(137)
高等学校定時制課程についての研究
教 育 学 研 究 室
当研究室は「勤労青少年教育の研究」に関して共同で研究を進めてきている。まず第 一にとり上げた夜間大学生に関する研究については,本誌第26号(昭和36年3月)掲載
の「勤労青年と大学教育一夜間学生の実態調査一」に,その一部を発表した。本稿は,
昭和36年度に実施した高等学校定時制課程についての研究の大綱を要約したものであ る。以下,研究の分野として便宜上3つに分けて考察し,
1.制度上の変遷 2,教師から見た問題点 3.生徒から見た問題点 の順に叙述することとした。
なお,本研究に参加したものは,飯田晃三,三井為友,大蔵隆雄,岡田正章,山崎俊
男臓輔,西久保恵三,川向秀武,桑棚敏宮内守彦・木村長子・成田国英・米 蛾子,雌多希子,平沢扶美子,高野貞夫であり・また本稿の鞭は・1は伊藤2
は山崎,3は米山がそれぞれ主として担当した。
1.制度上の変遷
定時制離学校は戦後の襯模な学制改革にはじまり現在姪っている・その間・
定嚇塙等学校の理念その役割は大きく変遷してきた・その法制上の劾漉鞍的
に示し,内容の概略を記してみたいと思う。
昭和21年
3月 第1次米国教育使節団,報告書発表
中等教育をすべての国民に開放し,教育の機会均等を計ることを教育制度改革の理 念とすることを勧告。
(138) 高等学校定時制課程についての研究 12月 教育刷新委員会,「学制に関すること」を審議 採択事項(昭和21年12月27日)
「中学校に続くべき教育機関について」 1. 3年制の高等学校を設けること,
2.高等学校は全日制のものと定時制のものとあること 等。
高等学校の構想の最初から,定時制高等学校のシステムが考えられていた。
昭和22年
2月17日 文部省「新学校制度実施準備に関する件」(発学第63号)を通達。
文部省としては新制高等学校を昭和23年度から実施する予定であることを表明。
「新学校制度実施準備の案内」領布。
「案内」の「高等学校に関する事項」は次のようなものである。
。 修業年限は3年を原則とし,4年,5年制も認める。
。 中学校修了後,学校教育を継続しようとする者全員を収容するのを理想とす
る。
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義務制ではないが将来,授業料を徴集しないようにするのが望ましい。
高等学校には昼間全日制のもの,夜間全日制のもの,定時制のものがある。
青年学校を廃止すること。
定時制は全日制とすべての点において同一規準で教育が行われること。
3月31日 「教育基本法」「学校教育法」公布 「学校教育法」
第44条 「高等学校には通常の課程の外,夜間において授業を行う課程又は特別の 時期及時間において授業を行う課程を置くことができる」とし,
勤労青少年の教育機関が正規の学校制度の中に認められた。
通常の課程,夜間に授業を行う課程,特別の時期及び時間に授業を行う課程の3 課程が置かれ,前2者はフル・タイムで授業する全日制の課程で第3の課程が一R・一 ト・タイムに授業を行う定時制の課程とされた。
9月5日 文部省「新学制の実施について」(発学375号)を通達
。 六・三制の実施に重点をおき,新制高等学校の実施に当っては暫定設置基準を
高等学校定時制課程についての研究 (139)
定め,国庫補助は行なわないこと。
。 勤労青少年のため,夜間高等学校及び定時制高等学校を設置する。
。 定時制高等学校は通常の高等学校又は中学校に併置する外,従来の青年学校の 施設等を充てることができる。
12月27日 文部省「i新制高等学校実施準備に関する件」(発学534号)を通達し,
「新制高等学校実施の手引」頒布。
同上「手引」
第1部 新制高等学校の全日制課程について 第6 夜間課程について
O 旧制夜間中等学校の殆んどが新制高等学校の夜間課程になると考えられる こと。
。 夜間の課程は実質的には定時制的であること。修業年限は4年を基準とす ること。
第2部 新制高等学校定時制課程について 第1 意義と基本方針
。 定時制の課程は全く新しい観点に立つ教育制度であること。
O その根本精神は教育の機会均等にあること。
。 その地方の青年男女一般の要求に適合するよう設置・運営されること。
。 一一meの青年男女が喜んで出席するような魅力あるものにすること。
。全日制の課程と同等であること。
第2 従前の制度による青年学校との関係
。 青年学校と直接の関係はなく,青年学校の性格をうけついではならないこと 第3 定時制課程の組織
O 一つの高等学校に全日制と定時制の課程をおくことが望ましい。
。 学校の施設・設備をその地方の青年の教育のため十分に活用せねぽならない こと。
。 教員の負担を過重にしないこと。
第4 設置者・校長・主事及び教員
(140) 高等学校定時制課程についての研究
0 1つの学校に全日制と定時制の課程を併置する場合,1つの学校の2つの課 程とみてこの2つの課程の設置者・校長は同じでなければならない。
。 管理の便宜上,校長を補佐し定時制の課程について責任をもつ主事を教員の 中から任命すること。
。 定時制の課程に専念する教員をおくことも必要だが,一般に通常の課程と定 時制の課程の教員を区分しないことが望ましい。
。 分校を設け通学の便宜を計ること。
第5 定時制課程の学科の種類
。 通常の課程と全く同じである。専門教育を主とする学科に限らず普通科をお くこともできる。
第6 単位制とその運用
。 修業年限は学校により,生徒により不定である。
。 全部の生徒が卒業する必要はなく,85単位(卒業単位)中,自分の学びたい ものだけ修めてもよい。
昭和23年
1月27日 文部省令第1号「高等学校設置基準」を公布 第1章 総貝U (第1条〜第4条)
第2章学科(第5条〜第6条)
第3章 編成(第7条〜第15条)
第15条 「高等学校に通常の課程と夜間の課程又は定時制の課程を併置する場合 は夜間の課程又は定時制の課程に主事を置かなければならない。主事は校長の 監督を受け夜間の課程又は定時制の課程に関する校務をつかさどり,所属職員 を監督する。主事はその課程の教諭をもってこれにあてる」
第4章設備(第16条〜第23条)
第24条 「夜間において授業を行う高等学校には生徒数に応じて必要な給食施設 を備えなければならない」
第25条 「夜間において授業を行う高等学校の図書室及び教室の机上面及び黒板 の照度は50ルクスを下ってはならない」
高等学校定時制課程についての研究 (141)
以上「高等学校設置基準」中,特に定時制高校にのみ関する事項を抜き出した。
2月9目 新制高等学校を昭和23年度より実施する予定,閣議決定
2月10日 2月9日の閣議決定に基き,「新制高等学校実施に関する件」(発学 534号) 通達。
○ 新制高等学校は昭和23年度から実施する。
○ 新制高等学校の設置認可は旧制中等学校の現在の施設状況を基礎にし制定した 暫定基準により,現在の旧制中学校を転換し得るようにすること。
○ 勤労青年の教育のため新制高等学校には定時制(夜間を含む)の課程を設置す る。公立の定時制高等学校については国庫補助の道を講ずる。
○ 従来の青年学校は昭和22年度限り廃止する。
4月1日 新学制による高等学校発足
以上,定時制の高等学校(夜間の課程を含め)が従来にない新しい教育制度とし て,中等教育の門戸を全ての青少年に開くという理想を掲げ,極めてフレキシブル な構想を持って登場してきた時代である。
7月 「地方財政法」 公布
7月10日 「公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法」公布
第1条 「公立高等学校で特別の時期及時間において授業を行う課程(定時制の課 程をいう)のみを置くものの校長並びに主として定時制の課程の授業を担任する 教諭,助教諭及び講師の俸給,特別加俸,死亡賜金,旅費,扶養手当,勤務地手当,
退官又は退職に関する手当並びに日直及び宿直に関する手当のため都道府県にお いて要する経費については予算の定めるところに従い国庫がその10分の4を補助
する」
(142) 高等学校定時制課程についての研究 7月10日 「市町村立高等学校職員給与負担法」 公布
第2条 「市町村立高等学校で特別の時期及び時間において授業を行う課程(以下 定時制の課程という)のみを置くものの校長(定時制の課程の外に通常の課程又 は夜間の課程を置くものの校長を除く)並びに定時制の課程の授業を担任する教 諭,助教諭及び講師の俸給その他の給与は都道府県の負担とする」
国はこの2法により,昭和23年度には4億9万円,24年度には5億8千万円を支
出した。
9月21日 「公立高等学校定時制課程設備費補助について」(発学431号)通達 公立高等学校定時制課程の設置を奨励するため,分校及び独立中心校の学習用設
備に必要な経費に対し国庫補助金を交付する。所要額の%を目途とし,1校当り10,
000円〜15,000円を補助する。
この国庫補助は特に法規を定めず予算措置によって行われたものである。
昭和24年
6月11日 教育刷新審議会「職業教育振興方策について」 建議
○ 新制高等学校の画一・化を避け職業教育に重点を置く単独校を多数設置するこ と。綜合高校においても職業科目を軽視することなく教科内容を充実し必要なる 施設を整備すること。新制高校に1年乃至2年の専攻科設置を奨励すること。
○新制高等学校における職業教育を効果的ならしめるため企業又は産業団体との 共同教育組織を設くる途をひらくこと。
○ 定時制高等学校の教育をして完成教育の実を挙げしめるため実情に即し職業科 目を中心の教科課程を編成すること。定時制高校分校設置基準を緩和し容易にこ れを設置し得るよう改めること。定時制高校と技能者養成所との提携を密にし労 働省は定時制高校の課程を技能者養成の一部と認め文部省は技能者養成所に対し 単位制クレヂットを与える措置を講ずること。
7月12日 「高等学校定時制課程の整備並びに運営について」 (発学91号) 通達 高等学校定時制課程の整備について
高等学校定時制課程についての研究 (143)
。 生徒数の少い独立定時制高校又は分校は近隣の高校に合併させる。
。 設備不十分な独立定時制高校は近隣の高校に合併させるか分校とする。
。 定時制で通常の課程と同様の授業時数をもって教育を実施していているもの は定時制とは認めない。
高等学校定時制課程の運営について
。 分校は全教科を実施し得るものでないので,正常な指導をし得ると認められ る教科を明確にすること。こうして認定された以外の教科の単位を与えること はできない。 ,
o 通常の課程と併設の定時制課程は通常の課程の設備を十分に活用すること。
。 主事,必要数の専任教師を得られない定時制課程は認可すべきでない。
。 通常の課程と定時制課程との専任教師の交流を行うことが望ましい。
。 勤労青年に適切な教育の方法を実施するよう努めること。
9月 シヤウプ使節団日本税制報告書発表教育行財政制度の改革について勧告。
地方財政制度,根本的に改革され平衡交付金制度が施行されるようになる。
昭和25年
4月19日 「学校教育法の一一・一・部を改正する法律」
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。 夜間の課程も定時制の課程に含まれるようになる。
昭和25年の「学校教育法の一部改正」により,勤労青少年のための高等学校は一一 括,定時制の課程とされ,制度的には単純明確化したが,定時制の課程を全目制の 課程から峻別させる方向がとられるようになった。
5月 「地方財政平衝交付金法」 公布
教育費は交付金に一括算入されるようになり,補助金等を規定した法律は空文化 する。平衡交付金の算定基礎を「在学生徒数」としたので一般に,学校規模の小さ
(144) 高等学校定時制課程についての研究
い定時制高校は割高な存在とみなされるようになり,逼迫した地方財政のしわよせ を受け見捨てられた存在となる。
昭和26年 分校数が最大となった年度である。
昭和26年度,定時制高校分校数は1,508校で最大となり,27年度には26年度に比 べ35校減少し以来,28年度には110校,29年度には12校,30年度には41校が減少す る。一般に大きな都市の分校より農山村の小規模分校(特に生徒数100人未満)の 統廃合がいちぢるしい。
6月 「産業教育振興法」 公布
職業課程に補助が行なわれるようになる。この産業教育は低度の職業技術者の速 急な養成を目的とするものであり,この役割を主として定時制高校が当るべきもの とされるようになる。
昭和28年
生徒数が最大となった年度である。
全日制高等学校の生徒数は年々増加しているにもかかわらず,定時制の高等学校 の生徒数は28年度以降は年々減少する。農山村地域では減少が著しく,他面工場地 ,
帯では増加している。
8月14日 「青年学級振興法」 公布
勤労青少年の求める可塑性の高い学習の場は,青年学級に移されるようになり,
僻地の高等学校分校の廃止に名分を与えることにもなった。
8月18日
第1条 第2条 第3条 第4条
「高等学校定時制教育及び通信教育振興法」 公布 目的
定…義
国及び地方公共団体の任務
通信教育用教科用図書の編集,検定,発行に関する特別措置
高等学校定時制課程についての研究 (145)
第5条 公立学校についての国の補助
「国は公立の高等学校の設置者が定時制教育又は通信教育の設備について,政 令で定める基準にまで高めようとする場合においては,これに要する経費の全部 又は一部を当該設置者に対し,予算の範囲内において補助する。但し……以下略」
第6条 私立学校についての国の補助 第7条 補助金の返還等
第8条 政令への委任
定時制高校が逼迫した地方財政の影響を受け,崩壊の危機にある状況の下に 「高等学校定時制教育及び通信教育振興法」が公布されたが,積極的な振興策と はなりえないとの批判もなされた。
昭和29年 学校数が最大となった年度である。
5月 「補助金等の臨時特例等に関する法律」 公布
第1章 文部省関係
第1条公立高等学校定時制課程職員費国庫補助法の施行を停止する この規定により職員費4割国庫補助が打ち切られた。
昭和30年
12月29日 「地方財政再建促進特別措置法」 公布
地方財政の赤字克服のための措置法。地方財政の昭和30年までに累積された実質 的赤字は549億円に達し,赤字団体の数は36府県,1,532市町村に及んでいた。これ らの赤字団体には地方財政再建促進法が適用され,支出を極力抑制する非常措置が とられる。
この措置法で各府県の支出金額が極めて制限されたこと,及び本校の設置者が都 道府県でありながら経費負担が地元市町村である分校が多いという状況で,赤字団 体への市町村の寄附支出金が制限されたことによって,分校の経営は著しく困難と なり,分校の統廃合は一層の拍車をかけられるようになった。
(146) 高等学校定時制課程についての研究
これに対する措置として,昭和31年1月,「寄付金等の支出の抑制について」の 自治庁通達が出され,若干の制限が緩和された。
昭和31年
1月 中央青少年問題協議会 「定時制高等学校に学ぶ働く青少年の教育保護福祉 対策要項」 発表
勤労青少年の教育機関が荒廃し勤労青少年が極めて不遇な条件下で学習している ことに対しての保護福祉対策の必要がのべられている。
6月 「夜間課程を置く高等学校における学校給食に関する法律」 公布
昭和32年度より完全給食を実施しようとする学校に給食に必要な施設,設備の経 費の1/3の国庫補助が認められる。この補助は完全給食を実施する場合に限られる。
また,給食担当者の人件費についての措置はない。
昭和35年度において夜間定時制の約1割179校が給食実施校である。昭和35年度 の当該予算は120,194千円,約100校が予定された。
8月 中央青少年問題協議会 「定時制高等学校(通信教育も含む)に対する財政 措置について」 答申
。 通信教育を充実すること。
O 教職員を充実し,関係教育施設問の人事交流,協力関係を確立すること。
。 教職員費の一部を国庫負担とすること。
。 分校経営の特殊性を認め地元負担金支出を容易にすること。
O 施設・設備(照明,給食,暖房等)を充実すること。
11月 日本経営者団体連盟教育委員会「新時代の要請に対応する技術教育に関する 意見」 発表
この頃から経営者の側からの教育内容に関する一特に職業技術教育振興に関する 一要望が強く出されるようになり,産業界の要請に沿った教育内容,組織が編成さ れるようになる。特に定時制高校ではその不振の原因が教育内容に魅力がないこと
高等学校定時制課程についての研究 (147)
にあるとし,その内容改善を職業技術教育に重きをおくことにより解決しようとす る方針が示されることになる。
昭和32年
5月 中央青少年問題協議会「勤労青年教育対策要綱」 発表
同要綱はわが国の発展のためには技術立国の構想を持たねばならず,そのため技 術の発展に即応し得るように教育全体を再編成する必要があるとし「産業高等学校 案」を提唱している。
即ち産業高等学校(仮称)を設け勤労青年に17才に達した日の属する学年の終り までの教育を義務制としようとする構想である。
11月 中央教育審議会「科学技術教育の振興方策について」 答申
答申の結果,昭和33年度から「産業科」が設けられるようになる。(定時制とは 限らない)
産業科には高等学校,別科のうち職業教育を行うものをもってあて,短期の技術 教育のための設備,施設(特に工業科)を整備拡充しようとするものである。
昭和33年
3月 文部省初等中等教育局長通達 「産業科について」
産業教育振興費負担金,補助金のうち産業科新設に伴う施設・設備費の負担金お よび補助金の対象は,1.総授業時間数1,330時間,全日制で1年,定時制で2年制 のもの 2.教育内容は工業に関するものとした。
4月 中央教育審議会 「勤労青少年教育振興方策について」 答申
勤労青少年教育機関には種々なものがあるがそれらを整備,改善して勤労青少年 のさまざまな必要を満たすようにしなけれぽならない。
その内容は
「今日要望の強い産業技術教育については従来特に不十分な点が多いと認められる ので,これを充実さすことに改善の重点をおくことが必要であり」……「教育内容
(148) 高等学校定時制課程についての砥究
や教育方法の改善にあたっては青少年の職場における一定の作業を教育機関におげ る学習の一部と見なすような方向を促進する必要があり……」とするものである。
高等学校については,特に職業教育課程の拡充,分校の充実,短期の技能教育の 促進があげられている。
上記の答申に基いて「学校教育法の一部を改正する法律案」が国会に上提された が,廃案となる。
昭和35年
3月 「高等学校の定時制教育及び通信教育振興法」 一部改正 改正点
。 定時制通信教育手当が支給されるようになり,その手当の一部が国庫補助の対 象となった。
第5・6条 国公立の高等学校の校長及び教員の定時制通信教育手当を本俸の7%
支給
第7条 上記の定時制通信教育手当について%の国庫補助をする。
勤労青少年の教育が産業技術教育の面からとりあげられるようになり,特に定時 制高校は全日制高校とは異った役割を荷い,産業技術教育に応ずることが要請され
るようになってきた。
昭和36年
10月31日 「学校教育法の一部を改正する法律」 公布
学校教育と産業との連携=「産学共同」の実を挙げようとするものである。
改正点
。 高等学校通信制の課程の整備
。 高等学校の定時制の課程及び通信制の課程と技能教育施設との連携のための所 要の規定を設けること。
第44条 「通常の課程」を「全日制の課程」に「夜間その他特別の時間又は時期に おいて授業を行う課程(以下定時制の課程と称する)」を「定時制の課程」に改
高等学校定時制課程についての研究 (149)
め従来,通常の課程の俗称であった全日制の課程を正式に認めた。
第45条 高等学校には全日制の課程又は定時制の課程のほか通信制の課程をおくこ とができる」と改正。改正により通信制の課程のみを置く高等学校が認められる ようになり,全国的に生徒を募集することもできるようになる。
第45条の2 「高等学校の定時制の課程又は通信制の課程に在学する生徒が技能教 育のための施設で文部大臣の指定するものにおいて教育を受けているときは,校 長は文部大臣の定めるところにより当該施設における学習を当該高等学校におけ る教科の一部の履習とみなすことができる。……」を付加した。
昭和36年現在,職業訓練法に基づく認定事業内職業訓練所は834施設で養成工6万 2千人,他に認定を受けていないものが約450施設,1万5千人と推定され,その 中で定時制又は通信制の課程に在学しているものは約1割と推定される。
文部大臣指定の基準は 1.修業年限3年梶度以上,年間800時間程度以上 2.技 能教育を行う指導員等が一定数確保され,かつその資格が半数以上高等学校教員免 許状を有するもの,またはこれと同等以上の学力を有する者と認められるものであ
ること。 (ただし,実習担当者の資格は相当程度緩和される)等である。
学校教育法の改正で定時制高等学校は産学共同の特色を強くあらわすようになっ
た。
附 記
く1)なお,参考までに定時制高校に関する基本的な統計を掲げておく。この統計は学 校基本調査報告書・文部省年報・文部統計速報をもとにして作成した。
〈2)調査に当った者は次の6名である。
飯田晃三 伊藤幸恵(以上教育学研究室)
川向秀武 高野貞夫 田中裕已(以上教育学専攻学生)比佐多希子(研究生)
(150) 高等学校定時制課程についての研究 く附表〉 定時制高等学校に関する統計
(1)学校数一設置者別
全日制
(独立校)
定 時 制 高 校 〈本 校〉 !定
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私立 総数
時制分校
A
定時制
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全定併置 A十B 国立 公 立
ミ
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F
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国立 公立 私立
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高等学校定時制課程についての研究
(152)
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高等学校定時制課程についての研究 (153)
2.教師から見た問題点
学校の教育は,教員によって大きく左右される。したがって教員の実態や意識をでき るだけ正確につかむことが必要である。そこでわれわれは,
「定時制の教員は,どんな問題に悩み,どんなことに関心を持っているか。」
という問題に焦点をしぼって調査を実施した。まず,従来この間題についてどんな研究 (1)
がなされてきたかを不充分ながら調査した。しかし,こうした研究はわずかであった。
生徒の実態や意識については,比較的調査研究があるのに,教員についての研究は非常 に少ない。これでは定時制の研究を進めるのに片手落ちになる。そこでまず,定時制の 教員にアンケートを出して,卒直な意見を書いてもらうことにした。
1 調査のねらい
調査のねらいは,定時制教員の悩みや関心がどこにあるかを明らかにすることであ る。したがって問題点は予想できぬ位広範囲にわたっていると思われる。そこで問題を あまり限定せず,自由記入で意見を書いてもらうことにした。しかし何の項目も立てな くては,かえって意見が出ないので,9つの項目を立てた。だから,始めから結果を統 計的に処理するつもりは全然なかった。またこの調査から,明確な結論を引き出す意図
もなかった。つまり明確な仮説を持って行う調査ではない。本格的な研究の手がかりを 見つけることがねらいである。
2 調査の方法
アンケートの用紙は次頁の如くである。
ここで右調査用紙作成上の考え方について,2,3説明を加える。
まず定時制の問題を教員という立場から見て,次のような3本の柱を立てた。
① 生徒指導上の問題 ②学校運営上の問題 ③ 教育行政上の問題
①については,細分すれば際限がないので,学習指導・生活指導(特に学級の)・進路
(154) 高等学校定時制課程についての研究 定時制高等学校の実態調査一教職員の部
東京都立大学人文学部教育学研究室
この調査は本学教育学研究室 付票
が昨年度行った大学夜間部の調
査に引き続き実施する定時制高「 1.性別 男女 2.年 令 才
等学校の実態調査の一部です。
この調査の対象となられた先1 生方は当研究室での任意抽出に
よって選ばれましたもので特別「一 な理由があって指定した訳ではi5°
ありません。 i
l6.
この調査は特に秘密を守り側 人の意見として発表したり被調i 査者である先生に御迷惑を及ぼ17・
すようなことはいたしませんか、
ら御自由に卒直にお書き下さい。
3. 担任教科とその週持時間数
−占2344
間
時
教科以外の
4. 担当校務
学級担任の有無無有担任年
教員経験年数
定時制の形態
置 併 …校制制制制他
…立日時時日の}
独全定定全そ一
)
)
)
(
(
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年〃〃
本分 校校
◎お書きになりましたら同封してある封筒に入れポストに投函して下さい。
1
2.
担任教科の学習指導上の困難点は何ですか。またそれに対する対策についても御意 見があれば書いて下さい。
学級担任上の悩みはどんな問題ですか。またそれに対する対策についても御意見が あれば書いて下さい。
3.進路指導についてはどんなお考えをお持ちですか。
4.父母や雇用主等と学校(教員)側との協力はどのようになっていますか。またそれ に対してどんな手を打ったらよいでしょうか。
5.定時制の施設・設備(備品を含む)についての御意見があったら書いて下さい。
6.定時制教員の勤務条件についてはどうお考えですか。特に全日制とくらべて見た場
7
合長所・短所はどうでしようか。
学校運営上(たとえぽ職員会議など)のことで問題点やそれについての御意見があ ったら書いて下さい。
8.定時制教員の人事について御不満や御意見があったら書いて下さい。
9.その他定時制教員としての御意見があったら何でも御自由に書いて下さい。
高等学校定時制課程についての研究 (155)
指導の3つを取り上げた。それらが質問の1・2・3番である。②の学校運営について はできるだけ日常の問題に焦点をしぼって,施設・設備,勤務条件・職員会議などの3 つを取り上げた。それらが質問の5,6,7番である。③の教育行政については,政策 論制度論のような大きな問題は取り上げなかった。これらはともすると,抽象論や常識 論に終ってしまい,あまり意味がなくなるからである。したがって教育行政については 一番問題となる人事についてのみ取り上げた。これが質問の8番である。なお以上の 外,定時制特有の問題として,雇用主や父母との協力について1項をもうけた。これが 質問の4番である。この項は,勤労青少年に対する職場や家庭の理解について・教員が
どんな意見を持っているかを調べるのがねらいであった。
以上で質問は8項目となり,さらに自由記入の項目も入れて・すべてで9項目になっ
た。
つぎにアソケ・一一・トの配布についてであるが,まず調査対象校の選定が問題になる。地 域は主として回収の便宜上京浜地帯を選んだ。参考までに京浜地帯から離れた神奈川県 0市の学校とその分校をも選んだ。また公立と私立の別では・生徒数から見て圧倒的に
郷掘腿んだ譜鵬校のみでなく牒課程の高校も臓た.絹凍京都立・・神
奈川県立・横浜市立の高校の中から,普通高校(分校も含む)5・工業高校3・商業高 校1,農業高校1を選んだ。
個々の教員の抽出については,1校10人以下におさえ82人に配布した。その抽出は・
名簿を参考にして,年令別・教科別に平均化するように注意した。したがって個々の調 査対象者まで完全に調査者できめてしまったわけである。
アソヶ一ト用紙の配布については,その学校に知人がいる場合はその人を通じ,そう でない場合は定時制主事を通じて配布した。
回収の方法は,アソケートの文面にもあるように・直接郵送してもらうことにした。
したがって個人の秘密は厳重に守られている。
3 回収状況
配布数82に対して,回収数33で,回収率は40%であった。なお学校別回収状況および 回収した教員の教科別・年令別・男女別・学級担任別数の表を,参考までに掲げると,
第1表から第5表までのようになる。
(156)
〈第1表〉
高等学校定時制課程についての研究 配布数・回収数・回収率
調査校】
Il
1配布数
A7
回収数 5
L『野7・
B皿9㎜0.0
)
E商
(…
D⊇
×…
c農
0 0 1
5 1
1 6
20i60
4 40
F工94
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44
東京計 50
@20
40
G
(工)
10一5
H
Qσ一4
IHの分校
QU一9一
50 44 67
J一10一2}20 神奪川合計
32 82 13 33
『一41140
〈第2表〉教科別回収数
薮科油
一一li一
1回鱗5国・
社馴理理・数
一〕 −1
2 1
型躯・保
・1・
英 家 体
3 2
工
318 商社・商・1・
計 33
〈第3表〉年令別回収数 〈第4表〉
男型.一劉郵計
…回収墾i.§・131…33
男女別回収数
齢黙騨塾5・代、計
1回収数/9
[ il 1514 5 33 1
女は50代が2人で,ともに 家庭,20代が1人で社会科
〈第5表〉学級担任別回収数
恒倒一年 二年 三年
回収数 4 8 6
四 年一・・二年 一5 「、
無 8
不 明
1
計 33
4 回答にあらわれた教員の意見
全般的にかなりよく意見が述べられている。
まったく無記入……・………・……・………・…・・…・………・…・………1人 1問以上4問までの項目に答えたもの…………・…・…・………・・…・……2人 5問以上8問までの項目に答えたもの………一・・………一一・……15人 全部(9つ)の項目に答えたもの…・・………・…・………・……・…………15人 特に6人のひとは,B4版2枚つづりのアンケ・一ト用紙に一ぽい記入して下さった程 である。その他も余白が少ないものがかなりあった。以上のことから,回答を寄せた教 員の大部分は,こうした問題に関心が深いといってよいであろう。
っぎに一つ一つの質問について,どんな意見が寄せられたかを概観する。
第1問 担当教科の学習指導上の困難点は何ですか。またそれに対する対策について
高等学校定時制課程についての研究 (157)
も御意見があれぽ書いて下さい。
この質問については,1名を残して全部の人が答えている。主な内容を上げてみよう。
学力差が大,学力の低い者が多い……・・……・……・・…………・………13人 設備などの不足…………・……・…・・………・…………・・……・…・…………11人 予習・復習の時間がない…………・……・・…・…………・…・・………・…・…7人 学習意欲の不足…………・……・…………・・……・…………・………6人 遅刻・欠席が多い・………・…・…・……・………・…………6人 ことに学力の低いことについては,教師の悩みは大きいようである。たとえば,
「全日制のような選抜された生徒ではないので……」(42才・工業)
「どんな教科書を採用しても,全日制を標準としたものであり,……定時制にはとて も無理な……」 (39才・国語)
などのような指摘がある。また学習意欲の不足については,
「数学の問題を自分で解いてみようとしない。またその意欲が失われるような環境に.
ある。対策なし。」(39才・数学)
のような極端な悲観論もある。またこうしたことは知的教科のみでなく,体育の場合も 「体力が定時制の生徒はまちまちなので指導上非常に困ることがある。」(26才・体育〉
のように能力差の問題があるらしい。
以上のように学習指導上の教員の悩みは大きい。ではその対策についてはどうか。こ れについては割合記入が少なく,14人しか書いてなかった。主なものを上げよう。
教材の準備など教師の指導技術の工夫
1学級の人数を減らし,個別指導を強化する 能力別クラス編成
能力の低い者はテクニカルなことに重点をおく。(工業の場合)
雇用者の理解を深め,学習時間を与える。
いずれもむずかしいことであろう。教員個人の努力でできることは指導技術の工夫だ が,それとても教員の時間的負担・施設の問題などがあって,容易ではあるまい。
第2問 学級担任上の悩みはどんな問題ですか。またそれに対する対策についても御 意見があれば書いて下さい。
これについては26人が記入しており,様々な問題が指摘されている。比較的共通点の
(158) 高等学校定時制課程についての研究 ある問題は次の3つであった。
生活指導のための時間不足………・・……・……・……・・………8人 職場の悪影響を学校に持込む(たとえば酒・タバコなど)………・−3人 遅刻・欠席が多い・………一…・…・…・…・…………・………・…・・…………3人
その他のいろいろな問題については,書かれたままの文章で2,3紹介しよう。
「経済的にめぐまれないなど,家庭環境の悪い生徒が多い。職場での対人関係・雇用 主の考えとのギャップに悩む生徒が多い。また下宿の安定しない生徒が多い。」(24才
理科)
「生徒が担任にたよりすぎ自主性を失いやすい。」(31才・工業)
「ホームルームの際・発言する生徒が一部のグループで,それらによってクラスがひ っばられていく。残る生徒は無気力と非協力。」(26才・社会)
「男女互に排他的なことが多い。」(31才・理科・数学)
「生徒には純粋に思考し行動するような良い若さよりも,イージーゴーイングを世渡 りの術と考える者が多い。」(26才・英語)
「一般に知能指数も低く,極端なエゴが多い。」(46才・社会)
「定時制の父兄は大部分が社会的劣等感を持っているし,自分の子どもに対して,遠 慮があるので,思いきったことが言えない。……一部の熱心な父兄を除き,学校に対 する関心が非常に低い。」(33才・国語)
「問題生徒ほど学校と家庭の連絡が不充分であり,家庭訪問しても,一家中働きに出 て夜でないと家にいないが,その時は学校が授業中である。」(42才・工業)
「担任の業務が繁雑である。よって学級経営の勉強の時間も少なく,生徒を把握する ことが困難である。」(31才・工業)
「授業料徴集に責任を持たせられるのが一番困る。教師の乏しい給料から立替えたこ ともある。」(38才・工業)
「定時制の学級担任は民生委員以上である。即ち,職業・アルバイトの紹介,月謝の 心配,小遣いの使い方に至るまでせねぽならぬ。対策,月給以外の上記経費に対する 適切な補助。」(28才・工業)
以上のように実にさまざまな問題をかかえている。さらにこうした実態の上に教師と生 徒の意識のずれについて,
高等学校定時制課程についての研究 (159)
「(教師と生徒が)生活環境が異り,意識のずれがある立場ですから,異和感というも のは常に抜けきれません。」(28才・英語)
という悩みもある。ではその対策についてはどうか。これは容易ではないので,はっき りと対策を述べているのは,たった6人であった。その主なものを上げてみよう。
「何でも相談をもちかけられるようなムードを担任の方で用意し……」(28才・英語)
「教育的業務と事務的業務を区別し,事務的業務は事務で行うようにして教師が生活 指導に専念する。」(31才・工業)
「もっと家庭訪問や職場訪問の時間がほしい。」(41才・工業)
「日曜・休日を利用してレクリエーショソ・家庭訪問を充分行うことによって,人間 関係がある程度よくなる。」(27才・工業)
しかし根本的な問題としては,
「社会全体が成長期にある青少年に対してもっと教育的な指導をしてほしい。」(30才 ・英語)
のような指摘が本質をついているかとおもわれる。
第3問 進路指導についてはどんなお考えをお持ちですか。
これにっいては28人が答えているが,圧倒的に多いのは,就職の場合の「全日制と定 時制の差別」である。つまり大会社の定時制出身者のしめ出しを指摘したものが14人に 達している。しかしこの事情は,工業高校では若干緩和されているようで,
「卒業時の転職については,全日制の就職係と緊密に連絡しているので大体全定同一 の歩調で進めている。」(42才・工業)
のような楽観論もある。では全定差別問題の対策についてはどうか。
「大会社よりも中小企業のほうをすすめ,将来独立できるよう腕をみがくように言い ます。」(28才・英語)
「定時制でも受験できる公務員試験を受けることをすすめる。」(30才・英語)
のような考えと,大学進学をすすめる考え,
「能力のある子には大学進学をすすめたいが,経済上の壁がすぐ前にたちふさがる。」
(24才・理科)
があり,そのためには,
「国立大学にも夜間部を置いてほしい。1(31才・理科i数学)
(160) 高等学校定時制課程についての研究 となる。もちろん根本的な問題は,
「卒業後の就職の場合の機会均等と卒業後引続き勤務する者に対しての任用替などに よる登用の機会を与える。」(40才・社会・商業)
であり,学歴より実力を重じる社会を望むことに落ち着くであろう。
第4問 父母や雇用主等と学校(教員)側との協力はどのようになっていますか。ま たそれに対してどんな手を打ったらよいでしょうか。
最近では雇用主が定時制通学を嫌うことは少なくなったようではあるが,一部には,
「大会社はむしろ夜間の通学を禁止している状態なので,生徒は内緒で通学している 有様だ。中小企業の雇用主は比較的協力的だ。定時制は中小企業の従業員が対象とな って行くだろう。」(38才・工業)
というような問題もある。
さて雇用主との協力だが,具体的には雇用主との懇談会を持っていると述べているも のが10人もいた。しかしその実態は,うまく行っているとする者もあれば,出席者が少 なく効果が上らないとする者もあった。また生徒の中には住込みや下宿が多いせいか,
雇用主との懇談会を父兄会より重く見ている教員もいた。
父母との連絡についても,父兄会を定期的に行っていると述べたものが9人あった。
しかしそのうち6人は一部の父兄しか出席しないと述べている。また家庭訪問を行って いると述べたものは3人であった。
では対策についてはどうか。あまりはっきりした意見は少ないが要約して紹介する
と,
教師の職場訪問を強化する。
家庭訪問・職場訪問の時間と費用を教師に与える。
父母・雇用主との連絡を専門にするカウンセラ・一一・をおく。
住込みの生徒の場合は雇用主との連絡を特に重視する。
などであるが,ややニュアソスの違ったものとして,
「雇用主や親との協力も必要だが,大切なのは結局本人の自覚より他にないと思う。」
(30才・英語)
という意見もある。
また制度に関する問題として,
高等学校定時制課程についての研究 (161)
「会社の仕事を単位に繰り入れてやる。」(28才・工業)
があるが,なかなかむずかしい問題であろう。
第5間 定時制の施設・設備(備品を含む)についての御意見があったら書いて下さ いQ
これも教員の毎日の仕事に関係があるせいか,31人が回答している。比較的共通した
問題は,
「大部分の設備は全日制との共有であるが,定時制独立の設備がほしい。」(24才・理
科)
のように全定共用についての不満であり,5人がこのような意見を述べていた。しかし 反対の考え方もあり,
「本校では施設・設備は全定共用を建前とし,特に工業科のための実験室共用が行わ れているが,担当者同志の連絡が充分に行われてうまくいっている。」(42才・工業)
のように,必ずしも全定共用がうまく行かないとも限らないようである。
その他2人以上が指摘した問題点は,
視聴覚教具の充実……・…………・・…………・・……・・…・………・…………4人 照明施設の充実………・…・…・……・………・………・……・…・……・………3人 体育用具・施設の充実………・・………・…・・…………・…・…・…・…3人 図書館の充実・………・………・2人 運動場を広くする・…………・……・……・…・………・………・……・…・…………3人 などであり,その他教具・厚生施設・校舎建築・特別教室など,さまざまなことが述べ
られてあった。結局定時制の施設・設備は,PTAにたよれない関係もあって,まだま だ不充分な面が多いようである。
第6間 定時制の勤務条件についてはどうお考えですか。特に全日制とくらべて見た 場合,長所・短所はどうでしょうか。
これについては,拘束時間が短い定時制を楽な勤務と考える人もあろうが,実際はそ うではないらしい。回答を見ると,長所のみを指摘したものは1人もない。また26人の 記入者全部が,いずれも強く短所を指摘している。以下長所・短所の主なものを上げよ
う。
長 所