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Title
老化促進モデルマウス(SAM)P8の顎関節軟骨退行性変
化におけるIhh シグナルの関与
Author(s)
石塚, 洋一
Journal
歯科学報, 116(3): 227-227
URL
http://hdl.handle.net/10130/4016
Right
変形性顎関節症は下顎骨関節軟骨に変性や破損を生じる疾患で,その病因として加齢による退行性変化,軟 骨代謝異常や咬合異常などが報告されている。しかし,変形性顎関節症がどのような分子メカニズムにより制 御されているのかは未だ明らかにされていない。我々の研究グループは,分泌性タンパク質 Indian hedgehog (Ihh)が軟骨細胞の増殖や分化を制御することにより,下顎頭の発生や発育の過程において重要な役割を担っ ていることを報告してきた。本研究では,老化促進モデルマウス(Senescence-Accelerated Mouse : SAM) P8を用いて,下顎頭軟骨の退行性変化や咬合異常により誘起された変形性顎関節症の進行と Ihh シグナル異 常との関連性を詳細に検討した。同齢の野生型マウスと比較して,2か月齢の SAMP8の下顎頭には明らか な病理学的変化は認められなかった。しかし,3か月齢では下顎頭軟骨部は肥厚し,軟骨細胞は細胞間質に散 在し,プロテオグリカンの産生も減少していた。これらの下顎頭の退行性変化は経時的に進行した。加えて
Ihh,Ihh のレセプターである Patch1およびシグナル関連分子の Gli 転写因子等の減少を伴っていたことから,
Ihh シグナル異常が下顎頭の退行性変化に関与していることが示唆された。次に,2か月齢のマウスを用い, 歯の削合により誘起された咬合異常が下顎頭軟骨に及ぼす変化を検討したところ,削合野生型マウスと比較し て,削合 SAMP8では優位に早く退行性変化を示した。さらに,下顎頭軟骨の退行性変化を無削合−削合 SAMP 8間で比較したところ,変形性顎関節症様の変化は削合 SAMP8でより早期に発症し,また,加齢した削合 SAMP8ほど増悪した。これらのマウスは下顎頭の矮小化と形態異常を示し,下顎頭軟骨の表層部において PCNA(増殖細胞核抗原)陽性細胞が減少するとともに,異所性の TUNEL 陽性アポトーシス細胞が検出され
た。また,著しいプロテオグリカンの減少,matrix metalloproteinase13の増加,および Ihh シグナル異常が認
められた。以上の結果から,下顎頭軟骨の退行性変化には Ihh シグナル異常が関与し,さらに,加齢マウスに おいて咬合異常により下顎頭軟骨の変形性顎関節症様の変化がより進行されることが示唆された。今後,関節 軟骨のホメオスタシスに及ぼす Ihh と他の因子との相互作用をより明確にすることが,変形性顎関節症の予防 および治療戦略として重要であると考えられる。
<受賞論文>
TMJ Degeneration in SAMP8 Mice is Accompanied by Deranged Ihh Signaling
Y. Ishizuka, Y. Shibukawa, M. Nagayama, R. Decker, T. Kinumatsu, A. Saito, M. Pacifici, and E. Koyama J Dent Res 93⑶:281−287,2014 ≪プロフィール≫ <略 歴> 平成19年3月 東京歯科大学歯学部卒業 平成20年3月 東京歯科大学千葉病院臨床研修修了 平成20年4月 東京歯科大学大学院歯学研究科(臨床系 歯周病学専攻)入学 平成24年3月 東京歯科大学大学院歯学研究科(臨床系 歯周病学専攻)修了 平成24年4月 東京歯科大学衛生学講座助教 平成28年4月 東京歯科大学衛生学講座講師 現在に至る