Title
線維芽細胞の増殖を抑制する新たな蛋白性因子に関する研
究 -- 子宮内膜癌抽出物よりの分離と精製 --( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
古井, 辰郎
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第296号
Issue Date
1995-03-24
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14828
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 古 井 辰 郎(岐阜県)
博
士(医学)
甲第 296 号 平成 7 年 3 月 24 日学位規則第4条第1項該当
線推芽細胞の増殖を抑制する新たな蛋白性因子に関する研究
一子宮内膜癌抽出物よりの分難と精製-(主査)教授 玉 舎 輝 彦 (副査)教授 岡 野幸
雄 教授 野 澤 義 則 論 文内 容
の 要旨
近年t問質は上皮細胞や癌細胞を栄養や支持するという機能に加えてこれら細胞の増殖・分化・移動といった 一連の機能に積極的に影響を与えていることが明らかになってきている。その際,問質を構成する細胞である線 椎芽細胞が産生・分泌する成長因子も役割を演じている。一方,これまで子宮内膜癌が正常子宮内膜由来の線維 芽細胞の増殖を促進する因子と抑制する因子とを産生することを見いだしてきた(Furuiet al,Cancer73;12 39∼1244,1994)。これは子宮内膜癌の発育・増殖も,オートクリンもしくはパラクリン的な機序で規制されて いることを示唆するものである。そこで本研究は,正常子宮内膜由来の線維芽細胞の増殖をコントロールする因 子のうち,子宮内膜癌由来の抑制因子の一次構造を明らかにし,この因子が子宮内膜癌に特異的であるか否かを 検討した。 研究方法 i)患者の同意を得て,手術的に摘出した子宮筋腫の分泌期子宮内膜より線維芽細胞を調製し培養した。この細 胞を用いて増殖因子活性を測定した。 址)線維芽細胞のDNA合成は[6-3H]チミジンのトリクロロ酢酸不溶分画への取り込み量を測定することで 観察した。 臨)子宮内膜癌抽出物の調製は,手術的に摘出した高分化型子宮内膜癌組織をホモゲナイズし,1時間100,000Ⅹ gで超遠心してできた上清を「抽出物」とした。その他の組織の抽出物についても同様の方法にて抽出物を調製 した。 Ⅳ)子宮内膜癌抽出物の純化は,1)限外ろ過膜,2)陰イオン交換クロマトグラフィー,3)ゲルろ過,4) アフィニチイークロマトグラフィー,5)SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法の順で行い,各段階で線維芽 細胞のDNA合成を抑制する活性を測定した。 Ⅴ)精製蛋白質のNH2一末端アミノ酸配列はエドマン分解法に基づいた自動分析機,および手動分析で解析した。 21結果 i)正常子宮内膜由来の線維芽細胞増殖抑制因子は約20,000倍にまで精製された。 ii)精製した蛋白を,SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法したところ,分子量約68kDaの位置に単一なバン ドを認めた。 通)この因子は,子宮頚癌,卵巣癌,正常子宮内膜,胎盤等で検出されなかった。 如)さらに,この因子は内膜由来の線維芽細胞に特異的に作用し,内膜癌細胞株,卵巣癌細胞株などの増殖には 影響を与えなかった。 V)この増殖抑制因子のN一末端15偶のアミノ酸配列(Thr5-Gln6-Ser7-Trp8-Asp9-Phe10-Val11-Ser12-Gln13-His14-) は既知の蛋白質とホモロジーを有しなかった。 結語 悪性腫瘍が増殖(抑制)因子を産生する例が知られているが,その多くは既知の増殖因子の量的な発現異常で ある。本研究の特色は,子宮内膜癌が産生する,未知の蛋白性成長抑制因子を見いだした点にある。この因子の 全容を明らかにすることにより,子宮内膜癌の増殖機構の解明のヒントとなる可能性も考えられる。