大橋智生2) 渡辺大介1) 小山俊一3) 生天目浩昭1) 岡田博史1) 田中悠二郎1) 加藤大地4) 新井佑輔1) 河野道宏1)
【はじめに】頸動脈狭窄症に対する本邦での治療は,血栓内膜剥離術 (CEA)とステント留置術(CAS)の比率が 1:3 となっている.今回,
同一術者(含 指導的立場の第一助手)が施行した頸動脈狭窄症の治 療および成績に関して検討を行った.【対象】術者あるいは指導的 立場での第一助手で施行した,CEA 79 症例 81 手技,CAS 209 症例 216 手技を検討対象とした.CEA 群 / CAS 群 各々,平均年齢:67.2 歳 / 69.6 歳,男性:89% / 88%,症候性:64% / 60% であった.
CAS は原則,冠動脈病変合併,高位病変,CEA 後再狭窄などの CEA high risk 群に適応され,さらに CAS 時のアクセスルートなど を加味し CEA,CAS の選択を行った.また,CAS の際のデバイス の選択は,頚動脈エコーおよび BBMRI での plaque 診断により決 定した.【結果】術後 30 日での 1)mortality;CEA,CAS ともに 0,
2)morbidity;CEA:3(3.7%),CAS:8(3.7%),3)再狭窄;CEA:
3(3.7%),CAS:7(3.2%),4)術後過懽流症候群;CEA:0,CAS:
3(1.4%)であった.また,CEA 施行時に液状成分の出現を 3 手技 で認めた.この 3 病変においては不安定 plaque の診断はついてい たが,液状成分の同定は不可能であった.【考察】本シリーズでの CEA,CAS の治療成績は良好であった.双方の治療に精通してい ることでスムーズに decision making が可能と考えられた.近年,
頸動脈狭窄症の治療で CEA の占める割合が減少してきており,
plaque の実物を見ない CAS の施行医が多くなってきている.pla-que 診断の進歩により大部分は正確に診断可能であるが,plaの施行医が多くなってきている.pla-que の 実物と画像が合わないことがあることを忘れてはいけない.また,
CAS の施行医は CEA を見ておくことも必要と考える.
2-O2-4
CEA 第一選択の施設における頸動脈狭窄病変の治療方針変更に 伴う治療成績の変化
東京都立多摩総合医療センター 脳神経外科1) 虎の門病院 脳神経血管内治療科2)
太田貴裕1)
Ota Takahiro
佐藤允之2) 寺西 裕1) 堀川弘吏1) 松丸祐司2)
【はじめに】CAS の適応は CEA high risk 群とされており,どこま でが high risk かは術者・施設によって異なる.当施設での CEA と CAS の治療成績の比較,tailored CAS の成績について検討を行っ た.【方法】2010 年 3 月から 2012 年 3 月までを I 期(CEA 147 例) と,筆頭演者が施設長になった 2012 年 4 月から 2015 年 6 月までを II 期(CEA 104 例,CAS 30 例)とに分けて治療成績を解析した.症 候性病変は CEA を第一選択,CEA high risk 症例に CAS を選択し,
プラーク,高位,側副血行などのリスク因子を評価して治療法を検 討した.【結果】I 期では平均年齢 72 歳,症候性 79 例(53.7%),入 院日数 13.4 日,急性期(発症 2 週間以内)CEA は 7 例(4.8%)であっ た.II 期では CEA は平均 72.6 歳,症候性 40 例(38.5%),発症 2 週間以内の急性期 CEA は 12 例(11.5%),入院日数は 17.4 日で あった.II 期の CAS は平均 69 歳,症候性 12 例(40%),入院日数 は 13.3 日.術後 30 日以内の TIA/minor stroke(I 期 CEA:1,II 期 CEA 0,CAS 2),major stroke(I 期なし,II 期 CEA:1,CAS:0),
MI・死亡例は I 期,II 期とも認めなかった.CEA では一過性の症 状ではあるが I 期,II 期とも舌下神経麻痺(2 例,1 例),嗄声・嚥下 障害(8 例,5 例),咽頭粘膜下血腫(1 例,2 例)を認めた.【考察】
CEA の治療成績は I 期,II 期で変わりなく脳神経障害や血腫形成 が認められた.II 期の CAS の治療成績は CEA と同等かそれ以上 であった.II 期では CAS high risk 症例は CEA を選択し,また急 性期 CEA が増加したことで全体として入院日数の増加につながっ た.CEA にこだわらず通常リスクの CAS を増やすことで頸動脈 狭窄症全体の治療成績向上につなげられると考えられる.
一 般 口 演
2-O2-5
同一術者が CEA と CAS を使い分けた連続 180 症例の臨床成 績とそこから見えてきた課題 ~二刀流の是非~
松波総合病院 脳神経外科1) 澤田元史1)
Sawada Motoshi
八十川雄図1)【背景】CEA と CAS は互いに競わず相補的な関係が理想である.
【対象・方法】治療方針としては,MRI で Sp/Sm(胸鎖乳突筋に対す るプラーク信号比)が 2 以上の不安定プラークには CEA を選択し,
不安定プラークでも C2 上縁より高位病変,SAPPHIRE の CEA high risk 例,Sp/Sm が 2 未満の安定プラークにはアクセスルート を評価した上で CAS を選択し,さらに CAS protection も Sp/Sm
≧ 3 に balloon,2 ≦ Sp/Sm < 3 に EZ/Spider,Sp/Sm < 2 に Angioguard と Sp/Sm によって使い分けた.この方針で頚動脈狭 窄連続 180 例を同一術者が使い分けた CEA39 例/ CAS141 例の治 療成績を紹介し二刀流の是非を検討した.【結果】Sp/Sm ≧ 3 の 80 例中 30 例に CEA,50 例に CAS with balloon,2 ≦ Sp/Sm < 3 の 88 例中 9 例に CEA,79 例に CAS with EZ/Spider,Sp/Sm < 2 の 12 例は全例 CAS with Angioguard で治療した結果,合併症は CEA 0%/ CAS 2.1%(3/141)で全例 EZ/Spider に認めた.DWI 陽性率 は CEA 0%/ CAS 24%(34/141),protection 別に Angioguard 0%,
balloon 14%(7/50),EZ/Spider 34%(27/79)で,EZ/Spider の内訳 では T1,T2 一方が 2 ≦ Sp/Sm < 3 は 15%(6/40)に対し T1,T2 両 方 が 2 ≦ Sp/Sm < 3 は 54%(21/39) よ り T1,T2 と も 2 ≦ Sp/Sm < 3 には balloon が推奨された.【結語】高位病変を避けた CEA は Sp/Sm 比に関わらず好成績であり,CAS ではアクセスルー トの評価と T1,T2 ともに 2 ≦ Sp/Sm < 3 の protection に注意す れば,プラーク性状に準じて CEA と CAS を使い分ける二刀流は 有用である.
2-O3-1
急性期脳主幹動脈閉塞に対する血栓回収療法における再開通と 回収血栓の組織性状の関連についての検討
国立循環器病研究センター 脳血管内科1) 国立循環器病研究センター 脳神経内科2) 国立循環器病研究センター 脳神経外科3) 国立循環器病研究センター 病理部4) 橋本哲也1)
Hashimoto Tetsuya
早川幹人1) 船津奈保子1) 宮崎雄一1) 山上 宏2) 佐藤 徹3) 高橋 淳3) 長束一行2) 植田初江4) 豊田一則1)
【目的】急性期脳主幹動脈閉塞に対する血栓回収療法後の再開通と 回収血栓の組織性状の関連を明らかにする.【方法】当院にて 2010 年 10 月から 2015 年 6 月までに血管内治療を行った急性期脳主幹動 脈閉塞連続 135 例のうち,回収血栓の病理組織学的評価を行った 79 例を対象とした.血栓性状は光学顕微鏡を用い,粥腫成分,器質化 の有無,赤血球成分・フィブリン/血小板成分の割合を評価した.有 効再開通(TICI2B/3)あり群となし群で血栓性状の差異を後方視的 に検討した.【結果】79 例中 4 例は局所発生の血栓と考えられ,残 り 75 例(女性 29 例,75.3 ± 9.2 歳,心原性 59 例・動脈原性 6 例・
解離 1 例・不明 9 例)の塞栓性閉塞症例を対象とした.再開通あり 群(51 例,68%)では女性が少なかった(27% vs. 63%,p=0.01)が,
年齢・臨床病型・危険因子・病前抗血栓療法の有無・閉塞血管部位・
治療前画像検査での hyperdense vessel sign/susceptibility vessel sign の有無,rt-PA 静注療法の有無,発症から再開通までの時間に 群間差はなかった.デバイスについては再開通あり群で Merci の 使用が少なかった(20% vs. 54%,p < 0.01).血栓性状は,再開通 あり群はなし群に比し粥腫成分の陽性率が低く(2% vs. 21%,
p=0.01),赤血球成分の割合が高かった(58.0 ± 22.3% vs. 46.5 ± 24.5%,p=0.03).【結論】閉塞血栓の性状が血栓回収療法による治 療効果(有効再開通の獲得)に影響を与える可能性が示された.
2-O3-2
超急性期脳血栓回収術で得られた血栓の病理像と脳梗塞の原因 に関する検討
和歌山県立医科大学 脳神経外科1) 川口 匠1)
Kawaguchi Takumi
井澤大輔1) 八子理恵1) 増尾 修1) 中尾直之1)
【目的】脳梗塞に対する血管内治療の進歩により再開通率や転機は 改善しているため,術後の的確な薬物による再発予防が重要となる.
しかしながら,閉塞原因の特定が困難な症例に時に遭遇する.超急 性期血栓回収療法で回収された血栓の病理診断から脳梗塞の発生機 序を特定できるか検討した.【方法】2014 年 1 月から 2015 年 7 月ま での間に,脳梗塞に対して当院で超急性期血栓回収療法を行い,回 収血栓の病理診断が得られた 17 例を調査した.【結果】病理診断で は,17 例中 4 例が赤色血栓と白色血栓の混在する混合血栓と診断さ れ,12 例が赤色血栓,1 例が白色血栓と診断された.赤色血栓と診 断された 12 例中 10 例は心房細動による心原性脳塞栓症と判断され たが,残る 2 例は原因の特定が困難であった.病理診断からは塞栓 症の可能性が高いと考え,経食道エコーを施行,卵円孔開存が判明 し奇異性脳塞栓症と判断した.混合血栓と診断された 4 例中 3 例で はアテローム血栓性脳梗塞が示唆された.白色血栓と診断された 1 例は心室内血栓に対して開胸手術が施行された症例であり,心室内 血栓は赤色血栓と病理診断されていた.再開通後にも狭窄病変はな く,病理診断と臨床診断の乖離がみられた.【結語】病理診断によっ て,動脈硬化性か塞栓性かを予測することができた.また心房細動 がなく原因の特定に苦慮した症例でも,病理診断の結果から,積極 的に精査を行うことで原因が特定できた.回収された血栓の病理診 断は,診断および再発予防のために有用である.
2-O3-3
Stent retriever による血栓回収術後の血管傷害性合併症につ いての検討
国立循環器病研究センター 脳血管内科1) 国立循環器病研究センター 脳神経内科2) 国立循環器病研究センター 脳神経外科3) 早川幹人1)
Hayakawa Mikito
山上 宏2) 宮崎雄一1) 橋本哲也1) 船津奈保子1) 徳田直輝1) 佐藤 徹3) 高橋 淳3) 長束一行2) 豊田一則1)
【はじめに】Stent retriever(SR)使用例において,くも膜下出血 (SAH)や再開通直後の血栓形成/再閉塞を経験した.いずれも SR の侵襲による血管傷害性合併症と考えられたため,関連する因子に ついて検討した.【方法】当院にて SR を使用開始した 2013 年 11 月~2015 年 6 月に血管内治療を施行した急性期脳梗塞連続 57 例の うち,中大脳動脈(MCA)を SR が通過した塞栓性閉塞例を対象とし た.内頸動脈 C2(中間カテーテル使用時は同カテーテル先端)~SR 到達部までの分岐/屈曲部のなす角度を最終血管造影正面像(非再開 通例では術中のカテーテル走行)から計測し,その総和を求めた.
SR の MCA 通過回数,角度の総和,および通過回数と角度の総和の 積(angle-pass index:API)と血管傷害性合併症の関連を後方視的に 検討した.【結果】25 例(女性 9 例,年齢 76 ± 8.2 歳,NIHSS 中央 値 17,rt-PA 静注療法施行率 56%)を対象とした.TICI 2b/3 再開 通率は 80%,病前自立 21 例における 3 カ月後(または退院時)mRS
≦ 2 到達率は 48%で,血管傷害性合併症は 7 例(28%:SAH5 例,再 閉塞/血栓形成 3 例)に生じた.合併症群は非合併症群に比し角度の 総和が大きく(中央値 256 度 vs 132.5 度,p=0.085),MCA 通過回数 が多い(中央値 2 回 vs 1 回,p=0.198)傾向にあり,API は有意に高 値(中央値 526 vs 204,p=0.025)であった.多変量解析にて API は 血管傷害性合併症と有意に関連した(OR/100 増加 2.35,95%CI 1.01-5.49).ROC 解析にて API が血管傷害性合併症を予測する カットオフ値は 348(感度 86%,特異度 83%)であった.【結論】SR 通過血管の分岐角度の総和と通過回数の積である API により,SR による血管傷害性合併症が予測できた.
2-O3-4
機械的血栓回収療法を行った超急性期脳梗塞例の病理学的検討 岩手県立中央病院 神経内科1)
岩手県立中央病院 脳神経外科2) 岩手県立中央病院 病理診断科3) 土井尻遼介1)
Doijiri Ryosuke
木村尚人2) 佐熊 勉3) 高橋 賢1) 菊池貴彦1) 菅原孝行2)
【目的】脳主幹動脈閉塞に対し機械的血栓回収療法が有効とされて いるが,実際に閉塞部位の血栓回収を試みるも部分再開通例や残存 狭窄例が経験される.血栓塞栓子の成分は血流うっ滞に伴う赤色血 栓,動脈由来の白色血栓,混合血栓からなるといわれている.今回 我々は血栓回収を行った血栓の組織性状と脳梗塞の発症機序,血栓 回収後の残存狭窄について検討した.【方法】当院で 2014 年 6 月~
2015 年 7 月までに脳主幹動脈閉塞に対し血栓回収療法を施行した 12 例中,血栓を回収し得た 11 例の病理所見を検討した.血栓性状 は光学顕微鏡を用い,赤血球成分と血小板・フィブリン成分の比率 により,赤色血栓,混合血栓,白色血栓に分類した.血栓回収後の 脳血管撮影所見で再開通現象,残存狭窄の有無を確認した.【結果】
11 例(女性 6 例,年齢 75.5 ± 12.2 歳)を対象とした.閉塞部位は内 頚動脈 4 例(36%),中大脳動脈(MCA)近位部 4 例(9%),MCA 遠 位部 1 例(9%),MCAM21 例(9%),内頚動脈と MCA の tandem lesion1 例 (9%) で あ っ た.退 院 時 の 脳 梗 塞 病 型 は 心 原 性 9 例 (82%),アテローム血栓性 2 例(18%)であった.回収された血栓成 分は赤色血栓 5 例(45%),混合血栓 4 例(36%),白色血栓 1 例(9%),
赤色血栓と白色血栓の混在 1 例(9%)であった.3 例(27%)には血 栓回収後に残存狭窄を認め,1 例は白色血栓,2 例は混合血栓が回収 された.【結論】血栓回収後に残存狭窄を認めた症例では白色を主 体とした血栓が回収されていた.回収された血栓成分を検討するこ とにより,脳主幹動脈閉塞の発症機序を推定できる可能性がある.
2-O3-5
血栓回収療法により得られた検体における血管内皮を含む血管 成分についての検討
国立循環器病研究センター 脳血管内科1) 国立循環器病研究センター 脳神経内科2) 国立循環器病研究センター 脳神経外科3) 国立循環器病研究センター 病理部4) 船津奈保子1)
Funatsu Naoko
早川幹人1) 橋本哲也1) 宮崎雄一1) 山上 宏2) 佐藤 徹3) 高橋 淳3) 長束一行2) 植田初江4) 豊田一則1)
【目的】血栓回収療法により得られた血栓検体中の,血管内皮を含む 血管成分の存在に関連する因子を明らかにする.【対象と方法】
2010 年 10 月~2015 年 6 月に当院で急性期脳主幹動脈閉塞に対し血 管内治療による再開通療法を行った連続 135 例のうち,回収血栓の 病理組織学的検索がなされた症例を対象に,血管内皮成分の有無と 血栓回収デバイスの関連について後方視的に検討した.主に血栓辺 縁部に認められた膠原線維で,器質化血栓ではないものを血管内皮 成分とした.【結果】79 例(女性 29 例,年齢 75 ± 9 歳,心原性 58 例,ア テ ロ ー ム 血 栓 性 10 例) を 対 象 と し た.Merci が 23 例,
Penumbra が 50 例,ステント型血栓回収デバイスが 24 例に使用さ れ,実際に鏡検された血栓検体を回収したデバイスは Merci 20 例,
Penumbra 34 例,ステント型血栓回収デバイス 21 例であった.27 例(34%)の血栓に血管内皮成分を認めた(内皮有群).内皮有群と内 皮無群(52 例)では年齢,性別,臨床病型,血管閉塞部位などの患者 背景に有意差はなかったが,検体を回収したデバイスは内皮有群で Merci が多かった(41% vs. 17%,p=0.03).多変量解析では Merci は血栓内血管内皮成分と独立して関連した(オッズ比 3.46,95%CI 1.08-11.8).【結論】血栓内の血管内皮成分は血栓回収デバイスに よる血管内皮傷害を示唆すると考えられ,血栓回収デバイスの種類 により血管内皮および血管傷害の発生に相違があることが示唆され た.
2-O4-1
初期画像評価に CT を用いた血栓回収療法の有効性と安全性 北里大学医学部 脳神経外科1)
北里大学 医学部 神経内科2) 近藤竜史1)
Kondo Ryushi
中原邦晶1) 阿部克智1) 山本大輔1) 檀 充1) 宮坂和弘1) 隈部俊宏1) 井島大輔2) 西山和利2)
【背景】脳梗塞超急性期再開通療法の転帰は再開通率と再開通時間 に影響される.当院では,再開通時間短縮を目的に,初期画像評価 を MRI(revascularization based on MRI:R-MRI)ではなく CT(re-vascularization based on CT:R-CT)で行う試みを開始した.【目的】
R-CT の有効性と安全性を検証する.【方法】2014 年 7 月 1 日から 2015 年 6 月 30 日に血栓回収療法を施行した連続 23 例を対象とし,
院内発症 4 例と画像評価不完全 1 例を除く 18 例(R-MRI 群 12 例・
R-CT 群 6 例)を後方視的に検討した.2014 年 7 月 1 日から 12 月 31 日は R-MRI を行い,2015 年 1 月 1 日以降段階的に R-CT を導入 した.検討方法は R-MRI 群と R-CT 群の群間比較である.検討項 目は,病院到着-再開通時間(arrival to recanalization:A to R),到 着-穿 刺 時 間 (arrival to puncture:A to P),穿 刺-再 開 通 時 間 (puncture to recanalization:P to R),有効再開通率(TICI 2b-3),30 日後の転帰良好比率(mRS 0-2),および術後症候性頭蓋内出血発生 率である.【結果】A to R は R-MRI 群 216 分に対して R-CT 群 134 分(P=0.02),A to P は R-MRI 群 123 分に対して R-CT 群 73 分 (P=0.03)で,いずれも R-CT 群で有意に短かった.P to R は R-MRI 群 93 分に対して R-CT 群 61 分(P=0.12)で有意差がなかった.有 効 再 開 通 率 (TICI 2b-3) は R-MRI 群 75.0%に 対 し て R-CT 群 66.7%(P=0.6),転帰良好患者比率(30 日後 mRS 0-2)は R-MRI 群 33.3%に対して R-CT 群 66.7%(P=0.59)で,いずれも有意差がな かった.術後症候性頭蓋内出血は R-MRI 群の 1 例のみだった.【結 論】R-CT が再開通までの時間を安全に短縮する可能性が示唆され た.本研究は少数例の後方視的研究であるため,今後症例の集積と 検証が必要である.
2-O4-2
急性期血栓回収療法後の脳出血は術前 CT perfusion で予測可 能か?
聖マリアンナ医科大学東横病院 脳卒中センター1) 吉江智秀1)
Yoshie Tomohide
植田敏浩1) 高田達郎1) 野越慎司1) 高石 智1) 深野崇之1) 水上平祐1) 徳浦大樹1)
【背景・目的】急性期脳梗塞の再開通療法では術前 CT perfusion (CTP)や再開通時間が転帰に関与すると報告されている.今回は 術前 CTP により術後 T2*での皮質下出血と基底核出血が予測可能 か検討した.【対象・方法】2008 年 8 月- 2015 年 7 月に頭蓋内内頚 動脈または中大脳動脈 M1 閉塞に対し血管内治療を用いて再開通療 法を行い TICI2A 以上の再開通が得られた 85 例のうち,MRI また は術前 CTP 未施行,両側内頚動脈閉塞例を除外した 62 例(男性 41 例,平均年齢 75 歳,術前 NIHSS 中央値 17,M1 閉塞 34 例)を対象 とした.術後 T2*で皮質下または基底核に出血を認める症例をそ れぞれ皮質下出血群,基底核出血群とし,出血群と非出血群での CTP 値,発症から再開通,CTP から再開通までの時間を比較した.
CTP は基底核断面での中大脳動脈皮質及び基底核領域の健側比 (rCBF,rCBV,rMTT)を算出した.【結果】T2*での術後脳出血は 40 例に認め,HI は 16 例,PH1 は 21 例,PH2 は 3 例で,このうち症 候性出血は 1 例であった.皮質下出血のみが 14 例,基底核出血の みは 18 例,両者を認めたのは 8 例であった.皮質下出血群では皮 質 rCBV が有意に低く,基底核出血群では基底核 rCBF,rCBV が 有意に低かった.TICI2B 以上の症例のみで比較すると,皮質下出 血群,基底核出血群のいずれも同領域の rCBF,rCBV が有意に低 下していた.再開通までの時間は両群で差を認めなかったが,皮質 rCBV0.8 以下かつ TICI2B 以上の症例では,非皮質下出血群と比較 し皮質下出血群で再開通までの時間が有意に長かった.【結語】血 栓回収療法後脳出血は術前 CTP で血流低下が著明な症例で生じや すく,皮質 CBV 低下例では再開通までの時間が長くなると皮質下 出血が生じやすい.