原子から宇宙まで
第一回 イントロダクション (9/22)
法政大学 兼任講師 福川 賢治
1
スケジュール
詳細は、Web シラバスを参照
URL: https://syllabus.hosei.ac.jp/web/show.php 前期の履修は前提としない
全 14 回+ 試験の予定
前半は光学、後半は量子論、
最後の数回で最新の物理学について講義を行う予定 試験は 1/19 (木) の予定
私のオフィスアワー
1. 3限終了後 (15:30 - 17:00)
ボアソナードタワー 0813 号室 物理学研究室
2. その他の時間は、基本的に e-mail で随時受け付ける。 連絡先: [email protected]
3 営業日以内に返信がない場合は、
申し訳ないですがもう一回連絡してください。
2
評価について
1. 定期試験で基本的に評価する。
試験で点が取れなかった人は、平常点で救済する。 成績の付け方については別紙参照。
テスト問題は 3-4 問出題予定。詳細は近づき次第発表する。 必要な数学の公式は書く予定。
2. 試験時のやむをえない欠席について 法政大学の定期試験の基準に従う。
やむをえない場合は、なるべく早めに連絡してください。 3. レポート問題 (20 点、2 回を予定)
と出席点 (10点) を加味する。
4. A+ (90点以上), A (80点以上), B (70点以上), C (60点以上), D (59点以下), E (未受験) で評価
5. 平均点が著しく高い(低い)場合は、調整する。
3
授業を受ける際の注意事項
1. 試験における不正行為は厳に慎んでください
2. 私語は慎んでください。ゆっくりめに授業を行うつもりですので、 質問はいつでも構いません。
3. 体育会の競技への参加(公欠)、忌引、交通機関の運休などの本人と関係ない 事情による欠席は連絡してください。出席としてカウントする予定です。 4. 食事は控えてください。
水分補給は周囲のものを汚さないように気をつけて行ってください。 5. トイレ等は自由に行っていただいて構いません。
6. スマートフォン・携帯電話類はマナーモードか 電源切でお願いします。
講義情報のURL
私の個人 HP (https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei)に 講義ノート・スライド・レポート (問題・解答)の PDF、
そのほかアナウンス をアップロードするので、 随時チェックしてください。
4
なぜ、光学か?
光学は古代ギリシャ時代から現代物理学までを貫く学問。
この写真から分かること
1. 光には色がある → なぜいろんな色があるのか
2. 光は直進する → どうやって光が直進することが見えるのか?
画像はWikipedia 「レーザー」の項より
Wikimmedia Commons, Photo by 彭家杰 (00:00, 30 November 2014)
GFDLとCC-BY-SAのデュアルライセンス
5
光の反射と屈折
ユークリッド(Euclid)
(紀元前 3 世紀の古代ギリシャの数学者、天文学者
幾何学の父とも呼ばれる 「ユークリッド原論」「光学」) の頃から知られていた。
光の反射の法則
反射面に垂直に引いた線 (法線)から
測った角度は入射光と反射光で等しい。 (入射角) =(反射角)
反射の応用例 サーチライト
放物面鏡 (天体望遠鏡の主鏡)
6
入射角 反射角
屈折角
屈折の応用例
1. プールの底が実際よりも浅く見える。
2. 実は、白色光は様々な色の光からなっていて、 様々な色に対する屈折の度合いの違い (分散)
を利用することにより、光の色を分けることができる (分光)→ プリズム
実は虹も、光の屈折現象の一種
Wikipedia 「Photonics」 (英語版)より引用
Wikimedia Commons, Photo by Kelvinsong (18:42, 30 July 2013), CC0 ライセンス
Wikipedia 「虹」の項目より
(アイスランド・グトルフォスの滝)
Wikimedia Commons, Photo by Laurent Deschodt
https://commons.wikimedia.org/wikiFile:Gullfoss_rainbow.JPG (2006年9月5日 (火) 21:25) GFDLとCC-BY-SA のデュアルライセンス
光の粒子説と波動説
光は粒子ではないか? Sir Issac Newton
(イギリス、1642 - 1727) 画像は Wikipedia より引用
光は波ではないか? Christiaan Huygens
(オランダ、1629 - 1695) 画像は Wikipedia より引用
光の波動説優勢の時代
波の干渉 ヤングの二重スリット干渉実験
光は実際には様々な波長からなる波である
(1864 年, Maxwell による波動方程式の導出) → 電磁波
LIGO Webサイト ``What is an interferometer? より
https://www.ligo.caltech.edu/LA/page/
what-is-interferometer Wikibooks, 「量子化学/光の波動性と粒子性」より
Wikimedia Commons,
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:YoungsDoubleSlit.png (14:28, 7 December 2005), GFDL とCC-BY-SA のデュアルライセンス
初期の量子論
光は波だけではなく粒子でもある
光電効果
光を金属に当てると、電子が飛び出してくる現象 (1887年、ドイツの物理学者ヘルツが、
陰極に紫外線を当てると、電圧が下がる現象として発見)。
1905 年アインシュタインが導入した光量子仮説によって説明 (1921 年ノーベル賞)。
電子は粒子だけではなく、波でもある
電子を二重スリットを通すと、
電子の数が増えるにつれて干渉縞が表れる(1989年、外村彰)。
Youtube動画
Controlled double-slit electron diffraction: electron buildup pattern
https://www.youtube.com/watch?v=hv12oB_uyFs
光と物質の二重性
Schrodinger による波動力学
粒子に対する波動方程式を提唱 (波動力学、1926年) 。
電磁気学での波動方程式の解… 電場や磁場の大きさに関係 量子力学での波動方程式の解…粒子の存在確率に関係
(同じ状況でスタートしても、同じ状況にたどり着くとは 限らず、状態は波動方程式に従って確率的に決まる。)
不確定性原理
量子力学では位置と運動量(=速度 質量)を同時に知ることができない。
ハイゼンベルグ (左の写真) が 自身の量子力学の定式化 (行列力学、1925年) に基づき1927年に提唱
(量子力学が持つ特有の性質)
Werner Heisenberg (ドイツ、1901-1976) Wikibooks「Futurology/Method」
(英語版)より
Erwin Schrodinger (オーストリア1887 - 1961) Wikipediaより引用
より小さなものを求めて ( 原子核物理)
動画(youtube) Powers of 10 (自然界の階層性) 10x = 10 10 ……… 10 (10を x 回かける) 10-x=1/(10 10 ……… 10) (10で x回割る)
例)103=10 10 10=1000, 10-2=1/(10 10)=1/100=0.01 Glashowによるウロボロスの蛇の図
自然界にはそれぞれの階層性があることの自然な表現 (原子から宇宙まで)
そして、素粒子論と宇宙論は繋がっている!
要素還元主義:自然界の最も基本的な相互作用と 構成要素がわかれば、自然は理解できる
(自然界の普遍性)
全体論: その基本的なシステムが理解できたとしても、 全体が理解できるわけではない。
(自然界の創発性)
http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/department/physics/top/deptphys.html から引用
原子の構造
画像はともに
仁科加速器研究センター研究紹介「原子核の研究」より http://www.nishina.riken.jp/research/nucleus.html
原子は atom
(分割不可能な存在) ではない
電子+原子核
(陽子、中性子) 下図: 核図表
安定な核: 約300種 実験的に存在を確認: 3000種
理論的に存在が予想: 10000種
これらの元素はどうやって できたのか?
→ 宇宙科学との深い関連
物理学者の社会的責任 ̶ 原子力の利用
原子爆弾、水素爆弾等への
物理学の悪用 果たして、原子力の平和利用は
可能なのか? 過去の物理学者の発言を他山の石としながら、
今後物理学が社会的にどのような責任を負っていくべきか?
Wikipedia 「原爆ドーム」(英語版)より引用
Wikipedia 「福島第一原発」の項より
Wikimedia Commons, Photo by Digital Globe (17:19, 17 March 2011),CC-BY-SAライセンス
原子から宇宙まで
第2回 幾何光学の基礎編 (9/29)
1
光線
我々が目で見て光線と呼んでいるものは実際には光の束 (頭の中で考えた限りなく細い光束が光線)
幾何光学の前提としての光線の性質
光線同士は互いに他に影響を与えることなく通り抜ける 光線による物体の位置の決定
レンズの焦点を合わせることによっても
距離感が図られるが、両目でものを見ることによって、 物体との正確な距離が経験的に(距離感が) わかる。
(三角測量の簡単な実例)
(実験) 物がない場所でペンを二人でもって、お互い少し離れて、 (1) 両目を開けながら
(2) 片目をつむりながら
二人が持ったペンを触れ合わせる。どちらが簡単か?
2
光の反射
(Reflection)例1. 朝窓から見た景色 … 外からの光がそのまま通り抜ける 夜窓を見たときの景色 … 自分の姿が映る (鏡の反射) 例2. 月は太陽の光を反射して光っている (月の満ち欠け)
「この世をばわが世とぞ思ふ望月の 欠けたることもなしと思へば (道長)」 満月が夜中見えるのはなぜか?
鏡面反射 … 鏡の面や、磨いた金属面、水面などで起こる反射
3
入射角 反射角
屈折角
反射面に垂直に引いた線 (法線)から
測った角度は入射光と反射光で等しい。 (入射角) =(反射角)
鏡による像
鏡による反射は(実際には存在しない)別 の場所から出た光線が作っているように見える。このような像を虚像と呼ぶ。
虚像は基本的にはその場所にいる人しか見えない。
(やってみよう)
全身を写すにはどの大きさの鏡をおけばいい?
右: 全身を覆う鏡 左: 身長の半分の鏡
4
ヘロン (B.C.130 B.C.75) による説明
光が物体から目に進む途中で鏡面で反射する とすると、どの距離を行くのが最短になるか?
→ これは反射の法則と一致。
(アリストテレスの名言 「自然は無駄をしない」) (考えてみよう)
赤い物体の像は何個できるか? 万華鏡の原理
Wikimedia commons より https://
commons.wikimedia.org/wiki/ File:KaleidoscopePNG.png
5
光の屈折
(Refraction)ユークリッドの頃から (紀元前 3 世紀)、現象としては知られていた。 紀元 140 年ごろ、クラウディウス・プトレマイオスによる実験
入射角 反射角
屈折角
Claudius Ptolemaeus (83年頃 - 168 年頃)
天動説で有名 (画像は Wikipedia より) 入射角と屈折角の最古の表を作成
6
屈折を調べる方法
プトレマイオスによる最古の表 (iとrの数値はファインマン物理学より引用)
7
Wikipedia 英語版 「屈折」の項より
Wikimedia Commons, Photo by Zátonyi Sándor (ifj.) Fizped (talk) (11 June 2005), CC-BY-SA 3.0 ライセンス
入射角 i (空気中、度)
屈折角 r
(水中、度) i/r
sin i/ sin r
10 8 1.25 1.25 20 15.5 1.29 1.28 30 22.5 1.33 1.31 40 28 1.43 1.37 50 35 1.43 1.34 60 40.5 1.48 1.33 70 45 1.56 1.33 80 50 1.63 1.29
入射角が大きくなると屈折角も大きくなる
スネルの法則 (1621年)
三角比 (数学)
Willebrord Snell (1580-1626)
数学者、蘭 ライデン大学教授 Wikipedia より引用
空気
ガラス i
r
A
B
境界面
法線
C D
円を描き、光線と円の交点から、
法線に垂直にとったABとCDを取った時に、 ABの長さとCD の長さの比が一定になる
ことに気づいた。
A
B
C
i
BC/AB = sin i (0 < i < 90 ) と名付ける。 BC=AB (sin i)
上の図で、 CD = OD (sin r) AB = OA (sin i).
OA = OD なので、AB/CD = sin i/ sin r= 一定 = n この一定の n を(空気に対するガラスの)屈折率と呼ぶ。
O
注意: 屈折率は真空を 1 として測り、前のページの式は、正確には sin i/sin r = nガラス /n空気 である。
但し、空気の屈折率は 1.00292であるため、ほとんど 1と思って良い。 いくつかの物体の屈折率
水 1.3334、氷 1.309 、水晶 1.5443 、ダイヤモンド 2.417 もう少しだけ三角比の話
三角形ができない時の三角比
sin 0 = BC/AB = 0 (B と Cが 一致) sin 90 = BC/AB= 1 (AとC が一致) A
B
C
A
B
C
三角関数まで広げると、90 を超える角度に対して三角関数
が定義できるが、ここでは扱わない。i が 0 から 90 までの角度では、 sin i は 0 から 1 の値を取り、1を超えることはない。
全反射
屈折率が大きい物体から、
小さい物体に光を入射させた時、 ある角度 (臨界角) 以上の光が
全部反射される現象
光ファイバー 画像はWikipedia より
Photo by Timewether (2005), CC-BY-SA 3.0 ライセンス
空気
ガラス r
i
A
B
境界面
法線
C D
ic= 臨界角
スネルの法則 によると、 sin i/sin r= 1/nガラス
臨界角 ic で入射する時 r が 90 になる。 sin 90 = 1 なので、sin ic= 1/nガラス
の式から (関数電卓を使えば) sin ic を求めることができる。
応用例: 光ファイバー、胃カメラ
10
原子から宇宙まで
第3回 (10/6)
・幾何光学の続き
フェルマーの原理 光の分散とその応用 次回 (10/13) 光学器械
1
前回の復習
光の反射 … ものを見るために重要
入射角 反射角
屈折角
二面鏡での像の見え方
2
鏡面反射
(入射角)=(反射角)
乱反射 (拡散反射)
画像は Wikipedia 「拡散反射」の項より引用、
Photo by Theresa knott , (24th December 2007), CC-BY-3.0 ライセンス
表面がでこぼこしていることによって、 一本の光線については反射の法則が
成り立つが、全体としてはあらゆる 方向に光が拡散される。
(= どこからでも見える)
大体目に見える物質による光の反射は 乱反射
3
前回の復習 (2)
光の屈折 スネルの法則
AB/CD= sin i/sin r = nガラス この n のことを屈折率と呼ぶ。
(屈折率が大きいほど曲がり具合が大きい)
空気
ガラス i
r
A
B
境界面
法線
C D
O
4
全反射
屈折角が計算の結果90度以上に
なる領域では、光は境界面で全て反射し、 屈折が起こらない。
(水面近くを泳ぐ魚の眼には 地上の風景は赤い円錐の中に 見える)
フェルマーによる最小時間の原理
入射角 反射角
屈折角
ヘロン (B.C.130 - B.C.75)
「光は最短経路を通る。」
(左の反射の図で、光は黒の経路を通り、
それは青の実線の長さに等しく、赤の長さに等しい)
ピエール・ド・フェルマー (仏、1607-1665) フランスの数学者、
フェルマーの最終定理で有名
「光はそれを通るのに最小に なる時間を進む」
(速いところを走った方が有利)
光の物質中の速さは
(約30万km)/ (物質中の速度) = c/n物質 (導出には大学の電磁気学の知識が必要)
Wikipedia より引用
フェルマーによる最小時間の原理 (続き)
フェルマーによる最小時間の原理からスネルの屈折の法則を導く。 変分原理
時間が最小になるところでは、少しだけ経路がずれても時間が変わらない。
i i
r
A r
B
C D
実線と点線は殆ど平行である。(光源が十分遠い場合) また、AB = AC (sin r), CD = AC (sin i)
変分原理によると、ABを進む時間と CD を進む時間は同じであるべき また、ABでは光の速度が 1/n になるので、n AB = CD
ここから CD/AB= n = sin i/ sin r
6
光の分散
平行な境界面を持つガラスを通り抜ける光の屈折
平行でない場合はどうか? →
空気→ガラスの屈折によって光の方向が曲がるが、 ガラス→ 空気の屈折によって元に戻る。
光の方向が変わる
7
更に注意深く観察すると、光は広がりを見せることが分かる 色によって曲がり具合 (= 屈折率) が違う
画像は Wikipedia 「分散」の項目より
光の分散 (続き)
アイザック・ニュートン
(画像は Wikipedia より)
色の順番に並ぶが、このように並べたものは光のスペクトルと呼ばれる 光がスペクトルに分かれる現象は分散と呼ばれている。
クラウンガラスの屈折率 (数字は PSSC 物理より引用)
色 紫 青 緑 黄 橙 赤
屈折率 1.532 1.528 1.519 1.517 1.514 1.513
光の分散
左のスリット x で絞った光はほぼ同じ色になっているので、 右のプリズム F を通しても光が広がらない。
(問題) プリズムを 2 個使って、白色の光束をスペクトルに分解し、
再度白色の光束に集めるにはどのようにプリズム(と光源)をおけば良いか?
ニュートンの二重スリット実験 (ニュートンの主著「光学」より)
画像は Wikimedia Commons より
https://commons.wikipedia.org/wiki/File:NewtonDualPrismExperiment.jpg?uselang=ja
9
光の分散の応用例 虹
画像は何れもWikipedia 「虹」より引用, Photo by ikur.us (6th July, 2005) CC-BY-SA 3.0 ライセンス
はっきり見える主虹 (下) の他にも 副虹 (上) が見えることがある。
主虹
副虹
水滴における2回の 屈折と1回の反射
「太陽」-「水滴」-「人」 のなす角は約42度
(水の屈折率による量)
水滴における2回の 屈折と2回の反射。
「太陽」-「水滴」-「人」 のなす角は51度
(色の順番は主虹と反対)
10
光の散乱
光は通常は光束として見えないが、
反射する物体 (新たに光を四方八方に放出する光源となる) があれば光束として見ることができる。
例1 . チンダル現象
石鹸水溶液の中では、レーザー光は光線として見える。 注意 !! レーザー光は長時間見ないようにしましょう。 目が焼け、失明の恐れがあります。
例2. レイリー散乱
11
昼 … 赤い光は波長が長いので、 粒子の間を光がすり 粒子の間をすり抜け散乱が起こらない。
夜 … 光が大気中を通る距離が非常に長く なり青い光はあちこちに散乱されるので、 目まで届かなくなる。
一方赤い光は、散乱される確率が上がり、 目に届きやすくなる。
画像は Wikipedia 「レイリー散乱」より
原子から宇宙まで
第4回 (10/13) 光学器械
反射の原理 (ニュートン式反射望遠鏡、サーチライト)と 屈折の原理 (レンズ、顕微鏡・望遠鏡)を使った光学機械 次回 (10/20)
1. 幾何光学の限界
2. 波 (1) 波とは何か、波の基本的な表し方
3. 時間があれば、ホイヘンスの原理を解説する。
1
楕円と放物線
放物面鏡
反射望遠鏡の原理
2
画像はWikipedia 「楕円」から改変 Made by El Totti, (27 February 2007) CC-BY-SA 3.0 ライセンス
焦点
楕円は 2 つの焦点からの距離が等しい点の集まり そのため、焦点から出た光は常に焦点に入る。
(最小時間の原理によると、ある点からある点を実際に 通る光線は最小の時間をかけて通るルートの集まり) 焦点
画像はWikipedia 「放物面鏡」から改変 Made by Cmglee, (18 July 2005) CC-BY-SA 3.0 ライセンス
準線 (directrix)
A B C D A B C D
天体からくる光 (非常に遠い) はほぼ平行に やってくるが、放物面に来る光は反射すると 焦点 F に集まる
放物線は AA = A F, BB = B F, CC = C F etc. となる点の集まり
A F 間の距離を焦点距離と呼ぶ
焦点
光線は厳密には一点に集まらないが、
概ね下側の青い点の周りに集まり像を作る 1. 実際の位置関係と比べて
上下左右反転した像が見える 2. 実像である
(実際に光線が通っているところに像ができる) 2 回目の授業の時の平面鏡の反射 (虚像) と
比較してください
放物面鏡 (続き)
光線が回転面の軸 (黒い点線)と平行でない時
ニュートン式望遠鏡
画像は Wikipedia 「ニュートン式望遠鏡」より引用, made by ArtMechanic, (14th September 2005), CC-BY-SA 3.0 ライセンス
1668 年一号機作成 ニュートンの反射式望遠鏡 右が主鏡 (対物レンズ、放物面鏡または球面鏡) 左が副鏡 (平面鏡)
王立協会所有のレプリカ
ニュートンが王立協会にデビュー (1672 年) するきっかけとなった
画像は「ニュートン式望遠鏡」より引用, Photo by Andrew Dunn, (10th Jan 2010), CC-BY-SA 2.0 ライセンス
使用する主鏡と副鏡の種類により、
カセグレン式、リッチー・クレチアン式 (ハワイのすばる望遠鏡はこれ)
などの様々なタイプの望遠鏡がある
画像は、それぞれすばる 望遠鏡公式ホームページ
「すばる望遠鏡とは?」
「すばる望遠鏡での観測」 より引用
(左) すばる望遠鏡 のドーム
(右) ハワイ島
サーチライト
ニュートン式反射望遠鏡の光線を逆に進むと、 サーチライトとして使うことができる。
軍事用や、公共施設の警備用、広告 に用いられる。
小さな鏡 鏡
画像は Wikipedia 「サーチライト」の項より Photo by Bahman, (14th November 2007) CC-BY-SA=2.0 ライセンス
Hi D
C Si
放物面鏡による物体の像 (焦点の外側に物体を置いた場合)
6
Ho F
A
B
E J
焦点を通る光線に注目する
1. A から焦点 F に入り J から 回転軸に平行に出る光線と 2. A から回転軸に平行に入り、
Gで反射して焦点 Fを通り出る光線 の交点 C に A の実像ができる。
G
I
So f
像の位置と倍率 (Hi/Ho)
△ ABF と △ FEJ は形が同じ(相似) なので、Hi/Ho = f/So (EJ 間の距離は実際には f よりも少し短い)
△ CDF と △ GIF は相似なので、Hi/Ho = Si/f (FI 間の距離は実際には f よりも少し短い) 従って、f/So=Si/f なので、So Si=f2
Hi C
D
Si
放物面鏡による物体の像 (焦点の内側に物体を置いた場合)
焦点を通る光線に注目する 1. A から出て J で反射し、 回転軸に平行に出る光線と 2. A から回転軸に平行に入り、
Gで反射して焦点 Fを通り出る光線 の交点 C に A の虚像ができる。
F
A
B
f
So
J
E
G I
Ho
像の位置と倍率
△ ABF と △ FEJ は形が同じ(相似) なので、Hi/Ho = f/So (EF 間の距離は実際には f よりも少し短い)
△ CDF と △ GIF は相似なので、Hi/Ho = Si/f (FI 間の距離は実際には f よりも少し短い)
従って、f/So=Si/f なので、So Si=f2 7
レンズ
(復習) 光の屈折が起きる時、境界面が平行でないと、 光の方向が変わるその原理を利用して一点に光を集めるのがレンズ 境界面としては製造が簡単な球面
の一部を考えることが多い。
レンズの中心を通る軸を光軸と呼ぶ。
平行な光線が入ってきた時、光線が一点に集まる点を 焦点、中心と焦点の距離を焦点距離と呼ぶ。
薄いレンズについては (薄肉レンズ近似) 、以下の公式が知られている。
(証明は光が進む時間を考えれば可能だが、少し長くなる) n1: レンズの屈折率、物質の屈折率を n2 とする。
2 つの球面の曲率半径を R1, R2 とする。 焦点距離を f とすると、
光が軸に近いところを通る時 (近軸近似)、 1/f = (n1/n2 ➖1) (1/R1+1/R2)
焦点F R1 R2
焦点距離 f
8
レンズ (続き)
焦点F R1 R2
焦点距離 f
公式
1/f = (n1/n2 ➖1) (1/R1+1/R2) を用いる際の注意 1. 空気の時は n2 =1 とすることが多い。
2. 曲率半径 R については、面が凸の時に正、 凹の時に負とする
→ 凹レンズの焦点距離は負
3. f がレンズの厚さより大きい時には十分正しい 性質 1. レンズの薄い方から光を入射させても、
厚い方から光を入射させても焦点距離は同じ 2. R が大きい方が焦点距離が短い
(目のレンズ (水晶体) の調節機構) (問題)
(1)屈折率 1.5 のガラスで作った平凸レンズがある (左図)。 右の面の曲率半径が 24 cm の時、レンズの焦点距離は ? (2) レンズを水の中に置くと、焦点距離はどう変化するか? 両凸レンズ
平凸レンズ
R=24 cm
9
凸レンズによる実像
焦点F1 焦点距離 f
光軸 焦点F2
考え方は反射の場合と同じで、焦点を通る光線を考える。
レンズを薄いとした時は、屈折に関しては、レンズは円盤とみなして、 中心で一回だけ屈折すると考えて良い。
A
B
E
G O
焦点距離 f Ho
像の位置と倍率
△ ABF2 と △ GOF2 は相似なので、Hi/Ho = f/So
△ CDF1 と △ EOF1 は相似なので、Hi/Ho = Si/f
従って、f/So = Si/f なので、So Si=f2
この式で、BO = a = So+f, OD = b = Si+f として変形すると、 有名なレンズの公式 1/a + 1/b = 1/f を導くことができる。
C D
Hi Si
So
倒立実像
焦点F1 焦点距離 f
凸レンズによる虚像 (虫めがねの原理)
焦点距離 f
Ho 焦点F2
像の位置と倍率
△ ABF1 と △ EOF1 は相似
Hi/Ho = f/So
△ CDF2 と △ GOF2 は相似
Hi/Ho = Si/f
従って、f/So=Si/f なので、So Si=f2
A B
So E
O
G Hi
C
D
Si
物体を焦点距離よりも近くに置くと、 物体 AB が拡大されて
正立虚像 CD ができる
人間の目が疲れることなしに見る
ことのできる距離を明視距離とよぶ。 (個人にもよるが、25 ̶ 30 cm 位) 明視距離 を d とすると、大体
Si = d+f すると、
Hi/HO=d+f/f=d/f+1
従って、焦点距離が小さい方が 倍率が高い。
11
12
A
B
凹レンズの場合の像
Ho
焦点F2 焦点F1
So
D C Hi
Si
E G
O
凹レンズでは焦点距離が負なので、2つの焦点が果たす役割が 凸レンズの場合の逆になる
凹レンズでは元の物体より小さな正立虚像ができる。 像の位置と倍率
△ ABF2 と △ GOF2 は相似なので、Hi/Ho = f/So
△ CDF1 と △ EOF1 は相似なので、Hi/Ho = Si/f
従って、f/So = Si/f なので、So Si=f2
f f
対物レンズ 物体 接眼レンズ
光学顕微鏡の原理
1. 対物レンズのすぐ外側に物体を置き、拡大させた倒立実像を 接眼レンズの焦点の少し内側に像を作るようにする。
2. 虫眼鏡の原理で、この実像を拡大し、明視距離の場所に虚像を作る。 数十倍から - 2000 倍程度の光学顕微鏡を作成できる。
対物レンズに焦点距離の長い大きなレンズを置くと、 ケプラー式望遠鏡の図になる。 13
原子から宇宙まで
第5回 (10/20) 光学器械 (続き)
1. 屈折の原理 (レンズ、顕微鏡・望遠鏡)を使った光学機械 2. レンズの収差
3. 波 (1) 波とは何か、波の基本的な表し方
次回 (10/27) の予定 波(2) 1. 重ね合わせの原理
2. 一次元の波 (固定端、自由端での反射、定常波など) 3. 二次元の波 (ホイヘンスの原理による波の性質の理解)
1
(学生の質問から)
フェルマーによる最小作用の原理とは何か?
x
x A
光が走る時間 T
速度がわかっている場合、
光が走る時間 T は、経路の関数になる。 この場合は、空気と水の中では直線
を進むことを知っているので、
Tは境界面の点の座標の関数になる。 (一般には光の曲線の式の関数になる)
この最大最小の問題を扱うのが変分法。 フェルマーは、T は最小になるべきと仮 定した (変分原理、フェルマーの最小時 間の原理)。
T のグラフの接線の傾きが 0 になる時 最小であることが必要条件。
B C1 C2 C3
C1 C2 C3 n空気
n水
但し、この原理は厳密には成り立たない(後で)。2
(前回の復習) 凸レンズによる実像
焦点F1 焦点距離 f
光軸 焦点F2
考え方は反射の場合と同じで、焦点を通る光線を考える。
A
B
E
G O
焦点距離 f Ho
像の位置と倍率
So Si=f2 倍率 Hi/Ho=f/So
So: 物体に近い焦点と物体との距離 Si: 像と物体との逆側の焦点との距離 レンズの公式と等価 1/a + 1/b = 1/f
C D
Hi Si
So
倒立実像
3
対物レンズ(凸レンズ) 接眼レンズ (凸レンズ)
ケプラー式望遠鏡
基本的な構造は複式望遠鏡と同じ
対物レンズの口径距離が大きく(光を集める)、焦点距離が長い (実像を大きくする)
Johannes Kepler (1571 - 1630)
天体物理学の先駆者
画像は Wikipedia より
筒の長さは大体
(対物レンズの焦点距離)
+(接眼レンズの焦点距離)で決まる 大型化すると対物レンズでの透過率 が落ちる
➡小型望遠鏡でよく使われる
6
A
B
凹レンズの場合の像
Ho
焦点F2 焦点F1
So
D C Hi
Si
E G
O
凹レンズでは焦点距離が負なので、2つの焦点が果たす役割が 凸レンズの場合の逆になる
凹レンズでは元の物体より小さな正立虚像ができる。 像の位置と倍率
△ ABF2 と △ GOF2 は相似なので、Hi/Ho = f/So
△ CDF1 と △ EOF1 は相似なので、Hi/Ho = Si/f
従って、f/So = Si/f なので、So Si=f2
f f
7
(おまけ)
ガリレオ式望遠鏡
対物レンズ(凸レンズ) 接眼レンズ(凹レンズ)
長所 倒立ではなく、正立の像が得られる。
短所 倍率を高くしようとすると、視野が狭くなってしまう。 (歴史) 1608年10月ハンス・リッペルスハイが望遠鏡を発明 翌年ガリレオが、原理を考え望遠鏡を自作
→ 木星の衛星、月のクレーターや太陽の黒点、天の川などを観測 (望遠鏡での世界初の天体観測)
Galileo Galilei (1564-1642)
画像は Wikipediaより引用
8
レンズの収差
収差 … 実際の光線の経路は理想的に書いてきた光線の経路 とは少しずれている。
そのため、像にボヤケ、歪み、色づきが生じる。
球面収差 … 今までレンズの話では、光軸(レンズの中心を垂直に通る軸)の 近くを光が通るとしてきた(近軸近似)。
光線が軸からかなりずれた場合には、
光線は光軸では焦点のやや手前に落ちる。 そのため、像は一点にならずボヤケる。
色収差 … 光の色が異なると屈折率が微妙に異なる (分散の項を参照)。 焦点距離を与えるレンズ製作者の公式
1/f = (n1/n2 ➖1) (1/R1+1/R2)によると、
光の色により焦点距離が変わる (やや色づいてボケて見える)。 ニュートンはレンズを用いたシステムでは、
色収差の問題が解決できないと考え、反射望遠鏡を考案した。
9
収差の改善方法
画像はWikipedia 「色収差」から引用
異なる材質のガラス
(屈折率と分散の仕方が異なるガラス) を使って色収差の影響を少なくする。 基本的な手法としては、
凸レンズの後ろにより
屈折率の大きい凹レンズを置き、 分散の効果を打ち消しあわせる。
回折限界
回折現象によって、光を光線とみなすことに限界が生じる。 (フェルマーの最小作用の原理の限界)
光線から外れる程度は 光の波長の程度
回折現象とは、波に対し障害物が存在する時、
波が障害物の後ろに回りこむ現象 (後に詳しく解説する)
10
波とは
全ての光のモデルが説明しないといけない性質… 光は空間中を伝わる光の粒子モデル … 粒子が空間を伝わっていくのではないか? (ニュートン) ただし、空間を伝わっていくのは粒子だけではない。
波も伝わっていく
水面中に小石を落とすと、水面の中を輪が広がっていく。
水面をよく見ると、波 (振動の形) は表面を伝わっていくが、 水自身が波と一緒に進んでいくわけではない
(水面に浮かぶ木の葉は水面上を (ほぼ) 上下する)。
波を伝える物質を媒質と呼ぶ。 (媒は「仲立ち」の意味。媒体、媒酌)
LIGO Webサイト ``What is an interferometer? より
https://www.ligo.caltech.edu/LA/page/ what-is-interferometer
11
波の要素
振幅 (amplitude) A [m]波長(wavelength) λ[m] (Lambda, ラムダ)
山
谷
t=0
t=T/4 B
B
B t=T/2
t=T
周期 (period) T [s] 媒質が一回振動して元の場所に戻ってくるまでの時間 振動数 (frequency) f [Hz] (Hertz, 1/s の別名)
一秒あたりの媒質の振動の回数 f=1/T (f と T は互いに逆数の関係) 波は一周期で一波長進む v=λ/T 上の式を代入すると v=fλ
速度 v で波の形が伝わる
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B
注意 波は実際には空気抵抗や媒質の中の摩擦でエネルギーが減り、 振幅が何れ小さくなるが、ここでは考える時間幅は波が観察できる 程度に小さいとする。
(問題) t= (3/4) T の時の図を描いてみなさい。
横波と縦波
横波 (transverse wave)… 媒質の振動方向が波の進行方向と垂直な波 (前ページの点B は進行方向と垂直なので横波である)
例. 電磁波、ロープや弦の横波、地震波の S 波
縦波 (longitudinal wave)… 媒質の振動方向が波の進行方向と平行な波 疎密波とも呼ばれる
画像はWikimedia commonsより
例. 地震波の P 波, 音波 縦波の横波表示
縦波は時間経過を図に書きにくいので、 何もない時に比べ右に動いたものを +, 左に動いたものを - として
y 軸にプロットし直す。
原子から宇宙まで
第 6 回 (10/27)
1. 重ね合わせの原理
2. 一次元の波 (固定端、自由端での反射、定常波など)
3. 平面を伝わる波 (ホイヘンスの原理による波の性質の理解) 次回 (11/10)
1. 波 (3) ヤングの干渉実験、ドップラー効果 2. 光の粒子説
3. 光の速さについて
1
前回の復習
波
物体自身が移動するわけではないが、振動が伝わっていく。 振幅 (amplitude) A [m]波長(wavelength) λ[m] (Lambda, ラムダ)
山
谷
t=0 B
波の基本になる式
T: 周期 [s] f:振動数 [Hz] λ: 波長
v=λ/T v=fλ f=1/T
2
(問題) 電波の速さは v = 3.0 108 m/s である。
100 MHz (=1 108 Hz)の振動数の電波の波長を求めなさい。 縦波と横波
縦波 … 媒質の振動方向が波の進行方向と垂直 横波 … 媒質の振動方向が波の進行方向に平行
波の重ね合わせの原理
2つの波 (この場合の、わずかな長さ しかない波はパルス波と呼ぶ)
が出会う時、媒質の位置の変化は、 2 つの波による位置の変化を足した ものになる。
右の図の場合 2 つの波は何事もなかったか のようにすり抜ける事になる。
これは幾何光学の前提として、2つの光線は 互いに影響を与えることなく通り抜けるとし たことと一致する。
Wikimedia Commons より引用
3
波の反射
(1) 固定端反射
波は、端の部分で反射する。
端の部分が固定されている (動かない) 時、 固定された端点は、
媒質から力を受けるが、
壁から逆向きの力を受ける。 従って、反射波とは入射波と
上下左右反転させた形で同じ大きさを持つ。 (2) 自由端反射
端の部分では媒質は力を受けないので、
入射波がそのまま反射波として反射される。 アニメーション
琉球大前野さん作成のページ (他のページもおすすめ)
http://irobutsu.a.la9.jp/movingtext/HanshaTouka/index.html
(固定端反射の場合) Wikimedia Commonsより引用
4
周期的なパルス波が入射した時の固定端反射
壁
到達する入射波(実線と反射波)
壁 波長λ
λ/2
波長λ
λ/2
入射波と反射波が出会っている時 (赤色合成波)
反射波は、入射波と上下左右反転 した形をしている。
更に、入射波と反射波のそれぞれ 対応する点と壁との距離を足すと、 波長の整数倍になる。例えば、
(紫色の長さ)+(緑色の長さ)=(波長) 従って、壁から1/2 波長の整数倍 の距離の点では、
入射波の媒質の位置と、 反射波の媒質の位置は
大きさが同じで符号が逆。
従って、その位置では必ず合成波の 媒質の位置は元の位置になる (節)。
5
定常波 (定在波)
互いに反対向きで、波長と振幅が等しい波が重なり合う場合を考える。 この時、波形の進行しない波ができる。
この波を定常波 (定在波)と呼ぶ。 一番大きく振動する部分を腹、
一番振動しない部分を節 (図の赤点) と呼ぶ。
Wikibooks 高等学校理物理 I 波/波の性質より
Wikibooks 高等学校理物理 I 波/波の性質より Wikimedia Commons より引用 6
平面を伝わる波
平面の波の表し方… 同じ時刻に同じ状態 (山なら山、谷なら谷) の点を結んでできる面 (波面) を用いて表す。 波は波面に垂直に進む。
直進する直線波 円形のパルスの広がり方 ある瞬間の波面から次の瞬間の波面を
知る方法としてホイヘンスの原理が知られている。
Christiaan Huygens (1629-1695)
画像は Wikipedia より引用7
波長
波長
ホイヘンスの原理
ある瞬間の波面 (波の山) の各点が素元波とよばれる小さい波を発生させる 素元波は (点から出ているので) 球面状に広がる。
ある瞬間の波面の各点から出た素元波を重ねあわせた時、
素元波の波面の共通の接線 (このような共通の接線を包絡線と呼ぶ) が新しい波面になる。
例1. ホイヘンスの原理による波の直進
例2. 波の反射
B 反射面 A
C D
例2の説明
波の速さを v,
点 D が点 Bに達する時間を t と すると、BD = vt
この時AはC まで同じ速さで進む。 AC = vt AC = BD
また 角ACB = 角BDA = 90 △ACB △BDC
従って、緑色の角度が等しく、
角NAE (入射角)= 角NAC (反射角) N
E
例3. 波の屈折
境界面
空気
(屈折率 1) 速度 v1
波長λ
波長λ
ホイヘンスの原理によると、 空気から他の物質に入る時、 波の速度が遅くなると
(物質中で波長が短くなることによる。 振動数は入射波と屈折波で一致する)、 スネルの法則が示される。
(証明)
△ABC と△ABDに注目 波面の定義から
角ACB = 角ADB = 90 また、緑の角度同士、
ピンクの角度同士がそれぞれ等しい。 λ = BC = AB sin i
λ = AD = AB sin r 物質 (n=屈折率 > 1)
速度 vn (緑の角度)=入射角 i
(ピンクの角度)=屈折角 r
A B
C
D
従って、v1/vn=fλ/fλ
= AB sin i/(AB sin r) = sin i/sin r = n
9
琉球大前野さんのページ
http://irobutsu.a.la9.jp/movingtext/Kussetsu/index.html#page3 が参考になる。
波の干渉
複数の波の重ね合わせにより、新たな波ができること 例. 2つの点源からの波の干渉 (同位相)
簡単のため、二つの波源の振動数とそこから出る波の振幅、 波長が等しい場合を考える。
2つの波の面を同じタイミング (同位相) で揺らすことを考える
(一般には周期 T の整数倍ずれていて良い) この時、二つの波の山と山がぶつかる
所(青線)で合成波が強く振動する。 この線を 腹線 と呼ぶ。
また山と谷がぶつかる所 (赤点線) では 波として振動しない。
この線を 節線 と呼ぶ。
¦l1-l2¦/λ= 3/2 1 1/2 0 1/2 1 3/2 2 5/2 3
l
2l
110
同位相の場合の干渉の、
強め合う条件 (腹線) ¦l1-l2¦ = nλ
弱め合う条件 (節線) ¦l1-l2¦ = (n+1/2)λ (n は整数)
逆位相の場合 (右の波源が半周期だけ遅れて振動し始めた場合)
¦l1-l2¦/λ= 3/2 1 1/2 0 1/2 1 3/2 2 5/2
逆位相の場合の干渉の、
強め合う条件 (腹線) ¦l1-l2¦ = (n+1/2)λ 弱め合う条件 (節線) ¦l1-l2¦ = nλ
(n は整数) 双曲線: 二つの定点からの距離の差が
一定であるような点の集まり 節線や腹線は (直線のものを除いて) 双曲線である
青: 腹線、赤 (点線): 節線
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波の回折
媒質中を伝わる波に対し、 障害物が存在する時、
波が障害物の後ろに
回り込んで伝わる現象。
波動ならではの現象である。 波長が 間の長さと
(よくスリットと呼ばれる) 同程度以下の場合には、
回折の程度が非常に顕著になる。
画像はWikimedia Commons より引用
間の長さが波長の 4 倍の場合
画像はWikipedia ``Diffraction より引用
Francesco Maria Grimaldi (1618 -1663,
イタリア、ボローニャ大学)
12
原子から宇宙まで
第七回 (11/10)
1. 波 (3) ヤングの干渉実験 2. 光のスペクトル
3. ドップラー効果、赤方偏移 前回の復習
波の重ね合わせの原理
2つの波が出会う時、媒質の位置の変化は、
2つの波による位置の変化を足したものになる。
→ 波の反射 (固定端、自由端)、定常波 (定在波) ホイヘンスの原理
ある瞬間の波面の各点が小さい球面上の波 (素元波) を発生させる
波面の各点から出た素元波の波面の共通の接線が次の瞬間の新しい波面
→波動説による反射、屈折、回折 の説明
1
試験日 1/19 (木)
次回 (11/17) 1. 光の粒子説 2. 光の速さ
前回の復習 (2) (学生の質問から) 位相とは何なのか?
位相 (phase)は、周期的な現象において、周期中の位置を示す量で、 通常は対応する円運動の角度で表される。→ 波のタイミングを表す
円運動を一方向から眺めると、振動現象が起こっている。
画像は金沢工業大学 KIT 物理ナビゲーション「物理」(単振動)の項より
干渉など 2 つの波の重ね合わせが起こる時の、位相の差が特に重要 2 つの波の位相の差が 0 度 → 同位相
2 つの波の位相の差が 180 度 → 逆位相
2
前回の復習(3) 波の位相と干渉
同位相 逆位相
同位相で振動する2つの波源の干渉
二つの波の山と山が出会う所(青線) で波が強め合う。
この線を 腹線 と呼ぶ。
山と谷が出会う所 (赤点線) では振動しない。 この線を 節線 と呼ぶ。
強め合う条件 (腹線) ¦l1-l2¦ = nλ
弱め合う条件 (節線) ¦l1-l2¦ = (n+1/2)λ (λ(ラムダ)は英字の l に当たるギリシャ文字)
l
1l
2ヤングの干渉実験
(1801 年)Thomas Young (1773-1829、英)
英語版 Wikimedia ``material in Electronics/
Wave -Particle Duality/ The Two-slit Experiment より引用
画像はWikipedia より引用
上と下は同位相の波源
遠くにスクリーンを置き回折した光の干渉によって生じる明るい所 (合成波の山) と暗い所を(合成波の節)観測することによって、
光の干渉が確認できる (光の波動説の復活)
4
明線
明線
明線
暗線 暗線
明線 明線 暗線 暗線
光源
S0
S1
S2
紫線同士の長さは等しくする→S1と S2 からの波は同位相
OP=x, S1S2=d とし、角 PQO=θとする。 OQ=L は x,d と比べ非常に長いとする。
点 S1から線分 S2P に下した垂線の足を R とする。
この時 S1P と S2P はほぼ平行と考えると、角S2S1R=θである。 2 つの光の経路差
S2P-S1P S2R S2S1 sinθ= d sinθ= d OP/PQ d OP/OQ=d(x/L) 経路差が (波長の整数倍+半波長) に等しければ、波が弱め合う。
暗線が見える(光が弱め合う) 条件は d(x/L) = (n+1/2)λ (nは整数)
ヤングの実験 干渉条件
距離 L O
P Q
R
θ
x
5
光のスペクトル
ヤングの干渉実験で暗線が見える条件は、d(x/L) = (n+1/2)λ (nは整数) すなわち、x= (n+1/2)(L/d)λ
したがって、暗線どうしの間隔は、n が一つ増える時の x の増加量Δxになる。式で表すと、Δx=(L/d)λ
波長λについてついて解くと、λ=(d/L)Δx この式は、暗線(明線)どうしの間隔 Δx を測ると、 光の波長λが決まることを示している 。
上: 単色項による干渉縞 下: 白色光による干渉縞
画像は独ハノーバー大学
Prof. Dr. Dietrich Zawischa氏のサイト https://www.itp.uni-hannover.de/
zawischa/ITP/multibeam.html より引用
6
光のスペクトル(続き)
このようにして少なくとも可視光線の光の波長の 長さを測ることができる。
可視光線の波長は文献により細かい値が異なるが、 360 400 nm - 760 830 nm 1 nm=10-9 m 多くの色の光が集まっている白色光に対しては、 光の色によって明線のできる感覚が違うので、 光の干渉縞が色づいて見える
(赤い明線のみが見えるところでは、赤く見える)。 このように光の色(波長)で分けることを
分光とよぶ。
分散は特に光の波長による屈折率の違いで 光の色が分かれることをいう。
(以前紹介したプリズムも分光器の一つである。)
画像は Wikipedia ``Electromagnetic Spectrum より引用、
Photo by Victor Blacos, (1st October, 2012), CC-BY-SA 3.0ライセンス より改変
周波数 波長
7
目に見えない光の発見
赤外線 ウィリアム・ハーシェルによる発見 (1800年)
Sir Frederick William Herschel (英、1738-1822)
天王星の発見で有名
画像 は Wikipedia より引用
太陽光
赤外線
可視光
温度上昇 大
小
ハーシェルは太陽光をプリズムで分光し、それに温度計をかざして 温度上昇を測定した。色によって上昇幅に違いがあること、
虹の外の領域にも温度上昇を引き起こす光線が到達していることを発見した。
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