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「地域に根ざす社会科」実践の歴史的展開-授業内容と授業展開を視点として-

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Academic year: 2021

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(1)「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」実 践 の 歴 史 的 展 開 −授業 内容 と授業展 開 を視 点 と して−. 2009. 兵庫教育大学大学院 連合学校教 育学研究科 教科教育実践 学専攻 (兵 庫教 育 大 学) 峯岸 由治.

(2) 次. 目 章. 3. 序. 本 研 究の課 題 と方法. 3. 研 究 の課題. 第2節. 研 究 の方法. 第3節. 論 文 の構 成. 3. 第1節. ハU 1 [U 411. 第1章. 「地 域 に根 ざす社会科 」実践 の成 立 と展開. 第2節. 「地域 に根 ざす社 会科」実践 の展 開. 第 ∬章. ハ0 ﹂■1. 「地域 に根 ざす社会 科」実践 の成立. rO 4■置. 第1節. 地 域 の 現 実 や 民 族 的 課 題 に 目 を 向 け た 模 索 期(1970年. ∼1974年). 第2節. 模 索期 の 「地域 に根 ざす 社会科」 実践事 例 の分析. 1墓. 石 調 査 を 通 して 戦 争 の 影 響 と平 和 へ の 願 い を 考 え させ た 授 業 実 践 一 「 戦 争 を ど う 教 え た か 」(小3). 2子. 00 2. 模 索期 の 「地域 に根 ざす社 会科」 実践 の展 開. 4 n ∠. 第1節. 4. n∠. の 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 展 開 と 事 例 分 析. 28. ど も の 生 活 実 感 や 共 感 性 に 結 び つ け て,工. 業 の 発 達 と平 和 や 民 主 主 30. 義 の 問 題 を 考 え させ た 授 業 実 践 一 「 工 業 の 発 達 」(小5). 第 皿章. 模 索期 の 「地域に根 ざす社会科 」実践 の特色 とその意義. 34. 第3節. 地 域 に お け る 人 々 の 行 為 と 社 会 事 象 と を 関 連 付 け た 拡 大 期(1975年. 拡 大 期 の 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 事 例 の 分 析. 1地. 域 の 人 々 の 働 く姿 を 取 り上 げ た 授 業 実 践 一小3・. 2地. 「子 ど も と 共 に つ く る 社 会 科. 見 学 学 習 と 子 ど も た ち 」(小3). 42. 域 産 業 の 変 容 を 保 護 者 ・住 民 と 共 に 学 ん だ 授 業 実 践 一 「久 慈 の 漁 業 」(小5). 3地. 44. 域 住 民 の 生 活 改 善 行 為 を 取 り上 げ た 授 業 実 践 一 「生 協 が く え ん 班 の お ば さ ん た ち 」(小3). 第3節. 第1V章. 拡大 期の 「地域 に根 ざす社会科 」実践 の特 色 とその意 義. 子 ど も の 認 識 を 視 野 に 入 れ,多 ∼1990年)の. 50 54. 様 な 授 業 が 開 発 さ れ た 継 承 ・発 展 期. 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 展 開 と 事 例 分 析 一. 第2節. 継 承 ・発 展 期 の 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 事 例 の 分 析. rO ハ0. 継 承 ・発 展 期 の 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 展 開. n◎ rO. 第1節. 00 rO. (1982年. 1子. n∠. 4. 第2節. βO. 拡 大 期 の 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 展 開. り0. 第1節. 6. 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 展 開 と 事 例 分 析. 3. ∼1981年)の. ど も の 社 会 参 加 を 促 した 授 業 実 践 一 「長 池 の 学 習 と 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」(小3). 1. 65.

(3) 2地. 域 の 歴 史 体 験 者 の 記 録 に 基 づ き,戦. 争 の 悲惨 さ と平 和 の 尊 さ を. 考 え さ せ た 授 業 実 践 一 「地 域 に 根 ざ す 平 和 教 育 一 『被 爆 者 の 手 記 』 67. を 教 材 化 し て 一」(小6) 3自. 主 編 成 の 学 習 書 に よ り,地. 域の生産 労働理 解 を図 った授 業実践 0 7. 一 「お 茶 づ く り」(小3). 3 7. 第3節. 第V章. 継 承 ・発 展 期 の 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 特 色 と そ の 意 義. 現 代 社 会 の 課 題 を 視 野 に 入 れ,地 ∼1999年)の. 域 の 課 題 を 捉 え 直 した 転 換 期(1991年. 「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 の 展 開 と 事 例 分 析77. 第1節. 転換 期 の 「地域 に根 ざす社 会科」 実践 の展開77. 第2節. 転換 期 の 「地域 に根 ざす社 会科」 実践事例 の 分析86. 1地. 域 の 人 々 と平 和 を考 え た授 業 実 践 一 「『谷 中 平 和 の 碑 』 は 私 た ち の 新 し い 第 一 歩 」(小6)86. 2開. 発 問題 を通 して住 民 自治を考 えた授 業実 践 一 「ポ ンポ ン山がた いへ ん」(小4)g2. 3創. 造 的 な生産労 働行為 を取 り上 げた授 業実 践 一 「日本 の コメづ くり」(小5)96. 第3節. 第W章. 転換 期 の 「地域 に根 ざす社会科 」実践 の特色 とそ の意 義101. 地 域 の 再 生 ・創 造 に 関 与 す る 創 造 期(2000年. ∼2005年)の. 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 展 開 と 事 例 分 析104. 第1節. 創造 期 の 「地域 に根 ざす社会科 」実践 の展開104. 第2節. 創造 期 の 「地域 に根 ざす社会科 」実践事 例の 分析112. 1地. 域 の 伝 統 文 化 と そ れ を 守 り育 て て き た 人 々 を 取 り 上 げ た 授 業 実 践 一 「和 光 の む か し を 知 ろ う!一. 2産. 今 に 伝 わ る 『白 子 嚥 子 』」(小3)112. 業 振 興 に よ る 新 しい 地 域 づ く りを 取 り上 げた 授 業 実 践 一 「三 王 山 の ゆ ず か ら 見 え る 世 界 」(小3)114. 3地. 域 の 歴 史 に 誇 り を 持 ち,地 一 「総 合 『大 好 き な 与 那 原 湾. 第3節. 終. 章. 域 の 再 生 を 図 る 人 々 を 取 り上 げ た 授 業 実 践 山 原 船 が 来 た 海 辺 の 町 』」(小4)119. 創 造期 の 「地域 に根 ざす社会科 」実践 の特色 とそ の意 義122. 本研 究 の意義 と今後 の課 題. 126. 第1節. 研 究 の意義. 126. 第2節. 今 後 の課題. 132. 図 表 ・資 料 目 次. 134. 資 料 ・及 び 参 考 文 献. 135. 謝辞. 187. 2.

(4) 序章. 第1節. 本 研 究 の 課題 と方 法. 研 究の課題. 戦 後,社. 会科 は. 「民 主 主 義 社 会 の 建 設 に ふ さ わ し い 社 会 人 」 を 育 て る 教 科 と し て 発 足 し. た ω 。 そ の 後,「 平 和 で 民 主 的 な 国 家 ・社 会 の 形 成 者 」 の 育 成 は 社 会 科 教 育 の 理 念 と な っ て き た(2)。 と こ ろ が,「 こ う し た 目標 を 達 成 す る た め に そ れ に ふ さ わ しい 学 習 内 容 や 学 習 方 法 に 基 づ い て 授 業 が 構 成 され 、実 践 さ れ た と は 言 い 難 い 」 と指 摘 さ れ る よ う に,「 平 和 で 民 主 的 な国家 ・ 社 会 の 形 成 者 」の 育 成 が 困 難 な 状 況 が あ る(3)。す な わ ち,「 平 和 で 民 主 的 な 国 家 ・ 社 会 の 形 成 者 」 の 育 成 を,授. 業 実 践 を 通 し て ど の よ う に 図 る の か とい う こ と は,社. 会科教. 育 の 基 本 的 課 題 で あ る。 こ の 基 本 的 課 題 を 解 決 す る た め に,本 研 究 で は,「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」実 践 を 取 り上 げ る 。 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 は,平 和 と 民 主 主 義 を 担 う主 権 者 の 育 成 を 目指 し て,1960 年 代 後 半 か ら 民 間 教 育 研 究 団 体 を 中 心 に 取 り組 ま れ た も の で,各. 地 で 地 域 に根 ざ した 実 践. が 展 開 さ れ て き た(4)。そ れ は,「 民 主 社 会 を 担 う 主 権 者 と し て の 人 間 の 育 成 を め ざ し た 社 会 科 の 目 的 ・内 容 ・方 法 を 貫 く社 会 認 識 育 成 の 理 論 と そ れ に 基 づ く 授 業 構 成 の 在 り方 を 追 求 」 し た 取 り組 み で あ る(5)。本 研 究 で は,「 平 和 と民 主 主 義 を 担 う主 権 者 」を 育 成 す る た め に 「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 で は ど の よ う な 取 り組 み が 行 わ れ た の か,な な っ た の か,そ. 第2節. ぜ そ の よ うな 取 り組 み と. れ ら の 取 り組 み に は ど の よ う な 歴 史 的 意 義 が あ る の か を 解 明 し た い 。. 研 究 の 方法. 「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 に 関 す る こ れ ま で の 研 究 と し て は,次. の 研 究 が 見 られ る 。. 1社. 会科 教育 史 の 中に 「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 を 位 置 付 け た 実 践 史 研 究(6). 2「. 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 を 分 析 し,授. 業 理 論 を 明 らか に し よ う と した 授 業 分 析 研. 究(7). 1社. 会科 教 育史 の 中に「地域 に根 ざす社会 科」実践 を位置 付 け記述 した実践 史研 究 には, 次 の 二 つ の 研 究 方 法 が 見 られ る。. (1)代. 表 的 な 「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」実 践 を 取 り上 げ,そ. の 実 践 を戦 後 社 会 科 教 育 史 の 中. に位置 付 けた研 究 (2)民. 間教 育研 究 団体 の社会科 教育実践 史の 中に 「地域 に根 ざす社会 科」実 践 を位 置付 け. た研 究. (1)の ①斎藤 孝. 代 表 的 な 研 究 と し て は,次. の もの が あ る。. 「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 3.

(5) 日本 民 間 教 育 団 体 連 絡 会 編 『日本 の 社 会 科30年. 』 民 衆 社,1977年,pp.154∼161。. 本 研 究 は,「 な ぜ そ の こ と(「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 筆 者 注)が. 言 わ れ た の か 」 「な ぜ 地 域. に 根 ざ し た 社 会 科 で な け れ ば い け な い の か 」 を 「考 え る 」 た め に,「 地 域 に 根 ざ し た 社 会 科 が ど ん な 子 ど も を 育 て た か 」「 子 ど も た ち に ど ん な 社 会 認 識 を 育 て た か 」を 「実 践 か ら検 討 」 した も の で あ る 。 そ し て,「 そ こ に 見 られ る 事 実 か ら 、 地 域 に 根 ざ す こ と の 意 味 を 考 え 」 た も の で あ る 。 具 体 的 に は,「 児 童 公 園 づ く り の 運 動 と お か あ さ ん た ち 」(若 狭 蔵 之 助)を り上 げ,子. ど も の 変 容 と 教 師 の 意 図 と を 紹 介 し,地. 容 の 選 択 視 点 を 明 ら か に し て い る 。 し か し,な う な 子 ど も の 変 容 が 可 能 と な っ た の か,子. 取. 域 に 根 ざす 社 会 科 実 践 に お け る 学 習 内. ぜ こ の 実 践 を 取 り 上 げ た の か,な. ど も の 変 容 と授 業 内 容,及. ぜそのよ. び 展 開 方 法 に は,ど. の よ う な 関 連 が あ る の か な ど が 明 ら か に さ れ て お らず 研 究 と し て の 限 界 が あ る 。. ② 民教連 社会 科研 究 委員会編 『社会科 教育実践 の歴 史 あ ゆ み 出 版,1983年7月. 記録 と分 析. 小学校編 』. 。. 本 研 究 は,「 平 和 と民 主 主 義 の 理 念 に 貫 か れ た 科 学 的 社 会 観 を ど う形 成 し て い く べ き か 」 と い う 「今 日 的 課 題 」 を 解 決 す る た め に,「 こ れ ま で の 教 育 実 践 の 遺 産 に 学 ぶ 」 と し て,次. の よ う な 研 究 方 法 が と られ て い る 。 第 一 に 「従 来 の 四 十 年 近 い 社 会 科 の 歴 史 の 中. で 公 表 され て き た 数 多 くの 実 践 を概 観 」 して い る。 第 二 に. 「そ れ ら を 系 統 的 に 整 理 し 、. 特 色 づ け 」 て い る 。 第 三 に,「 そ こ か ら い ず れ を 選 択 して ま と め る か 検 討 」 さ れ て い る 。 本 研 究 で は,「 地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 は,「 ④ 地 域 に 根 ざ す 教 育 と科 学 的 社 会 認 識 の 育 成 一 一 九 七 〇 年 代 か ら 一 九 八 〇 年 代 の 授 業 展 開 一 」 と し て 位 置 付 け られ,若 「 児 童 公 園 」(6年 し,年. 生),鈴. 木 正 気 「久 慈 の 漁 業 」(5年. 代 的 な 時 期 区 分 に 止 ま っ て い る と こ ろ,時. 生)が. 狭蔵 之助. 取 り上 げ られ て い る 。 し か. 区 分 の 根 拠 が 示 され て い な い と こ ろ に. 研 究 と して の 限 界 が あ る。. ③ 外 山 英 昭 「地 域 に 根 ざ す 教 育 と社 会 科 の 授 業 一1970年 会 科 の歴 史. そ の40年. 代 」日本 民 間 教 育 団 体 連 絡 会 編 『社. と今 日の 課 題 』 民 衆 社,1988年,pp.120∼143. 本 研 究 は,「 日 本 生 活 教 育 連 盟 、 歴 史 教 育 者 協 議 会 、 教 育 科 学 研 究 会 を 取 り 上 げ 、3人 の 代 表 的 な 実 践 家 の 実 践 に 即 し て 」「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 教 育 と は 何 か を 、具 体 的 に 明 ら か に し た い 」 と し て 行 わ れ た も の で あ る 。本 研 究 で は,「 生 活 教 育 と 調 べ る 社 会 科 」 と し て,若. 狭 蔵 之 助 「生 協 の お ば さ ん た ち 」。 「地 域 に 根 ざ す 歴 史 教 育 」 と し て,安. 井 俊 夫 「松. 戸 農 民 の 歴 史 」。 「 科 学 的 社 会 認 識 の 形 成 と 地 域 … 『み え る も の 』 か ら 『み え な い も の 』 へ 」 と し て,鈴 な の か,ど. 木正気. 「久 慈 の 漁 業 」 が 取 り上 げ られ て い る 。 し か し,な. ぜ3人. の実践. の よ う な 研 究 方 法 で 分 析 ・検 討 さ れ る の か が 明 ら か に さ れ て い な い と こ ろ に. 研 究 と して の 限 界 が あ る。. (2)の. 代 表 的 な 研 究 と して は,次. ① 森 谷 宏 幸 ・藤 田 尚 充 ・谷 口雅 子. の もの が あ る。 「 歴 史 教 育者 協 議 会 の歴 史 教 育 研 究 にお け る く 地 域 〉の. 問 題 」 『福 岡 教 育 大 学 紀 要 』 第26号. 第2分. 冊 社 会 科 編,1977年. 。. 本 研 究 は,「 歴 史 教 育 者 協 議 会 の 歴 史 教 育 研 究 運 動 の 過 程 を 明 ら か に しな が ら,そ 4. の研.

(6) 究,実. 践 の 中 心 と し て 現 在 展 開 され つ つ あ る 『地 域 』 の 問 題 を 追 求 」 し た も の で あ る 。. 具 体 的 に は,「 生 活 」 「科 学 」 の 「両 概 念 に 示 さ れ る 論 理 が 歴 教 協 に お い て は,ど な 論 理 過 程 で 『地 域 』 論 に 至 る の か,ま. た,そ. のよ う. の 『地 域 』 論 で 趣 意 書 に 示 さ れ た 課 題 が. い か に 統 一 さ れ る の か 」を 明 ら か に す る た め に,「 歴 教 協 の 歴 史 教 育 研 究 運 動 の 過 程 を た ど り な が ら,『 地 域 』 論 の 登 場 す る 論 理 的 過 程 と そ の 意 味 を 考 察 」 し て い る 。 し か し,授 業 実 践 に 基 づ い た 研 究 で は な く,社. 会科教育 実践 の歴史研 究 とはな ってい ない。. ② 中島永至 「民 間教 育団体 におけ る社会科授 業実 践の展 開 と課 題 」兵庫 教 育大学 修士論 文, 1987年. 。. 本 研 究 は,「民 間 教 育 団 体 に み ら れ る 小 学 校 社 会 科 授 業 実 践 の 展 開 を 授 業 実 践 の 背 後 に あ る 考 え 方 に 基 づ い て 、 系 統 的 に 解 明 」 し よ う と し た も の で あ る 。 具 体 的 に は,『 歴 史 地 理 教 育 』 誌 に 掲 載 され た. 「 授 業構 成 が 明確 に示 され て い る 小 学 校 社 会 科 授 業 実 践 事 例 を. 抽 出 」 し,「 授 業 構 成 の 考 え 方 に 基 づ い て 時 期 区 分 し,各 期 の 授 業 構 成 の 構 造 と 課 題 を 示 す 典 型 的 授 業 実 践 を 分 析 ・検 討 」 し た も の で あ る 。 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 が 展 開 さ れ 始 め る1970年. 以 降 は 、 次 の よ う に 時 期 区 分 され て い る 。. 低 学 年 社 会 科 第2期(1968年. 一1978年)は,「. 生 産 ・労 働 の 現 実 的 な 事 象 を 地 域 で 働. く 人 を 手 が か り に し て 、 共 感 的 に 認 識 さ せ る 実 践 の 展 開 期 」 と して い る 。 第3期(1979 年 一1986年)は,「. 生 産 ・労 働 の 現 実 的 な 事 象 を 地 域 で 働 く 人 を 手 が か り に し て 、 知 識. と 情 意 を 統 一 し て 認 識 させ 主 権 者 意 識 を 形 成 さ せ る 実 践 の 展 開 期 」 と し て い る 。 中 学 年 社 会 科 第3期(1971年. 一1974年)は,「. 社 会 的 課 題 を 地 域 現 実 の 掘 り起 こ しを. 通 し 、 子 ど も の 思 考 発 達 を 考 慮 し な が ら 認 識 さ せ る 実 践 の 展 開 期 」 と し て い る 。 第4期 (1975年. 一1986年)は,「. 社 会 的 課 題 を 地 域 現 実 の 掘 り起 こ し を 通 し て 、 実 感 的 に 認 識. させ 子 ど も の 心 理 的 ・発 達 的 側 面 を 考 慮 し 、 主 権 者 意 識 を 形 成 させ る 実 践 の 展 開 期 」 と して い る。 高 学 年 社 会 科 地 理 的 授 業 実 践 第3期(1969年. 一1975年)は,「. 日本 産 業 に お け る 資 本. 主 義 的 矛 盾 を 地 域 現 実 の 問 題 を 手 が か り に し て,認 識 さ せ る 実 践 の 展 開 期 」と し て い る 。 第4期(1976年. 一1986年)は,「. 例 を 手 が か り に し,子. 日本 産 業 に お け る 資 本 主 義 的 矛 盾 を 地 域 現 実 の 典 型 事. ど も の 心 理 的 ・発 達 的 側 面 を 考 慮 し て,イ. メ ー ジ 豊 か に 認 識 させ. る 実 践 の 展 開 期 」 と して い る。 高 学 年 社 会 科 歴 史 的 授 業 実 践 第3期(1971年. 一1978年)は,「. 歴 史 的課 題 を 地 域 史 実. を 手 が か り に し て 、 イ メ ー ジ 豊 か に 認 識 させ 主 体 者 意 識 を 形 成 させ る 実 践 の 展 開 期 」 と し て い る 。 高 学 年 社 会 科 歴 史 的 授 業 実 践 第4期(1979年. 一1986年)は,「. 各 時代 におけ. る歴 史 的 課 題 を イ メ ー ジ 豊 か に す る 典 型 事 例 を 手 が か り に し て 共 感 的 に 認 識 さ せ 、 主 権 者 意 識 を形 成 させ る 実 践 の展 開 期 」 と して い る。 本 研 究 は,歴. 史 教 育 者 協 議 会 の 授 業 実 践 に 基 づ く,社. る 。 そ の 意 味 で は,共. 会科 教育 実践 の歴史 的研究 で あ. 通 す る 問 題 意 識 に た っ た 研 究 で あ る 。 し か し,歴. の 実 践 に 限 定 さ れ て い る と こ ろ,1986年. 史教 育者協議 会. ま で の 実 践 が 対 象 と な っ て い る とこ ろ に違 い が. あ る。 ③ 歴 史 教 育 者 協 議 会 編 『歴 史 教 育50年. の あ ゆ み と課 題 』 未 来 社,1997年 5. 。.

(7) 本 研 究 は,「 二 十 一 世 紀 に 向 け て 何 を よ り ど こ ろ に し て 歴 史 を 考 察 し 、歴 史 教 育 に た ず さ わ っ て い け ば よ い の だ ろ うか 」 と い う 「 課 題 に こ た え る 」 た め に,歴. 史教 育者協議 会. の 「今 日 ま で の あ ゆ み を ふ り か え り 、そ こ か ら 学 ぶ こ と が ま ず 必 要 」 で あ る と して,「 歴 史 編 ・座 談 会 編 ・資 料 編 ・年 表 編 」 か ら 構 成 さ れ た も の で あ る 。 「 歴 史 編 は各 章 に テ ー マ 性 を も た せ て 」記 述 され て お り,「 そ れ ぞ れ が 問 題 に な っ た 時 代 の 前 後 に ま で 及 ん で 」記 述 され て い る 。 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 が 展 開 さ れ 始 め る1970年 お こ し運 動 と 地 域 に 根 ざ す 歴 史 教 育 」,「第8章 争 」 「第9章. 以 降 は,「 第7章. 地域 の掘 り. わ か る 授 業 の 創 造 と 『動 く 社 会 科 』 論. 『い の ち 』 と 『平 和 の 尊 さ 』 を 学 ぶ 歴 史 教 育 」 「第10章. 体 と歴 史 教 育 の 課 題 」 「 第11章. 『社 会 科 』 の 解. 地 域 に 根 ざ し 平 和 と 民 主 主 義 を き ず く 歴 史 教 育 」 とい. う各 章 に わ た っ て 展 開 され て い る 。 な お,『 地 域 に 根 ざす 歴 史 教 育 の 創 造 一 歴 教 協30年 を 「第 六 章. の 成 果 と課 題 一 』 で は 、1970年. 代. 地 域 に根 ざす 一飛 躍 の 時代 」 と して い る。. 本 研 究 は,歴. 史 教 育 者 協 議 会 の 教 育 研 究 運 動 を 歴 史 的 に ふ り 返 っ た も の で,社. 会科教. 育 実践 の歴 史研 究 とはなっていない。. ④ 日本 生 活 教 育 連 盟 編 『日本 の 生 活 教 育50年. 一子 ど もた ち と向 き合 い つ づ け て 一』. 学 文 社,1998年11月 本 研 究 は,1988年. に 刊 行 され た 『子 ど も の 生 活 を ひ ら く 教 育 一 戦 後 生 活 教 育 運 動 の 四. ○ 年 』 を 「土 台 」 と しな が ら,「 わ が 国 を 含 む 国 際 的 な 教 育 改 革 運 動 の 流 れ を 踏 ま え 、 さ ら に ニ ー 世 紀 へ む け て の 教 育 の 歴 史 的 課 題 を 明 確 に す る 」 と い う 「意 図 」 の も と に 取 り 組 ま れ た も の で あ る 。「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」実 践 が 展 開 され 始 め る1970年 年代. 「第 五 章. 子 ど も の 全 体 的 発 達 を め ざ し て 」,1980年. 学 校 づ く り」,1990年. 代. 「第 七 章. 代. 「第 六 章. 以 降 は,1970. 子 ど もが 生 き る. 自 立 と 共 生 へ の 道 」 とい う章 立 て と な っ て い る 。. な お,『 子 ど も の 生 活 を ひ ら く 教 育 一 戦 後 生 活 教 育 運 動 の 四 〇 年 』 で は 、1970年 「 第4章. 代 を. 地 域 に 根 ざ し 、 子 ど も の 全 体 的 発 達 を め ざす 」 と し て い る 。. 本 研 究 は,日. 本 生 活 教 育 連 盟 の 教 育 研 究 運 動 を 歴 史 的 に ふ り 返 っ た も の で,社. 会科 教. 育 実 践 の歴 史研 究 とは な って い な い。. こ れ ら の 研 究 に お い て は,授. 業 実 践 に 基 づ く 教 科 教 育 研 究 と な っ て い な い,も. しく は授. 業 実 践 に 基 づ く 研 究 で あ っ て も 理 由 が 明 示 さ れ ず に 研 究 対 象 と な る 実 践 が 選 択 さ れ て い る, 「平 和 と 民 主 主 義 を 担 う主 権 者 」 を 育 成 す る 学 習 内 容 や 学 習 方 法 等 の 変 遷 が 明 ら か に さ れ て い な い な ど,研. 2. 究 と し て の 限 界 が あ る。. 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 を 分 析 し た 研 究 に は,次. の3つ. の研 究 方 法 が 見 られ る。. (1). 個別 の 「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」実 践 を 取 り上 げ 分 析 し た 研 究. (2). 各 民 間教 育 研 究 団 体 にお け る 「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」実 践 の 特 徴 を 明 ら か に し よ う と した 研 究 6.

(8) (3)「. 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 を 取 り上 げ,比. (1)は,た. 較 した 研 究. く さ ん の 研 究 が 発 表 され て い る。 社 会 科 教 育 実 践 史 研 究 の視 点 か ら な され た. 授 業 分 析 研 究 に 次 の も の が あ る。 ① 斉 藤 利 彦 「地 域 住 民 運 動 と 国 民 主 権 の 学 習 一 一 九 七 〇 年 ・若 狭 蔵 之 助 『児 童 公 園 』(6年 生)の. 授 業 一 」 民 教 連 社 会 科 研 究 委 員 会 編 『社 会 科 教 育 実 践 の 歴 史. 記 録 と分 析. 小学. 校 編 』 あ ゆ み 出 版,1983年7月,pp.197∼230。 本 研 究 は,「 若 狭 実 践 の 内 容 を 紹 介 し 、 そ の 分 析 を 行 う こ と 」 に よ っ て,「 実 践 の 提 起 し た も の お よ び そ こ に お け る 『地 域 に 根 ざ す 』 と い う こ と の 意 味 」 を 明 ら か に し よ う と し た も の で あ る 。 本 研 究 は,「 は じ め に 」 「一. 実 践 の 概 要 」「二. 実 践 の 特 徴 と 分 析 」 「三. お わ り に 一 若 狭 実 践 の 深 化 と 八 〇 年 代 へ の 問 題 提 起 一 」 と い う構 成 に な っ て い る 。 しか し,1970年. 代 か ら1980年. 代 の 実 践 と し て,な. ぜ 若 狭 氏 の 実 践 が 選 択 さ れ る の か,そ. の. 根 拠 が 明 らか に され て い な い と こ ろ に研 究 と して の 限界 が あ る。. ③斉藤 利彦 「 地 域 に根 ざす教育 と科学的社 会認識 の育成 一一 九七八 年 ・鈴 木正 気 『久慈 の 漁 業 』(5年 分析. 生)の. 授 業 一 」 民 教 連 社 会 科 研 究 委 員 会 編 『社 会 科 教 育 実 践 の 歴 史. 記録 と. 小 学 校 編 』 あ ゆ み 出 版,1983年7月,pp.255∼296。. 本 研 究 は,「 子 ど も を 夢 中 に さ せ る 学 習 が 、 何 故 に 、 『久 慈 の 漁 業 に 固 執 し つ づ け る 』 と い う 実 践 の ね らい の も と で 生 み 出 さ れ え た の か 」 を,授 に し よ う と し た も の で あ る 。 本 研 究 は,「 は じ め に 」 「 一. 業 実 践 の 分 析 に よ っ て 明 らか 実 践 の 概 要 」 「二. 実践 の特徴. と分 析 」 「お わ り に 」 とい う構 成 に な っ て い る 。 「実 践 の 特 徴 と 分 析 」 は,「 主 体 的 な 認 識 過 程 と科 学 的 社 会 認 識 の 形 成 」 「 地 域 認 識 の 科 学 性 」 「地 域 実 態 の リ ア ル で 分 析 的 な 把 握 と 、社 会 認 識 の 発 達 」「地 域 の 課 題 認 識 と 、地 域 形 成 へ の 展 望 」と い う構 成 に な っ て い る 。 し か し,1970年. 代 か ら1980年. 代 の 実 践 と して,な. ぜ 鈴 木 氏 の 実 践 が 選 択 さ れ る の か,. そ の 根 拠 が 明 らか に され て い な い とこ ろ に研 究 と して の 限 界 が あ る。. (2)の. 代 表 的 な 研 究 と し て は,次. ①飯 沼暢康. の も の が あ る。. 「日本 生 活 教 育 連 盟 の 社 会 科 授 業 実 践 に み られ る 地 域 教 材 の 構 成 形 態 」. 兵 庫 教 育 大 学 社 会 系 教 科 教 育 研 究 室 『社 会 系 教 科 教 育 学 研 究 』 創 刊 号,1989年,pp.1 ∼5 本 研 究 は,「科 学 的 な 社 会 認 識 と子 ど も の 主 体 的 な 社 会 意 識 の 統 一 的 育 成 を め ざ し た 地 域教 材 の構成 原 理」 を. 「明 確 」 に す る た め に,日. 践 の 中 か ら 「地 域 教 材 を 取 り上 げ た 」230事. 本 生 活 教 育 連 盟 の 小 学校 社 会 科 授 業 実. 例 の 「地 域 教 材 の 構 成 」 を 考 察 した も の で. あ る。 本 研 究 で は,「 地 域 教 材 の 構 成 形 態 」 を 「 構 成 目 的 」 と 「構 成 内 容 」 か ら分 類 し,「 最 も科 学 的 な 社 会 認 識 と子 ど も の 主 体 的 な 社 会 意 識 の 統 一 的 育 成 を 意 図 した 地 域 教 材 構 成 」 と し て,「 地 域 住 民 の 生 活 運 動 」 を構 成 内 容 と した 「 地 域 手 段 型 ・社 会 改 善 的 意 識 型 」 に 注 目 し 、 「3年 げ,紹. 単元. 生 協"が. 介 し て い る 。 本 研 究 は,授. く え ん 班"の. お ば さ ん た ち 」(若 狭 蔵 之 助)を. 取 り上. 業 実 践 に 基 づ く社 会 科 教 育 研 究 で あ る が,「 地 域 教 材 の 7.

(9) 構 成 原 理 」 を 明 ら か に し よ う とす る 研 究 目 的 に 違 い が あ る 。. ② 中村 哲 「教育 科学研 究会 の社会 科教育 にお け る新 動 向」 中 村 哲 『社 会 科 授 業 実 践 の 規 則 性 に 関 す る 研 究 一 授 業 実 践 か ら の 教 育 改 革 一 』清 水 書 院, 1991年,pp.210∼219 本 研 究 は,「 各 立 揚 の 社 会 科 に お け る 典 型 的 社 会 科 授 業 実 践 の 規 則 性 と,そ の 授 業 実 践 の 基 盤 と な る 教 科 課 程 と教 科 目標 を 関 連 づ け な が ら,各. 立 場 の社 会 科 教 育 理 論 の 規 則 性. を 解 明 す る 」研 究 の 一 環 と し て,「最 近 の 動 向 」を 明 ら か に し た も の で あ る 。本 研 究 で は, 「 社 会 科 の 授 業 を 創 る 会 」 と 鈴 木 正 気 氏 の 「久 慈 の 漁 業 」 を 取 り 上 げ て い る 。本 研 究 は, 授 業 実 践 に 基 づ く 社 会 科 教 育 研 究 で あ る が,授. 業 実 践 の 規 則 性 を解 明 し よ う とす る研 究. 目的 に 違 い が あ る。. ③ 中村哲 「日本生 活教 育連盟 の社会科 教育 にお ける新 動 向」 中 村 哲 『社 会 科 授 業 実 践 の 規 則 性 に 関 す る研 究 一 授 業 実 践 か ら の 教 育 改 革 一 』清 水 書 院, 1991年,pp.265∼272 本 研 究 は,「 各 立 場 の 社 会 科 に お け る 典 型 的 社 会 科 授 業 実 践 の 規 則 性 と,そ 践 の 基 盤 と な る 教 科 課 程 と 教 科 目標 を 関 連 付 け な が ら,各. の授業 実. 立 場 の社 会 科 教 育 理 論 の規 則. 性 を 解 明 す る 」研 究 の 一 環 と して,「 最 近 の 動 向 」 を 明 ら か に し た も の で あ る 。 本 研 究 で は,上. 越 教 師 の 会 と 若 狭 蔵 之 助 氏 の 「生 協"が. て い る 。 本 研 究 は,授. く え ん 班"の. お ば さ ん た ち」 を 取 り上 げ. 業 実 践 に 基 づ く 社 会 科 教 育 研 究 で あ る が,授. 業 実 践 の 規 則 性 を解. 明 し よ うとす る研 究 目的 に 違 い が あ る。. (3)の. 代 表 的 な 研 究 と し て は,次. ① 小原 友行. の もの が あ る。. 「 『地 域 に 根 ざ す 社 会 科 』 の 授 業 構 成 一 若 狭 ・安 井 ・鈴 木 実 践 の 分 析 一 」. 全 国 社 会 科 教 育 学 会 『社 会 科 研 究 』30号,1982年,pp.148∼157 本 研 究 は,「 『地 域 に 根 ざ す 社 会 科 』の 授 業 構 成 の 基 本 的 な 考 え 方 を 考 察 」す る た め に, 「日生 連 社 会 科 部 会 の 若 狭 蔵 之 助 氏 の 実 践,歴. 教 協 の 安 井 俊 夫 氏 の 実 践,教. 科 研 『社 会. 認 識 と教 育 』 分 科 会 の 鈴 木 正 気 氏 の 実 践 」 を 取 り上 げ,「 社 会 認 識 の 育 成 理 論(認 と認 識 形 成 過 程)」 「 教 材 構 成(内 「 授 業(教 若 狭 氏,安. 授 ・学 習)過 井 氏,鈴. 識 内容. 容構成 、狭義 の教材 の選 択 ・ 組 織 、 発 問 構… 成 と 資 料)」. 程 の 組 織 」 の3つ. の 視 点 で 分 析 し た も の で あ る 。 し か し,な. 木 氏 の 実 践 が 分 析 対 象 と な る の か,こ. の3人. ぜ. の 実 践 は 「地 域 に 根 ざ. す 社 会 科 」 実 践 の 中 で ど の よ うな 位 置 を 占 め る の か な ど が 明 ら か に され て い な い と こ ろ に研 究 の 限 界 が あ る。. ②本 多公 栄 「地域 に根 ざす社会科 教育 一小学 校 中学年 の地域 教材 をめ ぐって 一」 大 槻 健 ・臼 井 嘉 一 編 本 研 究 は,教. 『小 学 校 社 会 科 の 新 展 開 』 あ ゆ み 出 版 、1982年. 育 研 究 全 国 集 会(1981年. ・1982年)に. 出 さ れ た2本. 、pp.42∼64 の レ ポ ー ト を 「対 比 」. さ せ て,「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 教 育 と は 何 か 、 に つ い て 考 え 」 て い る 。 具 体 的 に は,「 愛 知 な ど の レ ポ ー トが 、官 側 の レ ポ ー ト と ど こ が 同 じ な の か 」「多 く の 教 研 参 加 者 は な ぜ 感 8.

(10) 銘 し た の か 」 「そ れ が 人 間 社 会 科 と い わ れ ど こ が 問 題 な の か 」 と い う3っ 検 討 が 行 わ れ て い る 。 し か し,何. を 「対 比 」 す る の か,そ. の視 点 で分析 ・. れ ぞれ の実践 の背 後 にある実. 践 者 の 考 え 方 は ど の よ うな も の か が 明 ら か に され て お ら ず 説 得 力 に か け る も の と な っ て い る。. こ れ ら の 研 究 に お い て は,分. 析 対 象 と し て 取 り上 げ ら れ る 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践. が 時 期 的 に 偏 っ て い た り,選 択 理 由 や 歴 史 的 意 義 が 示 さ れ て い な か っ た りす る な ど研 究 と して の 限 界 が あ る 。. 以 上 の よ う な,こ れ ま で の 「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」実 践 を 対 象 と し た 先 行 研 究 に 対 して, 本 研 究 に は 次 の よ う な 意 義 と特 質 が あ る。 第 一 に,先. 行 研 究 は,著 名 な 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」実 践 や 研 究 者 の 問 題 関 心 に よ る 「地. 域 に 根 ざ す 社 会 科]実. 践 を 取 り上 げ る 個 別 的 な 研 究 に と ど ま っ て い た 。 ま た,取. れ る 実 践 事 例 も,1980年. 代 前 半 ま で の 事 例 に と ど ま っ て い た 。 こ れ に 対 し て 本 研 究 で は,. 民 間 教 育 研 究 団 体 に お け る 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 を 全 て 収 集 し,総 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 発 展 と して 展 開 され て い る 生 活 科,総 に 入 れ て 収 集,総 第 二 に,先. り上 げ ら. 覧 す る 。 ま た,. 合 的 学 習 実 践 も視 野. 覧 し,「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 全 体 像 に 迫 っ て い き た い 。. 行 研 究 は,多. 様 な 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 を 検 討 す る こ と な く,年. な 時 期 区 分 に と ど ま っ て い た 。 こ れ に 対 し,本. 研 究 で は,個. 々 の 授 業 実 践 を,授. 代的. 業 内容 と. 授 業 展 開 の 視 点 か ら 検 討 し,「平 和 と 民 主 主 義 を 担 う主 権 者 」 を 育 成 す る 授 業 内 容 及 び 授 業 展 開 の 変 遷 を 明 ら か に す る 。 そ し て,そ 区 分 を 行 い,そ. の 上 で,展. れ ぞ れ あ 時 期 に お け る多 様 な. 開 に 見 られ る 時 期 的 傾 向 に 基 づ き 時 期. 「 地 域 に根 ざす 社 会 科 」 実 践 の 歴 史 的意 義 を. 明 らか に した い 。. 本 研 究 で は,「 平 和 と 民 主 主 義 を 担 う主 権 者 」 を 育 成 す る た め に 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 で は ど の よ う な 取 り組 み が 行 わ れ た の か,な. ぜ そ の よ う な 取 り組 み と な っ た の か,そ. の 取 り組 み に は ど の よ う な 歴 史 的 意 義 が あ る の か を 解 明 す る た め,研 年 か ら2005年. 究 対 象 と し て,1970. ま で の 小 学 校 に お け る 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」実 践,社 会 認 識 の 形 成 を 意 図 し. た 生 活 科,並 び に 総 合 的 学 習 の 実 践 を 取 り上 げ る 。 そ し て,以 第 一 に,「 地 域 に 根 ざす 社 会 科 」授 業 実 践 記 録,並 に 関 す る 先 行 研 究 を 収 集 す る 。 授 業 実 践 は,1970年. す る(8)。参 考 と し て,『 社 会 科 教 育 』誌,そ も 対 象 と す る 。 ま た,授. 下 の 手 順 と方 法 で 考 察 す る 。. び に 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」授 業 実 践 以 降 の 『歴 史 地 理 教 育 』 『教 育 』 『生 活. 教 育 』 誌 に 掲 載 さ れ て い る授 業 実 践 記 録 の 中 か ら,地. 籍,教. れ ら. 域 を 対 象 と した授 業 実 践 を 全 て 収 集. れ ぞ れ の 団 体,も. 業 実 践 に 関 連 す る 先 行 研 究 は,上. し く は所 属 す る 会 員 の 出版 物. 記4誌,及. び 出版 され て い る書. 育 関 係 の 学 会 誌 を 対 象 に収 集 す る。. 第 二 に,収. 集 し た 授 業 実 践 記 録,並. び に 授 業 実 践 に 関 す る 論 稿 を 年 表 に 整 理 し,取. り組. み の事 実 を確 定 す る と と も に実 践 の動 向 を把 握 す る。 第 三 に,収. 集 し た 小 学 校 の 授 業 実 践 を,「 平 和 と民 主 主 義 を 担 う主 権 者 」 を 育 成 す る 授 業. 内 容 と 授 業 展 開 の 視 点 か ら 検 討 し,授 業 構 成 上 の 特 徴 を 把 握 す る 。 そ れ は,「 平 和 と 民 主 主 9.

(11) 義 を 担 う 主 権 者 の 育 成 」 とい う陶 冶 性 か ら 考 え,子 な 方 法 で 理 解 し,思. ど もた ち が どの よ うな 内容 を どの よ う. 考 し て い る の か を 明 ら か に す る 必 要 が あ る と 考 え た か ら で あ る(9)。. 第 四 に,第 二 並 び に 第 三 の 検 討 結 果 を 指 標 と し て,小 学 校 に お け る 「 地 域 に根 ざす 社 会 科 」 実 践 の 時 期 区 分 を 行 い,そ を 取 り上 げ,そ. れ ぞ れ 時 期 の 特 色 と課 題 を 明 ら か に す る 。 ま た,典. れ ら の 実 践 の 歴 史 的 意 義 を 明 ら か に す る 。 な お,実. 型 的 な実 践. 践 事 例 の 分 析 は,次. の. 手 順 で 行 う。 (1)実 践 記 録 に 基 づ き 目標,並 り 上 げ ら れ,ど. び に 指 導 計 画 を 抽 出 す る と と も に,授 業 で ど ん な 内 容 が 取. ん な 方 法 で 授 業 が 展 開 され て い る の か を 抽 出 し,授 業 事 実 を 確 定 す る 。. 取 り 上 げ られ て い る 内 容 を授 業 内 容 と す る 。 授 業 で 展 開 され て い る 教 授 活 動,並 学 習 活 動(以. 下,「 教 授 ・学 習 活 動 」 と す る 。)を 展 開 方 法 と す る 。. (2)な ぜ そ の よ う な 授 業 内 容 が 選 択 され る の か,教 れ る の か を,実. 第3節. びに. 授 ・学 習 活 動 が な ぜ そ の よ う に 展 開 さ. 践 の 背 後 に あ る授 業 者 の考 え に基 づ い て 明 ら か に す る。. 論 文の構成. 序 章 で は,研 第1章. 究 の 課 題,研. 究 の 方 法,論. 文 の構 成 を 述 べ て い る。. で は,「 地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 の 成 立,並. び に 「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 の. 歴 史 的 展 開 の 概 要 を 考 察 し,解 明 して い る 。 第II章 で は,地. 域 の 現 実 や 民 族 的 課 題 に 目 を 向 け た 模 索 期(1970年. ∼1974年)の. に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 の 時 期 的 傾 向 を 考 察 し,解 明 し て い る 。 そ し て,模 践 事 例 を 分 析 ・検 討 し,典 型 的 実 践 の 歴 史 的 意 義,並. 「地 域. 索期 の典型 的 な実. び に 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 の 歴 史. 的 展 開 に お け る模 索 期 の 歴 史 的 意 義 を 指 摘 し て い る 。 第 皿 章 で は,地 年)の. 域 に お け る人 々 の 行 為 と 社 会 事 象 と を 関 連 付 け た 拡 大 期(1975年. ∼1981. 「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 の 時 期 的 傾 向 を 考 察 し,解 明 し て い る 。 そ し て,拡. の 典 型 的 な 実 践 事 例 を 分 析 ・検 討 し,典. 型 的 実 践 の 歴 史 的 意 義,並. 大期. び に 「地 域 に 根 ざ す 社. 会 科 」 の 歴 史 的 展 開 に お け る拡 大 期 の 歴 史 的意 義 を指 摘 して い る。 第IV章 で は,子 年 ∼1990年)の て,継. ど も の 認 識 を 視 野 に 入 れ,多. 様 な 授 業 が 開 発 さ れ た 継 承 ・発 展 期(1982. 「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 の 時 期 的 傾 向 を 考 察 し,解 明 し て い る 。 そ し. 承 ・発 展 期 の 典 型 的 な 実 践 事 例 を 分 析 ・検 討 し,典 型 的 実 践 の 歴 史 的 意 義,並. びに. 「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」の 歴 史 的 展 開 に お け る 継 承 ・ 発 展 期 の 歴 史 的意 義 を指 摘 して い る。 第V章 1999年)の. で は,現. 代 社 会 の 課 題 を 視 野 に 入 れ,地. 域 の 課 題 を 捉 え 直 し た 転 換 期(1991年. ∼. 「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 時 期 的 傾 向 を 考 察 し,解 明 して い る 。 そ し て,. 転 換 期 の 典 型 的 な 実 践 事 例 を 分 析 ・検 討 し,典. 型 的 実 践 の 歴 史 的 意 義,並. びに. 「 地 域 に根. ざす 社 会 科 」 の 歴 史 的 展 開 にお け る転 換 期 の歴 史 的意 義 を 指 摘 し て い る。 第VI章 で は,地. 域 の 再 生 ・創 造 に 関 与 す る 創 造 期(2000年. ∼2005年)の. 社 会 科 」 実 践 の 時 期 的 傾 向 を 考 察 し,解 明 して い る 。 そ して,創 分 析 ・検 討 し,典. 型 的 実 践 の 歴 史 的 意 義,並. 「地 域 に 根 ざ す. 造 期 の典 型 的 な 実 践 事 例 を. びに 「 地 域 に根 ざす 社 会 科 」 の歴 史 的 展 開 に. お け る創 造 期 の 歴 史 的 意 義 を指 摘 して い る。 10.

(12) 終 章 で は,本. 研 究 の 成 果 と意 義 を 総 括 し,今. 11. 後 の 研 究 課 題 を 考 察 して い る。.

(13) 【註 】 (1)「 学 習 指 導 要 領 社 会 科 編(1)(試. 案)一 昭 和22年. 東 京 法 令 出 版 株 式 会 社,p.219,昭 (2)文 部 科 学 省. 和63年. 『小 学 校 学 習 指 導 要 領. 度 一」 上 田 薫 『社 会 科 教 育 史 資 料1』. 。. 平 成20年3月. 告 示 』p.34。. (3)谷 本 美 彦 「 社 会 科 と民 主 主 義 」社 会 認 識 教 育 学 会 編 『社 会 科 教 育 学 ハ ン ドブ ッ ク ー 新 し い 視 座 へ の 基 礎 知 識 一 』 明 治 図 書,p.23,1994年 (4)永 井 滋 郎. ・平 田 嘉 三 編. (5)小 原 友 行. 。. 『社 会 科 重 要 用 語300の. 基 礎 知 識 』 明 治 図 書,1981年,p.23。. 「『地 域 に 根 ざ す 社 会 科 』 の 授 業 構 成 一 若 狭 ・安 井 ・鈴 木 実 践 の 分 析 一 」. 全 国 社 会 科 教 育 学 会 『社 会 科 研 究 』30号,p.148,1982年. 。. (6)社 会 科 教 育 史 の 中 に 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 を 位 置 付 け た 実 践 史 研 究 と し て は,次 の研 究が あ る。 ① 斉 藤 孝 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 日本 民 間 教 育 研 究 団 体 連 絡 会 『日本 の 社 会 科30年. 』民. 衆 社,1977年6月,pp.154∼161。 ② 佐 々木勝 男. 「地 域 の 掘 り 起 こ し と 社 会 科 教 育 ・歴 史 教 育 」 日 本 民 間 教 育 研 究 団 体 連 絡. 会 『日本 の 社 会 科30年. 』 民 衆 社,1977年6月,pp.162∼173。. ③ 森 谷 宏 幸 ・藤 田 尚 允 ・谷 口雅 子. 「歴 史 教 育 者 協 議 会 の 歴 史 教 育 研 究 に お け る 〈地 域 〉. の 問 題 一 戦 後 社 会 科 教 育 史 の 研 究(1の3)一. 」 『福 岡 教 育 大 学 紀 要 』 第26号. 第2分. 冊 社 会 科 編,1977年,pp.13∼29。 ④ 田嶋 一. 「 『地 域 に 根 ざす 』 教 育 の 思 想 」 中 内 敏 夫 『講 座. 目 本 の 学 力17巻. 学力 の思. 想 』 日本 標 準,1979年SE,pp.297∼321。 ⑤. 「地 域 に 根 ざ す 一 飛 躍 の 時 代 一 」 「国 民 の 願 い に こ た え る 一 歴 教 協 の め ざ す も の 一 」 歴 史 教育者 協 議会 ∼171. 『地 域 に 根 ざ す 歴 史 教 育 の 創 造 』 明 治 図 書,1979年8月,pp.140. ,pp.172∼210。. ⑥ 小 嶋昭道. 「地 域 に 根 ざ す 教 育 実 践 と社 会 科 学 的 認 識 の 形 成 」 小 嶋 昭 道 『社 会 科 教 育 の. 歴 史 と理 論 』 労 働 旬 報 社,1983年5月,pp.129∼190。. ⑦ 民教 連社 会科 研 究委員会編 『社 会科教 育実 践の歴 史. 記 録 と分析. 小学校 編』. あ ゆみ 出版,1983年7H。 ⑧ 中島永至. 「民 間 教 育 団 体 に お け る 社 会 科 授 業 実 践 の 展 開 と課 題 一 『歴 史 地 理 教 育 』 の. 小 学 校 授 業 実 践 事 例 を 手 が か り に し て 一 」 兵 庫 教 育 大 学 大 学 院 修 士 論 文,1987年12 月。 ⑨ 外 山 英 昭 「地 域 に 根 ざ す 教 育 と 社 会 科 の 授 業 一1970年 会 『社 会 科 の 歴 史 ⑩ 若 狭蔵 之助. そ の40年. と今 目の 課 題. 代 」 日 本 民 間i教育 研 究 団 体 連 絡. 上 』民 衆 社,1988年4月,pp.120∼143。. 「日本 生 活 教 育 連 盟 」 朝 倉 隆 太 郎 『現 代 社 会 科 教 育 実 践 講 座. 第1巻. 新. し い 社 会 科 教 育 へ の 課 題 と実 践 』 現 代 社 会 科 教 育 実 践 講 座 刊 行 会,1991年4月,pp. 218∼2270 ⑪二 谷貞 夫. 「歴 史 教 育 者 協 議 会 」 朝 倉 隆 太 郎 『現 代 社 会 科 教 育 実 践 講 座. 第1巻. 新 し. い 社 会 科 教 育 へ の 課 題 と実 践 』現 代 社 会 科 教 育 実 践 講 座 刊 行 会,1991年4E,pp.228 ∼235 。. ⑫ 臼井嘉 一 「教 育科学研 究会」朝倉 隆太郎 『現代社 会科 教育 実践講座 12. 第1巻. 新 しい.

(14) 社 会 科 教 育 へ の 課 題 と 実 践 』 現 代 社 会 科 教 育 実 践 講 座 刊 行 会,1991年4月,pp。246 ∼256. 。. ⑬ 臼井 嘉 一 巻. 「地 域 に 根 ざ し た 社 会 科 学 習 」 朝 倉 隆 太 郎 『現 代 社 会 科 教 育 実 践 講 座. 第6. 地 域 学 習 と 産 業 学 習 』 現 代 社 会 科 教 育 実 践 講 座 刊 行 会,1991年11月,pp.22∼. 27。 ⑭ 目本 生 活 教 育 連 盟 編 『子 ど も の 生 活 を ひ ら く 教 育 一 戦 後 生 活 教 育 運 動 の40年 社,1989年12月. 。. ⑮ 歴 史 教 育 者 協 議 会 『歴 史 教 育50年. の あ ゆ み と課 題 』 未 来 社,1997年8E。. ⑯ 日本 生 活 教 育 連 盟 編 『日本 の 生 活 教 育50年 社,1998年11月 (7)「. 一 』学 文. 一 子 ど も た ち と 向 き 合 い つ づ け て 一 』学 文. 。. 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 を 分 析 し,授. 業 理 論 を 明 ら か に し よ う と し た 研 究 に は,. 次 の研 究が あ る。 ①鈴 木 正気 「 社 会認 識 と社 会科教育 」『子 どもの発 達 と教 育5少. 年 期発達 段 階 と教育』. 岩 波 書 店,1979年,pp.143∼164。 ② 中西 新 太 郎. 「社 会 科 教 育 に お け る 『科 学 』 の 再 把 握 一 鈴 木 正 気 氏 の 実 践 と 構 想 に お け. る 労 働 過 程 の 位 置 づ け を め ぐ っ て 一 」 『一 橋 論 叢 』 第87巻. 第2号,一. 橋 論 叢 編 集 所,. 1982年2月,pp.216∼224。. ③ 谷川 彰英. 「歴 史 教 育 者 協 議 会 の 教 材 づ く り 一 佐 々 木 勝 男 氏 の 実 践 を 例 に 一 」. 『社 会 科 教 育 』No.230,明 ④森 分孝 治. 治 図 書,1982年6月,pp.57∼62。. 「態 度 形 成 と 授 業 構 成(3)(4)」. 『社 会 科 教 育 』No.232,No.233,pp.107∼115,pp.107∼115。. ⑤ 小原 友行. 「『地 域 に 根 ざ す 社 会 科 』 の 授 業 構 成 一 若 狭 ・安 井 ・鈴 木 実 践 の 分 析 一 」. 全 国 社 会 科 教 育 学 会 『社 会 科 研 究 』30号,1982年,pp.148∼157。 ⑥ 本多公 栄. 「 地 域 に 根 ざす 社 会 科 教 育 一 小 学 校 中 学 年 の 地 域 教 材 を め ぐ っ て 一 」. 大 槻 健 ・臼 井 嘉 一 編 『小 学 校 社 会 科 の 新 展 開 』 あ ゆ み 出 版 、1982年. 、pp.42∼64。. ⑦ 斉 藤 利 彦 「地 域 住 民 運 動 と 国 民 主 権 の 学 習 一 一 九 七 〇 年 ・若 狭 蔵 之 助 『児 童 公 園 』(六 年 生)の 授 業 一 」民 教 連 社 会 科 研 究 委 員 会 編 『社 会 科 教 育 実 践 の 歴 史. 記 録 と分 析. 小. 学 校 編 』 あ ゆ み 出 版,1983年7月,pp.197∼230。 ⑧ 斉藤 利彦. 「 地 域 に 根 ざす 教 育 と科 学 的 社 会 認 識 の 育 成 一 一 九 七 八 年 ・鈴 木 正 気 『久 慈. の 漁 業 』(五 年 生)の 録 と分 析. 授 業 一 」 民 教 連 社 会 科 研 究 委 員 会 編 『社 会 科 教 育 実 践 の 歴 史. 記. 小 学 校 編 』 あ ゆ み 出 版,1983年7月,pp.255∼296。. ⑨影 山清 四郎. 「佐 々 木 勝 男 氏 の 授 業 に み る 学 習 課 題 」. 『社 会 科 教 育 』No.253,明. 治 図 書,1984年3E,pp.75∼82。. ⑩小 山直樹 「 概 念 探 究 学 習 理 論 に よ る授 業 の 改 善 一 科 学 的社 会 認 識 と 自立 的判 断力 の 統 一 的 育 成 を め ざ し て 一 」 社 会 認 識 教 育 学 会 『社 会 科 教 育 の21世 紀』 明治 図書 ,1985 年5月,PP.145∼154。 ⑪ 二 谷 貞 夫 「3民. 間 教 育 団 体 の 地 域 学 習 論 一 『歴 史 教 育 者 協 議 会 』 の 『地 域 に 根 ざ す 』. を と り あ げ て 一 」朝 倉 隆 太 郎 『社 会 科 学 習 と 地 域 学 習 の 構 想 』明 治 図 書,1985年5.月, pp.142∼154。 13.

(15) ⑫飯 沼 暢康. 「日本 生 活 教 育 連 盟 の 社 会 科 授 業 実 践 に み られ る 地 域 教 材 の 構 成 形 態 」. 兵 庫 教 育 大 学 社 会 系 教 科 教 育 研 究 室 『社 会 系 教 科 教 育 学 研 究 』 創 刊 号,1989年,pp.1 ∼5. 。. ⑬ 中村哲. 「 教 育 科 学 研 究 会 の 社 会 科 教 育 に お け る 新 動 向 」 中 村 哲 『社 会 科 授 業 実 践 の 規. 則 性 に 関 す る 研 究 一 授 業 実 践 か ら の 教 育 改 革 一 』 清 水 書 院,1991年,pp.210∼219。 ⑭ 中村哲. 「日本 生 活 教 育 連 盟 の 社 会 科 教 育 に お け る 新 動 向 」 中 村 哲 『社 会 科 授 業 実 践 の. 規 則 性 に 関 す る 研 究 一授 業 実 践 か ら の 教 育 改 革 一 』清 水 書 院,1991年,pp.265∼272。 ⑮ 木 戸 口正 宏. 「 地 域 社 会 変 動 と 教 育 実 践 一 鈴 木 正 氣 の 『地 域 に 根 ざ す 教 育 実 践 』 を 手 が. か り に 一 」 『教 育 』No.622,国. 土 社,1998年1月,pp.86∼94。. (8)「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 は,各 民 間 教 育 研 究 団 体 の 「 独 自の 教 育 運 動 や 教 育 実 践 の 中 か ら形 成 さ れ て 」き た も の だ が,「 子 ど も の 社 会 認 識 の 発 達 の 筋 道 に 即 し た 授 業 を 創 造 す る 際,地. 域 教 材 は 不 可 欠 で あ る と い う視 点 か ら概 念 を 規 定 す る こ と に つ い て 一 定 の 共. 通 理 解 が 存 在 す る 」 と さ れ て い る 。 そ こ で,本 掲 載 さ れ た 実 践 記 録 の 中 か ら,地 た 。 永 井 滋 郎 ・平 田 嘉 三 編 ま た,「1970年. 研 究 で は,民. 間教 育 研 究 団 体 の 機 関誌 に. 域 を 対 象 と し た 実 践 記 録 を 全 て 収 集 し,研. 究対象 と し. 前掲 書 。. 以 降 」 と し た の は,次. の文献 に よった。. ① 前 掲 誌(6)⑦ ② 前 掲 誌(6)⑨. (9)授 業 内 容 と授 業 展 開 を 視 点 に 「 地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 を 検 討 し た の は,次. の文献 に. よっ た 。 ・中 村 哲 『社 会 科 授 業 実 践 の 規 則 性 に 関 す る 研 究 一 授 業 実 践 か ら の 教 育 改 革 一 』 清 水 書 院,1991年,pp.30-38。. 14.

(16) 第1章. 第1節. 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 授 業 実 践 の 成 立 と展 開. 「地 域 に根 ざす社 会 科 」 実践 の 成 立. 1970年,歴. 史 教 育 者 協 議 会(以. 点 」 と し て,初. めて. 下,「 歴 教 協 」 と 略 す 。)は,第22回. 大会 で. 「 研 究 の重. 「地 域 に 根 ざ し人 民 の た た か い を さ さ え る 歴 史 教 育 」 を 設 定 し,活. 動. 方 針 の 一 つ に 「地 域 に 根 ざ し人 民 の た た か い を さ さ え る 歴 史 教 育 の 理 論 的 ・実 践 的 、推 進 」 を 掲 げ た(1)。歴 教 協 が こ う し た 活 動 方 針 を 掲 げ た き っ か け は,前 年 の 山 形 大 会 に お け る 「私 た ち 、 は な ぱ な し く安 保 闘 争 な ん か に 出 か け て い き ま せ ん が 、 村 の 中 に 安 保 も 帝 国 主 義 も あ る 」 とい う農 民 の 発 言 に あ っ た(2)。 歴 教 協 は,こ. の 農 民 の 発 言 に よ っ て,「 民 族 の 課 題. が 地 域 社 会 の 中 に 貫 徹 し て い る 」 こ と を発 見 す る の で あ る(3)。 し た が っ て,「"地 域 に 根 ざ す"と. い う 考 え 方 の 基 礎 は"民. 衆 こ そ が 歴 史 の 担 い 手 で あ る"と. い う歴 史 観 ・教 育 観 で あ. る 。 そ して 、 こ の 立 場 か ら 、 父 母 大 衆 ・地 域 の 民 衆 に 学 び 、 そ の 教 育 要 求 を ふ ま え 、 地 域 に ふ さ わ し い 歴 史 教 育 の 内 容 ・形 式 ・方 法 を 創 造 し て い く こ と で あ る 」 と 考 え ら れ て い た の で あ る(4)。 1972年,日. 本 生 活 教 育 連 盟(以. 案 に お い て,研. 下,「 日生 連 」 と 略 す 。)は,夏. 季 全 国研 究 集 会 の 基 調 提. 究 主 題 「子 ど も の 発 達 を 保 証 す る 教 育 の 創 造 」 に,「 地 域 ・生 活 に 根 ざ し て 」. を 副 題 と し て 設 定 し た の で あ る(5)。 そ して,「 『地 域 ・生 活 に 根 ざ す 』 と い う こ と を 実 践 的 レベ ル に お い て あ き らか に し、 そ の 意 味 を 理 論 的 に い っ そ う深 く 追 求 し た い 」 と 提 案 し て い る 。 日生 連 が. 「 地 域 ・生 活 に 根 ざす 」 と い う副 題 を 設 定 し た の は,当. 時の社会 や教育 を. め ぐ る 基 本 動 向 に 対 す る 抵 抗 で あ り,「子 ど も た ち に 現 実 を 抽 象 化 せ ず に レ ア ル に み つ め さ せ 、 彼 等 を 科 学 や 芸 術 を 生 み 出 し た 基 盤 に 立 た せ 、 現 実 を 変 革 す る 主 体 と して 形 成 し よ う と す る 教 育 」 を 創 造 的 に 発 展 させ た い と考 え た か ら で あ る 。 ま た,こ. の 取 り組 み は,「 地 域. 住 民 の 民 主 的 な ち か ら に 依 拠 しつ つ お し す す め 、 同 時 に そ れ が 地 域 に 民 主 的 な ち か ら を 強 め て い く運 動 の 一 環 」 と さ れ て い る(6)。 1975年. に は,教. 育 科 学 研 究 会(以. 下,「 教 科 研 」 と 略 す 。)が,「. 教 育 を 地 域 に根 づ かせ. る た め に 」 と い う 「主 張 」 を 掲 げ た(7)。 教 科 研 は,地 域 に 根 ざ す 教 育 を,「1960年. 代以 降、. 全 国 い た る と こ ろ に 地 域 破 壊 、 教 育 破 壊 を も た ら し た 大 企 業 本 位 の 『地 域 開 発 政 策 』 と こ れ に 従 属 し た 能 力 主 義 の 教 育 政 策 と を 鋭 く 批 判 し、 一 方 、 教 育 の 自 主 性 を 地 域 か ら 回 復 し よ う と す る 」取 り 組 み と して と ら え た 。そ して,こ. の 取 り組 み の 課 題 と し て,「 家 庭 ・地 域 ・. 学 校 に お け る子 ど もの 生 活 の 総 点 検 を す る な か で 、 子 ど もの 発 達 の 全 体 像 とか か わ っ て 学 校 教 育 の あ り方 を 再 吟 味 し て い く こ と 」,「今 日の 課 題 に 応 え う る 新 しい 人 間 像 を め ざ し て 地 域 の 教 育 力 を 再 編 成 し 、 創 造 し て い く こ と 」,「学 校 教 育 の 内 容 ・方 法 を 地 域 に 根 づ か せ て い く こ と 」,「以 上 に あ げ て き た 学 校 教 育 を は じ め と す る 教 育 事 業 の 全 体 を 、 地 域 住 民 の 自 治 の も と に お く こ と」 を 指 摘 して い る。 ま た,教. 育 を 地 域 に 根 づ か せ る た め に は,「 教 師. 自 身 が 地 域 住 民 と共 通 の 課 題 に と り く む こ と に よ り 、 自 ら を 地 域 住 民 の 一 人 と し て と ら え 直 し て い か ね ば な ら な い 」 と主 張 し た の で あ る。 す な わ ち,「 地 域 に 根 ざ す 」 と は,国. 家 だ け で は な く,「 個 人 間 の 一 層 深 い 結 合 、 歴 史 的 15.

(17) 伝 統 と い う 実 践 的 基 盤 を も つ 」 地 域 に も,教. 育 目的 と し て の 対 抗 的 価 値 を 強 く 認 め た 主 張. で あ る 。そ し て,そ れ は,「 国 家 的 目 的 に 地 域 が 従 属 す る の で は な く し て 、地 域 は そ れ ぞ れ 、 そ の 地 域 的 生 活 の 特 自性 、 自主性 を 主 張 す る権 利 が あ る とい う 自覚 を持 った 運 動 が 各 地 で あ ら わ れ て き た と い う背 景 に 支 え られ た も の 」 で あ っ た の で あ る(8)。 つ ま り,「 地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 は,こ. う し た 時 代 背 景 の も と,「 父 母 大 衆 ・地 域 の 民 衆 」 の 教 育 要 求,「 地 域. 住 民 の 民 主 的 な ち か ら 」,「地 域 住 民 の 自治 」 と の 関 連 を 図 り な が ら,「 平 和 と 民 主 主 義 を 担 う主 権 者 」 を 育 成 し よ う と し た の で あ る 。. 第2節. 「地域 に根 ざす社 会 科 」 実践 の展 開. 1970年. か ら2005年. ま で の35年. 間 に 『歴 史 地 理 教 育 』 『教 育 』 『生 活 教 育 』 誌 に 発 表 さ れ. た 「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」,生 活 科,総 に お け る 実 践 事 例 は,912事 生 活 科 実 践 が66事 例 は,下. 1下. 例,総. 合 的 学 習 実 践 は,1236事. 例 と な っ て い る 。 こ の912事 合 的 学 習 実 践 が91事. 例 あ る。 こ の 中 で 小 学 校. 例 は,社. 会 科 実 践 が755事. 例,. 例 と な っ て い る 。 収 集 した こ れ ら の 実 践 事. 記 の よ うに 整 理 した。. 記 の よ うに 年 表 に 整 理 し,取. り組 み の 事 実 を 確 定 す る と と も に 実 践 の 動 向 を 把 握 し. た 。(表 一1を 参 照). 2こ. れ ら の 事 例 を 実 践 の 目標,内 容 に 基 づ い て 分 類 した 。分 類 は,下 記 の よ う に 行 っ た 。. (1)縦. 軸 に 教 科 領 域,目. 標,内. (2)社. 会 科,生. 合 的 学 習 の 各 実 践 を,「 平 和 と 民 主 主 義 を 担 う主 権 者 の 育 成 」 と. 活 科,総. 容 を 設 定 し,横. い う観 点 か ら 「理 解 」 を 意 図 し た 実 践 と,理. 軸 に 年 代 を 設 定 した。. 解 に 基 づ く 「態 度 形 成 」 を 意 図 し た 実 践. とに 分 類 した 。 (3)「 理 解 」 は,「 ∼ が わ か る 」 な ど と記 述 さ れ て い る も の,目. 標 記 述 が 明 示 され て い な く. て も 学 習 が 内 容 の 理 解 で 終 わ っ て い る も の を 分 類 し た 。 「態 度 形 成 」 は,目 地 域 に か か わ り を も つ 」 な ど と記 述 さ れ て い る も の,目 も 学 習 に 基 づ き,地. 標 が 「∼. 標 記 述 が 明示 され て い な くて. 域 社 会 へ の 関 与 が 見 られ る も の を分 類 した 。. (4)社 会 科 実 践 に お い て は,理 解 を 意 図 し た 実 践 を,さ. ら に 地 域 社 会 の事 象 の理 解 を意 図. し た 実 践 と 地 域 社 会 に お け る 人 々 の 行 為 の 理 解 を 意 図 し た 実 践 と に 分 類 し た 。 生 活 科, 並 び に 総 合 的 学 習 実 践 に っ い て は,そ. れ ぞ れ の 教 科 領 域 の 性 格 か ら,事. 象 と行 為 を分. け ず に扱 っ た 。 (5)態. 度 形 成 を 意 図 し た 実 践 は,地. 域 社 会 へ の 関 与 の 形 態 か ら 「表 現 」,「意 見 ・提 案 」,. 「参 加 」,「行 動 」 に 分 類 した(9)。 「 表 現 」 に は,劇. や 合 唱,紙. 習 し た こ と を 表 現 し た 実 践 を 分 類 した 。 「意 見 ・提 案 」 は,学. し ば い な ど に よ っ て,学 習 し た こ と に 基 づ き,. 地 域 社 会 に 意 見 を 表 明 し た り提 案 した り し た 実 践 を 分 類 し た 。 「参 加 」 は,学 連 す る 地 域 社 会 の 取 り組 み,例. え ば 伝 統 文 化 や 行 事,運 16. 習 に関. 動 や イ ベ ン トな ど に 関 わ っ た.

(18) 実 践 を 分 類 し た 。 「行 動 」 は,学 働 き か け た 実 践,例. 習 に 基 づ き,子. え ば 署 名 を 集 め る,募. どもた ちが意 図 を もって地 域社会 に. 金 を 募 る,看. 板 な ど を 設 置 す る とい っ た も. の を分 類 し た 。. 「地域 に根 ざす社 会科 」実践 記録 及び研 究年 表 (O印 は実践記録 ※ 印は他 教科 等 との関連) 発行. 『歴 史 地 理 教 育 』(号). 『教 育 』(号). 『生 活 教 育 』(号). そ の 他(誌. 名 ・号). 年 1970. 斉藤秋男. 鈴 木 清竜. 大 沢勝 也. 中野 光. 「 歴 史 教 育 者 に とっ て(生. 「 生 活 と科 学 と を 結. 「 社 会 科 の討 論 の ま. 「地 域 の 課 題 を え. 活)と. ぶ も の 」(251). とめ. ぐ り出す 意味 」. は な に か 一歴 史 教. 」(1月). 育運 動 総 括 へ のひ とつ の. 川合章. 試 み 」(164). 「民 主 的 人 格 形 成 と. 稲垣忠彦. 生 活 教 育 一 日生 連. 「教 育 実 践 に お け. の研 究 運 動 の 課 題 」. る 『生 活 』 と 『科. ○ 関 兼 義[中. 歴]. 「百 姓 一 揆 ・打 ち こ わ し を. ど う教 え た か 」 ○ 鶴 田 文 史[高. (社 ・70). (6月). 日]. 「幕 藩 か ら 明 治 へ の 人 民. 学 』」(国. 佐藤英一郎. 号). 「科 学 的 な 社 会 認 識. ○市川真一. の 形成 と実 生 活 」. の 闘 い 」. ○ 関 谷 哲 郎[中. ・3∼4. 歴]. (8月). 『地 域 の 歴 史 研 究 と歴 史 教 育 』 明. 「江 戸 時 代 の く ら しを ど. 治 図書. う教 え た か 」(171). ○ 若 狭 蔵 之助. ○ 辻 由 朗[小3]. 『高 学 年 の 社 会 科. 「『山 の く ら し 』 の 学 習 に. 教室』. 明治 図書. つ い て 」. 表1「 (6)事. 地 域 に根 ざす 社会 科 」 実 践 記 録及 び研 究 年 表. 象 の 理 解 を 意 図 し た 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 授 業 内 容 は,次. の よ うに分 類 し. た。 ① 「実 態 ・特 色 」 は,「 わ た し た ち の 町=豊. 橋 」 な ど,地 域 の 地 形 や 土 地 利 用,自. に 関 わ る 内 容,「 『山 の く ら し』 の 学 習 に つ い て 」 な ど,地. 然環 境. 域 社 会 の 様 子 に 関 わ る内 容. を 分 類 し た(10)。 ②. 「産 業 ① ② 」 は,「 日本 の 農 業 を ど う教 え る か 」 「 小 松 製 作 所 粟 津 工 場 」 な ど,地 域 の 農 林 水 産 業 や 工 業 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(11)。. ③. 「産 業 ③ 」 は,「. 商 店 街 ザ ・ダ イ ヤ モ ン ド」 な ど,地. 域 の 運 輸 や 商 業,サ. ー ビス業 に 関. わ る 内 容 を 分 類 し た(12)。. ④. 「変 化 ・歴 史 」 は,「 交 通 の 昔 と今 」 な ど地 域 社 会 や 生 活 の 移 り変 わ り に 関 わ る 内 容, 及び. 「秩 父 事 件 と子 ど も た ち 」 な ど 地 域 社 会 の 歴 史 的 な 出 来 事 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し. た 。(13)。 17.

(19) ⑤. 「公 共 ・健 康 ・安 全 」は,「"わ. ご み 処 理 や 上 下 水 道,公. た し た ち の 遊 び 場"調. べ 」 「ゴ ミ 焼 却 場 の 学 習 」 な ど,. 共 施 設 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(14)。. ⑥ 「社 会 問 題 」 は,「 諏 訪 湖 の 公 害 を授 業 で ど の よ う に 扱 っ た か 」 な ど,公 害 や 地 方 病 と い っ た 地 域 社 会 の 抱 え る,あ (7)行. る い は 抱 え て い た 問 題 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(15)。. 為 の 理 解 を 意 図 し た 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 授 業 内 容 は,次. の よ うに分 類 し. た。 ① 「生 活 」 は,「 お 店 や さ ん 大 作 戦 」 と い っ た 地 域 の 人 々 の 消 費 生 活 や 日 々 の 生 活 行 為 に 関 わ る 内 容 を分 類 した ㈹ 。 ②. 「生 産 労 働 」 は,「 『こ め を つ く る し ご と 』 に と り く ん で 」 「こ う ば で は た ら く 人 」 とい っ た,地. 域 の 人 々 の 農 林 水 産 業 や 工 業 に お け る,生. 産 労 働 行 為 に 関 わ る内 容 を 分 類 し. た(17)。 ③ 「非 生 産 労 働 」 は,「 お み せ の し ご と 』 と い っ た,地. 域 の 人 々 の 運 輸 や 商 業,サ. ー ビス. 業 に お け る 労 働 行 為 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(18)。 ④ 「歴 史 体 験 」 は,「 父 母 祖 父 母 の 戦 争 体 験 を 聞 き つ づ っ た 『戦 争 』 学 習 」 と い っ た,地 域 の 人 々 の 歴 史 の 中 で の 体 験 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(19)。 ⑤. 「 歴 史 的 問 題 解 決 」 は,「 善 蔵 新 田 の 掘 り起 こ し と 教 材 化 」,並 び に 「西 蒲 原 の 自 由 民 権 運 動 」 と い っ た 生 産 や 生 活 の 向 上 を 目指 し た,過. 去 の 地 域 社 会 に お け る 問題 解 決 行. 為 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(20)。 ⑥. 「現 代 的 社 会 問 題 解 決 」 は,「 『東 電 闘 争 』 を ど う教 え た か 」 と い っ た 戦 後 の 地 域 社 会 に お け る 問 題 解 決 行 為 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(21)。. ⑦. 「文 化 」 は,「 承. (8)生. ア イ ヌ の 世 界 の ア イ ヌ の 人 た ち の 生 活 」 と い っ た,地. 域 文 化 の 実 際 ・継. ・創 造 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(22)。. 活 科 実 践 の 授 業 内 容 は,次. の よ うに 分 類 した。. ① 「自 然 ・生 活 」 は,「 あ き と あ そ ぼ う 」 と い っ た,地. 域 の 自然 や 人 々 の 生 活 の 様 子 並 び. に 行 為 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(23)。 ②. 「生 産 ・労 働 」 は,「 お じ い ち ゃ ん は イ カ つ り 名 人 」 と い っ た,地. 域 の 生 産 活 動,並. び. に そ こ で の 人 々 の 労 働 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(24)。 ③. 「施 設 ・機 関 ・建 物 」 は,「 駅 た ん け ん の 実 践 」 と い っ た,地. 物,輸. 送機. 「文 化 ・行 事 」 は,「 お ば あ ち ゃ ん お じ い ち ゃ ん と な か よ く な ろ う 」 と い っ た,地. 域 の. 関,並 ④. び に そ こ で の 人 々 の 労 働,活. 文 化 や 伝 統 的 行 事,並. 域 の 施 設,建. 動 の 様 子 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(25)。. び に そ こ で の 人 々 の 文 化 や 行 事 の 継 承 ・創 造 行 為 に 関 わ る 内 容. を 分 類 し た(26)。 ⑤. 「 歴 史 ・歴 史 体 験 」 は,「 お じい ち ゃ ん お ば あ ち ゃ ん が 語 っ た 戦 争 の 話 」 と い っ た,地 域 の 歴 史,並 び に 人 々 の 歴 史 の 中 で の 行 為 や 体 験 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(27)。. (9)総. 合 的 学 習 実 践 の 授 業 内 容 は,次. の よ う に 分 類 した 。. ① 「環 境 」 は,「 ど うす る雑 木 林 」 と い っ た,地 域 の 自然,環 境 問 題,並. び に そ こで の 人 々. の 行 為 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(28)。 ② 「地 域 ・生 活 」 は,「 多 摩 川 で 学 ぶ 」 と い っ た,地 容 を 分 類 し た(29)。 18. 域 並び に人 々の生活行 為 に関わ る内.

(20) ③ 「 健 康 ・福 祉 ・人 権 」 は,「 く ら し の 中 に 憲 法 を 学 ぶ 」 と い っ た,地. 域 の 人 々 の健 康 や. 福 祉,人 権 に 関 わ る 実 態 並 び に 問 題,そ こ で の 人 々 の 行 為 に 関 す る 内 容 を 分 類 し た(30)。 ④ 「食 」 は,「 牛 乳 は ど こ か ら 」 と い っ た,食. の 生 産,安. 全,並. び に 食 に 関 す る人 々 の行. 為 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(31)。 ⑤. 「産 業. ・労 働 」 は,「. さ と う き び か ら ふ る さ と ウ ォ ッ チ ン グ 」 と い っ た,地. 域 の 産 業,. そ こ で の 人 々 の 労 働 行 為 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(32)。 ⑥ 「戦 争 ・平 和 」 は,「 わ た し の ま ち に も 戦 争 が あ っ た 」 とい っ た,地 で の 体 験,こ. 域 の 戦 跡,戦. れ に 関 連 させ た 平 和 の 問 題 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た く33)。. ⑦ 「国 際 理 解 」 は,「7力 他 国 の 生 活,文. 国13人. の ゲ ス トテ ィ チ ャ ー と 出 会 う 国 際 理 解 教 育 」 と い っ た,. 化 な ど の 理 解 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(34)。. ⑧ 「歴 史 ・歴 史 体 験 」 は,「 大 好 き 与 那 原 湾 ・山 原 船 が 来 た 海 辺 の 町 」 と い っ た,地 歴 史,並. 時下. 域の. び に 歴 史 の 中 で の 行 為 や 体 験 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(35)。. ⑨ 「文 化 」 は,「 わ ら を 使 っ て か ざ りを つ く ろ う」 と い っ た 地 域 の 文 化,並. び に そ こで の. 人 々 の 文 化 継 承 ・創 造 行 為 に 関 わ る 内 容 を 分 類 し た(36>。. 上 記 に 従 っ て 作 業 し た も の が,表. 一2で. あ る。. 「地域 に根 ざす社 会科 」実践分 類表1 社会科 理解. 態 度 形成. 事象 実. 蓼 特 色. 行為 産 業 ① ②. 産 業 ③. 変. 公. 牛. 碁. 歴 史. 健. 生 活. 社 会 問 題. 表現 生 産 労 働. 唇. 非 生 産 労 働. 歴 史 体 験. 歴 史 的 社 会 問 題 解. 現 代 的 社 会 問 題 解. 1. 2. 1. 1. 1. 安 全 模. 1970. 索. 1971. 3. 3. 期. 1972. 2. 7. 3. 1973. 1. 1. 3. 2 3. 2. 1. 1. 1. 1974. 2. 2. 2. 4. 拡. 1975. 2. 1. 2. 3. 1. 2. 1. 大. 1976. 1. 4. 5. 1. 3. 3. 1. 3. 1. 期. 1977. 1. 1. 1. 1. 3. 1. 1978. 2. 5. 5. 1. {. 一. 一. ,A-一. 表2「. 1. 1. 3 7. 」. .. 4 卍. 1 '. 3 A. 地域 に根 ざす社 会 科 」 実践 分 類 表. 19. 文 化. 実. 墾 特 色. 産 業 ①.

(21) 上 記 の 作 業 の 結 果,「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」実 践 に は,次 の よ う な 歴 史 的 変 化 が 見 られ た 。 (1)1974年. 以 降,地. (2)1976年. 以 降,増. 1989年 (3)fわ. 域 の 人 々 の 行 為 を 取 り上 げ た 実 践 が 増 え て い る 。 減 を 繰 り返 し な が ら も 実 践 数 は 増 加 基 調 と な り,小. が ピー ク とな っ て い る。. か る 」 「子 ど も と 共 に つ く る 」 と い っ た,子. 的 要 素 を 視 野 に 入 れ た 実 践 タ イ トル が1974年. ど も の 思 考,興. ど も の 学 び 」 と い っ た 言 葉 を 使 っ た タ イ トル は,1994年 (4)1970年. 代 後 半 か ら,態. 年 に は 参 加,92年 境,福. 味 や 関 心 とい っ た 心 理. 以 降 増 え て い る 。ま た,「 子 ど も と 学 ぶ 」. 「子 ど も が 学 ぶ 」と い っ た 言 葉 を 使 っ た 実 践 タ イ トル は1980年. (5)環. 学校 の実践数 は. 以 降 に 増 え て い る 。「子. 以 降登 場 して い る。. 度 形 成 を 意 図 し た 実 践 が 登 場 す る 。82年. に は 意 見 ・提 案,84. に は 行 動 に よ って 地域 社 会 に 関 与 す る実 践 が 登 場 して い る。. 祉,国. 際 理 解 と い っ た 現 代 社 会 の 課 題 を 実 践 タ イ トル に 使 っ た 事 例 が,86. 年 以 降 増 え て い る。 (6)91年. 以 降,公. 共 ・健 康 ・安 全 に 関 わ る 内 容 を 取 り上 げ た 実 践 が 増 え て い る 。 特 に,. こ れ ら の 実 践 の 多 く は,環 (7)1989年. 以 降,低. 境 問 題 の 視 点 か ら授 業 内 容 が 再 構 成 され て い る 。. 学 年 に お け る 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 を 発 展 し た 地 域 に 根 ざす. 生 活 科 実 践 が 登 場 す る。 (8)1996年. 以 降,「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 と 関 連 ・発 展 し た,地. 習 実 践 が 登 場 す る 。し か し,す で に70年 (9)2000年. 以 降,地. 代80年. 域 に根 ざす 総 合 的 学. 代 に先 駆 的 な 実 践 が 発 表 され て い る。. 域 社 会 へ の 関 与 を 視 野 に 入 れ,総. 合 的 学 習 との 関 連 を 図 っ た 実 践 が. 増 えて い る 。. そ こ で,こ. れ ら の 変 化 に 基 づ い て,「 地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」 実 践 の 変 遷 を,次. の よ うに 時. 期 区分 した 。 第 一 に,1970年. か ら74年. の 時 期 で あ る 。 こ の 時 期 は,「 平 和 と民 主 主 義 を 担 う主 権 者. の 育 成 」 に お い て,「 地 域 と は 何 か 」 「地 域 に 根 ざす と は ど うい う こ と な の か 」 と い っ た こ と を 各 実 践 者 が 検 討 し な が ら,「民 族 の 課 題 が 地 域 社 会 の 中 に 貫 徹 して い る 」歴 史 的 社 会 的 事 象 と そ こ で の 人 々 の 行 為 や 体 験 を 取 り上 げ て 実 践 が 展 開 さ れ る 時 期 で あ る 。 そ こ で,こ の 時 期 を地 域 の 現 実 や 民族 的 課 題 に 目 を 向 け た. 「 地 域 に根 ざす 社 会 科 」 実 践 の 模 索期 と し. た。 第 二 に,1975年. か ら81年. の 時 期 で あ る 。 こ の 時 期 は,「 平 和 と 民 主 主 義 を 担 う主 権 者 」. を 育 成 し よ う と す る 多 様 な 実 践 が,各. 地 で 数 多 く 生 み 出 さ れ た 時 期 で あ る 。 こ の7年. 発 表 さ れ た 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」実 践 は,模 索 期 の3倍 ま た,こ. の 時 期 は,地. 践 が 増 加 し,学 で,こ. を 越 え る130事. 間に. 例 と な っ て い る。. 域 の 人 々 の 生 産 労 働 行 為 を 通 し て 主 権 者 を 育 成 し よ う とす る授 業 実. 習 した こ と を表 現 す るな どの 態 度 形 成 を 図 っ た 実 践 も登 場 して い る 。 そ こ. の 時 期 を 地 域 に お け る 人 々 の 行 為 と社 会 事 象 と を 関 連 付 け た 「地 域 に 根 ざ す 社 会 科 」. 実 践 の 拡 大 期 と した 。 第 三 に,1982年. か ら90年. ま で の 時 期 で あ る 。 こ の 時 期 は,模. 地 域 の 掘 り起 こ し に よ り得 られ た 歴 史 的 社 会 的 事 象 と,そ. 索 期 か ら取 り組 ま れ た,. こでの人 々の行為 や体験 の理解. を 通 し て 「平 和 と 民 主 主 義 を 担 う主 権 者 の 育 成 」 を 図 ろ う と し た 時 期 で あ る。 ま た,拡 20. 大.

図 表 ・資 料 目次 0 1 9 臼 9 σ 4 ﹁0123123456789111111図図図表表表表表表表表表表表表表表表 資料1 「 『谷 中 平 和 の 碑 』 は 私 た ち の 新 し い 第 一 歩 」 授 業 展 開 図50年 前 の 八 知 村 の 様 子単 元 の な が れ「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 記 録 及 び 研 究 年 表「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 分 類 表模 索 期 の「地 域 に 根 ざす 社 会 科 」 実 践 分 類 表模 索

参照

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