泉 孝嗣1) 浅井琢美2) 松原功明1) 新帯一憲1) 伊藤真史1) 今井 資1) 西堀正洋1) 宮地 茂3) 若林俊彦1)
【目的】VerifyNow で評価されたクロピドグレル不応症は脳血管内 治療での塞栓症との関連が指摘されている.しかしクロピドグレル 不応症を有する患者への有効な対処法は確立されていない.本研究 ではクロピドグレルにシロスタゾールを追加したときの P2Y12 の 改善効果を遺伝子多型別にも検討した.【方法】当院で脳血管内治 療を施行された患者を後方視的に観察した.P2Y12 の inhibition level(IL)≦ 20%をクロピドグレル不応症とし,クロピドグレル 75mg にシロスタゾール 100mg もしくは 200mg を追加した.
CYP2C19 の遺伝子多型から通常代謝(EM)群,中間代謝(IM)群,低 代謝(PM)群の 3 群に分け,シロスタゾール投与前後での IL の変化 を比較した.【結果】2010 年 10 月から 2015 年 3 月の間の 20 人が対 象となった.EM 群 2 人,IM 群は 9 人,PM 群は 9 人であった.シ ロスタゾール追加前後で,全体では PRU は 271.2 → 231.4,P2Y12 の IL は 8.7% → 24.2%( p < 0.05)と有意に改善した.P2Y12 の IL の遺伝子多型ごとの解析では EM 群で 11.5 % → 24.5%,IM 群 で 10.9% → 29.9%,PM 群で 5.8% → 18.4%といずれも有意差は ないものの改善がみられた.クロピドグレル不応症の内 9 人(45%) でシロスタゾール投与後に IL > 20%となっていた.【結論】クロピ ドグレル不応症患者全体ではシロスタゾールにより有意に P2Y12 の IL が改善した.その効果は CYP2C19 の遺伝子多型に関わらず 得られた.
3-O7-6
P2Y12 reaction unit(PRU)は頚動脈ステント留置術後 1 日目 に著明に上昇し 7 日目に術前値よりも低下する
土浦協同病院 脳神経外科1) 芳村雅隆1)
Yoshimura Masataka
廣田 晋1) タンマモングッド ティプアーパー1) 京極千恵子1) 清川樹里1) 山本信二1)
【目的】頚動脈ステント留置術(CAS)周術期には適切な抗血小板療 法が必要であるが,clopidogrel に関しては不応性だけでなく,hy-per-responder の存在や経時的な反応性の変動も指摘されており注 意を要する.今回,VerifyNow を使用して CAS 周術期の P2Y12 reaction unit(PRU)の変動を調査した.【対象と方法】2013 年 3 月 から 2015 年 7 月までの間に,当院で待機的に CAS を施行し,
VerifyNow による経時的 PRU 測定を行なえた頚部内頚動脈狭窄症 25 例を対象とした.PRU は CAS 施行前(day0),翌日(day1),
CAS 施行後 3 日目(day3),7 日目(day7)に測定した.【結果】25 例 の平均年齢は 74.0 歳で,男性 22 例(88%),症候性 16 例(64%)だっ た.全例 aspirin と clopidogrel を併用したが,術前 3 週以上前から clopidogrel を内服していたのは 14 例(56%)だった.PRU の平均値 は day0:199.6,day1:270.5,day3:184.2,day7:113.2 と day1 に上 昇し,day7 に day0 よりも低下する有意な変動を示した.また,術 前 3 週以上前から内服していた 14 例でも PRU は day0:184.9,
day1:267.6,day3:159.5,day7:88.7 と同様の変動を示した.【考 察】CAS による塞栓症は手技中だけでなく,手技後の急性期に多く 出現する事が報告されている.今回の経時的変化から急性期の血小 板活性の変化が原因の一つである事が示唆された.また,clopido-gre は薬効安定に時間がかかり,内服開始後約 30 日で normal-res-ponder の半数以上が hyper-resnormal-res-ponder に変化する事が報告された が,本研究では術前に clopidogrel を長期内服していた症例でも CAS 後 7 日目に有意に PRU が低下しており,PRU の変動には内服 期間だけでなく病態や intervention の有無が大きく影響を与える可 能性も示唆された.
3-O8-1
ICG を用いた近赤外線酸素モニタリングによる脳循環予備能評 価
-過灌流症候群予測モダリティとなりうるか-奈良県立医科大学 脳神経外科1) 奈良県立医科大学 放射線科2) 中川一郎1)
Nakagawa Ichiro
朴 憲秀1) 横山昇平1) 福留賢二1) 尾本幸治1) 西村文彦1) 弘中康雄1) 本山 靖1) 朴 永銖1) 和田 敬2) 吉川公彦2) 中瀬裕之1)
【目的】インドシアニングリーン(ICG)を用いた NIRS によるモニタ リングは周術期に簡便にベッドサイドで繰り返し脳循環動態評価が 可能でありその有用性を報告してきたが,NIRS の性質上術前の脳 循環予備能評価の代替としては問題があった.今回我々は CAS 術 前に過換気および無呼吸負荷下による ICG-NIRS を行うことによっ て術前脳循環予備能評価代替法としての可能性について検討を行っ た.【方法】2014 年 10 月から 2015 年 7 月までに当院にて CAS を 行なった 40 例(男性 37 例,女性 3 例)を対象とした.NIRO-200NX (浜松ホトニクス社)を用いて前額部にプローベを貼布し,ICG 0.2mg/kg を静脈内投与して得られる時間濃度曲線から MMT (mean transit time),BFI(blood flow index)を計測し,安静時,過 換気,無呼吸時における MMT,BFI の変化を計測した.過換気お よび無呼吸の状態は EtCO2 および PaCO2 にて確認した.さらに 術前 SPECT 検査からえられる CVR との相関について検討を行 なった.【結果】安静時,過換気,無呼吸時の PaCO2 はそれぞれ 35.8
± 3.7,27.6 ± 2.6,42.8 ± 3.2mmHg であり,過換気,無呼吸負 荷で平均 8.2mmHg,および 7.0mmHg の PaCO2 の変動を認めた.
BFI ratio は過換気負荷,無呼吸負荷によってそれぞれ低下,増加を 示し,MTT ratio は過換気負荷,無呼吸負荷によってそれぞれ増加,
低下を示した.さらにそれらの変化は SPECT 検査から得られる術 前 CVR,術後 AI と有意な相関を認めた.【結論】過換気および無 呼吸負荷による ICG-NIRS 計測から得られる BFI,MTT の変化は 脳循環動態の変化を鋭敏に捉え,術前 Diamox 負荷脳血流検査に代 わる過灌流症候群予測モダリティとなる可能性が示唆された.
3-O8-2
頚部内頚動脈高度狭窄における CAS 前後の眼動脈血流方向と 網膜血流量の変化
東邦大学医療センター大橋病院 脳神経外科1) 横浜総合病院脳神経外科2)
東邦大学医療センター大橋病院 放射線科3) 東邦大学医療センター大橋病院 眼科4) 林 盛人1)
HAYASHI MORITO
佐藤健一郎1,2) 横内哲也2) 石井 匡1) 青木和哉1)
木村 仁1) 齋藤紀彦1) 中山晴雄1) 藤田 聡1,4) 飯塚有応3) 八木文彦4) 岩渕 聡1)
【目的】眼動脈は内頚動脈の分枝だが,内頚動脈閉塞,高度狭窄例で は,眼動脈および網膜動脈血流が外頚動脈系より供給され,眼動脈 の順行性血流を認めない症例を経験する.今回 CAS が施行された 内頚動脈狭窄症患者において,CAS 前後の眼動脈血流方向の変化 および網膜血流量との相関について検討した.【方法】2012 年 9 月 から 2015 年 5 月まで当院で CAS が施行された頚部内頚動脈狭窄 症患者のうち,術前後に網膜血流量が測定された 30 例を対象とし た.CAS 前後の眼動脈血流方向は脳血管撮影で判定し,術前の眼 動脈血流方向から順行性群,非順行性群の二群に分けた.網膜血流 量は Laser Speckle Flowgraphy を用いて視神経乳頭上の Mean Blur Rate(MBR)を測定した.【結果】CAS 前の眼動脈血流方向は 順行性群が 13 例(43.3%),非順行性群が 17 例(46.7%)だった.頚 動脈超音波による PSV は順行性群: 333.3cm/s,非順行性群:
439cm/s で,非順行性群で統計学的有意に高かった(p < 0.01).
CAS 後の眼動脈血流方向は術前順行性群で全例,非順行性群で 17 例中 16 例に順行性血流が確認された.CAS 前後における MBR は 30 例中 21 例(70.0%)で増加し,特に非順行性群で 14 例(76.4%)が MBR の上昇を認め,統計学的有意に網膜血流が改善した(p < 0.01).【考察】今回の結果から眼動脈の非順行性血流は頚動脈高度 狭窄例が多かった.また,非順行性眼動脈血流を認めた群では CAS 後ほとんどの例で順行性血流が認められ,網膜血流量は有意 に改善していた.非順行性眼動脈血流を伴う高度内頚動脈狭窄症は 眼虚血症候群の危険因子であることが報告されており,CAS は内 頚動脈高度狭窄症において眼虚血症候群の治療及び予防になりうる ことが示唆された.
3-O8-3
頸動脈ステント留置術周術期における近赤外線分光法による脳 組織酸素飽和度とヘモグロビン濃度変化の臨床的意義について の検討
筑波大学 医学医療系 脳神経外科1) 筑波大学 医学医療系 救急・集中治療科2) 丸島愛樹1,2)
Marushima Aiki
小山泰明2) 寺門利継1) 鶴田和太郎1) 伊藤嘉朗1) 滝川知司1) 杉浦嘉樹1) 水谷太郎2) 山本哲哉1) 松村 明1)
【背景】近赤外線分光法(NIRS)は,脳組織酸素飽和度(TOI),酸素 化・脱酸素化・総ヘモグロビン(O2Hb,HHb,cHb)濃度を非侵襲的 に測定できるため,虚血性脳血管障害における脳循環代謝の評価に 有用である.【目的】我々は,頚動脈ステント留置術(CAS)周術期 において,NIRO-Pulse モードによりリアルタイムに脳循環代謝評 価を行っており,各パラメータ変化の臨床的意義について検討した.
【方法】2014 年 5 月から 2015 年 7 月までに CAS を施行した連続 13 例に対し,周術期の TOI,O2Hb,HHb,cHb を測定し,それらと脳 虚血耐性,徐脈・低血圧,術後過灌流の関係を評価した.【結果】術 前脳虚血不耐性の評価をもとに,8 例は Balloon を用いて,5 例は Filter を用いて distal protection を行った.Balloon を用いた 1 例と Filter を用いた 2 例において脳虚血不耐性に認め,それらは全例 TOI が術前比 80%以下に低下していた.Filter を用いた群の TOI,
cHb は,Proximal protection 時に術前比 TOI83%,cHb21%へ有意 に低下したが,Filter 展開により速やかに回復した.脳虚血耐性は あったが側副血行が不良な 2 例において,頚動脈閉塞時に HHb の 上昇と O2Hb の低下を認め,脳酸素代謝障害による各種ヘモグロビ ン濃度変化を NIRO-Pulse モードにより脈波として検出することが できた.TOI が 10%以上上昇する過灌流症候群は 1 例で認め,
SPECT でも脳血流の上昇を示した.周術期徐脈・低血圧は 4 例に 認め,NIRO-Pulse モードにより脈波の著名な低下として評価でき た.【結語】NIRO-Pulse モードによるリアルタイムな脳循環代謝評 価は,CAS 周術期合併症の早期検出に有用であると考えられた.
一 般 口 演
3-O8-4
当院におけるバルーン閉塞試験の現状と取り組み 大阪大学 医学部 脳神経外科1)
独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター2) 尾崎友彦1)
Ozaki Tomohiko
中村 元1) 重松朋芳1) 浅井克則1) 井間博之1) 木谷知樹1) 村上知義1) 角野喜則1) 藤中俊之1,2) 吉峰俊樹1)
【はじめに】大型脳動脈瘤や頚部腫瘍の治療を行う際,脳主幹動脈の 遮断が必要となることがある.術前バルーン閉塞試験(BOT)で母 血管の閉塞に対する虚血耐性を正しく評価することが,安全な治療 方針をたてる上で重要となる.当院で行われた BOT を後方視的に 検討し,原疾患治療における脳虚血性合併症回避につき検討する.
【方法】2008 年 1 月から 2015 年 7 月までに当院で施行した BOT 連 続 88 例を後方視的に抽出し判定結果と治療方針を検討した.前方 循環では神経症状を呈したものを intolerant,神経症状は呈さない が stump pressure が 50%以下のものを subtolerant とした.【結 果】72 例に頚動脈の BOT,16 例に椎骨脳底動脈に対して BOT を 行った.頚動脈に対する BOT の原疾患は脳動脈瘤が 24 例,頭蓋底 腫瘍が 16 例,頚部腫瘍が 29 例,外傷性血管損傷が 2 例,頸部動脈 瘤が 1 例であった.椎骨脳底動脈に対する BOT では閉塞中に神経 症状を呈した症例はなかった.Subtolerant 症例のうち頚部腫瘍の 2 例は治療時に人工血管による血行再建を行い,動脈瘤の 3 例に対 し 2 例は STA-MCA バイパス+母血管閉塞,1 例は Flow diverter stent を使用し脳虚血性合併症を回避した.頸部腫瘍,脳動脈瘤,
外傷性内頚動脈損傷の症例のうち 13 例は閉塞による神経症状を呈 し intolerant と判断した.4 例に対し EC-RA-M2 バイパスと母血管 閉塞を併用して虚血性合併症を回避できた.未破裂脳動脈瘤の 3 例 は治療リスクが高いと判断し経過観察を行った.BOT により虚血 耐性があると確認された症例においては母血管閉塞による虚血性合 併症を認めなかった.【結論】BOT を行うことにより安全な治療方 針の決定が行えていた.今後検査精度向上のためさらなるデータの 蓄積が必要である.
3-O8-5
4D Digital Subtraction Angiography (4D-DSA) : 脳血管奇 形の評価における有用性について
東京慈恵会医科大学 附属病院 脳神経外科1) 東京慈恵会医科大学 附属病院 放射線科2) 結城一郎1)
Yuki Ichiro
石橋敏寛1) ダフマニ シヘブ1) 郭 樟吾1) 鈴木倫明1) 菅 一成1) 西村健吾1) 作田健一1) 池村絢子1) 畑岡峻介1) 阿部由希子2) 村山雄一1)
【目的】4D-DSA は 3 次元血管撮影の上で血流の経時的変化を再現 することができる新しい画像技術である.脳血管奇形の評価におけ るその有用性について検討した.【方法】当院で施行した血管撮影 上,4D-DSA 特異的に得られる画像情報を評価した.撮影条件とし ては,動脈層の評価に用いる 6 秒撮影と動脈層から静脈層を網羅す る 12 秒撮影があり,造影剤の注入条件は 100%の造影剤にて,注入 速度:3.0ml/sec.注入時間は 6 秒間撮影で 6 秒間,12 秒間撮影で 7 秒間,総注入量はそれぞれ 18ml,21ml で行った.【結果】内訳は,
脳動脈瘤 33 例,脳動静脈奇形 6 例,硬膜動静脈瘻 7 例,脊髄血管奇 形 4 例その他であった.脳動脈瘤に対しては 6 秒間撮影を,その他 の動静脈シャントを伴う血管奇形については 12 秒間撮影を施行し た.動脈層初期,後期,静脈層と時層を前後させることにより,従 来の 3 次元撮影では画像が重なり合うことにより可視化が困難で あった複雑な血管構造が描出され,診断,治療方法の選択に貢献す る情報が得られた.放射線照射量は 6 秒間撮影にて通常の 3 次元血 管撮影と同等であり,12 秒間撮影では 6 秒間撮影のほぼ倍の照射量 となった.【結語】4D-DSA は時間分解能の向上により,従来の 3 次 元血管撮影では得られなかった血流の方向性,病変部への到達時間 が描出可能となった.また,特に動静脈シャントを伴う欠陥奇形に おいては,その複雑な血管構造を時層に分けて分解することで,診 断・治療に有効な情報が入手できた.また,従来の 3 次元血管撮影 と比較して,ほぼ同等の放射線照射量,造影剤使用量で撮影を行う ことが可能であり,今後 3 次元血管撮影に代わる新しい撮像方法と して期待できるものと思われる.
3-O8-6
apparent hot spots (a-HOTS) mapping system による患 者局所皮膚線量値と DSA 装置に表示される空気カーマ(AK)値 の検討
山形市立病院済生館 脳卒中センター1) GE ヘルスケア・ジャパン(株)2) (株)トライフォー3)
山形市立病院済生館 中央放射線室4) 長畑守雄1)
Nagahata Morio
柴草高一2) 横山健二3) 望月英昭3) 蜂谷幸大4) 山上将則4) 近藤 礼1) 毛利 渉1) 佐藤慎治1) 齋藤元太1) 長畑仁子1) 齋藤伸二郎1)
【はじめに】しばしば手技が長時間になり患者皮膚被ばく線量が問 題となるのが血管内治療である.ICRP 勧告では我々術者に患者の 皮膚線量が推定 3Gy(繰り返す手技では 1Gy)を超えたか否かを認 識することが求められているが,実際に患者皮膚線量を把握するの は難しい.そこで我々は DSA 装置に表示される手技中の総空気 カーマ(AK)値から,当該手技中の推定最大被ばく部位(a-HOTS)に おける推定皮膚被ばく線量を計算して表示する簡便なシステム ap-parent hot spots(a-HOTS) mapping system を考案して昨年の第 30 回 JSNET 総会で発表した.【目的】今回我々は実際の脳血管内治療 手技において同システムで計算された a-HOTS での推定皮膚線量 と DSA 装置に表示される AK 値の関係を検討し,AK 値から皮膚 線量が推測可能なのかを検証した.【方法】使用した bi-plane DSA 装置は GE 社製の Innova IGS.6 か月間に施行された脳血管内治療 40 例で,正・側各アームの a-HOTS における推定線量値を AK 値で 除した値(a-HOTS dose/AK)を比較した.【結果】我々の手技では 側面アームを手技中に移動させる頻度が少なかったためか,側面管 球側の a-HOTS dose/AK は平均で約 70%の値となったが,正面管 球側の a-HOTS dose/AK は大きく分散し,手技や患者年齢,AK 値 の大小にも関連しなかった.【結論】DSA 装置に表示される総空気 カーマ(AK)値から最大皮膚被ばく線量を推測することは困難であ り,患者の皮膚被ばく線量の推定には apparent hot spots(a-HOTS) mapping system のような専用の線量計算(あるいは測定)システム が必要である.
3-O9-1
急性期脳主幹動脈閉塞における DWI-ADC 低下率と可逆病変と の関連性 -ADC 低下率を指標とした再灌流療法の適応につい
て-神鋼会 神鋼記念病院1) 篠田成英1)
Shinoda Narihide
三神和幸1) 坂東鋭明1) 下 大輔1) 黒山貴弘1) 蔵本要二1) 松本眞人1) 平井 収1) 上野 泰1)
【はじめに】急性期脳主幹動脈閉塞において,診断には時間を掛けず 出来る限り早く治療に移行することが重要である.近年 ADC 低下 率が再還流による可逆病変の指標になると報告がされている.当院 で経験した主幹動脈閉塞症例を対象に急性期の ADC 低下率と可逆 病変との関連性を検討した.発症時期不明の脳梗塞に対し ADC 低 下率を指標に可逆病変を予測し治療を行った具体例も示す.【対象】
2012 年 4 月から 2015 年 5 月,急性期脳主幹動脈閉塞(ICA 閉塞・
M1 閉塞)に対し tPA,tPA + IVR で TICI:2b 以上の再開通を得た 15 症例を対象とした.【方法】搬送時に MR 検査で DWI,ADC,
MRA,24 時間以内に再度 DWI,ADC,MRA を施行した.DWI 高 輝度領域に変化が見られなかった領域を Area1.(非可逆病変),
DWI 高輝度領域が正常化した部位を Area2.(可逆病変)と し,そ れぞれの ADC 低下率を比較した.ADC 低下率は「病変部 ADC/
対側の正常部 ADC」とした.【結果】Area1.(非可逆病変)は ADC 低下率の平均は 0.607(0.458-0.694),Area2.(可逆病 変)は ADC 低下率の平均が 0.911(0.825-0.990)であり 2 者で有意差を認めた (p < 0.01).再開通を得た症例で当初 ADC 低下率が 70%以下ま で低下していた領域は全て脳梗塞に陥り,80%以上に保たれていた 領域では脳梗塞を回避できるという結果であった.【症例】71 歳男 性,NIHSS:15,発症時期不明の中大脳動脈閉塞.DWI 高輝度領域 は比較的広範囲ではあったが ADC 低下率 80%以上の領域が広く IVR を施行,TICI3 の再開通を得た.梗塞範囲は小さく mRS=G0 で独歩退院した.【結語】ADC 低下率は可逆病変/非可逆病変を予 測する 1 つの指標であり,再灌流治療の適応を考える上でも有用と 考える.