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雑誌名 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報

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(1)

江別市における児童の体力向上に関する研究(第22 報)A小学校における「朝の運動遊び」でのジュニア リーダー育成の手順と課題(4)

著者 大宮 真一, 石井 由依, 吉田 亜紗美, 竹田 唯史,  増山 尚美, 是枝 亮, 菊地 はるひ, 廣田 修平, 永 谷 稔, 横山 茜理

雑誌名 北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報

巻 10

ページ 69‑76

発行年 2019

URL http://doi.org/10.24794/00003028

(2)

江別市における児童の体力向上に関する研究(第22報)

─A小学校における「朝の運動遊び」でのジュニアリーダー育成の手順と課題④ ─ Studies on Improvement of Physical Fitness

at Elementary Students in Ebetsu City 22

─Step and Challenge of Jr. Leaderʼs Rearing on Practice of Morning Exercise at A Elementary School 4─

大 宮 真 一

1)

  石 井 由 依

2)

吉 田 亜紗美

3)

  竹 田 唯 史

1)

  増 山 尚 美

1)

  是 枝   亮

4)

菊 地 はるひ

1)

  廣 田 修 平

1)

  永 谷   稔

1)

  横 山 茜 理

1)

O

MIYA

Shin-ichi

1)

  I

SHII

Yui

2)

Y

OSHIDA

Asami

3)

  T

AKEDA

Tadashi

1)

  M

ASHIYAMA

Naomi

1)

  K

OREEDA

Ryo

4)

K

IKUCHI

Haruhi

1)

  H

IROTA

Shuhei

1)

  N

AGATANI

Minoru

1)

  Y

OKOYAMA

Akari

1)

Ⅰ.はじめに

 本研究は,平成21年度に開始された江別市教育委員会 と本学北方圏生涯スポーツ研究センターとの連携による 児童の体力向上を目的に江別市立A小学校を対象として 継続的に実践してきて,平成31年度で11年目となった。

平成25年度から低学年児童の運動遊びをサポートする上 級学年児童の社会性を育むことや,低学年児童が上級学 年児童の運動する姿や指導姿勢に対して憧れることで生 まれる自己効力感の高まりによる社会性の向上の目的を 付加して,小学校4年生から6年生で構成されるジュニ アリーダー(以下,Jr.L)と1年生との異学年交流での「朝 の運動遊び」を継続することとなった。これまでの研 究事業の内容については本学研究紀要等1〜20)に報告し,

年度ごとに次年度の課題を設定している。平成27年度の

実践12)13)では,今後児童たちの集団の中で運動遊びが伝

承されていくことを期待し,教員や大学生指導者の指示 的指導体制を弱めながら,Jr.Lが1年生に運動遊びの指 導を行った。Jr.Lは実践の回数が進むにつれて,全員が 指導経験をする中,複数回指導したいと申し出る積極的 な様子がみられ,リーダーとしての意識が芽生えてきた ことを報告した。このことは,上級学年児童の運動遊び

の指導によって低学年児童へ運動遊びの楽しさが伝承さ れ子ども集団内の活動によって体力や運動能力が高まっ ていく環境となってきていることを意味するものである と考えられる。その中で平成28年度への課題について,1)

Jr.Lを育てるためのマニュアルの作成,2)いじめや怪我 などのリスクから子どもの集団を見守る人的サービスの 提供の2つを挙げている。これらのことから,今日の少 子化やいじめ等の社会問題を考える時,子ども主体に考 える「異年齢児童の集団で成立する運動遊びの環境づく り」は途上段階であると報告している。このことから28 年度は,Jr.Lが主体的となって運動遊び内容を決定し,

実践回数が少なかったことから多くの指導場面を増やし て子ども集団のコミュニティーで遊びが展開される段階 へと移行し,大学生指導者がその様子を見守りつつ一緒 に運動遊びを実践しながらサポートしていくことが課題 であるとしている。この課題を受けて平成29年度の実践 を行った。その結果,Jr.Lがオリジナルで遊びの説明を したり,その手本を示したり,なおかつ20分以内でそれ らを達成することが困難であったため,①Jr.Lが,大学 生または運動遊びに関する指導者が楽しく運動遊びを提 供する指導場面を1年生の立場となって体験する,②大 学生または運動遊びに関する指導者が20分間の実践の中 で,説明の内容や話し方,手本の示し方,声の大きさ,

1)北翔大学生涯スポーツ学部スポーツ教育学科

2)北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター

3)北翔大学大学院生涯スポーツ学研究科

4)北翔大学生涯スポーツ学部 非常勤講師

(3)

江別市における児童の体力向上に関する研究(第22報)

1年生に感想を聞いて遊びの評価をすることなど,実践 の流れをJr.Lたちに理解してもらう,③Jr.Lが最初に遊 びを考案してきた内容を説明し,実践後に他のリーダー から意見を集め,リーダーと1年生がともに楽しく遊ぶ ことができるように意見をまとめて,次回の実践内容を 提示することを明確にできるようにする,ことの3つが 課題として挙げられている。そこで,本研究は平成30年 度の課題をもとにしてJr.Lの育成について,進級した5 年生を中心として4年生へ指導マニュアルを継承してい くことを実践事例から報告することを目的とした。また,

「朝の運動遊び」の当初の目的にあった運動量の確保に ついても組み込み,ジャンプ遊びおよびリズム体操を実 践した様子について述べることを目的とした。

Ⅱ.研究方法 1.対象

 江別市内のA小学校を対象とし,4〜6年生の41名 がJr.Lを希望して参加した。

 今年度のJr.Lが指導する対象となった1年生は20名で あった。

2.Jr.L育成の実践形態

 対象の児童に対し,平成31年4月23日〜令和元年11月 29日までの期間の火曜日と金曜日において計28回であっ た。全ての実践は,玄関の扉が開いておおよそ午前8時 05分〜 20分までの約15分間で行った。実践内容の詳細 は,石井ら21)が報告している。

 平成31年度における28回の実践において,第1回は Jr.Lへの説明および任命式,第2回〜 10回までは3回 で1クールとして,計3クールの実践を行い,1回目は Jr.Lが考案した運動遊びを紹介しJr.Lが実践して全力で 遊ぶ日,2回目が1年生へ指導するための運動遊びの遊 び方についてJr.Lが意見を出し合って検討するJr.L会議 の日,そして3回目がJr.Lが1年生を指導する日とした。

第11回から14回は2回で1クールとして,1回目はJr.L 会議,2回目はJr.Lが1年生を指導する日とした。第15 回目以降は,Jr.Lと1年生が全て参加する実践であった。

中でも第16回から23回までジャンプ遊び22),第24回〜26

回まではリズム体操,第27・28回は紙ボール投げであった。

3.Jr.Lにおける1年生への指導体制づくり

 1年生に対してメイン指導を行いたいJr.Lが自主的に 行えるようにし,その1回のメインリーダー人数は制限 しなかった。初回にJr.Lの任命証9)を授与する任命式を 実施し,今年度における実践のねらいを説明した。第1 および2クールまでは,本研究に関わる大学教員が考案 した運動プログラムをJr.Lに実践してもらい,1年生に 運動プログラムを指導してもらうための指導形態を模擬 的に示し,Jr.L 会議で次の運動プログラムを改善するた めに意見を出してもらったことをまとめること,1年生へ 運動の仕方についての手本を見せた後に補足をしながら 説明する方法,運動する時間を気にかけながら運動量を 確保することを伝えた。Jr.L会議内において1年生が実 践可能の内容となるようにJr.Lに意見を出してもらった。

 Jr.L会議の日の最後に,次回に1年生を指導するペア には輝きカードに指導の要領やメモが自由に書き込める カードを配布した。指導日には持参して,それをもとに 1年生と他のJr.Lとの運動遊びをリードする役割を果た した。また,Jr.Lの主体的な運動遊びの展開や説明の内 容についての意見はできるだけ尊重するよう心がけた。

4.Jr.Lと1年生が一斉に遊ぶ際のLr.Lとしての役割

 15回以降,Jr.Lと1年生が一斉に遊ぶ際にJr.Lがリー ダーとしての自覚があるという前提で1年生との関わり には指示をしなかった。本研究の目的である参加する児 童の運動量を確保するために,大学指導者がホワイト ボードに予め遊ぶ内容を記載して児童がそれを見てから 運動を始めたり,リズム体操23)では大学指導が師範を しながら体育館に来た段階からその場の雰囲気を児童が 感じ取り体操を行うなど,全員を集合させ運動を説明す る時間を省略した。

5.実践後におけるJr.Lへのアンケート

 11月の最終回にJr.Lへ今年度の実践に対するアンケー トを配布し,その質問項目から調査を行った。質問内 容と回答については表1に示した。アンケート内容は,

Jr.Lの自覚と1年生に対する運動遊びに関する考え方,

6年生には中学校へ進学した際の入部予定の部活動につ いてであった。

表1 アンケート集計結果

1.1年生に運動の遊び方を教えることなど,どのくらい関わることができましたか? (○で囲

カコ

む)

4年生 5年生 6年生

男子 女子 男子 女子 男子 女子

①たくさんかかわれた 1 2 1 1 2 7

②少しだけかかわれた 3 2 0 1 4 5

③あまりかかわれなかった 0 1 0 0 0 0

回答なし 2 0 3 2 1 0

(4)

2.ジュニアリーダーとしての自覚を持って1年生と関わることができましたか?

4年生 5年生 6年生

男子 女子 男子 女子 男子 女子

①はい 4 5 4 3 7 12

②いいえ 2 0 0 1 0 0

回答なし 0 0 0 0 0 0

それはどのようなことから言えますか?

①はいと回答した児童より 4年生 ・運動の仕方を教えた

・新聞を丸めて輪に入れる活動

・しっかり動く遊び

・自分たちで遊びをきめたりしっかりしていなかったら注意をしてあげた

・困っている子に教えた

・みんな仲良く運動してあやら

・人にやさしくできるようになった

・1年生と楽しく運動できるように考えた

・遊びの意見からです 5年生 ・鬼ごっこなどの活動から

・安全に行動できた

・小さい子に教えることから言える

・遊び方をおしえたり,わからない部分を教えた

・遊びを教えること

・遊びを教える

・ルールをやさしく教えたり,一緒に遊んだりしていたから

6年生 ・一緒に鬼ごっこをしたり,ケンパをしたり,ボールを投げて遊ぶときなどに,すごく1年生と関わる事が出来ました。

・1年生と一緒に運動したこと

・1年生と一緒に運動をしたりする事が多かった。

・玉を自分で作って投げるという活動です

・障害物走的なもの

・1年生にやり方を教えたり,注意したりしたから

・やり方を教えたり一緒に楽しんだりできたところ

・障害物リレーで1年生に走っていく順番などほかのことでも様々な事を教えたこと

・1年生が大繩が怖いと言っていた時に一緒に手をつないでいったこと。

・遊び方を1年生に教えたこと

・ケイドロをした時に助け合いがあった時

・あまりかかわれてはいないけど,「どうやってやるの?」と聞かれた時も教えてあげたりもしたので,できたと思います。

・1年生が遅く来てしまって,こまっていた時などに,教えてあげたこと

・説明を理解できていない1年生に教えてあげたり,手をつないで一緒にジャンプしたり(ジャンプ運動の時)仲良くたく      さん運動できた

・朝,おはようと声をかけたり,投げる新聞をあげたりなど

・1年生の中で説明がわかんない人がいたから,その子に教えてあげた時。

・大繩をくぐる時に1年生と一緒に声をかけて行けました

・1年生の為に運動を考えたこと。一緒に運動し,やり方を教えたこと。

・自分たちですることを決め,取り組む

②いいえと回答した児童より 4年生 ・ボール投げ

・投げる時

5年生 ・4年で固まって行動していたこと

3.朝運動の中で,1年生が「楽しい!」と感じる時はどんな時だと思いますか?

4年生 ・たくさんできること

・跳び箱から降りるかつマットに

・運動で大繩をしている時。ボールを投げて運動しているとき

・鬼ごっこ,玉入れ,ジャンプ運動

・走ったり競争したり,対決すること

・みんな仲良くしたとき

・仲良く遊んでいるとき

(5)

江別市における児童の体力向上に関する研究(第22報)

・みんなと一緒に運動すること

・大変でも楽しい遊びのとき

・何かが成功したとき 5年生 ・遊んでいるとき

・体を動かしているとき

・走る遊びだと思います

・運動している時。みんなで体を動かしている時。終わったあと。

・遊んでいる時。

・いっぱい運動できた時。

・色々遊びを考えたこと。いっぱい運動できたこと。

・チームに分かれて勝った時 6年生 ・体をたくさん動かしている時

・自分がたくさん参加できるような運動

・例えば壁の手形にタッチするなど,挑戦する時が1番楽しそう!!(大繩とか)うちも楽しいです

・体をたくさん動かす時,競争などで何かを競う時

・1回の時間で,いろいろな競争がある時

・例えば鬼ごっこだと,タッチできたり逃げきれたり,戦積が得られる時

・新聞紙を丸めて投げるようなことを楽しんでいた,リズム体操を声を出したりして楽しんでいた

・物を標的に向かって「投げる」や『走る」ということだと思う

・自分の速さで運動して,どんどん運動できる時,高学年がやっている事を真似して出来た時

・運動している時

・走っている時,障害物を跳んだり越えたりしている時,投げている時,6年生などジュニアリーダーと遊んでいる時

・他の人と一緒に協力したり,競争したりする時

・色々な学年の友達と関わる時,大学生さんと話しをする時,みんなで運動をする時

・高学年にやさしくしてもらった時,話しかけてもらった時,何かが上手くいった・出来た時

・上級生がかかわって,一緒に色々なコーナーを回ってあげるなどの行動をとってくれた時,単純に自分が好きな遊びだっ      た時

・勝負の場合勝った時,目標に達した時,全力でやってる時

・6年生とかみんなで活動している時,1年生が笑っている時

・目標があるとき,いろんな運動ができる時

・何でもいいから上手くいった時

上の枠に書いてもらったことについて,リーダーが出来ることはなんですか?

4年生 ・1年生を楽しませてあげる

・自分たちだけじゃなく1年生にも

・一緒に楽しく遊ぶ

・楽しくする

・仲良くすること

・工夫を考える

・喧嘩とかおきないか,しっかりと見ていたりすること

・1年生にもわかりやすく楽しく接する

・サポート

・うれしい

・すべてできる

5年生 ・おもしろい障害物などを付け加える事だと思います。

・いっぱい企画を考える

・1年生が楽しいと思う事を考える

・企画を考える。楽しい。

・遊ばせる

・一緒に遊ぶ。教えてあげる(ルール)。コミュニケーションをとる。

・勝たせてあげること。

・遊び方を教えたりわからない部分を教えた。

6年生 ・1年生が全力を出せるように追いかける(ぎりぎりで勝たせる)

・手加減を少ししたり,本気で相手をしない

・みんなが同時にできる運動

・1年生のお手本になり,頑張っている姿を見せたり,声をかけたりする事だと思います

・1年生と一緒にやって,リーダーも楽しむ。積極的に活動をする→真似してやってくれる

・1年生をサポートしながら運動を一緒に楽しむ事!(大事だと思います)

・楽しいと思ってもらえるように自分たちも楽しむ。1年生が跳んだり投げたりすることが出来ていたらほめる事

・一緒にたくさん遊んだり,運動したりする事

(6)

Ⅲ.結果および考察

 昨年度において,当時4年生(本研究の現5年生)の Jr.Lが運動遊びの考案や他のJr.Lへの説明に対してマ ニュアルモデルを他のリーダーへ手本を示してきた。そ のため,昨年度に引き続きJr.Lに応募した5年生が中心

となって,まず運動遊びの考案の仕方およびリーダーと しての役割と自覚について,昨年は参加していなかった 現6年生および新規で応募した4年生に対して手本を見 せることとなった。本研究における序盤は4,6年生に 対して1年生に対する指導マニュアルを明確に示し,そ れをもとに次世代のJr.L へ指導マニュアルを継承して いくことを目的として実践した。しかし,今年度は児童

・1年生にやさしい声かけをする事

・積極的に下級生に関わる事

・何かをやる時の順番を教えたり,やり方を教える事だと思う

・1年生とたくさん話をしたり,運動したり,みんなで楽しめてあげる事などがリーダーにできる事です

・一緒に回ったり,コツなどを教える事

・上手くいくように手助けをする事

・協力する

・みんなを楽しませること

・1年生が好きそうな事を考える,たくさんジュニアリーダーと触れ合う

・おもしろい案を考える。雰囲気を楽しくする

4.今年の朝運動は,運動の説明や遊び方が変わりました。どのような方法が良いと思いますか?

4年生 5年生 6年生

男子 女子 男子 女子 男子 女子

①登校した人から自由に遊びを始めることができる 3 3 2 2 4 9

② みんなが集まってからリーダーが説明をして始める 0 1 2 2 2 0

③そのほか,①②以外の方法があれば教えてください 1 1 0 0 0 2

回答なし 0 0 0 0 1 1

③そのほか,①②以外の方法があれば教えてください。

4年生 ・1年生がやりたい!!と言った遊びをみんな多数決をして準備をして始める。

・黒板とかにルールとかを書いてそれを見た人から遊ぶ 5年生

6年生 ・1年生のやりたい事を取り入れる(①の方法につけたし)

・みんなでやりたいものを書いて,毎回くじ引きをする!

6.(6年生への質問です)

中学校では,どんな部活に入りたいですか?

6年生

男子 女子

バスケット 1 0

バトミントン 3 1

運動 0 1

吹奏楽 0 2

パソコン 0 1

美術 0 1

美術か帰宅部 0 1

文化 0 1

まだ決まっていない 1 1

帰宅部 1 2

回答なし 1 1

※帰宅部希望理由

・チアとダブルダッチを続けたいから(女子1名)

・クラシックバレエをやる(女子1名)

(7)

江別市における児童の体力向上に関する研究(第22報)

の運動量確保という目的から4年生がメインリーダーと なって1年生へ指導する状況を作ることができなかっ た。したがって,ジュニアリーダー育成マニュアル継承 については,次年度もA小学校で実践できることとな れば現5年生が6年生となるため,改めて1年生の指導 の仕方について手本を示してもらう予定である。

 また,今年度は小学校の事情により,8:05以降で運 動を開始することとなり,8:20までの15分以内の遊び 時間という状況となった。限られた時間の中で,本研究 の目的を達成することは大変困難と考えられたが,以下 Jr.Lからのアンケートから今年度の育成状況について考 察していくこととする。

1.実践後のアンケート調査から

1)「1年生に運動の遊び方を教えることなど,どのく らいかかわることができましたか?」から

 この質問内容から「①たくさんかかわれた」,「②少し だけかかわれた」について24名が回答しており,おおよ そ1年生と関わることができたことが明らかとなった。

8名が回答なしであったが,次の2.「ジュニアリーダー としての自覚を持って1年生と関わることができました か?」の質問から,「はい」と回答した児童が35名であっ たことから1年生とは運動遊びを通して関わる機会を もったことが伺えた。

2)「ジュニアリーダーとしての自覚を持って1年生と 関わることができましたか?」とその質問に関する理由 として

 「はい」と回答した児童が35名,「いいえ」と回答をし た児童が3名であった。「はい」の理由として,「教えた」

というキーワードやその内容を含む回答が21件,「運動 を1年生と行った」ことがわかる内容として10件,「運動 内容に関して考えた」ことがわかる内容として4件であっ た。そして,学年が高い順に具体的な内容が記載されて おり,学年が上がるごとにリーダーとしての強い自覚や 出来事への課題や感想などが明確であることから,ジュ ニアリーダー制度が児童にとって年下の児童への教える 機会が増えていくことでコミュニケーション能力を高め ること,思いやりの心の醸成,楽しく運動するための課 題解決などアクティブ・ラーニングが必然と生まれてい たことを示すものであったと考えられる。

3)「朝運動の中で,1年生が「楽しい!」と感じる時 はどんな時だと思いますか?」から

 この質問については,Jr.Lが本人が1年生であった時 に当時のリーダーに遊んでもらったことを思い出した り,1年生に対してどのように関われば楽しいものとな るのかを問う内容であった。

 特に,「運動内容や遊び名」の記述があったものが24件,

「リーダーが関わることで楽しくなる,コミュニケーショ

ンを取る」ことの内容については8件であった。

 2)での回答と同様に,学年が上がるにつれて1年生 が楽しいと感じていることを具体的な認識や遊びの内容 の場面を捉えており,一方,4,5年生では回答が漠然 として運動をしている1年生の姿の詳細が思い浮かんだ り印象に残っていないことが伺えた。

5) 4)の質問に対して「リーダーができることは何 ですか?」から

 「運動の内容」について5件,「コミュニケーションを 取る」ことについて14件,「リーダーの役割・自覚」に 関すること16件の記述があった。

 6年生の回答は,4,5年生と比較して具体的事例な どの記述が多く,最上級生としての自覚などからリー ダーシップを取るという意識が強かったと考えられる。

6)「今年の朝運動は,運動の説明や遊び方が変わりま した。どのような方法が良いと思いますか?」から  「①投稿した人から自由に遊びを始めることができる」

に回答した児童が23名,「②みんなが集まってからリー ダーが説明して始める」に回答した児童が7名であった。

 今年度から①の方法で,15回目以降実施してきた。小 学校の事情等を含め,運動量を確保することを考慮して 児童たちに実施してもらったが,①の回答が多くみられ た。限られた時間でたくさん運動をしたいということを 理解していると推測されたり,多くの児童の前で説明す ることが難しいと考えた児童も含んでいたのではないか と考えられる。

2.Jr.Lの育成課題と今後について

 本研究のアンケート調査から,6年生の回答がいずれ の自由記述において具体的記載が多かった。このこと は,短期的にみれば1年間〜3年間を継続的にJr.Lを希 望して1年生との関わりからの異学年交流として,長期 的な視点からJr.L制度をこれまでに7年間継続して実施 してきた成果の一つと考えられる。本研究での対象とす るJr.Lは全員,1年生であった時には当時のJr.Lから指 導してもらったり遊んでもらったりしている。特にメイ ンリーダーを担当したリーダーは,低学年児童に対して 運動遊びを「どのような遊びを」「どのように説明し」

「どのような形態で・運動時間で」行ってもらうのかを 考える良い機会となっていると理解できる。そして,4 年生から学年が上がるごとに3年間Jr.Lを経験してくる と,運動に対する考え方が様々な観点から考慮できるよ うになり,運動量の確保や限られた時間の中で運動の説 明やまとめで感想や課題を引き出すなど,あらゆる視点 を持って運動指導が行われるというノウハウを学習する という結果がアンケート内容に集約されているのではな いか推測できる。

 以上のことから,Jr.Lの育成方法に関してはある程度

(8)

の目標は達成されつつある。一方,これまでのJr.L育成 によって子ども集団のみでどの程度体力・運動能力への 直接的に影響が及ぶものなのかを対照校と比較して詳細 に検討すること,また近年の研究傾向から認知機能およ び非認知機能などへの効果など検証することが今後の課 題である。

謝 辞

 江別市立文京台小学校校長の簑島裕二先生をはじめ,

関係各位と対象児童の保護者の皆様のご理解に深謝申し 上げます。

付 記

 本研究は,平成31年度江別市教育委員会委託事業補助 金の交付を受けて行ったものである。また,平成31年度 北方圏生涯スポーツ研究センター研究費の助成を受けて 実施した。申告すべき利益相反なし。

文 献

1) 大宮真一,竹田唯史,増山尚美他:江別市における 子どもの体力向上に関する研究─A小学校の体力・

運動能力の現状と身体活動力の調査方法について,

北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報,1:

57-67,2010.

2) 竹田唯史,大宮真一,増山尚美他:江別市における 児童の体力向上に関する研究─東広島市内小学校 における児童の体力向上の取り組みの視察報告─,

北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要,1:107-119,

2010.

3) 竹田唯史,大宮真一,山本公輔他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第3報)─A小学 校における朝運動プログラムの実践─,北翔大学生 涯スポーツ学部研究紀要,2:19-34,2011.

4) 大宮真一,竹田唯史,増山尚美他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第4報)─千葉県 八千代市内小学校における児童の体育授業の取り組 みの視察報告─,北翔大学生涯スポーツ学部研究紀 要,2:101-108,2011

5) 大宮真一,晴山紫恵子,山本公輔他:江別市におけ る児童の体力向上に関する研究(第5報)─A小学 校における「朝の運動遊び」実践プログラムの紹 介─,北翔大学短期大学部研究紀要,50:43-58,

2012.

6) 竹田唯史,大宮真一,山本公輔他:江別市における

児童の体力向上に関する研究(第6報)─A小学校 における朝運動プログラムの実践─,北翔大学生涯 スポーツ学部研究紀要,3:13-26,2012.

7) 大宮真一,晴山紫恵子,山本公輔他:江別市におけ る児童の体力向上に関する研究(第7報)─A小 学校における「朝の運動遊び」実践プログラムの 紹介2,北翔大学短期大学部研究紀要,51:1-16,

2013.

8) 竹田唯史,大宮真一,山本公輔他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第8報)─A小学 校における朝運動プログラムの実践─,北翔大学生 涯スポーツ学部研究紀,4:1-15,2013.

9) 大宮真一,晴山紫恵子,石井由依他:江別市におけ る児童の体力向上に関する研究(第9報)─A小 学校における「朝の運動遊び」の新たな実践プログ ラム─,北翔大学短期大学部研究紀要,52:1-16,

2014.

10) 竹田唯史,増山尚美,大宮真一他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第10報)─A小学 校における朝運動プログラムの実践─,北翔大学生 涯スポーツ学部研究紀要,5:1-14,2014.

11) 大宮真一,晴山紫恵子,石井由依他:江別市におけ る児童の体力向上に関する研究(第11報)─A小 学校における「朝の運動遊び」の異学年交流実践 プログラム─,北翔大学短期大学部研究紀要,53:

21-36,2015.

12) 竹田唯史,石井由依,増山尚美他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第12報)─A小学 校における朝運動プログラムの実践─,北翔大学生 涯スポーツ学部研究紀要,6:13-27,2015.

13) 大宮真一,晴山紫恵子,石井由依他:江別市におけ る児童の体力向上に関する研究(第13報)─A小 学校における「朝の運動遊び」でのジュニアリーダー 育成の試み─,北翔大学短期大学部研究紀要,54:

13-27,2016.

14) 竹田唯史,石井由依,大宮真一他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第14報)─A小学校 における朝運動プログラムの実践と効果検証─,北 翔大学生涯スポーツ学部研究紀要,7:1-16,2016.

15) 竹田唯史,石井由依,大宮真一他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第15報)─A小学 校における朝運動プログラムの実践と効果検証─,

北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要,8:141-155,

2017.

16) 大宮真一,石井由依,竹田唯史他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第16報)─A小学 校における「朝の運動遊び」でのジュニアリーダー

(9)

江別市における児童の体力向上に関する研究(第22報)

育成の手順と課題①─,北翔大学生涯スポーツ学部 研究紀要,8:157-165,2017.

17) 竹田唯史,石井由依,大宮真一他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第17報)─A小学 校における朝運動プログラムの実践と効果検証─,

北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要,9:67-78,

2018.

18) 大宮真一,石井由依,竹田唯史他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第18報)─A小学 校における「朝の運動遊び」でのジュニアリーダー 育成の手順と課題②─,北翔大学生涯スポーツ学部 研究紀要,9:79-89,2018.

19) 竹田唯史,石井由依,大宮真一他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第19報)─A小学 校における朝運動プログラムの実践と効果検証─,

北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要,10:75-88,

2019.

20) 大宮真一,石井由依,竹田唯史他:江別市における 児童の体力向上に関する研究(第20報)─A小学 校における「朝の運動遊び」でのジュニアリーダー 育成の手順と課題③─,北翔大学生涯スポーツ学部 研究紀要,10:89−99,2019.

21) 石井由依,大宮真一,吉田亜紗美他:江別市におけ る児童の体力向上に関する研究(第21報)─A小 学校における朝運動プログラムの実践と効果検証

─,北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報,

10:印刷中,2020.

22)大宮真一,長尾明也,中西汐梨他:小学校低学年児 童におけるジャンプ遊びプログラム作成,北翔大 学北方圏生涯スポーツ研究センター年報,7:123- 126,2017.

23)廣田修平,菊地はるひ:リズム体操開発における構 成運動の研究,北翔大学北方圏生涯スポーツ研究セ ンター年報,7:143-150,2017.

写真 今年度の朝運動での児童の様子

参照

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