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実際の観測に対する影響

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XISDL

7.9 実際の観測に対する影響

本論文では、XIS-CCD の応答関数について研究した。

まず、5章で、スペクトロメーターからの分光X 線を XIS-CCD に照射して、0.2 { 2.2 keV までほぼ連続的に XIS のレスポンスデータを取得した。しかし、スペクトロメーターからの分光 連続X線には、非分散光や高次光の洩れ込みが存在するため、そのままではXISのレスポンスの

Tail成分の詳細な議論には使用できない。そこで、分光スペクトルの中からOK(0.525keV)

Mg K ( 1.2536 keV ) の蛍光 X 線成分のみを分離する方法を考え、ほぼ単色な X 線に対する統 計の良いスペクトルを抽出した。得られた O KMg K のスペクトルから、O K に対しては、

MainPeakから低波高値側に幅の広い Tail成分が存在し、MgK に対してはそのようなTail成 分が顕著でないことがわかった。

続く 6 章では、XIS-CCD Pixel 内部の各層における吸収、電子雲の拡散、再結合を考慮した

シミュレータを構築し、実験データ(Mn KO KMgK )を再現するように、シミュレータ のパラメータを調整した。特に、O K に対するレスポンス ( とりわけ Grade 3 + 4 のスペクト ル) に見られる幅の広い Tail成分を説明するために、チャネルストップでの吸収によって生じる 電子雲の素過程をモデル化し、データを再現することに成功した。

最後に、7 章で、実験とシミュレーションで得られたXIS のレスポンスを関数で近似する試 みを行った。

以上の結果を総合すると、XIS の各エネルギーでの応答は以下のように理解できる。

1. OK (0.525 keV ) 付近(平均吸収距離 0.5m)

幅の広い Tail 成分は、主として、チャネルストップでの吸収によるイベントが作ると考え られる。この成分のスペクトルは Main Peak Gaussian の中心とその半分の波高値に相当 する波高領域を底辺とする三角形モデルで良く近似できる。一方、Split 閾値起源の成分に ついては、エネルギーが低いため、隣接Pixel への電荷洩れだし量が少なく、Main Peak 中心からの 波高値のshift 量は小さい。したがって、Split 閾値に起因する Gaussian 成分 は、MainPeakGaussian と分離できない。

チャネルストップ成分より低波高値側には Insulator 起因の Tail 成分が定数成分として明 確に検出される。

2. MgK (1.2536 keV ) 付近(平均吸収距離 5m)

平均吸収距離が OKより 10倍以上大きいため、チャネルストップ成分による Tailの割合 は減少する。一方、エネルギーが高くなったことにより、隣接Pixelへの電荷の洩れだし量 が増えるから、Split 閾値に起因する Gaussian成分の中心 PHMain Peak 中心からの

shift量が大きくなり、Split 閾値の約半分の値に漸近する。Split 閾値20chを採用した場 合、MainPeak1 幅である 8chより大きくなるから、Split 閾値起因の Gaussian成 分は MainPeakGaussian と明らかに異なる中心を持って現れる。

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3. Si K( 1.740 keV) 付近 (平均吸収距離 12m)

Mg K よりさらに Split 閾値に起因する Tail の量が増加する。このため、シングルガウシ アンモデルで t すると、Gaussian の中心が実際より低く求まってしまうことになる。一 方、チャネルストップ成分はMg K よりさらに減少する。

4. Si K吸収端よりわずかに高いエネルギー (1.90 keV ) 付近 (平均吸収距離 1.4m)

Si K 吸収端を越えると、平均吸収距離が短くなるため、Insulator とチャネルストップで のイベントの割合が急激に増える。また、浅い空乏層で吸収されるイベントが多くなるた め、拡散が効かず、隣接 Pixelへの電荷の洩れだしが少なくなる。また、エネルギーが大き くなるにつれて、Main Peak Gaussian1 幅が太くなるので、Split 閾値起源の TailMain Peak と分離できなくなる。

5. Mn K( 5.89505keV ) 付近(平均吸収距離 30m)

チャネルストップ成分は、定数成分と区別できないほど割合が低くなる。MainPeak

Gaus-sianの1幅が、Split閾値20chに起因するshift10chより十分大きな15ch程度とな るため、Split 閾値起源の Tail成分は、MainPeak と区別できなくなる。また、中性領域 イベントも無視できない割合で起こり、これは、再結合によって電荷を失うので、Tail 成 分を構成することが予想される[11]。しかし、Split 閾値起源の Tail 成分と中性領域イベ ントによる Tail成分を区別することは、データにおいては困難かもしれない。

以上より、低エネルギーから高エネルギーまで含めると、XIS のレスポンスは、表7.9、図

7.101 に示す要素で構成すれば良いと考えられる。

レスポンス成分 原因 レスポンス関数 図7.101

Main Peak Gaussian 空乏層イベント Gaussian

チャネルストップイベント 式(7.7)の三角形成分

Tail Split 閾値による疑似 Tail Gaussian

中性領域イベント Gaussian8

TailConstant Insualtor, Insulator境界 定数 表 7.9: XIS のレスポンス構成要素

今後の課題は、

1. 統計精度が不十分であったエネルギー点に対し、XIS の実験データを取得し、シミュレー ションの予想と比較する。

2. シミュレーションのデータ点を増やして、各レスポンスパラメータを入射X線のエネルギー に対して関数化、レスポンスマトリックスを生成するレスポンスジェネレータを構築する。

3. ParallelSum Mo de など、XIS の他のClo cking Mode での応答関数も議論する。

などである。

8京都の高エネルギーでの実験結果により関数形を決める

1 10 10 2 10 3 10 4

50 100 150 200 250 300 350 400 450

ID=8005,N=237544

PH [ch]

Counts [/ch]

XIS Response (0.2 - 2.2 keV)

Depletion Layer Event

Depletion Layer Event (Split Threshold)

Channel Stop Event

Insulator Event

7.101: XIS のレスポンス構成要素概念図(低エネルギー側)

平均吸収距離 平均吸収距離

平均吸収距離 平均吸収距離

7.102: 平均吸収距離による XIS のレスポンスの変化

謝辞

筆者は、本論文を完成するため、またそれ以上に、常深研究室においての研究活動、生活におい て様々な人々の御指導、御協力を頂きました。まずはじめに、常深研究室の全メンバーに対し、

心から感謝し、お礼を申し上げます。

常深教授には、Activity, 論文紹介などの場で話に要領の得ない筆者に鋭い指摘を頂き、鍛え て頂きました。さらに、本論文の進行状況を常に気にかけて頂き、また、筆者が勘違いしていた 数々の事例について指摘して頂きました。

北本助教授には、XIS の較正実験の仕方、データ解析方法からはじまり、ゼミ、論文紹介な どにいたるまで、多大な御指導を頂きました。本論文の校正にも協力して頂きました。

林田助教授には、もう頭が上がりそうにありません。XIS の実験やソフトウエア関係につい て教えて頂き、また C 言語すら使用できなかった筆者に ANL Moduleの作り方を教えて頂きま した。また、数々の筆者の発する意味不明な質問1弱音に、つきあって頂きました。さらに、本 論文を書き上げるにあたっては、寝食も犠牲にして筆者に御協力頂きました。

宮田助手には、ASTE ANL,DIS45などソフトウエア関連全般について、御指導頂きました。

また、Linux についてもいろいろと教えて頂きました。

今は NASDA の鳥居研一氏には、研究室で暇そうにしていた筆者に UNIX の使い方から研究

生活、はては ASCA のデータを用いた X 線パルサーの探索に至るまで教えて頂きました。数え 上げるときりがありません。また、スクリプト言語AWK の使い方を教えてもらい、AWK はあ まり使わなくなったものの、筆者がスクリプト言語を多用する原因となりました。

群馬天文台に行かれた衣笠健三氏には、ANL Mo dule について御説明を頂き、また、他のソ フトウエアについても相談に乗って頂きました。

浅沼達彦氏には、研究について鋭い指摘を、獅子座流星群のときは車を出して頂きました。

橋本谷磨志氏には、XISの較正実験で使用したSESの説明からはじまって、ASCAプロポー ザル(ご期待にはそえませんでしたが:::)、さらに御自分の博士論文の忙しいさなかに、本論文の ことでいろいろと相談にのって頂きました。さらに、本論文のために F510 で生活していた筆者 に椅子を奪われました。

戸練景氏には、SES のデータ解析を基礎から教えて頂きました。また、DIS45 の使いかたを 伝授して頂きました。

吉田久美氏, 高比良尚子氏, 大谷正之氏にはいろいろと相談にのって頂きました。

同じ学年の幸村孝由君, 橋本康明君, 平賀純子さんには、様々な相談にのって頂き、研究に対 しても議論をしていただきました。幸村君,橋本君とは、研究室外においてもよく行動をともにし ました。平賀さんには、本論文作成中に余裕のない筆者に食事を買ってきて頂きました。ありが とうございます。

阿久津大介君には、寝る間も割いて本論文の校正をして頂きました。また、3 章の DE のイ ベント処理の部分の Figureをほとんど描いて頂きました。

緒方英樹君には、食事を買ってきてもらいました。

片山晴善君には、XIS のデータ解析で協力して頂きました。また、本論文の校正、連続成分

tting のやり直しもして頂きました。

荘保信君にも、XIS のデータ解析で協力して頂きました。特に、非分散光スペクトルの作成 などをKSC 下位 bit 当番中に時間を割いて行って頂きました。

さらに、京都大学宇宙線研究室の方々にもお世話になりました。粟木助手には、XIS の検出 効率のデータを頂きました。鶴助手には、アカウントをつくって頂き、京都のデータを解析する ことができました。西内満美子氏には、XIS55Fe を用いた較正結果について相談にのっても らい、また議論させて頂きました。村上弘志君には、XIS のデータ解析についていろいろと議論 をして頂きました。この場を借りてお礼を申し上げます。

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