メシル酸イマチニブに抵抗性又は不耐容の慢性期、移行期並びに急性期慢性骨髄性白血病及び フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を対象とし、安全性、薬物動態及び薬力学の検 討を目的としたBMS-354825の臨床第I相試験
試験方法の概略を表 2.6-1に示す。
表 2.6-1 試験方法の概略
項目 内容 治験の相 第I相 治験の目的 主要目的:
メシル酸イマチニブに抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病(以下、CML と略す)及びフィ ラデルフィア染色体陽性(以下、Ph+と略す)急性リンパ性白血病(以下、ALLと略す)を対象 とし、本薬1日1回あるいは2回を5日投与2日休薬又は連日投与により、最大耐量(以下、
MTDと略す)、最大許容量(以下、MADと略す)及び用量制限毒性(以下、DLTと略す)を検討 し、臨床第II相試験の推奨用量を求める。
副次目的:
1.ダサチニブの安全性と忍容性を評価する。
2.ダサチニブの血漿中薬物動態を検討する。
3.ダサチニブの血液学的、細胞遺伝学的及び分子生物学的有効性を予備的に検討する。
4.CML又はPh+ ALL患者の末梢血試料におけるBCR-ABL、SRC関連タンパクの発現及びSRC キナーゼ活性に関するバイオマーカーに対するダサチニブの作用を検討する。
5.BCR-ABL遺伝子の点突然変異を解析し、CML又はPh+ ALL細胞のイマチニブに対する抵抗
性のメカニズムを検討するとともに、これらに関するダサチニブの効果を予備的に検討する。
治験 デザイン
オープンラベル試験、用量漸増法
慢性期CMLでは、1日1回投与及び1日2回投与を検討したが、他の病態では1日2回投与の み検討した。
対象疾患 対象疾患:14歳以上のCMLあるいはPh+ALL患者 選択/除外
基準
選択基準
1. 慢性期CML(基準はCA180-034と同様:表2.4-1参照)。 2. 以下の基準のいずれかに該当する移行期CML。
・末梢血及び骨髄中の芽球が15%以上30%未満
・末梢血中の好塩基球が20%以上
・末梢血及び骨髄中の芽球と前骨髄球の和が30%以上かつ芽球が30%未満
・治療との関連がなく、血小板数が100,000/mm3未満
3. 以下の基準のいずれかに該当する急性期CML又はPh+ALL。
・末梢血又は骨髄中の芽球が30%以上
・肝・脾以外の髄外浸潤
4. 以下に定義するイマチニブに血液学的に初期あるいは獲得抵抗性であるか不耐容の患者。
・慢性期CMLと診断された患者で、イマチニブ1日400 g以上の投与を3ヵ月間以上行っても 血液学的完全寛解(以下、CHRと略す)が得られない場合(初期抵抗性)。
・移行期あるいは急性期CMLと診断された患者で、イマチニブを3ヵ月間以上投与しても血液 学的寛解が得られない場合(初期抵抗性)。
・慢性期CMLと診断された患者で、CHR達成後白血球数が10,000/mm3以上となった場合(獲 得抵抗性)。
・移行期あるいは急性期CMLと診断された患者で、イマチニブ治療により血液学的寛解達成後 悪化した場合(獲得抵抗性)。
・非血液毒性によりイマチニブの投与を中止した場合。
他の選択基準及び除外基準はStudy CA180-034と同様(表2.4-1参照)。
被験者数 計91例
慢性期CML:45例、移行期CML:12例、骨髄芽球性急性期CML:23例、リンパ芽球性急性期
CML及びPh+ALL:11例
表 2.6-1 試験方法の概略 (つづき)
項目 内容
投与方法 1. 使用薬剤
ダサチニブ錠:5mg錠及び50mg錠 2. 用法・用量及び投与期間
1日1回(QD)あるいは1日2回(BID)投与を5日間投与+2日間休薬又は連日投与のスケ ジュールで行った。また、有害事象あるいは疾患の増悪の対応のため、4週間投与以降同一症 例で用量の調節を可とした。
各コホート別の投与スケジュールを以下に示す。
コホート 投与スケジュール 投与量レベル(mg/日)
慢性期CML QD、5日間投与+2日間休薬 15, 30, 50, 75, 105, 140,
180
慢性期CML BID、5日間投与+2日間休薬 25, 35, 50, 70
慢性期CML BID、連日投与 70, 90
移行期CML BID、連日投与 50, 70, 90, 120
骨髄芽球性急性期CML BID、連日投与 50, 70, 90, 120 リ ン パ 芽 球 性 急 性 期
CML又はPh+ALL
BID、連日投与 35, 50, 70, 90
上記の投与量レベルを初回投与量として3症例に4週間投与した。1例でDLTが発現した場 合、その投与量レベルに症例を追加し合計6症例とした。各投与量レベルでDLTを発現した 症例が1/3未満である場合、次投与量レベルへの増量を行った。投与は疾患の増悪がみられる か、又は忍容できない毒性が発現するまで継続した。
有効性・安全性 の評価項目
有効性:
血液学的効果
慢性期CML:Study CA180-034と同様の基準(表2.4-1参照)
移行期・急性期CML及びPh+ALL
以下のCHRあるいはNELの基準をすべて満たす場合、血液学的major寛解(以下、MaHR と略す)とする。
CHRは以下の基準を満たした4週間後以降に再度この基準を満たした場合で、かつこの 期間中少なくともNELの基準を満たした場合に確定する。NELは以下の基準を4週間以上 維持した場合に確定する。CHRあるいはNELの基準の維持が4週間未満であった場合には MiHRとする。また、この寛解期間中にanagrelideあるいはヒドロキシカルバミドの併用が 行われていてはならない。
CHR
1. 白血球数が施設基準値上限以下 2. 好中球数が1,000/mm3以上 3. 血小板数が100,000/mm3以上
4. 末梢血中に芽球、前骨髄球を認めない 5. 骨髄中の芽球が5%以下
6. 末梢血中の骨髄球と後骨髄球の和が5%未満 7. 末梢血中の好塩基球が施設基準値上限以下 8. 肝腫大及び脾腫を含め髄外白血病を認めない NEL
1. 白血球数が施設基準値上限以下 2. 末梢血中に芽球、前骨髄球を認めない 3. 骨髄中の芽球が5%以下
4. 末梢血中の骨髄球と後骨髄球の和が5%未満 5. 末梢血中の好塩基球が施設基準値上限以下 6. 肝腫大及び脾腫を含め髄外白血病を認めない
7. 血小板が20,000/mm3以上100,000/mm3未満又は好中球が500/mm3以上1,000/mm3未満 MiHR
1. 骨髄中又は末梢血液中の芽球が15%未満
2. 骨髄中及び末梢血中の芽球と前骨髄球の和がいずれも30%未満 3. 末梢血中の好塩基球が20%未満
4. 肝腫大あるいは脾腫以外に髄外白血病を認めない
表 2.6-1 試験方法の概略 (つづき)
項目 内容
有効性・安全 性の評価項目
血液学的寛解率
・MaHR率は、移行期・急性期CML及びPh+ALLの投与例のうち、最良効果がMaHR(CHR 又はNEL)に該当する症例の割合とする。
・CHR率は、投与例のうち最良効果がCHRに該当する症例の割合とする。
・MiHR率は、移行期・急性期CML及びPh+ALLの投与例のうち、最良効果がMiHRに該当 する症例の割合とする。
・血液学的寛解(OHR)率は、移行期・急性期CML及びPh+ALLの投与例のうち、最良効果が MaHRあるいはMiHRに該当する症例の割合とする。
血液学的寛解期間
・MaHR期間については、最良効果がMaHRであった移行期・急性期CML及びPh+ALLの症 例について、最初にMaHRに合致した日から4週間以降の増悪または死亡までの期間を月単 位で算出する。
・血液学的寛解期間については、最良効果がMaHR又はMiHRであった移行期・急性期CML
及びPh+ALLの症例について、最初にMaHR又はMiHRに合致した日から4週間以降の増悪
又は死亡までの期間を月単位で算出する。
・CHR期間については、最良効果がCHRであった慢性期CMLの症例について、最初にCHR に合致した日から4週間以降の増悪又は死亡までの期間を月単位で算出する。
なお、疾患の増悪、増悪による中止、又は死亡した以外の症例は、最終の血液学的検査の日 をもって評価を終了した。
血液学的寛解到達期間
・MaHR到達期間については、最良効果がMaHRであった移行期・急性期CML及びPh+ALL の症例について、最初にMaHRに合致した日までの期間を月単位で算出する。
・血液学的寛解到達期間については、最良効果がMaHR又はMiHRであった移行期・急性期
CML及びPh+ALLの症例について、最初にMaHR又はMiHRに合致した日までの期間を月
単位で算出する。
・CHR到達期間については、最良効果がCHRであった慢性期CMLの症例について、最初 にCHRに合致した日までの期間を月単位で算出する。
細胞遺伝学的効果
細胞遺伝学的効果については、骨髄中の分裂中期細胞の Ph+染色体の割合に基づいて以下の通 り決定する。
細胞遺伝学的寛解の分 類
骨髄中分裂中期細胞における Ph+染 色体の割合
CCyR 0%
PCyR 1 - 35%
Minor CyR 36 - 65%
Minimal CyR 66 - 95%
No Response 96 - 100%
細胞遺伝学的寛解率
MCyR率は、投与例におけるCCyRあるいはPCyRに達した症例の割合とする。
細胞遺伝学的寛解期間
MCyR期間は最良効果がCCyR又はPCyRの症例において、最初にCCyRまたはPCyRに達し た日から、増悪又は死亡までの期間を月単位で算出する。
なお、疾患の増悪、増悪による中止、又は死亡した以外の症例は、最終の細胞遺伝学的検査の 日をもって評価を終了した。
細胞遺伝学的寛解到達期間
MCyR までの期間については、最良効果が CCyR 又は MCyRであった症例について、最初に CCyR又はPCyRに合致した日までの期間を月単位で算出する。
分子生物学的効果
リアルタイムPCR定量法(以下、RQ-PCRと略す)を用い、末梢血中のBCR-ABL転写産物を 定量する。3 log以上の減少をmajor分子生物学的寛解とする。