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博 士 ( 医 学 ) 宮 岸 隆 司

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 宮 岸 隆 司

     学位 論文 題 名

Identification of cell types producing RANTES , rvIIP‑l     Q , and MIP‑1 グ in rat experimental autoimmune     encephalomyelitis by in situ hybridization .

(ラット実験的アレルギー性脳脊髄炎におけるケモカイン産生細瞳腫の同定)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  実 験的アレル ギー性脳 脊髄炎(EAE)は 中枢神経 系の自己 免疫性の 脱髄疾患で あり,

多発性硬 化症の動物 モデルと して広く 知られて いる.

急性 期MSお よ びEAE病 巣 にお い て中 枢 神 経へ の りン バ 球 の浸 潤 は,血管内 皮細胞と の接触, 活性化,沈 着,およ び組織内への移行というの4つのステップが考えられる.

循 環 血 中 のT細 胞 上 のVLA−4な ど の イ ン テ グ リ ン と 内 皮 細 胞 上 の そ の り ガ ン ド で あ るI CAM− 1や VCAM−1と の 結 合 に よ り T細 胞 と 内 皮 細 胞 の 接 着 は 完 成 するが, インテグリ ンは何ら かのシグ ナルによ り活性化 されない限り接着機能を発揮 で き な い . ケ モ カイ ン は分 子 量 約lOkDの 構 造の 共 通 性を 持 った 約30の ヌ ン バー か らなるサ イトカイン ファミリ ーであり 、特定の 自血球に 対する遊走、活性化因子であ り近年様々な疾患の原因となる炎症,免疫反応に本質的に関わることが示されている.

RANTES,MIP―1a,MIPー1ロ に代 表 さ れる ロ ケ モカ イ ンは 炎 症局 所に固相 化して存 在するへ バリン結合 性蛋白で 主として 単球やり ンバ球に ケモタキシス活性を有し,イ ン テ グ リ ン を 短 時 間 に 活 性 化 し そ の り ガ ン ド ヘ の 接 着 を 誘 導 す る . EAE,MSの 病 巣 形成 に あ たり , 局所 に お ける こ れら の ケ モカ イ ンの発現が りンバ球 の 組 織 内 へ の 移 行を 制 御し て い る可 能 性が 考 え られ , 中枢 神 経 にお け るRANTES, MIP‑1a,.lpの産 生細胞種の 検討を行 った.

方法

  Lewisラ ッ ト に モ ルモ ッ 卜 脊髄 を 完全 フ 口 イ卜 ア ジュ バ ン ドと と も に免 疫 しEA Eを 作製 , 早期 ・ 極 期・ 回 復期 お よ び対 照コ ント口ール 脊髄の20ルmm凍結切片 を作 製し た .組 織切片 は4%バラ フォルム アルデヒ ドにて固定 した.45塩 基のantisense 合 成 オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド に35S―dATPを3 ‑tailing法 に て 標 識 ,42℃10時 間 hybridizationを 行 っ た , 洗 浄 後 抗CD3,GFAP( ア ス ト 口 サ イ ト ) ,ED1( マ ク 口 フ ァ ー ジ ) 抗 体 に て 二 重 染 色 を 行 い ,NTB2乳 剤 にて4〜8週 間 露 出し 産 生細 胞種 を 同定 し た .過 剰 未標 識antisenseプ口 ーブ添加 による競合 的コント 口ールin situ hybridizationを 行っ た .ま た 各 病期に おける脊 髄病巣よ りRNAを抽出しRT― PCRに てRANTESmRNAの 発 現を 検 討し た .

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結果

  対照 コ ント 口ール脊 髄ではRANTESおよ びMIP−lQ,‑1ロmRNA陽性細胞は 認め ら れ なか っ た.RANTESはEAE感 作 後7日 目よ り脊髄 くも膜下腔 単核細胞に てmR NA陽性,10日目(早期)にはくも膜下腔より脊髄内への浸潤細胞にシグナルが確認 された.12〜14日目(極期)では血管周囲の浸潤単核細胞を中心にシグナルが強 陽性となり,二重染色ではこれらの細胞は主としてT細胞,マク口ファージであった.

病巣辺縁部の血管周囲にてアスト口サイトにもシグナルが検出された.感作後20日 目 ( 回 復 期 ) で は 脊 髄 内 残 存 T細 胞 に の み シ グ ナ ル が 残 存 し た . 20倍未標識antisenseプ口ーブ添加によルシグナルは消失した.MIP―la,−iBで は感作後10日目より主として血管周囲の単核細胞にて陽性であり,その数は感作後 12〜14日にて最大となった,

考察

  今回の我々の検討ではケモカインの主たる産生細胞腫は血管周囲,くも膜下腔に 存在する浸潤T細胞,マク口ファージであったが,アスト口サイ卜でも産生が認めら れた.

EAEでは 炎症初期, 臨床症状出 現前よルケモカインmRNAの発現が認められ急性期 にかけて臨床症状の増悪および浸潤細胞の増加と相関してケモカインの発現が増強 し,EAE発症におけるケモカインの重要性が示された.

我々 はMS患 者 髄液 に おけ るMIP−laの 検討 を 行ったが急 性増悪期に 髄液MIPー 1aの 上 昇を 認 め ,髄 液MIPーlaと 髄液 細 胞数 , 蛋白 量 との 強 い相 関 を報 告 し (Miyagishi et al  1995),また免疫組織学的にMS患者にて急性期病巣において病巣 部辺 縁 にてMIPーla,MIPー1ロが血管内 皮細胞,血 管周囲のマ ク口ファー ジ,

アスト口サイトにて陽性であることを確認している.

急性期には血管周囲に存在するアストロサイトにてもケモカインの発現が認められ ており,アスト口サイトもケモカインを産生することによルケモタキシスの誘導ある いは各種の接着分子を活性化させlymphocyte trafficに関係することが考えられる.

EAE,MSの発症においてまず自己反応性T細胞が中枢神経内に侵入し,自己抗原を 認識,様々の炎症性サイトカインを放出しT細胞,マク口ファージを病巣に導く.こ の際ケモカインmRNAの発現がみられ,インテグリンを活性化`しさらなる炎症細胞 を病巣に 導くことが 考えられる.ケモカインがEAEにおけるlymphocyte traffic に関与しているものと考えられるが,ケモカインは正常組織では認められず病巣局所 にてのみ発現するため治療に当たってより特異的な治療が可能となることが期待さ れる.

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Identification of cell types producing RANTES ,MIP‑1     Q ,and MIP‑1 グ in rat experimental autoimmune     encephalomyelitis by in situ hybridization ・

(ラット実験的アレルギー性脳脊髄炎におけるケモカイン産生細胞腫の同定)

  ケモ カ イ ンは 分 子量 約lOkDの 構造 の 共通 性 を 持っ た 約30の メン バー からなる サ イ ト カ イ ン フ ァ ミ リ ー で あ り 、RANTES、MIP‑1a,MIP‑1ロ は 主 と し て 単 球 、 リ ン パ 球に ケ モ タキ シ ス活 性 を 有す る 。実験 的アレル ギー性脳 脊髄炎(EAE)は 中枢神 経 系 の自 己免疫 性の脱髄 疾患であり 、多発性 硬化症(MS)の動物 モデルと して広く 知 ら れて い る が、EAE、MSの 病巣 形 成に あたり、 局所にお けるこれ らのケモ カイン の発 現がりン バ球の組 織内への 移行を制御している可能性が考えられる。そこで中枢 神 経 にお けるの ケモカイ ンの産生細 胞種およ びにタイ ムコース について 検討を行 っ た。

  Lexvisラ ッ トに モ ルモ ッ 卜 脊髄 を 完全 フ 口 イ卜 ア ジ ュバ ン ドと とも に免疫しEA Eを 作 製 、早 期 ・極 期 ・ 回復 期 お よび 対照コ ントロー ル脊髄の20ロmm凍結切 片を作 製 し た。 組織切 片は4%バ ラフォルム アルデヒ ドにて固 定した。45塩基のantisense 合 成 オリ ゴ ヌ クレ オ チド に35S−Cし6汀Pを3. −tajling法に て 標識 、42℃10時間 hybridLzationを 行 っ た 。 洗 浄 後 抗CD3、GFAP( ア ス ト ロ サ イ ト ) 、ED1( マ ク ロ フ ァ ー ジ ) 抗 体 に て 二 重 染 色 を 行 い 、NTB2乳 剤 に て4〜8週間 露 出し 産 生 細 胞 種 を同 定 し た。 過 剰未 標 識antisenseプ口 ーブ添加 による競 合的コン ト口ールin situ hybriclizationを行 った。

  対 照 コ ン 卜 口 ー ル 脊 髄 で はRANTESお よ びMIP−la, −1ロmRNA陽 性細 胞 は認 め ら れ な か っ た 。RANTESはEAE感 作 後7日 目 よ り 脊 髄 く も 膜 下 腔 単 核 細 胞 に てmR NA陽性 、10日目(早 期)には くも膜下腔 より脊髄 内への浸 潤細胞に シグナル が確認

郎 彦雄 和 邦邦 嶋林 代 長小 田 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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さ れた。12〜14日目(極期)では血管周囲の浸潤単核細胞を中心にシグナルが強 陽性となり、二重染色ではこれらの細胞は主としてT細胞、マク口ファージであった。

病巣辺縁部の血管周囲にてアスト口サイトにもシグナルが検出された。感作後20日 目 ( 回 復 期 ) お よ び90日 目 で も 脊 髄 内 残 存T細 胞 に シ グ ナ ル が 残 存 し た 。 20倍 未漂識antisenseプ口ーブ添加によルシグナルは消失した。MIP―la、MIP−1 ロでは感作後10日目より主として血管周囲の単核細胞にて陽性であり、その数は感 作後12〜14日にて最大となった。

  これらの結果よルケモカインの主たる産生細胞種は血管周囲、くも膜下腔に存在す る浸潤T細胞、マク口ファージであったが、アストロサイ卜でも産生が認められた。

EAEでは炎症 初期、臨床 症状出現前 よルケモカインmRNAの発現が認められ急性期 にかけて臨床症状の増悪および浸潤細胞の増加と相関してケモカインの発現が増強 し、EAE発症におけるケモカインの重要性が示された。

  EAE、MSの発症においてまず自己反応性T細胞が中枢神経内に侵入し、自己抗原 を認識、様々の炎症性サイ卜カインを放出しT細胞、マク口ファージを病巣に導く。

こ の際ケモカインmRNAの発現がみられ、インテグリンを活性化しさらなる炎症細 胞を病巣に導くことが考えられる。ケモカインがEAEにおけるlymphocyte traffic に関与しているものと考えられた。

  公開発表にあたり、主査ならびに副査より、CCケモカインに注目した理由、ラッ トを用いた理由、コントロール実験におけるsense probeの使用について、自己反応 性T細胞の活性化の機序、血管内皮細胞におけるケモカインの産生およびレセプター の発現、病巣が回復する機序、抗ケモカイン抗体による治療の可能性について質問が なされたが発表者はおおむね妥当な解答を行った。

  こ の論文はEAEにおける 炎症細胞浸潤の機構におけるケモカインの関与につい て新たな所見を示した点で評価され、中枢性脱髄疾患の細胞遊走等に関する特異的な 治療の基礎を確立したものと思われた。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、大学院課程における研鑽や取得単位な ども併せ申請者が博士(医学)の学位を受けるのに充分な資格を有するものと判定し た。

参照

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