XIS-S0-A
5.6 SES と 2 次ターゲットのスペクトル比較
Al Kは、輝線成分のフォトン数が少なかったため6、となりをバックグラウンドとして引く手 法が使えなかったが、非分散光を見積もる手法では連続成分を使えるので、フォトン数が40000
counts 程度と、京都大学で 2次ターゲットに Alを使用したデータ(以下、京都のデータ)と比較 できる。
XIS-S0-A Al K (Grade 0) 10 -1
1 10 10 2 10 3 10 4
50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
ID=3008,N=41321
Al K Spectrum (Grade 0)
Counts [/ch]
非分散光を推定
XIS-S0-A
して求めた スペクトル
PH [ch]
Counts [/ch]
図5.35: XIS-S0-A,AlK、
Grade 0 のレスポンス
(非分散光を推定して差 し引く手法)
XIS-S3-A Al K (Grade 0, Kyoto) 10 -1
1 10 10 2 10 3 10 4
50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
ID=4208,N=179467
Al K Spectrum (Grade 0) XIS-S3-A
京都大学のCounts [/ch]
Al Target
線で取得したスペクトルからの 蛍光
X
PH [ch]
Counts [/ch]
図5.36: XIS-S3-A,AlK、
Grade 0 のレスポンス
(2次ターゲットからの
X 線)
10
-2 10 -1 1 10 10 2 10 3
0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6
ID=3015,N=12082
Al K Spectrum (Grade 0) XIS-S0-A (Osaka, SES) XIS-S3-A (Kyoto)
Energy [keV]
Counts [/eV]
非分散光を推定して求めたスペクトル
線で取得したスペクトル 京都大学の
Al Target
からの 蛍光X
図5.37: AlK、Grade0、XIS-S0-ASES 1次光に対するレスポンス(▲
, 非分散光を推定してさ しひいたもので、高次光の Tail は混入している), XIS-S3-A Al 2次ターゲットからの X 線に対 するレスポンス(△
▲
△)
図5.37 は両者のスペクトルを比較したものである。ただし、使用した Sensor はそれぞれ
S0-A, S3-A と異なり、また AE/TCE も異なっているため、レスポンスが大きく異なる可能性があ る。比較するために、京都のデータの総カウント数を SES のデータ(以下、SES のデータ)に合 わせた。
SESと京都のデータはMainPeakで良く一致しているが、Tail部分に違いが見られる。SES のデータでは、0.6 {1.2 keV 付近にイベントがほとんど無い。このようなレスポンスの差異は、
ACISの較正に使われた 2 つの光源
1. 2次ターゲットからの特性 X 線
6
5.6. SES と 2次ターゲットのスペクトル比較 70
2. 連続 X線を DCM (Double CrystalMonochrometer: 2 結晶分光器)により分光したX 線7 のデータの比較(図5.39 参照)にも見られる。2次ターゲットを用いた特性 X 線の発生シス テムは、
1. 加速した熱電子を 1 次ターゲットに照射
2. 熱電子が制動を受けて放射する制動輻射(連続 X 線)を2次ターゲットに照射
3. 2次ターゲットから蛍光X 線を発生
させるというものである。したがって、2次ターゲットの原子のエネルギー準位に相当するエ ネルギーの X線が得られる。2次ターゲットの純度は100% ではないから、他の元素からの特性
X 線が混入するため、完全に単色な X 線を得ることは難しい。また、2次ターゲットがモザイク 結晶構造になっていると、 X 線がターゲット表面で Bragg 回折されたり、他の atomic process による散乱を受け、CCD に入射する場合がある。このような場合、Tail 成分全てが CCD のレ スポンスではないから、Tail成分をoverestimate してしまうおそれがある。
あるいは、始めに述べたように、Sensor 間のレスポンスの違いである可能性もある。
図 5.38: CSR(center for SpaceResearch, MIT) の HighEnergy X-raySource ( HEXS ) (X 線 管には最大 30 kV を印加でき、Al, Si, P, KCl, Ti, V, Fe, Co, Ni, Cu, Zn, Ge の16個の2次
Targetが利用できる) [32]
7
BESSYのシンクロトロン放射光(連続X線)をWavelengthShifterbeamline(WLS)で分光し得られた単色X 線
2nd Order Light 2nd Order Light 2nd Order Light
Compton Scattering Al Target
Single Event
Counts [/CCD/7 sec/eV]
Energy [eV]
Si Target
Counts [/CCD/7 sec/eV]
Energy [eV]
Counts [/CCD/7 sec/eV]
Energy [eV]
P Target
KCl Target
Energy [eV]
Counts [/CCD/7 sec/eV] Counts [/CCD/7 sec/eV]
Energy [eV]
Ti Target
Counts [/CCD/7 sec/eV]
Energy [eV]
V Target Single Event
Single Event Single Event
Single Event Single Event
K Only
Diffraction from Target
from Target
図5.39: ACIS で取得した2次ターゲットからのX 線スペクトル(SolidLine)とBessy からの放 射光を2結晶分光器で分光し単色化した X 線スペクトル(Dashed Line)。いずれも同じ CCD で 取得されたデータ。2次ターゲットのデータは12種類あるが、そのうちDCM のデータがある6 種類を示す。[32]
5.7. まとめ 72
5.7
まとめ
まず、XIS の0.2 { 2.2 keVまでのレスポンスをほぼ連続的に取得し、Gaussian+ 定数とい うレスポンスを仮定して、2 ttingを行ない、Gaussian+定数モデルのパラメータの変化を調
べた。Gaussian+ 定数モデルを使った範囲では、
1. Si K吸収端付近で XIS からの出力波高 Peak値が不連続に変わっている
2. エネルギー分解能は、仮定した分解能のモデルで良く再現できる ことがわかった。
続いて、単色な X 線に対するレスポンスの詳細、特に Tail 成分を調べるために、O K (
0.525 keV ) と Mg K ( 1.2536 keV ) の分光輝線のデータを SES で集中的に取得した。SES からの X 線には非分光成分や高次光の Tail 成分が混入しているため、これらの成分を取り除く 手法を確立し、O KとMg K 輝線に対する単色スペクトルを得ることができた。
その結果、
1. O Kでは Grade 0,3, 4のスペクトルに幅の広い Tail構造が存在する
2. Mg Kでは、OK に見られるような幅の広い Tail構造は見られない
ことがわかった。また、AlK輝線のスペクトルと京都大学で取得されたAlTargetからのK 輝線に対するスペクトルを比較した結果、Tail 成分のスペクトルの形状が異なることが明らかに なった。これは Al Target からの X 線の単色性が完全でないこと、SES のデータから求めたス ペクトルの Tail部分にsystematicな不定性があること、比較した Sensor間のレスポンスが異な ることなどに起因すると考えられる。
以下の章では、XIS の低エネルギー側 ( 0.2 { 2.2 keV ) の領域のレスポンスを議論するため に、本章で求めた OK、Mg K のスペクトルと、55Fe 線源を用いて別途取得した Mn K のス ペクトルを用いる。次章では、上記 3輝線のスペクトルを再現できる CCD シミュレータを構築 する。さらに、7 章では、データを取得できていないエネルギー点でのデータもシミュレートし て、XIS に最適なレスポンス関数系を調べる。
Simulator
構築
本章では、XIS のレスポンスを議論するため、任意の単色な X線にたいして XIS の応答をシ ミュレートできるモデルの構築を行なう。モデルは、5章で取得したOK、MgK、そしてMnK のスペクトルを再現できなければならない。
まず、CCD各Pixel内部でのX線イベントについてモデル化するために、光電吸収によって
生じる電子雲の振る舞いを、CCDの各層(空乏層、中性領域、電極、Insulator)別に議論する。