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講義ノート(法政2017年度) 福川賢治のホームページ

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2017/4/13 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

第一回 (4/13 (木))

物理学とは何か?

法政大学リベラルアーツセンター兼任講師 福川賢治

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2017/4/13 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

自己紹介

1984 年生まれ (32歳) 経歴

2003 年 4 月 京都大学理学部入学

2007 年 4 月 京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻に進学 2012 年 3 月 博士(理学) 取得

2012 年 4 月 理化学研究所仁科加速器研究センター 特別研究員 2013 年 11月 INFN Catania, postdoctoral fellow

2015 年 4 月 大阪大学核物理学研究センター        (大阪工業大学非常勤講師と兼任)

2016 年 4 月 工学院大学学習支援センター講師 (法政大学兼任講師)

研究の興味: 核力と原子核、中性子星、クォークから見たバリオン相互作用 (この辺りは、さわりだけ後期で取り扱う予定です)

趣味: カラオケ

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

私のオフィスアワー・連絡等について

1. 授業期間中の木曜日: 10 時から 最低17 時くらいまでは法政大学内。 2. 2 限開始前は教授室 (58 年館 2 階)、

  3 限終了後はボアソナードタワー8 階奥の物理研究室

3. その他の時間は基本的に e-mail で随時(成績発表時まで)受け付けます。 連絡先: [email protected]

3 営業日以内には返信する予定。

それまでに返信がない場合は申し訳ないですがもう一回連絡してください。

講義情報のURL

私の個人 HP (https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei2017) に講義ノート・スライド・レポート (問題・解答)の PDF、

そのほかアナウンスをアップロードするので、 随時チェックしてください。

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

各回の予定 ニュートン力学 (高校物理+ α ) を学習する。

①・② 物理学の基礎 (4/13, 4/20) (丸中数字は授業回数) 物理学とは何か知る。単位や数字の計算 (特に概算) に慣れる

③・④ 速度・加速度とその応用 (4/27,5/4)

速度・加速度について学び、ガリレオの考え方や実験を学びます

⑤ 二次元の運動 (5/11) ベクトルを学び、二次元の運動を理解します

⑥・⑦ 力と、ニュートンの運動の三法則 (5/18,25)

色々な力を知り、力が物体にどのような影響を与えるかを学びます。

⑧ 等速円運動と単振動 (6/1)

⑨・⑩天動説と地動説・万有引力の法則 (6/8,15)

古代と近代の天文学と物理学 (コペルニクス・ケプラー・ニュートン) 11・12・13 運動量とエネルギー (6/22, 29, 7/6)

運動方程式から導かれる定理を学びます。

14 回転運動、慣性力 (7/13) 遠心力等について学びます。 時間があれば気体分子運動論などをやる予定

15 前期末試験 (7/20)

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2017/4/13 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

この授業の進め方

授業の流れ (回によって前後する) 0-15 分 用紙配布、前回のフォロー 15分 - 60分 内容の説明

60分 - 80分 問題演習

80分 -  感想・アンケート等 (出席確認をかねて) (授業に関係することであれば基本的には何でもOK) 持参物として推奨するもの (強制ではない)

専用のノートと電卓 (ルートのあるもの) レポートについて

1. レポートは簡単な計算問題、論述問題

(講義で扱いきれなかった事)を扱います

2. 2 週間後の授業の最初を締め切りとし、一部問題を解説をします。 3. 提出方法 ① 授業時に回収する

    ② 電子ファイルで連絡先アドレスに送る

4. A4 で提出してください。手書きか、電子ファイルかは問いません。

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2017/4/13 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

評価について

1. 成績評価は基本的にテストで行います (80%程度を予定) ・テスト問題は、記述式問題と

  その他の問題を大問 2 問ずつ程度予定。  詳細は近づいたら発表します。

・必要な数学の公式は書く予定。

2. 試験時のやむを得ない欠席 (病気、事故、忌引等)については、   追試験について、事務に確認する必要があるのでなるべく早めに 相談してください。

3. その他にレポート問題 (2回)や、

  出席点を加味して評価します (別紙参照)

4. A+ (90点以上), A (80点以上), B (70点以上), C (60点以上),   D (59点以下), E (未受験) で評価

5. 平均点が著しく高い(低い)場合は、調整します。

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

授業を受ける際の注意事項

1. 試験における不正行為は厳に慎んでください

2. 私語は慎んでください。ゆっくりめに授業を行うつもりですので、 質問はいつでも構いません。

3. 食事は控えてください。

水分補給は周囲のものを汚さないように気をつけて行ってください。 4. トイレ等は自由に行っていただいて構いません。

5. スマートフォン・携帯電話類はマナーモードか電源切でお願いします。

参考文献 以下の本以外にも、読んで楽しい本を選ぼう! 高校物理

1. 高校の教科書、持ってない人は NHK高校講座 「物理基礎」 2. 新しい高校物理の教科書 (ブルーバックス、1150 円)

3. 「宇宙一わかりやすい高校物理」(Gakken、鯉沼拓著、1480 円)

物理学史

4. 科学の発見 (文藝春秋、スティーブンワインバーグ、2106 円) 通史 5. 古典物理学を創った人々 (みすず書房、7992 円)       列伝

4.4.

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

数学について

計算が淀みなくできる必要性はありませんが、

文字式を使った四則演算や、三平方の定理など中学段階の数学を 忘れている人は、少し慣れておいてください。

また、高校数学の概念を幾つか授業中に導入し、簡単な例を見ます。 例えば、以下のようなものです。

昨年度の授業で使った数学

1. ベクトル (二次元の運動の項で説明) 2. 微分 (速度・加速度の記述に必要) 3. 三角関数の定義等

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2017/4/13 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

第一回 物理学とは何か?

物理学といっても、どのようなものであるか?という質問には、 完全には答えられない。現在の学問体系はあまりに複雑。

主な物理学 (太字はある程度この1年で触れることを目指している科目) 古典物理学 (19世紀までに概ね成立したと考えられる学問)

1. 古典(ニュートン)力学…物理学入門 A で取り扱う。

      物体の運動と、そこに働く力との関係を考察。       17世紀-19世紀にかけて大きく発展。

 (解析力学や、連続体力学 (流体力学や弾性体力学)につながる) 2. 光学 (Bの前半) … 光の性質や物質との相互作用を研究。

     幾何光学と波動光学(電磁気学の一部ともみなされる)に分かれる。 3. 電磁気学…電気や磁気に関する現象を取り扱う。18世紀頃から発展し、       19世紀に古典理論が、20世紀半ばに量子理論が完成 (朝永等)。 4. 熱力学 … 熱に関するマクロな現象を取り扱い温度、圧力、

      体積等の関係を調べる。

統計力学…ミクロな視点からマクロな熱力学的な関係を研究。        (原子仮説をその基礎におく)

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

現代物理学

5. 量子論 (Bの後半)… 非常に小さい物体 (分子・原子等)を記述する理論。      主に 20 世紀初頭から 1970 年代 - 80年代にかけて発展。

     原子核より小さい物質については、未解決な問題が多数ある。

6. 相対性理論 (Bの数回)…アルバート・アインシュタインにより発表された理論。 物質が光の速さと比べ無視できない速さで動いている時(特殊相対論, 1905年)と 重力が非常に大きい場合の理論 (一般相対論, 1915-1916年)に分かれる。

自然界の階層性

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http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/department/physics/top/top_deptphys.html から引用

Glashowによるウロボロスの蛇の図

自然界にはそれぞれの階層性があることの表現 (原子から宇宙まで)

そして、素粒子論と宇宙論は繋がっている! 要素還元主義:自然界の最も基本的な相互作用と 構成要素がわかれば、自然は理解できる

(自然界の普遍性)

全体論: その基本的なシステムが理解できたとしても、 全体が理解できるわけではない。

(自然界の創発性)

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

原子説の一つの証拠

人類は、様々な性質を調べ、基本粒子である素粒子を構成要素とする、 驚くべき精密な理論も知っているが(素粒子の標準理論)、

万物の理論 (Theory of Everything)はまだ手に入れていない。 例えば、量子重力理論などはまだ完成されていない。

要素還元主義と全体論がどの程度正しいかは、今後の人類の科学研究がどのような 速度で進むかと、科学研究の結果をどう理解するかによる。

なぜ古典力学か?

1. 力学は他の物理学の学問体系の規範

2. 簡潔な法則で我々が理解できることが多く導き出せる 3. 実験を行いやすい (対応がみやすい)

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ブラウン運動

微粒子が水分子の衝突により、不規則に動き回る。

Wikipedia より引用

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

物理学と他の学問との関連

古くは自然科学は未分化であり「自然哲学」と呼ばれていた。 例えば、ニュートンは物理学者、数学者、錬金術師、神学者 など多彩な顔を持っており、複数の分野を一人で行うことは 珍しくなかった。

自然科学が諸学問へ分化しだしたのは、学問が精密化・ 巨大化していく19世紀以降の話である。

数学との関連

少なくとも、19世紀までは数学と物理学が不可分な存在として 発展してきていて、今なお密接な関連にある。

(物理学者と数学者が同一人物だった)

1. 力学と微分積分学 ニュートン, ライプニッツにより発明

2. 電磁気学とベクトル解析 ギブス   (統計力学の創始者の一人として有名)

            ヘビサイド (電磁気学の基礎方程式のベクトルによる定式化) 3. 一般相対性理論 幾何学者ミンコフスキーは 4 次元時空間(ミンコフスキー空間)を考え、          アインシュタインの特殊相対論の数学的基礎づけを行った。

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Sir Issac Newton (1642-1727)

Wikipedia より引用

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

宇宙分野(天文学・宇宙物理学)との関連

1. 万有引力の発見には、惑星の運動の精密な観測 (ケプラーの法則)が   主要な役割を果たした。

2. ガリレオ・ガリレイは当時開発されたての望遠鏡を宇宙に向け、   天文学に革命を起こした。

3. 元素の比率からビックバン元素合成理論の強い証拠が得られた。 等々の関連がある。

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Johannes Kepler 1571-1630

Galileo Galilei 1564-1642

画像はともにWikipedia からの引用

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

化学との関連

1. 原子論の実証の初期段階は、化学の実験によってなされた。

2. 化学的性質は、原子中の電子の性質で決まり、原理的には量子力学で記述できる 数百原子程度までの計算しかできていなかった。

 現在では神戸にある京コンピュータにより数万原子程度の計算ができる。   創薬や次世代デバイスの開発に期待が寄せられている。

生物学との関連

1. エネルギー保存則は、初め生物学の分野から提唱された。 2. 物理学解析手法 (X線回折) によるDNAの二重螺旋構造の解明  (分子生物学の本格的な始まり、1962 年ノーベル賞)

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工学との関係

1. 構造力学、材料力学

建築物、構造物、機械に荷重が加わった時の物体の変形 (破壊) を調べる学問。 力学を学ぶことがその理解の基礎

2. 電気回路理論

電磁気学を学ぶことがその理解の基礎

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2017/4/13 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

まとめ 1. 物理学は物質とその相互作用、

その集団効果 (統計力学など) を扱う基礎的な学問

2. 他の学問から着想を得ながら、

他の学問を発展させるための技術や考え方を

提供している。

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2017/4/20 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

第2回 (4/20) 単位と数字の表し方

法政大学リベラルアーツセンター兼任講師 福川賢治

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2017/4/20 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

注意: 履修条件を確認しましょう (特に新入生)

2-0. 物理学の基本的な概念

科学の基本は測って量を記録すること 基本的な量「長さ」と「時間」

東京 - 新大阪間の距離    552.6 km

新幹線のぞみでかかる時間 2 時間 36 分 青春 18 切符 約 9 時間程度

運動を表すには長さと時間を測定することが必要

物理学では、日常的な世界とはかけ離れた量がよく表れる 長さについての例

動画 (youtube) powers of 10 (自然界の階層性)

従って、非常に大きな量や、小さい量をたくさん測定することを 考える必要がある

2

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2017/4/20 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

2-1. 単位とは?

量の大小を比較するためには何か基準になる量が必要 その基準となる量を単位と言う

単位は測定する人によって異なっていても構わないが、 他の人と話すときに不便

単位が人によって異なっている例

例. 長さ イギリス・アメリカ ヤード・ポンド法 日本: 尺貫法 時間 太陽暦と太陰暦など

科学的な測定ではそのような不便をなくすため、 国際的に使われる標準的な単位系がある。

これが、SI単位 (国際単位, International System of Unit) 。

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2017/4/20 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

2-2. SI 単位

SIの基本単位 基本となる物理量と結びつけよう 力学でよく出てくる SI 基本単位は 3 つ

長さ — m (メートル meter, 「ギリシャ語のmetron=測る」に由来) 時間 — s  (秒, second)

質量 — kg (キログラム, kilogram)

電流 — A (アンペア, Ampere) 電磁気学・回路等で登場 温度 — K (ケルビン, Kelvin) 熱力学で登場

物質量 --- mol (モル、mole) 原子約 6.0 ×1023

光度 [ある空間方向 (立体角)あたりの光の単位時間当たりのエネルギー]—    cd (カンデラ、仏 Candela)

非SI 単位 SI に属していないが、現在でも慣用的に使われているもの 質量 — t (トン、ton) 1 t = 1000 kg

時間 — 分、日、世紀

距離 — 光年、パーセクなど (後述) 注意 !!

異なる物理量を表す単位を持った量は足し引きできない (掛け算、割り算はOK) 3 kg+5 s といった計算は誤り

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2017/4/20 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

SI 組立単位

SI 組立単位: SI基本単位の組み合わせで表される単位 様々な組立単位

実際にイメージしながら少しずつ覚えていこう

面積 (m2), 体積 (m3)、運動に関する単位 速度 (m/s), 加速度 (m/s2)

数学(指数)

g×g ×……×g×g = gn「gのn 乗」 g を n 回 掛ける n を指数 (power) g を底 (base) と呼ぶ。

106m = 1000000 m, 652,000 =6.52×105

指数法則 ga+b=ga×gb gnm=(gn)m (h×g)n=hn×gn

指数の負の数への拡張

ga+b=ga×gb     が負の数にも成り立つと考える 例 25×22=25+(-2) = 25-2 = 23 = 8 = 32/4 = 25/22 一般に g-a= 1

/

ga

10-2 m= 1/102 m=1/100 m =1 cm , 0.124 = 1.24×10-1

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2017/4/20 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

SI 接頭語

非常に大きい数や、非常に小さな数を表すために 単位の前に桁数を表す名称をつけたもの

. 1. 東京→ローマの距離は、9,904.55 km = 9904550 m

恐らく、m でこの距離を言ってもよいが、言う人は殆どいないはず。 実用には、m (10-3), µ (10-6), n (10-9),

     k (103), M (106), G (109) , T(1012)を覚えておけば OK .

注意: 1. SI 接頭辞は 2 つ重ねることはできない。10 µkm は誤り。

2. 1 km2 は 1000 m2 ではなく1 (km)2 =1×(1000 m)2=1,000,000 m2 である。

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2017/4/20 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

2-3. 有効数字と指数表示

有効数字 (significant figure) とは、

精度を考慮したさい、値として信頼できる数値 例. 100 m 走のタイムの測定

A. 一般的なアナログ腕時計での測定

小数点以下は曖昧 11秒よりも10秒に近い 10 秒(2桁)

B. 1/100 秒まで測定できる計器 小数点第2位まで信頼できる 10.33秒 (4桁) 使用する機器により、得られる精度が異なる。

有効数字で表して、精度を考慮した結果を得る必要がある。 有効数字= 信頼できる桁 + 誤差を持つ最後の数字

1 cm と 1.00 cm は精度が異なる。

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2017/4/20 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

有効数字の桁数についての注意

簡単な場合 1.5 2桁, 1.58 3桁, 1.50 3桁

数字の 0 には測定の結果決定した 0 だけではなく、大きさを示すために ついている 0 がある (位取りの 0)。

考えている値の大きさに対する精度の高さで、有効数字の桁数は決まる。 例. 単位の換算で有効数字の桁数は変わらない。

1. 11.0 cm = 110 mm =0.000110 km = 2. 3.0 kg = 3000 g =

単に 3000g と書いたのでは、精度がどの程度か分からない そのような曖昧さを避ける為、

指数を使って通常 a.bcde … 10f の形 (a は 1 から 9までの整数) で数字を表す (指数表示)

誤差 1 g 程度 3.000 103 g 4桁 誤差 10 g 程度

誤差 100g 程度 3.0 103 g  2桁

8

1.10 10-4 km 3 桁 3.0 103 g 2 桁

3.00 103 g 3桁

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2017/4/20 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

有効数字を考慮した数字の計算

足し算 掛け算

20.22 m + 50.3 m = 70.5 m      2.8 112.1 =

20.22 m 2.8 +50.3 m 112.1

9

? 70.5? m

50.3 m と書いた時、 3の次は不明な数。 (0とは限らない)

足し算・引き算では、

末尾の位が一番大きい数字

(この例では 50.3)

が計算結果の末尾の位を決める。

28

56 28

313.8828

数字の末尾一桁は

ある程度の誤差を持つ数

3.13 … 102

赤色: 少し信頼できない 紫色: 全く信頼できない

掛け算・割り算では

有効数字の少ない桁に合わせる

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2017/4/20 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

2-4. 距離

短い距離の測り方

光学顕微鏡、電子顕微鏡 (原子=10-10 mのレベルまで)

長い距離の測り方 三角測量

(古代ギリシャの自然哲学者 タレス 紀元前 6世紀 による)

三角形の性質を利用した測量方法

1. △ (三角点) などで地形測定に活用 2. 月までの距離 (約 37 万 km) の測定

3. 近くの恒星までの距離 (∼100 光年)の測定

光年とparsec

1. 光年

光年= 光が 1 年間 (= 365.25 日) に通過する距離 約9.46×1015 m = 9.46 Pm

2. パーセク(pc, parsec)

年周視差が 1 秒(=1/3600 度) になるような距離  1 pc = 3.26 光年 = 30.857 Pm

10

A B

C

Wikimedia commons, made by 4C, Distance by triangulation.svg, (15th August 2006), CC-BY-3.0 ライセンス の図を改変

年周視差が 1 秒 地球

太陽 1 pc

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2017/4/20 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

ハッブルの法則

(1929年, ∼約130億光年)

天体と地球の距離をD, 天体が地球から遠ざかる速さ(後退速度)を vとすると、概ね、

v = H

0

× D

の関係が成り立つ。

H0= 67.15 ± 1.2 km/(s・Mpc)

後退速度は光のドップラー効果 (遠ざかる時波長が長くなり、 近づく時波長が短くなる現象) から割り出すことができる。

ドップラー効果で光の波長が長くなる現象を 赤方偏移と呼ぶ。

宇宙の年齢

宇宙の始まりは全天体が非常に小さい空間に集まった時だと考えられる (ビッグバン宇宙論)

ハッブル定数が一定だとすると、宇宙の年齢は 1/H0 であると考えられる。 1/H0 = 138 億年 (現在知られている宇宙年齢と偶然一致)

138 億光年が我々の観測の理論的限界

11

画像はレーザー技術推進センターより引用 plt.or.jp/column/column01/

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2017/4/20 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

2-5. 時間

古くからあった計測機器(振り子時計の発明まで) 人間の脈拍, 日時計, 水時計, 砂時計

振り子時計

振り子の等時性 (1657年)

(振り子の周期が糸の長さのみで決まる) による。 ホイヘンスにより改良、振り子時計が発明される 様々な改良により、精度が劇的に改善

現在の振り子時計での最高精度

イギリス「Clock B」5/8 秒の精度で 100日間動いた (107 程度の精度, 2015 年1 月 - 4 月)

クォーツ時計

水晶に交流電圧をかけると、

一定の周期で規則的に振動することを利用 1927 年に発明 (アメリカ、ベル研究所)

1970 年代にかけて市場を席巻

一般的なクォーツ時計の誤差 (一ヶ月で 15 秒 — 30 秒程度)

高精度なクオーツ時計の誤差 (一年で数秒程度, 10-7程度の精度)

12

Christiaan Huygens (1629 - 1695) 他にも土星の環の発見、

光の波動説の提唱(ホイヘンスの原理) などで知られる。

画像は Wikipedia より引用

(28)

2017/4/20 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

原子時計

現在最も高精度な時計 (一億年で 1 秒程度, 10-15 程度の精度) 現在のSI の 1 秒の定義

133Cs (セシウム 133) 原子の振動周期の二つの

超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の 9192631770 倍の継続時間

13

長い時間の測り方

放射性元素の崩壊

(原子核が壊れて他の元素の原子核に変わること) を利用する 放射性元素は一定の時間で半分に減る。

その時間を半減期と呼ぶ。 例.

1. 炭素 14 の半減期 5730 年

考古学に利用 (1000 年前から 数万年前まで測定可能)

2. ウラン 238 の半減期は 45 億年、ウラン 235 の半減期 7 億年   地球の年代測定 (約 45 億年)に利用

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2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

入門物理学 A (原子から宇宙まで I)

第 3 回 (4/27) 位置・速度・加速度について

法政大学市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川賢治

1

(30)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

前回の復習

1.単位: 量の大小を比較するための基準

SI 基本単位 長さ m, 質量 kg, 時間 s その他 4 つ SI 組立単位 SI基本単位の組み合わせ

面積 (m2), 体積 (m3)、速度 (m/s), 加速度 (m/s2)

2. 指数 g g …… g g = gn 「gのn 乗」 g を n 回 掛ける 指数法則 ga+b=ga×gb gnm=(gn)m (h×g)n=hn×gn g-a= 1/ga

3. SI 接頭語 前回のプリント及び、解説プリント参照 4. 有効数字=“信頼できる桁”+”誤差を持つ最後の数字”

指数表示 a.bcde … 10f の形 (a は 1 から 9までの整数)

有効数字を考慮した計算

信頼できる数字+ 誤差を含む数字+もう1 桁 計算し、最後の桁を四捨五入する。 足し算・引き算では、末尾の位が一番大きい数字が計算結果の末尾の位となる。 掛け算・割り算では有効数字の少ない桁数に計算結果を合わせる

5. 距離の測り方 三角測量 (100 光年程度まで)、

 Hubble の法則 (約 130 億年程度まで) v = H0 D  膨張宇宙、ビッグバン宇宙論との関連

2

(31)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

3-1.

座標 (位置の指定)

位置を指定するには、その位置に名前をつける必要がある。

例. 住所 法政大学市ヶ谷キャンパス 東京都千代田区富士見2-17-1

これでは物体の位置を表現するのにはあまりに不便

点の位置を表すのに、体型的に名付けられる方法が必要

ある点 O (原点, origin) を基準にし、測定の方法を設定し、

幾つかの数字の組み合わせで位置に名前をつける → 座標の考え方 座標の原点と測り方を合わせて、座標系と呼ぶ。

Rene Descartes (1596-1650) 力学にも大きな影響を与える

(機械論的自然観… 物体の大きさ、形状、運動等が大事) 哲学者・数学者 (方法序説・哲学原理)

「我思う、ゆえに我あり」(哲学原理)

画像は Wikipedia より引用

3

3.

運動学

物体の運動を調べる … 物理的な記述の基礎

時刻の変化に対する位置、速度、加速度を調べる

(32)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

数学的な次元の持つ特徴

次元とは何か?

1. 点 (0次元) が動いたら直線 (1 次元)   → 直線が動いたら平面 (2 次元)

  → 平面が動いたら立体 (3 次元)…として、 4 次元以上の空間に住む生物から見ると、

  立体が動けば、何か 4 次元の図形ができるはず。 (物理では通常 3 次元空間まで扱うが、数学的には、

  いくらでも多くの次元が考えられる。)

  n 次元空間上の点は n 個の数の組みで表される (次ページ) 2. 3 次元の人は、2 次元平面内の点から点に移動する時、

 平面外を通って移動できるが、平面上の生物は、  平面を通ってしか移動できない。

 例. 時間が経過する時、我々はその間の 全ての時刻を経験 → 時間は一次元

4

(33)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

直交座標系

(デカルト座標系、Cartesian coordinate) 1次元

-3 -2 -1 0 1 2 3

原点 0 からの距離と符合で (1個の数で)表現

2次元 (平面座標) 3次元 (空間座標)

5

x

2つの直交する軸を用いて

一次元の座標を二つ組み合わせる

→ 点の位置を2つの数で指定する

O(0,0,0)

y z

ay az

A(ax,ay,az)

x ax

空間の点は、3 つの数字の組みで 表すことができる。

O(0,0) x y

ax

ay A(ax,ay)

(34)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

3-2. 変位と速度 (velocity)

当面の間、一次元の運動 (直線上の運動)を考える。

変位… 物体の位置の変化のこと  速度… [変位]=[速度] [時間]で定義 等速度運動 (速度が一定の運動)     

・速度と速さ

 速度 … 負の方向に動くと マイナスの速度になる。  速さ … 速度の大きさ (絶対 0 以上)

6

x-t グラフ

x=x0+v(t-t0) (直線の式)  直線の傾きが速度 v

t t v

v

v-t グラフ O

(

時刻 t までの変位 v(t-t0)

)

= (四角形の符合付面積)

速度の単位: [m] = [m/s] [s]

t0

t x

O t0

x0 t

[m/s] x

[s]

[s] [m]

(35)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

速度一定でない時

平均速度 = (変位)/(時間) は速度一定の時と同様に定義できる。

疑問: 速さが一定と見なせない場合にはどのように変位を求めるか?

7

答え: 速さが一定と見なせる (一定の場合と識別できないくらいに) 程度に時間を細かくわける

(変位)=(大体青い短冊の符合付き面積の和) 極限まで刻み幅を細かくすると厳密に

v=v(t)とt軸で囲まれた図形の符合付き面積 (積分の考え方)

t t

v

O [s]

[m/s]

(36)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

加速度 (acceleration)

(加速度)=(速度の変化)/(時間) a で表すことが多い。 加速度の単位は[m/s] [s]=[m/s2]

Newton の運動の法則によると、力を加えることによって加速度が生じる。 (1か月程度後に紹介する)

注意: 減速していても、加速度と呼ぶ (この場合負の加速度になる)。 等加速度運動 (速度が一定の運動)

8

v-t グラフ

v=v0+a(t-t0) (直線の式)  直線の傾きが加速度 a

t v

O t0 v0

t v

x-t グラフ

x=x0+v0(t-t0)+(1/2)a(t-t0)2 (放物線の式) (長方形)+(三角形)

公式ではなく、求め方を覚えよう!

00

t x

t0 x0

[m/s]

[s] [s]

[m]

(37)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

x-t グラフから速度を求める

速度が一定でない時、どのようにして位置の測定から (x-tグラフから)速度を読み取るか?

グラフを拡大していくと、どのような速度で動いているかが より正確に分かるはず … 。

平均速度 v = Δx/Δt

とても短い時間 (Δt) ととても身近な距離 (Δx) の測定が必要 注:ΔA でとても小さな A という意味

(Δ は Delta と読み、英語の D に対応するギリシャ文字)。 Δt は実際には 0 にはできないが、

数学的には「0 にいくらでも近づける」ことができる。

「」の中の操作を Δt → 0の極限 (limit)をとる と呼び、   と書く。

9

∆t→0

lim

(38)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

(続き)

瞬間速度は、t 秒後の位置、速度を x(t)、v(t) と書くことにすると、 以下のように定義できる

       

最後の式を位置 x(t) の時間 t による微分の定義とし、 と書く。 つまり、瞬間速度は速度の時間による微分

として定義できる。

10

dx

dt (t)

v(t) = lim

∆t→0

∆x

∆t = lim∆t→0

x(t + ∆t) − x(t)

(t + ∆t) − t = lim∆t→0

x(t + ∆t) − x(t)

∆t

v(t) = dx

dt (t)

微分の意味

Δt → 0 を忘れると、

(二重の∼は近似的に成り立つという意味) x-t グラフを拡大すると、直線に近づく。

t x

O t t+Δt

x(t) Δt x(t+Δt)

v(t)∆t

(速度はグラフの傾きに対応)= (赤い直線 (接線)は x-t のグラフの傾き)

x(t + ∆t) ≈ x(t) + v(t)∆t

[s] [m]

(39)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

微分の例

(問) x(t)=t2 で与えられる物体の運動の t= 2 秒の瞬間速度を求めよう。 (i) 2 秒から 2.1 秒までの平均速度

(4.41m - 4m)/ 0.1 s = 0.41 m /0.1 s = 4.1 m/s (ii) 2 秒から 2.05 秒までの平均速度

        

(iii) 2 秒から2.02 秒までの平均速度

(iv) 2 秒から2.01 秒までの平均速度       

2 秒後には、速度が 4 m/s になっているように見える。 実際に数式を使って確かめてみる。

11

t [s] x[m]

2 4

2.01 2.02 2.05

2.1 4.41

0.2025 m/0.05 s = 4.05 m/s

0.0804 m/0.02s = 4.02 m/s

0.0401 m/0.01s = 4.01 m/s

(40)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

(続き)

(例題 1) x(t)=t2 の時の t=2 秒での瞬間速度を求める

(解答) 2+Δt 秒後の位置を調べ、Δt の1乗の係数を調べれば良い。

   

x(2+Δt) = (2+Δt)(2+Δt) = 4+2Δt+2Δt+(Δt)2

=4+4Δt+(Δt)2

Δt の 1 乗の係数 4 [m/s] が t=2 秒の時の求めるべき速度になる。 (例題 2) 一般に t = t 秒の時はどうか?

(解答) x(t+Δt) = (t+Δt)(t+Δt) = t2+tΔt+tΔt+(Δt)2

     =t2+2tΔt+(Δt)2

Δt の 1乗の係数 2t [m/s] が 求めるべき速度

12

(41)

2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)

v-t グラフから加速度を求める

(加速度)=(速度の変化)/(時間) であったので、

速度の場合と同様に、

平均加速度 a = Δv/Δt と

瞬間加速度

が定義できる。

13

a(t) = lim

∆t→0

∆v

∆t = lim∆t→0

v(t + ∆t) − v(t)

(t + ∆t) − t = lim∆t→0

v(t + ∆t) − v(t)

∆t =

dv

dt (t)

t v

O t t+Δt

v(t) Δt v(t+Δt)

a(t)∆t

v-t グラフの接線の傾きが加速度 a

[m/s]

[s]

(42)

2017/5/4 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

入門物理学 A (原子から宇宙まで I)

法政大学市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川賢治

第 4 回 (5/4) 落体の運動

ガリレオの物理

ガリレオの生涯と主な業績

14

参考文献

(1)ワインバーグ著、「科学の発見」第11章・第12章、文藝春秋

(2)ガリレオ・ガリレイ著、山田慶児、谷泰訳 「星界の報告 他一片」、岩波文庫 (3)田原真人著「物理をこれから学びたい人のための 科学史/数学

なぜ物理法則は数式で書かれているのか 」、理工図書

(43)

2017/5/4 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

4-1. ガリレオ・ガリレイ

足跡 (画像とともにWikipedia より一部引用)

1564 年 Pisa で誕生 (父親はリュート奏者で音響学者) 1581 年 Pisa 大学に医学生として入学 (1585 年に中退)     この頃幾何学 (ユークリッド・アルキメデス) を学ぶ 1589 年 Pisa 大学数学教授

1592 年 Padova 大学教授 この間 落体の研究 1609 年 - 1610年

当時の最新機器であった天体望遠鏡を自作し、 様々な天体を観測。天文学に革命をもたらす。

・「星界の報告」(1610 年 3 月) アリストテレス的世界観からの決別 1. 月のクレーター (凹凸)の発見 → 月は完全な球体ではなかった

   月の山の高さの計算

地球照 (太陽からの地球への光が月へに反射される) の発見 2. 木星の 4 衛星を発見 (ガリレオ衛星)

   →「地球が動いているなら、なぜ月は取り残されないのか?」   3. 恒星や天の川の観測

  (恒星は惑星より遥かに遠い、天の川は無数の恒星の集まり) Kepler が Galileo の報告を読み、 「星界の報告者との対話」出版

15

Galileo Galilei (1564 ̶1642)

(44)

2017/5/4 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

1610 年夏 ピサ大学教授兼トスカーナ大公付き哲学者Firenze に戻る

1610 年9月 4. 金星の満ち欠けを発見 → プトレマイオスの天動説理論の破綻 (後述) 1611 年 リンチェイ・アカデミー (1603 年創立) 会員に選ばれる

1613 年「太陽黒点論」

5. 太陽の黒点を観測し、太陽外部ではなく、太陽表面の現象であると説明

→太陽も完全な球体ではなく表面は不均一である、また太陽も自転している (太陽は完全な球体であり、黒点を太陽とは別の天体とする

キリスト教側(イエズス会)との対立が深まる) 1616 年 第一回宗教裁判 (異端審問所審査)     コペルニクス説 (地動説) の擁護禁止

    (コペルニクスの「天球回転論」はバチカンでは 1835 年まで禁書) 1632 年 「天文対話」の出版 (Firenze)

    天動説支持派と地動説支持派、中立派による 3 人の対話集 1633 年 第二回宗教裁判

    Firenze 郊外のアルチェトリに自宅軟禁処分・「天文対話」の出版禁止処分     (1992 年 ---ガリレオの死去の350 年後 に名誉回復)

1638 年 「新科学対話」の出版 (ただしオランダで)

     運動学 (振り子、等速直線運動、等加速度運動、放物運動)と      材料力学 (スケーリング則) の基礎   

同年 両目を失明

1642 年 アルチェトリにて没

16

(45)

2017/5/4 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

ガリレオの主な弟子

Evangelista Torricelli (1608 - 1647, 真空の発見 (後述)、水銀気圧計の発明) Vincenzo Viviani (1622 - 1703, 音速の測定 350 m/s, ガリレオの伝記執筆)

ガリレオのその他の業績

(広汎な業績とその実験・考察手法から「近代科学の父」と呼ばれる) 1. 振り子の等時性の発見

(振り子の周期は物体の重さによらない)

2. 望遠鏡での土星の観測

(望遠鏡の解像度が悪く、ホイヘンスの観測 土星は 3 つの天体だと思われる)

3. 空気温度計の発明

4. ガリレオの比例コンパス (1597年)

(12 種の目盛用いて様々な用途に用いた)

17

1. 高さの測定

2. 平方根、立方根を求める

3. 砲弾にどの程度火薬を詰めれば良いか? (当時、ヨーロッパでは17世紀の危機と呼

ばれる戦争の時代であった)

画像は www.museumsinflorence/musei/ History_of_Science_museum.html より引用

(46)

2017/5/4 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I) 画像はガリレオ博物館カタログ

catalogue.museogalileo.it/object/GalileosTelescope.html/ より引用

18

ガリレオの望遠鏡 (長さ 1.273 m)

参考文献

(1)ワインバーグ、「科学の発見」第11章終盤、およびその参考文献

(2) 猪野修治 「ガリレオ・ガリレイにおける科学と宗教の問題 ̶ ローマ教皇庁の最終生命をめぐって」

教皇ヨハネ・パウロ 2 世の最終声明 (一部)

「地球が宇宙の中心にあると主張した当時の神学者たちの誤りは、 聖書の文字通りの意味に従って現実世界の構造を理解しなければ

ならないと考えたことであった」

ガリレオのトスカナ大公

(ガリレオのパトロン)の母宛の手紙

真の意味が理解される場合、聖書は誤った ことを決して語っているはずはない、と主張す るのは非常に信心深くもあるでしょう。またそ う主張するのが分別というものでしょう。し かし、しばしば、聖書の真の意味は奥深く隠 れていて、言葉そのものの意味が示すこととは かなり違っているのを、誰も否定できないで あろうと、私は考えます」

(47)

2017/5/4 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

ガリレオの月のスケッチ (右:現代の写真)

19

画像はラテン語原文

http://thelatinlibrary.com/galileo/ galileo.sid.html から引用

ガリレオのオリオン座のスケッチ

(48)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

入門物理学 A (原子から宇宙まで I)

法政大学市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川賢治

第 5 回 (5/11)

ガリレオの物理 (2)

・落体の運動

・ガリレオの慣性の法則

・放物運動 (2次元の運動)

20

(49)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

5‒1. 落体の物理

 Galileo Galilei 以前の一般的な考え方

・Aristotle (B.C. 384 B.C. 322、Plato の弟子) 博物学者「万学の祖」

(物理学、生物学、形而上学、倫理学、政治学、文学等)

論理学 (三段論法 A ならば Bであり、B ならば C とすると A ならば C)

・物事の本質的な姿とは何か?  Platoの考え (幾何学を重要視)

 イデア…まさに事物そのものであり、

     人間は感覚によってイデアを想起しながら学習を行っていく。

 例. 「円のイデア」… 書かれた円は円のイデアに似ることにより円と呼ばれる  Aristotleの考え (感覚・経験を重要視)

 1. その物事になる可能性があるもの(可能態)が、発展することで   現実世界の現象(現実態)となる (イデアの否定)。

2. 純粋可能態は(全ての始まりの形)「火・空気・水・土」からなる。    (四元素説、Empedocles (B.C. 490頃 ̶ B.C. 430頃に始まる))   →古代・中世の錬金術 (化学) の基本思想  

例. 種子 (可能態) が花 (現実態) になる

21

(50)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I) 22

アリストテレスの運動方程式

重いものほど<土>を多く含み、

下に行こうとする力は重さに比例する。 従って、②重いものほど早く落ちる。

四大元素のあるべき位置 (月下界)。 中心から「土・水・空気・火」

と並んでいる

月より上 (天上界)は第 5 元素の エーテル (ether)により満たされる 高い所の物質(可能態)は、

本来の固有の場所(現実態)に移動する。 一旦現実態を達成すると、物体は

静止する。従って、

① 静止が物体の本質であり、 物体を動かすには力が必要。

v ∝

運動を引き起こす力

抵抗力

真空だと物体の抵抗力が 0 となり、 速度は無限大になる。

そんな状態はありえないので、

③真空は存在しえない

Aristotle (B.C.384 - B.C.322)

画像は Wikipedia より引用 画像は Wikipedia より引用

(真中の記号は比例の意味)

(51)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I) 23

Galileo の先駆者達

1543年 Niccolo Fontana (Tartaglia) (1500頃 - 1557)による

ユークリッド原論の最初のイタリア語訳 (ラテン語の誤訳を直す) 弾道学や三次方程式の解法の研究でも有名

1585年 Giambattista Benedetti

    (1530-1590, Fontana の弟子でイタリアの数学者・音響学者)

1586年 Simon Stevin (1548 - 1620, ベルギーの数学者・物理学者・工学者)     の二人が重さの異なる物体でも同じ速度で落ちると主張

アリストテレスによる放物運動の説明

ゴルフクラブでボールを打つ運動を考える

1. ボールはゴルフクラブから強制的に力を受けて打った方向に飛び始める。 2. 空気はゴルフボールの勢いに押されて圧縮される

  圧縮された空気は、ボールの後ろに真空が生じないように後ろに回り込む   その際にボールを後押しする強制力が生じる (真空嫌悪の力)

3. しかし、ボール周りの空気による強制力は小さくなっていくので、  最後には自然にある力の運動によって下に落ちる。

(52)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

Benedetti による思考実験

1. 同じ重さの物体を同じ高さから自由落下させると、   同じ時間に地面に到達

  2つの物体を長い糸で結んでも、運動には影響ないはず。 糸の長さを短くしていっても、運動には影響ないはず。 2. 糸の長さを 0 にすると、2つの物体はくっつく。

  Aristotle の考え方が正しければ、

物体をくっつければ、物体は速く地面に落ちる。

3. Aristotle の考え方を推し進めると、同じ重さの物体を

3 個、4 個 … と積み重ねていくと、どんどん落下の速さは速くなる。 4. でも 1. の議論から思考すると、物体が落ちる速さは重さによらない

現実には何が起こっているか? → 4. の結論が正しいように思える この議論から、Benedetti は Aristotle の考え方には修正が必要で、        重さの異なる物体でも、落ちる速さは同じになると主張 ガリレオもこの議論を受け継ぎ、実際に実験によって確かめた

24

(53)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

ガリレオの観察と実験による自由落下運動の記述

観察事実: 落下中の物体の速度は段々速くなっていくように見える。 どのような関数形で記述されるか ?

垂直に物体を落とすと速すぎて測定が困難。

そこで、ガリレオは斜面を使った実験を行った。

25

http://catalogue.museogalileo.it/ object/InclinedPlane.html

画像はガリレオ博物館カタログから引用

(54)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

ガリレオは、斜面の角度を色々と変え、

物体の落下速度を変えながら実験を行って、以下の結果を得た。 物体の落下する移動距離は、時間の 2 乗に比例する。

速度を計算すると、段々速度が一定に増えていく (加速度を実験で認識)。 加速度の単位 Gal (ガル)に名前を残している。

1 Gal = 1 cm/s2 = 0.01 m/s2

26

t x Δx/Δt 1 12=1 1

2 22=4 3 3 32=9 5 4 42=16 7

(移動距離) = 1/2 (加速度 a) (時間)2

v

t

O

at

ガリレオは斜面が地面に垂直の時にも 同じ形の式が成り立つと考えた。

自由落下の場合の式 x=(1/2)gt2, v = gt

重力加速度 g = 約 9.8 m/s2

(値はホイヘンスが振り子を用い測定、 遠心力のため場所により少し異なる)。

(55)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

5-2. 慣性の法則

アリストテレスの考え方

静止が物体の本質であり、物体を動かすには力が必要

ガリレオの慣性の法則

物体に力が働かないとき、

静止している物体は静止したままであり、 動いている物体は、等速直線運動を行う。

慣性… 力を受けなければ物体が等速度で運動状態を保持する性質。 斜面での実験 (2)

27

上り坂だと物体は減速 (加速度は進行方向に 向かってマイナス)

下り坂だと物体は加速 (加速度は進行方向に 向かってプラス)

物体の速度は

どう変化するか? 地球からの重力の影響

x=vt

v ∝

運動を引き起こす力

抵抗力

(56)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

斜面での実験(3)

28

斜面を組み合わせて、上のような面を作ると、左から転がした物体は ほぼ物体の元いた高さである A, B, C まで到達する。

そのとき物体が移動した距離は長くなっている。 では、水平面上を転がせばどうなるか?  

A B C

⇨ 無限に長い距離を移動できるはず

慣性の法則の具体例

摩擦の少ない平面 …カーリング、エアホッケーなど

Wikimedia Commons,

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ret0s_AH_035.jpg Photo by Cristina Ruiz (2005), CC 表示 3.0 ライセンス

(57)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

5-3. 放物体の運動

アリストテレス以降の中世の学者

水平方向にものを投げると、物体は空気の力を受けて、 斜めの方向に一直線に落ちると信じられてきた。

(事実、短い距離の場合はほとんど正しい。) ガリレオの実験

ガリレオは注意深い実験と観察によって、

物体の運動が、放物運動であることを確かめた。

29

Galileo の自筆ノート

米 Rice 大学の Galileo Project のサイトから引用 http://galileo.rice.edu/lib/student_work/

experiment95/paraintr.html

高さ h と水平飛距離 d を変え ながらそれらの関係を調べた

h d

H

(58)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

放物運動の例 スノーボードのジャンプ

https://www.thinglink.com/scene/513712392413118465 より引用

30

(59)

2017/5/11 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

放物運動の説明

水平方向についての慣性の法則

力が働かないとき、動いている物体は、等速直線運動を行う。 x = vxt

鉛直(垂直)方向についての自由落下運動 (等加速度運動)

この 2 種類の運動の組み合わせで放物運動が説明できる。 x, y の式から t を消去すると、

31

y = ­(1/2)gt2, vy = ­gt

(放物線の運動, yはxの2次関数) vx=1[m/s], g=9.8 [m/s2] の場合

(60)

2017/5/18 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)

入門物理学 A (原子から宇宙まで I)

法政大学市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川賢治

(https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei2017)

第 6 回 (5/18)

・ベクトル (二次元の運動の数学的記述)

32

参照

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