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        一25

        −30

      1     2      3      4

図3.44.(12PDA)n形成時の結合エネルギーとエンタルピー変化.△,□はHF法,▲,

    ■はDFT法による結果をそれぞれ示している.

3.7.2.イオンと溶媒の相互作用

 塩添加した12PDA溶液では,純粋な12PDAで見られる水素結合構造に加え

て,電離したイオンに12PDA分子が溶媒和した構造や,アニオンおよびカチオ ンが直接相互作用したイオン対あるいは溶媒分子が介在したイオン対の形成が 予想される.水溶液やアルコール溶液におけるイオンの挙動については,以下 のことが知られている.濃厚な過塩素酸塩水溶液系では,ClO4一イオンとそのカ

ウンターカチオンが,直接あるいは溶媒分子を介在してイオン対が形成される

[11].また,低温にあるアルコール溶液でも,アルカリ金属イオンとハロゲン化 物イオンまたは過塩素酸イオンとの間で溶媒分子を介在してイオン対が形成さ れる[68−70].12PDA溶液内でのイオンの挙動と溶媒和構造について検証するた め,以下ではラマン分光測定と量子化学計算の結果を用いて議論する.(12PDA)1

       73

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および(12PDA)2にClO4一イオンまたはNa+イオンをそれぞれ独立に加えた各複合 体の最適化された構造を図3.45に示す.構造最適化された各複合体における結 合距離および結合角を表3.3,3.4に示す.また,(12PDA)nにNa+, ClO4一両イオ

ンを加えた各複合体の最適化された構造を,(12PDA)nと比較して図3.46に図示 する.HF法, DFT法の結果は,ほぼ同様であった.アニオンおよびカチオンを 変えた複合体においても,個々の結合距離は異なるが,相対的な配置が一致し ているような構造が得られた.以下では,Na+またはCIO4一あるいは両イオンを 加えた各複合体の結果にもとづいて考察する.

 ClO4一一(12PDA)1およびNa+一(12PDA)1では,2つの一NH2がイオンに配向した 分子構造が得られ,図3.42(A)に示した(12PDA)1で見られた分子内水素結合は見 られなかった,CIO4一一(12PDA)2では, CIO4一イオンに配向して分子間水素結合に

関与しない一NH2が現れ,図3.42(B)に示した(12PDA)2で見られた全ての一NH2が 分子間水素結合した構造とは異なった.Na㌔(12PDA)2では,(12PDA)2で見られ た分子間水素結合がなくなり,Na+イオンに各一NH2が配向して囲い込んだ構造 が見られた.

 Na+, ClO4一両イオンを加えた各複合体では,両イオンが直接相互作用したイオ ン対が形成された.(NaCIO4)1(12PDA)2では,(12PDA)2で見られた分子間水素結 合が解消され,イオン対が両12PDA分子の間に割り込んで,一NH2と相互作用 した構造に変化した.(NaC104)1(12PDA)3では,(12PDA)3で見られた構造に類似 する水素結合構造が見られた.この結果は,溶媒分子問水素結合に対するイオ

(A)

(C)

(a!)一

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..2.328A  (b

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3.052 A (.a.)・

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2.409 Al (a )

(B)

 (a)) lt

   

2.3gO A,

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  2.386 AS    (b

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(D)

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 (a )    (d 2.462A    2462A

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…・

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三三、。A 30・1.・・4・・A

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図3.45.独立に存在するアニオン,カチオンに溶媒和した複合体の最適化された構造.(A),

    (B),(C)および(D)は,それぞれClO4一一(12PDA)1, Na+一(12PDA)1, CIO4一一(12PDA)2

    およびNa+一(12PDA)2を示している.破線は,一NH2間または一NH2とイオンとの相     互作用を表し,その距離と角度が示されている.

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ンの効果が,高濃度によって変化するというこれまでの考察を支持している.

(NaClO4)1(12PDA)3および(NaClO4)1(12PDA)2の最適化された構…造が,それぞれ低

塩濃度および高塩濃度溶液の溶媒和構造に対応すると仮定すると,以下のこと

表3.3.アニオンに溶媒和した複合体の結合距離および結合角.

   用は,図3.45に示した各相互作用に対応している.

各記号で区別した相互作

Interaction CIO4 一(12PDA)i CIO4 一(12PDA)2 BF4 一(12PDA)i BF4 一(12PDA)2

HIF DFT HF DFT HF DFT HF DFT

d(N一・・N) fA

d(N・・一H) fA

4,027 3.575 3.052 2.578

3.613 3.274 2.602 2.256

4.072 3.648 3.566 3.284 3.089 2.640 2.571 2.265

d(CKB)・・一N) I A

d(CKB)s H) /A

abab

4.096 4,eO8 4.034 3.983 3.321 3,220 3.218 3.112

4ユ95  4.董15 4.253 4.179 3.406 3.311 3.269 3.175 164.6 M,2 171.9 1719

1.948 3.865 3.851 3.806 3.174 3.057 3.045 2.972

4.107 4.019 4.e30 4.oo4 3.308 3.221 3.037 3.000

Z (N・一・H.N)/o a乱D 167.4 170.3

170.4 172.6

Z(O(F)一一nyH−N)/o a7D 158.2 1695 157.6 158.7 157.9 161.7 156.8 156.5

163.4 160.1 168.6 169.0 163.4 165.4 162.8 168.3

表3.4.カチオンに溶媒和した複合体の結合距離および結合角.各記号で区別した相互作    用は,図3.45に示した各相互作用に対応している.

Interaction

 キ       キ

Na一(12PDA)1   Na一(12PDA)2 Li一(12PDA)1 L1一(12PDA)2ロキ

HF DFT HF DFT HF DFT HF DFT

d(M+…N)/A

ゴげd♂

2.390 2.364 2.462 2.386 2.358 2.460        2.460        2.462

2.441 2.006 1.991 2.439 2.001 1.997

2.439 2.442

2.114 2.104 2.108 2.096 2.109 2.098 2.113 2.103

!(M 一一N−c)/o

a10Cd

105.4 le4.8 106.9

106.3 105,8 107,8        107.8        106,9

106.4 IOI.9 le2.4 107A 102.8 101.3

107.4 106.6

104.4 104.3 105.4 105.4 105.3 105.2 104.4 104.3

Z(N M 一一一N)/o a  一b

b 一cT

c 一d

d一a

76.9 78.6 74.0       130.1        74.0       129.5

75.2 129.5 75.2 129.5

91.1 92.5 85.2        123.2        85.2       122.7

86.1 123.1 86.1 122.8

が考えられる.低塩濃度の溶液では,イオンの効果が小さく,溶媒本来の水素 結合構造がある程度維持される.一方,高塩濃度の溶液では,イオンの効果が 大きく,溶媒本来の水素結合構造が破壊されて,イオン対と溶媒分子との相互 作用が支配的になる.

 各複合体に対して量子化学計算から得られた一NH2伸縮振動バンドと実測され たラマンスペクトルとを図3.47〜3.49に示す.HF法, DFT法の結果は,ほぼ同 様であった.図3.47および3.48に示すように,アニオンおよびカチオンの違い

は,計算されたピークの形状にほとんど反映されなかった.C104 一(12PDA)2,

BF4 一(12PDA)2のピークは,いずれも(12PDA)2のピークよりも低波数側に現れた,

Na+一(12PDA)2, Li+一(12PDA)2の各ピークも,同様に低波数側にシフトした,一

方,実測された(NaClO4)。(12PDA)1。。のピークは,塩添加に伴って純粋な12PDA の波数よりも高波数側にシフトしている.したがって,独立に存在するアニオ ンおよびカチオンへの溶媒和を仮定した計算結果は,実験結果を再現していな い。一方,イオン対の形成が予測された(NaClO4)1(12PDA)nの一NH2伸縮振動バン

ドは,純粋な12PDAに対応すると仮定した(12PDA)4の波数よりも高波数側にシ フトしており,実際のスペクトルの変化を定性的に再現している.以上のこと から,濃厚な(NaClO4)。(12PDA)1.xでは,12PDAに添加されたNaClO4の多くは,

直接相互作用したイオン対として存在することが示唆される。

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(A)

(B)

3

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 (a)

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(C)

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