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国際教育協力への授業研究からのアプローチ Lesson Study Approach For Educational Cooperation

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Academic year: 2021

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国際教育協力への授業研究からのアプローチ

Lesson Study Approach For Educational Cooperation

礒田  正美, 小原  豊,宮川  健

ISODA Masami, OHARA Yutaka, MIYAKAWA Takeshi

筑波大学人間総合科学研究科, 筑波大学教育開発国際協力研究センター

CRICED, University of Tsukuba.

[要旨]算数・数学教育における途上国協力は、それぞれ各国にニーズに応じて展開され ているが、同時になんらかの現職研修をコンポーネントに含む点で共通している。現職研 修に際して、わが国の関係者が採用する方法が、教材研究、研究授業、討議・教訓のサイ クルからなる授業研究である。ここではその視野を述べる。

キーワード  算数・数学教育  授業研究  指導書、教員研修、教育開発

1.はじめに 

これまで JICA 枠組みのもとで、図 1 のような途上国支援が、算数・数学教育分野で推 進されてきた。これまでの課題研究では、その成り立ち、目的、課題、展開の相違が明ら かになると同時に、それらの支援が算数・数学教育の改善という共通の願いのもとで行わ れてきたことが明らかになった。加えて、いずれの支援においても何らかの教員研修、特 に現職教員の研修が行われていることが明らかになった。さらに、各ドナー国において、

現職教員の研修内容は同じではないが、日本ではいずれも授業研究がその方法論として採 用されていることが明らかになった。

そこで、この課題研究では、各支援においてどのような授業研究がこれまでなされてき たのかを共有し、モデル化することをめざす。

図1.これまでのJICAを通じての途上国支援

(2)

2.授業研究モデル化のために 

海外では授業研究はないといういい方もされれば、あるといういい方もされる。そこで 授業研究の定義が必要になる。

授業研究とは、教師による自律的な授業改善の仕組みであり、教材研究、研究授業(公 開授業)、討議・教訓というような流れを再帰的に繰り返す仕組みであるというのがごく一 般的な定義である(例えば馬場卓也による協力隊派遣前研修資料 2003)。では、日本以外 の国でそのような習慣をもつ国はないかといえば、ある。例えば、2003 年度数学オリンピ ック優勝国ブルガリアには、それと類似とみなしえる仕組みがある。途上国においても指 導案はある。授業参観もある。稀であるのは、互いの授業を批判しあう討議・教訓の仕組 みである。

そのように考えるとき、では、どのような仕組みを備えていればこそ、日本の授業研究 と言えるのかが問題になる。その問いに答えるべく、現在世界的に注目される日本の授業 研究を、算数・数学教育の立場から概観するための視野として以下を、設定してみた。

図2.授業研究を語る視野

.日本の算数・数学授業研究 (1)日本の教育と授業研究概観 (2)日本の授業研究史概観

(3)授業研究組織とそれをささえる背景 (4)教 育 課 程 と そ の 実 現 の た め の 授 業 研

(5)海外からみた日本の授業研究

.研究授業の方法 (1)授業の準備

(2)日本に特徴的な授業展開モデル

.日本数学教育学会における研究の動向 (1)小学校における授業研究

(2)中学校における授業研究 (3)高等学校における授業研究

.様々な授業研究

事例1.大学と附属学校の連携 事例2.附属のカリキュラム開発

事例3.教育委員会、現場、大学の連携 事例4.授業研究サークル

事例5.プレサービスプロジェクト 事例6.文部科学省支援授業研究プロ

.国際的な共同研究と国際教育協力 事例1.国際授業比較研究プロジェクト 事例2.タイにおける授業研究

事例3.シカゴにおける算数授業研究 事例4.日米の授業研究プロジェクト 事例5.オープンエンドの授業研究 事例6.フィリピンにおける授業研究 事例7.カンボジアにおける授業研究 事例8.ラオスにおける授業研究

事例9.インドネシアにおける授業研究 事例 10.エジプトにおける授業研究 事例 11.ケニアにおける授業研究 事例 12.ガーナにおける授業研究 事例 13.南アフリカにおける授業研究 事例 14.ホンジュラスにおける授業研究

例えば、授業研究組織とそれをささえる背景には、日本固有の事情がある。日本では、

授業研究は、教師のキャリア開発の基盤として学校、教育委員会で機能している。途上国 では、学校 1つに教師が 1名、管理職0というような学校はめずらしくなく、そもそも、

(3)

校内研修や勤務評定とは無縁な状況にある。対するわが国では、教師は、教員集団内で認 められてこそ管理職への道を歩めるというような歴史的経過がある。

3.日本の比較優位としての授業研究の背景 

現職派遣による青年海外協力隊員の活動も含めて、多くの途上国支援において授業研究 がなされている。それは、それぞれの国の障害に対して、同じ方法論を採用しているわけ だが、その内実は果たして同じであろうか。それが、この課題研究の問題意識である。

日本の比較優位として、世界各国から授業研究が絶賛されていることは確かなことだが、

2で示したような視野の多様性にみるようにそれを成立させる背景の上に成り立ってい る。その背景を明らかにすることが、途上国支援に役立つと言えるだろう。

参照

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