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Chapter2-CQ5-4 Ⅱ 脳梗塞 TIA 1 脳梗塞急性期 1-8 脳動脈 : 血管内再開通療法 ( 機械的血栓回収療法 局所線溶療法 その他 ) 推奨 1. 前方循環系の主幹脳動脈 ( 内頚動脈または中大脳動脈 M1 部 ) 閉塞と診断され 画像診断などに基づく治療適応判定がなされた急性期

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Chapter2-CQ5-4 Ⅱ 脳梗塞・TIA 1 脳梗塞急性期 1-8 脳動脈:血管内再開通療法(機械的血栓回収療法、局所線溶療法、その他) 推 奨 1.前方循環系の主幹脳動脈(内頚動脈または中大脳動脈M1部)閉塞と診断され、画像診断などに 基づく治療適応判定がなされた急性期脳梗塞に対し、遺伝子組み換え組織プラスミノゲン・ アクティベータ(rt-PA、アルテプラーゼ)静注療法を含む内科治療に追加して、発症6時間以 内に主にステントリトリーバー(グレードA)または血栓吸引カテーテル(グレードB)を用い た血管内治療(機械的血栓回収療法)を開始することが強く勧められる(グレードA)。わが国 では、保険適用された脳血栓回収用機器(Merci、Penumbra、Solitaire、Trevo、Revive)に よる血管内治療が保険適用されており、を使用し、「経皮経管的脳血栓回収用機器 適正使用 指針 第2版」に従って、定められた実施医療機関において、適切な症例選択と手技によって行 わねばならない。 2.発症後6時間以内であっても、治療開始および再開通までの時間が早いほど良好な転帰が期待 できる。このため、患者が来院した後、少しでも早く血管内治療(機械的血栓回収療法)を行 うことが勧められる(グレードA)。 3.最終健常確認時刻から6時間を超えた内頚動脈または中大脳動脈M1部の急性閉塞が原因と考え られる脳梗塞では、神経徴候と画像診断に基づく治療適応判定を行い、最終健常確認時刻から 16時間以内(グレードA)あるいは24時間以内(グレードB)に血管内治療(機械的血栓回収療 法)を開始することが勧められる。わが国では、「経皮経管的脳血栓回収用機器 適正使用指針 第3版」に従って、症例ごとに適応を慎重に検討する必要がある。 4.神経脱落症候を有する中大脳動脈塞栓性閉塞においては、来院時の症候が中等症以下で、CT 上梗塞巣を認めないか軽微な梗塞にとどまり、発症から6時間以内に治療開始が可能な症例に 対しては、経動脈的な選択的局所血栓溶解療法が勧められる(グレードB)。ただし、発症後4.5 時間以内に薬剤投与が可能な患者に対しては、アルテプラーゼ静注療法が第一選択となって いることに留意する。 5.アルテプラーゼ静注療法が無効または非適応の場合も、上記1~3の推奨に従って原則として 発症から8時間以内の主幹脳動脈閉塞による急性脳梗塞に対し、画像診断などに基づいた適切 な症例選択の上で、脳血栓回収用機器による血管内治療(機械的血栓回収療法)を行うことを 考慮しても良い(グレードC1)。 ◎エビデンス 1.血管内治療(機械的血栓回収療法) まずMerciリトリーバーを用いて発症8時間以内に治療を開始した経皮経管的脳血栓回収療法

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あった1)。Penumbraシステムは、発症8時間以内に治療を開始し再開通を獲得した症例の転帰が非 再開通例に比べ良好な傾向がみられた2)。ステント型脳血栓回収機器(ステントリトリーバー) は発症8時間以内にSolitaire 、Trevoを用いた治療成績が報告され、いずれもMerciリトリーバ ーとの比較が行われ、再開通率および臨床転帰においてステントリトリーバーの有効性が示され た3、4)(レベル2) 次に、rt-PA静注療法単独群と脳血栓回収療法を含む血管内治療追加群との比較研究5)、rt-PA 静注を含む標準治療と本療法との比較研究6)、rt-PA静注療法と本療法の比較研究7)が行われたが、 本療法の有効性は示されなかった(レベル2)。 2014年から2015年にかけて報告された5つのランダム化比較試験(Multicenter Randomized Clinical Trial of Endovascular Treatment for Acute Ischemic Stroke in the Netherlands: MR CLEAN追1)、Endovascular Treatment for Small Core and Anterior Circulation Proximal Occlusion with Emphasis on Minimizing CT to Recanalization Times:ESCAPE追2)、Extending the time for Thrombolysis in Emergency Neurological Deficits-Intra-Arterial:EXTEND-IA 追3)、Solitaire with the Intention for Thrombectomy as Primary Endovascular Treatment: SWIFT PRIME追4)、Randomized Trial of Revascularization with Solitaire FR Device versus Best Medical Therapy in the Treatment of Acute Stroke Due to Anterior Circulation Large Vessel Occlusion Presenting within Eight Hours of Symptom Onset:REVASCAT追5))およびこ れらのランダム化比較試験の統合解析追6-追9)により、主に発症6時間以内の主幹脳動脈閉塞による 急性期脳梗塞に対し、アルテプラーゼ静注療法を含む内科治療に本療法を追加することが、患者 転帰を改善するという科学的根拠が示された(レベル1)。この5研究の登録患者1,278例の背景と、 統合解析およびその層別解析の結果を以下に示す。 [アルテプラーゼ静注療法] いずれの研究も、アルテプラーゼ静注療法の適応症例にはまず 静注を開始した上で直ちに治療室へ移動し、血管内治療を実施した。5研究の登録症例のうち 85.3%にアルテプラーゼ静注療法が実施されていた追9)。アルテプラーゼ静注療法適応症例に対し、 それを投与せず血管内治療を行うことの有効性を検証した報告はない。そのため、適応症例には まずアルテプラーゼ静注療法を開始してから血管内治療に移行するべきである。一方、アルテプ ラーゼ静注療法の非適応例においては、内科治療に加えて血管内治療を行うことが、患者転帰を 改善することが示されている追9)(レベル2) [閉塞部位診断] 5研究いずれもCTA(一部MRA)で前方循環の主幹脳動脈閉塞が確認された症 例のみを対象としており、登録症例のうち90.8%が内頚動脈または中大脳動脈M1部の閉塞で、M2 閉塞7.4%、前大脳動脈閉塞1.8%であった追9)。内頚動脈および中大脳動脈M1閉塞以外の血管閉塞に 対する本治療の有効性は十分には示されていないため、症例ごとに適応を検討する必要がある。 [CT虚血所見] 5研究のうち2研究では、単純CTでの早期虚血変化の有無を組み入れ基準に含 まなかった。全登録症例の90.5%はAlberta Stroke Program Early CT Score(ASPECTS)6点以上 で、5点以下の層別解析では転帰改善効果はみられなかった追9)。ASPECTSが5点以下の本治療の有 効性は十分には示されていないため、症例ごとに適応を検討する必要がある。

[時間] 5研究のうち3研究で発症から治療開始までの時間が6時間以内、REVASCAT追5)では8時 間以内、ESCAPE追2)では12時間以内の症例を対象とし、血管内治療に割り付けられた634例の発症 から再開通獲得までの時間は、中央値4時間46分であった。再開通までの時間が早いほど転帰良 好(3か月後 modified Rankin Scaleスコア0~2)を獲得する可能性が高く、1時間の遅延により その可能性が5.2%減少した追10)(レベル1)。アルテプラーゼ静注療法と同様、少しでも早く治療を 開始することが勧められる。

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[年齢] 80歳以上の転帰は80歳未満に比べて不良ではあるが、80歳以上の血管内治療群にお ける転帰良好獲得の調整オッズ比は3.68(95%信頼区間1.95~6.92)であり、80歳未満2.44(95% 信頼区間1.70~3.50)と同様に血管内治療の効果が期待できる追9) [NIHSS] NIHSSスコアの登録基準は研究により異なるが、下限は0~8点に設定され、上限は 1研究で29点と設定されていたのみで、他は制限を設けていなかった。5研究の統合解析における 層別解析では、NIHSSスコア10点以下の177症例における治療効果は示されなかったものの、11~ 15、16~20、21点以上ではいずれも血管内治療の有効性が示された追9)。軽症例に対する本治療の 実施については、症例ごとに適応を検討する必要がある。

Contact Aspiration Versus Stent Retriever for Successful Revascularization (ASTER)追

a)では、発症6時間以内の前方循環系の主幹動脈閉塞による急性期脳梗塞に対する第一選択の血栓

回収機器として、血栓吸引カテーテルとステントリトリーバーを比較し、再開通率や90日後の転

帰に有意差がないことが示された(レベル2)。血栓吸引カテーテルを第一選択の機器として使用

することを考慮して良い。

2018年に報告された2つのランダム化比較試験(DWI or CTP Assessment with Clinical Mismatch in the Triage of Wake-Up and Late Presenting Strokes Undergoing Neurointervention with Trevo:DAWN追b)、Endovascular Therapy Following Imaging Evaluation

for Ischemic Stroke:DEFUSE3追c))により、発症または最終健常確認時刻から時間の経過した急

性期脳梗塞においても、神経徴候と画像診断にもとづいて対象症例を選択することで、血管内治 療(機械的血栓回収療法)が内科治療に比べて患者転帰を改善するという科学的根拠が示された。 DAWNでは、最終健常確認時刻から6~24時間の内頚動脈または中大脳動脈M1部閉塞による急性期 脳梗塞で、神経徴候と虚血コア体積のミスマッチ(clinical imaging mismatch: CIM)を有する 症例において、ステントリトリーバーを用いた機械的血栓回収療法が内科治療に比べて患者の転 帰を改善させた。虚血コア体積はDWIまたはCT perfusionの脳血流画像で自動解析ソフトRAPID (iSchemaView社)を用いて計測し、CIMの定義は80才以上ではNIHSS≧10+虚血コア<21 mL、80 才未満ではNIHSS≧10+虚血コア<31mLまたはNIHSS≧20+虚血コア<51mLとされた追b)(レベル2) DEFUSE3では、最終健常確認時刻から6~16時間のICAまたはMCA M1閉塞による急性期脳梗塞で、 RAPIDによりtarget mismatch (虚血コア<70mLかつmismatch ratio >1.8)を有すると判定された 症例において、機械的血栓回収療法が内科治療に比べて患者の転帰を改善させることが示された 追c)(レベル2)。ただし、我が国においては、RAPID(我が国では未承認)をはじめとする虚血コ ア体積を迅速に計測可能なソフトウェアが普及していないことから、症例ごとに適応を慎重に検 討する必要がある。 このように、これらの結果は前方循環の主幹脳動脈(内頚動脈または中大脳動脈M1部)閉塞と 診断され、画像診断などに基づく治療適応判定がなされた症例を対象とし、主にステントリトリ ーバーを用いた血管内治療を迅速に行うことで達成されたものである。後方循環系の主幹脳動脈 閉塞や、中大脳動脈M2部以遠などの末梢血管閉塞吸引のみの再開通療法、発症6~12時間以降あ るいは発症時間不明の脳梗塞などに関しては、未だ血管内治療の有効性を確立するまでの知見が 集積されていないことに十分留意すべきである。本療法の実施者は、「経皮経管的脳血栓回収用 機器 適正使用指針 第2版第3版(2015年4月2018年3月)」の内容を十分に理解した上で、適切な 症例選択と手技によって行わねばならない追11)追d 2.経動脈的局所血栓溶解療法 遺伝子組み換えprourokinase(r-proUK)を用いた経動脈的局所血栓溶解療法は、来院時のNIHSS スコアが4~29で、CT上梗塞巣がなく、発症6時間以内に治療開始可能な中大脳動脈塞栓性閉塞に

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おいて有効であると報告された8、9)(レベル2)。さらにわが国で行われたウロキナーゼを用いた 経動脈的局所血栓溶解療法の研究でも、脳梗塞の画像診断の標準化や局所血栓溶解療法の治療手 技の標準化がなされたが、来院時のNIHSSスコアが4~22と中等症以下、CT上梗塞巣がないまたは 軽微な所見に留まり、発症6時間以内に治療開始可能な中大脳動脈塞栓性閉塞において社会復帰 率10)に優れると報告された(レベル2)。これらの3つの研究の統合解析結果も示され、一定条件 を満たした中大脳動脈塞栓性閉塞例に対する急性期経動脈的局所血栓溶解療法は、3か月後転帰 は良好、死亡は対照群と同等との結果であったが、24時間以内の症候性頭蓋内出血は治療群に多 く見られた11)(レベル1)。ただし、これらの治療法はアルテプラーゼ静注療法との併用は行えず、 かつ発症後4.5時間以内に薬剤投与が可能な患者に対しては、アルテプラーゼ静注療法が第一選 択となっていることに留意する。また、機械的血栓回収療法とは異なり症候性頭蓋内出血の発症 率が高いことも留意する必要がある。その他の部位(内頚動脈、椎骨脳底動脈)、条件における、 多くの局所急性血栓溶解療法の報告は症例集積研究のエビデンスレベルにとどまっており12)、勧 告を行うための十分な資料がない(レベル4)。 3.経皮的血管形成術/ステント留置術 急性期の経皮的血管形成術/ステント留置術についての報告は、患者対照研究、症例集積研究 のエビデンスレベルにとどまっており13、14)、勧告を行うための十分な資料がない(レベル4) [引用文献]

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