第 8 章 仮想計算機 167
8.3 VMware (Windows/Linux)
COINSのWindows/Linuxマシンでは,MacのParallelsと同じ仮想計算機の一つであ る,VMwareが利用できます.VMwareにも,Parallelsとほぼ同じ手順でゲストOSをイ ンストールすることができます.Parallels Toolsの代わりにVMware Toolsをインストー ルすれば,ゲストとホストでのマウスカーソルのシームレスな移動や,共有フォルダによ るファイルのやりとりが可能になります.
Windows版とLinux版では,使い方はほぼ同じです.ここでは,Windows版について,
Parallelsとの差分を中心にポイントを解説していきます.
8.3.1 VMwareの起動
VMwareは,スタートメニューから「VMware」→「VMware Workstation」を選択す る事で起動します.起動すると,図8.13のような画面が表示されます4.
8.3.2 ゲストマシンの準備
ゲストマシンを作成するには,メニューから「ファイル」→「新規」→「仮想マシン」
を選択します.図8.14のようなウィザードが開始されるので,Parallelsと同じ要領で設
4Linux版のVMwareについて,まれに起動できなくなる場合があります.そのような時は,技術職員に
相談して下さい.
図8.13: VMwareの初期画面 定を行います.ポイントは次のとおりです.
• 割り当てるCPUは1つ.
• メモリは1024MB程度.ウィザードの推奨値に従うと良い.
• ハードディスクのサイズはquotaと相談.使用量に応じてサイズが増える形式にす ると,自分のディスク領域を有効に使える.
• ネットワークアダプタの種類は,「NAT」にする.
8.3.3 ゲストマシンの起動と終了
作成したゲストマシンを起動するには,起動したいゲストを開いた後,「コマンド」と 書かれた囲みの中の「この仮想マシンをパワーオン」をクリックします5.終了する場合 は,各ゲストOSの通常通りの終了手順をとれば,ゲストマシンも自動的に終了します.
ゲストがWindowsなら,「スタート」→「シャットダウン」です.
5このとき,VMwareのシリアル番号を求められることがあります.
その場合は,http://www.coins.tsukuba.ac.jp/ce/を見てください.
図8.14: 新規仮想マシンウィザード 8.3.4 VMware Toolsのインストール
Parallels Toolsに相当するソフトウェアとして,VMwareにはVMware Toolsがあり ます.これをインストールすることで,ゲストホスト間のマウスやクリップボードの同期 などが可能になります.
Windowsゲストへのインストール方法
Windowsへのインストールは簡単です.ゲストOSが起動した後,VMwareのメニュー
から「VM」→「VMware Toolsインストール」を選択すれば,ゲストOS上でインストー ラが自動的に起動し,インストールしてくれます.
Linuxゲストへのインストール方法
Linuxへのインストールの場合,ゲストを起動してVMwareのメニューから「VM」→
「VMware Toolsインストール」を選択した後,ゲストOS上で次のような作業をする必要
があります.
まず,端末を起動します.そして次のようなコマンド6を実行します.
6CDのマウントされる位置が/cdromでない場合があります.適宜変更してください.
VMware Toolsのインストール
¶ ³
$ tar xvzf /cdrom/VMwareTools-*.tar.gz
$ cd vmware-tools-distrib
$ sudo ./vmware-install.pl
µ ´
実行すると,図8.15のように,いくつかの質問が表示されます.基本的にはデフォルト の設定で問題ないので,何も入力せずに¤£return¡¢を押して答えていきます.
図8.15: VMware Toolsのインストール
8.3.5 困ったときは
• マウスカーソルがゲストOSに盗られて,画面の外に出てこない→¤£Ctrl¡¢+¤£Alt¡¢
• フルスクリーンモードから戻れなくなった→¤£Ctrl¡¢+¤£Alt¡¢+¤£Enter¡¢
8.3.6 上級者向け:VMwareを利用したゲストOSのデバッグ
情報科学類の学生の中には,Operating Systemについて興味をもつ人もいるでしょう.
VMwareを利用すると,ゲストとして動作しているOSそのもの7にデバッガを接続して
7つまりカーネル
デバッグができるようになります.大変に便利な機能ですので,ここではLinuxマシン上 でゲストのLinuxカーネルをデバッグする場合を例に,その方法を簡単に紹介します.
vmlinuxの準備
まず最初に,デバッグシンボルが含まれたLinuxカーネルの実行ファイルを準備する必 要があります.ディストリビューションに付属のカーネルを利用している場合は,適宜用 意しておいてください.自分でカーネルをコンパイルする場合は,コンパイルオプション
として,¶ ³
Kernel hacking -> Compile the kernel with debug info
µ ´
の項目を有効にします.コンパイルしたあと,カーネルのソースディレクトリ直下にあ
るvmlinuxが目的のファイルです.vmlinuxが出来上がったら,ホストマシン上の適当な
ディレクトリにコピーしておきます.
VMwareの設定
つぎに,VMwareの設定を変更します.まずデバッグを行いたいゲストマシンが保存さ
れたディレクトリを開きます.そして”ゲストマシン名.vmx”というファイルを開いて,次 の一行を追記します.
¶ ³
debugStub.listen.guest32 = "TRUE"
µ ´
これで,次にゲストマシンを起動した時から,デバッガからの接続を受け入れるように なります.起動後にnetstatなどで,8832番のポートが開かれていることを確認します.
デバッガでの接続
それでは実際にゲストマシンへのアタッチを行います.
gdbでのアタッチ
¶ ³
$ gdb
(gdb) file /path/to/your/vmlinux (gdb) target remote localhost:8832
µ ´
成功するとゲストOSの実行が停止し,アタッチが完了します.適当にブレークポイン トなどを仕掛けてcontinueしてみましょう.デバッグの仕方は,通常のプログラムに対し て行うのとほぼ同じです.