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SiC 結晶多形における Phonon 分散曲線と Phonon 状態密度 . 41

第 3 章 SiC 結晶多形の振動自由エネルギーの第一原理計算 28

3.4 結果

3.4.2 SiC 結晶多形における Phonon 分散曲線と Phonon 状態密度 . 41

基底状態におけるEV曲線から求めた平衡格子定数,及び原子配置を擬調和振動 子近似に適用し,3C,4H,6H-SiC結晶におけるPhonon分散曲線とPhonon状態 密度を求めた.各々をFig. 3.18に示した.1行目が3C,2行目が4H,3行目が6H の結果を示し,1列目がPhonon分散曲線,2列目がPhonon状態密度を示している.

Phonon分散曲線に着目すると,外形が異なるように見えるが,これはユニットセ

ル内の原子数の異なりに起因する.したがって,このPhonon分散曲線を積分した

Pnonon状態密度に着目すると,全て外形が似ていることがわかる.これはユニッ

トセル内の局所的な原子配置が似ているからである.これらのPhonon状態密度を 用いて,SiC結晶多形における有限温度の自由エネルギーを算出した.

第3章SiC結晶多形の振動自由エネルギーの第一原理計算

Fig. 3.18: 基底状態におけるSiC結晶多形のPhonon分散曲線とPhonon状態密度.

第3章SiC結晶多形の振動自由エネルギーの第一原理計算

3.4.3 有限温度の SiC 結晶多形における自由エネルギー曲面の格子

定数依存性

Phonon-DOS法による擬調和振動子近似でSiC結晶多形における自由エネルギー

を求めた.擬調和振動子近似による自由エネルギー計算は,そのまま適用すれば 熱膨張を考慮することができず,体積一定での自由エネルギーの温度依存性を求 めることになる.そこで各多形において,意図的に格子定数を変化させ,熱膨張 を考慮した自由エネルギーを求めた.まず基底状態における平衡格子定数をベー スとし,立方体の3C-SiC結晶格子ならば0.99–1.03まで0.0025刻みで格子定数を 変化させ,計17個のモデルで計算を行った.また六方晶の4H,6H-SiC結晶格子

ならば3C-SiC結晶格子とは異なり,a軸,c軸は温度を上げると独立に膨張する.

したがって両格子定数を別々に変化させ,両軸ともに1.00–1.03まで0.0025刻みで 格子定数を変化させ,両多形共に各々169個のモデルで計算を行い,熱膨張を取り 入れた.

温度,0 K,500 K,1000 K,1500 K,2000 K,3000 Kにおける3C-SiC結晶格 子の自由エネルギーの格子定数依存性をFig. 3.19に示した.横軸が格子定数の倍 率a/a0を示しており,a0は基底状態における平衡格子定数を示している.縦軸は 自由エネルギーを示している.また図中の丸は各計算点,各曲線はその計算点を もとにフィッティングを行った自由エネルギー曲線を示しており,赤いダイヤは自 由エネルギー曲線の極小値を示している.この自由エネルギーの極小値が,熱膨 張を考慮した時の各温度での結晶格子における自由エネルギーの値となる.また 0 Kにおいて,自由エネルギーの極小値がa/a0 = 1からずれている原因は,零点 振動を考慮した計算では,基底状態における格子よりも,微小ではあるが膨張し ていることを示唆している.温度の上昇とともに,極小値を示す格子定数も単調 増加していることから,熱膨張を再現していることがわかる.

次に各温度における4H,6H-SiC結晶格子の自由エネルギーの格子定数依存性 をFig. 3.20, 3.21に示した.Fig. 3.19と同様にa/a0c/c0はa軸とc軸の格子定 数の倍率を示しており,a0c0は基底状態における平衡格子定数を各々示してい

Fig. 3.19: 各温度における3C-SiCにおける自由エネルギーの格子定数依存性.

第3章SiC結晶多形の振動自由エネルギーの第一原理計算

Fig. 3.20: 各温度における4H-SiCにおける自由エネルギーの格子定数依存性.

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Fig. 3.21: 各温度における6H-SiCにおける自由エネルギーの格子定数依存性.

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る.両図共に黒い点は計算点を示しており,その計算点にしたがって,自由エネ ルギー曲面関数をフィッティングしている.また赤い点は自由エネルギー曲面の極 小値を示している.これらの図でもFig. 3.19と同様に,温度の上昇とともに,極 小値を示す格子定数も増加していることがわかり,熱膨張を再現している.