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エネルギー線形性

ドキュメント内 thesis.dvi (ページ 144-150)

Transfer Direction

7.6 低エネルギー領域で汎用性のあるレスポンス関数

7.6.2 エネルギー線形性

E

X

W

Si (E

X )

で計算される、電荷ロス 0 のときの Peak 期待値とイベント検出を施したスペクトル に対してレスポンス近似関数で tting して求めた Main Peak の位置の Shift(electron 換算) を求めた。結果を図7.88 に示す。

7.88: 入射 X 線のエネルギーに対する、W 値から予想される Main Peak 中心からの shift

(Grade0、Siの平均解離エネルギーで規格化した)

全体としてエネルギーにほぼ比例して shift 量が多くなっていくのは、全電荷に比例した量の 電荷ロスが生じていることを示す。この shift は式(6.32) で定義した f に対応する量である。今 後、より多くのエネルギー点でf を求める必要がある。

単一の Gaussian + 定数というモデルでは、Tail を考慮したレスポンスモデルよりも大きな

ずれが生じることを示している。これは、MainPeakGaussianMain PeakSplit 閾値起因 の Tail 成分を同時に再現するため 低波高値側に引かれ、レスポンスをうまく近似できないため である。つまり、図5.10 に示したような( 入射 X 線のエネルギー) {( 波高値関係)Si K吸 収端でのギャップは、単一の Gaussian モデルという不十分なモデルを採用したことによる見か け上の効果であることが示唆される。

7.6.3

エネルギー分解能

この節におけるエネルギー分解能の定義は、Main Peak Gaussian1 幅と定義する。

7.89、図7.90 より、どのレスポンスモデルを用いてもエネルギー分解能に大きな差は無い ことがわかる。ただし、チャネルストップモデルでは、Split 閾値に起因する Tail Gaussian

MainPeakの Gaussianが同時に再現しようとして、その幅が実際より太くなる傾向がある。

7.6. 低エネルギー領域で汎用性のあるレスポンス関数 128

7.89: エネルギー分解能 (Grade 0)

7.90: エネルギー分解能 (Grade 02346)

7.6.4 Tail Gaussian

の性質

ダブルガウシアンモデルと新しいモデルでの、Main Peak Gaussian 中心と Tail Gaussian の中 心の差を Grade 0,Grade 02346 についてそれぞれ図7.91、図7.92 に示す。

7.91: MainPeakGaussian中心と TailGaussianの中心の PH(Grade0)

7.92: MainPeak Gaussian中心とTailGaussian の中心の PH(Grade 02346)

7.6. 低エネルギー領域で汎用性のあるレスポンス関数 130 仮定したレスポンスによって、このGaussianPeakPH の差の意味は変わる。

ダブルガウシアンモデルでは、平均吸収距離が短くなることによって、チャネルストップ成分 の割合が増加する 1 keV 以下や Si K 吸収端より高いエネルギーで、チャネルストップ成分と

Split 閾値に起因する成分を同時に再現するように Gaussian が入る。このため、Gaussian は低 エネルギー側に Shift して、Main Peak Gaussian との中心 PH の差が大きくなる。その他のエ ネルギーにおいては、Split閾値起因のGaussian成分が多くなるため、Split閾値起因のTail部 分に Gaussianが入り、中心 PH の差は小さくなる、

これに対し、新しいモデルでは TailGaussian は常に Split 閾値起因の成分を再現するため、

隣接 Pixel への電荷の洩れだしが少ない低エネルギー側では、差が小さく、エネルギーが高くな

るにつれて差が大きくなっていく。しかし、Split閾値より大きな洩れだしがおこると、他のGrade のイベントとして検出されるため、洩れだし量が 10 ch付近で一定値となっている。

この10 ch Split閾値

2

は、[3] で計算された値と一致している。

7.6.5

X

線領域での

Tail

成分に対する各成分の寄与

レスポンス関数として 新しいモデルを仮定したときの全イベント数(Model の面積) に占 める各 Tail成分の割合を、Grade 0, Grade02346 についてそれぞれ図7.93、図7.94 に示す。

7.93: Grade 0 のレスポンスに占める各レスポンス成分の割合(Simulation+Data)

Grade 0 と Grade 02346 で各成分の割合に大差はないが、チャネルストップ成分の割合は

Grade 02346 の方が高い。これはチャネルストップで吸収されたイベントは、Pixel 境界付近

で起きたイベントなので、隣接 Pixel に電荷の洩れだしが起こる確率が高く、Grade 0 より、

Grade 2,3, 4,6 になりやすいからである。

7.94: Grade 02346 のレスポンスに占める各レスポンス成分の割合(Simulation+Data)

Split 閾値に起因する Tail 成分

まず、図7.930.39 keVN KGrade 0Split 閾値起源のイベントが増加している のは、図7.55 に示したように、MainPeakとほぼ等しい位置にこの成分が入る方が2 が最小に なっただけであり、Split 閾値に起因するイベントが増加しているわけではないと考えられる。

また、3 keV 付近からまた増加しはじめるが、これは Split 閾値による Tail 成分ではなく て、中性領域のイベントが作るTail成分を再現しているためである。

チャネルストップに起因する Tail 成分

シミュレーションでは、Grade0,Grade02346の両方で、チャネルストップイベントと

Insu-lator 起源のイベントが1 keV 以下、SiK 吸収端のすぐ上で多くなっている。チャネルストップ

Insulator で起こるイベントの割合は、入射 X 線の平均吸収距離によって決まる。エネルギー

が高くなっていくにつれて、入射 X 線にとって、チャネルストップの占める体積は減少して行く から、エネルギーが高くなるほど、チャネルストップ成分は減少する。しかし、SiK 吸収端を越 えると、平均吸収距離が短くなるため急激に増加し、さらにエネルギーが高くなるにつれて減少 していく。

Insulator に起因する Tail 成分

チャネルストップ成分と同様な振る舞いを示す。

7.6. 低エネルギー領域で汎用性のあるレスポンス関数 132

7.6.6 Grade

分岐比

各エネルギーでの Grade 分岐比を図7.95 に示す。

7.95: Grade分岐比(Sim: シミュレーション、Data:データ)

データとシミュレーションを比較すると、6 章でふれたように、0.525 keV 以下で Grade 2 が少なくなっている。また、1.2536keV(MgK)で、Grade3+4がデータより多くなっている。

Grade 2 は PixelVertical 方向の境界で起きるイベントであり、転送1蓄積で電極の作る ポテンシャル構造の影響を受けると考えられる。また、1 keV 付近での Grade 3, 4 のイベン トは、大部分がチャネルストップ下の空乏層で起きていると考えられ、そこでは、実際の電位ポ テンシャルは複雑な分布となっていると考えられる。しかし、本論文で構築したシミュレータで は、Gate に平行で静的なポテンシャル分布を仮定しているため、Grade 分岐比を再現できない と考えられる。これらの効果に対する対策は、今後の課題である。

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