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図3.36.(NaClO4)o.Z5(12PDA)o.75のSHBとWHBの存在比(A)および各ピーク波数(B)の温      度変化.矢印はTgを示す.

      (A) (B)

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    150  200 250 300 150 200  一250 3−tO

       TIK TIK

空き.37.(NaClO4)o.30(12PDA)o.70のSHBとWHBの存在比(A)および各ピーク波数(B)の温      度変化.矢印はTgを示す.

(A) (B)

 (NaCIO4)o.3s(12PDA)o.6s l

      O−G一一一一一一一一Q.

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(NaCIO4)o,3s(12PDA)o,6s

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   WHB      a

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A 一A  一N=一..= 一 i  一 A 一 A 一  iAr 一

   SHBa

       3150

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    150 200TIK 250 300 ViVVpmt 200 K 250 300

図3.38.(NaClO4)o.35(12PDA)o.65のSHBとWHBの存在比(A)および各ピーク波数(B)の温度      変化.矢印はTgを示す.

   SHB

      

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(A)

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(B)

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3150

(NaCIO4)o,40(12PDA)o.60

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  WHB

     a

  WHB

      

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  SHBa

  SHB

     

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TfK 150 200 T/K 250 300

図3.39.(NaCIO4)o.40(12PDA)o、60のSHBとWHBの存在比(A)および各ピーク波数(B)の温度      変化.矢印はTgを示す.

65

3.6.4.2状態間の平衡と安定性

 2状態モデルでは,SHBとWHBの間に化学平衡が成り立つと仮定する.

       sHB i== WHB. (3.1)

ここで,平衡定数κを先述のラマン強度の比で見積もり,以下の式で定義する.

      ..111t¥一??一TH.hB.].Z}/;IIII!lllt.W..¥nB.). (,.,)

       1(SHB)

       [SHB]

平衡定数と温度との関係は,以下のvan t Hoffの式によって与えられる.

      lnK=一A{ltlp−B+AptS B. (3.3)

      R        RT

ここで,Rは気体定数であり,△HHBおよび△Smaは,それぞれSHBからWHB

への水素結合状態の変化に伴う,エンタルピーおよびエントロピー変化である.

△NHHBおよび△SHBは,観測した温度域では温度によらず一定であると仮定する.

各濃度の(NaClO4)x(12PDA)1.。について, ln Kを1/Tに対してプロットしたvan t

Hoffプロットを図3.40に示す.各濃度のプロットがほぼ直線状に並ぶことは,

この2状態モデルの仮定と矛盾しない.各直線の傾きから得られた△HHBの濃度

依存性を図3.41に示す.純粋な12PDAでは, AHHB=2.6・kJ・mol−1である。x≦0.20

では,△HHBは塩濃度の増加に伴って緩やかに減少するが,その値は正である.

一方,0.20<)c<0.30では,塩濃度の増加に伴ってAHHBが急激に減少して,そ の値はx−0.25前後で正から負に逆転する.この△HHBの濃度依存性は,低塩濃1

度域ではSHBより不安定なWHBが,塩濃度の増加に伴ってSHBよりも相対的

に安定化することを示唆している.両者の安定性は,xニ025前後で逆転し,支 配的な水素結合構造はSHBからWHBに変化する.これらの結果は,一NH2の安 定性を表す△HHBが,一NH2間で直接形成される水素結合だけでなく,その周囲 に存在する化学種の影響を受けていることを考えないと説明できない.

 以上の議論から,(NaClO4)。(12PDA)1.xの水素結合構造は,塩濃度の大小によっ

て区別することができる.x≦0.20の希薄な溶液では,溶媒本来の一NH2間水素 結合構造が系を支配している.この構造は,NaClO4の濃度の増加に伴って次第 に破壊されるが,溶媒分子の周囲に存在するClO4一イオンが比較的少ないとき,

C104 イオンの構造破壊効果が小さいため, SHBの多くは維持される.温度の低 下に伴ってSHBは次第に回復し, Tg近傍の低温では,一NH2間の水素結合ネッ トワークが拡大する.一方,x>025の濃厚な溶液では,イオン間あるいはイオ ンと溶媒分子との相互作用が系を支配し,CIO4一イオン1個あたりの効果がより 強く発揮される.一NH2の周囲には多くのClO4一イオンが存在し,低温でも溶媒 本来の水素結合構造は回復しない.

67

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(NaCIO4).(12PDA)i一.

       x = O.30        .一  x=O.35

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x = O.20

x= O. 15 x = O.10 x = O.05

x=O

図3.40.

2 4   6

T−i / kK−i

8 io

(NaCIO4)x(12PDA)1.xにおけるvan t Hoffプロット.■,▲,▼,◆,●,十,

□,△および×は,それぞれx=0,0.05,0.10,0.15,0.20,0.25,0.30,0.35 およびO.40での結果を示している.各線は,それぞれ最小二乗法により得られ た近似直線である.

4

2

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一2

(NaCIO4).(12PDA)i一.

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      ノ       1  ,ロ        、、/

        ゴ         一4

         0 O.1 O.2 O.3 O.4 O.5

図3.41.(NaClO4)x(12PDA)1.xにおける△HHBの濃度変化.破線はガイドラインである.

3.7.溶媒和構造

37.1.溶媒の水素結合構造と水素結合のエネルギー

 純粋な12PDAでは,分子間水素結合によって12PDA多量体が形成されると

考えられる.量子化学計算から得られる(12PDA)nの最適構造が,純粋な12PDA の水素結合構造に対応すると仮定する.以下では,(12PDA)nの量子化学計算の 結果を用いて,溶媒分子間水素結合の強さと多量体の結合エネルギーについて 議論する.(12PDA)nについて計算された最適構造を図3.42に図示する.また,

最適化された構造における結合距離,結合角およびエネルギーを表3.2にまと めて示す.HF法, DFT法ともに,ほぼ同様の計算結果が得られた.(12PDA)2 では,2つの一NH2が他方の分子の一NH2と互いに向き合って水素結合した構造が 得られた.(12PDA)3では,分子間水素結合を介した鎖状構造が得られた.

(12PDA)4では,各分子から1基ずつ提供された計4基の一NH2による4員環状の 構1造が得られた.図3.43は,多量体の形成に伴う最近接水素結合のN…H距離 d(N…H)および結合角∠(N−H…N)の変化を示している,多量体の形成に伴って,

水素結合距離が短くなり,結合角が180度に近づく傾向が見られた.このこと から,多量体の形成に伴って分子間水素結合が強くなることが示唆された.

 多量体の結合エネルギーZXEZPEは,1多量体を形成するエネルギーからそれと 同数の単量体を形成するエネルギーとの差で定義され,エンタルピーAHも同様 に定義される.すなわち

69

      AEzpE = EzpE ((12PDA).)一 nEzpE ((12PDA)i) ・ (3.4)

        AH 一 H((12PDA).) ny nH((1 2PDA)i) ・ (3・5)

上式において,EZPEおよびHは,それぞれ各複合体について計算された振動の 零点エネルギーおよびエンタルピーである.△liZPEおよびA,Eirは,分子内水素結 合を無視した分子間水素結合による安定化エネルギーおよびエンタルピーに相

当する.一般に,量子化学計算で用いるエネルギーの単位1Hartreeは,水素原 子のイオン化エネルギーの2倍である[49],表3.2では,△EzpE,△HをkJ morl

単位に換算して表示した.2,3および4量体形成時の△EZPEは,それぞれ約一7,

一17および一27 kJ mor1と算出された.同様に,各多量体のMは,約一5,一10お よび二20kJ mol−1と算出された.多量体の形成に伴う△EzpE, AHの変化を図3.44

に示す.多量体の形成に伴って,△EZPE,△Hの絶対値はともに大きくなり,多 量体が分子間水素結合によってエネルギー的に安定化することが示唆された.

12PDA 1分子が水素結合によって多量体に付加するときのエンタルピー差は,5

〜10kJ mor1と見積もられる.12PDA分子には,一:NH2が2個あるため,二NH21 個当たりのエンタルピー変化に換算すると,2.5〜5kJ mor1に相当する.この値 が,van t Hoffプロットから得られた純粋な12PDAにおけるSHBとWHBとの エンタルピ一差(△HHB−2.6 kJ mor1)と起源が同じであると仮定すると, WHBは SHBに比べて非常に弱く,ほぼフリーな状鰻に近い相互作用であることが示唆

される,

(A)

   (a)

 2.598 A.

(C)

10

(B)

  3di  の

 (a)

題1691.

        A

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   1 2.486 A

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(D)

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       ず

図3.42.(12PDA)nの最適化された構造.(A),(B),(C)および(D)は,それぞれn=1,2,3およ    び4に対する結果を示している.(a),(b),(c)および(d)の破線は,一NH2間水素結合    を表し,その結合距離および結合角が表示されている.

71

表3.2.(12PDA)nの結合距離結合角および結合エネルギt a, b, cおよびdで区別し      た各水素結合は,図3.42に示した各水素結合に対応している.

H−Bond

 (12PDA)i

HF

(12PDA)2 (12PDA)3

DFT HF DFT HF DFT

 (12PDA)4

HF DFT

d(N…N) /A

abC10

2.834 2,882 3,494

3.746

3.262 3,410

3AIO

3.482 2.886 2.888

3223

3.279 2.866 2.872

3.509 3.375 3.487 3,381

3.279 3.171 3.258 3.186 d〈N…H) fA alDC﹂G 2598 2.432

5822

鰐ノ6︽48 2,296

2.482

2,42 1,

2.486 2.454 2.464

2.207

2258

2.379 2.398

2.517 2.372 2.513 2.377

2.267 2.145 2.269 2.162 Zt(N・T・H−N)fO

abCd

93,1 105.9 152.S

146.6

157,5 150,7

169.1 172.3 105,3 104,9

172.3 174.8 108.2 107,4

169.8 175.5 162.9 176.8

169.4 175,9 161.3 174.1 EzpE f Hartree

AEzpE/kl mol i

AHfkJmol i

一228.18969

   0    0

一229.72787

   0    0

一456,38211 一4S9,45828 一684.5757S

 −7.17 一6.68 一17,54  −4.79 一4.69 一11.64

一689.18942  −15,25  −9.66

一912.76899 一918.92191  −26.86 一27,41  −18.65 一19,80

2.8

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2

180

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90

(A) HヨーHF

一■トDFT

(B)

一At一 HF

一目一DFT        1      2      3      4

図3.43.(12PDA)nにおける最近接水素結合の結合距離N…H(A)と結合角N−H…N(B).

  o

  −5

o

ヨー10

$ 一15

zaN 一20

        一25

        −30

      1     2      3      4

図3.44.(12PDA)n形成時の結合エネルギーとエンタルピー変化.△,□はHF法,▲,

    ■はDFT法による結果をそれぞれ示している.

3.7.2.イオンと溶媒の相互作用

 塩添加した12PDA溶液では,純粋な12PDAで見られる水素結合構造に加え

て,電離したイオンに12PDA分子が溶媒和した構造や,アニオンおよびカチオ ンが直接相互作用したイオン対あるいは溶媒分子が介在したイオン対の形成が 予想される.水溶液やアルコール溶液におけるイオンの挙動については,以下 のことが知られている.濃厚な過塩素酸塩水溶液系では,ClO4一イオンとそのカ

ウンターカチオンが,直接あるいは溶媒分子を介在してイオン対が形成される

[11].また,低温にあるアルコール溶液でも,アルカリ金属イオンとハロゲン化 物イオンまたは過塩素酸イオンとの間で溶媒分子を介在してイオン対が形成さ れる[68−70].12PDA溶液内でのイオンの挙動と溶媒和構造について検証するた め,以下ではラマン分光測定と量子化学計算の結果を用いて議論する.(12PDA)1

       73

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