1 1 指導観 〇 本単元のねらいは、水溶液には3つの性質や気体が溶けている性質、金属を溶かす働きがあるこ とを、興味・関心をもって追究する活動を通して、水溶液の性質や働きについて推論する能力を育 てるとともに、それらについての理解を図り、科学的な見方や考え方をもつことができるようにす ることである。具体的には次のような内容である。 ア 水溶液には、酸性、アルカリ性及び中性のものがあること。 イ 水溶液には、気体が溶けているものがあること。 ウ 水溶液には、金属を変化させるものがあること。 これらの内容を子どもたちに主体的に追究させることで、次のような見方や考え方を育てる。 ・ 4つの水溶液について、見た目やにおいという観点で比べても区別することができないこと から、水溶液に溶けているものを調べるために、既習内容である蒸発乾固を行い、「水溶液には 固体が溶けているものと気体が溶けているものがあるのではないか」という問題を見いださせ る。 ・ 見いだした問題から、いろいろな水溶液を用いて、気体が溶ける様子、金属を変化させる様 子、リトマス紙を使って酸性、アルカリ性及び中性などを調べ、水溶液の性質や働きについて 考えをもつ。 ・ 実験の結果を、表で表す活動や、推論したり、計画的に追究したりしながら考察する活動を 通して、「水溶液には、酸性、アルカリ性及び中性のものがあること」「水溶液には気体が溶け ているものがあること」「水溶液には、金属を変化させるものがあること」という性質や働きを 見つける。 これらの見方・考え方は、中学校第1学年の「水溶液」の学習や、中学校第2学年の「化学変化」 の学習につながるものである。 〇 本学級の子どもたちは、第5学年「もののとけ方」の学習において、水溶液の定義や水溶液に溶 けているものを取り出すことができるということを学習している。また、第6学年「ものの燃え方」 では、植物体が燃える前後の空気の性質を調べ、植物体が燃えるときには、空気に含まれる酸素の 一部が使われ二酸化炭素ができることや、酸素には物を燃やす働きがあることについて推論を通し てとらえてきている。本単元に関して、実態調査の結果から、「酸性」「アルカリ性」「中性」という 言葉を知っている児童は31名中20名おり、言葉を知ったのは「石けんや洗剤のラベルやテレビ で見たから」などと生活経験から水溶液に興味を示している児童が多い。しかし、「炭酸水は水溶液 だと思うか」という質問に「炭酸水は水溶液だ」と答えた児童は31名中15名で、そのうち「炭 酸水には何が溶けているのか」という質問に「二酸化炭素(気体)」と答えた児童は2名ということ が明らかになった。したがって、この調査結果から水溶液には気体が溶けているものがあるという 見方や考え方を養う必要があると考える。
第6学年 理科学習指導案
単元水溶液の性質
2 〇 本単元の指導にあたっては、まず、既習内容を生かして水溶液の性質を調べていき、既習内容だ けでは調べることのできない水溶液の性質に気付かせることで、児童の意欲を引き出すとともに、 水溶液の性質や働きについての理解を深め、身の回りの水溶液についても興味・関心をもつことが できるように単元構成を工夫する。導入段階では、酢・食塩水・炭酸水・アンモニア水の4つの水 溶液と水について、見た目とにおいという観点で観察や記録を行うが、それだけでは区別すること ができないため、水溶液に溶けているものに着目して、蒸発させる実験を行う。そこで、蒸発させ ても何も残らない水溶液があることから、展開段階では、水溶液には気体が溶けているものがある ことや、金属を変化させる性質や働きがあること、酸性、アルカリ性及び中性のものがあるという 知識を獲得していく。終末段階では、これまで学習した水溶液の性質や働きについての見方・考え 方を生かして、身の回りにある水溶液をぶどうジュースなどの身近なもので調べたり、まとめたり できるようにする。 2 単元目標 〇 いろいろな水溶液の性質や働きに興味・関心をもち、進んで水溶液の性質や働きを調べることが できる。 【自然事象への関心・意欲・態度】 〇 いろいろな水溶液の性質や金属を変化させる働きについての予想を立て、推論しながら追究し、 表現することができる。 【科学的な思考・表現】 〇 水溶液に溶けている気体や試薬によるいろいろな水溶液の性質、金属を変化させる働きを適切に 調べ、その過程や結果を記録することができる。 【観察・実験の技能】 〇 水溶液には3つの性質や気体が溶けているものがあること、金属を変化させる働きがあることを 理解することができる。 【自然事象についての知識・理解】 3 単元計画(全12時間) 主な学習活動・内容 指導上の留意点 評価規準 配時 1 4つの水溶液(酢・食塩水・炭酸水・アンモ ニア水)と水を提示し、分け方を考えた後に、 蒸発乾固の実験を行って、水溶液に何が溶けて いるのか予想し、学習問題をつくる。 〇 水溶液には固体以外のものも溶けている こと。 ・水溶液のにおい を嗅いだり、触 ったりすること の危険性や取扱 い方について説 明する。 ・いろいろな水溶液 の性質に興味・関心 をもち、見通しをも って、意欲的に水溶 液を区別することが できる。 1 2 いろいろな水溶液の性質や働きについて調 べる。 (1) 炭酸水に溶けている気体は何か予想を立 て、実験方法を考える。 (2) 炭酸水に溶けている気体は何か調べる。 〇 水溶液には、気体が溶けているものもある こと。 ・児童自らが考え た実験方法を行 えるように、グ ループ分けを行 っておく。 ・炭酸水には二酸化 炭素が溶けていると いうことを推論しな がら追究し、表現す ることができる。 1/2 2/2 (本時)
3 (3) 塩酸にアルミニウムや鉄などの金属を入 れるとどうなるか調べる。 (4) 塩酸に溶けたアルミニウムが水溶液の中 にあるか調べる。 (5) 水酸化ナトリウムの水溶液に、アルミニウ ムや鉄などの金属を入れ、塩酸と同じような 反応が起こるか調べる。 〇 水溶液には、金属を変化させるものがある こと。 ・塩酸に溶けたア ルミニウムを調 べる際には、換 気 を 十 分 に 行 う。 ・塩酸や水酸化ナ トリウムの水溶 液の取扱いに注 意させる。 ・水溶液に入れた金 属の変化を調べ、そ の過程や結果を記録 できる。 ・水溶液には、金属 を変化させるものが あることを理解して いる。 2 1 1 (6) 水溶液を区別するために、リトマス紙を使 って水溶液の性質について調べる。 (7) ぶどうジュースを使って、身の回りにある 水溶液の液性を調べる。 〇 水溶液には、酸性、アルカリ性及び中性の 3種類に分けることができること。 ・リトマス紙に水 溶液をつけると きには、薬品が 手に付かないよ うに注意する。 ・水溶液には、酸性、 アルカリ性及び中性 の3種類に分けるこ とができることを理 解している。 2 2 3 学習で使った水溶液や身の回りにある水溶 液には、どのような性質や働きがあるかまとめ る。 〇 身の回りの水溶液の性質や働きを適用し、 日常生活に生かすことができること。 ・様々な水溶液の 性質や働きを表 に整理して比べ ることができる ようにする。 ・薬品を適切に使用 し、安全に水溶液の 働きを調べ、まとめ ることができる。 1 4 本時の目標 〇 既習学習をもとに、炭酸水から集めた気体に石灰水を入れたときの変化を調べたり、ろうそくの 火を入れて燃焼するかを調べたりして、炭酸水には二酸化炭素が溶けているということを推論しな がら追究し、表現することができる。 【科学的な思考・表現】 〇 炭酸水の中に溶けている気体の正体を調べる実験を通して、水溶液には気体が溶けているものが あることを理解することができる。 【自然事象についての知識・理解】 5 準備 【教師】炭酸水、保護めがね、水槽、集気びん、ゴム管、フォームポリエチレン栓、石灰水 デジタル気体検知管、ろうそく、ろうそく立て、マッチ、燃え殻入れ、ペットボトル 二酸化炭素ボンベ、割り箸 【児童】雑巾、学習ノート、筆記用具
4 6 本時の展開(3/12時) 主な学習活動と内容・予想される子どもの反応 教師の支援 つ か む 1 本時の学習問題と予想を確認する。 (1)前時までの学習の振り返りを行い、本時学習問題を確認する。 (2)予想について話し合う。 〇 学習の見通しをもち、予想と実験の方法について話し合う。 〇 4つの水溶液(酢・食 塩水・炭酸水・アンモニ ア水)と水を蒸発させた 結果を掲示する。 〇 予想と実験方法を考 える手がかりにするた めに、酸素と二酸化炭素 の性質を掲示する。 〇 予想をもとに「何を使 って」「どのようにして」 実験するかを考えさせ ておくために、学習プリ ントを用いて考えさせ る。 〇 実験の手順を明確に するために、実験方法を 掲示する。 〇 薬品を扱う時や実験 器具の使い方の注意点 を確認する。 〇 自分が考えた実験に 責任をもち、主体的に活 動に取り組ませるため に、児童自身が考えた実 験方法を行わせる。 【学習問題】 炭酸水に溶けている気体の正体は何だろうか。 水溶液を蒸発させた時に、何も残らない水溶 液がありました。これは、水溶液に溶けている ものが気体で、空気中に出たのだと思います。 【既習内容】 ①酸素は、ものを燃やす働きがある。 ②二酸化炭素は、ものを燃やす働きがない。 ③二酸化炭素は、石灰水を白く濁らせる。 ④酸素と二酸化炭素は、気体検知管で体積の割合を調べるこ とができる。 【予想】 炭酸水に溶けている気体は二酸化炭素だと思 います。炭酸水のラベルに「二酸化炭素」と書 いてあったと思うからです。 【方法】 炭酸水の中の気体を集めて、石灰水を入れて 白く濁るか調べます。 【予想】 炭酸水に溶けている気体は酸素だと思いま す。炭酸水の「酸」は酸素の「酸」だと思うか らです。 【方法】 炭酸水の中の気体を集めて、ろうそくの火を 入れて燃え方を調べます。 【予想】 炭酸水に溶けている気体は二酸化炭素だと思 います。プールの時に息を吐くと炭酸水のよう に泡が出るからです。 【方法】 調べるために、炭酸水の中の気体を集めて、 気体検知管で体積の割合を調べます。
5 調 べ る ま と め る 2 予想に沿って追究し解決する 〇 炭酸水から気体を水上置換法で取り出し、気体の正体を調べる。 3 結果をもとに考察し、本時学習をまとめる。 (1)結果をもとにそれぞれ考察する。 (2)結果をもとに全体で考察し、結論を話し合う。 (3)ペットボトルに入れた水の中に、二酸化炭素を入れ、気体が 水に溶ける様子を観察する。 〇 予想の段階で立てた 実験方法をもとに班(各 実験に2班ずつ)をつく っておく。 〇 集気びんに水上置換 法で気体を集めさせる。 〇 今回は酸素と二酸化 炭素を一緒に検知でき るデジタル気体検知管 を使用する。 〇 自分が調べた実験方 法の結果をまとめさせ る。 〇 全体で結果を確認し、 結果から考察させる。そ の際に、自分の予想を振 り返らせることを助言 する。 〇 考察の書き方を掲示 し、各自考察させる。 〇 3つの実験結果をも とに考察させる。さら に、考察を班で交流させ る。 〇 3つの実験の結果か ら、炭酸水に溶けている 気体が二酸化炭素であ ることをまとめる。 〇 本時の学習の理解を 深めるために、教師が逆 思考の実験を行う。 (水上置換法) 炭酸水が入ったペットボトルをゴム管に つなぎ、ペットボトルを軽く振る。 (石灰水) (ろうそくの火) (気体検知管) 【まとめ】 炭酸水に溶けている気体は、二酸化炭素である。水溶液に は、気体が溶けているものもある。 集めた気体に石灰水を入れて調べると、石灰水 は白く濁りました。このことから、炭酸水に溶け ている気体は、予想と同じで二酸化炭素であるこ とが分かりました。 集めた気体に、ろうそくの火を入れて燃え方を 調べると、火はすぐに消えました。このことか ら、炭酸水にとけている気体は、酸素ではないこ とが分かりました。また、他の班の結果から、気 体は二酸化炭素であることが分かりました。 集めた気体を気体検知管で調べると、酸素が □%、二酸化炭素が△%でした。このことから、 炭酸水にとけている気体は、予想と同じで二酸化 炭素であることが分かりました。 (石灰水) 石灰水を入れて 振ると、白く濁っ た。 (ろうそくの火) ろうそくの火を入 れると、火はすぐに 消えた。 (気体検知管) 体積の割合は、 酸素が□%、二酸 化炭素が△%。