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線 維 抑 制 剤 投 与 に よ る 珪 肺 の 予 防 並 び に 治 療 に 関 す る 研 究

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Academic year: 2022

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(1)616.24. 003.66‑084/5: 615.361. 線 維 抑 制 剤 投 与 に よ る 珪 肺 の 予 防 並 び に 治 療 に 関 す る 研 究 第1編 ACTH,及. び 副 腎 皮 質 ホ ル モ ン に よ る実 験 的 研 究. 岡山大学 医学部平木 内科(主 任:平 木. 潔教 授). 岡 山労災病院(指 導:津 田誠次院 長) 岡 内科副手 木 山大学 平. 栗. 山. 〔昭 和39年4月28日. 内. 容. 純. 一. 受稿〕. 目. 次. 緒 言. 第1項. 4ヵ 月 後屠 殺せ しめ たもの. 第2章. 実験材料並 びに実験 方法. 第2項. 11ヵ月後屠殺せ しめた もの. 第3章. 実 験成績. 第1章. 第1節 第1項 第2項 第2節. 第4章. 総括 並び に考案. 第1節. 対 照群 の所見 4ヵ 月後屠殺せ しめた もの 11ヵ月後屠 殺せ しめた もの. 実験材 料並び に実験 方法 に対す る考案. 第2節 第5章. 実験成績 に対 す る考 案 結. 語. 副腎皮質 ホルモ ン投与群 の所見 Antifibroplasticaの 概 念 が 生 れ,こ れ ら薬 剤 に対 し. 第1章. 緒 言. 珪肺 は遊 離珪酸塵が肺 内に沈 着 し,二 次的 に肺 内 線維 の増殖 をお こ し,こ れ が各種 の障害を もた らす 疾病 であ る.. て この 名称 を 与 え た い. 線 維 増 殖 は 他 面 生 体 の 防禦 機 転 と も考 え られ て い る.し か しな が ら,ケ. ロ イ ドや 珪 肺 の よ うに 不 必 要. に線 維 増 殖 を 来 す 場 合 は,た と え 防 禦 機 転 で あ るに. 遊離珪酸塵 の肺 内沈着が珪肺 の凡ての直接原 因で. せ よ,生 体 に とつ て は,き わ め て 不 利 で あ る.線 維. あるか ら,そ の治療 は必然 的に粉塵 の体外除去 あ る. 抑 制 の功 罪 に 関 す る議 論 の わ か れ め も こ の あ た りか. いは粉塵 の無害化 に向け られ,種 々の療法が試 み ら. ら 出発 す るで あ ろ う.線 維 抑 制 剤 の 広 汎 な使 用 は将. れて きた.し か し先人の努力 にもかかわ らず残念な. 来 の課 題 と して,期 待 され る もの で あ る.. が らその成果 について は悲観 的にな らざるを えない. 遊離珪酸 が物 理的に も化学 的に も極めて安定 した も のであ ることがその一因で あろ う. た しかに粉塵 は珪 肺の一次的原 因に違いないが,. 著 者 は,実 験 的 に珪 肺 症 を 作 成 し,同 時 に その 作 用 の 一 端 と して 線 維 抑 制 作 用 を 有 す る と考 え られ て い る副 腎 皮 質 ホ ル モ ン を投 与 し,そ の 効 果 につ いて, 検 討 を加 え て き た の で報 告 す る.. その病像を支配 す るもの は,二 次 的な肺内の線維増 殖 にほかな らない. 近時線維 の形成 は主 として線維芽細 胞に 由来す る ことが明 らか となつて きた1).教 室の 研究 で,組 織 培養 中に或種薬剤 が線維芽細胞 の増生を抑制す るこ. 第2章 実 験 動 物 は,生. 実 験 材 料 並 び に実 験 方 法 後50〜60日(体. 重1.5〜2kg)の. 健 康 な る雄 性 家 兎10匹 を 使 用 した. 先 ず 肺 線 維 症 作 成 の た め 全 実 験 動 物 に ボー ル ミル. とも既に知 られて い る2)3)4)24).こ れ ら薬剤が生体 内. 粉 砕 機 で 得 た 石 英 粉 末(結. で も線維芽細胞 の 増殖を抑制 し,さ ら に 線維形成. 下 の粒 子80〜90%)の5%生. を抑制す るな らば,こ れ ら は 当然珪肺 の 治療 にも. を,前 頸 部 穿 刺 法5)6)に よ つ て 毎 週 一 回 右 気 管 内 注. 応用で きるはず の もので あ る,こ こ に 線維抑制剤. 入 を行 な つ た.注. 晶 性 珪 酸99.5%,. 5μ 以. 食 水 浮 游 液(1.5cc). 入 時 に は,ペ ニ シ リンG水 溶 液.

(2) 360. 栗. 山. 5000単 位 を加 え て 合 併 症 を 防 ぐよ う心 が け た.こ れ ら実 験 動 物 の う ち, 5匹 に粉 塵 気 管 内注 入 と 同 時 に プ レ ドニ ソ ロ ン を 毎 週5日. 間0.5mg/kg,筋. 肉注. 射 した.. 純. 一 体 重 は1.2kgか. ら4ヵ 月 後2.6kgと. な り,減. 少 す る こと な く徐 々 に増 加 した.脱 毛 とみ られ る も の は粉 塵 注 入 部 位(前 頸 部)を. 除 い て はな く,下 痢,. 食 欲 不 振 もな か つ た.レ 線 所 見 で も珪 肺 性 変 化 は み. 実 験 動 物 の う ち まず2匹. ず つ を 実 験 開 始 後4ヵ. で屠 殺 し,途 中経 過 を観 察 し,残. 月. られ ず,そ. り3匹 ず つ を11ヵ. 月 で屠 殺 して 実 験 を完 了 した.家 兎 を 致 死 後 開胸 し,. の 他 特 別 の所 見 も み られ な か つ た.. 剖検所見. ⅱ. 肉 眼 的 に は 気 管 周 囲の リンパ 腺 に色 素 沈 着 又 は肥. 肉 眼 的 に リンパ 腺,肺 及 び腹 腔 内 臓 器 を 観 察 した の. 厚 は み られ ず,脾,肝. ち,リ ンパ 腺,肺 を 摘 出 して10%. で固. は み られ な か つ た.肋 膜 で も癒 着 等 の 所見 は な かつ. 埋 後3〜6μ の 薄 切. た.肺 は全 体 的 に 淡 黄 赤 色 を呈 して い た が,灰 白色. Formalin液. 定 し,各 種 組 織 片 をParaffin包 片 を 作成 した.特. に肺 は 各 肺 葉 毎 の 連 続 切 片標 本 を. 作 成 し全 体 と して の傾 向 を見 逃 さな い よ うに した. 組 織 検 索 に 使 用 した染 色 法 は,ヘ. マ トキ シ リン ・エ. に も肥 大,出 血 巣,硬 結 巣 等. の粉 塵 滞 溜 と考 え られ る小 結 節 病 巣 が 右 肺 門 部 に限 局 性 に密 集 して い た(写 真1). 組 織 学 的 に まず リンパ 腺 で はMarksinusに. 限局. オ ジ ン,エ ラ ス チ カ ・ワ ンギ ー ソ ン染 色 で あ る.こ. 性 に平 均6〜7コ. れ らを一 括 表示 す る と,表1.2.と. 色 の粉 塵 を 貪 喰 して い る の が認 め られ た(写 真2).. 表. な る.. 肺 で は肺 胞 壁 に円 形 細 胞 の浸 潤, Septumzellenの 増. 1.. 殖 が み られ,こ れ ら に よつ て 同部 の肥 厚 が 生 し,又 一 部 に は 肺 胞 腔 に 脱 落 した肺 胞 上 皮細 胞 に よ つ て粉. Ⅰ. 肺 線 維 症 の 作 成 珪酸 塵 気 管 内 注 入法. 塵 が 貪 喰 され て い る病 変 が み られ た(写 真3).し. 材 料 ― 雄 性 家 兎(1.5〜2.0kg) 方法 ―5%珪. 酸 塵 浮 游 液(生. し,ヘ マ トキ シ リン ・エ オ ジ ン染 色,エ. 塩 水)1.5cc. +5000単. 位 ペ ニ シ リ ン液0.5cc右. 注 入(前. 頸 部 穿 刺 法)週. ←1回. 気管 内. b. 0.5mg/kg. C4 (対 照 群No.. 4)に. ついて. 一般状態. ⅰ. 体 重 は1.5kgか. 筋 肉注 射. か. ラス チ カ ・. ワ ンギ ー ソ ン染 色 で も線 維 増殖 は み られ な か つ た.. Ⅱ. 線 維 抑 制 剤 投 与 プ レ ドニ ソ ロン. 程 度 の 細 網 細 胞 が 増殖 し,透 明褐. ら4ヵ 月 後3.0kgと. な り,実. 験 群 中最 もよ い 成 長 を 示 した.し た が つ て食 欲 不振. 5日 間/週. はな く,下 痢,脱 毛 等 の症 状 もみ られ ず,レ 線 所見. 表. 2.. で も特 記 す べ き もの はな か つ た. 剖検所見. ⅱ. 肉 眼 的 に は リンパ 腺,脾,肝. と もにC2と. 同 様特. 記 す べ き もの はな か つ た. 肺 に は 前 記 の 小 結 節 病 巣 が 肺 門 部 以 外 に,右 肺 中 葉 に も散 在 性 にみ られ,又 右 肺 上 葉 に小 指 頭 大 の 出 血 斑 が み られ た.硬 結,線. 維増殖 は み られな か つ. た. 組 織 学 的 に リンパ 腺 に はC2と 殖 して い た が,そ られ た.肺. 同様 細 網 細 胞 が 増. の 数 は や や 多 く,平 均7〜8コ. み. に は全 体 的 に 軽 度 の肺 胞 壁 の肥 厚 が み ら. れ, C2と 同 様 な細 胞 浸 潤 が み られ,又. 数 視 野 に1. 〜2コ 程 度 肺 胞 内 に 褐 色 透 明 な粉 塵 を 増殖 細 胞 が と りま き, 1つ の異 物 巨 細 胞 を形 成 して 突 出 して い る 第3章 第1節. 対 照群の所見. 第1項 a C2 (対照 群No. 一般状 態. 実験 成 績. の が み られ た. 第2項. 4ヵ 月 後 屠 殺 せ し めた もの 2)に. つ いて ⅰ. c. 11ヵ 月 後 屠 殺 せ しめ た も の. C1 (対 照 群No.. 1)に つ い て. 一般状態 体 重 は4ヵ 月 後2.0kgで,対. ⅰ 照 群 中最 も悪 い成.

(3) 線維 抑制剤投与 によ る珪 肺の予防並 びに治療 に関す る研究 長 状 態 で あ り,し た が つ て 食 欲 もや や 障 害 され て い た よ うで あ る.し か し,11ヵ 月 後 は 普 通 の 発 育 を示 し3.7kgと. なつ た.脱 毛 と思 わ れ る 症 状 は な か つ. して,右 肺 門 に 密 集 して い た. 組 織 学 的 に まず リンパ 腺 で は髄 質 内 に 細 胞 増 殖 巣 が み られ た が,こ れ はC1の. 所見 とほぼ同程度 の も. の で あ つ た.次 に 肺 で もC1と. た.. 361. ほ ぼ 同程 度 の 所 見 で,. 肺 胞 壁 に多 数 の食 細 胞 が 増 殖 して,同 部 の 肥 厚 が 広. ⅱ 剖 検 所見 肉眼 的 に は4ヵ 月 後 の も の と大 差 な く,脾,肝 に も著変 な く,リ ンパ 腺 に も肥 大,色. 等. 素沈着等 はみ. 汎 域 に み られ た.又 前 記 の 異 物 巨細 胞 は 毎 視 野15コ 程 度 肺 胞 内 に突 出 して い た.又. ワ ン ギ ー ソ ン染 色 で. 線 維 増 殖 を 認 め た.. られ な かつ た. 肺 は全 体 に淡 黄 赤色 を 呈 して い た が,右 肺 門,右. e. 右 中葉 に赤 黒 色 の小 指 頭 大 の 出血 斑 を み と め た. 組 織 学 的 に は ま ず リンパ 腺 で は,肺 内 リンパ 装 置, 前縦 隔洞 リンパ 腺 の 髄 質 内に 平 均10コ 程 度 の細 胞 増 殖 巣 が み られ,こ れ らの 増 殖 細 胞 の 中 に は1μ 前 後 の 褐色 透 明 な粉 塵 が か な り多 数 み られ,4ヵ. 月後の. もの に く らべ て これ ら病 変 はや や 高 度 化 して い た が,. 5)に. ついて ⅰ. 体 重 は4ヵ 月 後 に は2.5kg,. 11ヵ 月 後 に は4.0kg. とな り,よ い 成 長 を 示 した.食 欲 不 振,下 痢,脱. 毛. の症 状 はな く,レ 線 で も著 変 は み ら れ な か つ た . (こ の 動 物 は,粉 塵 注 入 を4ヵ 月 間行 な い そ の 後7 ヵ 月 間 放 置 した も の で, 11ヵ 月 間 注 入 を持 続 した も の との 比 較 検 討). 線維 増 殖 は み られ な か つ た(写 真4).. 剖 検 所見ⅱ. 次 に,肺 に は か な りの 珪 肺 性 変 化 が み られ た.即 ち肺 の広 汎 な領 域 に肺 胞 壁 に 単 核 の食 細 胞 が 多 数 増 殖 して これ を充 填 して い た.又. C5 (対 照 群No. 一般状 態. 上 葉 に灰 白色 の 粉塵 滞 溜 と考 え られ る小 結 節病 巣 と,. そ の病 巣 の一 部 に は,. 肉 眼 的 に リンパ 腺 に は肥 大,色 素 沈 着 は み られ ず, 脾,肝 に も 出血 斑,肥 大,硬 か つ た.肺. 結 等 の所 見 は み られ な. は肋 膜 癒 着 な く,容 易 に摘 出 で きた.又. 肺 胞 壁 が 増 殖 細 胞 出現 の 結 果,肥 厚 して お り,肺 胞. 全 体 に 淡 黄 赤 色 を 呈 して い た が,灰. 腔 内 に も前 記 の増 殖 細 胞 巣 が 突 出 して い るの が み ら. 塵 滞 溜 とみ られ る斑 点 が,右 肺 上 葉 に散 在 して い た.. 白色 針 頭 大 の 粉. れ た.こ の よ うな病 巣 の 部 分 で は,肺 胞 壁 細 胞 が や. 組 織 学 的 に リンパ 腺 は 他 の 対 照 群 の所 見 と大 差 な く,. や 立 方 化 し肺 胞 壁 と肺 胞 腔 内 の増 殖 細 胞 に つ な が つ. 気 管 周 囲 リンパ 腺,肺. て い る所 も み られ,こ れ ら増 殖 細 胞 の 部分 に は 透 明. 約10コ 程 度 の 細 胞 増 殖 巣 が 多 数 の 粉 塵 を貪 喰 して存. 円形 の1μ 程 度 の 粉塵 が 多 数 に み ら れ,と. 在 して い た.肺. きには. 10μ を超 え る不 整 形 の粉 塵 塊 も見 られ,偽 好 酸球 も. 内 リンパ 装 置 と もに髄 質 内 に. も他 の対 照 群 と ほ ぼ同 程 度 の所 見 で,. 広 汎 な 領 域 に食 細 胞 が 多 数 増 殖 して 肺 胞 壁 に肥 厚 を. 少 数 なが ら み られ た.そ の他 の 部 分 に も大 小 種 々の. もた ら し,又 肺 胞 腔 内 に増 殖 細 胞 巣 が 突 出 して い る. 同様 な肺 胞 内変 化 を示 して い るの が み られ た が,極. の が み られ た.こ れ ら病 巣 に は1μ 程 度 の 多 数 の 粉. 端 に 小 さい もの で は肺 胞 腔 内 に1コ の 異 物 巨細 胞 の. 塵 が 食 細 胞 に貪 喰 され て い るの が み と め られ た.前. み られ る も の も あ り,大 きな 異 物 に 対 して 巨 細 胞 が. 記 の異 物 巨 細 胞 は毎 視 野8〜9コ. ただ1コ 見 られ るよ うな所 もあ つ た.こ れ ら病 変 の. か し,ワ ンギ ー ソン染 色 で 線 維 増 殖 は ほ とん どみ ら. 強 い と こ ろで は ワ ンギ ー ソ ン染 色 で わ ず か に 線 維 増. れ な か つ た. 第2節. 殖 が み られ た(写 真5,6). d. C3 (対 照 群No.. 3)に. 一般状態. ついて. 体 重 は4ヵ 月 後2.4kgと. a. な り, 11ヵ 月 後 は3.8kg. と順 調 に 増 加 した.脱 毛,下 痢,食. 欲 不 振 は示 さ な. か つ た. レ線 所見 は4ヵ 月 後, 11ヵ 月 後 と も珪 肺 性 変 化 と. ⅱ. 肉眼 的 に 気 管 周 囲 の リンパ 腺 を 発 見 で き な か つ た. そ の 他,肝,脾,肋. 4ヵ 月 後 屠 殺 した もの. P3 (プ レ ドニ ソ ロ ン投 与 群No.. 3)に つ い て. 一般状 態. ⅰ. 体 重 は4ヵ 月 後2.8kgに. 増加 し た.食. 欲 不 振,. 下 痢 等 の症 状 もな く,脱 毛 も両 外 側 大 腿 部 の 注 射 部. 考 え られ る所見 は み られ な か つ た. 剖検所見. 副 腎 皮 質 ホ ルモ ン投 与 舞 の 所 見. 第1項. ⅰ. 存 在 して い た.し. 膜 に 著 変 はな く,肺 に は 前記 と. 同 様 な 粉塵 滞 溜 とみ られ る病 巣 が 表 面 よ りや や 隆 起. 位 以外 に は み られ な か つ た.レ 線 所 見 で も特 記 す べ きも の は み と め られ な か つ た. 剖 検 所見. ⅱ. 肉 眼 的 に まず,気 か つ た.脾,肝. 管 周 囲 の リンパ 腺 は 発見 で きな. に肥 大,出 血,硬 結 巣 は な く,肋 膜. に も癒 着 は み られ な か つ た.肺 は 全 体 に 淡 黄 赤 色 を.

(4) 362. 栗. 山. 純. 一. 呈 し,対 照 群 と同 様 な粉 塵 滞 溜 と考 え られ る病 変 が,. た が, 11ヵ 月 後 に は3.8kgと. 右 肺 門 に 隆 起 して み られ た.組 織 学 的 に は,肺 内 リ. 復 した.そ. ンパ 装 置 に,対 照 群 と 同 様,多 数 の褐 色 透 明 な 粉 塵 を 貪 喰 した 細 網 細 胞 が,6〜7コ. 存 在 して い た.肺. な り,普 通 の 成 長 に. の他 特 に著 変 は み られ な か つ た.. 剖 検 所見. ⅱ. 肉 眼 的 に は リンパ 腺,脾,肝,肋. 膜 等 に他 群 に 比. に は対 照 群 に み られ た よ うな 変 化 即 ち,肺 胞 壁 に お. べ て 著 変 が なか つ た .肺 は 前 記 と同 様 な粉 塵 滞 溜 と. け る円形 細 胞 の 浸 潤, Septumzellenの. 考 え られ る病 変 が右 肺 全 体 に 散 在 性 に み られ た.組. が ほ と ん どみ られ ず,し. 増殖 等の所見. た が つ て,肺 胞 壁 の肥 厚 も. ほ と ん ど み られ な かつ た.ワ. ンギ ー ソ ン染 色 で も線. P4 (プ レ ドニ ソ ロ ン投 与 群No.. 4)に. ついて. 一般状態. ⅰ. 体 重 は2.4kgと. 程 度 に み られ た 他 著 変 は な か つ た.肺 ドニ ソ ロ ン群 と同 様,殆. 維 増 殖 は み られ な か つ た(写 真7). b. 織 学 的 に は リンパ 腺 に 前 記 と同 様 な 細 胞 増 殖 巣 が 同. な つ た が,成 長 は他 の も の に く. らべ あ ま りよ くな か つ た.食 欲 不 振,下 痢,脱 毛 等 の症 状 は な く,レ 線 所 見 で も異 常 は み ら れ な か つ. には 他 の プ レ. ん ど粉塵 もみ られ ず,か つ. 細 胞 反 応 もみ られ なか つ た. e. P5 (プ レ ドニ ソ ロ ン投 与 群No.. 5)に つ い て. 一般状態. ⅰ. 体 重 は4ヵ 月 後2.4kgに,. 11ヵ 月 後3.2kgと. 剖検所見. た. ⅱ. ⅱ. 肉 眼 的 に は 粉塵 滞 溜 と考 え られ る病 変 が 右 肺上 葉. 剖 検 所見 肉 眼 的 に リンパ 腺,脾,肝,肋. れ な かつ た.肺 はP3と. 膜 等に著変 はみ ら. ほ ぼ 同 じ所 見 で あ つ た が,. に み られ た 他,著 変 は な か つ た.組 織 学 的 に リンパ 腺 は,他 の プ レ ドニ ソ ロ ン群 と 同様 の 所見 で,特 記. 右 下 葉 に針 頭 大 の 出 血 斑 が み られ た.組 織 学 的 に リ ンパ 腺 に は,や は りP3と 毎 視 野6〜8コ. 表3.. 体 重 の推 移(平. 均 値). 同 様,細 網 細 胞 増殖 巣 が. み られ た.肺. に はPaと. 同様細胞反. 応 が ほ と ん ど み られ ず,肺 胞 壁 肥 厚 等 は み られ な か つ た. 第2項 c. 11ヵ 月 後 屠 殺 した も の. P1 (プ レ ドニ ソ ロ ン投 与 群No.. 1)に つ い て. 一 般状態. ⅰ. 体 重 は4ヵ 月 後3.0kg,. 11ヵ 月 後4.0kgと. 増加. し,非 常 に よ い発 育 を 示 した.脱 毛 は注 射 部 位 以 外 に み られ ず,レ 線 写 真 で も, 4ヵ 月 後, 11ヵ 月 後 と プ レ ドニ ソ ロ ン 投 与 群 と 対 照 群 の 比 較 ……△ Predonisolone. も異 常 は み られ な か つ た. 剖検所見. ―. ⅱ. 肉 眼 的 に 気 管 周 囲 の リンパ 腺 に は,肥 大,色 素 沈 着 は み られ ず,脾,肝,肋. □. 表4.. Control. 右気 管 内粉 塵 注 入 実験. 膜 に も4ヵ 月 後 屠 殺 した. も の と同 様著 変 は な か つ た.肺 に は 右 上 葉 に灰 白 色 粟 粒 大 の 粉 塵 滞 溜 と考 え られ る小 結 節 病 巣 が み られ た.組 織 学 的 に リンパ 腺 に は, 様,髄 質 内 に平 均6〜7コ. 4ヵ 月 後 の もの と同. 程 度の細胞増殖 巣が多数. の 粉 塵 を貪 喰 して 存 在 して い た.線 維 増 殖 は み られ な か つ た.肺 に は ほ とん ど粉 塵 も見 られ ず,細. 胞反. 応 もみ られ な か つ た.即 ち,対 照 群 に み られ た 細 胞 増殖,粉. 塵 の撒 布,こ れ らによ る肺 胞 壁 の肥 厚,線. 維 増 殖 等 は み られ な か つ た(写 真8). d. 順. 調 に増 加 した.そ の 他 に は特 記 す る こ とは な い.. P2 (プ レ ドニ ソ ロ ン投 与 群No. 一般状 態. 体 重 は4ヵ 月 後2.2kgで,あ. 2)に つ い て ⅰ. ま り増 加 し な か つ. プ レ ドニ ソ ロ ン,対 照群の比較 C→ 対 照 群 P→ ブ レ ドニ ソ ロ ン 群.

(5) 363. 線維抑制剤投与 によ る珪肺 の予防並 びに治療 に関す る研究 す べ きこ とは な い が,肺 で は 一 部 気 管 支 周 囲 の 肺 胞. を 不 良 とす る作用 を 有 す る こ と も明 らか とな つて い. 壁 に肥 厚 が み られ,又. る.こ れ ら線 維組 織 増 殖 の抑 制 作 用 を 利 用 して 珪 肺. そ の よ うな部 分 で は 脱 落 した. 肺 胞上 皮 細胞 に よつ て 粉 塵 が 貪 喰 され て い る病 変. 症 のFibrosisに. 皮 質 ホ ル モ ン が 何 か 好 影 響 を与 え. が み られ た.し か し対 照 群 に くらべ これ ら病 変 は は. は しな い か と注 目 され て き た. 1951年Kennedy7). るか に そ の程 度 が 軽 微 で あつ た.. に よつ て,珪 肺 患者 にACTH,. 以 上 の 各 群 の 成 績 を 整 理 し,一 括 表 示 す る と表3, 4, 5と な る.. Cortisoneが 使 用 さ. れ て 以 来,動 物 実 験 に おい て も肺 線 維 症 に 対 して 副 腎皮 質 ホ ル モ ン投 与 を試 み る研 究 が な され て きた.. 第4章. 総括並 びに考案. 第1節. 実験材料並 びに実験方法 に対 す る考 案. 脳下垂体副腎皮質 ホルモ ンには,各 種 の作用 が知. 実 験 に あ た つ て,ま ず 肺 線維 症 作 成 の た め の動 物. られてい るが(表6),膠 原病に対 して 治効 を奏 す ること,創 傷局所 の治癒 を遅延せ しめ る作用を有す. の選 定 が 問 題 とな る.従 来,家 兎,モ. ること,そ して 線維芽 細胞の増殖 を抑制 し肉芽 形成. ッテ,マ. 表. 5.. ウ ス,犬,ネ. ル モ ッ ト,ラ. コ,サ ル 等 が 使 用 され て きた.

(6) 栗. 364. 山. 純. 一. カ月 間 注 入 して7ヵ 月 間放 置 した もの とを 比 較 検討. 表6.. して み た.そ の 結 果 両 者 と も珪 肺 性 変 化 に おい て は 大 差 は な か つ た.家 兎 を使 用 す る場 合 に は,実 験 期 間 は 長 期 間,少. な くと も1年 間 が 必 要 で,一 定 期 間. 粉 塵 を 注 入 して お け ば あ とは放 置 して も充 分 で あ る と考 え て い る. 次 に 粉 塵 投 与 法 と して,気 管 内 注 入 法 ・吸 入法 ・ 腹 腔 内注 入 法 ・皮 下 注 入 法 ・胸 腔 内 注入 法 ・静脈 注 入 法 ・角膜 接 種 法 ・リンパ 管 注 入 法 等 多 くの方 法 が 試 み られ て きた が,現 在 は腹 腔 内注 入 法,気 管 内注 入 法 が最 もよ く使 用 され て い る.著 者 は,粉 塵 投 与 方 法 と して,多 量 の 粉 塵 を 確 実 に肺 内 に到 達 させ, 且 つ 比 較 的 操 作 が 簡 単 で,又 比 較 的 短 期 間 に珪 症 性 変 化 を お こ し う る と され て い る気 管 内注 入 法 を採 用 した. 第2節. 実 験 成 績 に対 す る考 案. 現 在 ま で に,珪 肺 症 に脳 下 垂 体 副 腎皮 質 系 ホ ル モ ンを 投 与 した実 験 的 研 究 の多 くの報 告 が あ る. 1952年Magarey8)は,家. 兎 の腹 腔内 に石英粉塵. を 注 入 し, Cortisone投 与 に よ り 珪 肺 性 結 節 には 線 維 芽 細 胞 の 増 殖 及 び 線 維 形 成 が み と め ら れ ず, Cortisoneが 線 維 性 増 殖 に対 し て 抑 制 的 作用 を有 す る と のべ て い る. Schiller (1953)9)も,マ. ウスの 腹. 腔 内 に2μ 以 下 の石 英 粒 子 食 塩 水 浮 游 液 を注 入 し, 副 腎 皮 質 ホ ル モ ン投 与 に よ り結 節 形 成 抑制 作用 を 観 察 して い る. 更 に, Pierre, Simone‑Ducommum,. Policard (1951). Harrison, Dale, Sichel,Tuchmann‑Duplessis,. Curran. (1952)16)等 の 多 くの 研 究 も あ る. よ うで あ るが,最 近 は家 兎,ラ. ッテ 及 び マ ウス が 最. 本 邦 で は,大 井12)はCompound. F (17‑Hydrogy‑. も よ く使 わ れ て い る.粉 塵 に対 す る組 織 反 応 は ラ ッ. corticoeterone) 0.1ccを 石 英 粉 末(25mg)に. 加 えて. テ及 び家 兎 が 同 程 度 に よ い と い わ れ て い るが16),又. 動 物 の 腹 部 へ 皮 下 注 射 し,対 照 群 に お い て は 粉塵 を. 一 方 ラ ッテ は 線 維 増 殖 を お こ しや す い が,家 兎 は 線. 取 囲 ん で 多 形 核 白 血 球 の 浸 潤 が あ り,数 日後 には 白. 維 増 殖 を お こ しに くい と も述 べ られ て い る.著 者 は. 血 球 浸 潤 に お き か わ つ て 単 核 細 胞 の 増 殖 が始 つて い. 諸 種 薬 剤 投 与 の 便 宜 の た め に 家 兎 を 使 用 した が,粉. た が, Compound. 塵 注 入 開 始4ヵ 月 後 屠 殺 し た もの で は,細 胞 反 応 等. 潤 は お こ らず,数. 珪 症 性 変 化 の一 端 は よ く うか が い え た が 線 維 増殖 は. 粉 末 を 取 り囲 ん で判 然 と境 界 を劃 し,そ の 内 部へ の. 認 め え な か つ た.11ヵ. 白 血 球 又 は単 核 細 胞 等 の 細 胞 浸 潤 又 は 増 殖 は 全然 み. 月 後 屠 殺 した もの で は,細 胞. Fを. 使 用 した もの で は,白 血 球 浸. 日後 に は細 長 い単 核 細 胞 の 数層 が. 増 殖 及 び そ れ らに よ る粉 塵 食 喰 像 等 の 細 胞 反 応 は,. られ な か つ た と 報 じて い る.坂 部13)も,. 更 に 高 度 化 し,線 維 増 殖 が お こ りつ つ あ る段 階 ま で. hormonをSilicaと. に い た つ て い た.. て,皮 質 ホ ル モ ンの 阻 止 効 果 を観 察 し,そ の 際 阻止. 次 に 粉塵 注 入 期 間 に つ いて で あ るが,長 期 間 注 入. Steroid‑. 共 に ラ ッテ の 腹 部 へ 皮 下 注射 し. 作 用 は局 所 的 で あ る と報 告 して い る.最 近,宝 来21). を 反 復 す る必 要 が あ るの か,或 い は 一 定 期 間注 入 し. は 経 気 管 肺 内 注 入 法 で ラ ッテ に 肺 線 維 症 を 作 成 し,. そ の後 放 置 して お け ば 珪 肺 性 変 化 が 形 成 さ れ て い く. 最 初 の実 験 で は,副 腎 皮 質 ホ ル モ ン投 与 は肺 内の線. の か を 知 るた め に,11ヵ. 維 増 生 阻止 に は 効 果 が な か つ た が,リ. 月 間 持 続 注 入 し た もの と4. ンパ 節 にお い.

(7) 線維抑 制剤投与 によ る珪肺 の予防並 びに治療 に関す る研究 て は 喰 細 胞 の浸 潤 が少 な く,そ の結 果 粉 塵 移 行 が少. King等18)は,ラ. 365. ッ トの 気 管 内 注 入 実 験 で,. な くな り,間 接 に線 維 増 生 を 阻 止 した 結 果 が得 られ. Cortisone投 与 が 進 行 中 の珪 肺 性 変 化 に対 し て は 効. た と報 じた.次. 果 が あ つ た が,完 成 さ れ た 珪 肺 性 変 化 に は 効 果 が. に行 な つ た 実 験 で は,ま ず 石 英 粉 塵. を 大 量 注 入 した動 物 にDexamethasoneを. 投 与 し,. な い と い う 結 論 を 得 て い る.そ. その 結 果 線 維 抑 制 作用 は リンパ 節 に お い て は認 め ら. CortisoneがSiO2の. れ た が,肺. を 防 ぎ,更. 内で は 明 らか で な か つ た.石 英 粉 塵 を 少. 量 注 入 し た 動 物 で は, Degamethasone,. Paramet‑. に 肺 組 織 のCollagen量. Marenghi19). リンパ 節 で も明 ら か に 認 め られ た と報 告 して い る.. て, Cortieoneは. 山 田20)は,気. しな い が,線. 兎,マ. ウ ス及 び ラ ッテ に 肺 線 維 症 を 作成 し,粉 塵 処. 置 と同 時 にPredonisoloneを. 投 与 して 予 防 的 効 果 を. 報 告 して い る.. を少 な くす る. 作 用 が あ る た め と 説 明 し て い る.こ. hasone投 与 に よ り 線 維 増 生 抑 制 作 用 は 肺 内 お よび. 管 内注 入 法 と吸 入 法 を 使 用 し て,家. の 作 用 機 序 を,. 肺 か ら肺 門 リンパ 腺 へ の 移 動. (1954)等. れ に反 して. は 石英 粉塵注入実験 に おい. 初期 の 細 胞 性 反 応 に は 殆 ん ど影 響. 維 化 過 程 の 後 期 に お い て,網 状 線 維 の. 膠 原 化 を遅 延 また は防 止 す る と い つ て い る.小 佐 々14)は 家 兎 に 副 腎 皮 質 ホ ル モ ン を 投 与 して,珪 肺 性 変 化 の発 生 過 程 で その 進 展 を 抑 制 す る作 用 を 認 め. 気 管 内 注 入 法 に よつ て 家兎 に 珪 肺 症 を 作 成 し,同. て い る.又 前 述 の 山 田20),宝 来21)等 も 副 腎皮 質 ホ. 時 に プ レ ドニ ソ ロ ンを投 与 した著 者 の 実験 成 績 を 考. ル モ ン と粉 塵 を 同 時 に投 与 した い わ ば 予 防実 験 で そ. 案 して み る.. の 効 果 を報 告 して い る.こ の よ うに 副 腎皮 質 ホ ル モ. 4ヵ 月,11ヵ. 月 後 屠 殺 せ しめ た もの と もに レ線. 所見,一 般 状 態 等 に つ い て は,対 照 群 に 較 べ て さ し た る相 異 は な か つ た.更 ンパ 腺,肺,そ. に 肉 眼 的所 見 に お い て も リ. の 他 脾,肝 等 の 腹 部 内臓 器 に お い て. も,対 照 群 と 同 様 珪 肺 性 変 化 は み られ ず,特 見 は な かつ た.組. 織 学 的 に は,ま. 別の所. ず リンパ 腺 で は. 対 照 群 と ほ ぼ 同様 な 珪 肺 性 変 化 が み ら れ た.即 Marksinusに. ち. ンの 珪 肺 変 化 に対 す る作 用 時期 に 関 す る諸 家 の見 解 は 必 ず しも一 致 して い な い. 著 者 の実 験 で は 前 述 の よ うに,粉 塵 注 入 と同 時 に プ レ ドニ ソ ロ ンを投 与 した の で,プ. レ ドニ ソ ロ ン は. 珪 肺 性 変 化 の 初期 に 作 用 した もの と考 え た い.完 成 され た 珪 肺 症 に対 す る皮 質 ホ ル モ ンの 効 果 に つ い て は更 に 検 討 が 必 要 で あ る.. 限 局 性 に 細 網 細 胞 が 増 殖 し,黄 褐 色 の. 珪 肺 症 に 対 す る 治 療 は 多 くの 問 題 を 今 後 に の こ し. 粉 塵 を 貪 喰 して い る病 変 が み られ,こ れ らふ ら線 維. て い るが,こ れ ら脳 下 垂 体 副 腎 皮 質 系 ホル モン を 珪. 化 が お こつ て く る もの の よ うに考 え られ た.こ の よ. 肺 症 の 線 維 化 の予 防,な い しは 進 行 阻 止 の 意 味 で 使. うに,リ. 用 す れ ば 重 要 な意 味 を持 つ も の の よ う に考 え る.. ンパ 腺 所 見 か らは プ レ ドニ ソ ロ ン に よ る粉. 塵 移 動 の 阻 止 作 用 は うか が え な い.. 第5章. 結. 語. 肺 に は,治 療 群 と対 照 群 と の間 に 明 らか に差 が み られ た.即. ち4ヵ 月 後 屠 殺 した もの で は,対 照 群 に. 1.. 家 兎 に 気 管 内注 入 法 に よ つ て 石 英 粉 塵 を注 入. お い て み られ た 肺 胞 壁 の 円 形 細 胞 の 浸 潤, Septum. し,肺 線 維 症 を 作 成 し,同 時 に プ レ ドニ ソ ロ ンを 筋. zellenの 増 殖,そ. 注 して,そ の 予 防 的 効果 を 追 求 した.. して これ ら細 胞 増 殖 に よ る肺 胞 壁. の肥 厚 等 の 細 胞 反 応 が ほ と ん どみ られ な か つ た. 11 ヵ月 後 屠殺 した も の で も,対 照 群 に み られ た よ うな 珪肺 性 変 化 即 ち,肺 胞 腔 を充 填 して み られ た 食 細 胞 の増 殖,異 物 巨 細 胞 の存 在,増 の肥 厚,そ. 殖 細 胞 に よ る肺 胞 壁. して これ ら細 胞 反 応 の み られ る場 所 で の. 粉 塵 の撒 布 等 の病 変 が 全 くみ られ な か つ た.こ れ ら 肺 所 見 か ら は,プ. レ ドニ ソ ロ ン投 与 に よつ て,粉 塵. の喀 出が 容 易 に され た か,細. 胞 反 応 が 起 らな か つ た. 2.. リンパ 腺 と肺 の珪 肺 性 変 化 の 度 を 組 織 学 的 に. 対 照 群 とプ レ ドニ ソ ロ ン投 与 群 と 比 較 して み る と, リンパ 腺 に は 両 群 に 著 明 な 差 が 見 られ ず,肺 照 群 で は肺 胞 壁 の 食 細 胞 の 増 殖,肺 塵 の撤 布,異. に は対. 胞 肺 の 肥 厚,粉. 物 巨細 胞 の 存 在 等 か な りの 珪 肺 性 病 変. が み られ た が,プ. レ ドニ ソ ロ ン投 与 群 で は これ ら病. 変 は ほ と ん ど み られ な か つ た. 3.. 副 腎皮 質 ホ ル モ ンは 珪 肺 症 の 初 期 病 変 に抑 制. か,粉 塵 が リンパ 腺 に 速 か に移 行 した か の3つ の 機. 的 に作 用 し,珪 肺 症 の 予 防 的 効 果 が あ る も の と推 測. 序 が 推 定 され るが,と. す る.. に か く珪 肺 症 発 生 に対 して 予. 防 的 効 果 が あつ た と考 え て よか ろ う. 次 に,副 腎 皮 質 ホ ル モ ンが,珪. 肺性変化 のいかな. る時期 に 作 用 す る か を 考 え て み た い.. 擱 筆 す る に あた り終 始 御 懇 篤 な る御 指 導 と御 校 閲 を 賜 つ た 恩 師 平 木 教 授 に 深 謝 し ま す.ま た 本 研 究 の た め に 御 援 助 を賜 つ た 岡 山 労 災病 院 長 津 田 誠 次 博 士.

(8) 366. 栗. 山. 及 び 内 科 部 長 柴 田完 博 士 に厚 く御 礼 申 し上 げ ます. 本 論 文 の要 旨 は,昭 和37年,. 38年,. 純. 業 医 学 会 で 発 表 し た.. 39年 の 日本 産. 文 1) 梶 川 欽 一郎:網. 献. 内 糸 と線 維形 成,最 新 医学, 17. 1047, 1962. 2) 平 木. akuten Silikose mit Kortikosteroiden.,. :. 潔 他:キ. ノ リン 誘 導 体 に よ る気 管 支 喘 息. Wschr.,. 16) G. Worth and Schiller: makologie,. 1962.. koniosen., 潔 他:線. 維 芽 細 胞 抑 制 剤 に よ る悪 性 腫 瘍. の 治 療 に 関 す る研 究(第1報),綜 : 1087,. 1962.(実. 合 臨 床,. 効 果 を 中心 に) 4) 平 木. 維芽 細 胞 抑 制 剤 に よ る悪 性 腫 瘍. の 治 療 に 関 す る研 究(ク 床)第1報,岡. 5) 松 永 豊 太:珪 肺 症 に 関 す る実 験 病 理 学 的研 究,. 19) Marenghi, et al:. et al:. hormone. Effect. (ACTH). of adrenocoron Beryllium,. and silicosis.,. Am.. J.. Med.,. 10: 134, 1951. 8) Magarey et al:. 9) Schiller et al:. J. Inpust.,. injection. of quartz.,. 14). 23). 働 科 学,. 28:. 赤 坂 喜 三 郎 他:珪 49:. 肺 症 に 対 す るACTH療 536,. 大 井 徹 夫 他:実. 233,. 坂 部 弘 之 他:実. 小 佐 々 喬 志:珪. 29:. 633,. 働 科 学,. G. J.. 35:. 10,. Dinischiotu. 長 期 投 与 療 法 に つ い て,. ア レ ル ギ ー,. 11:. 小 山 内 博:塵. 肺 症 の 動 物 実 験 に 関 す る 基 礎 研 究,. 369,. 80,. 1962.. 1957.. 633,. lung to siliceous Dusts., 5: 276, 1962.. 1953 28). 29) Behandlung. der. 山 口 与 市:副 13:. 崎医. 1960. Die. Ein Beitrag zur. 27) G. W. H. Schepers, et al: Reactionof Monkey. 肺 症 発 生 に 及 ぼ す 副腎 皮 質 ホ ル. et al:. 管 支 喘 息 に 対 す る キ ノ リン誘 導. ロ ロ キ ン 剤)の. Med. Wschr., 88: 1895, 1963.. 1953.. 29:. 核 の 研 究,. Therapie der experimentellen Silikose., Dtsch.. 験 的 珪 肺 症 に 及 ぼ すSteroid. 影 響,労. 作 用 に つ い て,結. 1959.. 26) H-W, Schlipkoter, et al:. 1954.. 働 科 学,. 103: 1505, 1961.. 核 性 肋 膜 炎 の 発 生 とそ の 癒 着 に. 木 村 郁 郎 他:気. 33:. 法,. 験 的 珪 肺 症 に 及 ぼ すCompound. 影 響,労. 20,. 体(ク. 肺症 に 対す る コーチ ゾ ン及 び. モ ン の 影 響 に 関 す る 実 験 病 理 学 的 研 究,長. 15). 11: 24). 効 果 に つ い て,労. 新 沼 奎 彦 他:結 対 す るPredonineの. 25). 会 誌,. Hyg.. rinden-hormon bei Silicotuberculose, Die Behan. Brit.. 10: 1, 1953.. 大 西 清 治 他:珪. hormonの. Indust.. Zur Anwendung von Nebennieren-. Munch. Med. Wschr.,. 1952.. 13). Arch.. dlung der akuten Silicose mit Kortiko-steroiden.,. Brit.. The influence of hormones on. by intraperitoneal. Fの. Effect of cortisone on experi. 実 験,日 本 内 科 学 会 誌, 51: 10, 1963.. 22) D. OCHS:. the development of silicotic nodules produced. 12). 165,. 症 の 治 療,日 本 内 科 会誌, 50: 1039, 1962.. Path., 33: 76, 1952.. 東 北 医 誌,. 9:. 21) 宝 来 善 次:肺 線 維 症 の線 維 増 生 阻 止 に か んす る. The effect of cortisone on the. reaction to quartz in peritoneal cavity.,. 11). Indust.,. 20) 山 田豊 次 他:実 験 的 肺線 維 症 の 予防 と 合 併 感 染. Granulomatosis. DOCAの. of silicosis., pro. Occupat. Med., 9: 315, 1954.. 頸 部 穿 刺 法,肺 臓 外 科:平 凡 社,. 7) B. J. Kennedy,. J. Exper.. Brit. J.. mental silicosis in rats.,. 東 京, 1947.. ticotropic. Therapy. pneumoconiosis conference.,. 1952.. 長 崎 医 会 誌, 29: 241, 1954. 6) 佐 藤 清 一郎:前. Die Pneumo. E. J.: The effect of cortisone of experi. mental silicosis,. ロ ロキ ン剤 の 基 礎 と臨. 山医 会 誌, 75: 616, 1963.. Phar. 491: 7, 1959. 18) King,. 潔 他:線. Hormen-Behandlung,. deedings of the. 験癌 に お ける クロロキンの. Experimental. 154: 426, 1953.. 17) A. J. Orenstein:. 11. Munch.. 103: 1505, 1961.. 並 び に 珪 肺 の 治 療,日 本 医事 新 報, 1998: 26,. 3) 平木. 10). 一. 1841,. 井林 療 法,診. 腎 ス テ ロ イ ドの 使 い 方,綜. 合 臨 牀,. 1964.. 博:内. 科 領 域 に お け る 副 腎 皮 質 ホル モ ン. 断 と 治 療,. 48:. 126,. 1960..

(9) 367. 線維抑制剤投与 による珪肺 の予防並び に治療 に関す る研究 35). 30) Hench. P. S.: The discriminate use of cortisone and corticotropin. in general. 策, 36). special refelense to the collagen diseases., Acta.. 31). 川 上 保 雄:副. に 肺 気 腫,肺. 腎 皮 質 ホル モ ンの 臨 床 的 作 用 と気. 242,. 笹本. 中村. 純 性 珪 肺 の 進 展 に 関 す る レ線 学 的. 働 科 学, 浩:ス. 柴 田. 35:. 203,. Enviromental. 学 書 院,. 隆:慢. 性 肺 気 腫,肺 13:. 完:珪. 胸 部 臨 床,. 217,. 22:. 811,. 39) G. Worth. 本. Deposition and Diposal of. et al:. mental Health.,. 1963.. on the. Treatment. and. prevention. Fibroblastinhibiting Ⅰ. Experimental. of the lung.,. Health.,. 7: 548,. Dust inhalation.,. Enviro. 1963.. 1964.. 肺 結 核 と 単 純 珪 肺 と の 鑑 別.日. Studies. Part.. Microstructure. Inhaled dust., Enviromental. 線 維 症 を め ぐ る 問 題,. 13:. Health, 6: 37, 1962.. 38) A. G. Heppleston:. 1959.. 合 臨 床,. 1964.. 37) Vernon E. et al:. 1959.. パ イ ロ グ ラ ム の 臨 床,医. 線 維症の対. 1964.. 管 支 喘 息 に お け る そ の 使 い 方.綜. 豊:単. 綜 合 臨 床, 34). 併 症,殊. 257,. 沢 田. 第1版, 33). 13:. Medica. Scandinav. Suppl., 312: 274, 1956.. 考 案,労 32). 宝 来 善 次:合. medicine with. Studies. with. 7: 556, 1963.. of Silicosis. Agent ACTH. and. Steroid. Hormone.. by. Jyunichi Kuriyama Department of Internal Medicine, Okayama University Medical School, Okayama Japan (Director: Professor Kiyoshi Hiraki) 1) Pneumoconicosis was induced in rabbits by intratracheal injection of quarts powder and the prophylartic effects of predonisolone on the silicotic lung changes were studied. 2) The lymph nodes and lungs from predonisolone-treated and control groups were histologically examined. In the lymph nodes, there were no significant differences between these two groups, but the control lungs showed proliferation of septal macrophages, thickening of the alveolar wall, scattered quartz powder, and foreign body giant cells. These silicotic changes were seldom seen in the predonisolone-treated lungs. 3) It appeared that the steroid hormone was inhibitory to early silicotic changes and acted to prevent the development of silicosis..

(10) 368. 栗 栗. 山 山 論. 純 文. 一 附. 図. 写真1. 肺 肉眼的所見. 矢 印 の所 に,粉 塵 滯 溜 と み られ る 灰 白色 の病 巣 が 肺 門 に 密 集 し て み られ た。. 写真2 対 照 群 気 管 周 囲 リン パ腺 (4ヵ 月 時)400倍 髓 質内に限局性に細網細胞 が 増 殖 して 粉 塵 を貪 喰 して い るの が み られ る。. 写真3 対照群肺組織所見 (11ヵ 月 後)100倍 肺 胞 壁 に 円形 細 胞 の浸 潤, Septumzellenの. 増殖 が み ら. れ,同 部 の 肥 厚 が み ら れ る。.

(11) 369. 線維抑制剤投与 に よる珪肺 の予防並 びに治療 に関す る研究 栗. 山. 論. 文. 附. 図. 写 真4 対 照 群 リン パ 腺 (11ヵ 月 後)400倍 髓 質 内 に細 網 細 胞 が 増 殖 し 粉 塵 を貪 喰 し て い る。. 写 真5 対照群肺組織所見 (11カ 月 後)100倍 肺 胞 壁 に 多数 喰 細 胞 が 増 殖 し,同 部 の肥 厚 を もた ら し, 又 異 物 巨細 胞 が 粉 塵 を貪 喰 し てい る の が み え る。. 写 真6 対 照 群 肺 組織 所 見 (11ヵ 月 後)400倍 肺 胞 壁 の 肥 厚,肺 胞 腔 内 に 大 き な 褐 色 透 明 な粉 塵 を貪 喰 した 異 物 巨細 胞 が 突 出 し て い る のが み られ る。 線 維 増 殖 も み られ る。.

(12) 370. 栗 栗. 山 山. 論. 純 文. 一 附. 図. 写 真7 プ レ ドニ ソ ロン投 与 群 (4ヵ. 月 後)100倍. ほ と ん ど病 変 が み ら れ な い 。. 写真8 プ レ ドニ ツ ロ ン 投 与 群 (11ヵ 月 後)100倍 ほ とん ど病 変 が み られ な い。.

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