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e-Japan 戦略Ⅱと医療

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 座長 ただいまから病院医療の質を考えるセミ ナー,「e-Japan戦略Ⅱと医療」を始めます。私は この日本病院会の病院幹部医会の取りまとめをし ております昭和大学の有賀と申します。本日の会 は,今までの電子カルテやクリニカルパスといっ た病院の電子媒体化に関するさまざまな問題の,

ある意味で究極的なテーマということで,このよ うなメインテーマで行います。

 参会の方たちは,いつもですとほとんどが病院 の医師,看護師,その他のコメディカル,それか らカルテの診療録管理士といった人たちが多いの ですが,本日は少し趣が違い,コンピュータ関係 業界の方もお見えのようですので,当「病院医療 の質を考えるセミナー」で中核的に活動している 日本病院会の病院幹部医会について紹介します。

 会そのものは数十年以上前に組織されています。

医長,部長,副院長クラスの幹部医たちはどちら かというと自分の専門領域に関しては一所懸命勉 強します。しかし,地域医療についてなど社会的 な,または専門領域以外のことについて目を向け ることが少ないのではないかという,当時の日本 病院会の議論があったため,少し専門領域以外の ことも勉強しながら病院医療の質を改善しようと いうことで,この病院幹部医会が組織され,今日 に至っております。

 活動としては,大体この時期はホスピタルショ ウなどがあるので,メインとして今回のようなシ

ンポジウムを主催します。それ以外は2月ないし 3月に先進的な活動をしている病院を見学しなが ら,その病院でシンポジウムをしています。本日 は半日コースですが,後者であれば1泊2日とか,

朝から晩までということもあり,そこでのいろい ろなテーマを皆で論じながら勉強するといったこ とをしております。

 それでは基調講演,「e-Japan戦略Ⅱと医療」を 國領先生にお願いします。國領先生のご略歴はレ ジュメのとおりです。1982年に東京大学経済学 部を卒業され,日本電信電話公社にお入りになっ たあと,1986年からハーバードビジネススクール にご入学なさって,1988年にハーバードビジネス スクールの研究員になり,1989年に博士課程に進 まれました。1992年にはハーバード大学の経営 学博士号を取得後,日本電信電話株式会社企業通 信システム本部勤務,1993年からは慶應義塾大学 大学院経営管理研究科勤務,2000年度に助教授に 就任され,2003年度から現在の環境情報学部教授 をなさっておられます。では國領先生よろしくお 願いします。

 國領 慶應義塾大学の國領でございます。本日,

大変光栄にもお招きいただいた理由は,おそらく 私が,今日の話題となっている「e-Japan戦略Ⅱ」

という,そろそろ少し古くなってきた部分もあり ますが,ちょうど1年前発表された戦略の起草委 員会があり,そこで4つあるワーキンググループ の医療部分の主査をさせていただいたからだと思 います。本日は,わが国のIT戦略のなかで医療

がどのように位置づけられているのかについてお 話しさせていただきます。

 ただし,私は医療の専門家ではありませんので,

多々ご指摘いただき,直していかなければいけな いことがあると思います。ぜひ,いろいろ勉強さ せていただければと思っておりますので,よろし くお願いいたします。

e-Japan戦略Ⅱの誕生とその背景        本日の話は私見で,e-Japan戦略本部の公式の 話ではなく,内部で作業をしていた一員として,

どんな趣旨だったかということについてお話しさ せていただきます。

 話がどちらかというと医療よりITのほうから 入ってしまって恐縮ですが,逆に言うと,ITのほ うから医療に対して熱い思いがあり,そういう意 味でITのほうから入らせていただきます。関係 者のなかでは,日本のITに対して,21世紀に入る 頃,2000年前後に,強い危機感がありました。特 にインターネットというところで考えると,この ままでいくと,世界のなかで本当に落後してしま うのではないか。例えばインターネットの普及率 とか,コンピュータの活用の度合いとかいろいろ な指標があるわけですが,いわゆるOECDの各国 のなかでも最低水準であるばかりでなく,アジア のなかでも,当時韓国がものすごい勢 い で 途 上 を進めていた時期で,それに対しても

すでに負けてしまっている。韓国だ けではなく,ほかのアジアの国に対し てもひょっとすると見劣りしている のではないかという,強い危機感があ りました。

 そこで,今日の話題はe-Japan戦略 のⅡですが,2001年の1月にe-Japan 戦略のⅠが発表されています。そのと きに打ち出されたのが,日本の3,000 万世帯にブロードバンドの接続を安 い金額で提供しようという計画でし た。い ち ば ん の 成 果 は,今 例 え ば ADSLとか,FTTHという言葉をこう

いう会で言っても,大体すぐに分かっていただけ るほど身近になったことかもしれません。例えば ADSLでいつでもブロードバンドで接続できる,

しかも数千円で使い放題の状態をつくる。これは 2000年の段階では,各小学校に特別料金で,ブ ロードバンドといっても128キロビットの回線を つなごうということを大真面目に言っていたので すが,今では特別な予算など組む必要もなく,ブ ロードバンドが当たり前の状態になってきている わけです(スライド1)。

 通信業界ががんばってくださったおかげで,い ろいろなところで利用できるようになりました。

例えば2000年の状態では,大きな病院には50万と か60万とかという専用回線を引いて,そこで公開 テストするということがあり得たかもしれないけ れども,町の診療所ではとても無理で,よほど大 きな病院でないと無理だという状況だったのが,

今では大幅に改善しました。今ではセキュリティ などの話が中心になっているわけです。ここでも 現実味が出てきていて,医療用のセキュリティレ ベルの高いネットワークを引いても採算的に大丈 夫ではないかと思われるところまできました。

 ただ,手放しで楽観論を言うと怒られてしまう というものが2つあります。1つは地域格差で,

いわゆるデジタルデバイドという問題です。この 3年間くらいで格差は大きくなりました。私は最

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スライド1

近,地域の業務化というのをテーマとしており,

いろいろな地方を訪問するたびに課題となってく るのが,山間,特に過疎地などで無医村のような 所です。そういう所こそ本当はブロードバンドが 欲しい。そこと少し大きい町の医療機関との連携 といったところが本当はいちばん欲しいのですが,

残念ながら,ある種の市場原理を入れることによ って,対応が遅れ気味となっています。市場原理 のマイナス作用が片側の事実としてあり,デジタ ルデバイドがかえって広がってしまっている。こ れはきちんと対処しなければいけない課題だと感 じております。

 もう1つは通信業界側の話です。今までは通信 はNTTがやっていたのが,競争原理を入れるこ とで低価格で使いやすいサービスが急に広がった。

それはいいが財政的にちょっと苦しくなっていま す。そこをそろそろ考えないと,デジタルデバイ ドが広がってしまうのではないかという状況です。

 このような課題がまだまだあるということが片 側の事実なのですが,もう一方で,ネットワーク のほうは,今まででは考えられなかったようなか なり自由なものとなっており,これからはワイヤ レスのブロードバンド化,高速化というのが出て きます。例えば,出先で病院のデータベースを呼 び出すというようなことも,すでに技術的には可 能ですが,コスト的にも無理なくできるような状 態が近づいているということです。

 問題がありながらもうまく進み始めたかと思っ ていたのは,2002年の前半くらいだったと思いま す。そこで逆に浮かび上がってきた課題が,「ブ ロードバンド化して安くていいのだけれども,き ちんとこれを活用して,国民1人ひとりが恩恵を 感じられるだろうか」ということです。私など学 者をやっていますと,インターネットのお蔭で 日々の仕事がすごく楽になり恩恵を感じているわ けですが,それは一部の人間で,地方に住んでい る高齢の方々などがその恩恵を感じているだろう か。国民全体にとって,どういうことなのか分か らない,ちょっと面白いオモチャが増えただけと いうように受け取られているのではないかという

のが,問題意識としてあります。

 それから,これは医療だけがすべてではありま せんが,元々の志としてあった,さまざまな分野 においてより高度なサービスをより効率的に提供 する道具として情報技術を活用していただきたい,

というところが実現の方向へ向かっているかとい うと,ネットワークの価格が下がる勢いに比べる とまだまだ進んでいないのではないか,というの が2002年の前半くらいの問題意識でした。

 そこで,私のような,ずっとネットワークの活 用方法を研究していた者が呼び出され,「どうい うプランをつくればいいか考えなさい」という宿 題をいただき,2002年の11月頃から今頃(2003年 7月)までいろいろ作業を進めさせていただきま した。そして,一部書かせていただいたのが,e-Japan戦略Ⅱということになります。

e-Japan戦略Ⅱで目指している社会       ITという道具を活用して,何をやりたいのか,

医療だと。ここが大事なのですが,より良い医療 を提供する道具として使うということなのです。

ではいったいより良い医療とは何かという,これ は専門家のたくさんいるところでおそれ多い話で すが,そのイメージを持ちながらでないとシステ ムをきちんとつくれない。したがって,全体とし てとにかくコンセプトを決めようという話になり,

e-Japan戦略Ⅱのなかで掲げられているのがスラ イド2の「元気,安心,感動,便利」という4つ のコンセプトです。

 「元気」というのがいわゆる構造改革路線で,同 じことをやるにしてもより効率的にやることで経 営体質を改善しよう,赤字体質のところを黒字化 できるようにしようと。日本全体として景気がや や良くなり,だいぶ楽になってきましたけれども,

医療はまだかなり利益が圧迫されている状態とい うことが,統計を見ると明らかです。日本の経営 体の利益率は世界でもとても低い。やはりこの辺 を効率化していくことで,利益が出せる体質を,

ということです。これは利益を追求する組織であ ろうとも,非営利のところでも,利潤最大化が目

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