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セイヨウミツバチの攻撃的な働き蜂の脳から同定されたKakugoウイルス

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ミツバチ科学 HoneybeeScience(2004)

セイ ヨウミツバチの攻撃的な働き蜂の

脳か ら同定された

Ka

k

u

g

o

ウイルス

藤幸 知子,竹内 秀明,久保 健雄

ミソバチの攻撃行動について

「ミツバチ科学」の読者の方々には,ミツバ チの生活の詳 しい紹介は不必要 とは思われ る が,私たちの研究の狙いをご理解いただ くため 仁,まずは私たちが注目しているミツバチの生 物学的特徴について簡単に述べさせていただき たい.ミツバチでは,雌が女王蜂 (生殖カース ト) と働き蜂 (労働カース ト)にカース ト分化 する.また働き蜂は,羽化後の日齢に応 じて巣 の掃除や育児等の巣内の仕事から,門番を経て, 花の蜜や花粉の採集 といった巣外の仕事に携 わる (齢差分業)(Winston.1987;Breed,etal, 1990).私たちは 1993年から,こうしたミツ バチの社会性行動を支える脳の分子的メカニズ ムを探るために,セイヨウミツバチ

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1

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L.)を用いて,脳の領野 (脳の部域)選択 的に発現する遺伝子や,脳で行動選択的に発現 す る遺伝子の網羅的な同定 と解析を進めてき た(Kamikouchi.eta1.,1998;Kamikouchi,etal, 2000;Takeuchi,eta12001;Takeuchi,eta1., 2002;Sawata,eta1.,2002,Park.eta1.,2003: Takeuchi,etal,2004).今回は,働き蜂の攻撃 行動に注目して行なった研究について,特に本 誌で紹介 したい.なお, ミツバチの脳で高次中 枢 (キノコ体)特異的に発現する遺伝子の解析 結果の一部については,2001年に,竹内らが 本誌ですでに紹介 しているのでご参照いただけ ると幸いである (竹内ら,200廿 最初にミツバチの攻撃行動がどのようなもの か復習 してみたい.ハチ頬の進化については諸 説あるが,一説によると,最初はキバチやハバ チのような単独性で植物食の仲間か ら出発 し, やがて肉食の寄生蜂が出現 した際に,宿主を麻 酔するために産卵管が針 として用いられるよう になったとされている.次いで.アシナガバチ やスズメバチのような社会性狩 りバチや,花の 蜜や花粉に全ての食料を依存する植物食のハナ バチが出現 した とされている (坂上,1983). 現在のミツバチは,最も高度な社会性を獲得 し たハチ頬 として,コロニーを形成 し,同じ巣の 中で共同 して幼虫や蛸を育てるとともに,花粉 や花の蜜を加工 したハチミツを食料 として貯え るという食料戦略をとっている. 巣に貯えられたハチミツに加えて,巣で育て られる幼虫や桶は,スズメバチや熊など,ミツ バチの天敵にとっては栄養価の高い食料になる ので,外敵からコロニーを守るためにミツバチ は高い攻撃性を有 している.この攻撃役を担 う のは働き蜂である.働き蜂は自分 自身の子孫を 残さず,女王蜂が産む子供 (働き蜂にとっては 妹)の世話をするので,その行動は全般的に 「利 他的」であるが,中でも攻撃行動は特に 「利他 的」である.セイヨウミツバチでは,働き蜂の 針は外敵に刺さると毒腺 とともに働き蜂の体か ら脱落するためにその個体は早晩死亡するとい うように,働き蜂が死 と引き換えに仲間を守る からである(Dade,1962;Wilson,1999).私た ちは,この攻撃性がコロニーの特定の働き蜂(門 番蜂)に分配されている点に注目し,ミツバチ の攻撃行動に関わる遺伝子候補 として,攻撃性 が高い門番蜂の脳で特異的に発現する遺伝子を 検索することにした.攻撃性を司る脳の分子的 メカニズムについては,ミツバチに限らず動物 一般について,現在なお明らかではない.攻撃 行動がコロニー内の一部の個体によって分業さ

(2)

れるという,社会性昆虫の特徴を利用 したアプ ローチ法により,ミツバチひいては動物一般の 攻撃性の分子的基盤について,何 らかの手掛か りを得ることを期待 したのである.この研究の 大部分は,今年の2月に,米国のウイルス学 雑誌

(

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に出版されている が (F

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u

k

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.

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a

l,2004),原著論文をご覧いた だける機会は少ないと思 うので,ここでは,研 究の展開と結果をわか りやす く説明 したい.

攻撃的な働き蜂の脳で発現する遺伝子の

検索 と

.Ka

k

u

go

ウイルスの同定

最初に行なったのは,ミツバチの働き蜂を, 攻撃性を指標に選別することであった.いろい ろと試 した結果,門番蜂にオオスズメバチ (ミ ツバチの天敵)を田として糸で吊るして提示す ると,オオスズメバチに飛びかかって くるもの がいたので,これ らを攻撃性が高い蜂 (攻撃蜂) として採集 した.一方,巣の中の巣板の上にい る働き蜂にオオスズメバチを提示すると,一部 の蜂が逃げまどう傾向があったので,これらを 逃避蜂 として採集 した.私たちにとってはそも そも,田のオオスズメバチを常に入手するのが 困難であったが,幸いにも,小野正人先生 (玉 川大学農学部)がど供与下さることにな り,今 日に至るまで,共同研究をさせていただいてい る.さ らには,

J

.

Vi

rol.誌 の掲載誌の表紙や, 私たちの研究成果が新聞報道された際には,小 野先生が撮影された 「天敵オオスズメバチを攻 撃するセイヨウミツバチの門番峰」の素晴 らし い写真を使わせていただいた (図

1

). Kakugoタンパク質 図1 オオスズメバチを攻撃するミツバチ (撮影 :小野正人) それぞれ約 100匹程度の攻撃蜂 と逃避蜂の 脳から

R

NA

を抽出し

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法に より,逃避蜂に比べて,攻撃蜂の脳に特異的に 存在する

R

NA

を検索 した

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f

f

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i

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l

a

y

法は,複数のサ ンプルについて,いずれかの サンプルに選択的に存在する (発現 している)

R

NA

を同定する方法である (

L

i

a

n

ga

n

dP

a

r

d

e

e

, 1992). この方法については,2001年の総説 でも紹介させていただいたので詳細は省略する が (竹内ら,2001),逆転写反応 とPCR(ポ リ メラーゼ鎖反応)法,そしてシークエンスゲル 電気泳動を組み合わせることで,片方のサンプ ルのみに存在する

R

NA

を検索できる.例えば, 攻撃蜂の脳で特異的に存在するRNAは,攻撃 蜂のレーンに特異的に検出されるバン ドとして 同定される.攻撃蜂の レーンに選択的に検出さ れた複数のバン ドの内,差が最も明瞭だったも のについて,ゲルから切 り出し,そこに含まれ る

c

DNA

をサブクローニングした結果

,1

つの キャプシドタンパク質 へリカー

プロテアー

RNA依存 R

N

A

ポリメラ

ゼ サックブルー ドウイルス (ミツバチ) スキ ドクガピコルナ様ウイルス (ガ) 伝染性軟化病ウイルス (カイコ) A型肝炎ウイルス (ヒ ト) 口蹄疫ウイルス (ウシ) ポリオウイルス (ヒト) 急性蜂麻痔病ウイルス (ミツバチ) ショウジョウバエCウイルス (ハエ) (%) (%)

(

%) 36 29 37 4 3 9 0 5 3 0 2 2 2 3 2 2 2 22

2

8

2 8 8 3 5 3 つ乙 つ乙 1 2 つん つん

6

8

6

4

9

0

つL

2

つん

2

2

3 図 2 KakugoRNAのコー ドするタンパク質と他のピコル

(樵)ウイルスのタンパク質と相同

の比 較 各酵素 ドメインにおけるKakugoタンパク質と他種ウイルスタンパク質との相同性を%で

各ウイルスの宿主をウイルス名に続けて ()内に示す .

(3)

遺伝子が同定され 私たちはそれを

Ka

ku

go

(栄 悼)と命名 した

(

F

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y

u

k

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,

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1

.

,

2

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04

)

・名称は, 恰も 「覚悟」ができているような攻撃蜂から同 定されたことによる.

Di

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l

a

y

法 で 同定 され た

Ka

ku

go

c

DNA

は断片 であったため,全長の

Ka

ku

go

c

DNA

を同定 し, どのよ うな タンパ ク質が コ ー ドされるか調べたところ,予想外なことに,

Ka

ku

go

c

DNA

は色々な どコルナ様 ウイルスの タンパク質 と相同なタンパク質をコー ドするこ とがわかった (図

2

)

.ウイルスゲノムにコー ドされるタンパク質は,ウイルス粒子の生成に 必要な複数のタンパ ク質を,一つの大 きな前 駆体 タンパ ク質 (ポ リプロテイ ン)の部分構 造 (ドメイン) として含むという特殊な構造を している.これらの ドメインとしては,ウイル ス粒子を構成するキャプシ ドタンパク質,ウイ ルスゲノムの複製に必要なへ リカーゼとポリメ ラーゼ,そしてこれらの ドメインを切断するプ ロテアーゼがある (図

2

.3).

Ka

ku

go

R

NA

の コー ドするタンパク質には,これらのタンパク 質 ドメインがすべて備わ っていた. ピコルナ 様ウイルスはゲノム として

DNA

ではな く

R

NA

を持つので,宿主のゲノム

DNA

中に挿入され る ことはない・実際

,Ka

ku

go

R

NA

に対応す る

DNA

も,ミツバチゲノム中には兄い出され なかった

(

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1

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,

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.

このことは,

Ka

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OR

NA

はミツバチのゲノムにコー ドされ るものではな く,新規 な どコルナ様 ウイルス

(

K

a

k

u

g

o

ウイルス)のゲノム

R

NA

そのもので あって,攻撃蜂の脳は,選択的にこのウイルス に感染 していた可能性を示唆 している,同じピ コルナ様 ウイルスに属するウイルスとしては, ミツバチのサックブルー ドウイルスや,ヒトの

A

型肝炎ウイルス,ポリオ (小児麻疹)ウイル ス,ウシの口蹄疫病ウイルスなどがあるが,さ らに詳細な系統解析の結果

,K

a

k

u

g

o

ウイルス は昆虫ピコルナ様ウイルスに属する新種のウイ ルスであることがわかった (図 4).昆虫 ピコ ルナ様ウイルスは,その名の通 り昆虫に感染す るが,ヒトを含めた哨乳類への感染は知 られて いない

.

Ka

ku

go

R

NA

がウイルスゲノムと考えられた ため,ウイルスとしての性状解析を,東京大学 大学院医学系研究科の野本明男教授,大岡静 衣助手 (微生物学) と共 同で進めた.詳細な 説明は省略するが

,Ka

ku

go

R

NA

が検出される 働き蜂の組織の粗抽出液をショ糖密度勾配遠心 @ 図

3

ピコルナ様ウイルスのゲノム

R

N

A

やポリプロテインの構造と複製過程

R

d

R

p;

R

NA

依存

R

N

A

ポリメラーゼ

(4)

図4 Kakugoウイルスとその他のピコルナ様ウイルスの分子系統樹 各ウイルスのRdRpドメインのアミノ腔配列データにもとづき,近隣 結合法によって作成したもの. ラップ値を示す.枝の長さはア にかけた ところ,遊離のKakugoRNAの他 に, ウイル ス粒子 の大 きさに相 当す る画分 か らも

KakugoRNAが 回収 され た こ とか ら,KaJqlgo

RNAが, ウイルス粒子 中にゲノムRNAとして 存在す るこ とが示 唆 され た.さ らに,Kakugo ウイルスの感染性を調べ る 目的で,Kakugoウ イルスに感染 した働 き蜂の組織粗抽出液を,罪 感染の働 き蜂の腹部に接種 した ところ,実験群 で は3日後 に顕著 なKakugoRNA量 の上昇が 見 られ た (図5).一方,対照実験 として,非 感染個体 の組織粗抽 出液や緩衝 液を注射 した 場合には,KakugoRNA量の増大は認め られな かった. この ことは,KakugoRNAが確かに感 染性 因子 の構成要素 であ るこ とを示 してい る (Fujiyuki,etal,2004)・ 次にKakugoウイルスが働 き蜂の攻撃行動 と どの桂度,関連 しているか調べる目的で,働 き 蜂を育児蜂,攻撃蜂,逃避蜂,採餌蜂に分けて 採集 し, それ ぞれ の脳 で のKakugoRNAの存 在量 を比較 した ところ,攻撃蜂 に特異的 に検 出された (図6).また,攻撃蜂の体の中では, 脳に強 く検出され,胸部や腹部では検出されな か った. この ことは,Kakugoウイルスの感染 と,働 き蜂の攻撃行動が密接に関連 しているこ とを示 している(Fujiyuki,etal.,2004)・実際に 攻撃行動を示 した働き蜂の どの くらいの割 り合 各分岐点における数値はブー トス ト ミノ酸置換数の推定値に比例している. いの個体がKakugoウイルスに感染 しているか は不明であるが, これまで本能的行動 と思われ ていた働き蜂の攻撃行動にウイルス感染が影響 する可能性が初めて指摘 された点で,本研究は 学術的意義をもつ と思われ る. 6 5 4 3 つL l 撃 萩

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1 2 3 注射後日数 図5 Kakugoウイルスの感染性 採餌蜂の頭部に攻撃蜂由来細胞粗抽出液(黒), 採餌蜂由来細胞粗抽出液 (斜線),バッファー (灰)を注入し,按種後,それぞれの日数後に ミツバチを回収した.また,無処理 (白)の 個体を同時に回収した.回収 した個体の頭部 におけるKakugoRNAの墨をアクチンmRNA 塁で補正 した値を相対値として示 した.*;佃 のサンプルと有意差があることを示す(p< 0.05). 用いたサンプル数は,左から (0日後)=3.5, 4.5:1日後 =6,8,8.8.2日後 =3,3,3.2.3日 級-6,7,6.8匹.

(5)

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2

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∝ 育児蜂 0 0 0 0 0 0 2 0 8 6 4 2 ( % ) ヨ 頁 空 G 7 咽 V N 出

撃蜂 採集蜂 脳 頭部 胸部 腹部 図

6 K

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ウイルスの分布

(

A

)

攻劉 箕での

R

N

A

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とし,脳内の相対的なKa/also

R

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芸を行動別に比頗 した

・(

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)

脳での

R

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,L.i.を

1

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とし,攻碓削祭の休lノ、Jの相対的

R

N

A

塁を比暇した.檎 子はKaku8

0R

NA

,無地はアクチン

mR

NA

星を示す.

ウイルス感染と攻撃行動の関連に

関する考察

現在の ところ

,Ka

k

u

g

o

ウイルスの感染が ミ ツバチの攻撃行動 とどのよ うに関わ るかは不 明である.最 も面 白い可能性の一つは, ウイ ルス感染が,働 き蜂の攻撃行動を誘発す る と い うものであろう.これまでの実験結果では,

Ka

k

u

g

o

ウイルスが感染 していないコロニーで も門番蜂の攻撃行動は観察されているので (藤 幸 ら,未発表)

,Ka

k

u

g

o

ウイルスの感染が攻 撃行動の発動に必須なわけではないのだろう. む しろウイルス感染は,元々攻撃性が高 くない 働き蜂に攻撃性を賦与 し,門番蜂の割合を増や している可能性が考えられる.もう一つの可能 性は

,Ka

k

u

g

Oウイルスは元々,非常に低い レ ベルで普通の コロニー にも感染 してお り,働 き蜂が分業 し,門別 蚤になる過程で

Ka

k

u

g

o

ウ イルスの増殖に適当な生理条件がもたらされ, 脳で

Ka

k

u

g

o

ウイルスが増殖するというもので ある.いずれに しても攻撃蜂の捨て身の攻撃行 動は, 自身の死 と引 き換 えに, コロニーか ら ウイルスを排除する作用をもつ可能性があ り, ウイルス と宿主の機能的相互作用を考える上 で興味深い.なお, ご く最近,ダニ によって 媒介される

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(縮れた麹に なるミツバチの病気の,推定上の原 因ウイル ス)の

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DNA

の塩基配列が

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に登録され,

Ka

k

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Oウイルス とごく近縁のウイルスである ことが判明 しているが

(

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l,2004),

K

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k

u

g

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ウイルス との関連については現在の と ころ,不明である. ウイルス感染が動物の行動を変える例 として は,狂犬病ウイルス (攻撃的になる)やカイコ の核多核体病ウイルス (高い枝に登って死亡す る)などがあるが

(

Mo

o

r

e

,2002),既知の例が いずれ も病理的な作用 と思われるのに対 して,

Ka

k

u

g

o

ウイルスの感染 は本能的な攻撃行動に 関連する可能性が示された点で興味深い.小児 麻疹の原因ウイルスであるポ リオウイルスは, 感染 した運動神経を破壊することで麻痔を起 こ させ る (野本,1999). この ことか ら頬推する と

,Ka

k

u

g

o

ウイルスが攻撃性に関連す るメカ ニズムの一つ として

,Ka

k

u

g

o

ウイルスが感染 する神経細胞は元々,攻撃性の抑制に働 く神経 であ り,これを

Ka

k

u

g

o

ウイルスが破壊するこ とで,感染個体の攻撃性を高めるとい う仮説が 考 えられる.

Kak

ugo

ウイルスの.ヒ トおよび

ミツバチにおける病原性について

先述 したように

,Ka

k

u

g

o

ウイルスが属する 昆虫 ビコルナ様 ウイルスには哨乳類への感染性 が知 られているものは今の ところ存在 しない. 新聞報道 (読売新聞平成 16年 3月 5日付)で,

Ka

k

u

g

o

ウイルスが ヒ ト

A

型肝炎 ウイルスと塩

(6)

基配列上の類似性があることが短 く報 じられた ため,ミツバチが産生するローヤルゼ リーやハ チ ミツを食べると

A

型肝炎になるのではない か と危供された読者か ら筆者のところに2件, 「ミツバチ科学」には5件のお問い合わせをい ただいたそうだが,その懸念は恐 らくは杷憂で あろう.確かに,Kakugoウイルスが属する昆 虫 ピコルナ様 ウイルスは ヒ ト

A

型肝炎 ウイル スと同じ仲間 (ピコルナ様ウイルス)に分類さ れるが (図 4),これは遺伝子の塩基配列や構 造が似ているためであ り,同じ仲間には,病原 性も性質も異なる様々なウイルスが含まれてい る.Kakugoウイルスは, ミツバチや哨乳類へ の病原性を指標 として単離 された訳ではな く, 研究の過程で偶然,同定されたウイルスである. また,Kakugoウイルスが最近,ミツバチに顕 著に伝播 しているという訳でもない.これまで にローヤルゼ リーやハチミツを感染源とした病 原性ウイルスの報告例が全 くないことを考える と,Kakugoウイルスはミツバチに感染する多 くのウイルスと同様に,ヒ トにとっては無毒で あ り,また,古 くからミツバチに感染 している ウイルスの一つなのであろう. 一方で,病理的なものであれ,生理的なもの であれ,Kakugoウイルスが ミツバチの攻撃性 に関わるとすると,様々な展望が拓けて くる. 特に,北米では現在,攻撃性が非常に高いアフ リカ蜂化 ミツバチ (キラー ビー)の勢力の拡 大が深刻な問題になってお り (Guzman-Novoa,

eta1.,1994),米国が現在,ミツバチのゲノム 計画を推進する主な動機の一つが,アフ リカ 蜂化ミツバチの問題への対処法の開発とされて いる.仮 に,アフ リカ蜂化 ミツバチにおいて Kakugoウイルスの感染が頻繁に見 られるよう であれば,Kakugoウイルスの駆除がアフリカ 蜂化ミツバチへの対処法 として浮かび上がって くる.また,Huntらは,遺伝学的な解析から, 独自に働き蜂の攻撃性に関わる遺伝子座を同定 してお り,これ らの遺伝子 と,Kakugoウイル スの感染への感受性 との関連も興味深い (Hunt,

eta1.,1998;Lobo,etalH2003)・Kakugoウ イ

ルスの今後の研究が,学術的にも産業的にも意 義深いものになることを期待 したい. 謝辞 本文でも述べたように,本研究は玉川大学農 学部 小野正人助教授,同 ミツバチ科学研究施 設 佐々木哲彦助教授,東京大学大学院医学系 研究科 野本明男教授,大岡静衣助手 との共同 研究 として行なわれました.また本研究は一部, 生物系特定産業技術研究支援センター,文部科 学省,(財)テルモ科学技術振興財団,内藤記 念科学振興財団からの研究助成によって行ない ました.この場をお借 りして深 く感謝申し上げ ます.最後に,「ミツバチ科学」誌上で私 ども の研究を紹介させていただく機会を下さった中 村純先生に,深甚なる感謝の意を表 します. (〒 113-0033文京 区本郷7-3-1 東京大学大学院理学系研究科) 引用文献

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Hongo.Bunkyo-ku,Tokyo.113-0033Japan・

WorkersoftheEuropeanhoneybee(ApISme/

-IIFel-aL.)show altruisticaggressivebehaviorsto

defendthelrCOlonyfrom naturalenemies,suchas

hornetsThemolecularmechanism underlylngthe

aggressivenessoFthehoneybeesinthebrai

n,how-ever.remainsmostlyunknown Recentlyweldenti一

RedanovelRNA.termedKakL/gO,thatwasdetected

exclusivelylnthebrainsoH hehoneybeeworkers

thathadattackedaglanthornet(I/

e

spamandarJ'nJ'a

japonlCa)ThenucleotldesequenceoftheKakugo

RNA hadslgnIFicanthomologytothoseOFRNA

genomesofvarlOuSPICOrna-likevir

uses.espe-ciallysacbroodvirus.WhlChInfectsthehoneybeesI

KakL/gORNALnthetissuelysaleofinfectedworkers

wasseparatedatthesamesedimentationcoefficient

withvirionpartlCleofpjcorna-likevirusFurther一

more.whenthetissuelysateoftheinfectedworkers

waslnJeCtedintonon-infectedworkers,theKakLlgO

RNA wasamplifiedjn vJ'vo.Theseresultsdeml

onstratethatKakugoRNAisagenomeofanovel

picornalIikevirus(KakugovlruS)KakugoRNAwas

detectedinthebrainsoFtheaggressiveworkersbut

notinnursebeesorroragers,Suggestingthebrains

oftheaggressiveworkersareselectivelyInfectedby

thisnovelvirusHerewesummarizetheprocessto

identifyKakugovirusanddiscusspossiblerelation

betweenKakugoviralinfectioninthebrainandthe

aggressIVebehaviororthehoneybeeworkers We

alsodiscussposslblepathogenicityoFKakugovirus

図 4 Ka kugo ウイルスとその他のピコルナ様ウイルスの分子系統樹 各ウイルスの R d Rp ドメインのアミノ腔配列データにもとづき,近隣 結合法によって作成したもの

参照

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