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『妊婦と胎児一一一二人の個人一一一』 (胎児診断および晩期堕胎に関するスウェーデンの報告書)(三)一一生殖医学と法(三)一一 

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(1)

八 資 料

V

﹃妊婦と胎児

l

二人の個人

l

﹄(胎児診断および

晩期堕胎に関するスウェーデンの報告書)侍

││生殖医学と法会一)││

﹁生殖医学と法﹂研究会

113一一『奈良法学会雑誌』第9巻1号(1996年6月〉

4

人工妊娠中絶

歴史的概略 ロ l マ時代、堕胎・嬰児殺し・児童遺棄は、出生数制限の方法として受け容れられていた。それでも、国家繁栄のために、すべ ての男児及び最初に生まれた女児を養育することを義務づけ、子供に発育不全や先天性異常が見受けられる場合においても、一一一歳 になるまではその子供を殺すことを禁止していた。 キリスト教の布教に伴い、胎児もある一定の法的保護を受ける権利を有しているという考えが発達してきた。それは、教会が基 本理念として、生命自体の不可侵性を掲げているからである。 中世、及び一九世紀までは、嬰児殺しゃ堕胎に対しては死罪の判決が下されていた。しかし、一九世紀には、諸犯罪に対する刑 罰が軽減され、それと同時に嬰児殺しゃ堕胎に対する刑罰も軽減された。一九世紀末には、出生数の減少が著しくなった。その原 因の一つには、非合法な堕胎手術を受ける女性が一八九

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年代より急激に増加したという事実が挙げられる。また、手術が原因で 妊娠できない体になってしまった女性も多数存在した。

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第9巻1号 114 一九二一年には、嬰児殺しゃ堕飴に対する刑罰が軽減された。この刑罰軽減に関連し、胎児と母体、どちらの利益を優先させる べきか、激しい論議が展開された。その際、女性の利益を今までよりも重要視する意見が多く見られるようになっていた。この論 議の結果、一九三四年に調査委員会が発足されることとなった。 一九三八年施行の人工妊娠中絶法とその改正 一九三四年に発足した人工妊娠中絶に関する調査委員会は、人工妊娠中絶法の提案を含む報告書を一九三五牛に提出した。この 報告書が、一九三八年に施行された法律の基礎をなすものである。 この法律の主原則は、生命の不可侵性に配慮したものというより、堕胎を犯罪とみなすことで、胎児に法的保護を受ける権利を 与えるという性質のものであった。この主原則に基づき、例外として、他の者の利益を胎児の法的保護を受ける権利に先行させ、 人工妊娠中絶を行なうことを承認するケ l スに関する制定が行なわれ、そしてこの例外的場合に該当すると判断されるには、コ一つ の適応事由のうちいずれかを満たしていなければならないと定められた。 第一の適応事由とは、医学的適応事由である。これは、母体の肉体的欠陥及び疾病などの原因により、出産が母体の生命にもた らしうる重大な危険を回避するために、人工妊娠中絶を行なうケ1スのことを差す。またこの適応事由には、母体が精神的・肉体 的健康を保っていないために、妊娠・出産がその健康や生命を危険にさらす危険性があるケ l ス も 含 ま れ る 。 第二の適応事由とは、人道的適応事由である。これは、強姦など抵抗・拒絶することができない間に姦淫されて妊娠した場合や、 近親聞の性行為の結果妊娠した場合、女性本人が精神病もしくは精神薄弱を有している場合、女性本人が一五歳未満である場合、 または、妊娠により女性本人の行動の自由が著しく損なわれる場合に、人工妊娠中絶を行なう権利を認められるケ l ス を 差 す 。 第三の適応事由、優生学的適応事由とは、生まれてくる子供が、精神病・精神薄弱及び肉体的疾患を引き起こす遺伝子を有して いる可能性のあるケ l スを差す。優生学的適応事由により妊娠中絶手術が行なわれる場合には、通常母体となる女性に対しても、 生殖を不能にする手術が行なわれる。 人道的及び優生学的適応事由に関する限り、妊娠二

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週以降の妊娠中絶は禁止されていた。それに対して、医学的適応事由に関 2

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115一一『妊婦と胎児一二人の個人一.1 (胎児診断および晩期堕胎に関する ・)

C

三〕 しては、妊娠中絶が許可される上限を特に定めていなかった。 一九三八年の人工妊娠中絶法施行は、非合法の中絶手術件数の減少にはあまり貢献しなかった。そのため、一九四六年の法律改 正の際に、第四の適応事由、社会医学的適応事由が導入された。これにより、女性の生活状態やその他の生活環境を考慮した結果、 子供の誕生や将来の子供の養育により、女性の精神的・肉体的精力が著しく損なわれる恐れがある場合、妊娠中絶を行なうことが 認 め ら れ た 。 そ の 上 、 一九六五年の法律改正の際には、第五の適応事由、胎児性適応事由も導入された。これにより生まれてくる子供が胎児 期にはすでに何らかの先天性異常を有しており、その異常が治療困難な疾患や重度の障害を引き起こす場合には、妊娠中絶を行な う 許 可 が 与 え ら れ た 。 また、上記の適応事由のいずれかを適用して妊娠中絶を行なう許可を得るためには、二人の医師からの診断書が必要であるとさ れていた。それ以外にも、医療庁(当時の名称)の許可を得た場合、妊娠中絶手術を行なうことができた。優生学的及び胎児性適 応事由に関しては、医療庁の許可を必要とした。 現行の人工妊娠中絶法 一九七五年一月に施行された現行の人工妊娠中絶法は、一九三八年中絶法が制定・施行されて以来の社会的発展を反映したもの であると言える。女性に対する見方、及び社会における女性の役割は変化し、現在の我が国では、両親が妊娠・出産を計画的に行 なう権利を持つということが広く理解されている。現行法が制定される以前には、望まない妊娠や望まれない子供が、親たる当事 者にとっては様々な形でストレスとして感じられるとする意見が多かった。それは最終的に、すべての子供が彼らの成長及び発達 にとって最良の条件の下に生まれてくることを願う気持ちの一表現であった。 この法律の基本概念とは、女性が熟考を重ねた結果、望まない妊娠が彼女にもたらした諸問題を解決する最良の方法が妊娠中絶 を行なうことであると考えるに至った場合、それを行なうべきであるというものである。 しかし、女性が人工妊娠中絶を行なう権利は無条件に与えられてよいものではない。この法律においては、人工妊娠中絶手術が 3

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第9巻 1号一一116 女性にとって、多かれ少なかれ重大な危険をもたらすものであるという背景、及び、胎児が妊娠期間中、生存可能な個体へと継時 成長を続けているものであり、胎児の生命に関する権利も尊重されなければならないということに対し、適切な配慮が取られてい る 。 人工妊娠中絶の際に医学的併発症をおこす危険性に関しては、妊娠期間の長さが悪い結果を引き起こす最大の要因であると一言わ れることが多い。数種の調査によると、中絶手術の影響により医学的併発症がおきる危険性は、妊娠一一一週以後に行なわれた手術 に関する場合、それ以前に行なわれたものと比較して四倍近く高いことが明らかになっている。 妊娠初期に行なわれる人工妊娠中絶の際に現れる医学的な障壁が、基本的に一時的な性質のものであることが多いことは、今ま での経験より明らかなことである。そのため、法律の制定に携わった者達は、初期妊娠中絶に関する限り、医師によって行なわれ る優生学的な診断及び調査などの手続きと平行して、女性の個人的な状況に関して特別調査を行なう必要性を見いださなかったの である。またこの決定の背景には、一九七

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年代初期に行なわれた人工妊娠中絶の約八

O%

が妊娠二一週以前に行なわれていたも のであるという事実が存在する。 それに対し、妊娠一一一週以前に妊娠中絶を行なうことができなかった場合、より根治的で危険な手術方法がとられることが多く なるが、それに伴い併発症の危険性は増大する。そのような場合には概して、女性自身が妊娠継続と妊娠中絶のどちらを望んでい るのかはっきりしていないことが多い。また妊娠が進むにつれ、女性の周囲の人々からの圧力や影響力が高まるという事実を無視 することはできない。このような圧力は、女性が決断することを困難にするものである。 以上のことや胎児の発育を考慮し、法律には、妊娠二一週以降の人工妊娠中絶実施に先行し、女性の個人的背景及び状況につい て特別な調査(福祉士調査)を行なわなくてはならないと定められている。例外として、担当医師が特別な理由により調査を省略 してもよいとする場合には、あえて実施する必要はない。より問題祝されるケ l スは、妊娠一二週以降でも妊娠初期と同様の中絶 方法を採用することが可能な場合である。(本章 4 参照) 福祉士調査を行なう目的とは、女性が決断する際に広くサポートを行なうこと、及び様々な疑問に対して情報や指導を与えるこ とにある。この特別な調査や指導は、どのような場合においても不必要な時間の無駄遣いにつながってはならない。

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117一一『妊婦と胎児二人の個人一.~ (胎児診断および晩期堕胎に関する…・・)

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三〉 人工妊娠中絶法の基本的概念は、胎児とは妊娠初期には母体の一部であるが、その後も発育を続け独立した一個体に成長する存 在であるというものである。妊娠一八週以降の人工妊娠中絶を原則的に禁止する決定は、この概念が背景となっている。﹁特別な 理由﹂が存在する場合、及び厚生省の許可がある場合のみ、妊娠一入週以降の娃娠中絶が認められる。妊娠一八週以降に妊娠中絶 を行なうことを許可する他の条件としては、胎児が生存可能な状態であると見なされないことなどが挙げられる。 人工妊娠中絶可能の上限については、法律には定められていない。母体の持つ疾患や身体の欠陥などにより、妊娠・出産が彼女 の生命及び健康に重大な危険をもたらすと考えられる場合、もしくは胎児が重度の障害を持っており、その時点で生存可能な状態 ではないと考えられる場合以外については妊娠二二週以降の人工妊娠中絶は現在までのところ原則的に行なわれていない。 人工妊娠中絶の発展 人工妊娠中絶は、望まれない子供の誕生を避けるため、今日世界中で最もよく採用されている方法である。世界全体で年一千万 件ほどの中絶手術が実施され、その多くは違法手術であると言われている。また、手術の際の併発症が若い女性の最も一般的な死 因 で あ る 国 も 多 い 。 一 九 六

O

年にスウェーデンで行なわれた合法的中絶手術件数は二七九二件である。その十年後、その数字は二ハ一

OO

件にまで 増加している。新しい人工妊娠中絶法が一九七五年に施行されるまでに、合法的手術の件数は大幅に増加した。そうして、一九七 四年には三

O

六三六件の妊娠中絶が行なわれることとなった。新法の施行がその件数の増加に特に貢献するようなことはなく、三 万件前後で安定していた。一九八七年には約三万五千件の中絶手術が行なわれている。 近年では、すべての中絶手術のうち年間二五

O

件が妊娠一八週以降に行なわれている。一九七五年以降、この晩期人工妊娠中絶 の件数は最も多い年で三コ一八件となっている。一九八七年には、二二二件の手術が妊娠後期に実施されている。 4 人工妊娠手術の方法 大半の人工妊娠手術は妊娠二一週以前に行なわれる。その場合によく適用される手術方法は、 5 一段階法と呼ばれる真空吸引であ

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第9巻1号 118 る。これは、金属管を陸から子宮内部に挿管し、胎児及び胎盤を吸い出してしまうという手術法である。 妊娠一二週以降には、原則的に三段階法と呼ばれる方法が用いられる。これは、陣痛を起こさせる薬物などを使用することによ り、胎児と胎盤を除々に母体外に排出するというものである。通常この手術では最後の処置として胎盤の残りを掻き出すこととな っている。また、帝王切開手術を行なうケ l ス も あ る 。 6 人工妊娠中絶に際して行なわれる福祉士面談 人工妊娠中絶を考えている女性は、いつでも福祉士と面談を行なう機会を得ることができる。この面談は、妊婦が自由意志によ って受けることのできる妊娠中絶指導のようなものであったり、妊娠一二週以降に妊娠中絶を行なう場合には、原則的に受けるこ とを義務づけられている特別な福祉士調査であったりする。後者の特別福祉士調査は前述の通り、担当医師が(女性と相談した結 果)不必要と判断した場合、省略することができる。 妊娠中絶指導は、福祉士以外にも医師や助産婦により行なわれることもある。しかし、一般的に指導は福祉士調査と同一視され ている。指導と調査との違いはあまり明白なものではない。指導・調査どちらの面談も、女性が妊娠中絶に関する決断を下す際に 彼女の支えとなることが何よりも重要である。 一九八O年に発足した人工妊娠中絶に関する調査委員会は、報告書﹁家族計画と人工妊娠中絶﹂の中で国内の人工妊娠中絶を行 なっている病院や診療所を対象に妊娠中絶のケアについてアンケートを行なっている。福祉士面談に関しては、次のように報告さ れ て い る 。 妊娠一二週以前に妊娠中絶を行なった女性のうち、福祉士と面談の機会をもっていたのはコ一O%程度であった。妊娠一一一週以降 では、四七%が福祉士面談を行なっていた。しかしながら、診療地域聞における格差は無視できないものである。その上、妊娠一 二週以降に妊娠中絶を希望する場合には原則的に福祉士面談の実施が義務づけられているにもかかわらず、その女性の半数以上が 福祉士との商談を行なっていない。 アンケートによると、男性が福祉土面談の場に居合わせることはほとんどない。しかしながら、人工妊娠中絶のケアに携わって

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) (三〉 いる他の機関への訪問と比較すると、男性が福祉士を訪れる頻度の方が高いことがわかる。 アンケートの中で、多くの福祉士が指摘していることは、女性が商談をリードし、自分にとってどんなことが問題として感じら れるかきちんと話すことが重要だということである。また、自分の感情について話をすることが重要である。女性達はおそらく理 性をもって妊娠中絶を決心したのであろうが、心理的にはつらく感じていることもあるからだ。 人工妊娠中絶を行なう以前から福祉士と商談を行なっていた女性は、ほとんどの場合、手術の後でも面談に来ることを勧められ る。しかしながら、ほとんどの女性はその機会を利用することはない。妊娠中絶の前から福祉士の支えを受けることを拒否してき た女性達においては、手術後にそれを利用しようという人はもっと少数であった。 アンケートの結果に加え、妊娠中絶指導を行なっている福祉士と対談を行なった際、以下のような情報を手に入れることができ 119-11妊婦と胎児二人の個人~ (胎児診断および晩期堕胎に関する た

胎児が先天性異常を持っていることを知らされ、福祉士の元を訪れる女性のほとんどは、人工妊娠中絶を行なうかどうかすでに 決 断 し て い る と い う 。 通常、担当医師から胎児の先天性異常に関する告知を受けることになるが、この最初の告知が女性の決断に大きな意味を持つも のとなる。胎児診断により胎児の持つごく軽微な異常でさえも発見されることが多くなったことにより、この告知を行なうことが ますます困難になってきている。 妊娠中絶指導に携わっている福祉士は障害者の状況に関する知識をあまり有していないことが多いので、この見地から様々な情 報を提供することができない。こういった事情により、胎児診断で異常が発見された場合には様々なケアを担当する福祉士に引き 継 ぐ こ と も あ る 。 胎児に先天性異常が認められたことをきっかけとして妊娠中絶を考えるようになった女性にとって社会が障害児に対して援助を 行なう余裕があるのかどうかということが、その決断を大きく左右することはほとんどない。むしろ、彼女自身が障害児をそだて るだけの余裕があるかどうかということの方が大きな問題とされる。 子供を中絶するのではなく出産することを決意した場合、出産後、その子供を養子に出す女性はほとんどいない。養子に出すと

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第9巻1号一一120 決めた場合の多くは、人工妊娠中絶を行なうことが不可能な時期になってから出産を拒否するようになったというものである。 福祉士側は、胎児に異常が認められたという告知を受けた直後の混乱状態にある時に、妊娠中絶を行なうか否か決定してしまわ ないことが重要であると考えている。つまり、どうするか余裕を持って考えられる時間を持つべきであるというのである。しかし ながら、女性が妊娠中絶を行なうことを決心した時には、出来るだけ早く手術を行なうべきである。 女性が不安感を解消するために自ら胎児診断を希望することは稀である。そのような場合、女性が何らかのハイリスク・グルー プに属していることが多い。 妊娠中絶指導に携わっている福祉士は、福祉大学でソシアルワ l ヵーとしての教育を受けていることが望ましい。 人工妊娠中絶を行なう理由 歴史的にみて、人工妊娠中穐か行われたのは、不倫関係や婚前交渉により妊娠したため、その妊娠が家族や婚姻に関する法律を 犯した明らかな証拠であるとみなされたことが主な理由であるとされている。 妊娠が望まれないと考えられてきた理由としては他に、母体あるいは家族の健康や経済状況などが挙げられる。しかしながら、 現代の西欧社会において、これは人工妊娠中絶を希望する理由としてはあまりみられなくなっている。 近年における、女性が妊娠の継続を希望しない主な理由は、女性がちょうどその時期に子供の養育を行なう意志がないというも のである。女性が自分には子供を養育する能力や精神力がないと考えていたり、女性に子供の養育を行なうだけの実務的・経済的 余裕がない、または子供を持つには若すぎるか年をとりすぎていると考える場合である。また、学業や仕事を行なうのに子供が障 害となるためもしくは子供の父親との関係が不安定であったり満足のいくものでないからという理由も存在する。妊娠初期及び出 産間近に人工妊娠中絶が行なわれることが多いことは、統計によっても裏付けられている。 7 妊娠一八週以降の人工妊娠中絶許可に関する慣例 一 九 七

O

年以降の人工妊娠中絶の発展に見られる顕著な特徴は、晩期人工妊娠中絶実施件数の減少である。 8 一九七一年には、妊

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12トー『妊婦と胎児一二人の個人-.11(胎児診断および晩期堕胎に関する…・・)(三) 娠中絶の約六%(一

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九八件﹀が妊娠一八週以降に行なわれていた。一九八二年には、その数字は

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・八%(二五六件)にまで減 少している。それ以後、この数字は大体安定している。そして一九八七年には、二二七件の人工妊娠中絶が妊娠一入週以降に実施 されている。近年では、晩期人工妊娠中絶が行なわれるのはごく少数のケ l ス に 限 ら れ て い る 。

8

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議会オンブズマン ( J O ) の 調 査 一九八二年の決議の際から、議会オンブズマンは厚生省の人工妊娠中絶法の適用に関する調査結果の報告を行なってきている。 議会オンブズマンの行なった調査は、一九八

O

年の一一一カ月間に厚生省の当時の妊娠中絶・避妊に関する委員会(現在の厚生省の法 律的・社会的・医学的問題に関する審議会、通称、厚生省法的問題審議会)が対処した一

OO

件の問題に関するものであった。そ こには、審議会が大多数の妊娠中絶の申請を承認していると報告されていた。議会オンブズマンは、法的問題審議会が﹁特別な理 由﹂が認められる場合のみならず、審議会が独自に人工妊娠中絶承認の条件として挙げている社会的及び医学的理由が認められる と判断された場合においても、その申請を法認していることを問題として取り挙げている。人工妊娠中絶の申請が承認された場合 に提示された理由としては、以下のようなものが挙げられる。 ││社会的理由以外にも、本人が未成熟であり、特別と認められる心理学的理由があった場合 ││未成熟である一七歳の少女、妊娠二

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週目に入っており、子供の父親との関係は断絶している。社会心理学的理由が認めら れ る 。 ││本人が未成年で未成熟であり、社会的にも不安定な状況。子供の父親との関係も断絶している││配偶者のいない母親。精 神発育に多少の遅れと強い精神的抑圧が見られるため、実際に子供をもう一人養育するのは不可能。 ーー一九歳の少女。初めての性的交渉により妊娠、その後子供の父親からの連絡なし。社会的状況は悪く、両親からの援助もな L、

││未成年の少女。本人は妊娠を否認しており、両親からの精神的サポートは欠如。 ││女性自身は、自分が子供を養育出来るほど成熟していないと認めているが、彼女の婚約者は、子供を中絶しないよう彼女に 強制している。二人の関係は複雑、不安定。

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第9巻1号 122

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若い女性。幼年時代、不幸な境遇。現在においても不安定な社会的状況。妊娠がようやく最近になって始めたリハビリに悪 影響を与えると考えられる。妊娠一八週以前に妊娠中絶許可の要請は出されている。 ││住居を持たない無職の女性。最近、スウェーデンに移住。子供の父親であると本人が考えている男性との連絡はない。 ││配偶者のいない母親。子供の父親との連絡なし。女性の状況及び性癖から判断して、子供を持つことが経済的負担、そして 何よりも精神的荷重になると考えられる。 8 ・ 2 一 九 八

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年に発足した人工妊娠中絶に関する委員会による調査 一 九 八

O

年に発足した人工妊娠中絶に関する委員会は、報告書﹁家族計画と人工妊娠中絶﹂の中で、妊娠一八週以降に行なわれ た人工妊娠中絶に関する追跡調査を行なっている。法的問題審議会で一九八一年に取り上げられたこの追跡調査により、以下に挙 げるようなことが明らかとなっている。 人工妊娠中絶法が施行されてから、法的問題審議会は妊娠一八週以降の人工妊娠中絶実施の許可申請を数多く承認してきた。例 えば、一九八一年には申請のうち、その八三%を承認している。 その申請のほとんどは、妊娠一九

1

O

週における妊娠中絶に関するものである。このような申請に対しては、ほとんどの場合、 承認の返事が出されている。 妊娠期間がそれを過ぎてしまった場合、法的問題審議会は申請の大半を却下している。一九八一年には妊娠二二週以降の人工妊 娠中絶に対する許可申請が五

O

件出されているが、半数が却下されている。却下されたうち二二件は、胎児が既に生存可能な状態 であると考えられたことがその理由である。 妊娠一八週以降に人工妊娠中絶を行なった女性の年令構成は、妊娠中絶を行なった女性全体の年令構成とは異なっている。一

O

代の少女と中年の女性が明らかにその大半を占めているのである。 胎児が先天性異常を有している恐れがあるとして、人工妊娠中絶許可を申請するケ l スは、着実に増加している。一九七七年に は、コ二件(全体の一一克)の申請が胎児の持つ先天性異常を理由に出されている。一九八一年には、その数字は六七件(一二ハ

w

d

にまで増加している。この増加は胎児診断を利用する人が増加したことを反映するものであり、胎児診断によりダウン症候群や神

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経管欠損などの多くの症例を診断することが可能になってきたということが言えるであろう。 妊娠一入週以降に人工妊娠中絶申請を出す際に最も多く見られる理由とは、一般的な心理・社会的諸問題である。これは、社会 的に困難な状況や人間関係の混乱がその主な要因とされる。例えば、女性自身のアルコールや他の薬物乱用、またはその女性のパ ートナーである男性による暴力や薬物乱用問題などが挙げられる。晩期人工妊娠中絶の申請理由としては他に、社会的状況や相手 の男性との関係が急激に変化したことなどが挙げられる。人工妊娠中絶に関して厚生省が取り扱ってきた件の約四

O%

はこの範鴎 に分類される。また、妊娠後期になって初めて別の理由により人工妊娠中絶の必要性が生まれてきた場合もある。 人工妊娠中絶の申請が承認される主な理由としては、胎児の先天性異常、女性自身の薬物乱用、知的障害、肉体的疾患などが挙 められる。また、女性自身が子供を持つには年を取りすぎていると判断した場合や、医師や検査所による検査の不備により、女性 が妊娠期聞を間違って覚えていた場合についても、人工妊娠中絶を承認されることがある。 この人工妊娠中絶に関する委員会の調査は、一九八一年に法的問題審議会で取り上げられ、定般的には心理社会的諸問題が常に ﹁特別な理由﹂であると判断されるわけではないと否定している。人工妊娠中絶が承認される場合には、常に他に﹁特別﹂と判断 される理由が多かれ少なかれあるというのである。 胎児が異常を有している恐れがある場合、あるいは胎児に何らかの先天性異常が認められる場合、胎児が生存可能な状態である と判断されない限り、法的問題審議会は人工妊娠中絶の申請に対し、常に承認を行なっている。審議会はあくまで胎児の両親の希 望及び判断を尊重しており、胎児の持つ先天性異常をその程度により分類するような行為は行なっていない。 8 ・

3

本調査委員会による調査 本調査委員会は、法的問題審議会が妊娠一八週以降の人工妊娠中絶にどのように対処しているのか、ある調査を行なっている。 その調査結果は、この章の最期に資料としてまとめである。 それを要約すると、以下のような結果となった。 妊娠一八週以降の人工妊娠中絶申請件数は、ここ数年比較的安定している。 一九八八年にはほとんど変わらずコ一二九件の申請があった。 123-IT'妊婦と胎児一三人の個人 ~ (胎児診断および晩期堕胎に関する ) (三〕 一 九 七 七 年 の 申 請 件 数 は 一 一 一 一 九 件 で あ っ た の に 対 し 、

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第9巻1号一一124 ﹁特別な理由﹂の解釈問題に関しては、ここ数年の間に厳しい解釈が取り入れられるようになったと言える。表 5 に よ る と 、 九七七年に九O%の申請が承認されていたのに対し、一九八八年にはそれが七一二%にまで減少している。 晩期(妊娠二三週、もしくはそれ以降)人工妊娠中絶の申請件数は、近年かなり減少している。一九八O年には五六件、一九八 八年には三二件の申請があった。この妊娠後期における人工妊娠中絶に関しては、法的問題審議会の慣例は非常に厳格化された。 妊娠二三週、もしくはそれ以降に申請されたケ I スのうち、一九八O年には四六%、一九八八年には八一%の申請が却下されてい る(表 5 1 妊娠二二週以降の人工妊娠中絶が認められた六件のうち、一件が強姦によるもの(妊娠二三週﹀であり五件が胎児に何らかの異 常が認められたことが理由となるもの(妊娠二三週目が三件、二四週日が一件)であった。どのケ I スにおいても、妊娠中絶手術 を行なう際には胎児はまだ生存可能ではないと判断された。 人工妊娠中絶法制定以来、心理社会的理由は人工妊娠中絶を行なう理由として最も多く見られてきたものである。社会的に困難 な状態や人間関係の混乱はその中でも一般的なものである。ここ一

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年聞に承認された妊娠中絶申請の四O%はこの範騰に分類さ れる(表 6 ) 胎児が何らかの先天性異常を有していることを理由として、妊娠一八週以降に人工妊娠中絶が行なわれる件数はここ数年の聞に 目立って増加している。一九七七年には全申請の一一%が胎児の先天性異常を理由とするものであったのに対し、一九八七年には それが三五%にまで増加している(表 6 ) 。胎児に見られる様々な異常の中でも特に、染色体異常を理由とする人工妊娠中絶申請 が 増 加 し て い る 。 妊娠一入週以降に人工妊娠中絶を行なう女性の大半は、主に心理社会的諸問題を抱えている者であると言える。そういった女性 達のケ l スは明らかに異質なものであり、例としてここでは以下のようなケ i ス を 挙 げ る こ と と す る 。 一一一一歳より売春を行なってきた一二O歳の女性。一年前に離婚。人生の転換を望んでいる。ここ数年間、精神病医や精神科医 の元に通院。カウンセリングを受けた経験がある。ヶア関係の仕事に一カ月前から従事。一時的に売春行為を行なった際、コンド 水

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125一一『妊婦と胎児一二人の個人一j(胎児診断および晩期堕胎に関する …) (三〉 -ムの使用ミスにより妊娠。少量の出血が見られた。妊娠一九週目に初めて自分が妊娠していることを自覚。吐き気あり。 水一八カ月の子供を持つ無職の女性。生活保護を受給。女性の両親はアルコール中毒で、ナイフや割れたピンなどによって彼 女に折燈などの虐待を加えることがよくあった。一

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代を里親の元で過ごす。弟は犯罪に巻き込まれ、現在、教護院に収容中。ア ルコール乱用・喧嘩・虐待を経て一年前、子供の父親と離別。妊娠期間中、自殺未遂で病院に収容される。知り合って半年になる 胎児の父親は、今現在刑務所に服役中。彼女は今、絶望感に苛まれている。 *一二歳と七歳の子供を抱える三

O

歳の配偶者のいない母親。年少の子供の父親は二年前に自殺。その出来事にひどいショック を受け、病後療養所に収容される。その問、子供は女性の母親や保育所職員に託される。療養後、短期の仕事に就くが、小児科医 師の勧めにより、五カ月前より子供のために家に留まっている。退職金と給付金で生計を立てている。月経は不規則で時には何カ 月もないこともある。一時的な肉体関係により妊娠、現在妊娠二

O

週目。子供を養育する肉体力及び精神力に欠ける。 *近隣国出身、無就学無職の二六歳女性。一年半前、夫と一

i

七歳の子供五人と共にスウェーデンに移住。夫婦は男性の浮気 により、最近離婚。この浮気により、夫婦はクラミジアに感染。子供の養育権は女性が保持。前夫との関係修復を図り、一時的に 性 交 渉 を 行 な っ た 際 、 IUD の使用にもかかわらず妊娠。前夫からの援助なし。これ以上の責任を負う力は彼女にはない。妊娠中 絶に踏み切る決心がつかず、妊娠一九週目に至る。 *妊娠一一一週目である無職の一八歳少女。混乱した生活状況の中で成長、一時収容施設・里親・教護院を行き来する。拒食症 と診断され、精神病科に数度通院。数年後、二十歳の男性と交際。その男性は現在犯罪の容疑で指名手配中であり、行方不明であ る。六カ月前に、その男性との聞に息子を出産。その怠子は生後二カ月で保護され、里親の元に預けられる。出産後、月経なし。 妊娠しているという自覚はなかった。胎児の父親からも、彼女の両親からも援助はない。薬物中毒なし。子供を出産・養育する能 力及び精神力に欠けている。 *妊娠一九週目の一九歳少女。早くから妊娠を疑っていたが、相談する勇気がなく、無気力になっていく。両親が共働きのた め、幼い頃より妹の面倒を見てきた。両親が四年前に離婚して以来、その責任はより重くなった。短期間一人暮らしをしたのち、 新しい男性と同棲し、子供ももうけている母親の元に移る。看護科に通い、准看として働く。腰を痛め、看護というきつい仕事を

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第9巻1号一一一126 やめるよう忠告される。二

O

歳の船乗りとの性交渉により妊娠。その男性は胎児の父親であることを否認し、航海に出てしまいそ れ以降連絡なし。精神的にもまいっており、妊娠中絶を行なうための助けを求めている。 *一一一二、一九、一七、一五歳の子供を持つ三九歳の庖員。二

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年前より精神病科に通院。鎮静剤服用。約半年前に家賃の滞納 を理由に強制的に立ち退かされる。現在は一七歳の娘の元に身を寄せている。一五歳の末息子は長男のアパートで同居。数年前か ら交際している妻子ある男性との間で妊娠。結婚する予定などなく、不安定な関係を続けている。妊娠に気付くのが遅すぎた。子 供を出産する勇気もなく、育てていくことは不可能。妊娠二一週自に申請。 * 二

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歳の無職女性。短期の就労経験あり。現在は生活保護を受けている。一年半看護科に通っている。自分のアパートを又 貸しし、学校の近くに下宿。胎児の父親である二二歳の工場労働者は妊娠・出産に反対し、援助を拒否。他からの援助なし。ピル の服用をやめて後、妊娠。その後数週間にわたって出血。妊娠中絶の申請をした際に、早くから妊娠を自覚していたことを認める。 挺 娠 二 二 週 目 。 四 二 歳 女 性 。 一

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年間同棲。前のパートナーとの聞に二二歳、一八歳の二人の子供あり。現在のパートナーとの間に九歳の 子供が一人。ある施設の食堂に勤務。相手の男性はよい住事に就いていたが、五カ月前にやめてしまい、それ以降無職。会社設立 を計画している。男性が自分の夢に夢中になっていたため、退職後、不安定な生活が続く。双方にアルコールと煙草の乱用が見ら れる。コンド l ムの使用にもかかわらず妊娠。最近では月経も不規則であり、それに加えて発汗が見られたため、更年期であると 判断。妊娠二

O

週に入っても自覚症状に気付かなかった。妊娠の告知にショックを受けている。妊娠を破局ととらえている。パー トナーとの関係は彼女にとって負担であり、自分は老けたと感じている。子供ができた場合、一人で子供の養育責任を負わなくて はいけないと考えている。

*

心理社会的諸問題に関して行なわれたこの調査により、﹁特別な理由﹂というものが衛単に分類できない、定義の難しいもので あることがわかる。それぞれのケースに対応するにあたり、様々な要素を考慮しなくてはならないと言えるであろう。

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127一一『妊婦と胎児一二人の個人ーJl (胎児診断および晩期堕胎に関する…・・)C三〉 人工妊娠中絶法の適用に関する厚生省報告書 一九八九年一月、厚生省は人工妊娠中絶法の適用に関する新しい報告書を発行した。要約すると、その報告書には以下のように 述 べ ら れ て い る 。 9 人工妊娠中絶に関するケアは、出来るかぎり他の女性特有の疾病治療と統合されるべきである。なぜなら、女性が手軽に妊娠中 絶一に関する指導を受けることができることが重要であると考えられるからである。 経験よりわかっていることは、妊娠中絶を考えている女性の多くは何らかの危機的状態に陥っているものであり、誰かに話を聞 いてもらう必要性を感じている。人工妊娠中絶に関する指導とは、女性の決断を左右するような性格のものではなく、彼女が手術 を受けるにせよ受けないにせよ、困難な状況の中で彼女の支えとなるべきものである。指導には、女性が男性と一緒に参加するこ とを勧めるべきである。指導を含む面接は、短くて事実に基づいた情報提供の場であることが多いが、特に女性が強いアンピパレ ンスを示している場合については、女性が決断を下すまでの問、何度か面接を繰り返すこともある。指導面接を行なう目的は、女 性(胎児の両親)に今彼女(彼ら)のいる状況を出来るだけはっきり認識させ、実際に決断を下すための基盤を作ることにある。 場所や組織にかかわりなく、医師や助産婦、及び避妊指導に携わる機関はある程度の人工妊娠中絶に関する指導や助言を与える ことができなくてはならない。その指導や助言とは、人工妊娠中絶法の概要や妊娠中絶を行なうために必要な手続き、妊娠中絶に 際して女性が得られる様々な援助、及び手術の方法などについて即座に情報を提供することを意味する。より詳しい指導は、福祉 土や医師との面談の中で行なわれる。 妊娠一二週以前に妊娠中絶を行なう場合、福祉士との面談を受けるか受けないかは自由である。しかし、妊娠中絶を考えている 女性及びその相手の男性は皆、このような面談を受ける機会を提供されなくてはならない。その上で、彼らが福祉士面談を拒否す る場合には、その意士山も尊重されなくてはならない。妊娠一二週以降の人工妊娠中絶については、法律に特別調査の実施が規定さ れている。この特別調査とは、実際のところ、福祉土面談のことであり、早期人工妊娠中絶の際に行なわれるものと同様の形式で 同様の質問を行なうものである。 妊娠一八週以降の人工妊娠中絶に際しては、福祉士が調査を行なった後、その調査結果を申請書類と共に厚生省に郵送すること

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第9巻I号一一128 になっている。調査はサポートを与える形式の面談であり、その際には、妊娠を続ける可能性や妊娠中絶の申請が却下された場合 の行動に関しても議論される。 福祉士面談は、女性にとって支えとなるものでなくてはならない。また、相手の男性が危機的状況に陥っている場合には、彼に 対するサポートも行なわれるべきである。女性は自分の置かれている状投ゃ、妊娠中絶をしようと考えるに至った背景について、 福祉土に対して落ち着いて話をする機会を得ることができなくてはならない。このことに関連して、商談には必要なだけの時聞が 割かれなくてはならないと言える。必要性が認められる場合においては、女性が望む限り、中絶手術の後であってもこの面談を続 け る べ き で あ る 。 人工妊娠中絶に際する検査や指導、及び中絶手術は、婦人科専門の医師もしくは産婦人科の専門教育を受けた医師により行なわ れなくてはならない。医師はその際、妊娠期聞を算出し、一般的及び婦人科の見地から母体の健康状態を判断する。法律によると、 医師は女性の置かれている立場について広く理解し、人工妊娠中絶に対する禁忌が存在するかどうかを判断しなくてはならない。 禁思とは例えば女性が自分の意士山に反して妊娠中絶を強制されている場合などを差す。医師はまた、適用される手術方法や発生し うる併発症、及び手術後の検査や療法に関する情報を提供する義務を有している。その上、避妊具に関する情報を提供し、それぞ れの避妊法の長短所についてその女性と議論し、彼女にふさわしい避妊法を見つけ出さなくてはならない。 母子福祉や避妊具普及に携わっている助産婦は、人工妊娠中絶の実施を防ぐ仕事において重要な役割を果たしている。それは、 避妊具の使用に関する指導を行なったり、性や共存に関する情報を提供するというものである。また、助産婦によって妊娠の告知 が行なわれることも多いため、告知の後に出る直接的な質問に答えることができなくてはならない。それゆえ助産婦には、人工妊 娠中絶とその関連法、及び望まぬ妊娠が引き起す危機的状態に関する十分な知識が必要とされる。妊娠中絶を考えている女性の支 えとなり、いち早く最良の決断が下せるよう手助けをするのも助産婦の務めである。その上助産婦は、妊娠初期に中絶手術を受け た女性の後療法に参加することもある。 妊娠中絶手術を受けた後には、再度医師や助産婦の元を訪れるよう勧められる。それは、女性が医学的に回復したかどうか自分

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129一一『妊婦と胎児一二人の個人一JJ(胎児診断および晩期堕胎に関する・....-)(三〉 白身知る必要があるのと、時には避妊具の使用について再度検討する必要があるためである。手術から再来院までにあまり長い期 聞が空くことは望ましくない。四

1

六 週 間 前 後 が 適 切 で あ ろ う 。 女性が希望したり必要であると考える場合には、彼女、あるいは彼女のパートナーに対し、医師及び福祉士面談の機会が提供さ れるべきである。特に、胎児の先天性異常が妊娠中絶を行なう原因となった場合には、何度も再来院する必要が認められる。時に は、中絶手術の後に明らかとなった胎児の診断結果を報告するために、専門家にも参加してもらうことが必要である。 人工妊娠中絶を希望する女性に対して、治療に携わる関係者は常に理解を示し、あたたかい態度で接する必要かある。そのため、 妊娠中絶ケアに携わる関係者は、人工妊娠中絶に対して偏見を持ったり、反対の立場を取っている者でないことが条件となる。そ れはつまり、従業員が自分の意志に反して妊娠中絶ケアに携わるよう強制されるようなことがあってはならないということである。 倫理的もしくは宗教上の理由などにより、人工妊娠中絶の実施を受け入れられない者もまた、ケアに携わるべきではない。妊娠中 絶ケアに携わる関係者の苦悩を和らげるため、幾度にもわたって情報提供や議論の場を設ける必要がある。それに参加することで 関係者は、自分の反応やその時抱えている苦悩について語り合う機会を持つことができる。多くの場合、人工妊娠中絶に対する理 解不足は、それに至るまでの背景や条件、及び生活状況に関する知識不足より起きるものである。よって、妊娠中絶ケアに携わる 関係者がこういった知識を得る機会を持つということは、ケアの質を向上させるための重要な一要素であると考えられる。以上の ことは、ケアに関する計画を立てる際に検討されるべきである。人工妊娠中絶が妊娠一八週以降に実施される場合には、福祉士に よる調査が行なわれる。この福祉士調査は、厚生省が﹁特別な理由﹂が存在するかどうかの判断する際の主な判断材料となる。こ のため調査は以下の点について詳細に記したものでなくてはならない。

*

問題となる妊娠の背景 家族の状況、パートナー・子供・両親との関係 人工妊娠中絶を希望する理由 過去の妊娠経過と妊娠中絶経験

*

*

*

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第9巻1号一一130

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住居及び就業状況 避妊具使用の有無

*

胎児に先天性異常が認められたり、異常を持つ疑いが持たれたため、人工妊娠中絶を行なった経験がある場合、二度目の妊娠中 絶における状況は変わってくる。それは、望み待ちわびた妊娠であることが多く、妊娠中絶を行なうことは子供を産みたいという 願いに反する行為であるととらえるからである。彼女は流産をした時と同じような深い悲しみと喪失感を味わうことになる。しか し彼女は、分娩の際に子供を流産してしまった女性や夫婦が出会う、周囲の人々からの励ましゃ同情をうけることはないのである。 さらに、妊娠期間か進んでから胎児に異常が発見され、厚生省に妊娠中絶の許可を申請しなくてはならなかった場合には、こうい った感情がより強く現れる。申請手続き自体もまた、彼女にとっては余計な重荷に感じられるからである。 胎児に異常が認められるという告知は予期しないものであるため、精神的・肉体的に大きなダメージを与える。そのようなショ ック状態にいる彼女にとって、最初に与えられる情報を受けとめるのは非常に困難である。よって、最終的に決断を下すまでに、 十分な期間をおいて情報を繰り返し受けることが必要となる。 胎児の持つ先天性異常に関する情報提供は、その異常が引き起し得る精神的・身体的障害やそれが子供本人及びその家族にもた らす結果に関する客観的理解の成形を目的とする、バランスのとれた適切なものでなくてはならない。胎児に先天性異常が認めら れたり、異常を持つ恐れがあると診断された場合、女性は専門家からその異常に関する情報を得ることができなくてはならない。 そういう意味においても、その女性を最初に診断した医師が、彼女とそのパートナーのケアに関する主責任を負うことが望ましい。 その担当医師は、厚生省に対し申請書を提出したり、妊娠中絶手術の後も、妊娠を継続した場合には妊娠期間中、また次の妊娠ま での期間においても変わりなくサポートし続けるべきである。 このようなケ I スにおいても、女性およびそのパートナーが福祉士との面談を行うことができるよう規定されるととが重要であ る。彼らには、決断を下すに際して話ができる相手が、診断を行なう医師以外にも必要であるし、その上、彼らが望む場合には支 えとなる面談の場を繰り返し持つことができる。妊娠中絶手術後に福祉士の元を訪れた際には、胎児の異常に関するより多くの情

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報を受けたりそれまでに実施された様々な胎児診断の結果について話し合う機会を得ることができる。また彼らは再度妊娠を試み る前に、遺伝に関する指導を受けることを希望することが多い。 131一一『妊婦と胎児一二人の個人一j](胎児診断および娩期堕胎に関するい一) (三〉 厚生省に対して人工妊娠中絶許可の申告腐を出す際には、その診断の根拠となる報告物のコピーを同封しなくてはならない。まだ、 この報告書には、胎児が将来持つ恐れのある精神的・肉体的障害がどのようなものであるか明記してあることが望ましい。 叩厚生省審議会の見解 厚生省審議会は、報告書﹁家族計画と人工妊娠中絶﹂の中で一九七五年から人工妓娠中絶法が施行されていると述べている。そ れから現在までの聞に、胎児診断及び超早産児のケア技術は急速な発達を遂げた。その開に、一九七

0

年代初めには焼に診断する ことが可能であった非常に震度の先天性異常に加え、様々な程度の精神的・肉体的障害を引き起す恐れのある異常も数十種類発見 できるようになった。超早産児のケアが発展・改良されたことにより、近年の医師達は、妊娠二三週自に出産された子供でも、分 娩持の体力次第によっては生存できる可能性があると考えている。妊娠二五週自に出産された健康な子供が生存できる可能性は、 現在のところ五

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あると考えられている。妊娠二六週以降になると、六

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の子供が生存できる。正確に妊娠期聞を算出 することが困難であること(算出誤差は+一二週間とされている)を考慮した上で、なおかつ一定の確定した妊娠期間を定めるべき であるという立場をとる場合、現行法における後期人工妊娠中絶に関する決定が下されるのが、胎児が生存可能であるとされる時 期にあまり間がないことは明らかなことである。 厚生省が後期人工妊娠中絶の申請承認を行なう際などに、上記の考えを慎重に適用することで、実際に胎児が生存可能であると さ れ る ケ i スに対して妊娠中絶の実施を決定することを避けることが可能になるであろう。しかしながら、胎児と母体の利益に関 する衝突を解決するために、慣例を適用するのは適切ではないと審議会は考えている。そのことより審議会は、この間題の慎重な 調査を早急に胎児に関する調査委員会に委任することを検討している。その上で、妊娠一人週に霞かれている上限についても検討 し、後期人工妊娠中絶を行なう条件に関して明確な規定を作成するべきだとしている。しかし、女性が自由意志によって奴娠中絶 の実施を決定できる期間の上限である妊娠一一一週という規定に関しては、特に再検討する必要はないと強調している。

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第9巻1号一一132 厚生省審議会はまた、胎児の先天性異常に基づく人工妊娠中絶に関する指令の中で、胎児に関する調査委員会が妊娠中絶手術に より提起される倫理的問題に対処するための総合的見解を形成すべきであると発言している。しかしながら、給児に関する調査委 員会に対して以前に発令された司令が、その調査が人工妊娠中絶法の内容に触れるような問題に関与するのを阻止しているという 事実もまた存在する。厚生省審議会はそれでも、胎児の保護や胎児診断に関する調査において必要だと考えられる範囲内で、人工 妊娠中絶法にかかわる問題を取り扱っていくことが重要であるとしている。審議会がここで問題提起している期間の上限に関する 問題も、同様に胎児に関する調査委員会の調査の中で取り上げられるのが適切であろうと考えられる。 報告書﹁人工妊娠中絶に関する諸問題﹂の中で、厚生省審議会は、自由意士山により妊娠中絶を行なうことのできる妊娠一八週と いう上限について検討し、その上限を下げることを考慮することが必要であると強調している。そして引き続き、後期人工妊娠中 絶を行なう条件に関して明確に規定することが必要であると主張している。審議会は、以上の二件に関する審議は早急に行なわれ るべきであると述べている。人工妊娠中絶法をめぐる問題は、胎児診断の分野で行なわれている調査活動の一環としても明らかに さ れ な く て は な ら な い 。 報告書﹁人工妊娠中絶法﹂の中で、審議会は他の報告書の中で行なってきた主張に言及している。その上、一定の期間内におい ては、女性自身が人工妊娠中絶を行なうのか否かを決定するものであるという、この法律の原則的見地を保護する立場を強調して い る 。 ( 石 演 実 佳 )

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133一一『妊婦と胎児一二人の個人一• .!1(胎児診断および晩期堕胎に関する...)(三〉 〔参考資料〕 妊娠18週以降の人工妊娠中絶に関する調査委員会の調査結果 表1 1975-1987年に実施された人工妊娠中絶 (手術時の妊娠期間による分類,

%)

1975 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87年 妊 娠7週以前 妊 娠8-11週 妊娠12-17週 妊娠18週以降 15.014.716.214.913.013.313.615.117.216.3

n

.

4 74.1 73.3 74.3 75.3 76.1 76.4 75.7 74.5 75.2 11.510.2 9.5 9.810.6 9.7 9.2 8.3 7.4 7.8 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 0.8 0.8 0.9 0.9 15.5 15.9 75.3 75.6 8.5 7.9 0.8 0.6 表

2

妊娠人工中絶手術実施時の妊娠期間〈件数および%) 一 前 降 間一以 瀬 一 週 週 週 週 週 週 週 週 週 週 週 週 週 週 週 適 週 凱 振 一 7 8 9 0 司 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 品 毎 日 唱 A t J 噌 i 唱 A 噌 A 唱 A 咽 ム 唱 A 噌 A 唱 A の & 。 & の o q o n G 奴一娠 一 妊 、J 、 J 、.J ノ 、 J 、J 、 ﹄ J , 、 J 、J 、J 、 ノ 、 J 、J 、 j 、J 、J 、J 、 ノ 、 J , , 肉

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第9巻1号一一134 表4 人工妊娠中絶申請が承認された理由(件数及び克〕 胎 児 の 異 常 医学的理由を考慮 社会的理由を考慮 1977年 31件(113

39 (13%) 220 (76%) 1980年 74件(23%) 21 (7%) 225 (70%) 1981年 67件(26%) 32 (12%) 157 (62%) 1987年 79件(35%) 24(10%) 124 (55%) 表5 妊 娠18週以降の人工妊娠中絶申請件数 (1980年と 1987年の比較) 申請件数 承認件数 却下件数 事件数が全体に占める 妊娠期間 1980年 1987年 1980年 1987年 1980年 1987年 1980年 1987年 妊娠19-20週 186 21-22週 124 23-24週 56 176 176 96 114 32 30 A H U A H v n h v 守 E A 噌 E A の y “ 0 0 3 R O s a A n , a ー 合 計 366 304 320 227 46 。 09dnhU 9 臼 9 U 9 “ 77 5% 15% 8% 23% 46% 81% 12% 25% 表6 人工妊娠中絶がゑ認された「特別な理由」 主 な 理 由 心 理 社 会 的 理 由 親 に な る に は 未 成 熟 胎 児 の 持 つ 先 天 性 異 常 精神病あるいは精神薄弱 肉 体 的 疾 患 そ の 他 A 1977年 1980年 1987年 件数 % 件数 % 件数 % 107 36 75 26 31 11 34 12 5 2 38 13 290 100 128 40 81 25 74 23 6 2 15 5 16 5 320 100 87 38 29 13 79 35 14 6 5 2 13 6 227 100 表7 1987年の人工妊娠中絶申請(件数〉 妊娠期間 妊娠19逓 20週 21週 22週 23週 24週 25週 26週 合計 承認された件数 却下された件数 72 14 227件 77件 76 55 18 5 14 10 13 15 1 4 6

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1987 年における人工妊娠中絶申請件数(妊娠期間および承認・却下により分類,件数〉 る占 けの お数合の に制割 MV 体下る 全却め 数数 件総 数 と件 能め請 可た申 存たた 生れれ がささ 児断下 胎判却 理由不足により却下された 申請件数 妊娠 19 20 21 22 23 週 承認された申請件数 表 8 却下された 申請総数 一般 d 心理社会的諮問題 女性のアノレコーノレ・薬 物乱用 ミートナーの暴力及び 薬物乱用 親になるには未成熟 胎児の先天性異常 精神病及び精神薄弱 精神的障害 重度のアンピパレンス 肉体的疾患 高齢のため 妊娠期間を誤認 早期妊娠中絶に失敗 3 1 4 25 77 304 22 4 14 14 10 13 5 72 78 54 17 十 t 一言一同 a メ込 日 胎児の先天性異常を理由に人工妊娠中絶を行なう時期(件数〉 表

9

1987 年 内、 u 噌﹄‘, hd ,“ Fhdn 79 49

5 9 3 6 100 100 0 0 11 0 1981 年 nhUAHV 噌 EA q ︿ υ のノ“噌 BA 67 74 言十 t. 日 63

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dAυAU 唱 iAU 1980 年 OAu'EAFhu Qdqo ︿川)(・::のか駆け石町劉窓醤 'O リ吋 H4K 出品悩旧民塑)﹃ 1 ︿恩(町︿け刑罰怠け 底思﹄ ││l 目的同 4 21 のノ“の FU 得 hd ‘, Aη ‘ υ 田 kdoλ “の弓 υ 内︽ u ム υnMUYB 毛q 112 15 3 2 4 9 12 12 12 妊娠 19 20 22 22 23 24 週 4 3 2 A 企氏 U9u 8 7 11 7 23 30 15 2 3 7 29 20 11 6 2 唱 EAOyu--AOJU 3 3 主な申請理由 妊娠 19-20 週 21-22 週 23-24 週 妊娠期間

(24)

第9巻1号一一136 胎 児 の 先 天 性 異 常 を 理 由 に 行 な わ れ た 後 期 人 工 妊 娠 中 絶 ( 件 数 〉 1981年 表

1

0

1987年 出 生 件 数 合法的娃娠中絶の総件数 妊娠18週以降の合法的妊娠中絶 件数 胎児の先天性異常による妊娠18 週以降の妊娠中絶件数 105,073 34,707 1983年 91,686 31,014 93,984 33,294 1979年 96,255 34,709 1977年 96,057 31,462 227 266 264 347 330 79 80 67 54 30 官 iAυ 。 , u の J U 3 1 。 λ M n κ “ 内 宅 υ

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d ヮ “ 唱 i 噌i 妊娠中絶の動機となった発見 染 色 体 異 常 ダ ウ ン 症 候 群 18ト リ ソ ミ ー 13ト リ ソ ミ ー ターナー症候群 モザイク染色体 クリネフェノレター症候群 yy症 候 群

xxx

症 候 群 パランス型染色体転座 その他の染色体異常 6 4 2 9 9 4 2 6 ヴ d a a τ 曹 i n H V 戸 hdn れV 戸 h υ 唱 a A 1 1 2 3 4 神経管欠損など 無 脳 症 脊 椎 破 裂 高いAFP濃度 腹 壁 裂 傷 ネ フ ロ ー ゼ 。 。 。 6Aud 旬aAn ミ υ'E 9 u o,U 戸 包 その他の先天性異常 水 頭 症 尿 道 奇 形 そ の 他 2 5 先天性代謝異常 2 2 伴性劣性遺伝病

参照

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