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在中日系企業における中国人中間管理職の動機づけと仕事態度の変化(吉田修教授退官記念論文集)

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在 中 日系企業 における中国人中間管理職の

動機づけ と仕事態度の変化

I `よじめに 1978年12月に都小平氏が復活 し,中 国経済の改革 ・開放政策が決定 された。 以来,若 子の曲折 はあった ものの,中国に対する海外か らの直接投資はほぼ一 貫 して増加 している。我が国の中国への直接投資 も例外ではな く,フ ローベー スで1992年にはアジアNIEs 4ケ国 ・地域への投資額 を,そ して,1994年 にはシ ンガポールを除 くアセアン4ヶ 国 (フイリピン,タ イ,マ レーシア,イ ン ドネ シア)へ の投資額 を上回つた。中国は投資対象国 としてさまざまな問題 もある 1 ) が,日 本輸出入銀行の調査 によれば,長 期的 (今後10年程度)に 世界の中で有 望 な投資先国 として中国を挙げている企業は73.6%で 第 2位 のイン ド (39.0%) 以下 を大 きく引 き離 していると ところが,中 国に進出 した 日本企業の経営 についての調査 ・研究はあまり進 んでいない。そこで我々は,1994年 12月か ら96年6月 にかけて調査 を行なった。 調査対象地域は,商 工業の中心地である上海 を中心 とした華東地域,政 治 ・経 済の中心地である北京お よびその周辺の華北地域,そ して,積 極的に企業誘致 を してお り,か つ歴史的な経緯か ら日本人にもな じみの深い大運 を中心 とした 東北地域である。中国に進出 した 日本企業の多 くはこれ ら三地域 に集中 して立 地 している。なお,広 東,福 建 を中心 とした華南地域 にもかな り進出 している が,進 出企業の立地が分散 しているため,調 査対象から除外 した。 1)例 えば拙稿 (1997年3月 )「中国経済の展望 と進出 日系企業の経営」「産研 レポー トm4J 奈 良産業大学産業研究所 をみよ。 2)中 谷敬二,中 島裕行 (1997年11月)「中国向け投資の動向お よび最近の課題点」『海外投 資研 究所報』第23巻第11号。 彦 光 田 一 昌

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136 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) 調査対象者 は,日 本本社か ら出向 している日本人主管者 (日本人の現地経営 責任者)と 日本人主管者 に選任 して もらった比較的中庸の判断をすると評価 さ れる中国人中間管理職各社 2二 3人 である。調査方法 としては,日 本人主管者 宛て と中国人中間管理職宛てにそれぞれ用意 した 日本語 と中国語の調査票 をそ れぞれ に郵送 し回答 を求めた。 さらに,各 地域 ごとに 7-8社 を訪問 し日本人 の 主管者 と中国人中間管理職 に対 して聴 き取 り調査 を行 なった。 以上の調査 の うち本稿では,日 系企業 に働 く中国人中間管理職 について以下 四つの側面 を考察する。 1.中 国人中間管理職の仕事 に対する動機づけとして,ど の ような要因が どの 程度重要なのか。 2.日 系企業 に働 く中国人中間管理職の動機づけ要因は どの程度満足 されてい るのか。 3.中 国人中間管理職の仕事態度は日系企業に入社後 どのように変化 したのか。 4.「 動機づけ要因の強 さ」 と 「仕事態度の変化」の問,お よび,「動機づけ要 因の満足の大 きさ」 と 「仕事態度の変化」の間には,そ れぞれ どのような 関係が認め られるのか。 個人が企業組織 に参加する主な目的が,仕 事 を通 じて個人の持つ様 々な欲求 を満足 させ ることにあると仮定すれば,個 人はその目的達成のために動機づけ られ,積 極的な態度で仕事 を遂行することが予想 される。 この ように考 えた と き,経 済体制の転換期 にある中国において,中 国人従業員の仕事動機 として何 が重要で,動 機づけ要因お よびその満足 と仕事態度 との間にどの ような関係が 認め られるか を探 ることの意義 は小 さ くない。 亜 動横づけ要因 個 人はさまざまな欲求 を持 ち,欲 求 を満足 させ るために動機づけられるとい 3)本 調査 は国際東 アジア研究セ ンター市村真一所長,大 阪府立大学伊藤正一教授,大 阪経 済大学車薙信照講 師 との共 同研 究であ る。調査対象企業の選択方法や回答者数等の詳細 に ついては市村真一編著(1998年)F中国か ら見た 日本的経営』東洋経済新報社の第 6章 をみ よ。

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う前提に立ち,マ ズロー系の欲求区分│こしたがって,中 間管理職の仕事動機 と 考えられる項 目に対 して回答を求めた。その結果は表 1の通 りである。 まず,生 存欲求に属する 「より高い給与」や 「雇用の安定」については三地 域 ともかな り高い害J合で動機づけ要因となっていることがわかる。中国人中間 管理職が強い安定志向を持っていることがうかがえる。 次に関係欲求に属する欲求では,「良好な人間関係」 と 「よりよい労働条件」 が大多数の人の動機づけ要因となっている。一方,「日中スタッフ間の公平な 処遇」は半数前後の人が動機づけ要因と認めているに過 ぎない。 しか し,こ の 回答は,日 本企業が中国人中間管理職を不公平に待遇 しても経営上支障がない ということを意味するものではない。 承認 ・尊厳欲求に分類 される欲求の中で注 目すべ きことは,「会社の評判」 が三地域 とも極めて大 きな動機づけ要因となっていることである。これに対 し て,「より高い地位や職位」は上海を除 き動機づけとしてはそれほど強 くはな 表 1.動 機づけ要因 とその満足 (単位 :%) ( 注) 動 機づけの程度 については 「その通 り」 と 「どちらか というとその通 り」の合計割合。 動機づけ要因の満足度 については 「満足 している」 と 「どちらか といえば満足」の合計割合。 n . a . は不詳 を示す。①の中の数字はそれぞれの列における順位 を示す。表 4も 同 じ。 4)Masiow,A.H.(1943), "A Theory of Human MotivatiOn,Psグ cんοιοθづcaι ttθυづθ物

5 0 : 3 7 0 - 3 9 6 . 動 機 づ け 要 因 上 海 北 京 大 動機づけ の程度 満 足 度 動機づけの程度 満 足 度 動 機 づ け の程 度 満 足 度 生存欲求 より高い給与 雇用の安定 ⑥84.5 ⑩80.3 ⑬58.4 ③73.5 ⑩83.3 ③86.9 ①68.4 ②85.7 ⑩81.5 ④85.4 ⑭40.0 ②74,5 関係欲求 情報の共有 日中スタッフ間の公平な処遇 良好な人間関係 より良い労働条件 ⑬75.4 ①48.3 ③81.7 ①90.0 ⑭571 ⑮44.9 ②90.0 ④79.6 ③91.3 ⑤56.0 ①820 ⑥88.0 ①72,7 05.8 ⑤87.5 ③950 ⑭56.3 ①41.3 ③90.9 ④90`7 ⑬41.1 ①38.5 ③87.5 ④86.5 承認 ・ 尊厳欲求 より高い地位 ・職位 意思決定権限 職務責任 会社の評判 ②762 ⑭74.1 ③88.5 ①90.0 ⑩64.2 ②76.7 ⑤78.7 ③87.0 ⑭59.1 ②80,0 ①100.0 ①100,0 ◎75.0 ③79.2 ①95.8 ②95.4 ①58.9 ⑤51.0 ⑤88。9 ②93.0 ②48.0 ⑩51.9 ③69.8 ①96.2 成 長 欲 求 日本本社での訓練 能力の活用機会 新 しい技術 ・ノウハウの習得機会 昇進の展望 仕事 を通 じた自己実現 魅力的な経営慣行 と規律 ⑮61.7 ⑤883 ③81.7 ①78.0 ②83.9 ③88.5 ⑥76.8 ③75.9 ②59.7 ①90.5 ①60.0 ①54.5 ③92.0 ②87.5 060.8 ④87.5 ③92.0 ⑥86.4 ③75,0 ⑤33.4 ④92.0 ①72.7 ②60.4 ①96.4 ①836 ①79.6 ③81.7 ⑥88.4 ②91.0 ⑥84.9 ①51.0 ⑤85.8 ③62.8

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138 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) い。このことは,中 国人サラリーマンには,概 してどのような職位にあるかと いうよりも,ど のような企業で働いているかということが動機づけとして大 き いことを示唆 してお り極めて興味深い。 このような回答は,最 近まで共産党員等の限られた人以外,な かなか地位の 上昇機会がなかったことが中間管理職の心理に投影 している結果であるとも考 えられる。すなわち,い わゆる 「社会主義市場経済」体制が導入されたとはい え,中 国国有企業では,能 力や実績にもとづいた人事選抜はほとんど行われて いなかったという。そのため多 くの人にはキャリア形成に対する意識や上昇意 識がそれほどなかったのではなかろうか。 しか し,他 の二地域 よりも市場経済 化が進んでいる上海では四分の三の中間管理職が 「より高い職位」を動機づけ としていることには留意 しておかなければならない。調査時点では 「より高い 職位」は北京や大連で大 きな動機づけ要因ではなくても,市 場経済化が進むに つれて,職 位の向上が次第に動機づけ要因として大 きくなる可能性は十分予想 される。今後の推移に注目することが肝要 と考える。 「会社の評判」 とならんで 「職務責任」 を動機づけとする人は多い。「職務 責任」や 「意思決定権限」は,一 般に職位に付随するところがかなり大 きい。 そのため,「職務責任」を動機づけとする人の割合が,「より高い職位」を動機 づけとする人の割合をかなり上回つていることは,や や理解 しがたい。また, 聴 き取 り調査によれば,中 国人は 「職務責任」をとりたがらない傾向があると いうのが日本人主管者の大方の見解であった。さらに,中 国人中間管理職の能 力に対する自己評価 と日本人主管者による中国人中間管理職の能力に対する評 価にはかなりの乖離があることも事実である。そのため,中 間管理職に対応 し た 「職務責任」を与えていない日本人主管者は多いようである。 ともあれ,か なり多数の中間管理職が 「職務責任」を動機づけ要因としていることに主管者 は留意することが必要であろう。 日本人主管者は動機づけとしてどのような 「職務責任」が希求されているのか,そ の内容をそれぞれの中間管理職に対 し て具体的に把握 し,経 営上可能な範囲でそれに対応 した職務責任を与えるよう 努力することが望 まれる。

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成長欲求に関 しては,「日本での訓1練」 を動機づけとする人の割合が意外に 少ないこと,そ して 「昇進の展望」が北京においてそれほど大 きな動機づけと はなっていないことを除き,か なり強い成長志向がうかがえる。日本企業は中 間管理職に 「能力活用の機会」や 「新 しい技術 ・ノウハウ習得の機会」,さ ら には達成感が得 られるような仕事の与え方を,さ らに工夫する必要があろう。 企業経営全体に関わる 「魅力的な経営慣行 と規律」については,9o%前 後の 人が動機づけ要因と感 じてお り,中 間管理職にとって極めて重要な動機づけと なっている。このことを日本人主管者は十分認識 しておかなければならない。 以上から,か なり多 くの動機づけ要因に中国人中間管理職の80%以 上が動機 づけられていることがわかった。では, 日本企業の経営はこれらの動機づけ要 因をどの程度満足 させるシステムとなっているのであろうか。 田 動機づけ要因の満足度 表 1は動機づけ要因とともに,そ の満足の割合を示 している。表によると, 中間管理職が動機づけ要因としている割合に対 して,そ の満足の割合が三地域 に共通 して大幅に下回るものは 「より高い給与」「昇進の展望」そ して 「魅力 的な経営慣行 と規律」の三項目である。そのほか,大 連において 「職務責任」 に対する満足害J合が低いことが指摘で きる。三地域 に共通する三つの動機づけ 要因の満足害J合はなぜ低いのであろうか。 まず給与 に満足す る人の割合が相対的に多 くない理由として,自 分の貢献 に 対 して給与水準が低 い と感 じている人がいることは否定で きない。 しか し,よ リー般的な理由は,中 国人中間管理職の給与に対する要求水準が高い というこ とであろう。 日本企業の給与水準は,中 国国有企業 よりはるかに高 く,ま た, 表 2 . 現 地 の 欧 米 企 業 と比 較 した給 与水 準 (日本人 トップの回答,単 位 :%・ 社) かな り高い やや高い ほぼ 同 じ やや低 い かな り低じ 合計(社) 上 海 0 北 京 0 27.3 27.3 0 大 連 52.3 0

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140 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) 表 2で 明 らか な ように同一地域 に進 出 している欧米企業の給与水準 と比べ,北 京 を除い てそ れ程 遜色 が あ る とはい えなばと に もかか わ らず 「よ り高 い給 与」 に満足 す る人の害J合が比較 的少 ないの は,急 速 に市場経 済化 に向か ってい る中 国で は,高 い給与 に対 す る人 々の欲 求が相 当強 い こ とを示唆 してい る と理解 す べ きであ ろ う。 「昇進の展望」 は動機づ け要因 として もそれほど強力ではないが,満 足割合 も低い。満足割合が低 い理由の一つ としては,中 国における日本企業の操業経 験が浅 く,責 任のあるポス トに配置するに足 る技術 ・ノウハ ウの移転がで きて いない とい う認識が 日本人主管者 にあるため,一 部の企業 を除 き採用以来現実 に昇進 させていない とい う実態がある。 今一つの理 由は,人 の現地化 に対 して 日本人主管者 と中国人中間管理職の間 に大 きな認識のギャップがあることに起因 している。表 3に 見 るように人的現 地化 を重視 している日本人主管者は極めて多い。 しか し,日 本企業が人的現地 化 を重視 していると認識 している中国人中間管理職 は極めて少 ない。それのみ な らず,多 くの中国人中間管理職は, 日本企業 は人的現地化 を重視 していない と考 えている。すなわち,条 件が整 えば人的現地化 を進めるとい う日本人主管 表 3.人 的現地化の重視程度 上 海 北 京 大 連 日本人主管者の重視度 97.1%(4.2) 76.2%(4.0) 92.7%(4.3) 中間管理職 による会社 の重視度 に対する認識 15.4%(2.5) 12.5%(2.3) 13.8%(2.5) (注)パ ーセントは 「非常に重視 している」または 「重視 している」と回答 した人の合計値。 ( )内の数値は 「非常に重視 している」を5,「全 く重視 していない」を1と した 5点 尺度の平均値。 者の姿勢が中国人中間管理職 に伝 わっていないため, 昇 進の展望が開かれてい ない とい う認識が多い結果 となっているのである。 日本人主管者は人的現地化 の条件やスケジユールを示 し,現 地人の不満 を緩和 させる必要があろう。 また, 5 ) 日 系企業の給与水準が, 欧 米企業 に比べ北京, 上 海の順 に低い理由については, 市 村編 著前掲書6 4 頁をみ よ。

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日本人派遣社員の人件費のかな りの部分 を本社が負担 している例 も多いとのこ とであ り,投 資 に対する真の利益 をあげてい くためには人的現地化は不可避 と いえる。 しか し,他 方,輸 出増値税優遇制の突然の取消や極めて短い予告期間 での労働時間短縮の実施通達 などの急激 な政策変更により,企 業進出や企業経 営の前提が簡単 に覆る環境の もとでは,軽 々 しく人的現地化 を約束することは 必ず しも賢明 とはいえない。 日本企業 には困難な選択 を迫 られることが予想 さ れる。慎重 な対応が求め られる。いずれに して も,中 国では日本 におけるよう に 「暗黙の了解」で昇進の展望が予測 されるという状況にはない ということを, 日本人主管者は肝 に銘 じなければならない。 「魅力的な経営慣行 と規律」 は動機づけ要因 としてかな り強力であるだけに, その満足害J合が低 いことは,日 本企業の経営の基本 に関わる重要問題である。 我 々の調査 では,動 機づけ要因 としての強 さとその満足の大 きさの乖離の原因 が どこにあるかは明 らかにはで きない。それが経営 システムその ものにあるの か,日 本人ス タッフの中国人ス タッフに対する対応の仕方にあるのか,そ れ と も他 に起因するのかを十分把握 し,原 因によっては,そ れを取 り除 く努力を怠っ てはならない。 以上 に述べ た要因以外の満足の割合 は動機づけ要因として指摘 された割合 に 対 して低い もので もせいぜ いloポイン ト程度下回るに過 ぎず,日 系企業の経営 システムは全体 としてはかな り動機づけ要因を満足 させる方向に働いていると 評価 で きるのではなかろうか。なお,動 機づけ要因に対する満足の割合が下方 に乖離 している項 目については,そ れ らすべての項 目について,そ の乖離 を縮 小することを志向すべ きか否かは即断で きない。 この点 については以下第V節 の発見が参考 となろう。 Ⅳ 仕事態度の変化 表 4は 「前職での経験 または当企業入社当初の気持 ちと比べあなたの仕事ヘ の態度 は どの ように変わ りましたか」 とい う間に対 して 5点 尺度で 「積極的な 方向へ変化 した」 ない しは 「ある程度積極的な方向へ変化 した」 と回答 した人

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吉 田修教授退官記念論文集 (第317号 ) 表 4.中 国人 ミドルの仕事態度の変化 (単 位 :%) 仕事態度の変化 上 海 北 京 大 連 積 極 変 化 平 均 積 極 変 化 平 均 積 極 変 化 平 均 士気 ・動機づけ 当企業で働 くことの誇 り 企業経営への参加意識 企業への愛着 企業帰属意識 企業に対するコミットメン ト 職務遂行 における自主的判断 企業経営への意見反映 価値ある仕事の達成感 人間尊重志向の経営 ②84.3 ④81.4 ③83.7 ③80,8 ①85.2 ⑤83.0 ⑩76.3 ③80.0 ④833 ⑥81.8 4 . 2 4 . 2 4 . 2 4 , 3 4 . 2 4 . 5 4 . 2 4 . 0 4 . 2 4 . 1 ③76.2 02.0 ⑥84.0 ③91.3 ①84.0 ④88.0 ③76.0 ◎76.0 ④88.0 ①95。7 4 0 4 . 4 4 . 2 4 4 4 . 3 4 . 5 4 。1 4 . 1 4 . 3 4 。4 ①87.5 ③84.6 ②85。7 ③84.6 ③75.0 ⑩70.6 ⑥78.0 ②77.6 ③72.0 ⑤81.5 4 . 4 4 . 4 4 3 4 . 4 4 , 3 4 3 4 . 2 4 . 1 4 . 1 4 . 4 (注)積極変化の数値は 「積極的方向へ変化」と 「ある程度積極的方向へ変化」の合計割合(%)。 平均は 「積極的方向へ変化」を5,「変化なし」を3,「消極的方向へ変化」を1と した平均値。 の割合 を示 した ものである。表か らわかるように70%以 上の中国人中間管理職 は仕事態度が 日本企業の経営の もとで積極的な方向へ変化 したと回答 している。 調査票 は同封 した返信封筒 に入れて直接返信 されているため,こ の肯定的な 回答 は中国人中間管理職が 日本人上司の 日にふれることを考慮 してなされた も の とは考 えに くい。そのため,こ の回答が彼 らの率直な感情 を反映 していると 理解すれば, 日本企業の経営 は中国人中間管理職の仕事態度 を積極的な方向ヘ 表 5。 中間管理職の直前企業 (単位 :人 ) 直前企業の種類 上 海 北 京 大 連 国有企業 集体企業 郷鎮企業 その他中国企業 政府機関 日系企業 欧米企業 香港 ・マカオ企業 台湾企業 その他外国企業 その他 就業経験 なし 28 5 0 3 3 9 1 0 0 0 3 4 1 1 1 3 3 1 0 1 4 1 6 回答者合計

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変化 させ る方向に大 きく作用 していると理解することがで きる。 この ような仕事態度の変化は,表 5に 示す ように,日 系企業に働 く中国人中 間管理職の多数が中国の国有企業で就業 した経験 を持 っているため,そ の経験 が 「前職での経験…と比べ…」 という設間に対する回答 として反映されたもの と理解できる。つまり,中 国人中間管理職の回答は,日 本企業の経営システム が中国の経営 システムよりも従業員をはるかに積極的に仕事に取 り組ませる方 向に機能 していると評価 していることを示唆 している。 一方,仕 事態度が 「消極的な方向へ変化 した」とする人は亘地域ともなかっ た。 しか し,「変化なし」 という回答のほかに 「ある程度消極的な方向へ変化 した」 とする人はわずかながら認められた。 このように 「ある程度消極的な方向へ変化 した」 とする人が若干あるとはい え,「積極的な方向へ変化 した」を5と し,「消極的な方向へ変化 した」を1と した 5点 尺度による平均値ではすべて4.0以上を示 してお り, 日系企業におけ る中国人中間管理職の仕事態度の積極的な方向への変化には各地域 ともに顕著 なものが認められる。 しか し,聴 き取 り調査によれば,中 国人中間管理職の仕 事態度に現在のところ満足できないとする日本人主管者は少なくない。その理 由の一つは,日 本人主管者が中国人従業員の能力を十分発揮 させていないこと にあるのではなかろうか。中国人中間管理職の多 くが彼 らの仕事態度が積極的 な方向に変化 したとしているだけに, 日本人主管者には彼 らの仕事に対する概 念や価値観に適合的な仕事の仕組みをさらに研究 し,彼 らの潜在能力をうまく 引出 し,そ れを有効に活用するよう一層の努力をすることが望まれる。その際, 少数 とはいえ仕事態度が 「ある程度消極的な方向へ変化 した」 と回答 した人が, なぜそのように回答 したのか,そ の理由を把握 してお くことが肝要と考える。 日系企業には以上のような課題があるとはいえ,そ の経営は組織均衡を安定的 に維持する方向に作用 しているということができよう。

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吉田修教授退官記念論文集 (第317号) V 動 機 づ け要因および その満足 と仕 事態度の変化 の関係 中国人中間管理職の 「動機づけ要因の強さ」 と 「仕事態度の変化」の問,そ して,「動機づけ要因の満足の大 きさ」 と 「仕事態度の変化」の間には,そ れ ぞれどのような関係が認められるのであろうか。これらの関係 を手巴握 してお く ことは人材活用の観点からも,また人材育成の観点からも意義のあることであ ろう。以下によりこれらの関係 を考察する。まず,表 1に示す 「より高い給与」 など16の項 目に,そ れぞれ動機づけ要因として 5点 尺度で 「その通 り」「どち らでもない」「違 う」などと回答 している中間管理職が,表 4に 示す 「士気 ・ 動機づけ」など10項目の仕事態度に,そ れぞれどのような変化があった (5点 尺度で 「積極的な方向へ変化 した」「変化なし」「消極的な方向へ変化 した」な ど)と 回答 しているかを見る。次に,動 機づけ要因の満足の程度 と仕事態度の

変化の関係につぃては,表 1のそれぞれの動機づけ要因に対して 「

大いに満足」

かなり満足」「どちらでもない」あるいは 「

不満足」などと回答したミドル

表6.動 機づけ要因の強さおよびその満足の大きさと仕事態度の変化の関係

動 機 づ け 要 因 動機づけ要因の強 さと 仕事態度の変化の関係 動機づけ要因の満足 と 仕事態度の変化の関係 上 海 北 京 大 運 上 海 北 京 大 連 よ り高 い給 与 雇 用 の安 定 情 報 の 共 有 日中 ス タ ツ フ間 の公 平 な処 遇 良好 な 人 間 関係 ○ □ □ × □ △ □ □ × ○ □ □ □ × □ ○ ○ ○ ◎ ○ □ △ ○ ○ ○ ○ △ □ ○ ○ より良い労働条件 より高い地位 ・職位 意思決定権限 職務責任 会社の評半J × □ ○ ○ △ x O O △ □ □ △ △ △ ○ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △ □ ○ △ ○ ○ △ 能力の活用機会 新 しい技術 ・ノウハ ウの習得機会 昇進の展望 仕事 を通 じた自己表現 魅力的な経営慣行 と規律 ○ □ ○ □ □ ○ ○ △ △ △ ◎ □ □ □ □ ◎ ○ ○ ◎ ◎ ◎ □ △ ◎ ○ ◎ ○ △ ◎ ◎ ( 注) ◎ ○△ ×□は動機づけ要因の強 さと動機づけ要因の満足がそれぞれ仕事態度にお よぼす変化の程 度 8 T 磨 極的な方向閉 L O i か な 峨 極的妨 向閣 L □ : 若干積極的閣 4 △ 対まとん

絵京

晏償

瞥与

ょ猪

中融措、

FIふ

慧bど

浜参

積極的な方向へ変化 したことを示す。

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が,表 4に 示 す10項目の仕事態度 に,そ れぞれ どの ような変化があ った と回答 してい るか を見 る。 この ように して観察 され た 「動機づ け要因の強 さ」 と 「仕事態度の変化」 の 関係 と,「動 機 づ け要 因 に対 す る満足 の程 度」 と 「仕事態度 の変化」 の関係 か ら,「動機づ け要因の強 さ」 と,そ の 「満足の大 きさ」がそれぞれ どの程度仕 事態度 の変化 に作用 しているのか,あ るいは,ど ちらが より強 く仕事態度の変 化 に作用 しているのかを考察する。なお,個 々の動機づけ要因の強 さ,お よび, その満足の程度 と個 々の仕事態度の変化の間に見 られる関係 は多岐にわたるた め,こ こではご く簡単 に包括的な特徴 を述べ るにとどめる。その結果は表 6に まとめ られている。 「よ り高い給与」 と仕事態度の変化 北京では 「よ り高い給与」 に強 く動機づけ られている人 と仕事態度の変化 と の間には関係 は認め られなかった。大運では 「より高い給与」 に動機づけられ ている人は,仕 事態度の うち 「価値ある仕事の達成感」 に積極的な変化があっ た としているが,「よ り高い給与」力ざ動機づ け としては 「どちらで もない」 と している人 に,む しろ積極的な仕事態度の変化が認め られた。上海では 「より 高い給与」 に強 く動機づけ られている人は 「企業帰属意識」 を積極的に持つ よ うになった としている。 しか し,そ の他 の仕事態度 については,「より高い給 与」 に 「ある程度」動機づけられている人に,よ り大 きな変化が認め られる。 一方,「より高い給与」 に満足 している人は,上 海 と大連ですべての仕事態 度が積極的に変化 している。北京ではいずれの態度指標 にも顕著 な相関関係 は 認め られなかった。 しか し,「より高い給与」 に動機づけられている人 よりも, それに満足 している人の方がやや積極的な態度で仕事 に取 り組んでいることが わかった。

雇用の安定」と仕事態度の変化

雇用の安走」に動機づけられている人は,北 京と上海では 「

士気 ・動機づ

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1 4 6 吉 田修教授退官記念論文集 ( 第3 1 7 号) け」 「企業帰属意識」 お よび 「企業 に対す るコミッ トメ ン ト」が積極的に変化 した としているが,そ のほかの指標 には明確 な関係 は認め られなかった。大運 で も,「士気 ・動機づけ」 と 「企業 に対す るコミッ トメ ン ト」のほかには関係 は認め られなかった。 一方,「雇用の安定」 に満足 している人は,上 海においてすべての仕事態度 が積極的な方向へ強 く変化 したことが認め られた。 しか し北京 と大運では,仕 事態度の変化 は認 め られなかった。 この ことは従業員が雇用の安定 に満足 した 場合,そ れが仕事態度 を積極的な方向へ変 える場合 と,仕 事態度が変化 しない か,あ るいは,消 極的な方向へ作用す る場合があ りうることを示唆 している。 筆者のアジアにおける調査 で も, あ る程度雇用 に緊張感 を持 たせ る方が業績向 0 上 につ なが る こ とが わ か っ た こ と を付 言 して お きた い 。 「情報の共有」 と仕事態度の変化 「情報の共有」を強い動機づけ要因としている人は,北 京では 「企業帰属意 識」 と 「価値ある仕事の達成感」が積極的な方向へ変化 したとしている。また, 「士気 ・動機づけ」「企業に対するコミッ トメン ト」そ して 「職務遂行におけ る自主的判断」 も,あ る程度積極的に変化 している。 しか し,「当企業で働 く ことの誇 り」「企業への参加意識」「企業経営への意見反映」 といった仕事態度 と,動 機づけとしての 「情報の共有」の間には関係は認められない。大連では, 動機づけとしての 「情報の共有」は 「企業に対するコミットメント」 と「当企 業で働 くことの誇 り」の変化にはあまり作用 していないが,そ の他の仕事態度 にはかな り積極的に作用 していることが認められた。上海では,「企業経営ヘ の参加意識」「職務遂行における自主的判断」および 「価値ある仕事の達成感」 に対する変化が,他 の仕事態度の変化に比べやや少ないが,全 体 として積極的 に変化 していることが認められた。 「情報の共有」に満足 している人は,北 京 と上海ですべて仕事態度項目が積 極的に変化 したことが認められた。 しかし,北 京では上海に比べ 「情報の共有」 6)拙 稿 (昭和62年 8月 )「 アジアにおける日本企業の労務経営」「彦根論叢』第246号 。

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に満足 している人の仕事態度の変化 と,多 少満足 している人やどちらでもない 人の仕事態度の変化 との間には,そ れほど大 きな差は認められなかった。大運 では,「情報の共有」を動機づけ要因としている人 と,「情報の共有」に満足 し ている人との間では仕事態度の変化にほとんど見るべ き差はなかった。 「日中スタッフ間の公平な処遇」 と仕事態度の変化 「日中みタッフ間の公平な処遇」を動機づけ要因としている人もそれに満足 している人も少ないが,こ れを動機づけとしている人と仕事態度の変化 との間 には,北 京,大 連,上 海 とも全 く関係は見 られなかった。 しか し,「日中スタッフ間の公平な処遇」に満足 している人については,北 京では,「士気 ・動機づけ」「当企業で働 くことの誇 り」「企業経営への意見の 反映」「企業に対するコミットメン ト」「仕事の達成感」が,大 連では,「当企 業で働 くことの誇 り」「職務および企業に対するコミットメント」「仕事の達成 感」が,そ して,上 海では,す べての仕事態度が積極的に変化 したとしている。 日中のスタッフを公平に処遇 し,そ れに現地人中間管理職が 「満足」すること が,企 業業績向上に極めて重要であることがわかる。 「良好な人間関係」 と仕事態度の変化 「良好な人間関係」 を動機づけ要因としている人は,北 京ではすべての仕事 態度が 「積極的」あるいは 「かなり積極的」に変化 している。大連では 「企業 経営への意見の反映」に対する態度が,そ して,上 海では 「士気 ・動機づけ」 と 「企業帰属意識」が積極的に変化 したとするほかは関係は認められない。 しか し,「人間関係」 に満足 している人については,三 地域 とも仕事態度が 積極的に変化 していることが認められる。さらに,人 間関係に対する満足を, 上司,同 僚,部 下に分けて仕事態度の変化 との関係を考察 したところ,上 司と の関係に満足 している人については,三 地域 ともすべての仕事態度が積極的に 変化 したことがわかった。同僚 との関係に満足 している人については,北 京で は,す べての態度指標が 「積極的」,あ るいは,「かなり積極的」な方向に,上

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148 吉 田修教授 退官記念論文集 (第317号) 海ではすべ て 「積極的」 な方向に変化 していることが認め られた。 しか し,大 連では関係 は認め られなかつた。部下 との関係 については,北 京ではやや積極 的な方向 に,大 連ではかな り積極的な方向に仕事態度が変化 しているが,上 海 では全 く関係 は認め られなかつた。三地域 における以上の ような階層間の人間 関係 と仕事態度あ変化 との関係が,組 織運営 に示唆す るところは少 な くない。 「よ りよい労働条件」 と仕事態度の変化 動機づ け要因 として 「よ りよい労働条件」 を強 く希求す る人 と仕事態度 との 間には,三 地域 とも関係 は全 く見 られなかつた。 しか し,こ れに満足 している 人 と態度指標 の関係 はかな り強い ことがわかった。す なわち,ほ とんどすべて の仕事態度が,北 京では 「積極的」 な方向に,大 連 と上海では 「つ`な り積極的」 な方向に変化 したことが認め られた。 「よ り高い地位 ・職位」 と仕事態度の変化 北京では 「より高い地位 ・職位」 を動機づけ要因 としている人は約60%で あ るが,こ れを動機づけ要因 としている人 と仕事態度指標 との間には 「企業への 愛着」 を除 き,か な り強い関係が認め られた。 しか し,大 連 と上海では動機づ け としての 「よ り高い地位 ・職位」 は 「当企業で働 くことの誇 り」 「経営へ の 参加意識」 「企業帰属意識」そ して 「企業への コミッ トメン ト」 といつた態度 指標 にはあ ま り作用 しない ことが観察 された。 一方,「より高い地位 ・職位」 に満足 している人 と仕事態度の変化 について は,北 京 と大違では関係 は認め られなかつた。 しか し,上 海ではかな り強い関 係が認め られた。 「意思決定権限」 と仕事態度の変化 北京では 「意思決定権限」 を持つ ことを動機づ け としている人の仕事態度 は 概 して 「積極 的」 な方向に変化 しているが,そ れを動機づ け としていない人は 仕事態度が 「消極的」 な方向へ変化 している。「意思決定権限」以外 の動機づ

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け要因については,そ れを動機づけ要因 としていな くて も,仕 事態度は少 な く とも 「変化なし」 という関係にあるだけに,北 京において 「意思決定権限」 を 動機づけ要因としていない人と仕事態度の変化に見 られる逆方向の関係は注目 される。大連では両者の間に相関関係は認められない。上海では 「意思決定権 限」を動機づけとしない人と 「当企業で働 くことの誇 り」 との間に 「変化なし」 という関係が認められる他は,「意思決定権限」に対する動機づけが大 きくな るにしたがって,仕 事態度 も積極的に変化するという関係が認められる。 「意思決定権限」に対する満足 と仕事態度の変化については,北 京ではほと んど関係は認められななかった。このことは,北 京では 「意思決定権限」を得 ることに動機づけられ,積 極的に仕事に取 り組んでも,与 えられた 「意思決定 権限」に満足すれば積極的に仕事に取 り組む姿勢を弱める傾向があることを示 唆 している。このことは人材活用上かなり重要な問題を提起 している。この点 について詳細な調査 をする必要があるように思われる。 大連では,満 足が大 きいほどすべての態度指標が 「積極的」な方向に変化 し ていることが認められた。一方,上 海では,「意思決定権限」に満足 している 人 と仕事態度の変化の関係は,「意思決定権限」 を動機づけ要因としている人 と仕事態度の変化の関係 とさしたる違いは認められなかった。 「職務責任」 と仕事態度の変化 北京 と大連では 「職務責任」に対する動機づけの大 きさと仕事態度の変化の 間には関係は認められなかった。 しか し,上 海では 「職務責任」に対する動機 づけと仕事態度の変化 との間には,積 極的な方向へのかなり強い関係が認めら れた。 「職務責任」に満足 している人と仕事態度の変化については,北 京では関係 は認められない。そ して,上 海では 「職務責任」に満足 している人と仕事態度 の変化の関係は,「職務責任」 を動機づけ要因としている人 と仕事態度の変化 の関係 とほぼ同様であった。 しか し,大 連では満足するほど仕事態度は積極的 になるという関係が認められた。

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150 吉 田修教授 退官記念論文集 (第317号) 「会社の評判」と仕事態度の変化 「会社の評判」 を動機づけとして強 く持つ人は,北 京では仕事態度が多少積 極的に変化 していることが認められるが,大 連 と上海ではほとんど関係は認め られない。「会社の評判」に満足 している人については,上 海では仕事態度の 変化 とかなり強い関係が認められたが,北 京 と大運では 「当企業で働 くことの 誇 り」が積極的に変わった他は,「会社の評判」 を動機づけとしている人 と仕 事態度の変化に見 られる関係 とほとんど同じであつた。 「能力活用機会」 と仕事態度の変化 「能力活用機会」に強 く動機づけられている人は,大 運において最 も積極的 に仕事態度が変化 したことが認められた。北京 と上海においてもかなり強い関 係が認められた。一方,「能力活用機会」に満足 している人は,三 地域 とも動 機づけ要因としての 「能力活用機会」 と仕事態度の関係 よりも,は るかに強い 関係が認められた。「能力活用機会」を与え,従 業員がこれに満足することは, 業績向上にとって極めて重要であるといえる。 「新 しい技術 ・ノウハウの習得機会」と仕事態度の変化 「新 しい技術 ・ノウハウの習得機会」を動機づけとしている人については, 北京では表 4に 示すほぼすべての仕事態度の変化 とかなり強い正の関係が認め られる。 しか し,大 連では 「企業に対するコミットメント」に対 して,そ して 上海では 「企業に対する愛着」 と 「企業帰属意識」に対 して中立的である。 「新 しい技術 ・ノウハウの習得機会」に満足 している人については,北 京で は 「職務遂行における自主的判断」 と 「価値ある仕事の達成感」が積極的に変 化 しているが,そ のほかの態度指標 との間には関係は認められない。大運にお いては 「当企業で働 くことの誇 り」 と 「価値ある仕事の達成感」に対 して中立 的な関係が認められる他は,か なり積極的に変化 している。上海においては, 弱い正の関係が認められた。

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「昇進の展望」 と仕事態度の変化 北京では 「昇進の展望」 を動機づけ要因 としている人 と仕事態度の変化 との 間にはほ とん ど関係 は認め られない。大連ではかな り強い関係が,そ して,上 海では強い関係が認め られた。 満足 については,北 京では 「昇進の展望」 に満足 していない人 と態度変化の 間には中立的な関係が認め られる ものの,満 足 している人 と態度変化の間には 関係 は認め られない。大連 において も関係 は認め られないが,「昇進の展望」 に満足 していない人は 「企業への愛着」 を持 っていないことが観察 された。 こ れに対 し,上 海では 「昇進の展望」 に対する満足が大 きいほど,仕 事態度が積 極 的に変化 していることが観察 された。 「仕事 を通 じた自己実現」 と仕事態度の変化 「仕事 を通 じた 自己実現」 を動機づ け として強 く持つ人 と仕事態度の変化の 間には,北 京ではほ とんど関係がな く,大 違 と上海で もその関係 はあま り大 き くない。 一方,「仕事 を通 じた自己実現」 を 「与えられた職務の内容」 という具体的 な内容 に置 き換 えて,そ れに満足 している人 と仕事態度の変化 との関係 を調べ た ところ,両 者の間には三地域 とも極めて強い正の関係があることが観察 され た。「仕事 を通 じた 自己実現 (職務内容)」ヤこ対する満足 は 「能力の活用機会」 に対する満足 とともに,最 も強 く中国人中間管理職の仕事態度の変化 に影響 を 与 える要因であるとい うことが観察 された。 「魅力的な経営慣行 と規律」 と仕事態度の変化 最後 に,経 営全般 に作用する 「魅力的な経営慣行 と規律」 を動機づけ要因 と している人 と仕事態度の変化 との関係であるが,大 連では,「魅力的な経営慣 行 と規律」 を動機づ け としている人の方が,そ うでない人 よりも仕事態度がい くぶ ん積極的な方向へ変化 していることが認め られた。そ して,上 海では 「士 気 ・動機づけ」「企業への愛着」「企業帰属意識」お よび 「企業 に対するコミッ

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152 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号)

トメント」が 「

積極的な方向へ変化」 していることが認められた。しかし,そ

れ以外の仕事態度の変化は認められなかった。北京では関係は観察されなかっ

た。

一方,「魅力的な経営慣行 と規律」 に 「満足」 している人の仕事態度は,上 海 と大連ですべ ての仕事態度指標が積極的な方向へ変化 している。北京 におい て も,満 足 している人の仕事態度 はかな り積極的に変化 している。特 に,「企 業帰属意識」 と 「企業に対するコミッ トメン ト」が強 くなっていることがわかっ た。以上か ら,「魅力的な経営慣行 と規律」 を動機づ け としている人 よりも, それに満足 している人の方がはるかに仕事態度が 「積極的な方向へ変化」 して いることがわかった。 このことは,経 営 を有効 に運営する上で,効 率的で,か つ,従 業員が満足する経営慣行 と規律 を導入することの大切 さを教 えていると いえよう。 以上か ら,我 々の発見は少な くとも以下のことを示唆 している。

①組織成員の動機づけ要因とその満足が仕事態度の変化に及ぼす力は地域によっ

て異 なる。 ②組織成員の動機づけ要因とその満足が仕事態度の変化に及ぼす力は一致 しな いこと。すなわち,動 機づけ要因の中には,そ れが満足 されることによって 仕事態度がより積極的に変化する要因や,必 ず しも積極的には変化 しない要 因,さ らには,逆 に消極的な方向に変化する要因がある。そ して, ③動機づけ要因が満足 されることによって仕事態度がより積極的に変化する要 因は,主 として(イ)「能力活用機会」や 「仕事を通 じた自己実現」 といった 達成感や成長感を満足 させることができる要因と,(口 )「日中スタッフ間の 公平な処遇」や 「よりよい労働条件」 といった同化志向の強い要因であるこ とが注目される,と いうことである。 日本企業は,中 間管理職の仕事態度を積極的な方向へ変化 させる動機づけ要 因や満足要因を,地 域ごとに,そ して,で きれ,封回人ごとにきめ細か く把握 し, これを経営に生かすよう心がけることが望まれる。

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