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を通じて地域社会に貢献する,地域から必要とさ れる病院を目指すということです。

 (スライド6)この理念に基づいて我々がどう いう方向に医療を持っていかなければならないか を見直してみると,当然なことですが安全な医療 を地域に提供する,さらに高機能であるというこ と,もう1つは高質な医療を提供するということ が重要ではないかと思います。ただそれらを簡単 にできるご時世ではないことは皆さん十分ご存じ だと思います。褥瘡であったり,感染であったり,

最近はコストダウンという部分が非常に強く叫ば れていますし,在院日数短縮はとどまる所を知り ません。また,患者さんのニーズや医療過誤とい った部分があります。これらを踏まえて病院がど ういう状況にあるのかを,顧客の視点で,常に客 観的に定量化し評価していくことが病院の質を高 めることにつながると思います。

 (スライド7)我々の病院では情報化の目的を 明確にしています。木村通男先生からお話があっ たように(2月号100ページ参照),IT化すること が目的と思われがちですが,そうでもないという ことです。情報化は病院の理念を実現するための 1つの手段でしかない。情報システムというもの は道具でしかないということをしっかりと考えな がら,それらを通じて病院の存在価値を高めるこ とだと思います。

 もう1つ情報化の意義という部分は,1960年代 くらいからコンピュータがいろいろなところで導

入されていますが,当時から情報化は人の手作業 を機械化することが目的ではなく,業務を変える ことが目的だといわれていました。ところが最近 はそうではなく,今の医療界のITバブルを見れば,

業務を変えるといったところに焦点が当たってい ないのではないか,そこが我々が危惧するところ です。

 我々の考えは情報化を機会に業務改革をしよう ということです。当然そのなかに,標準化やEBM ベースの医療をやることが非常に重要なキーワー ドになってきます。情報化するにあたって,職員 には医療と病院の組織というのをもう1回見つめ 直そうという話をよくします。

当院が目指してきた情報システム        (スライド8)ではどういうシステムを目指す のか。我々は済生会ですから資金が潤沢で,しか も補助金をもらえると思われていますが,そうい うことは全くありません。最先端を目指すとか先 進的なものとか実験的なというところも全くあり ません。

 当然,便利にするためのツール,情報化という 意味も全くなく,省力化もありません。スライド 8に補助金便乗ということを書いていますが,

我々も補助金の話をいただき検討したのですが,

できないという結論に達しました。なぜならば,

1億から2億弱の金額で,1年から短くて半年の 間にシステムを開発し軌道に乗せることが可能か

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というと,我々の職員では絶対にできません。現 場が強いポリシーを持っているので,それらを変 えるというのは並大抵のことではありません。そ ういった意味で,済生会熊本病院にこれらは本当 に必要なのかというところです。

 現状でもある程度の経営的な指標が出ていて,

情報化する意義は経営の部分には相当あると思い ます。そういう部分があるので,多少精度は粗い のですが,これからシステム化することでより精 緻なデータが出せるのではないかと思っています。

 次に,医療の分析はどうなのかについて見てみ ましょう。我々がやりたいものをいくつか挙げて います。例えば,過去10年間の各診療科での上位 10疾患の死亡率はどうなのか。これも簡単には出 せません。原発性腫瘍で手術症例の臓器別の5年 生存率と1年生存率はどうのなのか。死亡率を出 すことは簡単ですが,生存率は追跡調査が必要に なってきますから体制をどうするのかという部分 が当然出てきますし,例えば手術の麻酔分類別の 術後24時間の死亡も,麻酔分類をきちんと取って いるのかといわれると非常に怪しいです。冠動脈 疾患に対してインターべンションをやった症例と 外科的な手術をやった症例で5年間のトータルコ ストはどれだけ違うのかとか,またその成績はと いったものも非常に難しいです。ところが現場は これを求めるわけです。急性心筋梗塞の治療過程 におけるバリアンス,クリニカルパスでいう逸脱,

予定する治療から外れていったものの 上位5つは何なのか。またはそのプロ セスを見直したとした場合にそれぞれ A群とB群に分けて成績を見たときに,

コスト比較がどうなっているのかとい うのも非常に難しい話です。現状もで きないし,将来的に数値をどう出して いくのかを考えると,分析可能なシス テムにするためにはデータをコード化,

データベース化していくことが重要で はないか。そうしたシステムを目指し たいと考えています。

 (スライド9)どういうことでデー タが出せるのか,先ほどから何回も出ていますけ れどもクリニカルインディケーターです。アメリ カのJCAHOでは20年くらい前からやっていると 聞きます。診療現場の先生方,コメディカルを含 めた臨床研究の分析もサポートしていかなければ 現場のモチべーションは上がらないのではないか と考えています。

 パスのバリアンス分析をやることで治療プロセ スをどう改善していくのかという工程も1つ見え てくるのではないかと思います。それから感染の 分析,術瘡別だったりデバイス別だったりいろい ろなものがあります。それから栄養管理,NST の部分も出てきますし,診療行為ごと,術式ごと の疾患別の原価計算も当然可能になってくるので はないかと思っています。すでにやっている部分 もありますが,まだまだできていないというのが

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現状です。

当院の情報化,システム化の方法        (スライド1)情報化の方法ですが,我々は情報 化する前にやるべきことがあるだろうと普段から 言っています。例えば,カルテ・いろいろな記 録・行為などの標準化をきちんとやって組織体制 をつくろうではないかと,副院長ともいろいろ日 常的に話をしています。組織がいいかげんだと,

どんなに良いツールを使ってもきちんとした成果 は出てきません。特に我々には民間病院として地 域の医療を担うという大きな役割があり,きちん とした体制をつくることは非常に重要です。

 それからパスをやっていますので,あとでアウ トカム・マネジメントという話をしますが,この アウトカム・マネジメントを受け入れる文化をき ちんと調整していくことも非常に重要です。それ からデータが取れるようにはなったけれども,そ れから先が全くPDCAサイクルに乗っていかな いことが非常に問題になってくるので,質をコン トロールする,あるいはマネジメントする組織体 制はどうするのか,どういうふうに教育していく のか。これは担当だけではなく,診療現場のスタ ッフも同じように教育していく必要があると思い ます。

 もう1つ重要なのは,我々の病院がトップダウ ンではなかなか進まないという話をしましたけれ ども,情報化に対する意識は非常に高いです。た だ実際問題としていろいろな不都合が生じてきま

す。それらの問題と理想をどうやってすり合わせ 現場がやはりそれでも欲しいというシステム体制 をつくっていくのかという,ニーズの情勢も非常 に重要です。

 我々は開発にあたって,どういうふうに開発し ていこうかといろいろなものを参考に見てきまし た。病院見学させていただいた施設が何施設かあ ると思います。そういったものをそっくり持って くるのではなく,ソフトやメーカーと共同で独自 の開発を段階的に行い,導入していくという方針 を立てております。

 (スライド1)段階的というのが非常に難しく,

市販の電子カルテを買ったほうが安くて早いので はないかという話をよく聞きます。確かにそのと おりです。ところが受け入れる文化がない。いろ いろ検討し,非常にコストがかかるというのはこ れまでお話があったとおりだと思います。導入費,

維持費,最近はPC,サーバーを廃棄するときも 非常にお金がかかります。そういった部分をどう していくかという問題。導入して5年間は少なく ともお金を払い続けることになることの覚悟はあ るのか。電子カルテを入れて直接的に患者数が増 えるかどうかは想定していません。ですから直接 的な収益を生まないのでどうするのかという部分 です。

 それから木村先生のお話でもありましたけれど も,ペーパーレスというのは非常に難しいですし,

レスポンスが悪いという話もよく聞いています。

ついでに言えば,紙のカルテをそのまま電子カル

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