第 5 章 Windows および Linux の使い方 93
5.3 Windows の使い方
5.3.3 ファイルの操作
図5.8: スタートメニュー
図5.9: Windowsエクスプローラの画面 WindowsとMacの相違点
Windows上でファイルを扱う際にMacといくつか相違点があるため,注意する必要が
あります.
(1) ルートディレクトリの違い
Macではルートディレクトリは「/」で表される, すべてのファイルシステムが属 する木構造の「根」にあたる部分でした.一方Windowsでは, ファイルが物理的 に存在する場所(ハードディスクのパーティションなど)ごとにそれぞれ分けられた ルートディレクトリが存在します.そしてそれぞれルートディレクトリの下に,そ れぞれのファイルシステムの木構造が構築されます.
Windowsではこれらのルートディレクトリにあたるハードディスクドライブや
CD-ROMドライブを識別するため,一文字のアルファベットをつけています.たとえ
ば,COINSのWindowsマシン ではハードディスクドライブとしてCドライブ文
字が割り当てられています. これらは[スタートメニュー]内の[コンピュータ]を開 くと一覧が表示されます.
(2) 絶対パス指定方法の違い
(1)でも述べたようにWindowsにおけるルートディレクトリは「/」ではありませ ん. このため絶対パス指定方法もMacとは異なります. たとえばMacでは自分の
ホームディレクトリの下にあるtestディレクトリは絶対パスで以下のように表すこ とができます.
¶ ³
/home01/ugrad/99/s9912345/test
µ ´
これに対しWindowsでは以下のように表します.
¶ ³
H:¥test
µ ´
まず(1)にもあるようにルートディレクトリはHドライブとなります. またディレ クトリ(フォルダ)の区切り文字はスラッシュ「/」ではなく円記号「¥」が用いられ ます.これは実際にはバックスラッシュ文字ですが日本語環境では円記号を伝統的 に用いることが多いです.また特に最初のドライブ文字のあとには「:」が続くこと に注意してください3.Windowsは基本的にマウス操作が中心なので絶対パスにつ いて意識することはありませんが,コマンド入力を行ってファイルを操作する場合 などに使うことになります.
(3) 拡張子によってファイルの種類が決定される
Macにもファイルの種類を示す拡張子をつけることが多いですが,Windowsの場合 は拡張子によってそのファイルを開くためにデフォルト使用するアプリケーション が決定されます.たとえば拡張子が「.docx」であればMicrosoft Wordが起動する,
といった対応が管理されています4. (4) 実行ファイルはEXEファイルである
Macではプログラムファイルには実行パーミッションを与えて実行可能なファイル であることを明示的に指定する必要があります. 一方,Windowsでは実行可能ファ イル(プログラムファイル)を拡張子が.EXEであるファイルとしています. 拡張子 が”.EXE”のファイルはMacにおけるa.out形式のファイルのようなものです5. (5)大文字と小文字を区別しない
Windowsでは,ファイルやフォルダを取り扱う際に,ファイル名・フォルダ名の英字の
大文字小文字を区別しません. たとえばEthernetというファイル名とETHERNET というファイル名は同一のものとして扱われ,両方のファイルを同じディレクトリ におくことはできません6.
3正確には「H:」のあとに「¥」というパスが続く表記であり,これによりHドライブをルートとしたと きの絶対パスを表します.
4デフォルトで使用するものとは異なるアプリケーションで開きたい場合は, そのアプリケーションのア イコンにファイルをドロップするなど, 明示的に開くアプリケーションを指定する必要があります.
5ほかにも.COM, .BAT, .CMDファイルなども実行可能ファイルなのでダブルクリックすると起動しま
す.
6上書き扱いとなってしまうため注意が必要です.
ファイルの移動, コピー
ファイルをコピーするには,いくつかの方法があります.まず,コピーしたいファイル を右クリックして「コピー」をクリックし,コピー先のフォルダ上を右クリックして「貼 り付け」を押すと,そのファイルがコピーされます.同様にフォルダをコピーして貼り付 けすると,フォルダ内のファイル全体が木構造を保ったままコピーされます.
この方法は少し手間がかかるので,もっと簡単な方法を紹介します.コピーしたいフォ ルダやファイルをドラッグし,¤£Ctrl¡¢を押しながらコピー先にドロップするだけでコピーが 可能です.同様に¤£Shift¡¢を押しながらドロップすると,コピーではなく移動となります.
ファイルやフォルダを左ボタンではなく右ボタンでドラッグアンドドロップすると,ド ロップした地点にメニューが表示されます.ここでコピー,移動,ショートカットの作成 を選択することもできます(図5.10).
図5.10: 右ドラッグ時のメニュー
ショートカットの作成
Windowsでは,フォルダの深い位置にあるファイルなどを簡単に呼び出すことができ
る機能としてショートカットというものがあります.ショートカットをダブルクリックす ると,そのショートカットの参照先のファイル (ターゲットファイル) をダブルクリック したのと同等の効果が起こります (図5.11).
Macシステムでも同等のものとしてシンボリックリンクがありますが,Windowsショー トカットの場合は実体は拡張子が”.LNK”というファイルになっています (拡張子は通常 表示されません).Windowsでも,ショートカットのターゲットとしてファイルだけでは なくフォルダも指定できます7.
ファイルの新規作成
一般的に,ファイル名はアプリケーションで編集した内容を最初に保存する際に決定し 初めて保存することが多いですが,先に空のファイルを作成しておいて,それをダブルク
7ショートカットのリンク先としてはフォルダ以外にも,コントロールパネルなどの特殊なオブジェクト が指定できます.
図 5.11: ショートカットのプロパティ画面
リックしてからアプリケーションで編集し上書き保存する,という操作方法のほうが便利 な場合もあります.Windowsでは新しいファイルを作成したい場所を右クリックして,メ ニューの中の[新規作成]から新しく作成したいファイルの種類を選択すると,その種類の ファイルが自動的に作成されます.
フォルダ名/ファイル名の変更
すでに存在するファイルやフォルダの名前を変更するには,変更したいアイコンをク リックして¤£F2¡¢を押すか,右クリックメニューの中から「名前の変更」をクリックします (図5.12).
図5.12: 名前の変更