藤井淑子1) 井上佑樹1) 杉浦嘉樹1) 河村洋介1) 津田恭治1) 永石雅也1) 田中喜展1) 鈴木謙介1) 兵頭明夫1)
【目的】当院において治療を行った直接型内頚動脈海綿静脈洞瘻 (direct CCF)に関して,その臨床的特徴,治療方法,転帰をまとめ る.【方法・結果】2012 年 4 月から 2015 年 7 月に至るまで,当院で 治療した direct CCF は 5 例で,平均年齢 42.1 ± 14.2 歳,男女比 4:1,左 3 例,右 2 例であった.その成因は内頚動脈海綿静脈洞部に 発生した動脈瘤破裂が 1 例,外傷性が 4 例であった.動脈瘤破裂の 場合,突然の頭痛後 2 週間で眼球突出,眼球結膜充血を呈した.外 傷性 CCF の場合,いずれも前頭部の脳挫傷,急性硬膜外血腫,眼窩 部骨折などの重症頭部外傷後,平均 3.0 ± 2.1ヶ月(1~5ヶ月)で眼 球結膜充血,眼球突出,外転麻痺を呈したが,そのうち仮性瘤を形 成した 1 例は,動脈性鼻出血を呈した.全例とも脳血管撮影で内頚 動脈海綿静脈洞部に瘻孔があり,海綿静脈洞への流出を認めた.治 療方法は,全例とも血管内治療を選択し,動脈瘤破裂 1 例で TAE のみ,外傷性のうち 1 例で TVE のみ,1 例で TVE + TAE,2 例で PAO を行った.手術に伴う有害事象はなかった.特に TVE にお いて瘻孔部の target embolization を行う際に経動脈的バルーンと 経静脈的バルーンを併用するサンドイッチ法が有用であった.いず れも 1ヶ月以内に症状消失した.平均観察期間は,21.0 ± 13.5ヶ月 であるが,1 例のみ再開通を認めたため,追加塞栓を施行した.【考 察】direct CCF に対する手術治療は,その症例の病因・瘻孔の大き さにより,適切な方法を選択することが求められるが,塞栓により 長期に渡り良好な治療結果を得ることができた.
2-O6-5
心・大血管病変に対する TAVI,TEVAR における脳血管内治療 的介入
大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科学1) 中村 元1)
Nakamura Hajime
尾崎友彦1) 浅井克則1) 井間博之1) 木谷知樹1) 角野喜則1) 村上知義1) 吉峰俊樹1)
【はじめに】心臓弁膜症や大動脈弓部病変に対する経カテーテル大 動脈弁留置術(TAVI)やステントグラフト治療(TEVAR)の普及に ともない,脳血管内治療的処置を併用すべき症例が増加してきた.
本発表では脳神経外科と心臓血管外科の共同による心・大血管病変 治療について報告する.【症例】当施設において 2011 年 1 月から 2015 年 7 月までに上記共同治療を行った症例は 11 例あった.その うち 8 例は胸部大動脈瘤(TAA),2 例は鎖骨下動脈瘤,1 例は大動 脈弁狭窄症であった.脳神経外科で担当した処置は以下の通りで あった.・TEVAR の前処置としての分枝血管(椎骨動脈)塞栓:6 例 ・TAVI,TEVAR 施行時の脳塞栓症予防:3 例 ・左総頚動脈 に留置した枝付きステント狭窄に対する PTA:1 例 ・TEVAR 施 行例に対する上肢アプローチでの未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術:1 例【考察】TEVAR の普及に伴い,分枝血管から瘤への逆行性血流 (endoleak)を事前に途絶すべき症例が散見されるようになってき た.このような例では病的血管を経由して分枝血管にアプローチし なければならないため,頭蓋内病変時と同様に慎重なカテーテル操 作が求められる.また,心・大血管病変症例では大動脈弓部に壁不 整を認める例が多く,TAVI や TEVAR 施行時に脳塞栓症予防を行 うことが望ましい場合がある.その他,TEVAR 後にコイル塞栓術 などの脳血管内治療を施行しなければならない例では,胸部の血管 構造を十分把握したうえで,各患者に適した治療方針を立てなけれ ばならない.
2-O7-1
急性期血栓回収療法の再開通までの時間短縮~画像診断プロト コールの変更に伴う改善について~
高知県・高知市病院企業団立 高知医療センター 脳神経外科1) 福田真紀1)
Fukuda Maki
太田剛史1) 岡田憲二1) 松岡賢樹1) 政平訓貴1) 大西広一1) 森本雅徳1)
【はじめに】急性期脳梗塞の診療ではできるだけ早期に診断し,tPA 投与,急性期血行再建術を適宜追加することがよいとされるが,具 体的にどのような診断プロトコールを行うことが優れているかは分 かっていない.目的急性期脳卒中の画像診断プロトコールの変更に 伴う影響について検討した.【方法】2014 年 10 月までは MRI で脳 梗塞を診断し適応患者に tPA 投与を行った後 1 時間後の再検で再 開通がない,もしくは神経所見の改善がない場合,tPA 適応外では diffusion-perfusion mismatch を確認後急性期血行再建術を行って い た(MRI first protocol).2014 年 11 月以降は CT で出血性卒中を 除外し適応があれば直後に tPA 投与を行い,MRI/A で主幹動脈閉 塞があった場合そのまま急性期血行再建術を行った(CT first proto-col).これらのプロトコール の変化について関係する救急隊すべ てに通知を行い,また市民公開講座などを活用した啓蒙活動を積極 的に推進した.以上の二つのプロトコールの診断や治療開始時間,
画像・臨床転帰の差異について後ろ向きに比較検討した.【結果】
CT first 群(6 例)の方が MRI first 群(11 例)よりも,来院から穿刺 (105.2 ± 18.9 vs.163.7 ± 58.8,p < 0.01 ),来院から再開通 (160.3 ± 12.3 vs. 267.5 ± 62.0,p < 0.01),発症から再開通 (248.0 ± 40.5 vs. 408.3 ± 67.8,p < 0.01)で有意に短縮してい た.TICI 2b 以上(83.3% vs.54.5%,p=0.33),臨床転帰(66.7% vs.
27.3%,p=0.16)には 有意差はなかったがより多い傾向を認めた.
【結語】CT first protocol は MRI に比してより短時間で再開通を達 成できる可能性がある.
2-O7-2
Penumbra 1st から Stent Retriever 1st へ,MRI ベースから CT ベースへ
伊勢赤十字病院 脳卒中センター 脳血管内治療科1) 伊勢赤十字病院 脳卒中センター 脳神経外科2) 伊勢赤十字病院 脳卒中センター 神経内科3) 柴田益成1)
Shibata Masunari
佐野貴則2) 西川拓文2) 北野詳太郎2) 小林和人1) 前川嵩太1) 西口大和3) 山崎正禎3) 瀬口 優1) 毛利元信3) 清水重利3) 宮 史卓3)
【背景】高齢過疎地域を含む広域医療圏を担当する当施設では,搬送 から再開通までの時間(D2R)を短縮する努力がより求められる.
Stent Retriever 承認後,本デバイスを第一選択とするとともに「凝 固 迅 速 測 定 kit に よ る CT ベ ー ス の tPA 投 与 の 徹 底」,
「perfusionCT とその再構成画像 4DCTA-like image にて患者選択 を行うアルゴリスム」に順次変更を行ったので,その有効性,時短 効果につき検証する.【方法】(1)2013 年 7 月~2015 年 7 月,当施設 で EVT を施行した ALVO78 例を,Penumbra Max 導入後の PM 群(35 例)と Stent Retriever 導入後の SR 群(43 例)に分け,有効性,
安全性,転帰につき比較した.(2)時間因子として,搬送~IVtPA (D2N),搬送~穿刺(D2P),穿刺~TICI ≧ 2B(P2R),搬送~TICI
≧ 2B(D2R)を群間比較した.なお,SR 群では,原則 Solitaire また は Trevo を第一選択とし,M1D/M2,BA には Penumbra aspira-tion との併用を積極的に行った.【結果】(1)PM 群と SR 群の再開 通率は各々,TICI ≧ 2B で 85/91%と著変はなかったが,TICI3 が 20/47%と SR 群 で 有 意 に 増 加 し (p=0.03),90 日 後 mRS0-2 は 45.7/58.6%と転帰は改善されていた.(2)時間因子では,中央値で D2N:71/32 分,D2P:102/80 分(特に SR 後期 53 分),P2R:74/52 分 といずれも有意に短縮され(p=0.003,0.002,0.005),発症~搬送時 間(O2D)は 76/159 分と SR 群で長時間であったのに比し,D2R は 各々 192/134 分 (特 に SR 後 期 99 分) と 大 幅 に 短 縮 さ れ て い た (p=0.001).【結論】「Stent Retriever1st」「CT-based selection」に舵 を切ることにより,TICI3 増加と D2R 短縮が得られ,転帰改善に繋 がっている.メンバー間差解消,さらなる連携強化,そして O2D 短縮が今後の課題である.
2-O7-3
脳梗塞に対する血管内再灌流療法において頸部血管エコーを用 いた超早期アクチベーションは診療時間外の来院-動脈穿刺時間 を短縮させる
国立循環器病研究センター 脳血管内科1) 国立循環器病研究センター 脳神経内科2) 宮崎雄一1)
Miyazaki Yuichi
山上 宏2) 早川幹人1) 長束一行2) 豊田一則1)
【目的】急性主幹動脈閉塞に起因する脳梗塞に対する血管内治療に おいて,来院-動脈穿刺時間(DTP:Door-to-puncture time)はできる 限り短縮すべきである.当院では DTP 短縮の為,2015 年 4 月 15 日以降,治療適応の可能性がある救急搬送例に対して来院直後の頚 部血管エコーを導入.診療時間外では,拡張期血流速度低下により 脳主幹動脈の閉塞が疑われた際に直ちに血管内治療の準備を開始す る,超早期アクチベーション(UEA:Ultra early activation)を行って いる.本研究の目的は,この取り組みの有用性を明らかにすること である.【方法】対象は 2010 年 12 月~2015 年 7 月に当院で緊急血 管内再灌流療法を行った急性期脳梗塞連続 111 例(院内発症例,他 院で神経画像が撮像された転送例は除外).DTP を診療時間内外の 来院(平日 8 時~17 時を診療時間内と定義)および UEA 開始前後 で比較検討した.【結果】UEA 開始前において,診療時間外症例 (n=77)では診療時間内症例(n=24)と比較して有意に DTP が長かっ た(平均 131 ± 44 分 vs 104 ± 32 分,p < 0.01).UEA 開始後の診 療時間外症例(n=7)の DTP は平均 82 ± 14 分であり,UEA 開始前 の診療時間外症例と比較して有意に短く(p < 0.01),また UEA 開 始後の診療時間内症例(n=3)よりも短い傾向が見られた(vs 104 ± 27 分,p=0.12).診療時間内症例を対照とした差分の差分分析では,
UEA による DTP 短縮は 48 分(95%信頼区間 -9 - 106 分,p=0.10) であった.【結論】UEA 開始前,診療時間外症例では診療時間内症 例と比べて約 25 分の DTP 遅延が存在していた.少数例での検討 ではあるが,UEA により診療時間外症例の DTP が著明に短縮さ れ,診療時間内症例と同等となった.
一 般 口 演
2-O7-4
INVOS は画像診断前に急性脳動脈閉塞を予測する 昭和大学江東豊洲病院脳神経内科1)
昭和大学江東豊洲病院脳神経外科2) 神谷雄己1)
Kamiya Yuki
栗城綾子1) 水間啓太1) 大中洋平1) 久保田怜美1) 栄 良樹1) 小林裕介2) 中山禎理2) 池田尚人2)
血管内治療医 1 名,当直医 1 名の診療体制を考慮した急性脳動脈閉 塞診療過程の構築により,2014 年度は来院から tPA まで中央値 47 分,来院から穿刺まで 67 分,来院から再開通まで 133 分と迅速な診 療を達成した.しかしそのためには来院前から過剰な準備や人員拘 束をせざるをえず,治療医やスタッフ,病院設備に負担を強いるこ とになっている.画像診断前に急性脳動脈閉塞を予測しうる情報が 得られれば,画像検査に並行した過不足のない治療準備が可能とな り,負担軽減,より効率的な治療に繋がると考え,今回 INVOS を使 用し INVOS のデータや来院時の患者情報から急性脳主幹動脈閉塞 (MVO)を予測する試みを行った.2015 年 1 月から 6 月の間に脳卒 中が疑われ当院に搬送された連続 83 例を対象に,来院から画像検 査までの間に INVOS を用いて脳組織酸素飽和度(rSO2)を測定し,
MVO16 例の rSO2 やその左右差について対照群 67 例と比較した.
またその他の MVO 予測因子についても検討した.MVO 群では病 側の rSO2 が有意に低値(51.0% vs. 64.5% p < 0.01)であり,対側 との左右差も有意に低値(-6.5% vs. -1.0% p=0.02)であった.し かし M2 閉塞症例においては rSO2 の低下,左右差は認められな かった.MVO 群は有意に高齢(75.9 歳 vs. 65.5 歳 p < 0.01),
NIHSS 高 値 (18.0 vs. 3.5 p < 0.01) で あ り,心 房 細 動 有 病 率 (43.8% vs. 1.5% p < 0.01),抗血小板薬内服率(43.8% vs. 13.4%
p=0.01)が高かった.INVOS は画像診断前に MVO を予測する有 用な検査法と考えられた.しかし INVOS 単独では予測困難な症例 も存在するため,今後はその他の有意なパラメータと合わせた予測 ツールを作成しその精度を検討していく予定である.
2-O7-5
発症 4.5 時間以内来院患者での来院時所見と CT 所見に基づい た急性期血行再建術の適応予測
高知医療センター 脳神経外科1) 高知医療センター 救命救急センター2) 太田剛史1)
Ohta Tsuyoshi
福田真紀1) 大西広一2) 岡田憲二1) 政平訓貴1) 松岡賢樹1) 森本雅徳1)
【目的】急性期脳卒中では虚血と出血の鑑別,虚血では tPA 静注療 法の適応診断をまず行うが,さらに急性期血栓回収療法の追加判断 を迅速に行うことが重要である.今回患者所見と治療方法に基づい た急性期血栓回収療法の適応予測について検討した.【対象と方法】
頭頚胸部 CT にて大動脈解離および出血性変化を除外し適応があれ ば tPA 静注療法を行い,その後 MRI/MRA で原因として内頚動脈,
脳底動脈,A1/M1/M2 近位/P1 いずれかの閉塞があれば急性期血 栓回収療法を考慮した.4.5 時間以内来院の虚血性脳卒中患者につ いて,患者背景,症状などの患者因子と CT 所見と tPA 静注療法の 有無を評価し,急性期血栓回収療法を考慮した症例の特徴を後ろ向 きに検討した.【結果】2014 年 11 月から 2015 年 7 月までに診療し た全 103 例の急性期脳卒中のうち出血性脳卒中は 50 例,1 例は大動 脈解離であった.虚血性脳卒中 52 例中 41 例で CT first protocol が 行われた.急性期血栓回収療法が考慮されたのは 26 例で,それ以 外と比して初回 NIHSS 高値(17.5 ± 6.5 vs. 6.8 ± 6.1),失語 (73.1 vs. 26.7%),共同偏視(65.3 vs. 13.3%),空間無視(88.5 vs.
20%),hyperdense MCA sign(50 vs. 0%)で有意差(すべて p < 0.01)があった.tPA 静注療法(全 33 例)の有無に相関はなかった (80.8 vs. 80%).初回 NIHSS の ROC curve 解析での cut off 値は 10(AUC 0.88,感度 0.92,特異度 0.80)であった.p < 0.15 の項目 で多変量解析を行うと初回 NIHSS10 以上(OR 48.0,p < 0.01)の みに有意相関を認めた.【結論】CT first protocol では,急性期虚血 性脳卒中の初回 NIHSS が 10 以上ならば,tPA 静注療法実施に関わ らず,来院直後より急性期血栓回収療法の準備を開始すべきである.
2-O8-1
急性期血栓回収療法における Door-to-puncture time 短縮に 向けた治療環境整備
中村記念病院 脳神経外科1)
中村記念病院 脳神経外科 / 脳血管内治療センター2) 中村記念病院 放射線科3)
中村記念病院 看護部4) 御神本雅亮1)
Mikamoto Masaaki
遠藤英樹2) 進藤孝一郎1) 高平一樹2) 荻野達也2) 麓健太朗1) 渡部寿一1) 上山憲司1) 尾野英俊3) 高橋美香4) 大里俊明1) 中村博彦1)
【目的】当院では rt-PA 静注療法(IV-tPA)および急性期血栓回収療 法(EVT)を施行した症例について検討する会議を行っている.時 間短縮に向けて院内体制を整備し,プロトコールを作成した.その 効果について報告する.【方法】救急搬入から治療までの処置や検 査に要する時間を記録し,医師,看護師,放射線技師で会議を行っ た.時間短縮に向けて院内体制を整備し,プロトコールを作成した.
主に下記の 3 点について変更した.1.初期対応:救急部から各検 査室の確保を速やかに行い,院内搬送を円滑にした.2.画像検査:
主治医ごとに治療前の処置や検査内容が異なっていたため,それら を統一した.従来,CT,MRI/MRA に加えて,急性大動脈解離を否 定する目的で CT Angiography(CTA)を撮像していた.同時に CT Perfusion(CTP)を撮像し,脳循環動態を評価していた.大動脈解 離の精査は MRI True FISP 法へ変更し,CTA/CTP を削除した.
3.待機時間:従来,IV-tPA を施行した場合は効果判定のため,約 1 時間待機していたが,速やかに EVT を開始する方針に変更した.
2011 年 10 月から 2015 年 6 月までの間に当院で EVT を施行した 48 例を対象とし,プロトコール運用前後で Door-to-puncture time を比較・検討した.【結果】プロトコール運用前 18 例(IV-tPA 併用 12 例,67%)の Door-to-puncture time は 86.5 ± 33.5 分であり,14 例(78%)が 90 分以内であった.プロトコール運用後 30 例(IV-tPA 併用 21 例,70%)の Door-to-puncture time は 68.8 ± 14.6 分であ り,28 例(93%)が 90 分以内であった.プロトコール運用により Door-to-puncture time は有意に短縮していた(p < 0.05).【結語】
治療環境を整備することで Door-to-puncture time は短縮できる.
2-O8-2
新しい病院間連携「Mobile Endovascular-therapy Team」で の 3 年間の経験
国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 脳神経血管内治療科1) 東京都立多摩総合医療センター 脳神経外科2)
天野達雄1)
Amano Tatsuo
佐藤允之1) 松丸祐司1) 寺西 裕2) 堀川弘吏2) 太田貴裕2)
【背景】超急性期脳梗塞に対する血栓回収療法の実施可能施設は限 られている.実施不可施設では実施可能施設に患者転送する病院間 連携が一般的である.当院では従来の連携に加え,実施不可施設に 血管内治療医が移動し血栓回収療法を行う Mobile Endovascular-therapy Team(MET)という形態で病院間連携を行ってきた.本検 討では,MET,転送症例における治療までの時間推移を比較し,
MET 開始 3 年間の経時的変化について報告する.【方法】2012 年 7 月から 2015 年 6 月までに,発症 8 時間以内に血栓回収療法を開始 した MET 症例(MET 群),転送症例(Transfer 群)を対象とした.
治療開始をガイディングカテーテル(GC)留置時刻とし,初期画像 撮影(画像)から治療開始までの時間推移を比較した.また,MET 群における画像から治療開始時間の経時的変化を検討した.【結果】
MET 群(1 施設:病院間距離 30km)は 55 例,Transfer 群(4 施設:平 均病院間距離 3.7km)は 9 例だった.MET 群で MET 要請から MET 到着時間は 70 分(60-78),Transfer 群で転送要請から患者到 着時間は 55 分(46-77),患者到着から穿刺時間は 36 分(29-38)だっ た.画像から穿刺時間(MET 群,Transfer 群:54 分,128 分,p < 0.0001),画像から治療開始時間(105 分,168 分,p=0.0003),MET or 転送要請から治療開始時間(80 分,125 分,p < 0.0001)はいずれ も MET 群で有意に短かった.MET 群において,画像から穿刺,
GC 留置,再開通までの時間は経時的に短縮された.【結論】MET により血栓回収療法を遅延なく開始することが可能だった.訪問先 病院では血栓回収療法を行うための環境が整備され,独立して治療 することが可能となり,病院間連携の 1 つの方法として有用だと考 えられる.