第 8 回 (6/1) 力(1)
3. 作用点 (力が働いている場所) (着力点ともいう)のことである。
力の図示
力の矢印の始点は、力の作用点である。
力の合成・分解
力はベクトルとして足し算できる。
一つの質点に 2 つの力 と がかかっているとする。
は2つの力と同等の働きをする。
この力 を合力と呼び、
を求める操作を力の合成と呼ぶ。
また、一方力 が質点にかかっている時は、それを と
に分けることができる。それぞれを求める操作を力の分解と呼び、
それぞれを分力と呼ぶ。合成と異なり、分解の方法は無数にある。
地球表面 重力 -mg z
作用線
− → F
1− → F
2−
→ F = − →
F
1+ − → F
2−
→ F
−
→ F
−
→ F
− → F
1− → F
2− →
F
1− → F
247
2017/6/1 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
ニュートンの運動の3法則
物体が質点である時には(物体が十分に小さく、点であるとみなせる時)、
以下の法則が成り立つ。
第一法則 (ガリレオの慣性の法則)
物体に力が働かないとき、静止している物体は静止したままであり、
動いている物体は、一定の速度 (加速度ゼロ) で一直線上を動き続ける。
(注: 物体が元の運動状態を保とうとする性質を慣性と呼ぶ。)
第二法則 (ニュートンの運動方程式 (Newtonʼs equation of motion)) 質点の加速度 は物体にかかる力 に比例する。
慣性質量 mを以下の式で定義する。
(一次元の場合) (二次元以上の場合) 第三法則 (作用・反作用の法則)
質点 A が質点 B に力を及ぼす時 (作用)、
同時に質点 B は 質点 A に同じ大きさで逆向きの力を及ぼす(反作用)。
これらの力は同一作用線上にある。
! a F !
m ! a = F !
F ! B → A = − F ! A → B
ma = F
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2017/6/1 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
力の単位
(一次元) (二次元以上)
物体に作用している力 F を数え上げ、加速度 a を決定。
運動方程式を解くと、物体の運動が決定 (予言) できる。
SI 単位: 力学で用いる主な SI 基本単位は 3 つ (SI 単位は全部で7つ) m ( メートル) 、kg (キログラム)、 s (秒)
質量の SI単位 : [kg] 加速度の単位: (加速度)=(速度の変化)/(時間)
(速度) = (位置の変化)/ (時間) なので、
加速度の単位を SI 単位で表すと [m/s2] 従って、力の単位は [kg・m/s2]
この単位には、ニュートン [N] という別名が付いている。
1 kg・m/s
2= 1 N
49
ma = F m ! a = F !
2017/6/1 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
慣性系と非慣性系
ma = Fで、F = 0 とした時には、a = 0 となるので、
一見すると、慣性の法則は不要なように見える。
物体の位置の指定には座標系が必要である(第 3 回の講義スライド参照)。
座標系自体が加速度運動している時には、慣性の法則は成り立たない
(右の座標系では力を受けていない物体が加速度 -a の運動を行うので)。
慣性の法則は物体の運動を記述する座標系を規定する
慣性の法則が成り立つ座標系を慣性系と呼ぶ。運動方程式は慣性系 (静止、あるいは等速直線運動を行う座標系) でのみ成り立つ。当面の間慣性系を考える。
O x y
xʼ軸方向の加速度a で運動する座標系 (非慣性系)
O xʼ
yʼ a
静止した座標系(慣性系)
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厳密な意味で慣性系は存在しないが、
地球表面は近似的な慣性系であると 多くの場合みなせる。
非慣性系における運動は
後の講義で取り扱う(予定)。
2017/6/1 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
ガリレオの相対性原理
「等速度運動する座標系同士で物理現象を見つめても、
相対加速度が0であるため (加速度が変わらず)、
ニュートンの運動方程式は慣性系なら成り立つ。」
この主張をガリレオの相対性原理と呼ぶ。
O-xy 座標系で点の R(x,y) と、O-xy 座標系に対し速度 V で動く O-xʼyʼ 系で 見た同じ点 R(xʼ,yʼ)の座標には以下の関係が成立する。
但し、t = 0で原点は一致し、軸同士の方向は等しいとする。
(ただし、V は定数)。
この変換式をガリレイ変換と呼ぶ。
O x y
x
y R(x,y)
静止した座標系(慣性系)
O xʼ
yʼ V
xʼ軸方向に速度Vで運動す る座標系(慣性系)
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t = t ! (
絶対時間) , x = x ! + V t, y = y !
ガリレイ変換の式は、Vが光速度 よりも十分小さい時に成立する。
V が光速度に近い時は、ローレン ツ変換 (特殊相対論で出現)に修正 する必要がある。すると、電磁気 学の法則まで含めて、全ての物理 法則が静止系と運動系で全く同様 に書ける。
2017/6/1 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
重力
重力は(電磁気を考えなければ)唯一の遠隔力である。正体は地球と我々の間の万有引力 (+地球の自転による遠心力)
自由落下運動を引き起こす力であり、重力加速度は g = 約 9.8 m/s2 1kg の物体に対して g の加速度を引き起こす力を
1 kg 重 (kgw, kgf などと書く)と呼ぶ。
古い表記だが、工学などではよく使われる。
1 kgw = 約 9.8 N (問) 1N は何 kgw か?
重力質量と慣性質量
重さ…物体に働く重力 mg (月では重さは 1/6 になるが、質量はそのまま) 同じ場所であれば、g は一定である。
従って重さ mg を測ることによって物体の質量 mを定義することができる (重力質量)。
慣性質量と重力質量は概念的には異なるものであるが、
両者は高い精度で一致することが実験的に知られている(弱い等価原理)。
以下では、単に両者を同一視して質量と呼ぶ。
52
2017/6/8 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I) 53
入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)
法政大学市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川賢治
(https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei2017)
第 9 回 (6/8) 力(2)・等速円運動と単振動
・垂直抗力・摩擦力・抵抗力
2017/6/8 入門物理学A (旧原子から宇宙まで I)
前回の復習
運動の法則
第一法則 (慣性の法則)
物体に力が働かないとき、その一定の速度 (加速度ゼロ) で 一直線上を動き続ける (あるいは静止し続ける)。
慣性の法則が成り立つ系を慣性系と呼ぶ。第二法則は慣性系でのみ成立 第二法則 (ニュートンの運動方程式)
質点の加速度 は物体にかかる力 に比例する。
第三法則 (作用・反作用の法則)
質点 A が質点 B に力を及ぼす時 (作用)、
同時に質点 B は 質点 A に同じ大きさで逆向きの力を及ぼす(反作用)。
これらの力は同一作用線上にある
力の単位は N (Newton, ニュートン) 1 kg・m/s
2= 1 N 重力 (重さ)と質量 JAXA (宇宙航空研究開発機構)による動画
https://www.youtube.com/watch?v=feiyKvfaP2o! a F ! m ! a = F !
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2017/6/1 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
− → W
垂直抗力
床に物体を置いた時に、物体は静止しているとする。
この時、物体に対して 1. 重力 と
2. 床からの垂直な力 (垂直抗力) が打ち消しあって、
物体の合力は となる。
(全ての成分が 0 であるベクトルをゼロベクトルと呼び、 で表す。
物体の合力が の時、これらの力がつり合っていると呼ぶ。
(注意: 重力と垂直抗力は何の関係もない別個の力であり、
作用・反作用の関係ではない!
重力の反作用は物体から地球にかかる力である。
同一の物体にかかる力が作用・反作用の関係にある ことはない。)
− →
W − →
N − →
W + − →
N = ! 0
! 0
! 0
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! 0
−
→ N
2017/6/1 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
摩擦力
物体どうしが接触している時に、接触面に平行に働く力静止摩擦力(物体が静止している時)と、
動摩擦力(物体が運動している時、動きを止めようとする力)がある。
ある力以上で引っ張ると、物体は動き出す。
動き出す前のぎりぎりの所で働く摩擦力を最大静止摩擦力と呼ぶ。
静止摩擦係数 μ
最大静止摩擦力の大きさをF,
垂直抗力の大きさを N として F=μN
アモントン・クーロンの法則 (近似的な経験法則) 1. 摩擦力の大きさは垂直抗力に比例
2. 摩擦力は、接触面積によらず、接触面の様子で決まる。
3. 動摩擦力は物体の速度によらず一定 4. (最大静止摩擦力)>(動摩擦力)
F=μʼN < μN μʼ 動摩擦係数
摩擦は現代に至るまで、あまりそのメカニズムが 解明されているとは言えない
− → W
−
→ N
F !
! v
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2017/6/1 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
抵抗力
流体(空気や水)等の流体中で運動する物体は抵抗力を受ける。抵抗力の向きは速度ベクトルの向きと逆向き
粘性抵抗: 空気や水分子と物体との間の摩擦力による抵抗。
物体の速度に比例した大きさの抵抗力が働く。
例. 小さい半径の雨粒の運動
慣性抵抗: 物体が空気や水分子を押しのけることによる運動 物体の速度の 2 乗に比例した抵抗力が働く。
例. 大きな半径の雨粒の運動、スカイダイビング
抵抗力が生じる運動では、物体は次第に速くなるが、
終端速度 (それ以上絶対に速くなれない速度) が存在する。
終端速度は加速度 a が a = 0 となる速度であり、
運動方程式を立てて計算することができる 。
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2017/6/15 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I) 58
入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)
法政大学市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川賢治
(https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei2017)
第 10 回 (6/15) 力(3)・等速円運動と単振動
・圧力 (大気圧)
浮力 (水圧・アルキメデスの法則)
・弧度法
・等速円運動 (速度・加速度・向心力)
2017/6/15 入門物理学 A (旧 原子から宇宙まで I)
前回の復習
様々な力 … 重力、垂直抗力、摩擦力 (垂直抗力に比例) 抵抗力 (粘性抵抗、慣性抵抗)
例. 空気抵抗を受けながら落ちる雨粒の運動 (粘性抵抗の例) ma = mg - kv v = mg/k の時、加速度 a = 0 となる。
実際には、この速度に到達することはないが、
十分時間が経つと、ほぼこの速度で等速度運動を行う (終端速度)。
運動方程式の解き方
STEP I 問題文の状況を図で説明する。
STEP II 注目している物体に働く力をカウントする。
力はベクトル和なので、カウントして全ての力について、
それぞれの方向で符合をつけて計算を行う。
STEP III 運動方程式を書いて、加速度を求める。
STEP IV vt グラフを書き、運動を分析する。
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2017/6/15 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
圧力 (pressure)
表表紙と背表紙を使って手を本で叩くことを考える。
同じ力がかかるように本を手に振り落としたとするとどちらが痛いだろうか?
面積の大きさによって与えるダメージが異なる。
圧力の定義
(圧力 P)= (面に垂直に働く力成分 F)/(面積 S) P = F [N]/S [m2]
単位 [N/m2] 別名は [Pa] (パスカル, Pascal) 大気圧 (流体力学の先駆的研究)
大気中の分子の衝突で受ける力を単位面積あたりに換算 約 1013 hPa =1013 100 Pa =101300 Pa
(h (hecto)は 102=100 を表す接頭辞) 1 気圧とも呼ばれる。
1 m2 あたり約 10 t, 1 cm2 あたり 1 kg の重さに相当
→ 蓋付きの味噌汁のお椀がなかなか取れないのはなぜか?
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→背表紙を使って叩いた方が痛いはず
Blaise Pascal
(仏、1623 - 1662) 自然哲学者、哲学者 神学者
・確率論の創始
・パスカルの三角形
・「人間は考える葦」
画像は Wikipedia より引用
2017/6/15 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
トリチェリの実験 (真空の発見)
約 10 m よりも深い井戸から水をすくい上げる ことは困難であることは古くから知られていた。
トリチェリ (ガリレオの弟子) は管の中にある
水の重さと、空気の重さが釣り合っていると考え、
水銀を使った実験を行った (下図)。
ガラス管の中に水銀を満たし、水銀を満たした
器の中に逆さまに立てると、水銀は器の水銀面から
76 cm の地点で止まり、上部に真空の空気ができる。
(初めての人工真空、アリストテレス理論の否定)
大気圧 76cm
真空
水銀
Evangelista Torricelli (伊、1608-1647)
物理学者、数学者
・気圧計の発明
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画像は Wikipedia より引用
2017/6/15 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
浮力 水圧 … 水の重さ (水に働く重力) による圧力
水深が深い方が上に多くの水があるため水圧が大きい 例. 水深 0 m から水深 10 m (大気圧 (1気圧) → 2 気圧)
水の密度を ρ[kg/m3] (ロー、rho, 英語の r に相当するギリシャ文字)
水深を h [m] とすると、底面積が1m2 の時の水の体積は 1 1 h=h [m3] 。 水の質量: ρh [kg] 水にかかる重さ: ρhg [N]
したがって、この時の水圧は ρhg [N/m2]
(問題) スキューバダイビングでは周りの水圧と等しい空気を吸う。
浮上するときはどのような動作をとらなければならないか?
浮力
アルキメデスの原理
流体中の物体は、流体の密度をρ[kg/m3]、
流体中にある物体の体積を V [m3],
重力加速度を g [m/s2] とすると、ρVg [N] の上向きの力を受ける。
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2017/6/15 入門物理学 A (旧原子から宇宙まで I)
浮力 (続き)
アルキメデスの原理の説明
水圧は下方向だけではなく、四方八方にかかる。
左右からくる水圧は打ち消しあうが、
物体に、下からかかる水圧は上からかかる水圧 より大きく、浮力が生じる。
右図のような状況を考える。
深さ h1[m] での水圧 ρh1g [N/m2] 物体に下向きに働く力は ρh1gS [N]
深さ h2=h1+h [m] での水圧 ρ(h1+h)g [N/m2] 物体に上向きに働く力は ρ(h1+h)gS [N]
物体には、差し引き上向きに
ρhgS = ρShg=ρVg [N] の力が働く。
Archimedes
(古代ギリシャ、B.C.287-B.C.212) 数学者、物理学者、発明家、天文学者
・テコの原理、金の王冠の故事で有名
画像は ともに
Wikipedia より引用
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