構造物基礎の支持地盤判定における小型動的貫入試験の有効性
東日本旅客鉄道㈱ 東北工事事務所 正会員 ○木村 正喜 東日本旅客鉄道㈱ 東北工事事務所 正会員 佐藤 豊
1. はじめに
新上り
仮下り
STEP
STEP3 3
新上り
仮下り
STEP STEP3 3
新上り
新下り
STEP STEP4 4
新上り
新下り
STEP STEP4 4
第1期施工
第2期施工
仮 下 り
仮 上 り
仮 下 り
新 上 り
新 上 り 新 下
り 海側
山側
海側
基礎設計においては地盤性状を的確に判定することが重要であるが、鉄道高架橋の 山側
ように線状に長い構造物を構築する場合、当該地域の支持地盤が平坦とは限らない。
地盤の特性を知るために標準貫入試験および室内試験等を行うことは、詳細な地盤デ ータを得る上で有効な方法である一方、各箇所で調査のためにやぐら設置などの作業 を要するため、高い調査頻度とすることは不経済で合理的ではない。そこで、中間層 を含めた地盤特性の把握には標準貫入試験、基盤線深さの特定にはやぐらの設置が不 要な小型動的貫入試験を実施して、両試験から組み合わせて得られるデータを高架橋 の基礎設計に用いる例を紹介し、小型動的貫入試験の有効性について考察する。
2.施工条件 図-1 分割施工概略図
構築する高架橋は延長約 1.4km であり、作業スペースが限られることから仮線方式を採用し、上下線を分割施工 とした。施工区間の地形は線路直角方向に大きな谷が 2 つあり、その谷を横断する部分と丘陵地沿いを通る部分か らなる路線形状である。以前の谷部は水田として利用されており、旧地形図からも施工区間の基盤線は起伏に富む ことが予想された。
当該高架橋は第 1 期施工まで完了しているが、第 1 期施工時に行った標準貫入試験結果から、線路方向における 基盤線の起伏の他、線路直角方向にも大きな傾斜が確認されており、第 2 期施工の基盤線を判定するため、新たに 地盤調査を実施することとした。第 2 期施工の基礎は図-1のように仮上り線(営業線)と同一位置となるため地盤 調査は容易ではなく、より効率的な調査方法を検討しなければならない。
3.第 1 期施工時の基盤線の判定
第 1 期施工時の基盤線の判定に当っては、過去に実施された 17 箇所の標準貫入試験データと、新たに実施した 28 箇所での調査データを合わせて基盤線を判定した。新たに実施した 28 箇所については、線路方向と線路直角方 向のそれぞれの基盤線の状態を適切に把握するため、線路を挟むように線路山側 15 箇所と線路海側 13 箇所で実施 した。図-2に線路方向と線路直角方向の基盤線の状態と、当該高架橋の概要を示す。
図-2 地質縦断図・横断図
0 . 0 2 -
0 . 5 2 - 0 . 5 1 - 0 . 0 1 - 0 . 5 - 0 . 0 0 5
(m)標高 .
Bn Ac1 As1
Br
Ac1 Bn
As1
Ac2
Bn Ac1 As1 Ac2
Br
B
C C
0 -25.
0 -20.
0 - 51 . .0 -5
.0 10 -
0 0.
(m)標高 0 . 5
- .3 00
Bn Ac1
As1
Ac2
Br 現下 現上
5 -2 .0
5
0 -2 -1
.0 .0 -5.0
0 -1 .0
0.0
(m)標高 5 0.
0 3 - 0.
断面B-B
5 -2 .0 5
0 -2 -1
.0 .0 -5.0
0 -1 .0 0 .0
-
- 025. 0 . 0 2 -
- 51 0. 0 1 0.
0 .
5 - 0.
0
(m)標高
(m)標高
Bn Ac1 As1
Ac2
Br
3 .0 0
. 3
現下 現上
断面 C-C
.0 -5
.0 10 -
0 0.
標高
(m)
0 . 5
-5.0
0 -1 .0
0 .0 標高
(m)
5 0.
.0 12
- -1 .02
Bn Ac1
As1
Br 現下 現上
断面 A-A
時 代 地質名 記 号
Bn Ac1 As1 Ac2
Br
基盤岩 粘性土 砂質土 粘性土 盛 土現世
第 四 紀 完
新
世
砂質土
As2
新第三紀中新世 及び 三畳紀中期
山側
山側
山側 海側
海側
海側
Br Bn Ac1 As1 Ac2 As2 Br
Br Br
Ac2
Ac2
As1 As1
As1 Ac1 Ac1
Ac1
Bn Bn
A A
B
キーワード:分割施工
連絡先:〒980-8580 宮城県仙台市青葉区五橋
1-1-1 TEL:022-266-9660 FAX:022-262-1487
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土木学会東北支部技術研究発表会(平成21年度)4.第 2 期施工時の基盤線の調査計画 4-1 効率的な調査方法の検討
第 2 期施工の基盤線調査は、第 1 期施工完了後の仮上り線撤去か ら第 2 期施工までの短期間で実施する必要があることから、やぐら 設置等の準備作業を必要としない小型動的貫入試験の採用を検討し た。小型動的貫入試験を検討するに当り、当区間の土質における小 型動的貫入試験と標準貫入試験との関係を把握するために、標準貫 入試験と同位置において小型動的貫入試験を実施した。なお、小型 動的貫入試験による N 値算定は、次式で示す既往の換算 N 値算定式 にて換算した。
-27 -26 -25 -24 -23 -22 -21 -20 -19 -18 -17 -16 -15 -14 -13 -12 -11 -10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0
0 10 20 30 40 50 N値(換算N値)
測定深度(m)
標準貫入試験 小型動的貫入試験
盛土
砂質土
粘性土 砂質土
粘性土
砂質土
基盤岩
N=0.5Nm ・・・・・・・ 砂質土地盤の場合 N=0.5Nm-0.016Mr ・・・粘性土地盤の場合
(ここで N:換算 N 値、Nm:打撃回数、Mr:トルク)
4-2 当区間における標準貫入試験と小型動的貫入試験の関係
標準貫入試験と同位置で実施した小型動的貫入試験のデータを比 較したものが図-3 である。比較結果より、中間より深い位置にある 粘性土層では、小型動的貫入試験結果の方が荷重平均 N 値を大きく 示す傾向が見られる。これは標準貫入試験結果が安定しているのに 対して、小型貫入試験結果は大きく上下していることが影響してい ると思われ、二つの相関関係は断定し難い。これに対し、砂質土層 では小型動的貫入試験の方が標準貫入試験よりも小さい換算 N 値を 示す傾向が強く見られた。これらから、当該区間において小型動的 貫入試験を採用した場合、既往の換算式では砂質土層の換算 N 値を 過小評価してしまう可能性があることが分かる。しかし今回の調査 目的である基盤層深さの判定をする上では、これら中間層における N 値の相違が影響することはなく、それぞれの試験はほぼ同深度にて 基盤線を確認した。これにより、基盤線の判定を目的とする場合に は、当該方法で十分に対応可能であると判断できる。
4-3 鉄道高架橋の基礎設計における小型動的貫入試験の有効性 本調査を実施した深度 20m程度における基盤線の判定を標準貫入 試験で実施する場合に要した試験日数は、準備作業を含めて 4 日で あった。これに対し小型動的貫入試験では 1 日で全ての作業が行え、
得られる基盤線深度も標準貫入試験と同等であったことから、当区 間のように線状に長い調査範囲で高い頻度の基盤線判定を行うには、
小型動的貫入試験は有効な方法であると確認できた。ただし中間層 においても標準貫入試験と同等なデータを得ることを目的とする場 合には、砂質土、粘性土等の土質に応じて、複数の比較試験から適 切な換算値を算出することが必要であると考える。
図-3 測定データの比較
5.おわりに
本工事は、現在、第 2 期施工に向けた仮上り線の撤去作業が進められている。今回の成果を設計・施工に反映す るとともに、引き続き安全・品質に十分配慮し、無事完成できるよう努めていきたい。
土木学会東北支部技術研究発表会(平成21年度)