非常に資料が乏しく、24cm代のEタイプが1点のみがあげられる。瓦質鍋でも26cm代のもの があることから、27〜24cmの範囲を想定しておきたい。
以上の様相から、法量面では表1のように1〜6群に分類できる。
ただ、この中で、1群は大形で深いタイプとして明瞭に分離できるが、その他の2〜5群に 関しては、それぞれの境界はやや曖昧な状態を示す。また、5・6群は分離を考えているが、
いずれにしても数的に補強される必要があろう。
2.タイプ設定
①〜③の基準に沿って設定した次の6タイプの特徴を説明しよう(図92・表2)。
Aa:直線的な長胴形で緩やかな丸底を呈し、口縁部は斜め上方に広がる。器壁は厚手で10〜
9㎜を測り、特に口縁部は13〜12㎜に達しシャープさを欠く。底部も厚い傾向を示す。
al調整で、外面などのハケメは非常に粗い。法量は1群に属する。
Ab:Aaタイプと同様の長胴形で緩やかな丸底を呈し、口縁部は斜め上方に広がる。器壁は 7〜5㎜の厚さでAaタイプよりは薄いが、やはり口縁部と底部が厚くなる。 b調整 で、法量は5群と6群に属する。
B :胴部は長く丸い膨らみをもち、底部はボール状を呈す。口縁部は斜め上方に広がるが、
端部は比較的シャープで面をもつものが多い。器壁の厚さは胴部で7〜6mm、口縁部で は8mm程度を測る。 Aタイプと同じく口縁部と底部が若干厚い傾向を示す。 a 2調整の みで、法量は1群に属する。
C :胴部は短く丸みを有し、底部はボール状を呈する。器高が低い形態である。口縁部は大 きく外反するものを含む。端部は面を有しシャープなものが多いが、丸くおさめるもの も認められ、バラエティー豊かである。器壁は5〜4mmと非常に薄く、特に底部にその 傾向が強い。また、三足がつくのはこのタイプである。a2調整で、法量は2・3・
4・5の各群が認められる。
群 口 径 器 高
1
45〜38cm 28〜29cm2
40〜38cm 19〜12cm3
38〜32cm 〃4
32〜29cm 〃5
29〜24cm 〃6 21〜20CIn
〃D
E
全体像は不明瞭であるが、底部は平底に近く、すり鉢状に大きく広がる胴部、そして、
口縁部は強い横ナデによって丸く膨らみ気味におさめられ、斜め上方に立ち上がる形態 が想定される。全体的にb調整であるが、底部にはハケメが認められる。器壁は6〜7 mmとやや厚く、口縁部は9mm程度である。法量は3群が確認される。
瓦質鍋の形態をなす。口縁部が受けロタイプや鍔のつくタイプがあるが、瓦質鍋の生焼 けの可能性もある。a・b調整の可能性をもつ。法量は5群に認められる。
A
8
C
D
E
a1(片面ハケメ)
la2(両面ハケメ)1
鍾 〈Aaタイプ〉
/〈Bタイプ〉 1次調査井戸32
謙ブ
〈Cタイプ> 6次調査溝11
〈Eタイプ〉 6次調査溝14
b(ナデ・オサエ)
ヲ
1次調査井戸21 2次調査溝8 〈Abタイプ〉
『「ニププ
三ノ6次調査溝14
〈Dタイプ〉
1次調査井戸32 〈Eタイプ〉
図92 土師質鍋形態分類
表2 タイプ別属性表
体 部 底 部
調 整 法 量 タイプ
c点Y値特 徴
d点Y値特 徴 器壁の厚さ(㎜)
Aa
1.1長胴・直線的
1.7緩い丸底 9〜10㎜1(口12〜13mm) a1(片面ハケ)
1Ab
0.9長胴・ 〃
1.5緩い丸底
7〜5㎜b(ナデ)
5・6B 0.8〜0.7
長胴・膨らみ
1.4ボール状 6〜7㎜(口8㎜) a2(両面ハケ)
1 C 0.6〜0.5短胴・丸み 1.2〜1 ボール状 4〜5㎜(底3〜4㎜) a2(両面ハケ)
2〜5D
一 直線的 一 平底 6〜7㎜(口9㎜) b(ナデ)
3E
一 直線的 一 一
6〜7㎜ a・b 5(3)編年と各タイプの関係 1.出土状況と編年案
〈出土状況〉 時期を追って各タイプの出土状況を確認しよう(図93)。
【1−1期】鹿田遺跡第5次調査土墳15では、50%程度の残存率を示すAaタイプと小片のB タイプ1点が含まれる。重量で比較するとAaタイプは1100gで95%、 Bタイプは60gで5%
程度である。
【1−2期】1次調査井戸21を取り上げると、出土した鍋の総重量は4900gのうちAタイプは 3800gで77.6%、 Bタイプは1100gで22.4%を占める。 Aタイプ内の細分に関しては、不明瞭 なもの(Aタイプの約30%)を除いた量の60%前後がAaタイプ、40%前後がAbタイプとい
う割合である。Aタイプが主体で、その中でもAaタイプが多い状態が伺える。
【1−3期】2次調査溝8では鍋の総重量1440gのうちBタイプが1120 gで約78%を占め、
320gを量るAbタイプは約22%程度であった。 Aaタイプ認められない。明らかにBタイプ
が主体である。
【1期】1次調査溝70では鍋の総重量は9918gに及ぶが、ほとんどCタイプのみである。ま た、少量の三足部分の破片が認められ、この段階に三足鍋が出現することがわかる。
【皿一1期】1次調査井戸29や6次調査溝15が良好な資料である。前者では約4700g、後者で は14100gの土師質鍋が出土しているが、いずれもCタイプのみである。ただし、器高はH期よ
りも低下している(図89一④)。また、三足付鍋の増加が特徴である。
【皿一2期】6次調査溝13や井戸1があげられる。前者では鍋の総重量は約8500gにのぼる が、重量比に表れないほど少量のEタイプが含まれる程度で、皿一1期と同じCタイプでほと んどが占められる。また、後者では総重量4800gの内約3900gの81%がCタイプの土師質鍋 で、瓦質鍋が900g、19%を占めてい
0% 50% 100%
る。土師質以外の鍋の出現が目をひ
5次調査土墳15 1−1期
1次調査井戸21 1−2期
(4.9kg)【皿一3期】6次調査溝14では、鍋の 2次調査溝8
引続いての新たな動きを見ることがで
6次調査溝14 111−3期
(9.42kg)
吻Aタイプ目Bタイプ㎜Cタイプ
きる。
【IV期】土師質鍋の出土数は少なく詳 閲Dタイプ圏瓦質鍋
細は不明瞭であるが、煮炊具全体では 図93 時期別のタイプ間占有率
瓦質の鍋や羽釜といった器種の出土数が増加する。また、僅かにEタイプも見られる。
〈編年〉こうした状況から、1期に限定的に出現するA・Bタイプを古く、その次にH〜皿期 の主体となるCタイプ、そして皿一3期〜W期に出現するD・Eタイプを最も新しいタイプと 位置づけることとができる。その変化の軸になっている要素は器高の低下であり、さらに中心 的鍋であるCタイプでは胴部の短小化と球形化であることも指摘しておこう。
また、A・Bタイプの関係を詳しくみると、占有率の中心時期がAタイプでは1−1〜2 期、Bタイプでは1−3期であり、 Aタイプにより古い要素を認めることができる。しかし、
量的差はあっても、最古段階から両者は併存しており、成立に係わる問題を考えさせられる。
2.各タイプの関係
〈A・Bタイプと平安時代の甕〉
前述したA・Bタイプの関係は、出土数が少ないため占有率だけでは確実性に乏しい点は否 めない。ここで平安時代以前の甕との比較によって、新旧要素の状態を調べたい。
胴部の状態からみていこう。平安期の長胴甕のc点はY値1.5を示す。胴部ラインはX値1 ライン上を直線的に走り、緩やかな丸底の底部に至る。d点はY値2.2である。この形態はAタ イプの胴部を少し長くのばした状態と言える(図89一②)。調整はa1タイプで、器壁も厚く、
Aaタイプとの類似性が高い。またAbタイプにはb調整であることや口縁端部に残る段やお さめ方などに、伝統的な甕(図94甕2)との共通性を見ることができる。このようにAタイ
裏 震 悉
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平 安 時 竺 9
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1