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秋 田市太平地区山谷 における子 どもの遊 び空間の変容

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秋 田市太平地区山谷 における子 どもの遊 び空間の変容

和 田 久 子

キーワー ド:秋 田市 秋 田市太平地区山谷 中山間地域 子 ども 遊 び空間

は じめに

仙 田 (1984)は子 どもの遊 び空間を分類 し、1955

年頃 と1975年頃を比較 した。大西 (1998)は世代 と ともに子 どもの遊 び空間 ・時間 ・仲間に変化がみ ら れ、 この一般化 には事例研究 を積み重ね る必要があ ると述べた。藤永 (2001) は遊 び空間の減少要因が 都市 と山間地域では異 なることを明 らかに した。

本研究 は、秋 田市 の中山間地域である太平地区山 谷で子 どもの遊 び空間の世代間変化 を明 らかにす る ことを 目的 とす る。子 どもの遊ぶ範囲には学区域が 深 く関わ るため、秋 田市立山谷小学校 の学区域 を研 究対象地域 とす る。山谷小学校区は山谷全域 と山谷 に西隣す る黒沢 (稲荷 を除 く) を含む。調査 は秋 田 市立 山谷小学校 の児童 と学区内に居住す る卒業生 に 対 し、遊 び、遊 び仲間、習 い事、放課後 の過 ごし方 について聞 き取 りを中心 に進 めた。山谷小学校区全 体での傾 向をみ るために学区西端 の館越 ・砂子沢 ・ 野崎、中央の中山谷、東端の野 田を主 に調査 した。

遊びの内容 と区分

聞 き取 り調査 とア ンケー ト調査で得 られた子 ども の遊 びは79種類である。同 じ内容 の遊 びで も年齢 に より呼び方や道具、遊 び方が異なる。その点を考え、

遊 びを97項 目に細分 した (第 1表)。

これ らの遊 びを場所 と道具で区分す る。 まず、遊 び場が屋外か、屋内かである。屋外 の場合、川での 遊 びと山林での遊 びに分 け、 それ以外 の遊 び場を面 的な広が りがある道 ・広場型 と、採集 のようにポイ ン トがある地点型 に区分す る。道 ・広場型 は雪氷を 利用す るか否かで区分 し、その利用が無 い場合を道 具使用の有無で分 ける。道具 を使用す る場合 は自然 や身近 にあるものか、購入す るものかで区分す る

屋内である場合 はそれ以上区分 しない。結果 として

97項 目の遊 びは8つに区分 され る。

1表 秋 田市太平地区山谷 における子 どもの遊 び (1930年頃〜2004年)の区分 と回答比率

EII:‑1IlllI)lTIH.FEt.I.d

2LIrINl竿3‑11月の聞き取りおよびアンケー ト調査により

''盲ラ

3 5 ‑

Akita University

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Ⅲ 遊びからみた世代区分

上記の遊 びに関す る聞 き取 り調査か ら世代を区分 す ると、30‑40代間 と50‑60代間に明確 な境界が得 られた (1表)。 つ ま り、世代 は 60‑80代」、

40‑50代」、 「小学生‑30代」の3つに大区分 され る。各世代の遊びの特徴 は、60‑80代では採集、身 近にあるものを使用する遊び、大勢での遊びが多 く、

40‑50代では子 どものお小遣 いで買える遊び道具が 増える。小学生‑30代ではお小遣 いでは買えない遊 び道具が増え、 テ レビゲームなども普及 し、屋内で 遊ぶ ことが多 くなる。 この3区分を子 ども当時の時 代背景 と照合すると、遊び世代 は第二次世界大戦中、

前後の60‑80代が第 1期、高度経済成長頃の40‑50 代が第2期、その後か らバ ブル経済頃の20‑30代が 3期、 その後か ら現在 までの小学生‑10代が第4 期に設定 される。

Ⅳ 遊び場 と遊び仲間の分布

第 1期〜第4期世代の屋外の遊びを中山谷を事例 集落 として検討す る。遊 び場 は第1表の区分を もと

aの川、bの山林、 Cの道 ・広場の3種頬で示す。

1. 第1期世代の遊 び

1期の遊 び場 ははば、集落内にある (1図)0 (a‑2)には良 いポイ ン トがあ り、集落 を越 え て遊びに行 く。b‑1では山菜 とり、C‑1では鬼 ごっ

1図 第1期世代における中山谷の子どもの遊び場 (20053月末 で60・70・80代)

(秋 田県発行5千分の1森林基本図M‑29(1999年修正) M‑30(1998年修正)と20047・8月の聞き取りおよび

アンケ‑ト調査により作成)

こやか くれんぼ、C‑4・6・8・9で も鬼 ごっこや ビー 玉、 くぎさ しやパ ッチを していた。C‑4は木 の実 を とりに行 く道、C‑6は裏道で、子 どもが集 まる。

夏は川で魚 とり、魚っ り、泳 ぐなどする (a‑1・2) 泳 ぐときはパ ンツ一枚で川に入 る。冬はそりゃスキー で遊ぶ (C‑27) 0 C‑2は急 な坂 で、長ぞ りに5 人 くらいで乗 って滑 る。 山谷小学校 の グラウ ン ド

(C‑3)では鬼 ごっこ、野球、 そ りゃスキーで遊ぶ。

子 どもたちは遊ぶ約束をせずに、学校か ら帰 ると 皆、外へ出て遊んだ;遊び仲間 は集落内に分布す る 異年齢集団で、幼い子の面倒をみなが ら遊んでいた。

2.2期世代の遊 び

2期 も第1期同様、川以外の遊び場 は集落内で、

いたるところで遊んでいた。遊びの内容 も第1期 と 大差ない。夏は学校か ら帰 ると川で魚 とりや魚っ り、

水遊 びをする。服のまま泳 ぐこともあるが、海水パ ンツをはいたとい う話 も聞かれる。稲刈 り後の田は 子 どもの格好 の遊び場で、秋 にはゴム動力のひこう さの航続距離 と時間を競 った。冬 には田で雪合戦や スキー、 そ り、道路ではスケー トを した。

6、7人で遊ぶ ことが多 く、遊 び仲間 は集落内に 分布 している。異年齢集団だが、第1期 よりは年齢 幅が狭 まる。集落を越えて遊ぶ子 どもが出て きた。

3.3期世代の遊び

3期では集落外 にも遊び場が分布 し、冬季以外 は自転車で学区全体を走 り回 っていた。水質の汚染 と危険を理由に、放課後に川で泳 ぐことが減 り、1985 年 に小学校のプールが完成す ると、夏休みで も川で 泳 ぐことが減少 した。遊びは野球やサ ッカーが多 く、

グラウンドや自宅、集落内外の友人宅前などで遊ん だ。鬼 ごっこやかんけりもみ られる。冬 になるとス キーやそ りで遊ぶが、 スキー場へ も行 く。

仲のいい同学年の友人の所へ遊びに行 くため、遊 び仲間は集落を越え、学区内全域 に分布する。

4.4期世代の遊び

4期 は第 3期 と同様、集落外にも遊 び場がある (2図)。集落内より友人宅周辺で遊ぶ。小学 4年 生男子の事例では、中山谷の西側の地主 に遊び仲間 2人 いるため、遊 び場 も地主 に多 い (a‑2、b‑

1・2・3、C‑6・7)。川 (a‑1・2・3・4)では、魚 を網です くう、眺めるなどす るが、泳がない。野田

‑ 36‑

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2図 第4期世代 における中山谷の子 どもの遊 び場 (20053月末で小学4・5・6年生 ・10代) (秋 田県発行5千分 の 1森林基本図M‑29(1999年修正)、M‑30(1998年修正) と2004411月の聞 き取 りおよび ア ンケー ト調査 によ り作成)

子どもによる遊び空間の構成

子 どもの遊 び空間は遊 び場 と遊び仲間で形成 され ると考え、世代別の特徴的な遊び空間を模式的に示 す。第1期 は集落内に様々な年齢の遊び仲間が多 く、

遊 び場 も集落内である (3a))。第2期 は第1 期 と同様、遊び場 は集落内だが、遊び仲間の年齢幅 が狭 まる (3b))。第3期の遊 び仲間はほぼ同 学年である。集落外で も遊 びに行 くため、遊 び場は 学区内の広 い範囲に分布す る (3C))

▲ 年 下の基 幹冊 ::".̲.'> 進 l̲ ーヽ 亜び垂fn

の奥 の谷山 (a‑4)で はカ ジカを手で とる。 グラ ウ ン ド(C‑1) はサ ッカーや野球、C‑2は鬼 ごっ こ、そ りなどの遊 び場である。老人保健施設の駐車 (C‑5)ではバ ドミン トンをす る。集落外 のC‑

9では牛 を、C‑10のおだ き広場 では滝 を見 る。C 12は習 い事先で、習い事の前後 に鬼 ごっこや雑談 を す る。それ以外の道 ・広場 (C‑3・4・6・7・8・11)

は自宅や友人宅前で、野球やサ ッカー、バ ドミン ト ンなどの遊び場である。 自転車で遊びに行 くことが 多いが、学区内で も親が 自動車で送 ることがある。

a)習い事な し b)習い事な し C)習い事な し (1・20053月末で (2・20053月末で (3・20053月末で

76歳男性の事例) 54歳男性の事例) 34歳男性の事例) 3図 第 1・2・3期世代における秋田市太平地区山谷の子 どもの遊 び空間

(20043‑10月の野 き取 りおよLfア ンケー ト調査 によ り作成)

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▲ 年下のぴl事dR ・::二二.'.1# び頒 l二二ヽ

★ 本 人 0 年上 の遊 び仲 間 ● 同学 年の

a)習 い事 あ り b)スポーツ少年団 C)習 い事 な し (小学4年生男子 の事例) (小学6年生男子 の事例) (小学6年生男子 の事例)

4図 第4期世代 における秋 田市太平地区山谷 の子 どもの遊 び空間 (2004年) (20044‑11月の聞 き取 りおよびアンケー ト調査により作成)

4期では遊 び仲間 は学区内、 または習 い事 など の影響か ら学区外、地区外 にも分布する (4a) b)、C))。学区内で は児童が少 な く、学年 に関わ ら ず遊ぶ。第 1、2期 と遊 び仲間の形成背景 は異 なる が、異年齢集団である。遊 び場 も遊 び仲間の分布同 様、学区内や学区外、地区外 と飛び地的に分布す る。

C)は自宅周辺 で遊ぶ ことが多 いが、母親 の用事 に 着 いてい く先が遊 び場 とな っていることを示す。第 1、2、3期 と比較す ると集落内の遊 び場 の密度 は低 いが、遊 び空間 は学区外、太平地区外 まで広が る。

おわ りに

中山間地域である秋 田市太平地区山谷で も、時代 が新 しくなるにつれて、居住集落内における遊 び空 間 は減少 した。 その理 由は大 きく3つある。

1. 河川 の水質 の汚染や道路 の舗装 による遊 び場 の 減少などの物理的要因。

2.過疎化 による児童数減少、習 い事 の増加 による 子 どもたちの集 まる機会 と時間の減少 などの社会的 要因。仲間の減少で成立 しない遊 びがあ り、物理的 に遊べ る場所があるが、遊び場 として活用 されない。

3.テ レビゲ‑ムや コンピュータの普及で、興味あ る遊 びが屋内化す るなどの生活の変化。本研究 の場 合、 自然 の遊 び場が残 されているが、 ゲームで遊ぶ という自らの意思決定 と、遊 び仲間が闇辺 にいない、

または習 い事 まで時間があるが友だち と遊ぶのには 短 いなどの消極的な理 由が混合 している。

このように、居住集落内や学区内の遊 び空間 は減 少 した。 しか し、現在 の子 どもの遊 び場 と遊 び仲間 の分布 をみると、遊 び空間 は集落内では縮小 してい るが学区外では飛 び地的なが ら拡大 してお り、全体 で は必ず しも縮小 しているとはいえない。外遊 びは 昔 に比べて減少 し、少人数 または1人で遊ぶ ことも 増えた。一方で現在 の子 どもは習 い事 などを通 して 今 までの子 どもたちが接す ることの少 なか った様 々 な地域 の子 どもと接す る機会や遊ぶ時間が増えてい る。つまり、遊び空間は単純 に縮小 したのではな く、

世代 とともに部分的 には広域化 している

現地調査の際 には、山谷小学校 の教員の方 々、児 童、各集落の皆様 に温かいご協力を頂 きま した。 ま た、本稿の作成 にあた り、秋 田大学教育文化学部 の 篠原秀一先生か ら終始貴重 な ご指導 を頂 きま した。

末筆 なが ら、 ここに深 く感謝 申 し上 げます。

大西宏治 (1998):岐阜県羽島市 にお ける子 ど もの 生活空間の世代間変化 地理学評論,第71,679‑

701.

仙田 満 (1984):『こどものあそび環境』筑摩書房, 335p.

藤永 (2001)長野県四賀村保福寺町地区におけ る子 どもの遊 び空間の変容.新地理,第49,1 16.

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参照

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