物体の運動を調べる … 物理的な記述の基礎
時刻の変化に対する位置、速度、加速度を調べる
2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
数学的な次元の持つ特徴
次元とは何か?
1. 点 (0次元) が動いたら直線 (1 次元) → 直線が動いたら平面 (2 次元)
→ 平面が動いたら立体 (3 次元)…として、
4 次元以上の空間に住む生物から見ると、
立体が動けば、何か 4 次元の図形ができるはず。
(物理では通常 3 次元空間まで扱うが、数学的には、
いくらでも多くの次元が考えられる。)
n 次元空間上の点は n 個の数の組みで表される (次ページ) 2. 3 次元の人は、2 次元平面内の点から点に移動する時、
平面外を通って移動できるが、平面上の生物は、
平面を通ってしか移動できない。
例. 時間が経過する時、我々はその間の 全ての時刻を経験 → 時間は一次元
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直交座標系
(デカルト座標系、Cartesian coordinate) 1次元-3 -2 -1 0 1 2 3
原点 0 からの距離と符合で (1個の数で)表現
2次元 (平面座標) 3次元 (空間座標)
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x
2つの直交する軸を用いて
一次元の座標を二つ組み合わせる
→ 点の位置を2つの数で指定する
O(0,0,0)
y z
ay az
A(ax,ay,az)
x ax
空間の点は、3 つの数字の組みで 表すことができる。
O(0,0) x y
ax
ay A(ax,ay)
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3-2. 変位と速度 (velocity)
当面の間、一次元の運動 (直線上の運動)を考える。
変位… 物体の位置の変化のこと 速度… [変位]=[速度] [時間]で定義 等速度運動 (速度が一定の運動)
・速度と速さ
速度 … 負の方向に動くと マイナスの速度になる。
速さ … 速度の大きさ (絶対 0 以上)
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x-t グラフ
x=x0+v(t-t0) (直線の式)
直線の傾きが速度 v
t t v
v
v-t グラフ
O(
時刻 t までの変位 v(t-t0))
= (四角形の符合付面積)
速度の単位: [m] = [m/s] [s]
t0
t x
O t0
x0 t
[m/s] x
[s]
[s]
[m]
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速度一定でない時
平均速度 = (変位)/(時間) は速度一定の時と同様に定義できる。
疑問: 速さが一定と見なせない場合にはどのように変位を求めるか?
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答え: 速さが一定と見なせる (一定の場合と識別できないくらいに)
程度に時間を細かくわける
(変位)=(大体青い短冊の符合付き面積の和) 極限まで刻み幅を細かくすると厳密に
v=v(t)とt軸で囲まれた図形の符合付き面積 (積分の考え方)
t t
v
O [s]
[m/s]
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加速度 (acceleration)
(加速度)=(速度の変化)/(時間) a で表すことが多い。
加速度の単位は[m/s] [s]=[m/s
2]
Newton の運動の法則によると、力を加えることによって加速度が生じる。
(1か月程度後に紹介する)
注意: 減速していても、加速度と呼ぶ (この場合負の加速度になる)。
等加速度運動 (速度が一定の運動)
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v-t グラフ
v=v0+a(t-t0) (直線の式)
直線の傾きが加速度 a
t v
O t0 v0
t v
x-t グラフ
x=x0+v0(t-t0)+(1/2)a(t-t0
)
2 (放物線の式) (長方形)+(三角形)公式ではなく、求め方を覚えよう!
00
t x
t0 x0
[m/s]
[s] [s]
[m]
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x-t グラフから速度を求める
速度が一定でない時、どのようにして位置の測定から (x-tグラフから)速度を読み取るか?
グラフを拡大していくと、どのような速度で動いているかが より正確に分かるはず … 。
平均速度 v = Δx/Δt
とても短い時間 (Δt) ととても身近な距離 (Δx) の測定が必要 注:ΔA でとても小さな A という意味
(Δ は Delta と読み、英語の D に対応するギリシャ文字)。
Δt は実際には 0 にはできないが、
数学的には「0 にいくらでも近づける」ことができる。
「」の中の操作を Δt → 0の極限 (limit)をとる と呼び、 と書く。
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∆ lim t →0
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(続き)
瞬間速度は、t 秒後の位置、速度を x(t)、v(t) と書くことにすると、
以下のように定義できる
最後の式を位置 x(t) の時間 t による微分の定義とし、 と書く。
つまり、瞬間速度は速度の時間による微分 として定義できる。
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dx
dt (t)
v (t) = lim
∆t→0
∆ x
∆ t = lim
∆t→0
x(t + ∆ t) − x(t)
(t + ∆ t) − t = lim
∆t→0
x(t + ∆ t) − x(t)
∆ t
v (t) = dx
dt (t)
微分の意味
Δt → 0 を忘れると、
(二重の〜は近似的に成り立つという意味) x-t グラフを拡大すると、直線に近づく。
t x
O t t+Δt
x(t) Δt x(t+Δt)
v (t) ∆ t
(速度はグラフの傾きに対応)= (赤い直線 (接線)は x-t のグラフの傾き)
x(t + ∆ t) ≈ x(t) + v (t) ∆ t
[s]
[m]
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微分の例
(問) x(t)=t2 で与えられる物体の運動の t= 2 秒の瞬間速度を求めよう。
(i) 2 秒から 2.1 秒までの平均速度
(4.41m - 4m)/ 0.1 s = 0.41 m /0.1 s = 4.1 m/s (ii) 2 秒から 2.05 秒までの平均速度
(iii) 2 秒から2.02 秒までの平均速度
(iv) 2 秒から2.01 秒までの平均速度
2 秒後には、速度が 4 m/s になっているように見える。
実際に数式を使って確かめてみる。
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t [s] x[m]
2 4
2.01 2.02 2.05
2.1 4.41
0.2025 m/0.05 s = 4.05 m/s
0.0804 m/0.02s = 4.02 m/s
0.0401 m/0.01s = 4.01 m/s
2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
(続き)
(例題 1) x(t)=t2 の時の t=2 秒での瞬間速度を求める
(解答) 2+Δt 秒後の位置を調べ、Δt の1乗の係数を調べれば良い。
x(2+Δt) = (2+Δt)(2+Δt) = 4+2Δt+2Δt+(Δt)2
=4+4Δt+(Δt)2
Δt の 1 乗の係数 4 [m/s] が t=2 秒の時の求めるべき速度になる。
(例題 2) 一般に t = t 秒の時はどうか?
(解答) x(t+Δt) = (t+Δt)(t+Δt) = t2+tΔt+tΔt+(Δt)2
=t2+2tΔt+(Δt)2
Δt の 1乗の係数 2t [m/s] が 求めるべき速度
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2017/4/27 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
v-t グラフから加速度を求める
(加速度)=(速度の変化)/(時間) であったので、
速度の場合と同様に、
平均加速度 a = Δv/Δt と 瞬間加速度
が定義できる。
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a(t) = lim
∆t→0
∆ v
∆ t = lim
∆t→0
v(t + ∆ t) − v (t)
(t + ∆ t) − t = lim
∆t→0
v(t + ∆ t) − v(t)
∆ t = dv
dt (t)
t v
O t t+Δt
v(t) Δt v(t+Δt)
a(t) ∆ t
v-t グラフの接線の傾きが加速度 a
[m/s]
[s]
2017/5/4 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)
入門物理学 A (原子から宇宙まで I)
法政大学市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川賢治
第 4 回 (5/4) 落体の運動 ガリレオの物理
ガリレオの生涯と主な業績
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参考文献
(1)ワインバーグ著、「科学の発見」第11章・第12章、文藝春秋
(2)ガリレオ・ガリレイ著、山田慶児、谷泰訳 「星界の報告 他一片」、岩波文庫 (3)田原真人著「物理をこれから学びたい人のための 科学史/数学
~なぜ物理法則は数式で書かれているのか~ 」、理工図書
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4-1. ガリレオ・ガリレイ
足跡 (画像とともにWikipedia より一部引用)
1564 年 Pisa で誕生 (父親はリュート奏者で音響学者) 1581 年 Pisa 大学に医学生として入学 (1585 年に中退) この頃幾何学 (ユークリッド・アルキメデス) を学ぶ 1589 年 Pisa 大学数学教授
1592 年 Padova 大学教授 この間 落体の研究 1609 年 - 1610年
当時の最新機器であった天体望遠鏡を自作し、
様々な天体を観測。天文学に革命をもたらす。
・「星界の報告」(1610 年 3 月) アリストテレス的世界観からの決別 1. 月のクレーター (凹凸)の発見 → 月は完全な球体ではなかった
月の山の高さの計算
地球照 (太陽からの地球への光が月へに反射される) の発見 2. 木星の 4 衛星を発見 (ガリレオ衛星)
→「地球が動いているなら、なぜ月は取り残されないのか?」
3. 恒星や天の川の観測
(恒星は惑星より遥かに遠い、天の川は無数の恒星の集まり) Kepler が Galileo の報告を読み、 「星界の報告者との対話」出版
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Galileo Galilei (1564 ̶1642)
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1610 年夏 ピサ大学教授兼トスカーナ大公付き哲学者Firenze に戻る
1610 年9月 4. 金星の満ち欠けを発見 → プトレマイオスの天動説理論の破綻 (後述) 1611 年 リンチェイ・アカデミー (1603 年創立) 会員に選ばれる
1613 年「太陽黒点論」
5. 太陽の黒点を観測し、太陽外部ではなく、太陽表面の現象であると説明
→太陽も完全な球体ではなく表面は不均一である、また太陽も自転している (太陽は完全な球体であり、黒点を太陽とは別の天体とする
キリスト教側(イエズス会)との対立が深まる) 1616 年 第一回宗教裁判 (異端審問所審査) コペルニクス説 (地動説) の擁護禁止
(コペルニクスの「天球回転論」はバチカンでは 1835 年まで禁書) 1632 年 「天文対話」の出版 (Firenze)
天動説支持派と地動説支持派、中立派による 3 人の対話集 1633 年 第二回宗教裁判
Firenze 郊外のアルチェトリに自宅軟禁処分・「天文対話」の出版禁止処分 (1992 年 ---ガリレオの死去の350 年後 に名誉回復)
1638 年 「新科学対話」の出版 (ただしオランダで)
運動学 (振り子、等速直線運動、等加速度運動、放物運動)と 材料力学 (スケーリング則) の基礎
同年 両目を失明
1642 年 アルチェトリにて没
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2017/5/4 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)
ガリレオの主な弟子
Evangelista Torricelli (1608 - 1647, 真空の発見 (後述)、水銀気圧計の発明) Vincenzo Viviani (1622 - 1703, 音速の測定 350 m/s, ガリレオの伝記執筆)
ガリレオのその他の業績
(広汎な業績とその実験・考察手法から「近代科学の父」と呼ばれる) 1. 振り子の等時性の発見
(振り子の周期は物体の重さによらない)
2. 望遠鏡での土星の観測
(望遠鏡の解像度が悪く、ホイヘンスの観測 土星は 3 つの天体だと思われる)