Title
慢性複雑性膀胱炎における尿中antibody coated bacteria
(ACB) の臨床的検討( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
原田, 吉将
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1147号
Issue Date
1998-01-21
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15128
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 原 田 吉 将(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1147 号 平成10 年 1 月 21日
学位規則第4条第2項該当
慢性複雑性膀胱炎における尿中antibodYCOated bacteria(ACB)の臨床的検討
(主査) (副査) 幸 田島 河清 授 授 教 教 道 満 教授 渡 連 邦 友 論文内容の要旨 尿路感染症は日常臨床上しばしば遭遇する重要な疾患であり.基礎疾患を有する複雑性尿路感染症の治療に際 しては今でもなお難渋することが多い。1974年,Thomasらは簡便かつ確実な尿路感染部位診断法としてantibodycoatedbacteria(ACB)証明法を報告したが,その後,細菌性前立腺炎や慢性複雑性膀胱炎の1部に
も尿中にACBが認められることが確認され,部位診断法としてのACB法に疑問が持たれるに至った。そこで申 請者は.酵素抗体法による尿中ACBの検出とともに尿中IgGを定量するACB簡易測定法(以下,尿中IgG定量法) を新たに行い,慢性複雑性膀胱炎における尿中ACBの臨床的意義について検討した。 研究方法 1)下部尿路に基礎疾患を有する慢性複雑性膀胱炎患者76例を対象とし,尿中ACBの検討を行った。尿中ACBの 検出はhorseradishperoxidase標識抗ヒトIgG,A,M抗体を剛、た酵素抗体法・間接法により検出した0 2)急性単純性腎孟腎炎4例,慢性複雑性腎孟腎炎19例,慢性複雑性勝胱炎36例,急性単純性膀胱炎6例の計65例 の患者を対象とし,尿中IgG定量法を検討した。本法は,検体尿を2回遠心・洗浄した沈壇に100倍希釈したFITC 標識抗ヒトIgGを加え37.0℃,60分反応させ,余剰の抗体を2回遠心・洗浄した後,蛍光強度を測定した0 3)カテーテル非留置の慢性複雑性勝胱炎患者18例について,抗菌剤治療における尿中ACBの変化を従来の酵素 抗体法およびIgG定量法にて確認し,抗菌剤による治療効果との関係について検討した。 4)尿道留置カテーテルを有する慢性複雑性勝胱炎患者14例に対し勝胱壁の1部を生検しHE染色による病理学的 検査を施行した。同時に尿中ACBの検出を行い組織所見との関係を検討した。 研究結果 1)慢性複雑性膀胱炎患者76例中38例(50%)と高率に尿中ACBが認められた。カテーテル留置患者では43例中 27例(63%),非留置患者では33例中11例(33%)に尿中ACBが認められ留置患者で有意に高率であった。さら に留置期間が14日以内では1/6(17%),14日以降6カ月以内では5/11(45%),6カ月以降では21/26(81%)■ と,留置期が長くなるほど有意差をもって陽性率が高くなった。 2)尿中IgG定量法は従来のACB法と陽性一致率37/42(88.1%),陰性一致率17/23(73.9%)であり高い一致 率を示した。本法は定量性を有するため,従来の鏡検法に比べACBの判定に客観性が得られ,また,尿培養陰 性例にも応用できるため.尿路感染症の経過および治療の効果をみる上で有用と思われた。 3)抗菌剤治療前後における尿中IgG定量法の検討では,細菌尿持続例4例と消失例14例とで治療前値に有意差は 認められなかった。しかし,治療後の値を比較すると細菌尿持続例は消失例より有意に高値であり,また,細菌 尿消失例ユ4例の中でも再発例8例では.非再発例より有意に高値であった。治療前FI値>4.0,細菌尿消失後FI値-159->2.0の症例は.難治性・易再燃性でありt 長期にわたる抗菌剤治療を必要とする指標になると思われた。 4)病理学的検討では尿中ACB陰性例では膀朕粘膜の出血性びらんや浮腫等にとどまるものが多いのに対し, ACB陽性例では炎症細胞浸潤が粘膜下層にも強く認められ,またリンパ濾胞を形成し浸潤性の慢性炎症をうか がわせる症例が多く認められた。 以上より.慢性複雑性膀胱炎において.尿中ACB陽性症例は感染の組織侵襲がより高度であり.治療効果の 難治性や再燃性を示唆しているものと考えられた。
論文審査の結果の要旨
申請者原田吉将は.酵素抗体法および尿中IgG定量法を用いて慢性複雑性勝胱炎における尿中ACBの臨床的意 義を検討した結果,尿中ACB陽性例は感染の組織侵♯がより高度であり,難治性であることを明らかにした。本研究の成果はt 下部尿路感染症における尿中antibody coated bacteriaの意義について新知見を加えたもの であり,泌尿器科学および感染症学の発展に少なからず寄与するものと認められる。
[主論文公表誌コ
慢性複雑性膀胱炎における尿中antibody coated bacteria(ACB)の臨床的検討
岐阜大医紀45(6):401∼405,1997