︑ないといわなければならない︒なぜなら︑蓄積等の動学的な要因の変化を考慮していないからである︒従って︑比較生産費説を動学化するには︑因に関するヘクシャー・オーリン命題そのものを勁学化しなければならず︑命題に技術の進歩とか人口の増加とか資本の蓄積とかの動学的要因を導入しなければならない︒
さて
︑
的な発展であり︑
と異る見解を持つているので︑
一四
九 ヘクシャー・オ
その儘では比較生産費説の動学化に直接役立た それは一定不変の生産函数を仮定し︑技術の進歩︑人口の増加︑資本の
この論文の性質上必ずしも必要なものではないが︑ そのためには︑ その決定要
ヘクシャー・オリーン
この論文は次の第二節と第三節の二つの部分からなっている︒第二節はヘクシャー・オリーン命題の学史
この命題の発展についてわたくしは若干通説 それを強調するために敢て挿入したものである︒この命題がヘクシャーから現代の 諸家に発展する間に重点の置きどころを変えてきたことを強調したいのである︒また︑第二節の叙述は第三節のわ たくし自身の分析の学史的背景を示すにも役立つであろう︒第三節は最初に述べた方向に従って比較生産費説を動
学化する︱つの試みとして︑
ヘクシャー・オリーン命題において︑生産函数に技術の進歩を等入して︑それが比較 生産費差に与える効果を厳密に分析するものである︒その結果︑技術の進歩と比較優位との関係について︱つの命
註
(1 )
この論文は他のこの種の問題に関する論文におけると同様に︑生産或いは供給の側面についての分析である︒従って︑
生産物或いは生産要素の需要側の条件は全く考えられていない︒以下︑或る要素の存在盤が相対的に多いということは︑
何の不都合もなく︑その要素の価格が相対的に低いということを意味するとしよう︒
技術R進歩と比較生産豫説︵山本︶
そうして︑﹁然しながら均等化はこAで止るのではない︒それは図で示される相対価格においても︑なお両国とも貿
(2)
貿易開始後
① 最
C国 初C国
l 1 1 1 . 5c 1 1 2
笙
l 1 1 C
星1 1
F国 F国
‑ 1 1 2 c 1 1 3w
l 1 1 3
c 1 1 4
w
p .
28 6)
れぞれ単位の土地資本及び労佑の価格を表わす︒︶ というのである︒ヘクシャーは更にこの事を次の様な数値例によって説明する︒
︵こ
こで
l.C.w
はそ
ホさ
れる
様に
︑
かれている様に思われる︒すなわち︑ す﹂という命題とである︒ところで︑ 対的に豊富な生産要素を多く使用する財に比較優位を持つ﹂という命題と﹁貿易が生産要素価格の均等化をもたら
﹁生産要索の相対価格における差異は︑貿易によって︑相対的に稀小な要素を相対的により多く要
求する商品をして相対的に豊富な要素が支配的な商品と交易することを有利ならしめるであろう︒かくして貿易は
各国間の生産要素の相対的稀小性の均等化が生じる迄拡張し続けなければならない︒﹂
生産要索の相対価格における差異は要素の移動が行われない場合においても消去される
(n
ul
lf
y)
ので
ある
︒﹂
︵︹
2︺ 前節にも述べた様に︑ この節はヘクシャー・オリーン命題がその創始者ヘクシャーから視代の諸家に至る迄に︑
述べられてきたか︑そうしてどの様に発展拡充されてきたかを明らかにするものである︒ 二 ︑
( 1 )
ヘ ク ン ャ ー
・ オ リ ー ン 命 題 の 発 展
ヘクシャー・オリーン命題は二つの命題からなっている︒すなわち︑ 技術の進歩と比較生産費説︵山本︶
従っ
て︑
‑,
どの点に重点をおいて
ヘクシャーにおいてはわたくしの見る限りこの第二の命題の説明に重点がお
ヘクシャーの論文︹2︺は﹁所得の分配に対する外国貿易の効果﹂という題に
︵ ︹
2︺
p .
2 8 6 )
﹁各国はそれぞれ相
一五
〇
技術の進歩と比較生産費説︵山本︶ けられている︒そうして︑ 易を拡張させることが有利であるからである︒かくして交換は均等化が完全になる迄進行するであろう︒﹂︵︹2︺
p .
迄もないことであり︑論議は寧ろ第二の命題である貿易が要素価格に及ぽす効果に集中されている︒そうしてヘク
シャーが完全均等化を主張していることは注目すべきである︒
なし
﹂︵
︹
9︺
p .
37)
そのものが輸送費その他の障害によって現実には均等化しないからである︒この点︑
ンの不完全均等化命題が論理的に誤つていると述べているのは明らかに的をはずれた論難というぺきであろう︒と
ヘクシャーやオリーンが重視したのは右の第二命題である均等化命題の方であって︑
しかしながら︑ に思われるのである︒
一五
要素存在量従って要素価格の差異が比較優位の違いを決定することはいう
この主張を更に発展させたオリーンが﹁完全均等化
現実には完全に均等化することがないという意味であって︑
︹11︺
︑ジ
ョー
ンズ
︹
5︺
︑ム
ーカ
ージ
ー︹
8︺ ︶ ︑
サムエルソン 生産物価格
この問題の初期の論
現在ヘクシャー・オーリン命題といわれる時︵例えば︑渡辺︹
1 6 ︺
︑小
島︹
6
︺ ︑
R.ロビンソン
それは主として右の第一の命題を指し︑均等化命題はいわば系論に退
ヘクシャー及びオリーンの著作についても第一の命題に関する箇所にのみその注意が向
けられている︒このことは論理的順序から云つても実際的重要性からいつても当然のことではあるが︑周知のレオ
ンティエフ・︒ハラドックスの出現︹7︺とほぼ時を同じくしており︑レオンティエフ・︒ハラドックスの出現と何か関
連しているのではないかと思われる︒それというのはレオンティエフがアメリカに適用したヘクシャー・オリーン
命題というのはこの第一の命題に外ならないからである︒ところで︑ 者達︵サムエルソン も
あれ
︑
アメリカの輸出財が輸入財に比べ寧ろ労佑集
︹認
︺︹
1 3 ︺ ︹
1 4 ︺ジェームス・ピアース︹3︺︶もまたこの均等化命題の方を問題にしている様 ︹12︺がオリー といつているのは︑ 287)この様にヘクシャーにおいては︑
その除去の試みは渡辺教授︹
1 8 ︺
や天
野氏
︹
1︺によって我国において始められつつある︒わたくしの次節の分析はい
わばこの系統に属すものであり︑天野氏がジョンソン︹4︺の図式を用いて求めた結果を全く別の方法で求めようと
( 2 )
するものである︒
ヘクシャー・オリーン命題の発展が最後にわたくしの次節の分析の系譜を示すことになったが︑本来この節でわ
のに
対し
︑
レオンティエフ・︒ハラドックス以後第一の比較生産費差が要素存在量の差に依存するという命題に重点
( 3 )
をおき換える様になったということである︒
註
(1 )
ヘクンャー・オリーン命題に関する文献についてはムーカージー︹8︺
pp
.
9 6
ー
9
︑小島教授︹6︺9
pp
.
359 │ 361
を参
照︒
(2 )
次節の分析はまた渡辺教授︹
︺にも系譜をもつ︒ロビンソン・モデルを用いて比較生産費説の動学化を目的とするとこ1 7
たくしが強調したいのは︑ で ︑
技術の進歩と比較生産費説︵山本︶
約財である結果を得たレオンティエフ・パラドックスは資本豊富国と思われるアメリカにとつてヘクシャー・オリ
ーン命題を否定する事実を示したものであり︑
においてヘクシャー・オリーン命題が現実に妥当しないのはそれが多くの厳重な仮定に依存しているためであり︑
このことは今や充分に認識されているところである︒その中でも一番問題となる仮定は生産函数が国際的に同一で
180ー183) その賛否についての論議は建元助教授の論文︹
1 5 ︺に詳しいが︑結局
このうち労佑の同質の仮定 あるという仮定と︑生産要素が国際的に同質であるという仮定の二つではないであろうか︒サムエルソン︵︹
︺1 2
pp
.
も要素費用分析に対する制約としてこの二つの地域的な差異を挙げている︒
についてはレオンティエフ自身︹7︺それを変えることによって︒ハラドックスの起る理由を説明しようとした︒そこ
ヘクシャー・オリーン命題に対する最も新しい課題は生産函数同一の仮定を除去することであろう︒そうして
ヘクシャー・オリーン命題は当初その第二の命題である均等化命題に重点をおいていた
一五
686
号
〇⁝⁝労佑生産性
ろ ︹
︺と同一であり︑それから多くの示唆を受けた︒ただ︑︹1 7
1 7 ︺の分析が資本の蓄被が比較生産費に与える効果に向けら れ︑技術の進歩が考慮されていないのに対し︑わたくしの場合は専ら技術の進歩が比較生産費に与える効果に集中される︒
(3 ) 以下ヘクシャー・オリーン命題というのはその第一の命題を指す︒
三︑本
この節では︑先ず比較生産費説のヘクシャー・オリーン命題を証明し︑次にそれに技術の進歩を導入して︑技術
の進歩が比較生産費差に与える一般的効果を明らかにする︒全体を通じて微分による判別方法に従う︒
(i)IIl両国がそれぞれ二生産要素(労佑・資本)を有し、二財(X財•Y財)を生産することが可能である。
︵社︶生産要素は国内では完全に移勁出来るが︑国際間には移動出来ない︒
C 11 1
)
生産要索の質は両国とも同一である︒
( V )
各生産要素に関する限界生産力は逓減しても︑規模に関する限界生産力は一定である︒後者は生産函数が
仮
一次の同次性を有することを怠味する︒
(•Vl)X財は常に労佑集約財、Y財は常に資本集約財で、
︵ふ︶国内では完全競争が支配し︑貨幣賃銀率及び利潤率の生産部門による格差は存在しない︒
記
技術の進歩と比較生産費説︵山本︶ (•IV)各財の生産函数は両国とも同一である。
定
K•…・・資本労佑比率 論
この要素集約性の差異は逆転しない︒
一五
三
技術の進歩と比較生産費説︵山本︶
w⁝⁝実質賃銀率
( 2 )
p⁝
・ :
財で表わしたX財の相対価格Y
( I I Y
財に対するX財の比較生産費︶
なお
︑
T:…•技術の水準を表わす。ハラメーター
サブスクリブト
xyはX財部門y
財部
門を
︑
先ず
︑
モデルが完結的であるためには︑更に生産物
1
2はI国
I l 国をそれぞれ表わす︒
I国
につ
いて
︑
X財Y財の生産函数︵厳密には生産性函数︶を同次性の仮定
( V )
からそれぞれ
了⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝
(1
.1
) 0 1 " 1 1 T
1x f, ( k 1 x )
01
︑1 1
T 1 7 f : , ( k 1 : , )
了⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝
( 1 .
2)
きき
1 1 T 1y (
fy
(k1y)ーk1yf~Ck1y)J
r1 11 T1
"
fい
( k 1 : r )
t⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝⁝
( 1 .
3)
P1
r1
1 1 T1
yfい
( k 1 y )
と示される︒これ等は生産物の供給と生産要素の需要との諸条件で︑
の需要と生産要素の供給との諸条件が与えられなければならない︒そうでないと未知数の数と方程式の数とが一致
しないであろう︒しかし︑ここでは方程式を解くことを目的としているのではなく︑
効果を調べるだけであるから︑これだけの方程式で充分である︒
W1
"
"
T 1 : z { f , ( k 1 : z )
ー
k 1 : z
J:
C k 1 : z ) J
と表わせば︑実質賃銀率及び利潤率は︑限界生産力説に従って モデル・ビルディング
( 1 )
r…•••利潤率(11利子率)
w ‑
r やの変化がPに与えるT
一五
四
T1 x 1 1 T1 y 1 1 T2 x 1 1T S
= 1
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
(2 .2 )
誓
21 1T S{ fy (K 2y )
ー
k s
fい︵ダ︶︸ j
'
t : ・
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
(2 .3 )
吝
1 r 2 1T 2? f
い
(k s)
ここの仮定とモデルによって比較生産費説は次の様に表わされる︒
き^き:…•I国はX財に比較優位を持ち、
き
> き
⁝
⁝
I国はY財に比較優位を持ち︑
右の差異
( P l
加の大小関係︶が更にどんな要因によって決定されるかを掘り下げて明らかにするのが比較生産 費説のヘクシャー・オリーン命題である︒次にヘクシャー・オーリン命題が前段のモデルからどの様に導き出され るかを証明しよう︒この場合︑技術の進歩の効果は考えないから︑前段の各方程式において
技術の進歩と比較生産費説︵山本︶ ヘクシャー・オリーン命題
r2 11 T2
?fい
︵ぎ
X )
翌2 1
1 T 2x {f z ( k 2 z )
ーk
2x
f~(k2,,)l
lI国についてもI国と全く同様の方程式が得られる。この場合、仮定(•IV)から生産函数のfxfyの型はI国と
同一である︒
了………•………(2.1)
02
r 1 1 T2 x f ,, ( k 2 , J
02
y 1 1T sf y( K2 y)
l I 国は財に比較優位を持つ︒Y
I l 国はX財に比較優位を持つ︒
一五
五
----~
~ ~ヽ;;; .. .
. . .
I . ..
ヽ I I
であ
るか
ら︑
技術の進歩と比較生産費説︵山本︶
と仮定する︒
先ず
︑
I国について
P l
は
( 1 .
3)
から
︑
11]y(ku)
………•••…
fい
(k
1r
)
吝
︐と求められる︒しかるに
( 1 .
2)
(1
.
3)から
k h k l y
はいずれも労佑の相対価格
とな
るが
︑
fい
(k
1x
) f
; (k
1y
)
このうち
急
P i
もまた
ミIき
I I
ゞ.ヽ
. , ..
ヘ ^?;r‑?;r‑
......
....
︶
聟 尻 は
( 1 .
5)から求められるから︑
整理すると︑右の式は
dP1 1f3(k1:1)
(k
1Y
ー
k1
r)
d ( 1 f ‑ ; )
ーf
い 合 ︶
fy
(k
1:
,)
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
( 1 .
6)
と変更される︒ここで資本労佑比率Kの大小が要索集約性の差異を表わすものとすれば︑Y財が資本集約財でX財 {fい
(k
1.
,J
l2
ー
fy (k 1Y ) fi (k 1y )
ーぎ
X 1
( 1 . 4
)
ーk1y………•••…•••……•……•(1.5)
d
k1
y
d︵ 氾
︶
ーfi(k1y)f~、 d
k 1: r
:
︵ぞ
︶
a ( 1
! ! 1 )
︑Y1
( 3 )
その結果を代入し︑更に
( 1 .
5)を用いて
l l l
‑ r l
の函数でもある︒そこで
( 1 .
4)
に お い て か を W i ‑ r l
で微分すると
W i ‑ r i
の函数
一五
六
690
プラス が労佑集約財という仮定.
V l
からK
ご ー
k1
xV
o
で︑また
f
"
︵k 1
: r) ,
fy k (
1y
),
f~(k1y)
Vo
であるから
( 1 .
6)は
ヽ
§ )
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
f︑
(k
2,
,)
き
1 1 f
" y
W2
ー
f"
︵k 2
, ,)
ーぎ
"11fy(ks)ーぎy
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
fい
︵ぎ
"
) f 3 ( k s ) r 2
dきさ
2 1
1 1
i︑
2 /
a(│
が成立する︒なお︑これらの式において︑技術の進歩がない場合︑生産函数両国同一の仮定出から︑加は究極的に
四一んに関するI国と同一の型の単純増加函数でなければならない︒
以上得られた
( 1 .
4) ,
( 1 .
5) ,
( 1 .
6)
̀
2︵
.4 ), (2 .5 ), (2 .6 )
の各式から
II
PI両国ともが
W‑
に関する同一の型の単r
純増加函数であることによって
技術の進歩と比較生産費説︵山本︶ W1 r 1
/¥IIV
~Iき
に従って吝
次に
︑
/¥IIV 吝
f ︑y(ks)︵
k2
yー
ぎ
N )
fh (K 2a )f y( ks )
r r 国についても全く同様に d
P1
>︒
d(~)
>︒
であること︑すなわち︑
P i
は
W i ‑ r
l
の単純増加函数であることが判明する︒
(2 .4 ) (2 .5 ) (2 .6 )
一五
七
旦 v o ・
⁝・
・資
本節
約的
d
(r
dT .
>︒
dT
dt
て増加する状態
( t
は時間を表わす︶ 技術の進歩と比較生産費説︵山本︶
110•…••中立的 d(1) r dT 且
A 0
⁝⁝労佑節約的
d(r
dT なる結果が導かれる︒この結果︑先に述べた意味の比較生産費説に従って︑り低ければI国は労佑集約財︵この場合X
財︶
に︑
財
(Y
財︶にそれぞれ比較優位を持ち︑逆に︑
に ︑
I l 国は労佑集約財にそれぞれ比較優位を持つことが判明する︒この場合︑需要側の条件を無視しているから︑
労佑豊富国は労佑の相対価格が低く︑資本豊富国は労佑の相対価格が高いと考えられ︑右の命題は労佑豊富国は労
佑集約財に資本豊富国は資本集約財にそれぞれ比較優位を持つことを意味する︒これはいうまでもなくヘクシャー
( 4 )
・オリーン命題そのものである︒
技術の進歩の効果
ヘクシャー・オリーン命題が導かれたので︑
を技術の進歩と名付け︑ I国の労佑の相対価格が
I l 国のそれよ
J I 国は資本の相対価格がI国より低いことになるから資本集約
I国の労佑の相対価格が
l I 国のそれより高ければI国は資本集約財
この論文の究極の目的である技術の進歩がこの命題をどの様に変更
するかという問題にはいろう︒そのため︑前段で守られてきた技術の進歩を表わす︒ハラメーターTがいずれも1で
あるという仮定は除去される︒Tを用いて技術の進歩を最初に定義しておこう︒Tが1より大であり︑時間を通じ
その
場合
︑
Tの増加が要索相対価格に与える影態に従って︑偏向別として
一五
八
692
dP
1
1 ーE(k1y)︑
(k
1x
)
dT
ix
T 1, ,
2 f x としよう︒従って︑
P i を T i
で微分すれば Y財に対するX財の比較生産費
P l は
であ
って
︑
I国についてX財部門に技術進歩が行われる場合
(d
J;
1x
> ︒ ︑
T1
y
11
1 )
一五
九
x
x
T i T l
はまた
k l
に依存 と分類する︒これは技術の進歩が体系に与える究極的な効果である分配関係に与える効果に従って分類しているの
( 5 )
ヒックスの限界生産力による分類と全く同一である︒
以下︑便宜上In両国について技術の進歩がX財部門に行われる
(Y
財部門に行われない︶場合と︑Y財部門に
行われる
(X
財部門に行われない︶場合とに分けて考察しよう︒問題は各種の技術の進歩が両国の比較生産費
P l 加
与える効果を分析することである︒
1•X[
]
ヽ
ー
j y k1y)·[
…••………
(1.
7) T1"fい
(k
1x
)
P1
ー
x の三つの変数に依存しているが︑
と表わされる︒この
( 1 .
7)
に お い て か は れ
k i k i
しているとして︑
T i T i
の変化は直接かを変化させるのみならず︑虹
k l J
の変化を通じて間接的に
P l を変化させる
dk 1 y
< ! J ! ‑ 1 . . £
dT
1x
﹃ fい
(k
1x
苔I~(k1y)I~)(k1y)(kix)ーー|ーjい、
1 "
Ti
x (f
い
(k
t)
︸2
とな
るが
︑ ( 1 .
2)
( 1 .
3)
で 知 知 を
T h
で微分した値につき
技衡の進歩と比較生産費説︵山本︶
ナスにおいて小さい︶゜ d
示 ︶ 仇
>
dT 1x
(V o)
仏 ー
fい
(k 1y )
︑d吝1
T 1 : : c 2 f~(k1:r) dT 1x
> に従って ことのみが判明する︒すなわち︑
S1
戸 ︶
ー ー
f合 ︶
fぎ ︶
dk 1x
ー{fい
(k 1x )l 2
を更に用いて操作すると︑
dき
ー
fい
( k 1 : 1 )
+
{/
;(
k1
:1
)J
2 ( k 1 : 1
ー ぞ ︶
T f
fい ︵ ぎ
N ) f
"
︵了
︶ fy
︵ぞ
︶ I I dT 1r なる結果が得られる。この(1.8)において、Y財がX財より資本集約財である仮定(•Vl)からk1yーk1r>Oであ
り︑
また
︑ f"
︵k 1
r ), J; (k 1r ), fy( k1 y) , f
;( k1 y)
>O
であるから︑最初に分類した意味において技術の進歩が中立的
及び労佑節約的である場合は
(1 .8
)の符号は常にマイナスとなり︑
TP i はの単純減少函数であることが判明する︒
しかし︑技術の進歩が資本節約的である場合は
(1 .8 )
の符号は確定せず︑ただ中立的な場合よりも大である︵マイ
とな
るが
︑
ここで技術の進歩の偏向は
技術
の進
歩と
比較
生産
費説
︵山
本︶
隻
II {fい︵
ぎ"
)}
2 / ,
, (k 1 , ,) f ' ;( k l J' ) dT ix
{f~(k1,,)J2
f ,( k i :, ) ' ; f ( k1 : r )
という関係があるから︑これを前式に代入して更に阻
11
ーg(k1Y)
dT ix T i x 2 f ・
い( k
1 : z )
(1
. 5) を用いて整理すると
lf t( k1 Y)
(/~(k1Y)
} 2
(k1yーk1:,J~
T1 . . l f; (k 1 . . )
l2
fy (k 1y ) dT 1x
均
で表わされなければならないから︑(1 .5
)を微分して得られる 4
d に
T1 z
d︵ 氾
︶ ⁝ ⁝ ⁝
⁝ ⁝ ⁝ ⁝
︵
1.
8)
dT 1x
一 六 0
694
次に
︑
1 1 国においてもI国と全く同様の結果が得られる︒ 良
I I I f +
dT
1,
,
f~(k1x)
︑ ビ
│ 0
に従って .d(91:ハ
: d T : V I
ぎ5
f;
(k
1y
)
乳
V i fい
(k
1,
J
である︒要するに︑
の相対価格を低下させるが︑資本節約的な技術の進歩の効果は判らないということを意味するのであって︑相手国
の同様の性質と併せて用いることによって技術の進歩が比較生産費説に与える興味ある変化を導くことが出来るの
︹I.y︺
( V O )
これらの性質は労佑集約財部門における中立的もしくは労佑節約的な技術の進歩は労佑集約財
( T
1 z
11
1,
t J i y
̲ > ︒ ︶
dt
P i 及び
P i 函数の性質は前のX財部門の技術の進歩の場合と同様の操作によって次の様に求められる︒
ー
T1 y
J;
(k
1y
)
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
⁝
fご
k1
x)
き
[II•X
]
であ
る︒
予 ︶
T1y[f~(k1y)J2(k1yーk1x)
r ,
⁝ •
・ :
・
⁝
‑
⁝
fH
(k
1,
J
fy
(k
1y
)
dT1y
( 1 .
9)
( 1 .
1 0 )
一 六
この
( 1 .
9)性質は
(1
.1
0)
より資本集約財部門における中立的もしくは資本節約的な技術の進歩は資本集約財
の相対価格を低下させるが︑労佑節約的な技術の進歩の効果は判らないということを意味するのであって︑前の労
佑集約財部門における技術の進歩の効果と丁度対称的に異つていることに注目すべきである︒
Il国について斉部門に技術の進歩が行われる場合︵心
NV
o9
TS
=
1 )
技循の進歩と比較生産費説︵山本︶ I国についてy財部門に技術進歩が行われる場合
以上
︑
技術の進歩と比較生産費説︵山本︶
ー jy(k2J_____…·:··…•………••••••……
. . . . . . . .
. ;…•
T2"fい︵ぞ︶
P2
,ー
u 令2ーg(ks)︷
f5
(K
2y
)}
2
(k
2v
ー
k 2, ,
)
a ( , : : ‑ )
⁝⁝
⁝⁝
︵
2. 8) dT 2x
ll
'
十
dT 2x
T2
x2
fい
(k
2x
)
f x
(k
2x
) f
y (
k2
y)
u
(A
O)
A d
吝 仇 ー E ( k 2 y )
1 1
0
に従って│ーー
1
. d
︑ (
2 )
: d
? v
dT 2x
>
T2
x2
f~(k2x)
ー1,
~Vo)
dt
︹1
1 . y
︺
国について財部門に技術の進歩が行われる場合I I Y
(T
ぽー
|T"J·い(ぎy)•…••……;…
. . . . .
;•…•••••…••…•………•…••
吝 ー
fご
( k2 ,
, )
良
1 1 A
厄+
哀 ミ
2 "
︶
・ ⁝ ど ぃ
︒
: d T s
>
U)
炉 ミ
︸ '
︵
ks)︸ 2
(k
2y
ーざ
"
) d五
︶ ・
⁝ ・ : ・ : ・
; :
︵
2. 1 0 )
f"
(k
2x
)
fy
(k
2y
)
dT 2,
に従って
(2
.7
)
(2.9)
各国各部門における技術の進歩が比較生産費に与える効果が示されたので︑これらの各結果
(1 .7 )(
1.
10),
(2
. 7
)(2.10)
‑ 1 < ' 1
却い
互に
幻
g合せて︑いろいろなケースにおける両国の技術水準の差異と比較生産費の差異との
関係をしらべよう︒それは両国ともPが
T X 或いは
T y に関する同一の型の函数であり︑しかも
T X T y
の偏向に従って同
略す
るが
︑
一の型の単純減少或いは単純増加函数であることから容易にしらべることが出来るのである︒いちいち求め方は省
(6 )
そのしらべた結果は次の表に総括される︒いう迄もなく
P1
Aき
は
I国がX財︵労佑集約財︶に比較優
位 を 持 ち
︑ き
> き は
y財︵資本集約財︶に優位を持ち
( I I
国についてはその逆であり︶︑?・はいずれの財に比較優 (Vo)
き ぃ ぃ
fい
(k s)
fい
( k2 ,
, ) dT 2y
>
一六