イマチニブに抵抗性又は不耐容の骨髄芽球性急性期慢性骨髄性白血病を対象としたダサチニブ の臨床第II相試験-中間成績-
試験方法の概略を表 2.9-1に示す。
表 2.9-1 試験方法の概略
項目 内容 治験の相 第II相 治験の目的 主要目的:
イマチニブに初期又は獲得抵抗性の骨髄芽球性急性期慢性骨髄性白血病(以下CMLと略す)
を対象として、MaHR及びOHR率を推定する。
副次目的:(Study CA180-005と同様:表2.8-1参照)
治験 デザイン
オープンラベル試験
イマチニブ抵抗性又は不耐容の骨髄芽球性急性期CMLを対象とし、ダサチニブを1回70 mg 1 日 2 回投与した。効果及び安全性に基づき、用量の増減を可能とした。投与は、増悪まで、あ るいは耐容不能な有害事象が発現するまでとした。
対象疾患 対象疾患:イマチニブに抵抗性あるいは不耐容の18歳以上の骨髄芽球性急性期CML患者 選択/除外
基準
選択基準 1. 対象疾患
Ph+又はBCR-ABL+骨髄芽球性急性期CML(基準は、Study CA180-002と同様:表2.6-1参照)。
2. イマチニブ抵抗性又は不耐容
イマチニブ抵抗性及び不耐容の定義は以下のとおりである。
a. 血液学的にイマチニブ抵抗性
・ 慢性期CMLと診断され、1日400 mg以上のイマチニブ治療中に骨髄芽球性急性期に増悪 した場合。イマチニブが奏効しない初期抵抗性及び一旦奏効したものの、その後骨髄芽球 性急性期に増悪した獲得抵抗性が含まれる。
・ 移行期CMLと診断され、1日600 mg以上(イマチニブ1日600 mg以上が不耐容の場合
は、1日400 mg~600 mg)のイマチニブ治療中に骨髄芽球性急性期に増悪した場合。イマ
チニブが奏効しない初期抵抗性及び一旦奏効したものの、その後骨髄芽球性急性期に増悪 した獲得抵抗性が含まれる。
・ 骨髄芽球性急性期CMLと診断され、1日600 mg以上(イマチニブ1日600 mg以上が不 耐容の場合は、1日400 mg~600 mg)のイマチニブを4週間以上(急速な増悪がみられる 場合は2週間以上)投与しても、骨髄性急性期CMLの診断基準に合致する場合。イマチニ ブが奏効しない初期抵抗性及び一旦奏効したものの、その後再び骨髄芽球性急性期 CML となった獲得抵抗性が含まれる。
b. イマチニブ不耐容(基準はStudy CA180-005と同様:表2.8-1参照)
他の選択基準及び除外基準(Study CA180-034と同様:表2.4-1参照)。
被験者数 109例が登録され、ダサチニブの投与を受けた。20 年 月 日以前に登録され、 月 日ま でにダサチニブの投与を開始した74例を本中間解析の対象とした。
投与方法 Study CA180-005と同様(表2.8-1参照)
有効性・安 全性の評価 項目
有効性:
主要評価項目:血液学的効果(MaHR率及びOHR率)
血液学的効果の基準はStudy CA180-002と同様(表2.3-1参照)。
上記CHRとNELをあわせたものをMaHRとし、さらにMiHRをあわせたものをOHRとする。
副次評価項目:細胞遺伝学的効果及び分子生物学的効果、MaHR、OHR、細胞遺伝学的寛解到達 までの期間及び持続期間
細胞遺伝学的効果の基準は、Study CA180-002と同様(表2.6-1参照)。
分子生物学的効果の基準は、Study CA180-005と同様(表2.8-1参照)。
安全性:Study CA180-013と同様(表2.7-1参照)。
解析方法 CA180-005と同様(表2.8-1参照)。
治験期間 2004年12月30日から(データ締切日:有効性 観察期間が8ヵ月以上になった時点*、安全性 治 験開始10ヵ月後*)
*新薬承認情報提供時に置き換え
20 年 月 日までに組み入れられた80例のうち、 月 日までにダサチニブの投与を受けた 74例を対象として中間解析を行った。安全性については、データ締切日 治験開始10ヵ月後*ま でのデータを、有効性についてはデータ締切日 観察期間が8ヵ月以上になった時点*までのデー タを解析に用いた。なお、2005年5月17日に3例が組み入れられ、うち1例は解析に含まれて いるが、2例は投与開始が遅れたため、今回の解析には含まれていない。
2.9.1 症例の内訳
症例の内訳を図 2.9-1に、投与状況について表 2.9-2に示す。
図 2.9-1 症例の内訳
組み入れ症例数 N = 80
未投与 N = 6
投与例 N = 74 骨髄芽球性急性期CMLの基準に合致しない3例、
QT延長1例、死亡2例
イマチニブ抵抗性 イマチニブ不耐容
N = 68 N = 6
表 2.9-2 投与状況
症例数(%)
イマチニブ不耐容 イマチニブ抵抗性 合計
N = 6 N = 68 N = 74
投与中 2 (33.3) 21 (30.9) 23 (31.1)
投与中止 4 (66.7) 47 (69.1) 51 (68.9) 原疾患の増悪 1 (16.7) 24 (35.3) 25 (33.8) 副作用 0 8 (11.8) 8( 10.8) 治験薬との因果関係のない有害事象 0 2 ( 2.9) 2 ( 2.7) 死亡 0 7 (10.3) 7 ( 9.5) 治療不遵守 0 1 ( 1.5) 1 ( 1.4) 疾患の増悪を伴わない状態悪化 2 (33.3) 0 2 ( 2.7) その他 1 (16.7) 5 ( 7.4) 6 ( 8.1) データ締切日:観察期間が8ヵ月以上になった時点*
20 年 月 日までに80例が組み入れられ、74例(イマチニブ抵抗性68例及びイマチニブ不 耐容6例)に投与が行われた。うち23例(31%)が現在も投与中であるが、51例(69%)で投与 を中止した。その理由としては、原疾患の増悪が最も多く、投与中止例51例中25例を占めた。
また、7例が死亡により投与を中止している。8例は、副作用による投与中止であった。
*新薬承認情報提供時に置き換え
2.9.2 人口統計学的特性
人口統計学的特性を表 2.9-3に示す。
表 2.9-3 人口統計学的特性
症例数(%)
イマチニブ不耐容 イマチニブ抵抗性 合計
N = 6 N = 68 N = 74
年齢 平均 58.0 51.8 52.3
(歳) 中央値 60.5 54.5 55.0
最小-最大 40.0 - 69.0 21.0 - 71.0 21.0 - 71.0
SD 9.9 13.4 13.2
21 - 45歳 1 (16.7) 21 (30.9) 22 (29.7)
46 - 65歳 4 (66.7) 32 (47.1) 36 (48.6)
66 - 75歳 1 (16.7) 15 (22.1) 16 (21.6)
性別 男性 2 (33.3) 39 (57.4) 41 (55.4)
女性 4 (66.7) 29 (42.6) 33 (44.6)
人種 白人 6 (100) 50 (73.5) 56 (75.7)
黒人(African American含む) 0 7 (10.3) 7 ( 9.5) アジア人 0 11 (16.2) 11 (14.9)
ECOG 0 1 (16.7) 12 (17.6) 13 (17.6)
PS 1 3 (50.0) 27 (39.7) 30 (40.5)
2 2 (33.3) 26 (38.2) 28 (37.8)
3 0 1 ( 1.5) 1 ( 1.4)
不明 0 2 ( 2.9) 2 ( 2.7)
年齢は46歳~65歳の範囲が多く、65歳を超えていたのは22%であった。男性がやや多く55%
を占め、白人が76%であった。ほとんどの症例で、試験開始時におけるECOGのPSは良好であ った。年齢、人種及び PS に関しては、イマチニブ不耐容及びイマチニブ抵抗性例で類似してい た。
現病歴・前治療に関し、表 2.9-4に示す。
表 2.9-4 現病歴及び前治療
症例数(%)
イマチニブ不耐容 イマチニブ抵抗性 合計
N = 6 N = 68 N = 74
病歴 初診から投与開始までの 期間(月)
中央値(最小 - 最大)
72.5 (39.0 - 129.5) 47.0 (3.3 - 215.5) 48.9 (3.3 - 215.5)
移植 1 (16.7) 8 (11.8) 9 (12.2)
放射線療法 1 (16.7) 8 (11.8) 9 (12.2)
薬剤1 6 (100) 65 (95.6) 71 (95.9)
化学療法 2 (33.3) 47 (69.1) 49 (66.2) インターフェロン 6 (100) 35 (51.5) 41 (55.4) イマチニ
ブ以外の 前治療
ヒドロキシカルバミド/
anagrelide
6 (100) 59 (86.8) 65 (87.8) 投与期間 1年未満 1 (16.7) 10 (14.7) 11 (14.9)
1 - 3年 1 (16.7) 27 (39.7) 28 (37.8) 3年超 4 (66.7) 31 (45.6) 35 (47.3) 投与量 400 mg未満 0 0 0
400 - 600mg 6 (100) 32 (47.1) 38(51.4)
600 mg超 0 36 (52.9) 36 (48.6)
CHR 6 (100) 56 (82.4) 62 (83.8)
NEL 0 1 ( 1.5) 1 ( 1.4)
MiHR 0 3 ( 4.4) 3 ( 4.1)
不変 0 3 ( 4.4) 3 ( 4.1)
増悪 0 2 ( 2.9) 2 ( 2.7)
最 良 血 液 学的効果
評価不能 0 3 ( 4.4) 3 ( 4.1) CCyR 2 (33.3) 22 (32.4) 24 (32.4) PCyR 1 (16.7) 9 (13.2) 10 (13.5) その他 3 (50.0) 36 (52.9) 39 (52.7) 前イマチ
ニブ治療
最 良 細 胞 遺 伝 学 的 効果
不明 0 1 ( 1.5) 1 ( 1.4)
1: 化学療法及びインターフェロンを除く
本治験に組み入れられた CML 患者は、長期間の病歴を有し、強力な前治療を受けていた。診 断からダサチニブ投与開始までの期間は、中央値で4 年間であったが、イマチニブ抵抗性例では 72.5ヵ月とイマチニブ不耐容例の47ヵ月よりも長期間であった。
前治療としては、9例(12%)で骨髄移植、9例(12%)が放射線療法を受けていた。ほとんど の症例(71例、96%)がイマチニブ以外の治療を受けており、イマチニブ抵抗性例及びイマチニ ブ不耐容例で、化学療法についてはそれぞれ69%及び33%、インターフェロンは52%及び100%
であった。主な前治療薬は、ヒドロキシカルバミド 64例(87%)、シタラビン 42例(57%)、イ ンターフェロン41例(55%)であった。
全例がイマチニブの投与を受けており、36例(49%)はイマチニブの1日投与量が600mgを超 えており、38例(51%)が1日投与量が400~600 mgであった。また、イマチニブの投与期間は 35例(47%)が3年以上、28例(38%)が1~3年、11例(15%)が1年未満であった。イマチ ニブ抵抗性の56例(82%)及びイマチニブ不耐容の6例(100%)の計62例(84%)が、前治療
イマチニブによりCHRが得られていた。細胞遺伝学的効果としては、CCyRはイマチニブ抵抗性 の22例(32%)及びイマチニブ不耐容の2例(33%)の計24例(32%)に得られ、PCyRはそれ ぞれ9例(13%)及び1例(17%)の計10例(14%)に得られた。6例がイマチニブ不耐容例で あり、胃腸症状、発疹、Grade 4の好中球減少症、肝障害、肝炎及びGrade 1の白血球減少症であ った。
登録時の病態に関し、表 2.9-5に示す。
表 2.9-5 登録時の病態
症例数(%)
イマチニブ不耐容 イマチニブ抵抗性 合計
N = 6 N = 68 N = 74
白血球数 (/mm3) 症例数 6 (100) 68 (100) 74 (100)
中央値 5,000 18,200 16,600
最小 - 最大 1,000 - 24,800 400 - 191,600 400 - 191,600 <20,000/mm3 5 (83.3) 35 (51.5) 40 (54.1)
≥20,000/mm3 1 (16.7) 33 (48.5) 34 (45.9) 血小板数 (/mm3) 症例数 6 (100) 68 (100) 74 (100)
中央値 60,500 51,000 51,000
最小 - 最大 18,000 - 1,191,000 10,000 - 2,121,000 10,000 - 21,21,000 <100,000/mm3 4 (66.7) 49 (72.1) 53 (71.6)
≥100,000/mm3 2 (33.3) 19 (27.9) 21 (28.4) 末梢血中芽球(%) 症例数 3 (50.0) 47 (69.1) 50 (67.6)
中央値 3.0 40.0 39.0
最小 - 最大 3.0 - 16.0 0.0 - 99.0 0.0 - 99.0
<30% 3(50.0) 17 (25.0) 20 (27.0)
≥30% 0 30 (44.1) 30 (40.5)
骨髄中芽球(%) 症例数 5 (83.3) 62 (91.2) 67 (90.5)
中央値 50.0 40.0 40.0
最小 - 最大 12.0 - 67.0 0.0 - 95.0 0.0 - 95.0
<50% 2 (33.3) 39 (57.4) 41 (55.4)
≥50% 3 (50.0) 23 (33.8) 26 (35.1) 髄外浸潤 脾 2 (33.3) 11 (16.2) 13 (17.6) 脾以外 1 (16.7) 13 (19.1) 14 (18.9) 投与前の白血球数が 20,000/mm3未満であった症例は40 例(54%)であり、イマチニブ不耐容 例では5例(83%)が20,000/mm3未満であり、イマチニブ抵抗性例の52%よりも多かった。投与 前の血小板数が100,000/mm3未満であった症例は53例(72%)であり、イマチニブ抵抗性とイマ チニブ不耐容で同様であった。50例(68%)で末梢血中の芽球が検出されたが、20例(27%)は
30%未満であった。イマチニブ不耐容例では3例(50%)で末梢血中の芽球は30%未満であった
が、イマチニブ抵抗性例では25%に過ぎなかった。一方、骨髄中では、67例(91%)で芽球が検 出され、41例(55%)が50%未満であった。骨髄中の芽球が50%未満であった症例は、イマチニ ブ不耐容例で33%、イマチニブ抵抗性例で57%であった。13例(18%)が投与前に脾臓への髄外 浸潤を有していた。脾臓以外への浸潤は14例(19%)で、皮膚・軟部組織6例、肝臓4例、リン
パ節4例であった。
治験開始時におけるBCR-ABL変異の有無を表 2.9-6に示す。
表 2.9-6 治験開始時におけるBCR-ABL変異
症例数(%)
イマチニブ不耐容 イマチニブ抵抗性 合計
N = 6 N = 68 N = 74
イマチニブ抵抗性変異あり 2 (33.3) 28 (41.2) 30 (40.5) イマチニブ抵抗性変異なし 4 (66.7) 36 (52.9) 40 (54.1) 実施せず 0 4 ( 5.9) 4 ( 5.4)
P-Loop 2 (33.3) 16 (23.5) 18 (24.3)
Activation Loop 0 5 ( 7.4) 5 ( 6.8)
P-Loop及びActivation Loop 0 2 ( 2.9) 2 ( 2.7) 変 異 部
位
その他の部位のみ 0 9 (13.2) 9 (12.2)
2 - 4倍上昇 0 1 ( 1.5) 1 ( 1.4)
5倍以上上昇 2 (33.3) 21 (30.9) 23 (31.1) 変 異 な
し と の
IC50の比 不明 0 6 ( 8.8) 6 ( 8.1)
41%(74例中30例)が治験開始時においてBCR-ABLにイマチニブ抵抗性変異を有していた。
2.9.3 薬剤の曝露
治験薬の投与量・投与期間を表 2.9-7に示す。
表 2.9-7 治験薬の投与量・投与期間
イマチニブ不耐容 イマチニブ抵抗性 合計
N = 6 N = 68 N = 74
平均1日投与量 中央値 131.0 138.0 137.0 (mg/day) 最小 - 最大 82.0 - 139.0 50.0 - 193.0 50.0 - 193.0
Dose intensity 0 - 90% 2 (33.3) 24 (35.3) 26 (35.1)
>90 - 100% 4 (66.7) 22 (32.4) 26 (35.1)
>100% 0 22 (32.4) 22 (29.7)
投与期間(月) 中央値 5.78 3.53 3.53 最小 - 最大 1.74 - 11.99 0.03 - 11.99 0.03 - 11.99 3ヵ月以下 2 (33.3) 26 (38.2) 28 (37.8) 3 - 6ヵ月 1 (16.7) 13(19.1) 14 (18.9) 6ヵ月超 3 (50.0) 29 (42.6) 32 (43.2) データ締切日:観察期間が8ヵ月以上になった時点*
投与期間の中央値は3.53ヵ月であり、平均1日投与量(投与期間を通した平均)は137 mgであっ た。32例(43%)は6ヵ月超投与されており、14例(19%)は3ヵ月から6ヵ月の投与を受けて いた。投与継続中の23例はすべて6ヵ月超投与を継続し、投与期間の中央値は9.2ヵ月であった。
Dose Intensityが90%を超える症例は48例(65%)であった。投与期間、平均1日投与量について
*新薬承認情報提供時に置き換え