論文 アルカリ骨材反応性評価試験法の比較研究
中村 秀三*1・森 大介*1・富田 治*2
要旨:JIS「化学法」,JIS「モルタルバー法」,JIS「迅速法」,ASTM C 1260ならびに通称デ ンマーク法を参考とする計 5 種類の方法で,安山岩,砂岩,流紋岩,石灰石の砕石と砂利,
山砂のアルカリ骨材反応性を評価した。その結果,化学法のSc,モルタルバー法,迅速法の 膨張率の間には比較的良好な相関があること,前者3試験法とASTM法,デンマーク法との 相関は良好でなく,その原因はASTM法では骨材から溶解したシリカが反応溶液中へ溶出し て膨張が抑制されることが原因と考えられ,デンマーク法ではクリストバライトと石英の反 応による膨張への寄与度の異なりが顕著に現れることが原因と推察された。
キーワード:アルカリ骨材反応性,化学法,モルタルバー法,迅速法,ASTM,デンマーク法
1. はじめに
骨材のアルカリ骨材反応性を定量評価するこ とは,コンクリート構造物の耐久性照査上,非 常に重要なことである。
このため,アルカリ骨材反応に関する膨大な 研究がなされており,かつ,各種の反応性評価 方法が提案されている。
しかし,いずれの反応性評価試験方法におい ても,骨材を「無害」と「無害でない」に分類す るのみで,反応性を定量的評価するに到ってい ない。また,評価試験法によって,同一試料を 用いても,その結果が大きく異なる場合も見受 けられる。そこで,本研究では,各試験方法間 で評価結果が異なる原因ならびに骨材の反応量
とコンクリートの膨張量(ここでは,モルタルバ ーの膨張量)との関係についての一知見を提供す ることを目的に,12 種類の骨材の反応性を,そ れぞれ 5 種類の異なる試験法で評価し,考察を 加えた。試料骨材は,安山岩 2 種(An-O,An-K),
砂岩2種(Sn-O,Sn-I),流紋岩1種(Ru-A),石灰石 2種(L-G,L-T)の砕石7種と砂利2種(Ch-F,Ch-O),
山砂3種(S-S,S-Y,S-C)の合計 12種類。評価試験 法は,養生環境,アルカリ供給法などが異なる,
JIS A 1145化学法,JIS A 1146 モルタルバー法,
JIS A 1804 迅速法,ASTM C 1260ならびに通称 デンマーク法を参考とする方法の合計 5 種類を 実施した。モルタルバーの膨張を測定する 4 試 験の本研究での諸元の概要を表-1に示す。
*1 太平洋セメント株式会社 中央研究所 資源開発チーム (正会員)
*2 太平洋セメント株式会社 九州支店 技術部
表-1 本研究に用いたアルカリ骨材反応性評価試験方法の諸元概要
モルタルバー法 迅速法 ASTM C1260(参) デンマーク法(参) 試料粒度 5-2.5mm/10%, 2.5-1.2mm/25%, 1.2-0.6mm/25%, 0.6-0.3mm/25%, 0.3-0.15mm/15%
配合W:C:S 0.5:1:2.25 0.5:1:1+標準砂1 0.47:1:2.25 0.5:1:2 使用セメント セメント協会品:アルカリ量Na2Oe = 0.62% (Na2O=0.31%, K2O=0.47%) アルカリ量調整 Cx1.2%R2O Cx2.4%R2O なし なし
供試体寸法 4x4x16cm 角柱 基長前養生 20℃湿空24時間 20℃湿空24時間
+20℃水中24時間
20℃湿空24時間 +80℃水中24時間
20℃湿空24時間 +20℃水中27日間 促進養生 40℃湿空
182日間
127℃水中-オート クレーブ4時間
80℃1N-NaOH 溶液浸漬14日間
50℃飽和NaCl 溶液浸漬91日間 コンクリート工学年次論文集,Vol.28,No.1,2006
2. 試験の概要 2.1 試料の調整
試験用に供する試料は均一性を確保するため,
測定項目全てを賄えるに十分な量を 1 ロットと した。これを粉砕し,5-2.5, 2.5-1.2, 1.2-0.6, 0.6-0.3, 0.3-0.15, 0.15mm 以下の各粒度にふるい分けた ものから,測定項目毎にJIS A 1146 モルタルバ ー法に記載の粒度構成に必要量を再度混合した ものを試験用試料とした。なお,砂については 5mm以上と 0.15mm 以下をふるいにより除去し たものを粒度調整せず試験用試料とした。
2.2 試料性質の同定
試験用試料を微粉砕し,その化学組成を蛍光X 線分析(ファンダメンタル・パラメーター法)を用 いて定量し,鉱物組成をX 線回折分析によって 同定した。試料記号と分析結果を表-2に示す。
2.3 アルカリ骨材反応性の測定 (1) JIS A 1145 化学法(化学法)
定法に従って測定を実施した。溶解シリカ量 (Sc)はモルブデン黄による吸光光度計法で、アル カリ消費量(Rc)は塩酸滴定法にて定量した。
(2) JIS A 1146 モルタルバー法(モルバー法) 定法に従って測定を実施した。なお,湿空養 生中の供試体は,濡らした不織布で包み,かつ,
ビニール袋に入れ縦置きした。
(3)JIS A 1804 迅速法(迅速法) 定法に従って測定を実施した。
(4)1N-NaOH 溶液に浸漬する方法(ASTM 法) ASTM C 1260 を参考にモルタルバーを 80℃, 1N-NaOH溶液に浸漬し,その長さ変化を測定し た。供試体は,4x4x16cmのものを用いた。骨材 1試料3本の供試体とNaOH溶液3Lを1容器に 入れて養生した。浸漬期間は14日間とした。
(5)飽和食塩水に浸漬する方法(DEN 法) Ghatterjiが実施した通称デンマーク法1)を参考 にモルタルバーを 50℃飽和食塩水に浸漬し,そ の長さ変化を測定した。水:セメント:骨材比 は,0.5:1:2とした。骨材 1試料3本の供試体と 飽和食塩水(水1L:NaCl670g)3Lを1容器に入れ て養生した。浸漬期間は91日間とした。
2.4 反応させた試料の分析 (1)モルタル供試体の分析
所定期間の測定が終了したモルタル供試体は,
105℃で絶乾状態(この時,乾燥による長さ変化を 測定)にし,ディスクミルで粉砕したものを試料 とし,X線回折分析を実施した。
(2)溶液の分析
溶液内で促進反応を行うASTM法とDEN法に ついては,測定期間終了時の溶液中のシリカ(Si),
カルシウム(Ca),ナトリウム(Na)ならびにカリウ ム(K)イオンをICPにて定量した。
3. 試験結果と考察 3.1 試験結果の概要
試験結果の概要を表-2に,モルバー,ASTM,
DEN法の膨張履歴を図-1に示す。
An-Oは,20.6°と21.9°に顕著なピークが認 められ相当量のトリジマイト(Tr)とクリストバ ライト(Cr)を含有していると思われた。全ての試 験方法で判定は「無害でない」であり,かつ,
Sc ならびに膨張率が,どの試料よりも飛びぬけ て大きく,また,膨張の履歴では,早期に顕著 な膨張を示す傾向が見られた。An-K は,An-O と同じく安山岩に分類されるが,TrならびにCr と思われるピークは観察できず,全ての試験方 法で判定は「無害」であった。また,9.9°に層 状ケイ酸塩と思われるピークが観察され,大き なRcを示した。
砂岩に分類されるSn-OとSn-I,流紋岩に分類 されるRu-A,砂利のCh-FとCh-Oの主要鉱物は 石英(Qz)であった。その中で Qz 量が最も多く,
かつ,その結晶度が最も小さいCh-F のScは非 常に大きく,かつ,ASTM 法以外の判定は全て
「無害でない」であった。Ru-AはCh-Oと比較 すると,Qz含有量が多く,かつ,その結晶度が 小さいにもかかわらず,Sc ならびに膨張率が,
いずれの方法においても Ch-Oより小さかった。
Sn-Iは,最もQzの結晶度が大きく,Scが最も小 く,また,膨張率での判定はいずれの試験方法 でも,ほぼ「無害」と判定された。
石灰石であるL-GとL-Tは,全ての試験方法 で判定が「無害」であった。苦灰石(ドロマイト) の含有があるL-Gでは,化学法においてRcを塩 酸による滴定で求めることから試料中最も大き なRcを示した。
砂であるS-S,S-Y,S-Cは,比較的Qzの含有 量,結晶度とも大きかった。微量のCrがS-C,
S-Y,S-Sの順に多く含有しているように思えた。
Sc と膨張率の試験結果は,この順に従って大き くなっているようであった。また,S-Cには,Tr の含有が疑われた。
最も膨張の大きかった An-O の供試体の試験 終了時の写真を図-2 に示す。モルバー,迅速法 では目立ったひびわれは認められなかった。一 方,ASTM 法は前者に較べ膨張は小さいが,ひ びわれが偶角部にはっきりと認められた。DEN 法では網目状のひびわれが認められ,特に中心 線部が大きかった。
モルバー,迅速法は,アルカリが供試体中に 均等に存在するため膨張も均等でひびわれが発 生しづらく,ASTM,DEN 法は,外部からの浸 透によりアルカリが供給されるため供試体内の
表-2 試料の特徴と各試験法の測定結果の概要
試料記号 An-O An-K Sn-O Sn-I Ru-A Ch-F Ch-O L-G L-T S-S S-Y S-C 密度(g/cm3) 2.66 2.52 2.63 2.63 2.60 2.57 2.63 2.68 2.69 2.59 2.54 2.50
吸水率(%) 1.67 2.84 0.64 0.59 0.73 1.12 0.69 0.60 0.48 1.99 2.51 2.73 SiO2 59.28 57.10 70.74 71.98 74.10 92.50 73.62 0.94 0.25 74.10 74.40 70.20 CaO 7.14 9.08 3.12 2.56 0.89 0.25 1.25 53.07 56.52 3.58 3.78 4.49 MgO 2.57 2.19 1.16 1.52 0.17 0.28 1.26 2.78 0.69 1.54 1.51 1.23 Na2O 3.14 2.63 3.81 2.96 2.79 0.49 3.38 0.00 0.00 2.06 2.06 2.72 化学組成
(%)
K2O 1.90 0.67 3.03 3.88 4.79 1.00 2.48 0.03 0.01 1.51 1.53 1.68 石英 1 1 6 7 7 9 6 0 0 5 5 4
長石類 7 9 4 3 3 1 4 0 0 5 5 5
Cr 1 0 0 0 0 0 0 0 0 + ++ +++
Tr + 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 +
方解石 0 0 0 0 0 0 0 9 10 0 0 0
鉱物 組成比
(計10を著
者主観によ り鉱物量に 応じ案分,
+;微量) 苦灰石 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0
石英の結晶度(a/b)2) --- --- 0.51 0.71 0.48 0.41 0.53 --- --- 0.62 0.64 0.68 Sc 685 20 49 34 52 332 76 2 5 121 139 152 化学法
(mmol/l) Rc 101 272 42 29 45 45 42 299 40 114 116 132 3ヶ月 0.42 0.02 0.03 0.03 0.03 0.15 0.06 0.02 0.02 0.03 0.03 0.04 モルバー
法(%) 6ヶ月 0.50 0.02 0.11 0.06 0.05 0.30 0.22 0.02 0.03 0.03 0.04 0.06 迅速法(%) 4時間 0.75 0.02 0.19 0.07 0.15 0.27 0.28 0.02 0.02 0.15 0.18 0.26 ASTM(%) 14日 0.23 0.02 0.17 0.17 0.07 0.01 0.10 0.00 0.00 0.15 0.14 0.21 DEN(%) 91日 1.62 0.02 0.02 0.02 0.01 0.20 0.04 0.01 0.01 0.23 0.44 0.99 注)表中の網がけは、「無害でない」判定
JISモルタルバー法
0 0.2 0.4 0.6
0 60 120 180
材齢(日)
膨張率(%)
An-O An-K Sn-O Sn-I Ru-A Ch-F Ch-O S-S S-Y S-C Den法
0 1 2
0 30 60 90
材齢(日) ASTM法
0 0.1 0.2 0.3
0 7 14
材齢(日)
凡例
図-1 モルタルバーを用いた試験の膨張履歴
アルカリの存在が不均等であることにより,膨 張が不均等となるため,ひびわれが発生しやす かったものと思われた。
3.2 試験終了後の乾燥による長さ変化
迅速,モルバー,ASTM,DEN 法試験終了時 膨張率と,その供試体を105℃-24時間乾燥させ た後の残存の膨張率との関係を図-3に示す。
試験方法が異なっても両者の関係は同一直線 で近似された。アル骨反応の劣化原因は,アル カリシリカゲルの吸水膨張と考えられているが,
膨張の原因となった生成物は自由水の吸水によ って膨張したのではなく,生成物そのものが構 造的に膨張性のものであったか吸水された水は 層間水あるいは結晶水になったものと思われた。
3.3 ASTM,DEN 法溶液中のイオン
表-3にASTMならびにDEN法の試験終了時 の溶液中の各種イオン濃度を,図-4に化学法Sc とASTM法溶液中のシリカ濃度の関係を示す。
ASTM 法では,試験終了時の溶液の多くにシ リカイオンが存在した。L-T,L-Gの溶液には存 在しなかったことから,液中のシリカは骨材か ら溶解したものと思われた。
Sn-O~Ch-FのTr+Crを含まないと思われる試 料だけみると両者は良い相関を示していた。ま た,Tr,Crを含むと思われるAn-O,S-S~Cの試 料は,前記の試料群のものに比較し,化学法の Scに対しシリカ溶出量が小かった。これらの原 因としてQzから溶解したシリカに比較し,Tr,Cr から溶解したものはペースト中での拡散速度が 小さいことが想定された。
DEN法では,An-Oを除きシリカの溶出は認め られず,基本的にシリカのNaCl溶液への溶出は ないものと思われた。An-Oの溶出は供試体のひ びわれが激しかったためと思われた。
3.4 X線回折の結果
モルバー,迅速,ASTM,DEN 法それぞれの 練り混ぜ直後と試験終了時のモルタルのX 線回 折分析結果を図-5に示す。図には,CrとTrを含 むAn-O,CrとQzを含むS-C,Qzの結晶度の小 さいCh-Fを代表例として示した。
表-3 溶液中のイオン濃度 (mmol/l) ASTM法 DEN法 試料
記号 Si Ca K Na Si Ca
An-O 83 0 18 892 13 0
An-K 0 0 21 897 0 4
Sn-O 24 0 21 912 0 1
Sn-I 4 0 21 927 0 2
Ru-A 44 0 22 917 0 1
Ch-F 219 0 23 907 0 4
Ch-O 73 0 21 927 0 2
L-G 0 0 15 934 0 1
L-T 0 0 18 949 0 1
S-S 26 0 17 897 0 2
S-Y 20 0 17 901 0 2
S-C 15 0 19 908 0 4
y=0.98x-0.12
-0.5 0 0.5 1.0 1.5 2.0
(%)
-0.4 0 0.4 0.8 1.2 1.6
試験終了時膨張率(%)
乾燥後残存膨張率
モルバー法 迅速法
ASTM法 DEN法 迅速法
モルバー法
ASTM 法
DEN 法
図-2 試験終了時の供試体の状態(An-O)
図-3 試験終了時と乾燥後の膨張率の関係
図-4 化学法 Sc と ASTM 法溶液中 Si 濃度の関係 0
50 100 150 200 250
0 200 400 600 800
化学法Sc(mmol/l) An-O S-S~C
Ch-F
ASTM溶液中Si(mmol/l)
Sn-O~Ch-O
An-O,S-C の21.9°のピークならびにAn-Oの 20.6,21.7°は,どの試験のものについても減少し ており,ピークが重なる長石類の影響を加味し ても,CrならびにTrは反応したと判断された。
An-OにおけるTr+Crの合計の反応率は,両者 の骨材中の含有率が約 10%,21.2-22.0°区間の ピーク中の約 45%が長石のピーク分と推定され たこと3),これと本試験結果により得られたピー ク変化から,測定精度ならびに長石のピークに 若干の変化がみられることの影響などの問題を 含むが,ASTM,DEN法とも約5%と計算された。
Ch-Fの26.6°(図中20.8°)のQzのピークは,
ASTM法とDEN 法で明確に減少が認められた。
ピーク減少から推計される反応率は,骨材重量 に対しASTM法で約7%がDEN法では約14%と 計算された。
DEN 法によるSiO2の反応率は,An-Oよりも Ch-Fの方が大きいと推計された。一方,観察さ れた膨張率は,An-Oが1.6%に対しCh-Fは0.2%
と小さかった。ここでも,Cr+Trから溶解したシ リカと石英から溶解したシリカの膨張への関与 が異なっていることが示唆された。そして,Tr,Cr
の反応は大きな膨張を引き起こし,骨材の1%程 度が反応することで0.1%程度の膨張をもたらし ている危険性が想像された。
筆者は,既往の研究 3)で,骨材を NaOH 溶液 で溶解した時にシリカはモノマーとしてしか観 察されなかったことから,Tr,Cr からと Qz から 溶解したシリカに差はないものと考えていたが,
これは NaOH 溶液中では,ポリマーとして溶解 したシリカが溶液中でモノマーに再溶解するこ とが原因と考えられた。反応条件による骨材か らのシリカの溶解形態,ペースト中での膨張へ の関与のメカニズムについて結論を出すには更 なる研究が必要であった。
なお,ASTM法のL-Gではブルーサイトが観 察されたが,膨張は測定されていなかった。
3.5 試験間の結果の相関
化学法の Sc ならびに Sc/Rc に対するモルバー,
迅速,DEN,ASTM 法の膨張率の関係とモルバ ー法と迅速,DEN,ASTM 法の膨張率の関係を 図-6 に示す。
化学法 Sc とモルバー法ならびに迅速法の間な
図-5 各試験における試験前後のモルタルの XRD 回折(X 軸:2θ,Y 軸:CPS 相対値) 試験前 試験後 ()内数値は、各試験終了時の膨張量(%) An-O
20 21 22 23 20 21 22 23 20 21 22 23 24
モルバー
Ch-F S-C
迅速ASTMDEN
Cr+長石
長石 Qz
Tr
Qz Qz
Cr+長石 Tr
長石 長石 Tr
Tr
長石
(0.23)
(0.99)
(0.75) (0.26)
(0.06)
(0.20) (0.01) (0.27) (0.30)
(1.62) (0.50)
(0.21)
らびにモルバー法と迅速法の間,この 3 者の間 の相関は比較的良好であった。
一方,化学法ならびにモルバー法とASTM法 ならびにDEN法の間には良好な相関は見られな かった。
ASTM 法では,溶液へのシリカの溶出の影響 が,相関を得られなかった原因であると考えら れた。DEN法では,S-Y,S-S,S-Cの砂の群とSn-I
~Ch-F群に2分された。前者はCrを含み,後者 は含まないこと,後者でも Ch-F ならびに Ch-O ではXRDのQzピークの減少が明確に認められ ることから,DEN法では,CrとQzの反応によ る膨張への寄与度が顕著に異なることが推察さ れた。
4. まとめ
アルカリ骨材反応性評価試験方法の比較研究 により以下の結果が得られた。
(1) 化学法の Sc,モルバー法,迅速法の膨張率 の間には比較的良好な相関が認められ,前3 試験法とASTM法,DEN法との相関は良好 ではなかった。
(2) 供試体に発生したひびわれはモルバー法,迅 速法では微細分散的でASTM法,DEN法で は粗大であった。
(3) ASTM法では,NaOH溶液へ骨材から溶解し たシリカが溶出していた。このため,反応 が起こっていても膨張として現れないもの があった。
(4) 反応量が同じで,TrやCrを原因とする場合 は,石英を原因とする場合より膨張が大く 表れると考えられた。この傾向は特に DEN 法において顕著であった。
参考文献
1) Chatterji, S.:AN ACCELERATED METHOD FOR THE DELECTION OF ALKALI- AGGREGATE REACTIVITYES OF AGGREGATE,CEMENT and CONCRETE RESEARCH, Vol.8,pp647-650,1978
2) MURATA, K.J.,NORMANⅡ, M.B.:AN INDEX OF CRYSTALINITY FOR QUARTZ,
AMERICAN JOURNAL OF SCIENCE,Vol.276,
pp.1120-1130,Nov. ,1976
3) 中村秀三,富田治:骨材のアルカリ溶液への 溶解,土木学会第 60回年次学術講演会講演 概要集,第5部,pp.3-4,2005
R2 = 0.385 化学Sc(mmol/l),Sc/Rc(x100)
○Sc R2=0.870
○Sc R2=0.801 0.6
0.4 0.2 0
モルバー 膨張率(%)
0.8 0.6 0.4 0.2 0
迅速 膨張率(%)
○Sc R2=0.701 1.6
1.2 0.8 0.4 0
●Sc/Rc R2=0.789
●Sc/Rc R2=0.543
○Sc R2=0.106
DEN 膨張率(%)
●Sc/Rc R2=0.001
●Sc/Rc R2=0.254 0.3
0.2 0.1 0
ASTM 膨張率(%)
0 200 400 600
R2 = 0.817
R2 = 0.033
モルバー膨張率(%) 0.8
0.6 0.4 0.2 0
迅速 膨張率(%)
1.6 1.2 0.8 0.4 0
DEN 膨張率(%)
0.3 0.2 0.1 0
ASTM 膨張率(%)
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 Ch-O S-C
S-S,Y An-O
Ch-F
上 4 図 vs 化学法 下 3 図 vs モルバー法 図-6 各試験法間の結果の相関