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■ベクトルの線形変換

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Academic year: 2021

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(1)ベクトルと行列 参考資料 4. 2020 年度第 2 ターム 学芸学部数学科 1 年 担当: 原 隆 (学芸学部数学科・准教授). ■ベクトルの線形変換. . . 定義 (ベクトルの線形変換; [新井他] 定義 2.27, 命題 2.44, [梶原] 3.1 節, [齋藤] p. 18 4◦ ) 平面 空間. 任意の. ベクトル x に対して. 平面 空間. ベクトル f (x) を対応させる規則 f が、以下. の 線形性 linearity と呼ばれる 2 つの性質を満たすとき、f を 線形変換 linear transformation. (または 1 次変換) という。. ※ 以下の 2 つの性質を、内積・外積の 双線形性 と比較してみよう!!. 1◦ 任意のベクトル x, y に対して f (x + y) = f (x) + f (y) が成り立つ “ベクトルの和を移したものは、移したものの和” 2◦ 任意のベクトル x と任意の実数 k に対して f (k x) = k f (x) が成り立つ . “ベクトルのスカラー倍を移したものは、移したもののスカラー倍” ◦. . ◦. 参考: 性質 1 , 2 自体は x や f (x) が平面ベクトルであるか空間ベクトルであるかとはまったく関係なく考 えられるから、例えば「平面 ベクトル x に 空間 ベクトル f (x) を対応させる規則」に対しても性質 1◦ ,. 2◦ を考えることが出来る。一般に “ベクトル” に “ベクトル” を対応させる規則で性質 1◦ , 2◦ を満た すものを 線形写像 linear map と呼ぶ。線形変換は、“入力のベクトル” と “出力のベクトル” がともに 平面ベクトル (または空間ベクトル) で揃っているような “特別な線形写像” を表す用語である。. ⋆ 平面の線形変換の例 y. y fℓ (x). fθ (x). y. ℓ: y = x. x. x. θ O. x. 角 θ の 回転変換 fθ. rotation of angle θ. O. x. O. x. 直線 ℓ : y = x に関する 鏡映変換 fℓ. reflection with respect to ℓ. px (x). x. x 軸への 正射影 px right projection to the x-axis. ※ いずれも 線形性 1◦ , 2◦ を満たすことが確認出来る (⇝ 演習問題 4-1.).  . 以下では主に 平面ベクトル の場合を中心に、線形変換と 行列 との関係を観察しよう!!. ■平面ベクトルの線形変換と 2 次正方行列 平面ベクトルの線形変換 f によって基本ベクトル ex =. " # 1 0. , ey =. " # 0 1.  . がそれぞれベクト.     a b ル f (ex ) = , f (ey ) = に移されたとしよう。すると 任意の (成分表示された) ベクトル c d.

(2)   x x = y を f で移したベクトル f (x) の成分表示は、 線形性 を用いて   x [成分表示の定義] f (x) = f = f (xex + yey ) y       a b ax + by 線形性 1◦ 線形性 2◦ = f (x ex ) + f (y ey ) = x f (ex ) + y f (ey ) = x +y = c d bx + dy と計算することが出来る*1 。つまり、平面ベクトルの線形変換は 基本ベクトル ex , ey の行き先だけ 分かれば、全てのベクトルの行き先が分かってしまう!!. y x=. yey. " # x. y yf (ey ). y. f. 1 ey. f (ey ) /. O ex 1 xex. f (x) =. O. x. x xf (ex ) + yf (ey ). f (ex ) xf (ex ) 線形変換のイメージ. . . 定義 (線形変換の行列表示). (平面ベクトルの) 線形変換 f によって、基本ベクトル ex , ey が " # " # x b の に移るとき、成分表示された平面ベクトル x = および f (ey ) = 其々 f (ex ) = y d c それぞれ. " # a. 行き先を.  f (x) = xf (ex ) + yf (ey ) =. ax + by cx + dy. . 定義. =. . a b c d.   x y. =: Af x. h i と書き表すことにする。この表記に現れる 2 次正方行列*2 Af = f (ex ) f (ey ) =. ". a. b. c. d. #. を線形変換 f の 行列表示 matrix presentation と呼ぶ。.  逆に 2 次正方行列 A =. " a. b. c. d. # が与えられたとき、平面ベクトル x =. " # x.  をベクトル. y.     a b x ax + by 定義 fA (x) = Ax = = c d y cx + dy " # " # a b に移す規則 fA が f (ex ) = , f (ey ) = を満たす 線形変換 となる (つまり c d . A(x + y) = Ax + Ay,. A(k x) = k (Ax). が成り立つ) ことは、行列とベクトルの “掛け算” Ax の計算ルールから簡単に確認出来る (⇝ 演習 まと. 問題 4-2.)。以上の関係を纏めておこう*3 ; *1. 成分表示されたベクトルの内積、外積の計算 (参考資料 1, 2) と比較してみよう! 単に「4 つの数字を縦 2 個, 横 2 個の正方形の形に並べて括弧を付けたもの」のこと。 *3 詳細は [齋藤] p. 18 4◦ などを参照されたい。 *2.

(3) o o/ /o 1o/ 対/o 1/o /o o/ /  /. [平面ベクトルの] 線形変換 f.  o. fA (x) = Ax. [2 次] 正方行列 h i Af = f (ex ) f (ey ) A. 線形変換を調べることは (正方) 行列を調べることと等価である (!! ). 注: 全く同様に考えると、空間ベクトルの線形変換は 3 つの空間ベクトル f (ex ), f (ey ), f (ez ) を並べて出 [ ] 来る 3 次正方行列 f (ex ). f (ey ). f (ez ) と対応する ことが分かる (各自で考えてみよう! ). ■演習問題 演習問題 4-1. (線形変換の線形性) 講義で扱った以下の線形変換が線形性 1◦ , 2◦ を満たすことを 図を描いて 確認しなさい。. (1) 角 θ の回転変換 fθ (2) 直線 ℓ : y = x に関する鏡映変換 fℓ (3) x 軸への正射影 px. 演習問題 4-2. (“左から行列を掛ける” 写像の線形性). ". 任意の 2 次正方行列 A =. a. b. c. d. #. に対して fA. " #! x y. := A. " # x. =. a. b. #" # x. 定義. " # ax + by. = d y cx + dy ◦ ◦ は線形性 1 , 2 を満たすことを. y. と定めるとき、平面ベクトルに平面ベクトルを対応させる写像 fA. ". c. 直接計算によって 証明しなさい。 演習問題 4-3. (平面ベクトルの線形変換と行列表示). " # " # 1 0 以下の線形変換 fi : R → R の行列表示 Afi を求めなさい。但し ex = , ey = とする。 0 1 5 (1) ベクトル x を原点 O を中心に 時計回りに π だけ回転する線形変換 f1 6 (2) ベクトル x を 直線 y = −x に関して 対称移動する線形変換 f2 " # " # 4 2 に移す線形変換 f3 に、 ey を (3) ex を 3 −1 " # " # 1 0 (4) ex を に、ey を に移す線形変換 f4 −3 2 " # " # " # " # 3 0 7 3 (5) a = を に、 b = を に移す線形変換 f5 −2 2 −4 −1 " # " # " # " # 2 −1 7 1 (6) a = を に、b = を に移す線形変換 f6 1 3 2 0 2. 【ヒント】 Afi =. 2. [. ] fi (ex ). fi (ey ). より、ex =. " # 1 0. と ey =. " # 0 1. が fi で移る先を調べよう。.

(4) 演習問題 4-4. (線形変換で移る点) 以下の点の座標を求めなさい。. 5 π だけ回転移動した点 P 6 (2) 点 (3, −1) を 直線 y = −x に関して 対称移動した点 Q 2 (3) 点 (2, 4) を原点中心に 反時計回りに π 回転した後 y 軸に関して 対称移動した点 R 3 1 (4) 点 (−5, 3) を 直線 y = −x に関して 対称移動した後、原点 O を中心に 時計回りに π 回転 4 移動した点 S (1) 点 (8, −2) を原点 O を中心に 時計回りに. 演習問題 4-5. (平面ベクトルの回転変換). . . 角 θ の回転行列を Aθ とすると、 「ベクトル x を (反時計回りに) θ 回転して (原点 O を中心と して) r 倍に相似拡大する」という線形変換は 「行列 rAθ を掛ける」ことに対応する. . . ことを利用して、xy 平面上の以下の点の座標を求めなさい。 ※ 余力がある人は、同じ問題を 複素平面 (または複素数平面) を用いて解いてみよう!!. 5 (1) 点 (−2, 4) を反時計回りに π 回転し、原点 O からの距離を 4 倍に延ばして得られる点 P 。 6 1 1 (2) 点 (3, −5) を時計回りに π 回転し、原点 O からの距離を √ 倍に縮めて得られる点 Q。 4 2 √ y (3) (チャレンジ問題) 点 A(2, 2) を中心とする半径 2 の円と、 A に於ける直線 OA の垂線 ℓ との交点 R, S (左図を参照し. R. なさい)。. 1 π 回転した点 R′ , S ′ の座標は 4 簡単に求まるので、先ずはそれから求めてみよう] [ヒント: R, S を時計回りに. A S O. ℓ x. 演習問題 4-6. (チャレンジ問題: 平面上の直線に関する鏡映変換). xy 平面上の位置ベクトル a =. " # x. に対して、a を直線 ℓθ : y = (tan θ)x に関して折り返したベ y クトル fℓθ (a) を対応させる規則を fℓθ で表すとき (右図を参照)、以下の設問に答えなさい。 ℓθ y (1) fℓθ が線形変換であること、即ち. fℓθ (a + b) = fℓθ (a) + fℓθ (b) fℓθ (ka) = kfℓθ (a). fℓθ (a). (但し k は実数). が成り立つことを、図を描いて 確認しなさい。. (2) ベクトル fℓθ (ex ) 及び fℓθ (ey ) を計算しなさい。. a θ. (3) 線形変換 fℓθ の行列表示 Aℓθ を求めなさい。. x O.

(5)

参照

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