平成17年度日本自転車振興会補助事業
デジタルコンテンツ産業動向調査研究事業
デジタルコンテンツに関する 産業動向調査研究報告書
平成17年9月
財団法人デジタルコンテンツ協会
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
目次
1)コンテンツ産業の市場規模とデジタル化が進む各分野の産業構造 1.産業の構造
(1)コンテンツ産業の市場規模
(2)デジタル化するメディアとコンテンツ ①デジタルコンテンツの市場規模 ②デジタルコンテンツ関連市場規模 2.コンテンツの各分野別動向
(1)映像
①映像コンテンツ ②映画
③テレビ番組 ④アニメーション (2)音楽
(3)ゲーム
(4)図書・新聞、画像・テキスト 3.コンテンツの流通メディア別動向 (1)パッケージ流通
①映像ソフト販売 ②音楽ソフト販売 ③ゲームソフト販売 ④図書販売
(2)インターネット流通
(3)インターネット対応携帯電話流通 (4)拠点サービス流通
①映画館 ②カラオケ
③アーケードゲーム (5)放送
①テレビ放送 ②ラジオ放送 第一章 資料
2)世界での日本製コンテンツ公開状況
アメリカ・欧州・アジア(中国、韓国、台湾)
1.アメリカ
(1)アニメ(映画・映像ソフト)
(2)実写映画 (3)ゲーム
2.欧州
(1)アニメ・マンガ
3.アジア (1)中国 (2)韓国・台湾 (3)音楽
3)各国のコンテンツ市場比較
日本・アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・中国・韓国・台湾
■コンテンツ産業の市場規模とデジタル化が進む各分野の産業構造
2003年から2004年の日本の「コンテンツ産業の市場規模」は、各産業団体等の公表値を元に推 計した結果、13兆3,362億円の規模となった(図表1参照/注1)。この規模は過去5年間おおむ ね変化しておらず、人口や経済動向と同じく動きのないものとなっている。一方、このうちの「デ ジタルコンテンツの市場規模」は 2003年暦年から 2004年暦年に 11.1%成長し、2兆 4,685億円 となった(図表7参照/注2)。このデジタルコンテンツの市場は過去年間10%程度の伸びを続け ており、コンテンツ産業のデジタル化の進展を示すものとなっている。
ゲーム、音楽CDなど既にデジタルソフトとなっているパッケージメディアはもとより、映像分 野でビデオからDVD へソフトのデジタル転換が進み、図書・新聞でも、デジタルソフト化、オン ライン化が進んでいる。また、インターネットや携帯電話がコンテンツ流通の重要なメディアとな り、放送や映画上映でもデジタル化の取り組みが進行している。一方、映像、音楽、ゲーム、画像・
テキストのコンテンツは、あらゆる分野の制作でデジタル化が進み、完成したコンテンツもデジタ ルデータとして扱われ、多メディアで流通するようになってきた。
デジタルコンテンツは、AV機器、PC等の7兆6,177億円のプロダクツ市場や、ネットワーク接 続等3兆2,514億円のサービス市場(図表8参照)などのデジタルコンテンツ関連産業にも波及効 果をもたらすものだが、今後のコンテンツビジネスにとって、従来のアナログメディアのデジタル 化の進行を見極めながら、デジタルコンテンツの制作コスト、流通コストを適正化して、多メディ ア展開による回収率を向上させることが鍵となっている。
注1:本推計は各産業団体発表の数値を元に推計を行ったものだが、2003年度・2004暦年の数値 の両方を用いている
注2:本推計は暦年の数値
1.産業の構造
(1)コンテンツ産業の市場規模
日本のコンテンツ産業の市場規模は総計13兆3,362億円で、このうち図表2で下線表記となっ ている、デジタル化されたメディアを通じ利用者がコンテンツに対して支払った金額、すなわち「デ ジタルコンテンツ市場」は2 兆4,685 億円である。これと下線を破線とした関連市場については、
「デジタル化するメディアとコンテンツ」で詳しく述べる。
本調査研究では図表2のようにコンテンツを、映像、音楽・音声(ラジオ放送)、ゲーム、図書・
新聞等(図書・新聞をはじめ画像・テキストによる表現と、放送以外の雑誌、新聞、インターネッ ト、携帯の広告)に分類しており、これらは動画・静止画・音声・文字・プログラムなどの表現要 素によって構成される。
メディアは、パッケージソフトの出版・発行・販売による流通、インターネットのアクセス・配 信による流通、インターネット対応の携帯電話による流通、映画館・カラオケ・アーケードゲーム などの拠点サービスによる流通、テレビの地上波・衛星・CATV やラジオによる放送に分類され、
コンテンツの流通を担っている。
図表3の「コンテンツの分野別割合」では、雑誌・書籍・新聞にオンラインデータベースなど合 わせた図書・新聞等の分野が42.6%を占め、次いで映像ソフト、映画興行、テレビ放送に、映像配 信を合わせた映像分野が約35.5%、残りが音楽・音声(ラジオ放送)とゲームとなる。図表4の「メ ディアの分野別割合」では、映像・音楽・ゲームに図書・新聞を加えたパッケージソフトとしての 流通が半分以上、放送が3割弱、次いで拠点サービス流通になり、インターネットや携帯電話によ る流通はごくわずかである。
しかし、コンテンツ産業全体の中で成長しているのはDVD という新しいメディアによるデジタ ルソフトのセル(販売)・レンタルと、インターネットや携帯電話によるコンテンツ利用など新し いデジタルコンテンツをデジタルメディアで提供する分野のみである。逆に図書・新聞や、デジタ ルソフトであっても音楽 CD、家庭用ゲームソフトなどは、横ばいあるいは減少している。また雑 誌収入の23.3%、新聞の32%、民放地上波放送の85.6%を占める広告による収入も横ばいだが、
インターネット広告、携帯電話広告は伸びている。
このようにコンテンツとメディアの関係は、大きな変化の時期を迎えている。新聞・図書・映画・
ラジオ・テレビなど、アナログのメディアが主であった時代には、コンテンツはメディアの特性に 応じて制作され、新聞記事・小説・映画作品・ラジオ番組・テレビ番組などのコンテンツは、それ ぞれのメディアに専用のものであったが、メディアのデジタル化、ネットワーク化により、例えば 新聞記事をインターネットで閲覧することが可能になり、映画のマルチウィンドウ展開では劇場、
DVD、テレビ放送に加え、インターネット配信や携帯電話配信などで流通が行われるようになった。
そうした変化は、コンテンツを創り出し、権利を保有するコンテンツ産業と、これを流通するメ ディア産業の分化をもたらしている。コンテンツ産業は、制作者・著作者と資金を出資する製作者、
流通への権利を持つ権利保持者(コンテンツホルダー)から構成される。またメディア産業は、コ ンテンツの出版・発行・販売を行う出版社、メーカーと卸・小売、またネットワーク上で配信を行 うコンテンツプロバイダーと、課金・伝送などを行うネットワークサービス事業者やキャリア、映 画の配給・興行、カラオケ・アーケードゲームなどのサービス店舗、放送事業者などからなる。し かし、このコンテンツとメディアの産業構造上の分離は、それぞれの歴史や社会性によって一様で はない(図表5)。
映画会社はかつて制作部門を内部に有していたが、映画が劇場上映のみならず、テレビ放送、映 像ソフトといった複数の利益回収手段を確保するようになると、映画製作・配給・興行の合理化が 求められ、映画会社は配給機能に特化し、制作部門は独立プロダクションとして分化した。現状の 映画製作は映画会社・テレビ局・ビデオソフト会社が出資し、プロダクションは制作のみの立場に 置かれることが多い。放送事業者は流通を担う一方、番組の製作資金を負担し権利保持者となり、
制作も外部と共同で行うことが多い。また図書の場合は、著者が執筆し、出版社が編集・装丁・印 刷して発行・出版し、卸を通じて書店がこれを販売するという分業が確立しているが、著者がメデ ィアから独立してオンライン出版など自由にメディアを選択して流通を行うことは容易ではない。
新聞社は制作から発行、販売までを自社内および系列販売店で行い、記事の権利を保持している。
音楽やゲームにおいてもレコード会社、ゲーム会社などのメーカーは、販売元であるとともにコン テンツの製作資金を負担し制作にかかわり、権利保持者となることが多い。
このように旧来のメディア資本が、コンテンツ制作の資金を出資して製作者となり、流通への権 利を保持し、かつ自社のメディアを優先した出版・発行・販売・配給・放送などで流通を独占して いることが、コンテンツの多メディア流通を阻害しているといわれている。
また、国内のメディア市場に対するコンテンツの出荷高や販売高などは推計できても、その製造 原価に当たるコンテンツの生産高の推計は困難である。流通を担うメディア企業が製作出資をして 権利保持者となることにより、流通と権利保持者間の収入の配分や、制作者・著作者ヘの配分の決 定権を有していることが多く、その料率は一様でなく、また公開されていないため、コンテンツの 生産高や制作者・著作者の収入は明らかではない。
一方、海外との関係を見ると、コンテンツの輸出産業として位置しているのはゲーム産業のみで ある。逆に国内のメディア市場では、映画の興行収入の62.5%が洋画の収入、オンラインゲームで は国内提供タイトルの57%が海外ライセンスタイトル、音楽ではCD売上の約 28.2%が洋楽であ る。モノの輸出入の統計である貿易統計によるDVD、CD、図書などパッケージコンテンツの輸出 入は、図表6の通りだが、コンテンツの海外取引は海外との権利の販売・購入として行われること が多い。しかしこの権利販売・購入高は、映像・音楽・ゲームなどコンテンツのジャンルを問わず 公表されておらず、推計が困難である。
日本の強みとされるマンガ、アニメーションでは、国内の週刊誌販売の15.2%、書籍販売の4.5% をマンガが占め、DVD出荷の19.3%が日本製アニメーション、邦画興行収入のうち上位20位に入 った日本製アニメーション映画だけでも 48%を占め、テレビ放送の 2004 年冬の改編では毎週 95 本のアニメ番組が放送(日本動画協会発表)されている。マンガ、アニメーションは、インターネ ットや携帯電話での配信でもキラーコンテンツとされ、ネットワーク対応が進むゲームと並び、多 メディア化を先導していると言うことができる。またマンガ、アニメーションなどのキャラクター を使った商品の小売市場は、2003年に 1兆7,000 億円(キャラクターデータバンク発表)といわ れ、玩具・食品・衣類・文房具などの産業とかかわっている。
このようにマンガ、アニメーション、ゲームをはじめとする日本のコンテンツ産業は、多様な産 業に大きな波及効果をもたらす中核的な位置付けにあるが、課題も多く、デジタル化、ネットワー ク化により多様なメディアを選択し、自立した先導的なビジネスを展開できるメディア環境が求め られている。
(2)デジタル化するメディアとコンテンツ
①「デジタルコンテンツの市場規模」
本調査研究で扱うデジタルコンテンツ市場は、デジタル形式で記録されたコンテンツを対象とし、
エンドユーザーに対する暦年1年間の売上金額を「市場規模」として把握したもので、過去から同 じ指標での推計を続けてきている。図表7は、DVD等の形態で流通するパッケージ流通コンテンツ、
インターネットを利用して流通するコンテンツ、インターネット対応携帯電話で流通するコンテン ツ、デジタル放送向けコンテンツと、メディア分野別に4区分し、これとクロスする形でコンテン ツ分類として「映像」「音楽」「ゲーム」「図書、画像・テキスト」の4区分に分類した市場規模 を推計したものである。
2004年の「デジタルコンテンツの市場規模」は2兆4,685億円となり、昨年から11.1%の伸びとな った。この市場は毎年10%近くの伸びを続けており、毎年2,000億円台のペースでアナログメディ アからの転換が図られてきた状況を呈している。
特に拡大が注目されるのは、パッケージの映像市場でのDVDのセル・レンタルである。DVDプ レーヤーの世帯普及率は35.4%となり、セル・レンタル合わせた市場は前年に比べて約1,700億円 拡大した。レコードからCDヘの転換では、CDプレーヤーが世帯普及率の50%を超え、音楽ソフ
トが出荷割合の80%を超えるまでに約8年を要しているが、ビデオからDVDへの転換もこれと同 じペースで進行してきたといえる。2005 年以降はこの伸び率は幾分低くなると考えられ、このこ とがデジタルコンテンツ市場全体の伸び率の成長予測を低いものとしている。その他、音楽、ゲー ム、図書等のデジタルパッケージソフトは、一様にマイナス成長か低い伸び率にとどまっている。
インターネットによる流通では、音楽配信、オンラインゲーム、電子書籍等の分野を筆頭に成長 しており、オンラインデータベースは既に成熟した市場となっている。またブロードバンドの普及 で、映像系コンテンツの成長が期待されている。
携帯電話による流通では、着信メロディ、「着うた」に、「着うたフル」を加えた音楽配信の市 場規模が1,000億円を超えたことが注目される。その他、映像・画像の配信、テキスト系コンテン ツやゲームも、着実に市場を拡大している。
デジタル放送の市場は、エンドユーザーの視聴料負担だけとるとわずかな伸びだが、地上波放送 のデジタル化をはじめ放送のデジタル化が進行しており、これによるコンテンツ産業全体の変化が 注目されている。
コンテンツの表現において、かつて映画は文学、音楽、美術などの要素を融合した総合芸術とい われたが、現在のデジタル技術を用いた表現ではあらゆるコンテンツ分野で動画・静止画・音声・
文字・プログラムなどの構成要素の複合化が進んでいる。コンピュータプログラムで映像をインタ ラクティブにコントロールするゲームという表現は、この20~30年で日本から世界を席巻して新 しいコンテンツのジャンルを確立した。
同時にコンテンツの制作体制も大きく変化し、映画、アニメーション、テレビ番組、マンガ、図 書、音楽、ゲームの制作・著作・編集など、あらゆる制作の現場にデジタル技術が導入されている。
また、デジタルメディアやデジタルネットワークの普及は、コンテンツの流通に多メディア化を もたらし、一つのコンテンツ生産に対して多様なメディアで流通して同時に利益回収を行うのが一 般的になってきた。これによりインターネットや携帯電話などの新しいメディアは市場を拡大して きているが、既存コンテンツの二次利用ビジネスを脱しきれていないのが現状である。今後はイン ターネットや携帯電話での回収を多く見込んだコンテンツに、旧来のメディア資本以外が出資し、
多メディアに開かれた流通を促進していくビジネスが、デジタルを取り巻く周辺市場を含めて進行 していくとみられる。
②「デジタルコンテンツ関連市場規模」
「デジタルコンテンツ関連市場規模」(図表8)のうち、「プロダクツ市場」では、デジタル放 送受信端末、DVD プレーヤー/レコーダー、カーナビゲーションシステムに加え、ゲームハード メーカー大手2社の新製品発売によりゲーム機の携帯型端末の分野が拡大した。またここでは集計 対象としていないが、iPodをはじめ、デジタルオーディオプレーヤー等のヒット商品も登場した。
しかしながら、携帯電話機、デジタルビデオカメラ、CD/MDプレーヤー、据置型のゲーム機等は 前年割れで、全体の市場としては横ばいである。
「サービス市場」では、インターネットの通信回線料、電子決済サービスなどが高い伸び率を続 けており、2004年にはインターネットと携帯電話の広告が 1,800 億円を超え、ラジオ広告を上回 ったことが話題となった。この市場全体で前年比11.5%増となって拡大を続けている一方、様々な サービスが新たに参入している。
これらのプロダクツ、サービスからなる「デジタルコンテンツ関連市場規模」は合計10兆8,691
億円となっており、デジタルコンテンツはコンテンツ産業のみならず、関連市場に大きな波及効果 を持つものとなっている。
2.コンテンツの各分野別動向
(1)映像(映像コンテンツ/映画/テレビ番組/アニメーション)
①映像コンテンツ
映像コンテンツの流通別の売上割合は図表 9 のように、テレビ放送によるものが圧倒的に多く、
次いでパッケージソフト、映画興行となり、インターネットによる映像配信、携帯電話による映像・
画像配信はごくわずかである。
図表10のように、テレビ放送では地上波128社(NHK・キー局・地方局)と、BS 7事業者、
CS 184チャンネル、CATV 571事業者があり、事業収入合計3兆5,843億円、うち民放地上波局 には2万4,419人が従事している。これにより関東地方では年間合計272万2,000分の民放地上波 テレビ番組が放送されている。これらのテレビ番組の制作には、局の制作担当者に加え、番組制作 プロダクションや撮影・編集スタッフ、美術制作、出演者等多くの外部スタッフが参加している。
テレビCMはスポンサー企業の依頼により、広告会社を通じてCM制作会社が制作し、テレビ局 との契約により関東地方で年間約2,500万秒放送されている。テレビの広告業務を扱っているのは ごくわずかの大手広告会社に限られており、逆に多くの広告会社やCM制作会社はCMに加えPR 映像の制作を受注している。
映像ソフトは、日本映像ソフト協会加盟社37社を含め約200社のメーカーより、家電量販店や レコード店、コンビニ等3万5千店の小売店と全国約6千店のレンタル店に出荷され、2004年の 映像ソフトの市場はすべて合わせて8,873億円、そのうちDVDが72%を占めるに至っている。
インターネットやブロードバンドで映像配信を行う事業には映像ソフトメーカーなどが参入し ており、昨年は人気の韓国ドラマの配信などが行われ、173億円の収入となっている。
携帯電話による映像・画像配信の市場は、第3世代携帯の普及とともに伸び、既にインターネッ ト映像配信をしのぐ314億円の市場となっているが、移動中の視聴環境や画面サイズ、画質を考慮 した、携帯電話向けの映像コンテンツが求められている。
映画は、邦画製作大手5社をはじめ洋画および独立系配給会社約100社が配給し、2004年には スクリーン数が144増の全国2,825スクリーンで上映が行われている。2004年には邦画310本・
洋画 339本が公開され、興行収入は 2,109 億円、うち邦画興行収入は791億円、さらにこのうち 381億円が上位20位以内の日本のアニメーションの興行収入である。
以上、映像産業全体の市場規模は4兆7,312億円である。
映像コンテンツの制作を行う会社は、独立系映画プロダクション、アニメーション制作会社、テ レビ番組制作会社、CM制作会社などメディア別に分けることもできるが、兼業している会社も多 く、これらの映像制作会社は約 2~3千社ある。また制作の工程別に、企画・制作進行を行うプリ プロダクション、撮影スタジオ・ロケーションサービス、編集スタジオ・ポストプロダクションと 分けることもできる。CG制作を専業にしているプロダクションもあるが、そのほか多くの映像プ ロダクションでハイビジョンを含むデジタル撮影、デジタル編集を取り入れる方向であり、フィル ム撮影された映画も編集段階ではデジタル変換をしながら制作されることが多い。それ以外に映画 監督、アニメーション監督、シナリオ作家をはじめ、カメラマン、編集マン、美術など個人事業者 として制作を行う者も多く、およそ2~3万人程度と推計される。
②映画
映画興行の入場者数は、1958年に延べ入場者数11億2,745万人を記録して以来、減少傾向にあ
るが、映画作品の映像産業への影響力は大きい。映画興行による収入は、全体で2,109億円、邦画 のみで791億円、アニメーションを除く実写映画では410億円である。
しかし、映画コンテンツは、テレビ、ビデオの登場とともにマルチウィンドウ展開が行われるよ うになっており、劇場公開に加え、映像ソフトのセル・レンタル、有料のテレビ放送、地上波によ る無料放送、さらにブロードバンドや今後は携帯電話による配信など、多メディア展開に向ってい る。
その仕組みは、興行収入の約半分となる配給会社の収入から配給手数料と宣伝・プリント費を差 し引いた上映権の収入と映像ソフト化・放送の権利収入が、製作者に回収される。図表 11 による 試算では、実写の日本映画の純粋な制作費は100億~150億円前後となり、日本ではこれにより年 間で 300 本以上の映画が公開されている。ハリウッドでは一作に 100 億円という制作費がつぎ込 まれるのに対し、邦画の制作費は平均5,000万円以下、大作でも10~20億円といわれる。
日本の映画製作では配給会社、映像ソフトメーカー、テレビ局、広告代理店などからなる製作委 員会が出資して共同で製作者となること(製作委員会方式)が多く、実際の制作に当たるプロダク ションや監督・クリエイターは権利売上に対する利益分配にかかわらずに、制作費からのみ収入を 得ている場合もある。
こうした厳しい環境にもかかわらず、邦画は興行収入に占める割合を1/3以上に維持し続けてお り、2004 年には『世界の中心で、愛をさけぶ』の大ヒット、『スウィングガールズ』などの健闘 で入場者を確保する一方、カンヌ国際映画祭で『誰も知らない』、モスクワ国際映画祭で『ホテル ビーナス』が受賞するなど国際的にも注目された。
洋画が『ロード・オブ・ザ・リング』、『ハリー・ポッター』など国内興行収入100億円以上の 大作でシェア獲得を目指すのに対し、邦画では、『NIN×NIN忍者ハットリくん THE MOVIE』、
『CASSHERN』、『ゴジラ』、『感染/予言』、『デビルマン』、『ゼブラーマン』、『CUTIE HONEY キューティーハニー』など、コミックのリメイク、CGと実写の融合、ホラー・SFの分野で新しい 取り組みがなされており、海外でも『呪怨』や『Shall We ダンス?』のリメイクが公開されヒッ トするなど、評価の対象となっている。
日本の映画作品はフィルムセンターで保存=アーカイブ化され、また過去の日本映画のデータベ ース化の取り組みもなされているが、その整備や活用は十分ではない。
③テレビ番組
テレビ放送は、その市場に占める割合から言って、最も普及したメディアであり、テレビ番組は 最も親しまれているコンテンツである。昨年の地上波テレビ番組視聴率のベスト 10 は、「紅白」
を筆頭に、台風時のニュース、芸能バラエティ、サッカー、ドラマ、オリンピック、映画『ハリー・
ポッター』と続き、テレビらしい順当な順位といえよう(図表12)。
一方、昨年より地上波テレビのデジタル化が進められ、テレビ受信機器の買い替えは進んでいる が、今のところエンドユーザーに視聴スタイルの変化はもたらしてはいない。
しかし制作に携わるプロダクションでは、デジタル対応の制作体制への移行を進め、アニメーシ ョンプロダクションではテレビ局とのフォーマットの詰めに入っているという。
こうしたデジタル化によって、テレビ番組のコンテンツとしての多メディア利用が期待されてい るが、前述の高視聴率番組などは、いずれも放送時のタイムリー性や権利の問題から、多メディア での二次、三次の利用は容易ではないと考えられる。現在、民放地上波テレビ番組は、キー局では
90%以上が自社製作番組を放送しているのに対し、在阪局では30%前後、その他の地方局では10% 程度で、ほとんどの番組はキー局製作で、かつキー局が権利を保有するものとなっている。テレビ 番組はもともと一回だけの放送に対してより多くの視聴者を集めるためのものであり、制作者、出 演者、著作者や、音楽利用、スポーツの放送権などの契約も、放送のみの利用に限定した考え方と なっており、過去のテレビ番組の活用を困難にしている。
このためテレビ番組は、各局や放送番組ライブラリーで保管されているが、データベース化やア ーカイブ化がなされておらず、膨大な番組が再利用されないままとなっている。また、制作に参加 した外部のプロダクションや出演者はマルチユースに対する恩恵にあずかりにくい環境となって いる。このため、番組制作プロダクションや芸能プロダクションの中には、映画、映像ソフト、イ ンターネット配信、携帯電話配信などの新たなメディアに向けた映像制作を行い、テレビ番組以外 の映像コンテンツビジネスに取り組もうとする動きもある。
しかし地上波局、衛星放送なども自らインターネットによる配信を開始し、さらに衛星放送番組 では、有料衛星放送から、映像ソフト、地上波とメディアを広げるマルチユースの取り組みが見ら れるようになっている。総務省の情報通信政策研究所の「メディア・ソフトの制作及び流通の実態」
の報告によると、衛星テレビ番組のマルチユースがこの間大きく伸びていると報告されている。
またテレビ放送に付随した分野に、CMやPR映像がある。テレビCMは映像制作の中では、映 画と並んで高いクオリティが求められ、またスポンサー企業と制作者、出演者の間の契約により、
インターネットなどで視聴することも多くなっている。CM制作は「全日本CM放送連盟」加盟の 119社などが行っているが、CM制作と同時に、映画やゲームなどの映像制作を手掛ける監督やプ ロダクションも多い。
④アニメーション
日本のアニメーションは、マンガ、ゲームなどとの関連が深く、映画、テレビ、映像ソフトに加 え、インターネット、携帯電話など多メディア展開が進展している。海外からも高い評価を得てい るが、最近は制作・流通ともに市場に対して過剰であると懸念する声も聞かれる。
アニメーションの流通は、2004年に劇場公開された上位20位以内の作品で381億円の興行収入 となるアニメーション映画と、30 分 1話当たり約700万~1,200 万円程度で制作されるテレビ番 組(2004年秋期には毎週122タイトル、冬期には95タイトル:日本動画協会発表)の放送、これ らを二次利用して2004年にDVD出荷の19.3%となった映像ソフト販売によって行われている。
図表13のように、これによるアニメーションの売上は約2,609億円、アニメーション制作プロダ クションにもたらされる制作高は約833億円と推計される。
アニメーション映画では、昨年から本年にかけて『ポケットモンスター』、『ドラえもん』、『名 探偵コナン』などの定番に加え、押井守氏、大友克洋氏、宮崎駿氏などの著名監督の大作公開が相 次ぎ、またモーションキャプチャーやCGを用いた『APPLESEED』、および映画の項で述べた実 写・CGの融合作品が注目された。地上波テレビでは深夜の時間帯の大人向けのアニメーション番 組、アニメーション専門の衛星チャンネルが定着したのに加え、衛星で新作を公開し、地上波をは じめ多メディア展開を図る作品も見られる。また、ブロードバンドでのアニメーション配信サービ スも人気となり、携帯電話を通じた動画配信でもキラーコンテンツとして注目されている。しかし、
大半のアニメーションは、マンガを映像化して、テレビ放送することにより、初めて映像ソフト化 やキャラクタービジネスが成立する仕組みとなっており、アニメーションの制作者に加え、テレビ
局、映像ソフトメーカーが権利を共有して製作されることが多い。一方、こうした中から新海誠氏、
真島理一郎氏など、インディーズのアニメーション監督が登場し、DVD 発売された作品が注目さ れている。
アニメーションは、約500人の監督と、435社のプロダクションのうち元請けとなる30~40社 が制作を行い、ほかは工程別に分化した下請けの機能を担っている。最近では動画以降の工程のほ とんどがデジタル化され、CGプロダクションにより制作される部分も多い。動画・仕上げの工程 は韓国・中国などコストの安い海外への発注がなされており、韓国・フランスなどとの合作も試み られている。また海外の日本アニメーションやマンガのファンの熱狂は高まっており、日本の新た な観光資源と目されるに至っている。
過去、日本の映画、テレビ、オリジナルソフトによるアニメーション作品は3千数百あるが、こ れらの作品そのもののアーカイブ化はもちろん、資料データのデータベース化が求められている。
(2)音楽
音楽コンテンツは、ソフト販売、配信、放送や実演まで、権利利用のルールや権利収入の徴収・
配分の仕組みが整備され、パッケージソフトについては世界的に統計が完備している。レコード・
CD などは、この仕組みの下で作詞家・作曲家・アレンジャーが楽曲を提供し、アーティスト(歌 手・タレント)や演奏家によって原盤が制作され、レコード会社によって販売されてきたが、図表 14 に見るように、日本の音楽市場の大きな特徴として、カラオケ市場の大きさ、そして最近の携 帯電話による音楽利用の普及が挙げられる。
昨年、日本レコード協会会員21 社やそのグループを含め、主要な約90 社 150レーベルと、こ れ以外に約1,500 あるといわれるインディーズレーベルから発売された CDなどの音楽ソフトは、
CDセル4,478 億円、CDレンタル600億円、その他アナログディスク・カセットテープ等の売上 124億円、合わせて5,202億円の市場となった。CDアルバムの新譜タイトルのうち邦楽タイトル 数は5,747で、全体に占める割合は47.8%である。図表15のように、レコード会社から発売され た音楽ソフトは、数社の卸を経て約1,400店のレコード店(日本レコード商業組合加盟店)や、コ ンビニなどで販売され、映像ソフト同様、3,305店のレンタル店でレンタルされるほか、オンライ ンでの販売も広がっている。しかしここ数年、CDの市場は縮小しており、ミリオンヒットも減少 している。
一方、音楽市場で売上を伸ばしているのが、携帯電話による着信メロディ、「着うた」で、昨年 は「着うたフル」のサービスも加わって 1,099 億円の売上となり、「着うたフル」は 2004 年 11 月のサービス開始から2005年4月3日までに、一曲200~300円の楽曲のダウンロード利用が500 万件を超えた。
こうした携帯電話での音楽利用は、着信メロディをアクセサリーのように使うという、世界的に 全く新しい音楽利用の市場を開いたと言うこともでき、また「着うたフル」の普及は携帯電話で音 楽を聴くスタイルを浸透させた。これにより携帯電話は、iPodをはじめデジタルオーディオプレー ヤーや、インターネットによる音楽配信の競合となり、アメリカではその主流となっているiTunes Music Storeの進出を阻んできたといわれる。
これに対して、日本のインターネット音楽配信は、レコード会社共同のサービスとして先行して いた『Mora』に加え、マイクロソフト、Excite、OCN、オリコン、Yahoo などが参入して各サー ビス10万曲近い提供曲数をそろえ、図表16のように本格化した。本年はこれに対して日本の音楽
ファンが、どこまで音楽配信を利用するのかが注目されている。
CD楽曲の二次利用としてとらえられてきたカラオケは、実は日本の音楽市場の半分近い、7,851 億円の市場となっている。ヒット曲のカラオケ化は発売とほとんど同時となり、カラオケで歌う練 習のためにCDを買うというファンも多い。またカラオケは、本調査研究ではデジタルコンテンツ 関連サービスとして扱っていないが、その仕組みはオンラインによるデジタルデータ送信でサービ スを行っており、デジタル映像配信・上映ヘの転用など様々な可能性を持っている。
音楽ビジネスでは、コンテンツの制作・流通のみならず、年間2,080億円の市場となっているコ ンサートやライブと、その録画・録音の二次利用、アーティスト本人のテレビ・ラジオ等放送メデ ィアへの出演も大きなパートを占めている。また音楽の著作者や原盤の権利者には、CM・映画・
放送・ゲーム等での音楽利用も重要な収入源となっている。以上、邦洋の音楽ソフト、インターネ ットや携帯電話などオンライン配信、カラオケ、コンサートによる音楽ビジネスの市場は1兆6,282 億円である。
これら音楽の著作者、作曲・作詞家として日本音楽著作権協会(JASRAC)に登録しているのは 約1万539人だが、そのうち専業としているのは『オリコン年鑑』などから1,301人と推測され、
この中にはシンガーソングライターのように1人で作詞・作曲・歌唱・演奏をこなすアーティスト も数多い。同年鑑にアーティストとして記載されているのはグループを含め1,476名だが、アマチ ュア、インディーズ、プロの境界は分け難く、またこれにオーケストラ等の演奏家も加えると、数 多くのミュージシャンが対価を得て演奏活動をしているものと考えられる。また JASRAC に登録 された音楽出版社(者)は2,028社(者)、『オリコン年鑑』に記載されている音楽プロダクショ ンは1,112社ある。この中にはアーティスト自身がマネジメントし、自らのレーベルで出版を行う プロダクションも含まれており、さらにインディーズの音楽プロダクションはこれをはるかに上回 るものと考えられる。
音楽を録音・制作するための録音スタジオは代表的なもので134社ある。かつてはアーティスト やタレントはレコード会社や大手音楽プロダクションに所属し、この資金によってこれらのレコー ド会社の録音スタジオで音楽制作を行っていたが、現在では制作・流通の方法は多様化し、デジタ ル技術の導入によって、制作ではデスクトップPCやアーティスト個人のそろえる機材でほとんど の処理を行うことができ、流通もインディーズ系レコード会社、インディーズレーベルからの販売 が増えている。
(3)ゲーム
ゲームコンテンツ市場は、図表17 のように、家庭用ゲーム機のソフト、およびPC 用のゲーム ソフト、インターネットによるオンラインゲーム、携帯電話向けゲーム、アーケードゲームからな り、このうちアーケードゲームの売上が最も多い。家庭用ゲームは、日本で開発され、全世界に普 及したコンテンツであり、ソフトとハードは密接な関係にある。2004年末に任天堂DS、ソニーPSP と2つの携帯用ゲーム機が発売され話題となった。当初ソフトのタイトルの少なさが危惧されたが、
2004年末にDSが 150万台、PSPが48万台を売り、ハード出荷をわずかな前年割れにとどめる 要因となった。さらに2005年4月の出荷はDSが200万台、PSPが100万台となっている。2004 年の国内家庭用ゲームの市場はハード1,201億円とソフト3,160億円を合わせて4,361億円となり、
ここ数年横ばいである。また、海外出荷については、2003年には国内出荷の 2 倍以上となってい る。このうち初代PS・PSoneの世界累積出荷台数は2004年5月に1億台を超えたが、日本製ソ
フトはアメリカでのシェアが約半分から3分の1まで落ちるなど厳しい状況もある。
国内の家庭用ゲーム機のハード・ソフトに加え、649億円の売上となるPC用ゲームソフトは、
ハードメーカー系卸、ソフト専門卸、玩具、レコードの卸を通じて、専門小売店 1,347 店のほか、
映像などとの複合店、家電量販店、一般量販店、玩具店、コンビニ等で販売されている。ゲームソ フトの中古販売は合法との判断となり、年間854億円程度の市場となっていると推計されている。
図表18 のように、ハードメーカーはゲーム機と同時にソフトの発売も行っており、またハード メーカーと提携してゲームソフトを発売しているゲームソフトメーカー、さらにその下請けを担う ゲームプロダクションや個人のクリエイターが存在する。ハード・ソフト兼業メーカーや大手ゲー ムソフトメーカーでは、ソフトの自社内開発に加え、ゲームプロダクション開発のソフトのライセ ンス販売を行うようになっており、映画、音楽のように、発売・流通を担う事業と、開発・制作を 行う事業は分化していく傾向にある。
また国内で年間約1千タイトル、約6,000万本出荷されるソフトは、大手メーカーのシェアが高 まっており、スクウェア・エニックスの統合に続き、2004 年 5 月にセガ・サミーの統合、明けて 2005 年にバンダイ・ナムコ、そしてインデックスのもとタカラ・トミーの統合が発表された。同 時に、大きな資本を投入した大作と低額多作のソフトに二極分化する傾向があり、その平均は2001 年にはPS 2用で1億2,300万円だったのが、2003年には3,900万円にまで下がっている。
またハードメーカーは、既に据え置き型にインターネット接続機能を持たせており、DS、PSP も無線 LAN 機能を有し、さらに次世代機では任天堂が過去のゲームソフトをすべてダウンロード 可能とすることを発表するなど、次世代の家庭用ゲームはオンラインと融合しつつある。
オンラインゲームの市場は、本調査研究では従来の推算で193億円としているが、2005年4月 に発表された「オンラインゲームフォーラム」の市場統計調査では、オンラインゲーム運営サービ ス売上367 億円、オンラインソフト販売212億円、合わせて579億円、登録会員1,942万人、課 金会員266万人としている。オンラインゲームへのシフトは世界的な流れであり、家庭用ゲーム機 のソフト・ハードとオンラインのサービスは融合し、流通も店頭でのパッケージ販売・サービス、
オンラインでの販売・サービスが組み合わされたものになるだろう。
また携帯電話によるゲームも354億円と市場が成長している。ソフトを端末にバンドルしたもの、
ダウンロードするものだけでなく、オンラインアクセスするRPGや対戦型のものなどが、家庭用 のゲームを携帯電話用にカスタマイズしてサービスされている。
アーケードゲームは、家庭用ビデオゲームのゲームソフトメーカーおよび専業メーカーがソフ ト・ハード一体で開発に当たり、専業のゲームセンターや兼業店に供給し、ゲーム市場では最も大 きなシェアとなっている。アーケードゲームの専業ゲームセンターをはじめゲーム設置店は 2 万 6,359店で、6,377億円の売上となっている。
以上により、ゲームソフト市場は1兆733億円、家庭用ゲーム機も加えると1兆1,934億円にな る。これらのゲームについて、2004 年には幾つかの展覧会が開催されたが、商品そのものや、そ れにかかわる資料などの保存の仕組みが整っておらず、アーカイブやデータベースの整備が望まれ ている。
(4)図書・新聞、画像・テキスト
文字情報を伝えるメディアの代表は、図書・新聞など印刷物のアナログコンテンツとして流通し ている。これに対して、図表19 のように、インターネットや携帯電話による文字情報等のコンテ
ンツの割合は、ごくわずかにとどまっている。しかしインターネット、携帯電話の接続料や回線料 を、それぞれの文字情報の利用料や広告収入を加えてみると、それぞれ図書・新聞に拮抗するメデ ィア市場となっている。インターネット、携帯電話の接続料や回線料は文字情報の利用のみならず、
メールなどのパーソナルコミュニケーション、映像・音楽・ゲームなどのコンテンツ利用のための 費用でもあるため、安易に比較対照はできないが、図書、新聞それぞれに投じられる利用者負担と 広告の市場に対して、インターネット、携帯電話それぞれの利用者負担と、広告という新しい市場 が競合するようになっている。
図書・新聞においても、その制作工程はデジタル化、ネットワーク化され、電子書籍、新聞社の ニュースサイト、ニュース配信や記事データベース、メールマガジン、CD-ROM 縮刷版など、パ ッケージやネットワークによるデジタルコンテンツとしての流通も広がっている(図表20)。
図書のうち書籍は年間約7万4,587タイトル・約7.5億部/販売額9,429億円、雑誌は週刊・月 刊・季刊等合わせ3,624タイトル・約30億部/販売額1兆2,998億円が発行され、タイトルの多 様さや発行部数の多さは世界有数である。しかし図書の市場は、雑誌広告3,970億円を含め毎年横 ばいで、そのうち390億円の電子書籍(リファレンス、教育・教養)販売の市場も昨年より減少し た。書籍・雑誌を出版する出版社は 4,311 社あるが、広告収入を含む総売上約 3 兆円のうち上位 50社がその半分以上を占め、逆に従業員数10名以下の企業が半分以上ある。こうした寡占化の傾 向と市場の縮小から、前述のタイトルの多様性の確保などが懸念されるところである。
書籍は著者が著作権を保有し、出版社に所属する編集者が制作管理し、これを装丁・印刷して発 行するという分業が確立している。雑誌では記者のほか、編集プロダクションがテキストを制作し、
写真、イラストなどと合わせてデザイナーがレイアウトを行い、印刷・発行される。図書の著者と しては、日本ペンクラブ会員1,996人などの作家に加え、タイトル数から推計すると数万人の著者・
記者・ライターが存在し、日本編集制作会社協会132社などの編集プロダクション、日本グラフィ ックデザイナー協会会員2,368人をはじめとするグラフィックデザイナーまたはデザインプロダク ションと、カメラマン、イラストレーター、1万4,842社の印刷会社などが図書の制作を担ってい る。
マンガは、アニメーション、ゲームなどに連動し、キャラクターの元になるコンテンツで、週刊 誌では雑誌の15.2%の発行金額、書籍では4.5%の発行金額を占める。これを描いているマンガ家 は約4,500人といわれているが、より多くの同人誌作家が存在し、彼らが集う同人誌の市場「コミ ケ」には、夏冬開催のそれぞれに1日18.5万人以上が参加、全国市場推計は数百億円にもなる。
書籍・雑誌は取次店を経て、全国1万8,156店の書店とコンビニなどで販売されるが、コンビニ での売上は図書販売全体の4分の1にまで迫っており、またマンガ喫茶・新古書店なども流通上の 問題となっている。一方、「アマゾン」、「ブックワン」などのインターネットで注文を受けて販 売するオンライン書店は売上を伸ばしている。
印刷物を流通せずにオンラインで書籍・雑誌データを販売するのが電子書籍で、2004 年春に電 子書籍に対応した専用端末が登場し、20 億円の市場となった。これは利用できる期間や回数が決 められた配信用データをオンラインストアで購入してダウンロードし、それを専用端末に移して読 む仕組みとなっている。また、これまでの出版社によるものではない、メールマガジンなどインタ ーネット独自の文字情報等サービスは、148億円の市場となる。
ナビゲーションソフトは地図出版のデジタル化によるコンテンツだが、出版社以外にシステムメ ーカーが販売するなど特殊な流通となっている。ナビゲーションソフトはカーナビゲーションシス
テムの普及とともに伸長し、519億円の市場となった。
日本では日刊紙が合計5,302万部発行され、最も新聞が普及した国といえる。新聞記事は、一部 の依頼原稿や通信社提供の記事を除き、ほとんどのコンテンツを社内の編集部門で制作している。
一般日刊紙207紙を発行する新聞社の就業者数は5万 4,436人で、このうち約2万5千人が編集 部門である。新聞の販売は、朝夕刊の宅配という世界でもまれな方式をとっており、全国で約2万 1,064店の販売店の約44万5,123人の配達員が担っている。
また多くの新聞社がインターネットでの情報サービスを行っており、広告を収入源とするニュー スサイトのほか、有料のニュース配信、記事データベースなどを提供している。これらはインター ネットによるサービスに加え、携帯電話でも行われている。さらにオンラインで報道写真のレンタ ルの申込ができるフォトバンクサービスや、検索機能付きの縮刷版の CD-ROMなどパッケージメ ディアの販売等も行われており、これらは新聞社の電子メディア等の部門が担っている。一方デー タベースには、新聞社が自社で運営するものと、専門事業者を通じて行っているものがある。新聞 の販売、広告収入にこれらを加えた、新聞社全体の売上は2兆3,576億円で、微減傾向にある。新 聞に限らず、様々なオンラインデータベースの市場は、3,720億円となっている。また携帯電話に よる、天気をはじめ様々な文字情報のサービスの市場は 563 億円、インターネット広告の市場は 1,634億円、携帯電話広告の市場は180億円となっており、これら文字情報にかかわる利用料と広 告を合計すると、5兆6,757億円になる。
3.コンテンツの流通メディア別動向
(1)パッケージ流通(映像ソフト販売/音楽ソフト販売/ゲームソフト販売/図書販売)
パッケージソフトの流通は、各分野ともオンライン注文による販売も増えているが、メーカー・
出版社等発売・発行元から、卸を経て小売店の販売により、一般消費者の元へと届けられてきた。
ここではこの店頭流通について分野別に図表21としてまとめた。
①映像ソフト販売
映像ソフトは、VHSが主流であった時代には、レンタル市場が大きかったが、DVDの普及ととも にセル市場が拡大してきた。主な販売店は、レコード店、家電店、複合店、コンビニなどである。
販売店売上はDVDの投入によって好調だが、今後、次世代DVDのフォーマットが統一されるかどう かで、市場への影響が懸念される。また、映像ソフトは、映画の著作物として著作権法上の「頒布 権」が適用され、著作者が譲渡・貸与などを制限することができるため、ソフトの普及当初からメ ーカーがレンタル制度を整備してきた。具体的には、メーカーからレンタル店へ、レンタル使用料 を価格に含んだレンタル専用ソフトを出荷することで使用料を徴収するものである。メディア複合 店、新古書店などは中古販売を行うところもある。近年、PCへとリッピングした映像作品をP2P ソフトによって、違法に共有する海賊行為が問題となっている。映像ソフトの違法入手が容易にな ったことに伴い、個人での海賊版売買なども増えている。
②音楽ソフト販売
音楽ソフトは、再販指定著作物であり、メーカーが小売価格を決定する権限を持つ。販売経路と しては、タワーレコードなどの大型店での販売が増え、小さなレコード店は減少している。またレ ンタルに関しては、1984年に、著作物の貸与を制限する権利である「貸与権」が制定され、レンタ ル商業組合と日本レコード協会との間にレンタルについての利益還元の合意がなされた。使用料は、
日本レコード協会などが窓口となり徴収する。音楽分野で近年問題とされているのは、CD-Rの普 及による個人録音の増加である。著作権法上は、私的利用目的の複製については、著作者の権利は 制限されているが、デジタル音質での容易な複製は、レコード売上減につながるとの懸念がある。
また、近年アジアでJ-POPがヒットしているが、物価の安い地域で発売された日本人アーティスト のCDが、国内に逆輸入され販売される「還流」問題に対して、2005年1月1日より輸入を制限する 権利である「輸入権」が適用され、還流防止措置が取られるようになった。映像ソフトと同じく、
P2Pによる違法ファイル共有も問題とされている。
③ゲームソフト販売
家庭用ゲームソフトの販売は、専門店やTSUTAYAなどのメディア複合店、家電量販店、一般量 販店、玩具店が主である。中古販売が非常に多いのが特徴であり、ほとんどの専門店は新品と同時 に中古作品を扱うようになった。過去にメーカーは、映画の著作物の流通・譲渡を制限する権利で ある「頒布権」を理由に、中古販売の差し止めを求めたが、2002年の最高裁で「頒布権は認められ るが、一度ユーザーが購入した時点で消尽する」として訴えは棄却された。レンタル市場は存在し ないが、一部ネットカフェ内でのゲーム利用がある。これは、「業務利用」として、著作権使用料 が徴収されている。
④図書販売
書籍・雑誌は、再販指定著作物であり、小売価格をメーカーが決定している。近年、コンビニ流 通の隆盛と「アマゾン」などオンライン通販の一般化に伴い、小規模の書店が減少する一方で、イ ンターネット喫茶やコミックレンタルなど、新しい業態のビジネスが普及してきている。書籍は、
図書館や古くからの貸本業の存在を考慮して、レンタルを制限する権利である「貸与権」の適用が 除外されていたが、2005年1月1日より適用が開始された。また、ネットカフェでのマンガ利用に ついては、日本雑誌協会と日本複合カフェ協会との間で利益還元の暫定合意がなされている。
もう一つ出版業界にとって大きな問題ととらえられているのが、新刊書を発売後まもなく古本と して低価格で販売する「新古書店」である。古本販売という業態は、現行法上問題がない。しかし、
新古書店の影響は大きいとして、出版業界はなんらかの利益還元の方策を検討している。
(2)インターネット流通
総務省の2005年5月の統計では、インターネット契約数7,948万件、ブロードバンド契約数1,866 万件となって、インターネットは日常的に親しまれるメディアとなった。インターネットは、メー ルからIT電話へコミュニケーションのメディアとしての機能を拡大するとともに、コンテンツ利用 ではホームページ閲覧、メールマガジン、データベースに加え、映像、文字情報、音楽、ゲームな どコンテンツ流通のメディアとなり、さらにショッピングやオークションなど、eコマースのメデ ィアともなっている。
これらの市場のうち、接続料は7,610億円、回線料は5,005億円、映像、音楽、ゲーム、図書・新 聞等などコンテンツ利用4,304億円と、インターネット広告1,634億円を合わせたインターネット流 通は5,938億円である。また大手ポータルサイトを運営するYahooの売上が1,000億円を超えたこと が話題となったが、その内訳は接続料、広告料、オークション手数料が、それぞれほぼ3分の1とい われる。しかし、無数の企業のホームページの制作・運営費や、ショッピングやオークションの売 上の総計などは不明であり、インターネット関連の市場の規模は、把握し難い。これは、インター ネットの各サービスなどを行う産業団体等の整備が進んでおらず、またコンテンツとコミュニケー ション、個人と企業の活動の境界が不鮮明なため、経済活動の実態をとらえられていないことによ る。今後はこうしたインターネット上の経済活動、産業構造や市場規模の解明が必要とされている。
図表22のように、日本でのjpドメイン名登録は2005年6月に72万4,233件(うち汎用jpが約半数)
となり、オンライン上のjpドメインのデータ量は、2004年2月で2億9,173万ファイル、1万3,609 GB にも上った。これらには個人のホームページなども含まれるが、対価が得られるコンテンツとして のサイトは、ポータルサイト、検索サイト、コミュニティサイト、ニュースサイト、情報サービス サイト、販売サイト、企業サイトなどがある。しかし最近では個人サイトでも、アフィリエイトの ような仕組みにより、閲覧回数が多ければ広告の対象となるため、その分類や線引きは難しい。こ れらのサイトについては、アーカイブ化の検討が進められている。
特に2004年は、ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)など、一般の個人の発信 をメディアとして扱っていく仕組みが普及した。総務省の2005年3月末時点の調査では、ブログ利 用者335万人、閲覧者1,651万人、市場は6.8億円で、115社の事業者がサービスを提供、SNS利用者 は111万人で、75社がサービスを提供していることが明らかとなった。また掲示板サイトの「2ち ゃんねる」の書き込みが、『電車男』として小説化され、話題となるとともに、マンガ化、映画化、
テレビドラマ化も進んでいる。
2004年からは、電子書籍による図書データの配信も本格化した。メールマガジンでは、「まぐま ぐ」に登録されたマガジン数が3万725タイトルに増加し、延べ読者数は2億2,896万人となった。こ れら電子書籍・メールマガジン等の市場は168億円と推計され、またオンラインデータベースの市 場は3,720億円である。
ブロードバンドの普及とともにサービスが充実してきたコンテンツ配信では、映像コンテンツが 173億円、音楽コンテンツが50億円、オンラインゲームは193億円の市場となっている。
映像配信では、アニメーション、映画、音楽、アイドル、アダルトなど映像配信が行われており、
ブロードバンド接続サービス、ポータルサイトなどのキラーコンテンツといわれているが、テレビ や映像ソフトの市場に影響するような利用には至っていない。音楽配信はレコード会社共同のサー ビスに加え、大型のサービスが複数開始されたが、携帯電話の「着うたフル」のサービスによるダ ウンロード数には及んでいない。
インターネット、特にブロードバンドは今後の成長が期待されるメディアだが、課金によって対 価を得る仕組みが複雑という問題がある。有料コンテンツ配信事業では、コンテンツ配信、権利管 理、課金、ユーザー管理、インターネット接続、回線などの各機能を分離して各社が担うジョイン トビジネスが一般的で、これを一社が統合して行うビジネスモデルはまれである。これらのビジネ スでは、通信キャリアや、ISP、そして権利管理・課金・コンテンツ・データ管理等のシステムベ ンダーに依存することが多く、コンテンツの権利者に還元される収益に対し、流通のコストが大き 過ぎるといわれる。これらを改善するために、効率のよいコンテンツ流通の仕組みが期待されてい る。
(3)インターネット対応携帯電話流通
2005年3月末で、携帯電話契約数は8,700万件、このうちインターネットサービス契約数は7,503 万件、その率は世界一で、さらに第3世代携帯電話の契約数も3,035万件(以上、総務省データ)と なり、世界に先駆けてパーソナルなコンテンツ流通メディアとしての携帯電話が普及した国となっ た。
第3世代携帯電話では、メールによるコミュニケーション、サイト閲覧によるコンテンツ利用の ほか、テレビ電話、静止画・動画のカメラ撮影とその送受信、フラッシュアニメーションの表示、
外部メモリの接続による音楽・映像の再生、GPSの利用、バーコード情報を認識してサイトにある 情報を表示し、電子マネーとしての支払いの決済機能を持つなど、ますます高機能化して多様なサ ービスが提供されている。
図表23のようにコンテンツ関連では、交通・天気などに加えファッション、料理等の情報サイト など、有料の文字情報サイトの市場は563億円となっている。また文字のみならず、衛星通信によ って位置を特定するGPSとデジタル地図を組み合わせ、ユーザーのいる場所の情報を地図上で提供 するサービスなど利用されている。このほか、交通・コンサートなどの各種予約販売、銀行・証券 などのECも普及している。
待ち受け画面だけでなく、アニメーションなどの動画も含めた映像配信のサービスは314億円の 市場となったが、視聴環境や画面サイズ、配信速度に合わせた画質・コマ数の映像コンテンツの開 発が必要とされている。
音楽では、着信メロディ、「着うた」に加え、2004年11月より楽曲のすべてを提供する「着う たフル」のサービスが始まり、2005年4月までに500万ダウンロードを記録、携帯電話での音楽配
信は1,099億円の市場となった。携帯電話では、外部メモリに記録した音楽を再生できる機種も増 え、携帯型のデジタルオーディオプレーヤー代わりに利用できるようになり、音楽と携帯電話の関 係は深まっている。
またゲームも、利用機会や操作などが携帯電話になじみやすいといえ、サービスタイトルも増え て354億円の市場となった。
以上のサービスは、ユーザーに対しては、パケット通信料金の定額化と同時に普及している。ま たコンテンツプロバイダーにとっては、課金がキャリアによって確実に行われること、また特に映 像や音楽では配信した端末でしか再生できないため、不正なコピーや流通が行われないことが安心 感となって普及している。
このように携帯電話でのコンテンツビジネスはキャリアの役割に負うところが大きいが、携帯電 話の回線加入、端末販売、IP接続サービス加入、課金のすべてを通信キャリアが独占しているため、
コンテンツビジネスに自由参入しにくいという議論や、通信キャリア、機種によってコンテンツの 表示・利用方法が異なるなどの問題もある。
通信キャリアとコンテンツ事業者が契約することにより、通信料と合わせてコンテンツ利用料を 課金できる仕組みの公式サイトは、各社の重複を除いて5,534サービスあり、公式サイトの事業者 2,667社のコンテンツプロバイダーがサービス運営を行っている。契約外の一般サイトは約8万6千 ある。
携帯電話は、従来のマスメディアにはないパーソナルなメディアとしての特徴を持っているが、
ラジオ放送やテレビ放送との連携の開発も進んでいる。また異なるキャリアと契約しても、電話番 号を変えずに契約できるサービスなど、ユーザーニーズに応えたシームレスなサービスが実現すれ ば、さらに統合的なパーソナルメディアのプラットホームになるものとして、今後の動向が注目さ れる。
(4)拠点サービス流通(映画館/カラオケ/アーケードゲーム)
①映画館
日本の映画館は、2004年には2,825スクリーンで、649本(邦画310・洋画339)の映画が公開さ れ、1億7,009万人が入場し、2,109億円の興行収入となった。平均入場料の比較では米・英・仏・
独に比較して日本が最も高く1,240円で、英・仏と入場者数はほぼ同じだが、興行収入は1.5倍とな っている。また米国では、入場者数は日本の9倍以上、興行収入は5倍弱であり、日本の映画興行は 観客負担が高い構造となっている。
入場者数は1958年の11億2,745万人以降1975年まで激減し、以降横ばい、これに対して興行収入 は1980年に1,500億円を超えた以降微減していたが、2001年に2,000億円を超えた(図表24)。こ うした中でスクリーン数は1993年に最低となったが以降増加を続けている。スクリーン数が増えた のは、シネマコンプレックスの増加によるもので、今では半数以上がシネマコンプレックスのスク リーンとなっている。シネマコンプレックスチェーンは300以上から十数スクリーンまで大小20程 度の事業者が経営し、大規模な宣伝を伴う作品を集中して上映する傾向が見られる。シネマコンプ レックスおよび配給会社等の系列館を除いた、地方の独立資本の映画館は閉鎖するところも多く、
独自にプログラムを組む独立系・単館・ミニシアターなどは、関東地方で100スクリーン程度しか ない。このため、映画会社・配給会社が出資した作品、ヒット作・大作に公開が集中し、多様な映 画の上映や地方での観客のニーズに合わせた公開が危ぶまれている。
こうした状況から、国際文化交流推進協会では、地方でのミニシアターや不定期上映を行うホー ル、映画祭の開催状況やそれらによる上映作品の調査を行っている。これにより、封切作品以外の 上映や、非映画館での上映の実態が明らかとなってきた。
また映画制作ヘのデジタル撮影・編集の導入によってデジタル映像作品の供給が可能となってき ているが、デジタル上映対応の映画館は未だ39スクリーンと少ない。多くの映画館事業者は、ハリ ウッドのデジタル上映導入の動向を見守っている状況であり、デジタル化が4Kクラスの大きな投資 の必要なデジタル上映によってますますハリウッド型大作のみの上映に向うのか、あるいは低価格 で多様なデジタル映像作品を少ない投資で上映できる日本独自の方向に向うのか、見えていない。
②カラオケ
カラオケは、1970年代に夜の酒場から生演奏を駆逐し、世界に広がった音楽サービスで、1990 年代からはデジタル音源の通信カラオケ、すなわちデジタルネットワークによる店舗展開としての カラオケボックスが増え、客層も広がった。以降、1996年のカラオケボックス店1万4,810店・ルー ム数約16万ルームをピークに減少してきたが、この3年間は横ばいで、2003年にはカラオケボック ス店1万480店・ルーム数13万5,400ルーム、酒場など含めた売上全体は7,851億円、うちカラオケ ボックス売上は4,301億円、カラオケ参加人口は4,820万人である。
カラオケの音楽を流通するシステムは、ほとんど通信カラオケとなっており、主要12社が出荷し ている。これらのメーカーの出荷額は2003年に997億円となり、そのうち441億円が音楽ソフト、
残りがハード等である。
音楽の著作権者には、メーカーがソフトを制作した時と、利用者がソフトを再生した時の2回、
権利の使用料が徴収されて分配され、CDなどの発売、放送での使用などと並び大きな収入源とな っている。
③アーケードゲーム
1970年代後半、日本のゲームが世界に発展してきたのは、家庭用ゲームとともに、アーケードゲ ーム、ゲームセンターの市場によるところが大きい。1999年以降、アーケードゲームの売上は横ば いであったが、2003年には6,377億円の市場となり1998年の規模まで戻った。アーケードゲームを 設置している専業店舗の規模は大型化して、売上全体のうち半分以上を占める。
そのほか飲食店、ホテル、旅館、スーパー、ショッピングセンター(SC)、ボウリング場等、
兼業店が数多くあり、アーケードゲーム設置店は合わせて2万6,359店となる。このうちのスーパー、
SCでの売上が大きく伸びている。これらの店舗で使用するゲーム機は2003年に1,640億円の国内出 荷高となり、これも4年ぶりに前年を上回った。
(5)放送(テレビ放送/ラジオ放送)
①テレビ放送
民放地上波テレビ放送は、世帯普及率が100%近く、無料で視聴できるマスメディアの代表であ る。テレビ放送には、これにNHKを加え、デジタル化が進行している地上波放送、デジタル化が先 行したBS・CSの衛星放送、デジタル化が求められているCATVの3つの放送がある。また受信料を 収入源とするNHKと、スポンサー企業の広告費を主な収入源とする民間の地上波放送、民間放送で あっても、広告収入と合わせて加入料や有料放送で利用者から収入を得るCATVやBS・CS放送な