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無機塩-多価アミン2成分系の溶媒和構造と動的性質

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(1)無機塩一多価アミン2成分系の   溶媒和構造と動的性質. 2012. 兵庫教育大学大学院 連合学校教育学研究科. 教科教育実践学専攻  (鳴門教育大学). 寺島 幸生.

(2) 要旨  無機塩一1,2一プロパンジアミン(12PDA)2成分系の溶媒和構造および動的性質. について,示差走査熱量測定(DSC),ラマン分光測定および量子化学計算による 研究が行われた.溶質としてNaClO4, LiC104, NaBF4およびLiBF4が用いられ,. 濃度を変えた試料が測定に用いられた.DSC測定では,急冷して得られたガラ ス状態の試料が,2Kmin−1の速さで室温まで昇温され,ガラス転移,結晶化,. 共融解および融解の各熱異常が観測された,DSC測定から得られた融点相図に より,(NaCIO4)x(12PDA)1.xでは,共融点および包晶点がそれぞれx=0.17および κ一〇.19に現れることが明らかにされた.また,共融解温度の不連続な変化から, (NaClO4)1(12PDA)4および(NaClO4)2(12PDA)5の組成で表される溶融化合物が存. 在することが示唆された.結晶化温度は,塩濃度の増加に伴って次第に上昇す るが,x一一〇.20で急激に低下し,この濃度の前後で結晶化のダイナミクスが不連. 続的に変化することが示唆された.全試料から,単一のガラス転移が観測され, 各面のガラス転移温度Tgは,塩濃度の増加に伴って単調に上昇した、 x<0.25. の低塩濃度域では,Tgは塩の種類によ.らずほぼ同様の濃度変化を示した. (NaCIO4)。(12PDA)1.。では, x>o.30とx<O.25との間でTgの濃度変化が異なり,. 溶液構造および動的性質の異常が示唆された.ラマン分光測定は,Tgから300 K. までの温度範囲で結晶化していない過冷却液体に対して行われた.アミノ基 (一NH2)の伸縮振動バンドは,塩濃度の増加に伴って,純粋な12PDAでの波数か ら高波数側にシフトした.一NH2伸縮振動バンドは,低塩濃度域では,温度の低. iii.

(3) 下に伴って低波数側にシフトするが,高塩濃度域では,低温でもスペクトルの 形状はほとんど変化しなかった.この一NH2伸縮振動バンドの変化は,溶媒分子. 間で強く水素結合した一NH2と,溶媒分子あるいはイオンと弱く相互作用した 一NH2の2状態を仮定した2状態モデルから説明された.この結果,系の構造を 主に支配する相互作用は,低塩濃度域では,溶媒本来の分子間水素結合である が,高塩濃度域では,イオン間あるいはイオンと一NH2との弱い相互作用となる. ことが示唆された.この競合する2つの相互作用のクロスオーバーから,Tgの 濃度依存性の異常が説明された.局所的な溶媒和構造を仮定した複合体につい て,Hartree−Fock法および密度汎関数法による量子化学計算が行われた.その結 果,12PDA溶液内では, Na+とClO4一が直接相互作用してイオン対を形成し,こ のイオン対に溶媒和した局所構造が存在することが示唆された..  以上のように,無機二一多価アミン2成分系では,低温における分子運動が 塩濃度に依存して変化し,溶媒和構造と関連付けて理解できることが明らかに. された.濃厚な12PDA溶液では,水溶液やアルコール溶液とは対照的に,低温 でも溶媒本来の水素結合は回復しないことが明らかにされ,アミンを用いた研 究が過冷却液体の構造と動的性質をより理解するために有用であることが実証 された.. iV.

(4) 目 次. 要旨______。.______.____.. ジ⋮m. ぺ一. −■ −. 1. 序論______.___.__._..  1.1.2回分系の相図____.__.._. ︵∠つ﹂4./0月10/Qノ.  L2.水素結合と溶媒和_______.  L3.水素結合構造と2状態モデル。  1.4.過冷却液体とガラス転移__..  15.水素結合とガラス転移____  1.6.本研究の目的_.______..... 2. 実験______.______.___..  2.1.試料___.__._..___.,..._..  2。2.示差走査熱量測定___.___.   2.2.1.原理______._____..   2.2.2.測定方法.______...__.  2.3.ラマン分光測定________   2.3.1.理論......_.____._._.   2.3.2.測定方法_.........___...._.  2.4.量子化学計算___.___._._.   2.4.1. Hartree−Fock法.._.。... v.

(5)   2・4・2・密度汎関数法……・…………・・…・…一………・一・・=・……・・…・………・…・……・・……24.   2.4.3.基底関数系.______.__、__.._....__……・……・…一…………・……・….25.   2.4.4.計算方法_._._.__1一..______∴._._____.____.__...__._.927. 3. 結果と考察._...___.,___...._._9________.一一..____.___..一__.30.  3.1◎DSC曲線______..。_.___.__。______...______._._.____..30.  3.2.融点相図____.__..___..___.__.___._._.__.___.______..33.  3.3曾結晶化.______.,..______.,_._____,_.__.___..______,._37.  3.4.ガラス転移_.__._.._..。.__.__.__........_._____...._.。._._..___.38.  35.ラマンスペクトル__._.___。_____._.______.._._____.__40.   35.1.振動モードの帰属_____._._____._..__.____._____._40.   35.2.アミノ基伸縮振動バンドの濃度変化._____._.____.__...__.45.   3.5.3.アミノ基伸縮振動バンドの温度変化__.____..______.__1.,49.  3.6.水素結合の2状態モデル_____..______.___._.__.______54.   3.6。1,強い水素結合と弱い水素結合____.__..______...._____._54.   3.6.2.水素結合状態の濃度変化.___.___.____..__._._____.__,58.   3.6.3.水素結合状態の温度変化_____1.一______..___.___...__60.   3.6.4. 2状態間の平衡と安定性_____。___.__._._一...._...._____66.  3.7.溶媒和構造_____._...__.___..______.______,1_.__.__69.   3.7.1.溶媒の水素結合構造と水素結合のエネルギー__._._.._._.__.._69.   3.7.2。イオンと溶媒の相互作用_,_.____.__.___._..______._.._73.                  vi.

(6)  3.8.溶媒和構造とガラス転移... .82. 4.  結論.___._._._._..__. .84. 謝辞_.,............___...._...__._... .86. 参考文献____.______._._.. .87. vii.

(7) 1.序論 1A.2成分系の相図  凝縮相の物理的性質には,隣接する分子間相互作用の強さや様式の違いが反. 映される.2成分系では,そのような相互作用の異なる分子を混合することに より,系統的に分子間相互作用が変化する系を作り出すことができる.2成分 系では,相互作用を連続的に変化させた場合,相挙動や物性が連続的には変化 しないことがある.これらは,微妙な相互作用の競合により,微視的構造や分 子運動が急激な変化を伴うことによる.このことから,しばしば新しい物性探. 査や新物質創出のため,2成分系の研究が行われる.2成分系の相図は,異な る化合物間の平衡条件に関する基本的な情報を与え,合金,分子間化合物およ. び溶解度分析等の理解に役立つため,幅広く研究されている,2成分系の融点 相図は,固液間の平衡状態を示し,液相線の挙動によっていくつかのタイプに 分類される[1,2].2成分系の多くは,固相での相分離と各純成分間で単一の芸. 融解を示す.また,各純成分間に単一の完全溶融化合物が形成され,この化合 物と純成分との問の共融解を示す2成分系も存在する[3,4].無機塩が溶媒に溶. 解した溶液系は,代表的な2成分系である.これまでに,複数の共融解と溶融 化合物を示す水溶液系の融点相図がいくつか報告されている[5,6].さらに,い. くつかの2成分系では,小さなゲスト分子がホスト分子によって形成された籠 状の化合物に包接された構造,いわゆる包接化合物が形成される[7].このよう. 1.

(8) な系では,水素結合が重要な分子間相互作用となっている.. 1 .2.水素結合と溶媒和.  液体の物性は,分子間相互作用に強く依存する.液体内で起こる多くの化学 反応では,水素結合をはじめとする分子間相互作用が重要な役割を担っている [8].水素結合は,あらゆる化学種間にはたらくvan der Waals相互作用よりも強. い.水に代表される水素結合性液体では,その構造および物性が水素結合に強 く依存している.一般に,水素結合性液体は,同程度の分子量をもつ他の液体 に比べて,異常に大きな沸点,融点,粘性率などをもつ..  水などの溶媒中に添加された無機塩は,電離してイオンとなる.溶液中のイ オンは,周囲のいくつかの溶媒分子に取り囲まれ,溶媒和イオンとして存在す る.イオンと溶媒分子とが相互作用することにより,イオン周囲で溶媒の構造 が形成される場合と,溶媒の構造が破壊される場合とが起こりうる.過塩素酸 イオン(CIO4 )やヘキサフルオロリン酸イオン(PF6一)のようないくつかのアニオ. ンは,水に対して大きな構造破壊効果を及ぼすことが報告されている[9,10].一 方,リチウムイオン(Li’)やマグネシウムイオン(Mg2+)のようなカチオンは,水溶. 液中で構造形成効果を示すことが知られている[11]..  一般に,非水溶媒は,いくつかの例外を除いて水よりも電解質を溶解しにく い.このため,水和についての報告に比べて,非水溶媒中の溶媒和に関する報 告は少ない.イオンと溶媒の相互作用の強さが,用いるイオンと溶媒に依存す.                  2.

(9) るため,非水溶液中のイオンが溶媒に対して構造破壊あるいは構造形成のいず れの効果を及ぼすかということは,単純には決まらない.溶媒和が起こる過程 には,イオンと溶媒分子との新たな相互作用の形成と,本来の溶媒分子間水素 結合の解消との両者が必然的に含まれる.前者は,エンタルピーの減少を伴い 溶液の安定化に寄与する.一方,後者は,エンタルピーの増加によって溶液の 不安定化に寄与する.溶質と溶媒との相互作用が弱い場合には,三相溶的相互 作用によって,溶質のまわりに溶媒分子によるクラスレート的構造が形成され る.水との相互作用が弱いアルキルアンモニウムイオンは,水溶液中で周囲の 水の構造性を高めることが知られている[12].この疎水的相互作用によって,. 疎水性溶質の近傍にある水分子は互いに水素結合を形成するため,エンタル ピーが減少する[13].. 1.3.水素結合構造と2状態モデル  水をはじめとする会合性液体の水素結合状態は,単純に水素結合の有無また はその強弱だけで区別した2状態モデルで説明されることが多い.Walrafen[14]. は,H20のラマンスペクトルを測定して,一〇H伸縮振動バンドに温度に依存し ない等散乱点(isosbestic point)が現れることを確認した.この事実から,水分子に. は,水素結合した一〇Hと水素結合していない一〇H:の2回忌が存在すると主張し た.一方,Scherer・et・al.は,偏光解消度を含めたラマンスペクトルの測定によっ て,isosbestic pointが現れないことを示し, Walrafenの主張した水素結合の有無.                  3.

(10) による単純な2状態モデルを否定した[15].彼らは,水の水素結合を,分子内. の2個の一〇Hの両方が強く水素結合した状態と,片方が弱く水素結合した状態 とに分類する2状態モデルを主張した..  アルコール溶液の水素結合構造も,2状態モデルにもとづいていくつか議論 されている,LiClO4一エタノール2成分系では,添加されたCIO4一イオンによっ て,エタノール間の水素結合(0−H…0)が解消され,C104Mイオン周囲に異なった. 溶媒和構造が形成される[16].過冷却状態にあるNaClO4一多価アルコール2成 分系では,一〇H伸縮振動バンドに組成および温度によらないisosbestic pointが現. れる[17].このことから,一〇Hには溶媒分子間で水素結合した一〇H(O−H…0) と,CIO4一と弱く相互作用した一〇H(0−H・・ ・ CIO4 )の2状態が存在し,塩添加に伴っ. て,この2状態問の平衡が移動すると理解される.室温付近では,塩添加に伴っ. て溶媒分子間水素結合が破壊され,異なった溶媒和構造が形成されるが,低温 では,この溶媒和構造が解消され,本来の溶媒分子間水素結合が回復する.ま た,LiBF4一多価アルコール系でも,同様の塩添加効果が現れることが報告され ている[18].. 1.4.過冷却液体とガラス転移  過冷却液体は,融点以下で結晶化せずに存在する準安定状態にある液体であ り,基礎科学や種々の技術的応用面において,重要な役割を担っている[19].. ガラス転移は,過冷却液体における分子の動的性質を調べるという観点から,.                  4.

(11) 多くの科学者によって研究されてきた[20−22].しかしながら,過冷却液体とそ. のガラス転移に現れる異常な挙動の本質は,いまだ完全に解明されておらず, 現在も重要な研究課題として注目されている..  ガラス転移は,最も単純な捉え方として,過冷却液体内での分子運動の凍結 という動的な現象として理解される.各々の分子は,周囲の分子の影響を受け たポテンシャル内で拡散的に運動しているため,ガラス転移は本質的には局所 的な現象である.平衡条件下で起こる相転移では,系が無限のサイズで熱力学 的な異常を示すが,局所的な現象であるガラス転移では,このような異常は現 れにくい..  ガラス転移は,微視的なモデルによっても説明されている.Adam−Gibbsの理 論[23]では,過冷却液体の局所的な分子運動として,数分子から数:十分子単位. の協同的な再配置運動を仮定し,この協同的再配置運動領域(Cooperative Rearranging Region;CRR)の存在を主張している.高温の液体では,分子がラン. ダムに運動しているが,ガラス転移点近傍では,CRRの空間的スケールが増大 する.そこでは,分子相関が強くなり,分子のダイナミクスは空間的に均一で ない状態となる.このような空間的に分布を持った運動性を動的不均一性と呼 ぶ.この考え方は,低温で分子の緩和運動が急激に遅くなることにより実験的 に検証されている[24,25].実験結果は,過冷却液体の分子運動が,単一分子の. ポテンシャル内での現象ではなく,強い分子相関による集合的なものであるこ とを示している.. 5.

(12) 1.5.水素結合とガラス転移  低温にある過冷却液体では,室温付近にある液体に比べて分子間の相関が強 く,分子間相互作用が分子の動的性質を強く支配している.したがって,ガラ ス転移温度Tgは,過冷却液体の局所構造と動的性質を反映していると考えられ る.また,分子量が大きい液体ほど粘性率が高い傾向にあり,類似の分子サイ ズ,分子骨格であれば,分子内に水酸基などの水素結合性置換基の多い物質ほ どTgが高い傾向がある.このことから,水素結合性液体のTgは,水素結合によっ. て形成される微視的な溶媒和構造に支配されると予想される.実際に,水素結 合性液体2成分系におけるTgの組成依存性から, Tgが水素結合密度を反映する ことが実験的に確認されている[26].アルコール溶液や水溶液のTgについては,、. これまでに多くの報告がある.混合による過剰配置エントロピーを0と見なせ る正則溶液系では,Tgは組成比に対してほぼ直線的に変化し,目立った異常が 現れない[27].多くの無機塩水溶液系のTgは,組成に対して直線的ではないが 単調な変化を示す[5,28,29].また,包接化合物を含む分子間化合物が形成され る系では,Tgの組成依存性にピークが現れる[30].一方,塩化リチウムー水一ア ルコール3成分系[31,32],アミンーアルコール系[33,34]では,Tgの組成依存性. に明瞭なピークが現れる.これらのTgの異常は,組成変化に伴う分子間相互作 用の変化に起因していると考えられる.特に後者では,水素結合構造の変化が 重要な役割を果たしていると考えられる.. 6.

(13) 1.6.本研究の目的  過冷却液体の構造とダイナミクスについては,熱測定,誘電緩和測定等およ. びラマン分光測定等の多様な実験手法により,近年多角的に議論されている [19β6−40].これまで述べてきたように,溶液系の研究は,希薄な水溶液または. アルコール溶液に集中している.一方,溶媒和構造と分子の動的性質を,幅広 い濃度および温度範囲にわたって研究した例は依然として少ない.水溶液では,. 比較的高濃度の溶液が得られるが,結晶化しやすいため,幅広い温度範囲で過 冷却状態を実現することが難しい.アルコール溶液は,比較的容易に過冷却液 体となるが,無機塩に対する溶解度が水に比べて小さく,高濃度の溶液を得る ことが難iしい..  アミンは,分子間で水素結合を形成する典型的な水素結合性液体である.し かし,アミン溶液を対象とする研究は,水やアルコールに比べて極めて少ない. 一般に,アミン溶液内で形成されるアミノ基(一NH2)間の水素結合(N−H…N)は,. 水やアルコールで形成される水酸基←OH)間の水素結合(0−H…0)に比べて弱い.. このため,純粋なアミンでも,室温下においては水素結合していない一NH2が多 く存在すると考えられる.このフリーな状態にある一NH2は,低温で水素結合を 形成すると予想される.したがって,低温におけるアミン溶液では,一NH2問水 素結合に対する溶質の効果が水やアルコールの場合よりも大きくなる.また, ガラス転移温度にも溶質の効果が明瞭に反映されると予想される..  以上の背景から,本研究では,無機塩に対する溶解度が非水溶媒の中でも比.                  7.

(14) 較的高く,急冷により過冷却L.ガラス転移を起こす多価アミンに着目した.本. 研究の目的は,無機塩を溶かした多価アミン溶液の構造および動的性質を幅広 い濃度および温度範囲を対象として解明するとともに,この両者の関連性を明 らかにすることである.試料として,溶媒1,2一プロパンジアミンに過塩素酸ナト. リウムをはじめとする無機塩を溶かしたアミン溶液が用いられた.これらの試 料のガラス転移,結晶化および融解の各熱異常が,示差走査熱量測定(DSC)によ. り観測され,得られた融点相図から,溶融化合物や共融解の存在が明らかにさ れる.結晶化温度やガラス転移温度の濃度依存性から,分子の動的性質が考察 される.また,ラマン分光測定によって,アミノ基の伸縮振動バンドが観測さ. れる.そのスペクトルの濃度および温度変化が2状態モデルにもとづいて解析 され,水素結合構造の濃度および温度変化が明らかにされる.DSC測定とラマ ン分光測定の結果から,アミン溶液の水素結合構造と動的性質との関連性が考 察される.最後に,量子化学計算と実験結果との比較により,溶液内の溶媒和 構造とイオンの挙動が議論される.. 8.

(15) 2.実験 2.1.言式米斗.  1,2一プロパンジアミン(1,2−propanediamine;12PDA)が溶媒として用いられた,溶. 質の無機塩として,市販の過塩素酸ナトリウム(NaClO4)(片山化学工業社製;KC 特級,純度98.o%以上),過塩素酸リチウム(Liclo4)(片山化学工業社製;Kc特級,. 純度99.0%以上),テトラフルオロホウ酸ナトリウム(NaBF4)(和光純薬工業社製; 試薬,純度98%以上)テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)(和光純薬工業社製;. 試薬,純度97.0%以上)がそれぞれそのまま用いられた.12PDAとNaCIO4の構 造を図2.1に示す.12PDAは,分子内に一NH2を2個有する多価アミンであり, 一NH2を介して分子内もしくは分子間で水素結合する.光学異性体が存在し,中. 央の炭素が不斉炭素となっている.溶質の例として,NaClO4の構造が示されて いるが,他の塩の構造もこれに類似する.全ての塩では,アニオンのイオン半 径はカチオンのそれに比べて大きく,表面電荷密度は小さい..  市販のラセミ混合物(和光純薬工業社製;試薬一級,純度95%以上)の12PDA. (A) ,di. A..A (B).   o   j 図2.1.. 試料の分子構造の模式図.(A)溶媒の1,2一プロパンジアミン,(B)溶質の過塩素 酸ナトリウム.. 9.

(16) が次の手順で精製して用いられた.まず,金属ナトリウム小片を入れて静置す ることにより脱水された.脱水試料は,マントルヒーターで加熱しながら,蒸 留塔:を用いて常圧分留された.分留試料は,真空蒸留により精製された.真空 蒸留装置の模式図を図2。2に示す.分留した12PDAを適量入れた丸底フラスコ,. 蒸留済試料容器,トラップ1,トラップ2が,真空ラインに装着され,u一タリー. ポンプにより脱気された.試料用容器がドライアイスエタノールに浸された状 態で,蒸留済試料が捕集された.この蒸留済試料は,乾燥窒素雰囲気中で共栓 付三角フラスコ内に密封され冷蔵庫内で保存された..  溶媒および溶質は,乾燥窒素を充填した無菌パック中において,容量20mし の共栓付三角フラスコ内で混合された,フラスコに入れた溶媒および溶質をそ れぞれ電子天秤で秤量することにより組成が決定された.フラスコに密封され た試料は,マグネティックスタ・一一ヲーにより6時間以上撹梓,混合された. NaCIO4−12PDA溶液((NaClO4)x(12PDA)1.一x)では,x>0.40の試料は溶解度を超過し. てゲル化したため,室温で均一な溶液が得られなかった.(LiClo4)x(12PDA)1.x, (NaBF4)x(12PDA)1.xおよび(LiBF4)x(12PDA)1.xでは,それぞれx>0.20, x>0.25お. よびx>0.20の試料は溶解度を超過し,実験に用いる均一な溶液が得られなかっ た..  参照試料として,0.1 mol L’iの12PDA−CCI4溶液((12PDA)o.ol(CCI4)o.gg)が調製さ. れた.12PDAには,上記の方法で精製されたものが用いられ,溶媒には,市販 の四塩化炭素CCI4(和光純薬工業社製;精密分析用試薬,純度99.8%以上)がその.                  10.

(17) ︶1. a ダ’.  1. 臨. d. b. c. 図2.2.真空蒸留装置の模式図.各記号は以下のものを示す.a:蒸留前試料用フラスコ,    b:蒸留済試料容器,c:トラップ1,d:トラップ2, e:排気弁.. まま用いられた.試料の調製および混合は,室温,大気中でメスフラスコを用 いて行われた.試料は,テフロン製ボトル内に密栓され冷蔵庫内で保存された.. この試料により,溶媒分子間で水素結合していない12PDAのラマンスペクトル が得られる.. 2.2.示差走査熱量測定. 2.2.1.原理.  熱分析は,物質の物理的性質の温度依存性を測定する技法であり,温度を一 定速度で昇降温させながら試料の物性を連続的に測定する方法がよく用いられ る[40].代表的な測定法には,熱重量測定(TG),示差熱分析(DTA)および示差走. 11.

(18) 査熱量測定(DSC)がある.なかでもDSCは,転移温度をはじめ,潜熱,熱容量. 等の定量測定に広く用いられている.入力補償型DSCは,試料とリファレンス を熱的に切り離し,別々にエネルギー入力を与え,両者の温度を等しく保つの に必要なエネルギー入力の差を直接測る方法である,一方,熱流束型DSCは, 一定の昇温速度の下での両者の温度差を測定して熱量差を求める方法である. 本研究で使用した熱流束型DSCの測定原理を以下に示す[41,42].設定温度,試 料温度,リファレンス温度をそれぞれTp, Ts, Tr,また,試料およびリファレン. スへ流れ込む熱量をそれぞれg、,q,とする,試料およびリファレンスへの熱流束 dg、/dt, dq,/dtは,それぞれ.              讐一麦幅)・(2・1).              “EII/ili”r=’jli’(Tp−T,)・ (2・2). で与えられる.ここで,1/Rは単位温度差当たりの熱流量であり,標準物質を用. いて装置を較正することにより決められる.2式の差を取り,試料とリファレ ンスの熱量差および温度差をそれぞれ△e=q、一q,,△T=Ts−Trとおくと,.              S14tEILq=一一1,AT, (2.3).              dt                  R の関係が得られる.したがって,△Tを測定することで,△gの時間変化すなわち 試料の発熱または吸熱速度を求めることができる,. 12.

(19) 2.2.2.測定方法.  DSC測定は,熱流下型DSC装置DSC−10, Seiko Instruments Inc.を用いて行われ た.装置の構成図を図2.3に示す.サンプル室中の試料側(S),リファレンス側(R). の両方に設置されたアルミニウムパンは,液体窒素溜に注入された液体窒素に. より120K以下まで冷却された.ガラス状態の試料を得るため,試料は,パス ツー一一一ルピペットによりパン内に1滴滴下された.この方法によって,試料は約 一100 K min”の速度で急冷された. DSC測定は,試料温度が安定した後,サーマ ルコントローラSSC/580, Seiko Instruments Inc.を用いて,試料を2 K min’iの速さ. で室温まで加熱することにより行われた.出力される信号は,レコーダ 1&E−SR410, Seiko Instruments Inc.で記録するとともに,デジタルマルチメータに. 入力され,GPIB経由でパーソナルコンピュータに取り込まれた。得られたデー タをもとにDSC曲線が描かれる.. 液体窒素溜 パーソナル コンピュータ. 熱量検出部 サンプル室  ヒ.      1      タ      1 熱電対. デジタル サーマル. マルチメータ. コントローラ. アンプ. DSC本体 図2.3.DSC装置の模式図..       13. レコーダ.

(20)  DSC曲線は,横軸に温度または経過時間を,縦軸に発熱あるいは吸熱速度を 選ぶことが一般的である.例として,(NaClO4)o.10(12PDA)o.goのDSC曲線を図2.4. に示す.ガラス転移は,DSC曲線のベースラインジャンプとして観測される, 結晶化は発熱ピークとして観測され,共融解および融解は吸熱ピークとしてそ れぞれ観測される.観測された急熱異常の温度は,以下の方法により求められ た.ガラス転移温度Tg,結晶化二皮恥および共融解温度Te。tとして,それぞれ. の熱異常以下のベースライン延長線と熱異常途中の変曲点における接線との交 点の温度が採用された.融解温度Tfu,として,ピーク時の温度が採用された.  (NaClO4)x(12PDA)1.xにおいて, x=0.16,0.17,0.18および0.19の試料につい. ては,通常の測定で観測された熱異常が非常に弱かったため,融解および共融 解の温度は明確に決められなかった.(NaClO4)o.1g(12PDA)o.81でのDSC曲線を図. 25に示す.これらの試料は,結晶化を十分進行させて明瞭な融解および共融解 のピークを観測するため,以下の手順でアニールされた.まず,試料は2Kmin−1 の速さでT、ry付近まで加熱された.その後温度がT、ryで約20分間保持されるこ. とにより,試料の結晶化が進行された.試料はTg以下まで冷却された後,再び 2回目in”iの速さで加熱されて室温までのDSC測定が行われた.アニールにより, 熱異常の温度を決定するのに十分明瞭な発熱および吸熱ピークが観測された.. 14.

(21) 140 150 160 170.  …. …. 200 T/K.  . 180.  一、          ■. .02国. 160. 140. 試⋮⋮⋮贈. 1 T/K. ﹂一⋮嘱. .O×国▲TlIll一.O℃口面旧. .O × 国. 13 0. (NaCIO4)o.io(12PDA)o.go. 壱7:s. 240. 220. 260. 図2.4.観測された熱異常の温度の決定,ガラス転移,結晶化,共融解および融解の各温度    をそれぞれTg, T。ry, T,utおよびTfu、で示している.. ’.  ’ ’. O×国. 一、畢     /. ’.    、  1            ’    、の・軸一、一鞠               !        ’鴨煽鴨働噛蘭r.           ,           も             の            も            .            コ リ いうり.            1’.    争  i. W卦.      II     i            」.  蜜一一・一・一伽一・一曾一9」annealed. ゑT鶏. .o℃員国. 140 160 180.   現. II’. 200 220 240 260 280  T/K. 図2.5.(NaC104)o.1g(12PDA)o.81のDSC曲線.曲線1はアニールしない通常の測定の結果,.     曲線IIおよびII’はそれぞれアニール前後の結果を示している.. 15.

(22) 2.3.ラマン分光測定. 2.3.1r理論.  分光学は,試料中の化学種の特定をはじめ,分子の構造および物理的性質に ついての情報を得る実験手法として広く用いられている[43].分子の振動モー ドは,赤外分光法あるいはラマン分光法によって観測されることが一般的であ. る,赤外分光法が,分子による赤外線の吸収を利用しているのに対し,ラマン 分光法は可視光の散乱を利用した実験手法である.物質の光の散乱には,レイ リー散乱とラマン散乱がある.レイリー散乱は,散乱光の振動数が入射光の振 動数に一致する弾性散乱であるが,ラマン散乱は,散乱光の振動数が入射光の 振動数と異なる非弾性散乱である,ラマン散乱光と入射光との振動数の差は,. 散乱を起こす分子の分子振動の振動数に等しく,ラマン分光により分子振動の スペクトルが観測できる..  ラマン散乱は,古典論量子論のいずれからも説明される[43−46].その原理 を古典論的に説明する.図2.6は,ラマン散乱の原理を示す模;式図である.物質. にレーザー光を照射することによって,分子が電場中に置かれ,分子の電子分 布が変化する.そのとき,分子に双極子モ・一一一一・iメントPが誘起される。この誘起. された双極子モーメントPは電場Eに比例し,.               P=aE, (2.4). と表される.ここで,αは分極率と呼ばれ,電子分布の変形しやすさを表すパラ.                  16.

(23) メータである..  分子を構成する原子は常に振動している.原子核の振動に追随して電子分布 が変化するため,分極率は分子振動による揺動を受ける.分極率αは分子の原 子核の振動変位を表す基準座標の関数で,次のように表される.            α一a・・¥〔gfbii−i),e,. (2.,). ここで,αoは,原子核が平衡位置に静止しているときの分子の分極率,2kは,. 分子のk番目の基準座標である.分子振動の振動数をVkとし,その振幅を2kO とすると,時刻tにおける基準座標②は,.            2k = e 2 cos 2zv,t, (2.6). と書けるので,振動する分子の分極率は次式のようになる..          α一a・・写敵92一・(2・7). 一方,入射レーザー光の電場Eは周期的に変化し,その強度Eは,.              E == E, cos2n v,t , (2.8). で表される.ここで,Eoは入射光電場の振幅, Voは振動数である.(2.4)式に, (2.7),(2.8)式を代入すると,誘起された双極子モーメントの大きさPは,. P一唱一. l離一一圭匿ユα一州・(2・9).                   17.

(24) で表される.このように,振動する電場が分子振動をしている分子に作用した 場合,誘起された双極子モーメントPには,光と分子振動とのうなりの成分が 出現する..  振動する双極子モーメントからは光が放出され,それが散乱光として観測さ れる.(2.9)式の第1項は,入射光と同じ振動数Voで振動するレイリー散乱を与 える.ラマン散乱光は,(2.9)式の第2項,第3項で与えられ,振動数vの分子振 動に対して入射光の振動lk Voより±vだけシフトした振動数成分をもつ散乱光が 現れる.Vo−v成分をストークス散乱光, Vo+v成分をアンチストv・一一一・クス散乱光と. 呼ぶ.一般に,ラマンスペクトルでは,ラマンシフト(Raman shift)と呼ばれる入 射光と散乱光の波数の差△rを横軸にとり,ストークス光の強度(Raman intensity) を縦軸にとる.(2.9)式の第2,3項から,(∂αk/∂gk)。=0の場合は,ラマン散乱は. 起こらない.ラマン散乱が生ずるためには,(∂ak/∂gk)。≠0であること,すなわ. (A) ラマン散舌L∠−(B)         ストークス波            ストークス波 アンチストークス波.          Vo−V,xt) vo−v vo+v 1        分子                        仮想的 A                                  電子励起状態 @   ▲  一 ’一 Kr N. J 一 一〇一印一曹凹一一一一一”胃一}零暉一一刷一胃一喩騨一−一旧一一幽曹撃.  入射光   一→.              レイリー散乱.  入射光Vo. T   VO.               vo                                 振動の.        ;饗魁   ll鷺状態 図2.6.ラマン散乱の原理.(A)は散乱光の種類を示している.レイリー散乱は,入射光と同.    じ振動数を示し,ラマン散乱は入射光の振動数から分子振動の振動数だけシフトし    た振動数を示す.(B)はラマン散乱が起こるときの電子遷移の様子を示している.. 18.

(25) ち分子が振動変位を起こしたときに分極率が変化することが必要である.ラマ ン散乱の散乱断面積は,(∂αk/∂2k)。に比例し,分極率変化の大きい振動モードほ. ど散乱強度が大きい..  量子論的に言えば,ストークス散乱では,基底状態にある分子が,仮想的電 子励起状態を経由して,振動の第一励起状態に遷移する.逆に,アンチーストー. クス散乱においては,振動の励起状態から基底状態に遷移する.この両者の相 対的な散乱強度比は,ボルツマン分布によって定まる.一般に,室温付近では 多くの分子が基底状態にあるため,ストークス散乱の方がアンチストークス散 乱に比べて強く現れる.したがって,ラマン分光では,蛍光による観測が困難 な場合を除いて,ストークス散乱を扱うことが多い.. 2.3.2.測定方法.  ラマンスペクトルの測定は,レーザーラマン分光装置Ramanor U1000, Horiba Jobin Yvonを用いて行われた.装置の構成図を図2。7に示す.本装置はグレーティ ングと光電子増倍管を組み合わせた検出器を装備し,波数分解能は0.3 cm’1であ. る.励起光源として,波長514.5 nm,出力約300 mWのAr+イオンレーザーが. 用いられ,試料に照射された・試料からの散乱光のうち,入射光に対して90度 方向のものが集光され,2重回折格子で分光される.分光された光は,光電子 増倍管で増幅された後,電気信号に変換され,カウンタで検出される.本実験 では,4000・一 100・cm−1の波数域のストークス光が,1 cm“1間隔で測定された.各. 19.

(26) 波数での散乱強度は,装置に付属する波長スキャン測定プログラムにより測定 された..  室温でのラマン分光測定は,(Naclo4)。(12PDA)1吸,(Liclo4)。(12PDA)1一。, (NaBF4)x(12PDA)1.x,(LiBF4)。(12PDA)1.xおよび(12PDA)o.01(CCI4)o.ggの各系につい. て行われた.約7Cln3の試料が,乾燥窒素雰囲気中でサンプル管内に封入され, マクロ試料室内にセットされた.(12PDA)o.01(CCI4)o.ggを除く試料では,1サイク. ルの測定で十分な散乱強度が得られた.(12PDA)o.01(CCI4)o.ggでは,12PDAがCCI4. に対して微量であり,得られるシグナルが微弱であったため,16サイクルの測 定が行われた.. 信号処理系. 〈八  ダブル モノクロメーー. 1 カウンタ. 回折格子. i携、. ミラー. 入射 ス1ツト1.  コロリ   ののののの   のコ  . R.          旨 I                  I.          } ドコ●             試料          :. 光電子増倍管 検出器.    試料室. 1 距レンズ. 分光器. 集光罪学系           . 1        L!.試料周辺. l        l の光学系 l                  l l                  l I                   I.      励起噛’源    l        l.             I 〈/ i             I           V       i             L即__一P一____一____口顯騨噌__   Ar+レーザー (514、5 nm). 図2.7 使用したラマン分光装置の模式図。. 20. 反射鏡.

(27) (NaClO4)。(12PDA)1−xのラマン測定は, Tgから300 Kまでの温度範囲で,結晶. 化していない過冷却液体に対しても行われた,そこでは液体窒素クライオス タットOptistatDN, Oxford lnstruments Superconductivity Ltd.が用いられ,試料温度. は温度制御装置ITC502により制御された.本システムは,77.8 Kから310.O K. 1. ●. 一. ←. ﹁. ●. : :. ¢d)・. ⊥一. 上. ●. ::. E  i. D. 幽. ump. 圏. 「層響,一一一一ロー一一■冒冒一冒一一一■ロ冒冒冒。層冒冒冒曹、   :C I. A B. {. 一. 嗣. ィ) lThe㎜a且 1. __. 1. Contro且置er l 8. σTC502) ,. }. 融. i: ;. 一. 2. 一. 1. 1. Thermal Controlle αTC502). F     r      1. M. 1 卜 ■ 1. ■ 1 1 1 ■ 圏 1. 1 1 1. 1 o. 9. ●. o. G     ,. 1 ﹁. 1 1 1 1 圏 ■. ﹃. 7. ,. 1. ﹁. 1. 1 ︸ 1. 一. ﹁. 卿■一  }騨. 1. 、 8. 1. ,. 9. PQ. 0. .蟄・ 畳. L. ‘. 〆K m_. ・1. 卜. J. lL. 1. / ヨ・. 、. 一. オ. 二﹂. 轡 1)L. N. ⋮ io. 1. ノ. ●. 1’. 1. H    ,. 一    . 一. ■. :. L. ●. 、. ) ) ) ) ). i. S Liq.. N2. 図2.8.液体窒素クライオスタットの模式図.図中の記号は以下を示している.A;排気バ     ルブ,B;液体窒素注入口, C;センタースティック挿入口, D;窒素ガス排出口,     E;窒素ガス充填バッグ,F;導線, G;液体窒素室, H;ヒーター,1;断熱真空槽,     J;サンプル室,K;内窓, L;外窓, M;センタースティック, N;熱電対,0;熱接     触部,P;サンプル瓶蓋, Q;サンプルホルダー, R;空孔, s;サンプル.. 21.

(28) までの温度範囲で約土0.1Kの精度で温度制御が可能である.クライオスタット の模式図を図2.8に示す.クライオスタットは,ラマン分光装置のマクn試料室. 内に固定された.断熱真空槽は予め排気され,液体窒素を液体窒素室に注入す ることにより,サンプル室の温度は約77Kに保持された.約15cm3の試料が, 乾燥窒素雰囲気中でサンプル管瓶に封入され,センタースティック先端のサン プルホルダーに固定された.試料はスティックごと液体窒素に直接浸され急冷 された.この方法により,試料は約100Kmin−1の冷却速度で急冷され,液体窒 素温度に保持された.試料が結晶化していないことは,目視により確認された,. 試料は,予め乾燥窒素ガスで置換されたサンプル室内にスティックごと手早く 挿入され固定された.測定は,試料およびサンプル室の温度が設定温度で安定 した後に行われた.設定温度ごとに4サイクルの測定が行われ,散乱強度が積 算された.. 2、4.量子化学計算. 2.4.1.Hartree剛Fock法.  分子軌道法は,分子系の電子の状態に対するSchr6dinger方程式を近似的に解 く方法である.分子軌道法は,実験値を用いないab・initio分子軌道法と,実験値. を再現するように決められたパラメータを用いる半経験的分子軌道法に分類さ れる.Ab・initio分子軌道法は,半経験的分子軌道法に比べて多大な計算コストを. 22.

(29) 要するため,以前はごく小さな分子系に限って用いられた.近年は,計算機の 性能が飛躍的に向上し,比較的大きな系についても適用されている.一方,半 経験的分子軌道法は,ab・initio分子軌道法に比べて計算精度が低いことが短所と されてきた[48].本研究では,代表的なab initio分子軌道法であるHartree−Fock. 法(HF法)と半経験的分子軌道法である密度汎関数法(Density Functional Theory)(DFT法)による量子化学計算が行われた.以下では,両理論の概略を簡 略に説明する,.  HF法では,電子間の相互作用が平均化され,多電子系に対するSchr6dinger 方程式は,1電子系のSchr6dinger方程式に置き換えられる[49,50].すなわち,. 全電子の波動関数を個々の電子のスピン軌道からなるSlater行列式によって近. 似される.スピン軌道xは,分子の空間軌道urに,上向きまたは下向きのスピ ン関数(αまたはβ)をかけたものである.1つのSlater行列式は,スピン軌道の. 組で表される1つの電子配置に相応する.この電子状態を表現するスピン軌道 の組を求める固有値方程式がHartree−Fock方程式である. i番目の電子の1電子 演算子(Fock演算子)Ki)は,他の電子から受けるポテンシャルを平均化したもの vHF. Fを導入することにより,.           プ(’)一一曇一興+謂⑦・(2・1・). で与えられる.ここで,riAはi番目の電子と原子核Aとの距離, ZAは原子核A の原子番号,Mは原子核の数である.ここでは原子単位を用いた. Hartree−Fock.                  23.

(30) 方程式は,エネルギー固有値をεiとして,.             f(i)x(i)=s,x(i), (2.11). の形で表される.これを解くことにより,固有関数であるスピン軌道x⑦が求め られる.得られたスピン軌道を使って,他の1つの電子についてのHartree−Fock. 方程式が立てられ,同様に解かれる.この操作を,Fock演算子に用いたスピン 軌道がその固有値方程式の解として得られるスピン軌道に一致するまで,すな わち自己無撞着場(Self−Consistent−Field;SCF)が満たされるまで繰り返される.. 2.4.2.密度汎関数法.  HF法は,多電子系の電子間相互作用を平均化して1電子系のHartree−Fock方 程式を解く近似的な手法である.より厳密な解を得るには,厳密な電子間相互 作用と平均化した電子間相互作用との差異を精度よく見積もることが重要であ る.一方,DFT法では,電子密度が与え.られると基底状態の電子エネルギーが 決まるという定理[51]が利用される.電子エネルギーは,電子の運動エネルギー,. クーロンエネルギー,交換エネルギー,相関エネルギーの和で与えられる.各 エネルギーは,空間座標rの関数で与えられる電子密度p(r)の関数であり,電子. エネルギーは,関数の関数という意味で汎関数と呼ばれる.DFT法では,電子 密度ρ(r)で記述される以下のKo㎞一Sham方程式が用いられる[51]..      (一t▽1一斯+∫}碧【由・艸ぴ)一s・y・・(r)・(2・12). 24.

(31) ここで,左辺括弧内の第3項はクーロン反発演算子,Vxcは交換・相関演算子を それぞれ表す.また,勤はi番目の電子に対するKo㎞一Sham軌道,εiは対応する 軌道エネルギーである.2>電子系における電子密度p(r)はurによって,以下の式 で与えられる..            ρ(r)=Σ砺,*(r)・1・fi(r)・(2・13).               i=1. Vxcの正確な形が分からないため,実際の計算は近似的な汎関数が与えられ解か れる.このように)’. cFT法には半経験的側面があり,HF法に比べて計算精度が. 低いとされてきた.しかし,SCFが満たされるまで繰り返し解くHF法に比べて, (2.12)式を解くだけで済むことから計算コストが小さいのが利点である.DFT法. は,近年分子系に対して理論的に急速に進展し,HF法に対してより低い計算コ ストで,HF法に匹敵する精度の計算結果を与える手法として発展を遂げている [48].. 2.4.3.基底関数系.  スピン軌道x⑦を構成する分子軌道¥’(i)は,その基底関数φ()Ct)の線形結合で表 現される..                ダ              レ(i)=ΣCμφ(μ)・(2・14)                μ=1. ここで,κは基底関数の総数,娠は’番目の分子軌道におけるμ番目の基底層. 25.

(32) 数の寄与を示す係数であり,量子化学計算の結果として得られる値である.基 底を大きくして完全系に近づけることにより,得られるエネルギー固有値は正 確な基底状態のエネルギー(Hartree−Fock極限)に近づけられる.実際には,有限. 個の基底関数を用いるため,計算されたエネルギー固有値は,Hartree−Fock極限 よりも高い.一般に,分子軌道法では,分子軌道(Molecular Orbital;MO)を構成. 原子の原子軌道(Atomic Orbital;AO)の線形結合で表すLCAO近似にもとづいて. 計算が行われる.したがって,計算の精度は,各原子に与える基底関数に依存 する.原子について,SchrOdinger方程式が解析的に解けるのは水素原子のみで ある.その関数形は,exp(一ζりで表され, Slater型関数(Slater Type Orbital;STO). と呼ばれる.ここで,rは電子の原子核からの距離であり,ζは電子の広がりを. 示す軌道指数である.STOを基底関数として用いた場合,計算の収束が悪く, 多大な計算時間を要する.一方,exp(一4r2)の関数形を持つGauss型関数は,計算. 上扱いやすく収束が速い.このため,分子軌道法では,STOをGauss型関数の 線形結合で近似して,原子軌道の基底関数として与えることが一般的である.. 代表的な最小基底系として,STOを3つのGauss型関数(3G)の線形結合で近似 したSTO−3G基底がある.しかし,この基底を用いて得られる計算精度は低く定 量性は;期待できない.現在では,さらに多くのGauss型関数の線形結合で表現. した基底系が開発されている.今日よく用いられる6−31G基底では,各原子の. 内殻電子の軌道が6つのGauss型関数で近似され,原子価部分の電子は,3つの Gauss型関数で近似した軌道と1つのGauss型関数で表現した軌道により与えら.                  26.

(33) れる.一般に,分子を形成する原子のまわりの電荷分布は球対称ではないため,. この効果を含めた分極関数が基底系に加えられる場合が多い.分極関数は,孤 立電子対を含む軌道を正確に表現するために加えられる.水素原子が関係する 結合エネルギーを考慮する場合には,水素原子にも分極関数が付加される.例. えば,水素原子にp型の分極関数が加えられ,水素原子以外の原子にd型の分 極関数が加えられた6−31G基底は,6−31G(d,p)と表現される.さらに,アニオン. のような負電荷を帯びた分子系では,中性分子と比べて電子分布がより広がっ ているため,空間的に広がりの大きいdiffUse関数が加えられる.diffUse関数は,. 水素結合やvan der Waals相互作用を考慮する計算においては特に重要である. 6−31G基底において,水素原子以外の原子にdiffUse関数を加えた場合は6−31+G, 水素原子にもdiffUse関数を加えた場合は6−31++Gと表現される.. 2.4A.計算方法.  純粋な12PDAでは,分子問水素結合により12PDA多量体が形成されると考 えられる.塩を添加した12PDA溶液では,12PDA多量体が形成されることに加 えて,イオンの周囲で12PDA分子が溶媒和することが予想される.また,添加 されたアニオンとカチオンは,直接あるいは12PDA分子を介在してイオン対を 形成することも予想される.これらの溶媒和構造を推定するため,実際の12PDA. 溶液系に対応づけられた分子複合体が仮定され,量子化学計算が行われた.仮. 定された各分子複合体を表2.1に示す.各複合体について,HF法およびDFT法. 27.

(34) 表2.1.量子化学計算で仮定された分子複合体.想定される実際の溶液系があわせて記さ    れている. 実際の溶液系. 分子複合体 (12PDA)1.      (12PDA)o.oi(CCh)o.gg. (12PDA)n;n=2,3,4..        12PDA. (NaC104)1(12PDA)n;n=1,2,3..     (NaC10 4)x ( 1 2PDA) i 一x. ClO4=(12PDA)n;n=1,2.. (NaC104)x(12PDA)i−x, (LiC 104)x(12PDA)i−x. BF4一一(12PDA)n;n=1,2.. (NaBF4)x(12PDA)i−x, (LBF4)x(12PDA)i−x.    Na一(12PDA)n;n=1,2.. (NaC104)x(12PDA)i−x, (NaBF4)x(12PDA)i−x. サキ. L1一(12PDA)n;n=1,2.. (LiCIO4)x (12PDA)i−x ・ (LBF4)x (12PDA)i−x. による構造最適化,振動数計算,熱力学量計算が行われた.水素結合やアニオ ンの効果を考慮するため,基底系には,HF法, DFT法ともにdiffUse関数を含む 6−31++G(d,p)が採用された. DFT法においては,交i換エネルギーおよび相関エネ. ルギーに相当する半経験的な交換および相関汎関数が導入される.これらの汎 関数として,精度の高い計算結果を与えることが知られているBecke[52]による LYP汎関数[53]を組み入れた混成法(B 3 LYP)が採用された.本研究で実行された. 計算レベルは,HF法およびDFT法に対してそれぞれHF/6−31G++(d,p), DFT/B3LYP/6−31G++(d,p)と表記される..  今回用いられた量子化学計算プログラムパッケv一一一一一ジは,GussianOgW, Gaussian. Inc.[54]である. GaussianOgWでは, HF法, DFT法等の手法で分子の電子状態. を計算することができ,構造最適化,振動解析,溶媒効果,励起状態等の計算 が可能である[55,56].分子複合体の初期配置の設計および計算用インプット. 28.

(35) ファイルの作成には,GaussianOgW付属の解析用ソフトウェアGauss View 5.0 [54]が用いられた.計算は,パーソナルコンピュータ(CPU;AMD PhenomTM II×4 905e Processor 250 GHz, Memory;4.00 Gbytes)により,Windows 7上で実行された,. 計算の出カファイルは,Gauss View5.0で開かれ,最適化された分子構造が可視. 化された.Gauss View5.0の解析機能により,原子間の結合距離結合角,ラマ. ンスペクトルにおける分子振動モードの波数および散乱強度がそれぞれ求めら れた.また,計算された振動の零点エネルギーにもとづいて,多量体形成時の 結合エネルギーおよびエンタルピーがそれぞれ算出された.. 29.

(36) 3.結果と考察 3.1.DSC曲線  (NaClO4)x(12PDA)1.xのDSC曲線を図3.1に示す,各DSC曲線は,試料の質量. で規格化され,結晶化や融解に伴う大きな発熱および吸熱のピークの先端部分 を省略して示した.全ての試料において,ガラス転移による単一のベースライ ンシフトが観測された.続いて結晶化による発熱ピークが現れた後に,融解に よる吸熱ピークが観測された.純粋な12PDAでは,144.O Kでガラス転移が観 測された後に,163.8Kで結晶化が始まり,237。6 Kで融解が完了した.ガラス. 転移によるベースラインシフトは,純粋な12PDAで最も大きく,塩濃度の増加 とともに徐々に減少した.このシフト幅は,Angellらが提唱したガラス形成物 質のフラジリティ(fragility)に関係している[57,58].塩を添加した試料では,結. 晶化と融解のピークの間に,共融解を示す吸熱の熱異常が観測された. (NaCIO4)。(12PDA)1.xにおいて, x<O.14およびx>0.29では,結晶化および融解. による各ピークが,共融解を示す熱異常に比べて明瞭に観測された.逆に,O.14. <x<O.29では,結晶化および融解による各ピークは,共融解を示す熱異常に比 べてわずかに弱くなった.また,(LiClO4)。(12PDA)1.x,(NaBF4)。(12PDA)1一。およ. び(LiBF4)。(12PDA)1。。に対して得られたDsc曲線を,それぞれ図3。2,3.3および. 3.4に示す,各系において,溶解度の範囲内で(NaC104)x(12PDA)1.xとほぼ同様の. 熱異常を示すDSC曲線が得られた.. 30.

(37) (NaCIO4).(12PDA)i一.. x==O. v.   AN 7A x 一 O.04953. A.  A 一 O.10002 .O×口. A. v A. v. v. v. x == O.14928. v.     A. A. 一 O.15969. vv. x一 O.17008. 翫.     A. A. A.      A x= O.18049.      A. A. x = O.18975. iXKV. A. v. = O.20069. vv A.       A x 一 O.20938. vv. A. A x = O.21978. x 一 022864. x = O.24894. v. v. AA. v. v. AA. x =一 O.29965. .o℃目国. v. v. AWA. !O.32954. v. v. A. A. v. v. zgvi A. 一〇.31442. v. v. `. r一 O.27122. !028957. v. v. A 一一’A. A’一. v. v. A. A. x 一 O.34802. A. v A. = O.37090. v. A. A r一 O.39869. A. 140. 160. 180. v. A. 200 220. 240. 260. 280.   T/K 図3.1.(NaC104)。(12PDA)1.。のDSC曲線△,▲,▽および▼の各記号は,それぞれTg,    T、ry, Te。tおよびTfU、を示す.. 31.

(38) (LiCIO4)x(12PDA)i−x. ’. .O図国ムー. h x=O,05026. 魔. v’. A. x=O,10012.   A. vy fV!. x=O.15017 A. v   v. i. .o℃自署. x=020167 A. v. A. 140 160 180. v. 240 260 280. 200 220  T/K. 図3.2.(Liclo4)。(12PDA)1.。のDsc曲線△,▲,▽および▼の各記号は,それぞれTg, T、ry,     T。utおよびTfU、を示す.. (NaBF4).(12PDA)i−x. 淺.. ↓︸. .o×国. A. ン. x= O,05059. v. A. A. v. x =: O.09971. ▼「二二. v. A. x=O.15118 A. v. x =: O.20003. ,o℃q四. A x == O.24851. A. v  v. A. 140 160 180. 200 220 240 260 280.  TIK. 図3.3.(NaBF4)。(12PDA)1.xのDSC曲線△,▲,▽および▼の各記号は,それぞれTg, T、ry,     T、utおよびTfU,を示す。. 32.

(39) (LBF4)x(12PDA)i−x .O×口. ’. x=O  AN..一一一一vi i. x=O.05008.  A x=O.09985.   A x=O.15018 .o℃q口.   A x=O.20000.     A.           v  i.         140 160 180 200 220 240 260 280                 TIK 図3.4.(LiBF4)。(12PDA)1..xのDsc曲線△,▲,▽および▼の各記号は,それぞれTg, T。ry,    T,utおよびTfU、を示す,. 3.2.融点相図  図3.5は,(NaCIO4)x(12PDA)1一。において観測された各熱異常の温度をNaClO4. 濃度の関数として示したものである.液相線を与えるTfU、およびTe。、は,こめ系 の融点相図を示している.x<0.17では, Tf。、はNaClO4濃度の増加とともに,最 小値となる219Kまで減少する.一方,0.17<x<0.28では, Tfu,は塩濃度ととも に上昇し,272Kで最大となる. TfU、は, x∼O.19でわずかに屈曲している. T,ut. は,x<0.20,0.20<x<0.28およびx>0.29の3つの濃度域によって区別される.. 各濃度域でのTe。tの値はほぼ一定であるが,境界となる濃度において不連続的に 変化する.x<0.20,0.20<x<0.28および0。29<xの各濃度域におけるTe。tの値.                  33.

(40) は,それぞれ219K,232 Kおよび229 Kである.以上のTfu、の屈曲およびTe。t. の不連続な変化を考慮することにより,この2成分系では少なくとも1種類の 完全溶融化合物と1種類の分解溶融化合物が存在することが示唆される.Te。tの 境界となる濃度x∼0.20およびO.285は,それぞれ(NaClO4)1(12PDA)4および. (NaClO4)2(12PDA)5,の組成式で表される溶融化合物に相当する.また, (NaClO4)1(12PDA)4および(NaClO4)2(12PDA)5の各融点は,それぞれ232 Kおよび. 272K前後である.液相線の屈曲点は,共融解の境界であるκ∼020こ口もわず かに低い濃度(x∼0.19)に現れる.これは,x∼0,20およびx∼O.285にそれぞれピー. クをもつ液相線が重なるためであり,分解溶融化合物の形成によって現れる包 晶点の存在を示唆している.また,純粋な12PDAと(NaClO4)1(12PDA)4との共融 点は,x∼0.17に存在することが分かる.  x>0.40における(NaClO4)x(12PDA)1.。の融点相図は,溶解度の上限を超えるた. めに明らかにできないが,この高塩濃度域では,少なくとも1っ以上の共融点 が存在することが推測される.この理由は,得られた液相線の高濃度側の先端 は下がる傾向を示すが,NaCIO4の融点は,分解温度として知られる755 K[59] もしくはそれよりも高いと考えられるためである.すなわち,x>0.40の液相線 は,共融点を示すある温度まで下降した後に,再度上昇することが予想される.  (LiClO4)。(12PDA)1−x,(NaBF4)。(12PDA)1,。,および(LiBF4)。(12PDA)1.xにおいても,. 溶解度の範囲内で,(NaCIO4)。(12PDA)1.xに類似する相図が得られた.各系の相 図を図3.6∼3.8に示す.二二に共通して,κ一〇.15∼0,20に共融点が存在するこ.                  34.

(41) とが示唆される.共融解温度は溶質によってわずかに異なるが,215K∼230 K にあることが示唆される.. 300 (NaC 104).( 1 2PDA) i 一.. 壷. 玉◆皿. 250. ・. .. exe. v. ×. Tcry.  :. 口1.  1  :. O.1.  :. o. −9−‘︸−. Tg. 150. ▲.  か. 200. O.3. O.2. O.4. O.5. 図3.5.(NaC104)x(12PDA)1.xにおける熱異常の温度の濃度変化.◆,▽,▲および□はそ.    れぞれ融点,共融解温度,結晶化温度およびガラス転移温度を示している.融点お    よび共融解温度から融点相図が得られる.各実線はガイドライン,破線は溶融化合    物の組成をそれぞれ示している.矢印は包晶点を示している,. 35.

(42)   300     (LiCIO4).(12PDA)i−x.   250t Tfus.          わ     Teut  gl   200       Tcry.       Tg   150.     0 O.1 O.2 O.3 O.4 O.5 図3・6・(L’ClO・)x(12PDA)1−xにおける熱異常の温. r灘変化・.  300     (NaBF4).(12PDA)i−x.  250     Tfus. !1”x/・ & ts.     Teut.  200.     Tcry.  lso P TE.    O O.1 O.2 O.3 O.4 O.5 図3.7.(NaBF4)x(12PDA)1−xにおける熱異常の温度の濃度変化..               36.

(43) /. 300. (LBF4)x(12PDA)i−x. 250. Tg. 150. ㌦乳. \﹄. 200. Tfus.    O O.1 O.2 O.3 O.4 O.5 図3.8.(LiBF4)。(12PDA)1.xにおける熱異常の温度の濃度変化.. 3.3.結晶化.  結晶化過程は,結晶核生成とその後の結晶成長の2段階で進行することが知 られている.過冷却液体中では,微視的な熱ゆらぎによって可能な準安定状態 が複数出現し,各状態で結晶胚が生成,消滅することが予想される.この中で,. 熱力学的に最も安定な結晶相に対応する結晶胚が結晶核となって,さらに結晶 へと成長することができる.結晶成長速度は,生成された結晶核の数と液体中 における分子の拡散速度に支配される.本研究で定義した結晶化温度T、ryは,. DSCにより観測された発熱開始温度であり,結晶成長速度が検出される温度で る.図3.5に示したT。ryには,x−0.20付近で異常が見られる.このことは,x ・ O.20. 前後で結晶成長速度が不連続的に変化することを示している.x<0,20の液体か.                   37.

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