第2章 Brouwer の不動点定理
E. Sperner の補題の証明
E. SPERNER の補題の証明 45
補題 2.20. ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
区 間 [0,1] を n 等 分 す る . こ の と き 得 ら れ る 点 を 左 か ら 順 に P0 = 0, P1,· · ·, Pn−1, Pn = 1 と す る . さ ら に 各 点 Pk に 対 し , ラ ベ ル α あ るいは β が与えられているとする.ただし両端点P0, Pn に与えられているラベ ルは異なるとする.このとき,この図の中の小区間 Pk−1Pk で両端点のラベルが 異なるものが奇数個存在する.
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P1
P0= 0 P2 P3 Pn= 1
α α β β β
図 E.1: 1次元 Sperner の補題
各k= 0,1,· · · , nに対し,hk を hk=
0 Pk のラベルが α;
1 Pk のラベルが β
により定義すます.そして,この hk を各点 Pk の標高と見なします.両端点 P0= 0, Pn= 1 に与えられたラベルが異なるというわけですから,これら2点 の標高は異なります.線分 [0,1]は高低差のある道だと考えられます.さらに
δk=hk−hk−1 (k= 1,2,· · · , n)
とおきます.これは隣り合う2点Pk−1 とPkの標高差です.もちろんその値は,
−1, 0, +1のいずれかです.証明すべきことは,δk=−1あるいはδk= +1な る k= 1,· · · , nが存在することです.さて,ここでδ1+· · ·+δn をふた通り の仕方で計算してみましょう.第1 の計算法は,
n k=1
δk= (δk= 1 なる k の個数)−(δk =−1なる k の個数) です.これは,δk=−1,0 または1から従います.一方,δk の定義より,
n k=1
δk= n k=1
(hk−hk−1) =hn−h0
を得ます.ところが,両端点 P0,Pnにおける標高は異なると仮定されていた訳 ですから,この値は ±1であることが分かります.以上をまとめると,
(δk= 1 なる k の個数)−(δk=−1なる k の個数) =±1
が従います.よって,この左辺のふたつの項の少なくとも一方はゼロとは異なり ます. これで補題2.20 が証明されました.
E. SPERNER の補題の証明 47
α β α α β α β
0 1
図E.2:
Sperner の補題 2.19 の証明. 小正 3 角形の辺でとくにその両端点に与えら れたラベルが α,β であるものに注目する. このような小正 3角形は図E.3に
α
β γ
(a)第1種
β β
α
(b)第2種
β
α α
(c)第3種
図E.3: 3 種類の小正3 角形
あるような3種類に分類される.そこで第1種の小3角形の個数をλ,第2種,
第3種のそれらの個数をそれぞれµ,ν とする.第1種の小正3角形は,両端点 に与えられたラベルがα,β である辺をちょうどひとつ含む.一方,第2種,第 3 種の小正3 角形は,このような辺をそれぞれふたつづつ含む.そこで,和
λ+ 2(µ+ν)
を考えよう.これで両端点に与えられたラベルがα,β であるような辺が全部数 え上げられる.ただし,もとの大きな正3角形 ∆の内部に現れる辺は 2回重複 されて数えられていることに注意しよう.すなわち,両端点のラベルがα,β で ある辺のうち,∆の周上に現れるものの個数を,また∆の内部に現れるもの の個数を m とすると,
λ+ 2(µ+ν) =+ 2m
が成り立つ.この等式の両辺を見比べると,左辺の第2項 2(µ+ν)と右辺の第 2 項2m はともに偶数である. その結果,とくにλとの偶奇は一致しなけれ ばならない.ところが,補題2.20 によればは奇数である.したがってλもま た奇数であり,したがって決してゼロを値としてとり得ないことが結論される.
A B C
α β
γ
α α α α
α
β
β β
β γ
γ γ
図E.4: